JP4129740B2 - 非水電解液電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液電池に関し、さらに詳しくは、中負荷以下の用途に適した高容量かつ安全で信頼性の高い円筒形の非水電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
筒形の非水電池には、メモリーバックなどの高容量ではあるが軽負荷用のボビンタイプの電池と、カメラの電源など重負荷対応の捲回式電池とが広く知られている。前者のボビンタイプの電池は、CRやER電池が製品化されているが、構造が簡単で低コストでの製造が可能であり、多くの活物質を充填することができる反面、電極面積が小さく負荷特性に劣ることから、大きな電流での放電を行おうとすると、容量が低下する不利がある。
【0003】
後者の重負荷特性の捲回式電池は、CRやBRの構成で製品化されている。この種の電池は、薄い長尺の電極を捲回してなる渦巻電極体を電池要素とするため、大きな電極面積を確保でき、大電流で放電しても大きな容量を取り出すことができる。但し、電池特性向上に直接的に寄与しないセパレータや集電体を電極体内に多く備えるため、活物質の充填量が低くならざるを得ず、電池容量が低下することは避けられない。また、大電流が取り出せる反面、短絡等の異常が起こった場合には発熱が激しく、発火の危険性があり、種々の安全対策が必要で、電池構造が複雑で製造コストの上昇を招く不利もある。
【0004】
最近の応用機器の多様化により、メモリーバックなどの軽負荷用途、カメラ用などの重負荷用途だけでなく、データの発信、受信など中負荷での用途が増加しつつあり、中負荷で特徴を発揮する電池の開発が要望されていた。そこで、特許文献1および2には、厚い電極を数回巻いた電極捲回体を電池要素とする電池が提案されている。かかる電極捲回体を電池要素とする電池によれば、厚い電極を用いることで、従来の重負荷特性の電池に比べて、セパレータや集電体などの使用量を減らして活物質の充填性の向上を図ることができるので、従来形態の渦巻電極体を電池要素とする電池に比べて、電池容量の高容量化を図ることができる。また、極端な大電流を流せなくすることで、安全性、信頼性に優れ、中負荷特性に優れた電池を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−267583号公報(段落番号0017、図1、図3)
【特許文献2】
特開平9−190836号公報(段落番号0019、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
但し、特許文献1および特許文献2に記載の電池の正極は、ニッケル発泡体からなる集電体の空隙に活物質合剤を充填してなる形態を採るため、可撓性や柔軟性に劣る。このため正極の厚み寸法を大きくとると、捲回時に正極にクラックができたり、活物質が脱落することが避けられず、導電不良や短絡を引き起こすおそれがある。
【0007】
薄い長尺の電極を捲回してなる渦巻電極体を電池要素とする電池においては、集電網に活物質合剤を圧着したり、金属箔に活物質合剤を塗布するなどして正極を得ている。しかし、正極の厚み寸法を大きくしていくと、捲回時に正極にクラックができたり、活物質が脱落することが避けられない。
【0008】
本発明の目的は、厚み寸法が大きく且つ短いシート状の正極を、負極およびセパレータとともに捲回してなる電極捲回体を電池要素とする非水電解液電池において、捲回時に正極にクラックができたり、活物質が脱落することを抑えて、導電不良や短絡などの発生を確実に防止し、以て中負荷特性に優れた非水電解液電池の安全性、信頼性を向上することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図2に示すごとく、上方開口部を有する有底円筒状の外装缶2内に、シート状の正極3と負極4とをセパレータ5を介して捲回してなる電極捲回体6と、非水電解液とを収容してなる円筒形の非水電解液電池である。電極捲回体6は、図1に示すごとく、正極3の捲回始端部Sと捲回末端部Eとで規定される捲回数が1.0周以上、3.0周以下となるように正負極3・4およびセパレータ5を捲回してなるものであって、全体として略円柱形状に成形されている。なお図1には、捲回数が1.7程度の形態を示す。正極3は、正極活物質を0.5mm以上、2mm以下の厚み寸法を有するシート状に成形してなる2枚の正極シート20・21と、これら正極シート20・21の間に介在された集電体22とからなるものとする。そして、集電体22の表面に、カーボンペースト、銀ペーストなどの導電材が塗布されていることを特徴とする。図3(c)に示すごとく、電極捲回体6の作成時において、正極シート20・21と集電体22とが捲回始端部のみを固定した状態で捲回されていると、固定されていない場合よりも作業性が向上するので好ましい。
