JP4129955B2 - 電池および電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中負荷用途に適した電池に関するものである。
筒形の電池には、カメラなどの重負荷対応の捲回式電池と、バックアップなどの高容量ではあるが軽負荷用のボビンタイプの電池が製品化されている。このうち、ボビンタイプの電池は、構造が簡単であり、低コストでの製造が可能であるが、電極面積が小さく負荷特性に劣っている。
重負荷対応の捲回式電池は、たとえば、集電体として金属や炭素などの電導体の箔、網、織布、不織布などを使用して、これに活物質合剤を塗布し圧着して、一体化するなどして、長尺の電極を作製し、これと対極とをセパレータを介して捲回することにより、製造されている(特許文献1参照)。しかしながら、この捲回方式では薄い長尺の電極を巻き込むため構造が複雑であり、製造しにくく、コストがかかるという問題がある。
また、非水系の一次電池のうち、リチウム−塩化チオニル電池もボビン構造であり、やはり負荷特性に劣る欠点がある。最近の電池の用途として、たとえば、情報通信などでは数10mAから300mA程度の電流を要求するものが増加しているが、上記電池ではかかる中負荷用途にも適さない。
実公平6−6460号公報(第2〜3頁)
本発明は、このような事情に照らし、中負荷用途に適した安価で生産性の良い電池を提供することを目的としている。
捲回式の電池において、長尺の電極構成では捲回数が多くなり、必然的に電極は薄く長くなり、この場合、電極の厚さのばらつきで捲回精度が得られにくく、また集電体やセパレータなどの占める比率も増大し、コストアップにつながり、安価な製品を供給しにくい。一方、電極を短くし厚い電極とすると、集電体やセパレータなどの占める比率が減り、活物質を多く充填でき、容量アップとなり、また巻きずれも緩和でき、生産性やコスト上、有利となる。
しかし、厚い電極を捲回する場合、電極に大きな応力が加えられるため、集電体と活物質合剤とが完全に一体化されている従来の電極では、活物質合剤が剥離したりクラックを生じたりし、容量の低下や短絡などのトラブルの原因となりやすい。
本発明者らは、上記の点を考慮して、鋭意検討した結果、あらかじめ作製したシート状合剤層を集電体の両側に配置して積層構造とした電極を、その対極およびセパレータとともに捲回する際に、上記積層構造の電極の集電体とシート状合剤層との間に、捲回方向の位置ずれを生じさせることにより、上記積層構造の電極にかかる応力が大幅に緩和され、上記合剤層を厚くしても、剥離やクラックなどの不具合を生じず、捲回不良や短絡を起こしにくい中負荷用途に適した安価な電池を製造できるものであることがわかった。
本発明は、このような知見をもとにして、完成されたものである。
すなわち、本発明は、集電体の両側に、この集電体に捲回中心側の端部でのみ固定され、上記端部以外の箇所では固定されない状態で、電池内径の4〜10%の厚みのシート状合剤層が配置されてなる積層構造の電極と、この電極の対極と、それらの間に介在するセパレータとが渦巻状に捲回されてなる捲回体を円筒形の電池容器内に収容したことを特徴とする電池に係るものである。
また、本発明の別の態様は、集電体の両側に、この集電体に捲回中心側の端部でのみ固定され、上記端部以外の箇所では固定されない状態でシート状合剤層が配置されてなる積層構造の電極と、この電極の対極と、それらの間に介在するセパレータとが、1周を超え、3周以下の捲回数で渦巻状に捲回されてなる捲回体を円筒形の電池容器内に収容したことを特徴とする電池に係るものである。
また、本発明は、上記の積層構造の電極において、集電体の端部がシート状合剤層の端部から露出しないように位置している上記構成の電池、集電体の幅がシート状合剤層の幅よりも狭い上記構成の電池、シート状合剤層の空隙率が35〜50%である上記構成の電池、集電体の内側に位置するシート状合剤層の捲回前の長さが集電体の長さより短く、集電体の外側に位置するシート状合剤層の捲回前の長さが集電体の長さより長い上記構成の電池、集電体の内外面全体がシート状合剤層で覆われている捲回体を有し、過塩素酸リチウムを溶質とする非水電解液を用いたものである上記構成の電池、対極が金属または金属合金である上記構成の電池、対極がリチウムまたはリチウム合金である上記構成の電池を、提供できるものである。
さらに、本発明は、集電体の両側に、電池内径の4〜10%の厚みを有するシート状合剤層を配置し、かつ上記シート状合剤層を、上記集電体に、捲回中心側となる端部でのみ固定し、上記端部以外の箇所では固定しない状態で積層構造とした電極の、上記集電体と上記シート状合剤層との間に、捲回方向の位置ずれを生じさせながら、上記電極をその対極およびそれらの間に介在するセパレータとともに捲回して捲回体とし、これを円筒形の電池容器内に収容することを特徴とする電池の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、集電体の両側に、シート状合剤層を配置し、かつ上記シート状合剤層を、上記集電体に、捲回中心側となる端部でのみ固定し、上記端部以外の箇所では固定しない状態で積層構造とした電極の、上記集電体と上記シート状合剤層との間に、捲回方向の位置ずれを生じさせながら、上記電極をその対極およびそれらの間に介在するセパレータとともに、捲回数が1周を超え、3周以下となるように捲回して捲回体とし、これを円筒形の電池容器内に収容することを特徴とする電池の製造方法を提供するものである。
