JPWO2023013617A5 - - Google Patents

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JPWO2023013617A5
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本発明は、リチウムを負極に用いた巻回構造の電極体を有する円筒形リチウム一次電池に関する。
IoTの発展に伴い、IoTデバイスの消費電力を抑え、長距離の無線通信を可能にする技術として、近年、LPWA(Low Power Wide Area)が注目されている。LPWAは伝搬特性が高く電力消費が少ないという特長を有するが、ウェアラブル端末やさまざまな設置環境からのデータ送信を想定したものへと適用範囲が拡大していることから、その電源として、設置環境に左右されず安定して電力を供給することのできる高容量な電池の開発が求められている。
このような目的に適合する電池としては、例えば、リチウム一次電池(非水電解液一次電池)を挙げることができ、高容量化とともにその特性向上のための様々な検討が行われている。例えば、特許文献1では、ガスメーター遮断弁や無線通信などの用途に適合できるよう、優れた重負荷パルス放電特性を有する円筒形非水電解液一次電池が開示されている。
特許文献1に記載された電池では、負極は、集電体の片面に連続した1枚の層のみで構成された金属リチウム含有層を有しており、集電体における前記金属リチウム含有層の形成面の面積のうちの85%以上を、前記金属リチウム含有層が覆っており、前記金属リチウム含有層における集電体とは反対側の表面の少なくとも一部にリチウム-アルミニウム合金を形成することにより、重負荷パルス放電特性に優れた円筒形非水電解液一次電池が構成される。
また、負極集電体の表面に2枚の金属リチウム箔を離間して配置して負極を構成した場合には、負極に厚み斑があるため、正極やセパレータと重ね合わせて渦巻状に巻回する際に巻ズレが生じやすく、巻回不良を生じる原因となるのに対し、特許文献1では、1枚の連続した金属リチウム箔のみを負極集電体の表面に配置することで、巻回構造の電極群を形成する際の巻ズレを抑えることができ、電池の生産性を高めることができる。
特開2012-138225号公報
しかしながら、1枚の連続した金属リチウム箔を負極集電体の表面に配置する構成では、正極および負極の活物質層を厚くし単位面積当たりの活物質量を多くすることにより電池の高容量化を行う場合、負極、正極およびセパレータを巻回する際に、巻回芯に挟まれる負極の厚みが厚くなってしまう。このため、巻回芯の厚みと負極の厚みを合わせた巻回中心径が大きくなり、わずかではあるが巻回芯に巻き付けられた電極体の巻回径が大きくなってしまい、外装缶の内径を若干大きくしないと、電極体を外装缶に挿入する際に挿入不良が発生しやすくなるという問題を生じていた。
本発明は、前記の課題を解決するためなされたものであり、巻回された電極体の挿入不良の発生を抑制し、高容量な円筒形リチウム一次電池を提供することを目的とする。
本願の円筒形リチウム一次電池は、正極と、負極とが、セパレータを介して渦巻状に巻回されて構成された電極体を含み、前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体の両側に配置された、二酸化マンガンを正極活物質として含有する正極合剤層とを含み、前記正極合剤層の単位面積当たりの二酸化マンガンの含有量が、前記正極集電体の片面当たり0.205~0.227g/cm2であり、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の片面に積層され、長手方向に6mm以上12mm以下の間隔で分けられた2つのリチウム層とを含み、前記2つのリチウム層は、それぞれ、単位面積当たりのリチウムの含有量が0.014~0.017g/cm2であり、前記負極は、前記2つのリチウム層の間で、かつ一方のリチウム層に近い位置で折り返されており、前記負極集電体が互いに重なり、かつ前記2つのリチウム層の内周側端部がそれぞれ巻回中心部の外方に位置するようにして巻回されていることを特徴とする。
巻回された電極体の挿入不良が生じにくく高容量な円筒形リチウム一次電池を提供することができる。
図1は、実施形態の円筒形リチウム一次電池の一例を模式的に表す縦断面図である。 図2は、図1の円筒形リチウム一次電池の横断面図である。 図3は、実施形態の円筒形リチウム一次電池を構成する巻回構造の電極体の一例を模式的に表す一部断面図である。 図4は、実施形態の円筒形リチウム一次電池を構成する巻回構造の電極体を作製する際に用いる、負極集電体と2枚の金属リチウム箔とセパレータとが一体になった積層体を模式的に表す一部断面図である。 図5は、実施形態の円筒形リチウム一次電池を構成する巻回構造の電極体の作製方法を説明するための図である。 図6は、実施形態の円筒形リチウム一次電池を構成する巻回構造の電極体の作製方法を説明するための図である。