【0010】
集電体22の具体例としては、平織り金網、金属箔、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタルなどを挙げることができる。
【0011】
【発明の作用効果】
本発明においては、図1および図3(c)に示すごとく、正極活物質合剤をシート状に成形してなる2枚の正極シート20・21と、これら正極シート20・21の間に介在された集電体22とで正極3を構成したので、従来形態のニッケル発泡体からなる集電体の空隙に活物質合剤が充填された一枚物の正極などと比べて、正極3の可撓性や柔軟性を良好に担保できる。すなわち、正極3を独立別個の2枚の正極シート20・21と集電体22とに分割された構成としたので、一枚あたりの正極シート20・21の厚み寸法は小さくて済み、従って正極3の可撓性や柔軟性を良好に担保できる。かくして、捲回時における活物質合剤の脱落ないし剥離やクラックの発生などを効果的に防いで、短絡や導電不良の発生を確実に抑えることができるので、安全性、信頼性に優れた非水電解液電池を得ることができる。
【0012】
正極シート20・21と集電体22の全体を貼り合わせて、一枚物のシート状に成形した場合には、内周側の正極シート20と外周側の正極シート21との捲回半径差に起因して、正極シート20・21にクラックができやすい。さらに場合によっては捲回できないこともある。これに対して本発明のごとく、正極3を独立別個の2枚の正極シート20・21と集電体22とに3分割された構成としておけば、正極3の可撓性や柔軟性を良好に担保できるので、捲回時における活物質合剤の脱落ないし剥離やクラックの発生などを効果的に防いで、安全性、信頼性に優れた非水電解液電池が得られる。
【0013】
上述のごとく2枚の正極シート20・21と集電体22とで正極3を構成した場合には、これら正極シート20・21と集電体22との接触率が低下して集電効率が不良となり、電池特性が劣化するおそれがある。そこで本発明のごとく、集電体22の表面にカーボンペーストや銀ペーストなどの導電材を塗布してあると、正極シート20・21と集電体22との接触率を大きく稼ぐことができる。このことは、集電効率の向上に繋がり、非水電解液電池の電池特性の向上に貢献する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3に、本発明の実施形態に係る非水電解液電池を示す。図2において、非水電解液電池1は、上方開口部を有する有底円筒状の外装缶2と、外装缶2内に装填された正極3および負極4と、外装缶2の上方開口部を封止する封口構造とからなる。正極3および負極4は、セパレータ5を介して捲回してなる電極捲回体6として、電解液とともに外装缶2内に収容されている。外装缶2は、鉄やステンレスを素材とする。
【0015】
封口構造は、外装缶2の上方開口部の内周縁に固定された蓋板8と、蓋板8の中央部に開設された開口に、ゴム製の絶縁パッキン9を介して装着された端子体10と、蓋板8の下部に配置された絶縁板11とからなる。絶縁板11は、円盤状のベース部12の周縁に環状の側壁13を立設した上向きに開口する丸皿形状に形成されており、ベース部12の中央にはガス通口14が開設されている。蓋板8は、側壁13の上端部に受け止められた状態で、外装缶2の上方開口部の内周縁に、レーザ溶接若しくはパッキングを介したクリンプシールで固定されている。蓋板8もしくは外装缶2の缶底2aには薄肉部を設け、内圧が急激に上昇したときの対策としてのベントを設けることができる。正極3と端子体10の下面とは、正極リード体15で接続されており、負極端子4と外装缶2の内面とは負極リード体16で接続されている。
【0016】