また、上記電池の製造方法の一態様として、集電体の両側にこの集電体にシート状合剤層を配置し、かつ上記シート状合剤層を、上記集電体に、捲回中心側となる端部でのみ固定し、上記端部以外の箇所では固定しない状態で積層構造の電極とする工程、上記積層構造の電極とその対極およびそれらの間に介在するセパレータとを、上記積層構造の電極の集電体と上記シート状合剤層との間に捲回方向の位置ずれを生じさせながら捲回する工程、および上記捲回工程により得られる捲回体を電池容器内に収容する工程を有することを特徴とする電池の製造方法を提供するものである。
このように、本発明では、集電体の両側にあらかじめ作製したシート状合剤層を配置して積層構造の電極とし、これとその対極とをセパレータを介して捲回する際に、上記積層構造の電極の集電体とシート状合剤層との間に、捲回方向の位置ずれを生じさせるような構成としたことにより、上記合剤層を厚くしても、剥離やクラックなどの不具合を生じず、捲回不良や短絡を起こしにくい中負荷用途に適した安価で生産性の良い電池を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参考にして説明する。
図1ないし図2に、本発明の実施形態に係る電池を示す。図2において、電池1は、電池容器である外装缶2と、外装缶2内に装填された正極3(積層構造の電極)および負極4と、外装缶2の上方開口部を封止する封口構造とからなる。正極3および負極4は、セパレータ5を介して捲回してなる捲回体6として、電解液とともに外装缶2内に収容されている。
封口構造は、外装缶2の上方開口部の内周縁に固定された蓋板8と、蓋板8の中央部に開設された開口に、ゴム製の絶縁パッキン9を介して装着された端子体10と、蓋板8の下部に配置された絶縁板11とからなる。絶縁板11は、円盤状のベース部12の周縁に環状の側壁13を立設した上向きに開口する丸皿形状に形成されており、ベース部12の中央にはガス通口14が開設されている。蓋板8は、側壁13の上端部に受け止められた状態で、外装缶2の上方開口部の内周縁に、レーザ溶接若しくはパッキングを介したクリンプシールで固定されている。蓋板8もしくは外装缶2の缶底2aには薄肉部を設け、内圧が急激に上昇したときの対策としてのベントを設けることができる。正極3と端子体10の下面とは、正極リード体15で接続されており、負極端子4と外装缶2の内面とは負極リード体16で接続されている。
本発明の電池の一例を示す横断面図を現す図1において、3は集電体22の両側にシート状合剤層20,21を配置して積層構造の電極とした正極であり、この正極3とその対極である負極2とをセパレータ5を介して捲回し、捲回体6を構成している。
図3は、上記積層構造の電極(正極)3の捲回前の状態を示す断面図であり、集電体22の両側に、この集電体22の内側に位置するシート状合剤層20と、外側に位置するシート状合剤層21とが、上記集電体22に固定されない状態で、配置された構成となっている。このような構成とすることによって正極3の可撓性や柔軟性を良好に担保できる。かくして、捲回時における活物質合剤の脱落ないし剥離やクラックの発生などを効果的に防いで、短絡や導電不良の発生を確実に抑えることができる。
また、図1に示すごとく、上記の捲回に際し、積層構造の正極3の捲回中心側の端部である捲回始端部Sでは、あらかじめシート状合剤層20・21を集電体22に固定しておいてもよい(図4(c)参照)。より詳しくは、集電体22が、シート状合剤層20・21よりも数mm内側となるように三者を重ね合わせたうえで、長さ方向の端部から3〜10mmをプレスにより圧着しておいてもよい。すなわち、集電体22にシート状合剤層20・21が固定されずに単に接触しているだけの状態で捲回を行ってもよいが、捲回始端部Sのシート状合剤層20・21は集電体22に固定し、他の部分ではシート状合剤層20・21が集電体22に固定されずに単に接触しているだけの状態としておくことにより、捲回時のセッティングが容易となり、また電極の幅方向(捲回方向と直交する方向)への巻きずれが生じるのを防ぐことができるので、精度よく捲回体6を構成することができる。
なお、上記捲回始端部Sのみの固定は、たとえば、集電体22が網などの多孔質集電体からなるときは、その両側に配置したシート状合剤層20・21の端部のみを圧着して、集電体22の網目などに活物質合剤を密着良好に埋設するなどの方法で行える。ただし、端部のみの固定手段はこれに限定されず、他の任意の手段を採用することができる。
このように積層構造の正極3の一方の端部を中心として捲回する構成としたことにより、前記従来の捲回方式とは異なり、また上記積層構造の正極3の全体を圧着などして全体的に固定した状態で捲回するのとは異なり、集電体22の両側に設けたシート状合剤層20・21をかなり厚くしたときでも、捲回時に上記合剤層が集電体22から剥離したりクラックを生じたりするなどの不具合もなく、非常に良好に捲回でき、また短絡などの問題も起こらず、中負荷用途に適した安価で生産性の良い電池を得ることができる。
積層構造の正極3において、集電体22は、金属や炭素の導電体からなるものであればよく、具体的には、ステンレス316や430、444などからなる平織り金網、金属箔、エキスパンドメタル、ラス網またはパンチングメタルなどが挙げられる。この集電体22は、短絡防止などの観点から、その両端部がシート状合剤層20・21の端部から露出しないような位置構成とされているのが好ましく、またその幅がシート状合剤層20・21の幅よりも狭くされているのが望ましい。この場合、集電体22の端部は、シート状合剤層20・21の端部から5mmまでの範囲で合剤層の内部に収容されているのがよい。