本願の円筒形リチウム一次電池の実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の円筒形リチウム一次電池の一例を模式的に表す縦断面図であり、図2は、図1に示す円筒形リチウム一次電池の横断面図であり、図3は、本実施形態の円筒形リチウム一次電池を構成する巻回構造の電極体の一例を模式的に表す一部断面図である。
図1において、円筒形リチウム一次電池1は、鉄やステンレス鋼などを素材とし、上方開口部を有する有底円筒状の外装缶2と、外装缶2内に装填された正極4と負極5とをセパレータ6を介して渦巻状に巻回してなる電極体3と、非水電解液と、外装缶2の上方開口部を封止する封口体とを有している。言い換えれば、図1の円筒形リチウム一次電池1は、外装缶2と外装缶2の上方開口部を封止する封口体とで囲まれる空間内に、正極4と負極5とがセパレータ6を介して渦巻状に巻回された渦巻構造を有する電極体3や非水電解液といった発電要素を有するものである。
図2には、図1の円筒形リチウム一次電池の横断面図を示している。図2に示すように、電極体3は、長尺の正極4と長尺の負極5とを、セパレータ6を介して巻回してなるものであり、全体として略円柱形状に形成されている。図2に示す円筒形リチウム一次電池1では、正極4は、2枚の正極合剤シート41、42が、正極集電体43を介して積層された構造を有している。すなわち、正極4は、前記2枚の正極合剤シートにより、正極集電体43の両側にそれぞれ正極合剤層41、42を有する構造となっている。
正極合剤層41、42は、それぞれ正極活物質として二酸化マンガンを含有する。正極活物質層には、正極活物質以外に、通常、導電助剤やバインダを含有させる。導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラックなど)などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。バインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂;ゴム系バインダ;などが使用できる。なお、PTFE、PVDFなどのフッ素樹脂の場合、ディスパージョンタイプのものでもよいし、粉末状のものでもよいが、ディスパージョンタイプのものが特に好適である。正極合剤層においては、例えば、正極活物質の含有量が92~97質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が2~4質量%であることが好ましく、バインダの含有量が1~4質量%であることが好ましい。
正極合剤層41、42の単位面積当たりの二酸化マンガンの含有量は、0.205~0.227g/cm2である。すなわち、正極4は、正極集電体43の両側に、単位面積当たりの二酸化マンガンの含有量が0.205~0.227g/cm2に調整された正極合剤層をそれぞれ有する。正極合剤層に含まれる二酸化マンガンの単位面積当たりの含有量を、正極集電体の片面当たりで0.205g/cm2以上とすることにより、正極の長さを比較的短くしても電極の容量を大きくすることができる。このため、セパレータの長さ(容積)を減らして正極および負極の活物質の割合を増やすことができ、電池の高容量化の設計が容易になる。一方、前記二酸化マンガンの含有量を、正極集電体の片面当たりで0.227g/cm2よりも大きくするためには、正極合剤層の空隙率を必要以上に低くするか、あるいは、正極合剤層の厚みを必要以上に厚くする必要がある。前者の場合には、正極合剤層中への電解液の浸透性が低下し、正極の反応性が低下するため電池の負荷特性が低下する。また、後者の場合は、正極合剤層の可撓性が低下して巻回時の不良発生が多くなる。このため、正極合剤層に含まれる二酸化マンガンの単位面積当たりの含有量は、正極集電体の片面当たりで0.227g/cm2以下とする。
正極合剤層の密度は、電池の高容量化のため、2.7g/cm3以上とすることが好ましく、2.8g/cm3以上とすることがより好ましく、2.85g/cm3以上とすることが最も好ましい。一方、非水電解液の浸透性を向上させ放電特性の低下を防ぐため、正極合剤層の密度は、3.1g/cm3以下とすることが好ましく、3.0g/cm3以下とすることがより好ましく、2.95g/cm3以下とすることが最も好ましい。
正極の厚みは、例えば1.5mm以上であり、可撓性を維持するため2mm以下であることが好ましく、1.8mm以下であることがより好ましい。
正極は、例えば、正極活物質に導電助剤やバインダを配合し、必要に応じて水などを添加してなる正極合剤(スラリー)を、ロールなどを用いて圧延するなどして予備シート化し、これを乾燥・粉砕したものを再度ロール圧延などによってシート形状に成形して正極合剤シートとし、これを集電体の両面に重ね、プレスなどにより正極合剤シートと集電体とを一体化して、集電体の両面に正極合剤シートからなる層(正極合剤層)を形成する方法によって製造することができる。