図1に示すごとく、電極捲回体6は、正極3の捲回始端部Sと捲回末端部Eとで規定される捲回数が、1.0周以上、3.0周以下となるように正・負極3・4およびセパレータ5を捲回してなるものであって、全体として略円柱形状に形成される。なお、図1には捲回数が1.7周程度の形態を示す。正極3は、同一の厚み寸法を有する2枚の正極シート20・21と、これら正極シート20・21の間に介在された集電体22とを含み、電極捲回体6の作成時においては、正極シート20・21と集電体22は、捲回始端部Sのみを固定した状態で捲回される(図3(c)参照)。
【0017】
正極シート20・21は、正極活物質を0.5mm以上、2mm以下の厚み寸法を有するシート状に成形してなる。正極活物質としては、例えば二酸化マンガン、フッ化カーボン、リチウムコバルト複合酸化物、スピネル形リチウムマンガン複合酸化物などを挙げることができる。
【0018】
正極3の電導助剤としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックから選択される一種、または2種以上の複合物を用いることができるが、主成分としてケッチェンブラックを用いることが好ましい。正極3のバインダとしては、テフロンディスパージョンや、粉末のテフロン(登録商標)、ゴム系バインダなどを用いることができるが、テフロンディスパージョンを用いることが好ましい。
【0019】
集電体22としては、ステンレス316や、430、444などからなる平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属箔などを用いることができる。そのうえで本実施形態では、集電体22の表面にペースト状の導電材を塗布する点が着目される。
【0020】
集電体22として立体構造を有する網状の集電体22を用いた場合も、金属箔やパンチングメタルなどの本質的に平板からなる材料を用いた場合と同様に、導電材の塗布により集電効果の著しい改善が認められる。これは、網状の集電体22の金属部分が正極シート20・21と直接的に接触する経路のみならず、網目内に充填された導電材を介しての経路が有効に利用されていることに拠るものと推定される。導電材は、集電体の全面に施すことが好ましい。
【0021】
導電材の具体例としては、銀ペーストやカーボンペーストなどを挙げることができる。とくにカーボンペーストは、銀ペーストに比べて材料費が安く済み、しかも銀ペーストと略同等の接触効果が得られるため、非水電解液電池の製造コストの低減化を図るうえで好適である。導電材のバインダとしては、水ガラスやイミド系のバインダなどの耐熱性の材料を用いることが望ましい。これは正極シート20・21中の水分を除去する際に200℃を超える高温で乾燥処理するためである。また、導電材の塗布量としては、集電体の単位面積あたり、2〜10mg/cm2 とすることが望ましい。2mg/cm2 未満であると、十分な効果が得られず、10mg/cm2 を超えると、容量の低下をきたすおそれがある。
【0022】
負極4は、薄い板状(箔状)に形成されており、その材料としては、リチウム金属、リチウムとアルミニウムなどの合金、黒鉛などの炭素材料を挙げることができる。負極4は、図1および図3(b)に示すごとく、短尺と長尺の2枚の負極4a・4bを、貼り合わしてなるものであり、これらを正極3、セパレータ5とともに捲回して電極捲回体6を作製する。
【0023】
電解液としては、溶質としてLiPF6 、LiClO4 、LiCF3 O3 、(CF3 SO2 )2 NLiなどを0.3〜1.5M/l溶解した溶媒として、PC、ECなどの環状カルボネートにDMEなどの鎖状エーテル、ジメチルカルボネートなどの鎖状カルボネートを混合した電解液が用いられる。
【0024】
セパレータ5としては、PP、PE、PET、PBT、PPSなどの不織布、微孔性フィルムなどを用いることができる。
【0025】
電極捲回体6は、図3に示すような手順で作製することができる。まず、図3(a)に示すごとく、セパレータ5を2つ割の巻芯25に挟んで1周巻く。次に図3(b)に示すごとく、負極4を短尺4aのみの一層部分から巻芯25に向けて挿入して、セパレータ5とともに1周巻き込む(図3(c)参照)。続いて、図3(c)に示すごとく、正極3をセパレータ5を介して負極4上に載置して巻芯25で捲回する。ここでは、正極3は、両正極シート20・21および集電体22を固定した捲回始端部Sの側から捲回されるようにしてあり、長尺の負極4b上にセパレータ5を介して載置された状態で捲回される。捲回終了後は、セパレータ5が最外周を覆う形となる。セパレータ5の捲回末端部Eを固定テープで固定する。以上より、図1に示すような形態の電極捲回体6を得ることができる。