また、積層構造の正極3において、集電体22が網などの多孔質集電体からなる場合に、捲回体6とした状態において集電体22の内部に残存する隙間がある。つまり、多孔質集電体は、シート状合剤層20・21を設ける前の状態において、それ自体、網目状の隙間を有している。しかし、この隙間のうち、多孔質集電体の中心から集電体厚さの20〜90%の部分に上記隙間を有し、その他の部分には、捲回時の圧によりシート状合剤層が埋設された構成となっている。
集電体22の表面には、ペースト状の導電剤が塗布されていることが好ましい。集電体22として立体構造を有する網状集電体22を用いた場合も、金属箔などの本質的に平板からなる材料を用いた場合と同様に、導電材の塗布により集電効果の著しい改善が認められる。これは、網状集電体22の金属部分がシート状合剤層20・21と直接的に接触する経路のみならず、網目内に充填された導電材を介しての経路が有効に利用されていることに拠るものと推定される。
導電材の具体例としては、銀ペーストやカーボンペーストなどを挙げることができる。とくにカーボンペーストは、銀ペーストに比べて材料費が安く済み、しかも銀ペーストと略同等の接触効果が得られるため、非水電解液電池の製造コストの低減化を図るうえで好適である。導電材のバインダとしては、水ガラスやイミド系のバインダなどの耐熱性の材料を用いることが望ましい。これはシート状合剤層20・21中の水分を除去する際に200℃を超える高温で乾燥処理するためである。
この集電体22の両側に設けられるシート状合剤層20・21は、通常、正極活物質と導電助剤とバインダとを含んでなるものであり、これらの合剤を公知の塗布方式、加圧方式、これらの併用方式などにより、所定厚さのシート状に成形することにより、作製される。
正極活物質には、二酸化マンガン、フッ化カーボン、リチウムコバルト複合酸化物、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物などが用いられる。導電助剤には、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックから選択される一種、または2種以上の複合物などが用いられるが、主成分としてケッチェンブラックを用いるのが好ましい。バインダには、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョン、粉末のポリテトラフルオロエチレン、ゴム系バインダなどが用いられるが、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンを用いるのが好ましい。
このシート状合剤層20・21は、空隙率が35〜50%であるのが望ましい。空隙率が小さすぎると、合剤密度が高くなりすぎて、柔軟性がなくなり、捲回時に割れが起こりやすい。また、空隙率が大きすぎると、電池容量が低下する。また、このシート状合剤層20・21は、中負荷用途として、電池内径の4〜10%に相当する厚みを有しているのが望ましい。
シート状合剤層20・21の厚みが薄すぎると、捲回数が増え、捲回に手間がかかり、巻きずれが生じて短絡の原因となりやすく、逆に厚すぎると、パルス放電特性が劣化するなど、電池特性が損なわれやすい。
なお、このような比較的厚めのシート状合剤層20・21を用い、これと負極4を捲回する場合、捲回時に集電体22とシート状合剤層20・21との間に生じる捲回方向の位置ずれを考慮して、通常、シート状合剤層20・21のうち、集電体22の内側に位置するシート状合剤層20の捲回前の長さは、集電体22の長さより短く、集電体22の外側に位置するシート状合剤層21の捲回前の長さは、集電体22の長さより長くなるように、各長さが適宜設定される。
すなわち、捲回が進行するにつれ、シート状合剤層20の捲回中心付近を除く部分は、集電体22に対して外方(捲回中心と反対方向)にずれていき、一方、シート状合剤層21の捲回中心付近を除く部分は、集電体22に対して内方(捲回中心の方向)にずれていく。このずれの量は、捲回中心から離れるほど大きくなる。したがって、シート状合剤層20・21および集電体22の長さを適宜設定しておくことにより、図3に示すように、捲回前には集電体の端部がシート状合剤層20・21の間に露出していても、捲回後には、図1に示すようにシート状合剤層20・21の内部に収容することが可能となる。
集電体22の内外面全体の全体がシート状合剤層20・21で覆われていることによって、集電体22の表面への露出をなくした場合、過塩素酸リチウムを溶質とする電解液のように、伝導度の高い電解液を使用した場合においても、該集電体22の表面にデンドライト状リチウムが析出することを抑えて、非水電解液電池の異常放電を防ぐことができる。
すなわち、本発明に係る非水電解液電池の異常放電は、集電体22の表面に析出したデンドライト状リチウムを介して該集電体22と負極4とが短絡することによるものであるから、集電体22の内外面の全体をシート状合剤層20・21で覆っておけば、高伝導度の電解液を使用した場合でも集電体22の表面にデンドライト状リチウムが析出する不具合は一切生じず、従って、集電体22−負極4間の短絡を抑えて電池の異常発熱を確実に防ぐことができる。