具体的には、例えば、集電体の外周が2枚の正極合剤シートの外周よりも数mm内側にくるようにして三者を重ね合わせ、巻回時に巻回芯側に配置される長手方向の端部から3~10mmの部分をプレスすることで、集電体の両面に正極活物質層を有する正極を製造できる。
なお、正極は、前記の製法により製造されたものに限定されず、他の製法により製造されたものであってもよい。例えば、正極合剤スラリーを集電体の両面に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理などを施して集電体上に正極合剤層を形成する製法により製造された正極でもよい。
正極に用いる集電体としては、例えば、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼や、アルミニウムを素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、箔(板)などが例示できる。正極集電体の厚みは、0.1~0.4mmであることが好ましい。
正極集電体の表面には、ペースト状の導電材を塗布しておくことができる。正極集電体として立体構造を有する網状のものを用いた場合も、金属箔やパンチングメタルなどの本質的に平板からなる材料を用いた場合と同様に、導電材の塗布により集電効果の著しい改善が認められる。これは、網状の集電体の金属部分が正極合剤層と直接的に接触する経路のみならず、網目内に充填された導電材を介しての経路が有効に利用されていることによるものと推測される。
導電材としては、例えば、銀ペーストやカーボンペーストなどを用いることができる。導電材のバインダとしては、正極合剤層中の水分を除去するために200℃を超える高温で乾燥処理することが可能になることから、水ガラスやイミド系のバインダなどの耐熱性の材料を用いることが好ましい。
なお、前記正極合剤層の容量に合わせ、負極の容量も大きくする必要があり、負極の活物質層となるリチウム層は、単位面積当たりのリチウムの含有量が0.014~0.017g/cm2に調整される。
正極の容量と負極の容量との比を一定範囲とするため、前記正極合剤層の単位面積当たりの二酸化マンガンの含有量(正極集電体の片面当たり)に対する、前記リチウム層の単位面積当たりのリチウムの含有量の比の値は、重量比で0.067~0.077であることが好ましい。
ところが、前記のように高容量化された正極は、一定以上の厚み、たとえば1.5mm以上の厚みを有するため、特許文献1のように、1枚の連続した金属リチウム箔を負極集電体の片面に配置した負極を用いる場合、巻回芯に挟まれる負極の厚みが、金属リチウム箔の厚み(例えば、0.3mm程度)の分だけ厚くなる。そのため、若干ではあるが巻回中心径が大きくなり、厚みの厚い正極を用いる場合には、巻回された電極体の巻回径を一定以下に調整することが難しくなる。その結果、外装缶の内径を若干大きくしないと、電極体を外装缶に挿入する際に挿入不良が発生しやすくなり、高容量化を妨げる要因となってしまう。
一方、本実施形態では、以下のように負極を構成することにより、前記問題の解決を図りつつ電池の高容量化を実現することができる。
負極5は、1枚の負極集電体52の片面に、金属リチウム箔で構成された2つのリチウム層51、51が積層された構造を有している。負極集電体には、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼などの箔を用いることができる。負極集電体の厚みはできるだけ薄いことが好ましく、具体的には、例えば、25μm以下であることが推奨される。一方、負極集電体が薄すぎると、破れやすくなるため、負極集電体の厚みは、5μm以上であることが好ましい。また、負極集電体は、その幅がリチウム層を構成する金属リチウム箔の幅と同じか、それよりも広いことが好ましい。また、負極集電体の面積は、リチウム層の面積の100%以上であることが好ましい。負極集電体の面積を前記のようにすることによって、負極集電体の幅および長さが、リチウム層の幅および長さと同じかまたは大きくなるため、たとえ放電途中で金属リチウム箔に亀裂が生じても、電気的接続が断たれることを防ぐことができる。
一方、負極集電体上にリチウム層が積層されていない箇所の割合が大きくなるほど、電池の容量の低下につながるため、負極集電体の面積は、リチウム層の面積の120%以下とすることが好ましい。すなわち、負極集電体に積層させるリチウム層の面積は、負極集電体の面積の83%以上とすることが好ましい。