【0026】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、この実施例においては、CR電池を例にして説明する。
【0027】
《実施例1》
〈正極の製法〉
(配合) ケッチェンブラック3%と、二酸化マンガン(東ソー社製)92%の比率でプラネタリーミキサーを用いて乾式で5分間混合したのち、水を重量比で固形分の20%添加して5分間混合した。テフロンディスパージョン(D−1ダイキン工業社製)を固形分として5%を残りの水に希釈した状態で添加し、5分間混合した。配合剤中の水分は、固形分100に対し25〜30に調整した。
【0028】
(シート化) 混合した配合剤を直径250mmの2本ロールを用い、ロール温度を130±5℃に調整し、プレス圧7トン/cm、ロール間隔0.4mm、回転速度10rpmで、ロールによる圧延、シート化を行った。ロールを通過した配合剤(予備シート)を105℃±5℃で残水分が2%以下になるまで乾燥した。次いで乾燥後の予備シートを粉砕器を用いて粉砕した。ここでは、プレスされた予備シートが、元の見かけ体積の2倍以上になるまでコーヒーミルで粉砕した。粉砕された粒子径は、大部分が1mm以下であり、バインダとして添加したポリテトラフルオロエチレンの繊維も1mm以下の長さに切断されていた。
【0029】
粉砕された材料に対して、再度ロールによるシート化を行った。ロールの間隔は0.6±0.05mmに調整し、ロール温度は120±10℃、プレス圧7トン/cm、回転速度10rpmでシート化を行い、正極シートを得た。正極シートは、厚さが1.0mm、密度が2.5g/cm3 、空隙率は39%であった。
【0030】
以上のようにして、内周用と外周用の2枚の正極シート20・21(図1、図3(c)参照)を作成した。内周用の正極シート20は、幅37mm、長さ51mmに切断した。外周用の正極シート21は、幅37mm、長さ61mmに切断した。
【0031】
(集電体) ステンレス316からなるラス網(日建ラス社製)を集電体22として用いた。このラス網は、幅35mm、長さ56mmに切断し、その長さ方向の中央部に、厚さ0.3mm、幅3mmのステンレスリボン製の正極リード体15を抵抗溶接により取り付けた。集電体22にカーボンペースト(黒鉛27%、珪酸カリウム15%、界面活性剤1.5%、水56.5%比率)を網の目をつぶさない程度に塗布したのち、105℃±5℃の加熱温度条件で2時間以上乾燥した。尚、ここでは塗布量が4mg/cm2 となるようにカーボンペーストを集電体22の全面に塗布した。
【0032】
次に、図3(c)に示すごとく、2枚の正極シート20・21を、その間に集電体22を介装した状態で長さ方向の一端部のみを固定して三者を一体化した。具体的には、内・外周用の2枚の正極シート20・21は、長さ方向の一端を揃えるとともに、集電体22の端部が正極シート20・21からはみ出さないようにセットし、その状態で長さ方向の端部から2mmをプレスにより圧着することで、3者を一体化した。続いて、これら正極シート20・21および集電体22を250℃±10℃で6時間熱風乾燥して正極3を得た。尚、ここで正極シート20・21と集電体22とを一体化したのは、作業上の問題であり、尤も独立した正極シート20・21と集電体22とを、捲回時に一体化しても特性上の問題はない。
【0033】
〈負極の製法〉 負極4は、幅37mm、厚さ0.3mmのリチウム箔を46mmと96mmに切断し、短尺側の箔4aの一端から10mmを除き、36mmを長尺側の箔4bと重ねて圧着した。負極リード体16は、厚さ0.1mm、幅3mmのニッケルリボンの一端をエンボス加工してなるものとし、2枚の箔の間に挟んで圧着して固定した。
【0034】
〈組立方法〉 幅44mm、厚さ0.025mmのPEからなる微孔性セパレータ(旭化成社製ハイポア)を220mmに切断し、図3(a)に示すごとく2つ割の直径4mmの巻芯25に挟んで1周巻いた。次いで、図3(b)・(c)に示すごとく、負極4のリチウム金属箔の一重長さが10mmの方を巻芯25側にして、セパレータ5と同時に1周巻き込んだのち、正極シート20・21を固定した方を巻芯25側に載置して捲回した。捲回終了後は、セパレータ5が最外周を覆う形となり、セパレータ5の巻き終わり部を固定テープで固定した。捲回末端部Eに係るセパレータ5を折り曲げ、該セパレータ5で正極シート20・21が被覆されるようにした。以上より、図1に示すような電極捲回体6を得た。