ここで「集電体22の内外面の全体が、両シート状合剤層20・21で覆われている」とは、図1に示すごとく捲回始端部Sおよび捲回末端部Eに係る集電体22が、両シート状合剤層20・21で覆われているだけでなく、図2に示すごとく集電体22の幅寸法(図2における上下方向の長さ寸法)が、シート状合剤層20・21の幅寸法よりも小さく設定されていて、該集電体22の幅方向の両端部がシート状合剤層20・21よりも内方側に位置していて、該シート状合剤層20・21で覆われていることを意味する。
捲回末端部Eにおけるシート状合剤層20および21の端部が集電体22の端部よりも長く延出された形態としておけば、集電体22の捲回末端部Eの露出を確実に阻止できる。そのうえで、シート状合剤層20・21の集電体22に対する延出寸法は0.5mm以上、1.5mm以下に設定する。延出寸法が0.5mm未満であると、捲回末端部Eに係る集電体22が表面に露出するおそれがあり、延出寸法が1.5mmを超えると、集電体22に裏打ちされないシート状合剤層20・21が長くなるため、放電容量の向上が期待できない。
セパレータ5には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなどの不織布や、微孔性フィルムなどが用いられる。
その厚さは、とくに限定されないが、通常は、不織布では50〜200μm、微孔性フィルムでは10〜50μmであるのがよい。
負極4は、薄い板状(箔状)に形成されており、その材料としては、リチウム金属、リチウムとアルミニウムなどの合金、黒鉛などの炭素材料を挙げることができる。この負極4の厚さは、通常0.2〜0.6mmとするのがよい。負極4は、図1および図4(b)に示すごとく、短尺と長尺の2枚の負極4a・4bを、貼り合わしてなるものであり、これらを正極3、セパレータ5とともに捲回して捲回体6を作製する。なお、負極4には銅箔などの集電体を基材として用いる事も可能である。
このような負極4と前記の正極3をセパレータ5を介して捲回するが、図1に示すごとく、捲回体6は、正極3の捲回始端部Sと捲回末端部Eとで規定される捲回数が1周を超え、3周以下、好ましくは2周以下することで全体として略円柱形状に形成され、捲回操作が容易で低コストである、中負荷用途に適した容量を持つ電池を製造できる。なお、図1には捲回数が1.7周程度の形態を示す。
捲回体6は、図4に示すような手順で作製することができる。まず、図4(a)に示すごとく、セパレータ5を2つ割の捲芯25に挟んで1周巻く。次に図4(b)に示すごとく、負極4を短尺4aのみの一層部分から捲芯25に向けて挿入して、セパレータ5とともに1周巻き込む(図4(c)参照)。続いて、図4(c)に示すごとく、正極3をセパレータ5を介して負極4上に載置して捲芯25で捲回する。ここでは、正極3は、両シート状合剤層20・21および集電体22を固定した捲回始端部Sの側から捲回されるようにしてあり、長尺の負極4b上にセパレータ5を介して載置された状態で捲回される。捲回終了後は、セパレータ5が最外周を覆う形となる。セパレータ5の捲回末端部Eを固定テープで固定する。以上より、図1に示すような形態の捲回体6を得ることができる。
電池容器である外装缶2は、鉄またはステンレス鋼製の有底円筒形の容器であり、その蓋はレーザー溶接やパッキングを介したクリンプシールで密封される。また、密封は端子部のカシメ封止やガラスハーメチックシールで行ってもよい。さらに、通常は、蓋または缶底に薄肉部を設けて、内圧が急激に上昇したときの対策として、ベントが設けられる。
この電池容器である外装缶2には、非水電解液が注入される。非水電解液には、溶媒として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどの環状カーボネートにジメトキシエタンなどの鎖状エーテルを混合したものを使用し、これに溶質として、LiPF6 、LiClO4 、LiCF3 SO3 、(CF3 SO22 NLiなどを0.3〜1.5モル/リットルの割合で溶解したものが用いられる。なかでも、過塩素酸リチウム(LiClO)は伝導度が高く、電池特性の向上効果を得るために好ましい。
過塩素酸リチウムのように伝導度の高い電解液を採用した場合、シート状合剤層20・21の面積で規定される電極面積が、25cm以上、60cm以下に設定することができる。かかる電極面積は、この種の捲回式の電極体としては比較的小さな値であるが、過塩素酸リチウムのような伝導度の高い電解液を採用した場合、良好な放電容量が得られる。60cmを超えると、活物質の充填性が低下し、軽負荷容量が減少する。
上記構成の非水電解液電池には、リチウム−二酸化マンガン電池、リチウム−フツ化カーボン電池、リチウムイオン電池などが含まれる。
なお、本発明の電池には、上記構成の非水電解液電池のほか、乾電池、アルカリマンガン電池などの他の一次電池、さらに、ニッケル−カドミニウム電池、ニッケル−水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池も含まれる。
これらの各電池構成に応じて、公知の正極活物質(正極合剤)、負極活物質(負極合剤)、電解液などが適宜選択使用されるものである。また、前記の図1では、正極に対して本発明の構成を適用した例を示しているが、負極に対し同様に適用できることはいうまでもない。
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、この実施例においては、リチウム−二酸化マンガン電池(CR電池)を例にして説明する。また、以下において、シート状合剤層の空隙率は、下記のようにして求めたものである。