また、2つのリチウム層51、51のセパレータ側の表面は、それぞれアルミニウムと合金化していてもよく、これにより電池の負荷特性を向上させることができるため、リチウム層の表面にはリチウム-アルミニウム合金が形成されていてもよい。リチウム層のセパレータ側の表面にリチウム-アルミニウム合金を形成する場合には、リチウム層全体の面積の90%以上の部分において、リチウム-アルミニウム合金が形成されていることが好ましい。また、負荷特性の向上効果を高めるためには、リチウム層全体でのリチウムの総量(リチウム-アルミニウム合金中のリチウムも含む)に対するアルミニウムの総量の比を、重量比で0.095以上とすることが好ましい。一方、アルミニウムの割合が多くなるほど負極の放電容量が低下するため、高容量化の観点からは、前記重量比を0.105以下とすることが好ましい。
金属リチウム箔の上にさらにアルミニウム箔を積層した負極を作製し、前記負極を用いて電池の組み立てを行うことにより、電池内でリチウム層の表面にリチウム-アルミニウム合金を形成させることができる。
負極を作製する際に用いる金属リチウム箔の厚みは、例えば0.25~0.35mmであり、アルミニウム箔の厚みは、例えば5~20μmである。2つのリチウム層51、51は、負極集電体52上で、長手方向に6mm以上12mm以下の間隔で分けられた2枚の金属リチウム箔51、51で構成される。すなわち、2つのリチウム層51、51の間には、長手方向(巻回方向)に6mm以上12mm以下の幅で、リチウム層が形成されず負極集電体52が露出する箇所が存在する。
図2に示すように、電極体3においては、1枚の長尺の負極5は2つのリチウム層51、51の間で、かつ一方のリチウム層(正極4の内面側の正極合剤層42と対向するリチウム層)に近い位置、例えば、前記リチウム層の、内周側端部(巻き始め側の端部)からおよそ1mmの位置で、巻回後に抜き取られた巻回芯にほぼ沿うように折り返されており、負極集電体が互いに重なり、かつ2つのリチウム層51、51の内周側端部がそれぞれ巻回中心部18の外方に位置するようにして巻回されている。ここで、巻回中心部18とは、負極の中で、巻回時に巻回芯(例えば、幅:約3mm)に挟まれて巻回される部分をいい、その長さは巻回芯の幅とおよそ同じになる。これにより、巻回芯に挟まれる負極の厚みが、リチウム層を1つの連続体として形成する場合に比べて薄くなるため、巻回される電極体の巻回径を小さくすることができる。また、2つのリチウム層51、51が長手方向に6mm以上離れて配置されていることにより、重ねられた負極集電体のうち内面側の負極集電体において、巻回中心部から正極4の外面側の正極合剤層41に向けて、一定以上の幅でリチウム層が積層されていない部分を形成することができる。リチウム層が積層されていない部分の幅は、巻回中心部から外面側の正極合剤層41までの長さにより適宜調整すればよいが、巻回中心部から2mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましい。
前記内面側の負極集電体において、巻回中心部18と正極4の正極合剤層41の巻き始め側の端部との間の部分は、正極と対向しないため、この部分の負極集電体にリチウム層を積層しないことにより、放電に関わらないリチウムを減らし、放電効率を向上させることができる。更に、負極の巻き始めの部分の厚みが薄くなることにより、巻回される電極体の巻回径をより小さくすることができる。これらの観点から、2つのリチウム層51、51の間隔は、8mm以上とすることが好ましい。
電極体3において、負極5を以上のような構成とすることにより、巻回後の電極体3を外装缶2に挿入する際に挿入不良が生じるのを防ぐことができる。一方、2つのリチウム層51、51の間隔が広くなりすぎると、正極合剤層の巻き始めの部分がリチウム層と対向しなくなり、放電容量が低下するおそれを生じる。前記問題を防ぐため、2つのリチウム層51、51の間隔は12mm以下とし、10mm以下とすることが好ましい。
以上より、2つのリチウム層51、51の間隔は、8mm以上10mm以下とすることが好ましい。
なお、図1および図2では、セパレータ6を単層構造のものとして示したが、本実施形態では、正極の厚みが厚くなるのに伴い、短絡を生じる危険性を考慮する必要が生じる。このため、本実施形態では、図3に示す通り、正極4と負極5との間に挿入するセパレータ6は、多層にすることが好ましく、例えば2枚の樹脂製微多孔フィルム61、62で構成することが好ましい。2枚のセパレータは、樹脂製微多孔フィルムと不織布の組み合わせとすることもできる。
円筒形リチウム一次電池1の封口体は、図1に示されるように、外装缶2の上方開口部の内周縁に固定された蓋板7と、蓋板7の中央部に開設された開口に、ポリプロピレンなどを素材とする絶縁パッキング8を介して装着された端子体9と、蓋板7の下部に配置された絶縁板10とを有している。絶縁板10は、円盤状のベース部11の周縁に環状の側壁12を立設した上向きに開口する丸皿形状に形成されており、ベース部11の中央にはガス通口13が開設されている。蓋板7は、側壁12の上端部に受け止められた状態で、外装缶2の上方開口部の内周縁に、レーザー溶接で固定するか、またはパッキングを介したクリンプシールで固定されている。電池内圧が急激に上昇したときの対策として、蓋板7または外装缶2の底部2aには、薄肉部(ベント)を設けることができる。正極4と端子体9の下面とは、正極リード体15で接続されている。また、負極5に取り付けられた負極リード体16は、外装缶2の上部内面に溶接されている。また、外装缶2の底部2aには、樹脂製の絶縁板14が配置されている。