【0035】
ニッケルメッキした鉄缶からなる外装缶2の底に、厚さ0.2mmのPP製絶縁板を挿入し、その上に電極捲回体6を正負極のリード体15・16が上側に向く姿勢で挿入した。負極リード体16は、外装缶2の上部内面に抵抗溶接した。正極リード体15は、絶縁板11を挿入したのち、端子体10の下面に抵抗溶接した。この時点で絶縁抵抗を測定し、短絡がないことを確認した。
【0036】
電解液は、0.5M LiClO4 /(PC+DME=1:2)を用いた。すなわちプロピレンカーボネート(PC)とジメトキシエタン(DME)とを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiClO4 を0.5mol/l溶解させたものを電解液とし、これを外装缶2内に3.3±0.1ml注入した。注入は3度に分け、最終工程で減圧にして全量を注入した。電解液の注入後、蓋体8を嵌合・レーザ溶接により封口した。以上により、実施例1に係る非水電解液電池を得た。
【0037】
(後処理:予備放電、エージング)
封口した電池は、1Ωの抵抗で30秒間予備放電し、45℃で24時間保管した後、1Aの低電流で3分間2次予備放電を行った。予備放電後の電池を、室温で7日間エージングし、開路電圧を測定した。
【0038】
《比較例1》 集電体の表面に、導電材であるカーボンペーストを塗布しないこと以外は、実施例1と同様にして電極捲回体を得て、これを外装缶内に装填して比較例1に係る非水電解液電池を得た。
【0039】
《比較例2》 2枚の正極シートと集電体の長さ寸法を56mmに揃え、これら三者をプレス圧着により一体化して正極とした。これを捲回して電極捲回体を作成しようとしたが、捲回することができなかった。
【0040】
上記実施例1および比較例1の非水電解液電池の電池を20℃、10mAで2.0Vまで放電させて、放電容量を測定した。また、1Aの電流で30秒に一回、3秒間パルス放電させた際の終止電圧2Vまでの放電電気量を測定、比較した。
【0041】
上記実施例1および比較例1の電池についての放電容量値とパルス放電電気量の測定値を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例1と比較例1との比較より、集電体にカーボンペーストを塗布しなければ、パルス放電電気量が劣化することがわかる。比較例2より、正極シート20・21と集電体22とが完全に一体化された場合には、電池を構成できないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解液電池の横断平面図である。
【図2】本発明の非水電解液電池の縦断正面図である。
【図3】電極捲回体の作製方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 非水電解液電池
2 外装缶
3 正極
4 負極
5 セパレータ
6 電極捲回体
20 内周側に位置する正極シート
21 外周側に位置する正極シート
22 集電体
S 正極の捲回始端部
E 正極の捲回末端部
Claims (2)
- 上方開口部を有する有底円筒状の外装缶内に、シート状の正極と負極とをセパレータを介して捲回してなる電極捲回体と、非水電解液とを収容してなる円筒形の非水電解液電池であって、
前記電極捲回体は、前記正極の捲回始端部と捲回末端部とで規定される捲回数が1.0周以上、3.0周以下となるように正負極およびセパレータを捲回してなるものであって、全体として略円柱形状に成形されており、
前記正極は、正極活物質を0.5mm以上、2mm以下の厚み寸法を有するシート状に成形してなる2枚の正極シートと、これら正極シートの間に介在された集電体とからなり、かつ、前記2枚の正極シートと前記集電体とが分割されているか、または、前記2枚の正極シートと前記集電体とが、捲回始端部に相当する箇所でのみ固定され、他の箇所では分割されており、
前記集電体の表面に、カーボンペースト、銀ペーストなどの導電材が塗布されていることを特徴とする非水電解液電池。 - 前記集電体が、平織り金網、金属箔、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタルのいずれかである請求項1記載の非水電解液電池。
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