<空隙率の測定>
シート状合剤層を構成させる二酸化マンガン、ケッチェンブラックおよびポリテトラフルオロエチレンの真比重を、それぞれ、4.5g/cm3 、2.0g/cm3 、および2.2g/cm3 として、単位体積あたりのシート状合剤層中に含まれる各構成要素の計算上の重量の合計X(g)を求め、実際のシート状合剤層の密度Y(g)との差から〔(X−Y)/X〕×100として、空隙率(%)を求めた。
〈正極の製法〉
(配合) ケッチェンブラック3重量部と、二酸化マンガン(東ソー社製)92重量部の比率でプラネタリーミキサーを用いて乾式で5分間混合したのち、水を重量比で固形分の20重量部添加して5分間混合した。バインダとしてポリテトラフルオロエチレンのディスパージョン(D-1:ダイキン工業社製)を固形分として5重量部を残りの水に希釈した状態で添加し、5分間混合した。配合剤中の水分は、固形分100に対し25〜30に調整した。
(シート化) 混合した配合剤を直径250mmの2本ロールを用い、ロール温度を130±5℃に調整し、プレス圧7トン/cm、ロール間隔0.4mm、回転速度10rpmで、ロールによる圧延、シート化を行った。ロールを通過した配合剤(予備シート)を105℃±5℃で残水分が1%以下になるまで乾燥した。次いで乾燥後の予備シートを粉砕器を用いて粉砕した。ここでは、プレスされた予備シートが、元の見かけ体積の2倍以上になるまでコーヒーミルで粉砕した。粉砕された粒子径は、大部分が1mm以下であり、バインダとして添加したポリテトラフルオロエチレンの繊維も1mm以下の長さに切断されていた。
粉砕された材料に対して、再度ロールによるシート化を行った。ロールの間隔は0.6±0.05mmに調整し、ロール温度は120±10℃、プレス圧7トン/cm、回転速度10rpmでシート化を行い、シート状合剤層を得た。シート状合剤層は、厚さが1.0mm、密度が2.5g/cm3、空隙率が42% であった。このシート状合剤層の厚さ1.0mmは、後記のように組み立てた電池内径の5.9%に相当する。
以上のようにして、内周用と外周用の2枚のシート状合剤層20・21(図1、図3(c)参照)を作製した。内周用のシート状合剤層20は、幅37mm、長さ51mmに切断した。外周用のシート状合剤層21は、幅37mm、長さ61mmに切断した。この時のシート状合剤層20.21で規定される正極面積は、3.7×5.1+3.7×6.1=41.44cmとなる。
(集電体) ステンレス316からなる厚さ0.2mmのエキスパンドメタルを集電体22として用いた。このエキスパンドメタルは、幅34mm、長さ56mmに切断し、その長さ方向の中央部に、厚さ0.3mm、幅3mmのステンレスリボン製の正極リード体15を抵抗溶接により取り付けた。集電体22にカーボンペースト(日本黒鉛社製)を網の目をつぶさない程度に塗布したのち、105℃±5℃の加熱温度条件で2時間以上乾燥した。尚、ここでは4mg/cm2 となるようにカーボンペーストを塗布した。
次に、図4(c)に示すごとく、2枚のシート状合剤層20・21を、その間に集電体22を介装した状態で長さ方向の一端部のみを固定して三者を一体化した。具体的には、内・外周用の2枚のシート状合剤層20・21は、長さ方向の一端を揃えるとともに、集電体22の端部をシート状合剤層20・21の端部から1mm内側になるようにセットし、幅方向にも、はみ出さないようにセットし、その状態で長さ方向の端部から5mmをプレスにより圧着することで、3者を一体化した。続いて、これらシート状合剤層20・21および集電体22を250℃±10℃で6時間熱風乾燥して正極3を得た。尚、ここでシート状合剤層20・21と集電体22とを一体化したのは、作業上の問題であり、尤も独立したシート状合剤層20・21と集電体22とを、捲回時に一体化しても特性上の問題はない。
〈負極の製法〉
負極4は、幅37mm、厚さ0.3mmのリチウム箔を46mmと96mmに切断し、短尺側の箔4aの一端から10mmを除き、36mmを長尺側の箔4bと重ねて圧着した。負極リード体16は、厚さ0.1mm、幅3mmのニッケルリボンの一端をエンボス加工してなるものとし、2枚の箔の間に挟んで圧着して固定した。
〈組み立て方法〉
幅44mm、厚さ0.025mmの微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータ(旭化成社製ハイポア)を220mmに切断し、図4(a)に示すごとく2つ割の直径4mmの捲芯25に挟んで1周巻いた。次いで、図4(b)・(c)に示すごとく、負極4のリチウム金属箔の一重長さが10mmの方を捲芯25側にして、セパレータ5と同時に1周巻き込んだのち、シート状合剤層20・21を固定した方を捲芯25側に載置して捲回した。捲回終了後は、セパレータ5が最外周を覆う形となり、セパレータ5の巻き終わり部を固定テープで固定した。捲回末端部Eに係るセパレータ5を折り曲げ、該セパレータ5でシート状合剤層20・21が被覆されるようにした。以上より捲回数が2周程度の捲回体6を得た。
ニッケルメッキした鉄缶からなる外装缶2の底に、厚さ0.2mmのポリプロピレン製絶縁板を挿入し、その上に捲回体6を正負極のリード体15・16が上側に向く姿勢で挿入した。負極リード体16は、外装缶2の上部内面に抵抗溶接した。正極リード体15は、絶縁板11を挿入したのち、端子体10の下面に抵抗溶接した。この時点で絶縁抵抗を測定し、短絡がないことを確認した。