図1において、端子体9は、図面を見やすくするために断面を示すハッチングを付していない。なお、正極リード体15及び負極リード体16は、図1の断面部から外れた位置に配置されているため、元々断面を示すものではない。
外装缶2の内部に挿入される電極体3は、例えば、図4、図5、図6に示すような手順で作製することができる。なお、図4、図5、図6では、セパレータ6は単層構造で示しており、2枚のセパレータ61、62を区別していない。
まず、図4に示すように、負極集電体52の長手方向の中央部の上面に、接着テープ31とセパレータ6を載置することにより、負極集電体52にセパレータ6を固着させる。接着テープ31には、両面テープを用いることができる。次に、セパレータ6の固着部分を挟んで負極集電体52の長手方向の両側に、2枚の金属リチウム箔51、51を圧着固定する。換言すれば、負極集電体52の片側面に、負極活物質であるリチウム層が形成されず負極集電体52が露出する部分を設け、この露出部分30に接着テープ31によりセパレータ6を固着する。このとき、露出部分30の幅(2枚の金属リチウム箔51、51の長手方向の間隔)は、前述したように6mm以上12mm以下とする。このようにして、負極集電体52と2枚の金属リチウム箔51、51、およびセパレータ6とが一体になった積層体32を得ることができる。
なお、リチウム層の表面にリチウム-アルミニウム合金を形成する場合は、図4中の拡大図に示されるように、金属リチウム箔51aの上にさらにアルミニウム箔51bを積層して前記積層体を構成すればよい。すなわち、図4、図5、図6の単層構造で示されたリチウム層51は、図4中の拡大図で示されるように、金属リチウム箔51aとアルミニウム箔51bとの積層体とすることができる。
次に、図5に示すように、巻回芯33の横割溝35の間に積層体32を挿入する。巻回芯33の横割溝35の幅は、2.8mmである。ここでは、図5における巻回芯33の横割溝35の左側端部と金属リチウム箔51の端部との間隔は、およそ1mmであり、先の露出部分30、つまり接着テープ31によるセパレータ6の固着部分が、巻回芯33の横割溝35の間に来るように位置合わせする。
前記の状態で巻回芯33を一方向(図5では時計まわりの方向)に半周程度回転させて、図6に示すように積層体32を巻回芯33の外周面に巻き付ける。次に、正極合剤シート41、42と正極集電体43とからなる正極4をセパレータ6上に載置して、積層体32と共に、巻回芯33で巻回する。積層体32と正極4とを巻回芯で巻き取ったのち、該巻回芯33を巻回体から抜き取り、最後に金属リチウム箔51の巻回終端部を固定テープで固定する。ここで、負極5は、2枚の金属リチウム箔51、51の間で、かつ一方の金属リチウム箔51から約1mmの位置で折り返されており、負極集電体52が互いに重なり、かつ2枚の金属リチウム箔51、51の内周端部がそれぞれ巻回中心部18の外方に位置するようにして巻回されている。上記負極の折り返し位置は、一方の金属リチウム箔51から例えば1.5mm以内の位置が好ましく、1.0mm以内の位置がより好ましい。このようにして、図2および図6に示すように、巻回芯で挟まれていた露出部分30を巻回中心部18として、正極4と負極5とがセパレータ6を介して巻回された電極体3を得ることができる。
本実施形態の円筒形リチウム一次電池のセパレータには、樹脂製の微多孔フィルムや不織布などが用いられる。セパレータの構成樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル;ポリフェニレンスルフィド(PPS);などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
セパレータの厚みは、微多孔フィルムの場合は、7μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以下であることが好ましく、18μm以下であることがより好ましい。不織布の場合は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、80μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
本実施形態の円筒形リチウム一次電池の非水電解液には、電解質としてLiClO4、LiCF3SO3、LiC25SO3、LiN(FSO22およびLiN(CF3SO22などのリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;1,2-ジメトキシエタン(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、メトキシエトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル;γ-ブチロラクトンなどの環状エステル;ニトリル;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、前記の環状カーボネートとエーテルとを併用することが好ましい。