電解液は、0.5M LiClO4 /(PC+DME=1:2)を、外装缶2内に3.3±0.1ml注入した。注入は3度に分け、最終工程で減圧にして全量を注入した。電解液の注入後、蓋体8を嵌合・レーザ溶接により封口した。以上により、実施例1に係る非水電解液電池を得た。
(後処理:予備放電、エージング)
封口した電池は、1Ωの抵抗で30秒間予備放電し、45℃で24時間保管した後、1Aの定電流で3分間2次予備放電を行った。予備放電後の電池を、室温で7日間エージングした。
内周側のシート状合剤層20は、厚さ1.6mm、幅37mm、長さ33mmとし、外周側のシート状合剤層21は、厚さ1.6mm、幅37mm、長さ43mmとし、両シート状合剤層20・21の間に介装される集電体22であるエキスパンドメタルは、幅34mm、長さ37mmとして正極3を作製した。負極4bの寸法は、厚さ0.5mm、幅37mm、長さ80mmとし、微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータは幅44mm、厚さ0.025mm、長さ150mmとした。これら以外は実施例1と同様にして、実施例2に係るリチウム−二酸化マンガン電池を得た。なお、捲回体6の捲回数は、ほぼ1.5周であり、上記シート状合剤層の厚さ1.6mmは、組み立てた電池内径の9.4%に相当していた。この時のシート状合剤層で規定される正極面積は、3.7×3.3+3.7×4.3=28.12cmとなる。
内周側のシート状合剤層20は、厚さ0.7mm、幅37mm、長さ73mmとし、外周側のシート状合剤層21は、厚さ0.7mm、幅37mm、長さ83mmとし、両シート状合剤層20・21の間に介装される集電体22であるエキスパンドメタルは、幅34mm、長さ78mmとして正極3を作製した。負極4bの寸法は、厚さ0.5mm、幅37mm、長さ80mmとし、微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータは幅44mm、厚さ0.025mm、長さ300mmとした。これら以外は実施例1と同様にして、実施例3に係るリチウム−二酸化マンガン電池を得た。なお、捲回体6の捲回数はほぼ3周であり、上記シート状合剤層の厚さ0.7mmは、組み立てた電池内径の4.1%に相当していた。この時のシート状合剤層20・21で規定される正極面積は、3.7×7.3+3.7×8.3=57.72cmとなる。
シート状合剤層20・21の密度を2.8g/cm3 、空隙率を35%に変更した以外は、実施例1と同様にして、正極3を作製した。また、この正極3を用いて、実施例1と同様にして、リチウム−二酸化マンガン電池を作製した。
シート状合剤層20・21の密度を2.16g/cm3 、空隙率を50%に変更した以外は、実施例1と同様にして、正極3を作製した。また、この正極3を用いて、実施例1と同様にして、リチウム−二酸化マンガン電池を作製した。
集電体22として厚さ0.2mm、幅34mm、長さ56mmのステンレス製の平織り金網を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極3を作製した。また、この正極3を用いて、実施例1と同様にして、リチウム−二酸化マンガン電池を作製した。
シート状合剤層20・21の密度を3.0g/cm3 、空隙率を30%に変更した以外は、実施例1と同様にして、正極3を作製した。また、この正極3を用いて、実施例1と同様にして、リチウム−二酸化マンガン電池を作製した。
電解液として、0.5M LiCF3 SO3 /(PC+DME=1:2)としたこと以外は、実施例1と同様にしてリチウム−二酸化マンガン電池を得た。
集電体22の幅をシート状合剤層20・21の幅と同じ37mmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして、正極3を作製した。また、この正極3を用いて、実施例1と同様にして、リチウム−二酸化マンガン電池を作製した。このとき集電体22の上下両端は、シート状合剤層20・21から露出していた。
《比較例1》
シート状合剤層20・21と集電体22の長さをいずれも56mmに変更し、かつ電極全体にわたってプレス圧着処理を施した以外は、実施例1と同様にして、正極3を作製した。また、この正極3を用いて、実施例1と同様にして、捲回を行ったが、合剤層が剥離し、捲回体を作製することができなかった。したがって、電池の作製もできなかった。
《比較例2》
内周側のシート状合剤層20は、厚さ0.28mm、幅37mm、長150mmとし、外周側のシート状合剤層21は、厚さ0.28mm、幅37mm、長さ150mmとし、両シート状合剤層20・21の間に介装される集電体22であるエキスパンドメタルは、幅34mm、長さ148mmとし、比較例1と同様に電極全体に渡ってプレス圧着処理をした以外は、実施例1と同様にして、正極を作製した。負極4bの寸法は、厚さ0.2mm、幅37mm、長さ184mmとし、微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータは幅44mm、厚さ0.025mm、長さ600mmとした。このときのシート状合剤層で規定される正極面積は、3.7×22.4+3.7×22.4=165.76cmとなる。なお、捲回体6の捲回数は、ほぼ6周であり、上記シート状合剤層の厚さ:0.28mmは、組み立てた電池内径の1.6%に相当していた。