前記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートが好ましく用いられる。また、エーテルとしては、1,2-ジメトキシエタンが好ましく用いられる。非水電解液中でのリチウム塩の濃度は、良好なリチウムイオン伝導性を確保する観点から、0.3mol/L以上であることが好ましく、0.4mol/L以上であることがより好ましく、1.2mol/L以下であることが好ましく、1.0mol/L以下であることがより好ましい。
本実施形態の円筒形リチウム一次電池を説明するに当たり、図1~図6を参照したが、これらの図面は本実施形態の電池の一例を示すものに過ぎず、本実施形態の電池はこれらの図面に図示したものに限定される訳ではない。
以下、本願で開示する円筒形リチウム一次電池を実施例に基づいて詳細に説明するが、以下の実施例は、本願で開示する円筒形リチウム一次電池を限定するものではない。
(実施例1)
[正極の作製]
まず、以下の手順で正極合剤を調製した。導電助剤としてBET比表面積が800m2/gのケッチェンブラック“EC300J”(商品名):2質量部と正極活物質として平均粒子径が35μmの二酸化マンガン:94.5質量部とを、プラネタリーミキサーを用いて乾式で5分間混合した後、固形分全体の20%(質量比)に相当する量の水を添加して更に5分間混合した。次に、PTFEディスパージョン(ダイキン工業社製「D-1」)をPTFEが3.5質量部となる割合で添加し、最後に、全体の固形分比率が74質量%となるまで水を添加し、更に5分間混合することによって正極合剤を得た。
次に、直径:250mmで温度が125±5℃に調整されたロールにより、前記の正極合剤を圧延してシート状とし、105±5℃の温度環境下で残水分が2質量%以下になるまで乾燥させることにより、予備シートを形成した。更に、前記予備シートを、粉砕機により、粒子径がおよそ0.5mm以下の粉末状になるまで粉砕した後、再度、前記ロールを用いて圧延することにより、厚みが0.79mmで密度が2.89g/cm3の正極合剤シートとした。この正極合剤シートにおける、単位面積当たりの二酸化マンガンの含有量は0.216g/cm2であった。
得られた正極合剤シートを裁断して、幅:42.5mm、長さ:67mmの内面側の正極合剤シート(図2中、正極合剤シート42)と、幅:42.5mm、長さ:76mmの外面側の正極合剤シート(図2中、正極合剤シート41)を得た。
正極集電体には、ステンレス鋼(SUS316)製のエキスパンドメタルを用いた。このエキスパンドメタルを、幅:39mm、長さ:60mmに切断し、長さ方向の中央部に、厚み:0.1mm、幅:3mmのステンレス鋼製のリボンを正極リード体として抵抗溶接により取り付けた。更にこのエキスパンドメタルに、カーボンペースト(日本黒鉛社製)を、網の目をつぶさない程度に塗布した後、105±5℃の温度で乾燥して正極集電体とした。なお、カーボンペーストの塗布量は、乾燥後の塗布量で5mg/cm2となるようにした。
次に、内面側の正極合剤シートと外面側の正極合剤シートとの間に正極集電体を介在させた状態で、長さ方向の一方の端部のみを固定して、それぞれの正極合剤シートと正極集電体とを一体化させた。具体的には、内面側の正極合剤シートと外面側の正極合剤シートを、長さ方向の一方の端部を揃えると共に、正極集電体の端部が、2枚の正極合剤シートの前記端部からはみ出ないようにセットし、その状態で、2枚の正極合剤シートの前記端部から5mmの箇所をプレスにより圧着することで、それぞれの正極合剤シートと正極集電体とを一体化させた。その後、300±10℃で15分間熱風乾燥することにより、厚みが1.6mm、幅が42.5mmのシート状正極を得た。
[負極の作製]
幅:43mm、長さ:173mm、厚み:15μmの銅箔(負極集電体)の上に、幅:42mm、長さ:96mm、厚み:0.29mmの金属リチウム箔と、幅:42mm、長さ:57mm、厚み:0.29mmの金属リチウム箔を、長手方向に9mmの間隔をあけて配置した。更に、前記金属リチウム箔の上に、それぞれ幅:40mm、長さ:96mm、厚み:6μmと、幅:40mm、長さ:57mm、厚み:6μmのアルミニウム箔を重ねて配置することにより、シート状負極を構成した。金属リチウム箔の面積に対するアルミニウム箔の面積の割合は95%であり、金属リチウム箔とアルミニウム箔は、長手方向の両端部と、外装缶に挿入した際に電池の底側となる幅方向の端部で位置合わせをした。また、前記金属リチウム箔には、あらかじめ幅:3mm、長さ:20mm、厚み:0.1mmのニッケル製の負極リード体を圧着した。
このシート状負極において、リチウム層におけるリチウムの含有量は、単位面積当たり0.0155g/cm2であり、リチウム層全体の面積は、負極集電体の面積の95%であり、形成されるリチウム-アルミニウム合金も含め、リチウム層全体に含まれるリチウムの総量に対するアルミニウムの総量の比は、重量比で、0.0995であった。
[電極体の作製]
幅:49mm、長さ:180mm、厚み:16μmのPE製微多孔フィルム(空孔率:46%、透気度:200秒/100mL、突き刺し強度:380g)を2枚重ね合わせてセパレータとして用いた。
図4に示すように、シート状負極の2つの金属リチウム箔の間の銅箔上に接着テープを貼り付けた後、重ね合わされた前記2枚のPE製微多孔フィルムを前記接着テープに貼り付けることにより、シート状負極にセパレータを重ねた積層体を得た。更に、図5、図6に示すように、前記積層体の接着テープが貼り付けられた部分を、2つ割の巻回芯(直径:2.8mm)で挟み、負極をセパレータと共に1周程度巻き込んだ後、更に、正極合剤シートの固定された端部が巻回芯側となるよう正極を載置して巻回し、図2に示す電極体を得た。
なお、巻回時に巻回芯により形成された負極の折り返し箇所と、正極の内面側と対向する金属リチウム箔の内周端部との間隔は、およそ1mmであり、また正極の外面側と対向する金属リチウム箔の内周端部と巻回中心部との間隔はおよそ5mmであり、巻回中心部から正極の外面側の正極合剤層に向けて、負極集電体上におよそ5mmの幅でリチウム層が積層されていない部分が形成されていた。また、巻回に際し、セパレータの幅方向の一方の端部(電池の上側に配置される端部)が、負極の端部(電池の上側に配置される端部)から1.5mm突出するようにセパレータを配置し、正極からはみ出したセパレータの他端部は、正極側に向かって折り曲げ、正極の端面をセパレータで覆うようにした。
[電池の組み立て]
円筒形リチウム一次電池の組み立て工程を、図1を参照して説明する。ニッケルメッキしたステンレス缶からなる有底円筒形の外装缶2の底部2aに、厚み:0.2mmのPP製の絶縁板14を挿入し、その上に電極体3を、正極リード体15が上側を向く姿勢で挿入した。
電極体3の負極リード体16を外装缶2の内面に抵抗溶接し、正極リード体15は、絶縁板10を挿入した後に、端子体9の下面に抵抗溶接した。
電解液には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメトキシエタンとの混合溶媒(体積比で1:1:3)に、LiCF3SO3を0.7mol/Lの濃度で溶解させた非水系の溶液を用意し、これを外装缶2内に3.5mL注入した。注入は3回に分け、最終工程で減圧しつつ全量を注入した。電解液の注入後、蓋板7を外装缶2の上方開口部に嵌合し、レーザー溶接により外装缶2の開口端部の内周部と蓋板7の外周部とを溶接して外装缶2の開口部を封口した。
[予備放電、エージング]
封口後の電池を、1Ωの抵抗で30秒間予備放電し、70℃で6時間保管した後、1Ωの定抵抗で1分間、2次予備放電を行い、シート状負極のセパレータ側表面にリチウム-アルミニウム合金を形成させた。予備放電後の電池を、室温で7日間エージングし、開路電圧を測定して安定電圧が得られていることを確認して、外径:17.0mm、総高:50mmの円筒形リチウム一次電池を得た。
なお、電極体を100個作製して電池の組み立てを行ったが、電極体を外装缶に挿入する際に挿入不良となった電池は確認されなかった。
(実施例2)
幅:43mm、長さ:173mm、厚み:15μmの銅箔(負極集電体)の上に、幅:42mm、長さ:99mm、厚み:0.29mmの金属リチウム箔と、幅:42mm、長さ:57mm、厚み:0.29mmの金属リチウム箔を、長手方向に6mmの間隔をあけて配置した。更に、前記金属リチウム箔の上に、それぞれ幅:40mm、長さ:99mm、厚み:6μmと、幅:40mm、長さ:57mm、厚み:6μmのアルミニウム箔を重ねて配置することにより、シート状負極を構成した。
前記シート状負極を用いた以外は実施例1と同様にして、円筒形リチウム一次電池を組み立てた。
なお、巻回時に巻回芯により形成された負極の折り返し箇所と、正極の内面側と対向する金属リチウム箔の内周端部との間隔は、およそ1mmであり、また正極の外面側と対向する金属リチウム箔の内周端部と巻回中心部との間隔はおよそ2mmであり、巻回中心部から正極の外面側の正極合剤層に向けて、負極集電体上におよそ2mmの幅でリチウム層が積層されていない部分が形成されていた。
実施例1と同様にして、電極体を100個作製して電池の組み立てを行ったが、電極体を外装缶に挿入する際に挿入不良となった電池は確認されなかった。
(比較例1)
幅:43mm、長さ:173mm、厚み:15μmの銅箔の上に、幅:42mm、長さ:162mm、厚み:0.29mmの金属リチウム箔を配置し、更に、前記金属リチウム箔の上に、幅:40mm、長さ:162mm、厚み:6μmのアルミニウム箔を重ねて配置することにより、シート状負極を構成した。