《比較例3》
正極合剤を外径17mm、内径11mmで高さ37mmの中空円筒状に成形し、セパレータを介して上記正極合剤内部に負極としてリチウムを配することにより、ボビンタイプのリチウム−二酸化マンガン電池を作製した。このとき、正極と負極の対向した電極面積は、約13cmであった。
実施例1〜9および比較例1〜3に係るリチウム−二酸化マンガン電池の特性評価に先立ち、以下のような試験を行った。
実施例1に係る捲回体6に対して、図5(a)〜(c)に示すように正負極3・4を短絡させた。すなわち、図5(a)に示すように、セパレータ5に直接0.25cm2 の穴30を開けて、シート状合剤層21の表面と負極4とが接触するようにしたもの、図5(b)に示すように、シート状合剤層21の表面と負極4との間にφ0.065mmのステンレス線31で短絡経路を設けたもの、図5(c)に示すように、正極3の集電体22と負極4との間にφ0.065mmのステンレス線31で短絡経路を設けたもの、以上の3種の捲回体6を用意した。それぞれの捲回体6を外装缶2内に装填して(a)・(b)・(c)の三つのモデルの非水電解液電池を作製した。
(a)〜(c)の3種のリチウム−二酸化マンガン電池に電解液(0.5M LiClO4 /(PC+DME=1:2))を注液した際の温度上昇を計測した。その結果を表1に示す。
Figure 0004129955
表1に示すように、(c)モデルの場合のみ温度が急激に上昇して110℃を超えた。さらに試験後の電池を分解すると、(a)モデルと(b)モデルの電池では、セパレータ5等に異常が見られないが、(c)モデルにおいては短絡経路に使用したステンレス線31が消失し、その近傍のセパレータ5に黒くこげたあとが見られた。
この結果より、電池内部における短絡部位として正極3の集電体22と負極4との間に短絡経路が形成された場合のみ、異常発熱が生じることがわかる。これを踏まえて、過放電時の安全性を正極3の集電体22に対するリチウムの析出の有無に基づいて判断する。
実施例1および比較例9の電池を完全放電後、電池の端子間電圧を−3Vに1時間強制放電後、集電体22にリチウムの析出がみられるかどうかを観察した。その結果を表2に示す。
Figure 0004129955
表2に示すように、集電体22の露出のなく、かつ高伝導度の電解液としてLiClO4を採用した実施例1および、集電体22の露出のなく、かつ電解液としてLiCF3 SO3を採用した実施例8係る電池では、集電体22への直接のリチウムの析出は見られなかった。これに対して、捲回体6の上下両端部の集電体22が露出していて、かつ高伝導度の電解液を採用した実施例9に係る電池では、集電体22へのリチウムの析出が見られた。以上より、集電体22の内外面の全体をシート状合剤層20・21で覆う形態とすれば、過塩素酸リチウムを溶質とする電解液のごとく、伝導度の高い電解質を採用した場合でも、過放電時におけるデンドライト状リチウムの析出を確実に抑え得ることが確認できた。
表3に実施例1および実施例8の電池を、300mAの負荷にて放電し、2.0Vに達するまでの放電容量を測定した結果を示す。
Figure 0004129955
表3に示すように、LiCF3 SO3 を電解液の溶質として用いた実施例8に係る電池では、LiClO4 を電解液の溶質に用いた実施例1に係る電池と比較して電解液の伝導度が低いため、放電容量の低下が生じた。
上記実施例1〜8および比較例1〜3の各リチウム−二酸化マンガン電池100個について、電池組み立て時の不良率と短絡発生比率を調べた。 また、上記各リチウム−二酸化マンガン電池について、20℃、5mAで2.0Vまで放電させて、放電容量を測定した。さらに、別の電池を用い、100mAで2.0Vまで放電させて、放電容量を測定し、中負荷での特性を調べた。これらの結果は、表4に示されるとおりであった。
Figure 0004129955
上記表4の結果から明らかなように、実施例1では組み立て時のトラブルもなく短絡も発生しなかった。実施例2では厚めのシート状合剤層を用いても割れや短絡がなく良好な電池が得られた。実施例3では電極が長くなるため、いくらか容量は低下するが、中負荷での特性は改善された。実施例4,5ではシート状合剤層の空隙率を35〜50%に設定したことにより、中負荷での特性の劣化もみられず、捲回時の割れや短路もなかった。実施例6では集電体を変更しても上記と変わらない良好な結果が得られた。実施例7では、シート状合剤層の空隙率が好適な範囲より低くなったため、実施例1と比較して5mAでの放電容量は増加したが、捲回が多少困難となり、組み立て時に若干の不良発生が認められた。実施例8ではLiCF3 SO3 を電解液の溶質として用いたため、LiClO4 を電解液の溶質に用いた実施例1に係る電池よりも100mAh放電が若干低下した。実施例9では集電体とシート状合剤層の幅が同じであり、捲回のばらつきにより集電体の端部がシート状合剤層の端部に大きく露出するものが生じるため、若干の短絡発生が認められた。
これに対し、実施例1と同じ厚みのシート状合剤層を集電体に完全に固定して正極とした比較例1では、捲回体を作製することができなかった。また、薄い合剤層を集電体と一体化した長尺の正極を用いた従来の捲回形電池と同様の比較例2では、反応面積が広いため、中負荷での容量の低下は少ないものの、活物質の充填量が限定されてしまうため、電池の容量が小さいものとなった。また、長尺であるため、捲回時に幅方向の巻きずれが生じやすく、短絡の発生も認められた。さらに、ボビン形の構造を有する比較例3では、電
池の容量自体は大きいものの、中負荷では大幅な容量低下が生じ、低負荷でのみ使用可能な電池であった。
このように、本発明の実施例1〜9では、従来の捲回形の比較例2に比べて容量が大きく、ボビン形の比較例3よりも中負荷での使用に適する捲回形の電池を構成することができた。また、集電体の端部をシート状合剤層の端部から露出させないようにした実施例1〜8の電池では、短絡発生が認められず、合剤層の空隙率を35〜50%とした実施例1〜6および実施例8の電池では、捲回に際しての合剤層の剥離やクラック発生などの不良発生が認められなかった。また、電解液に過塩素酸リチウムを用いた実施例8では、さらに負荷特性を向上させることができた。上述したことから明らかなように、本発明により、容量が大きくかつ中負荷での使用に適する電池を容易に組み立てることができる。
本発明の第1実施形態に係る非水電解液電池の横断平面図である。 本発明の非水電解液電池の縦断正面図である。 本発明の積層構造の電極(正極)の捲回前の状態を示す図である。 捲回体の作製方法を説明するための図である。 (a)・(b)・(c)は、過放電状態における安全性を検証するためのテストモデルに係る捲回体の正負極の状態を示す図である。
符号の説明
1 非水電解液電池
2 外装缶
3 正極
4 負極
5 セパレータ
6 捲回体
20 内周側に位置するシート状合剤層
21 外周側に位置するシート状合剤層
22 集電体
S 正極の捲回始端部
E 正極の捲回末端部

Claims (14)

  1. 集電体の両側にこの集電体に捲回中心側の端部でのみ固定され、上記端部以外の箇所では固定されない状態で、電池内径の4〜10%の厚みのシート状合剤層が配置されてなる積層構造の電極と、この電極の対極と、それらの間に介在するセパレータとが渦巻状に捲回されてなる捲回体を円筒形の電池容器内に収容したことを特徴とする電池。
  2. 集電体の両側に、この集電体に捲回中心側の端部でのみ固定され、上記端部以外の箇所では固定されない状態でシート状合剤層が配置されてなる積層構造の電極と、この電極の対極と、それらの間に介在するセパレータとが、1周を超え、3周以下の捲回数で渦巻状に捲回されてなる捲回体を円筒形の電池容器内に収容したことを特徴とする電池。
  3. 積層構造の電極において、集電体は、平織り金網、金属箔、エキスパンドメタル、ラス網またはパンチングメタルである請求項1または2に記載の電池。
  4. 積層構造の電極において、集電体の端部は、シート状合剤層の端部から露出しないように位置している請求項1〜3のいずれかに記載の電池。
  5. 積層構造の電極において、集電体の幅は、シート状合剤層の幅よりも狭い請求項1〜4のいずれかに記載の電池。
  6. 積層構造の電極において、シート状合剤層は、空隙率が35〜50%である請求項1〜5のいずれかに記載の電池。
  7. 積層構造の電極において、集電体の内側に位置するシート状合剤層の捲回前の長さが集電体の長さより短く、集電体の外側に位置するシート状合剤層の捲回前の長さが集電体の長さより長い請求項1〜のいずれかに記載の電池。
  8. 積層構造の電極において、集電体の内外面全体がシート状合剤層で覆われてなる捲回体を有し、過塩素酸リチウムを溶質とする非水電解液を用いた請求項1〜のいずれかに記載の電池。
  9. 対極は、金属または金属合金である請求項1〜のいずれかに記載の電池。
  10. 対極は、リチウムまたはリチウム合金である請求項に記載の電池。
  11. 集電体の両側に、電池内径の4〜10%の厚みを有するシート状合剤層を配置し、かつ上記シート状合剤層を、上記集電体に、捲回中心側となる端部でのみ固定し、上記端部以外の箇所では固定しない状態で積層構造とした電極の、上記集電体と上記シート状合剤層との間に、捲回方向の位置ずれを生じさせながら、上記電極をその対極およびそれらの間に介在するセパレータとともに捲回して捲回体とし、これを円筒形の電池容器内に収容することを特徴とする電池の製造方法。
  12. 集電体の両側にシート状合剤層を配置し、かつ上記シート状合剤層を、上記集電体に、捲回中心側となる端部でのみ固定し、上記端部以外の箇所では固定しない状態で積層構造とした電極の、上記集電体と上記シート状合剤層との間に、捲回方向の位置ずれを生じさせながら、上記電極をその対極およびそれらの間に介在するセパレータとともに、捲回数が1周を超え、3周以下となるように捲回して捲回体とし、これを円筒形の電池容器内に収容することを特徴とする電池の製造方法。
  13. 集電体の両側にート状合剤層を配置し、かつ上記シート状合剤層を、上記集電体に、捲回中心側となる端部でのみ固定し、上記端部以外の箇所では固定しない状態で積層構造の電極とする工程、上記積層構造の電極とその対極およびそれらの間に介在するセパレータとを、上記積層構造の電極の集電体と上記シート状合剤層との間に捲回方向の位置ずれを生じさせながら捲回する工程、および上記捲回工程により得られる捲回体を円筒形の電池容器内に収容する工程を有する請求項11または12に記載の電池の製造方法。
  14. 集電体の両側に、集電体の長さよりも短いシート状合剤層と集電体の長さよりも長いシート状合剤層を各々配置して積層構造の電極とする請求項1〜1のいずれかに記載の電池の製造方法。
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