前記シート状負極と、実施例1と同じ2枚のPE製微多孔フィルムを重ね、平面視において、実施例1において巻回芯で挟んだ箇所と同じ位置を巻回芯で挟み、実施例1と同様にして電極体を100個作製して円筒形リチウム一次電池を組み立てた。
なお、電極体を外装缶に挿入する工程において、作製した100個の電極体のうち、17個の電極体において挿入不良が確認された。
巻回された実施例1、実施例2および比較例1の100個の電極体は、それぞれ巻回径にある程度のばらつきを有しているが、実施例1および実施例2で作製した電極体では、巻回径が最大となった電極体においても、外装缶に挿入可能な巻回径の上限値を超えていなかったため、挿入不良を生じることはなかった。
一方、比較例1で作製した電極体では、巻回中心部と、巻回中心部から外方に向けて続く、正極と対向しない負極集電体上にも、連続してリチウム層を存在させたため、電極体の巻回内径が大きくなり、それに伴い、巻回径が外装缶に挿入可能な範囲を超えた電極体も生じてしまい、一定の数の電極体で挿入不良を生じる結果となった。
(比較例2)
2枚の金属リチウム箔を、長手方向に20mmの間隔をあけて配置した以外は、実施例1と同様にしてシート状負極を作製した。以下、実施例1と同様にして円筒形リチウム一次電池を組み立てた。
なお、実施例1と同様に電極体を100個作製して電池の組み立てを行ったが、電極体を外装缶に挿入する際に挿入不良となった電池は確認されなかった。次に、実施例1、実施例2および比較例2の円筒形リチウム一次電池と、比較例1の円筒形リチウム一次電池のうち、組み立て工程で不良とならなかった電池5個ずつについて、20℃で、40mAの電流値で連続放電し、電池電圧が2.0Vになるまでの放電容量を測定した。それぞれの測定値の平均値を表1に示す。
Figure 2023013617000001
負極集電体上に、2つのリチウム層を長手方向に6~12mmの間隔で分けて配置した実施例1、実施例2、およびリチウム層を離間させず、連続するリチウム層を配置した比較例1の円筒形リチウム一次電池では、リチウム層が正極活物質と十分に対向しているため、設計どおりの放電容量が得られた。
一方、前述したように、比較例1の円筒形リチウム一次電池では、巻回中心部と、巻回中心部から外方に向けて続く、正極と対向しない負極集電体上にも、連続してリチウム層を形成したため、巻回径が設計の上限値を超える電極体も生じてしまい、電池の組み立て工程で不良を発生させる結果となった。
また、比較例2の円筒形リチウム一次電池では、2つのリチウム層の間隔を広くしすぎたため、巻回内端側の正極活物質の一部がリチウム層と対向しなくなり、電池の放電容量が低下する結果となった。
なお、実施例1および実施例2では、正極合剤層の単位面積当たりの二酸化マンガンの含有量が、正極集電体の片面当たり0.205~0.227g/cm2の範囲に調整されており、負極のリチウム層のリチウムの含有量も、正極の容量に合わせて、単位面積当たり0.014~0.017g/cm2に調整されていることから、正極合剤層の厚みを厚くしすぎたり、正極合剤層の密度を高くしすぎたりすることなく、電池の高容量化を実現することができた。
一方、正極合剤層の単位面積当たりの二酸化マンガンの含有量が、正極集電体の片面当たり0.227g/cm2を超える場合、正極合剤層中への電解液の浸透性の低下や、正極の可撓性の低下による不良発生などの問題を生じやすくなり、電池の高容量化に支障を生じる結果となる。
本願は、上記以外の形態としても実施が可能である。本願に開示された実施形態は一例であって、これらに限定はされない。本願の範囲は、上述の明細書の記載よりも、添付されている請求の範囲の記載を優先して解釈され、請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更は、請求の範囲に含まれるものである。
1 円筒形リチウム一次電池
2 外装缶
2a 底部
3 電極体
4 正極
5 負極
6 セパレータ
7 蓋板
8 絶縁パッキング
9 端子体
10 絶縁板
11 ベース部
12 側壁
13 ガス通口
14 絶縁板
15 正極リード体
16 負極リード体
18 巻回中心部
30 露出部分
31 接着テープ
32 積層体
33 巻回芯
35 横割溝
41、42 正極合剤シート(正極合剤層)
43 正極集電体
51 リチウム層
51a 金属リチウム箔
51b アルミニウム箔
52 負極集電体
61、62 セパレータ

Claims (7)

  1. 正極と、負極とが、セパレータを介して渦巻状に巻回されて構成された電極体を含む円筒形リチウム一次電池であって、
    前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体の両側に配置された、二酸化マンガンを正極活物質として含有する正極合剤層とを含み、
    前記正極合剤層の単位面積当たりの二酸化マンガンの含有量が、前記正極集電体の片面当たり0.205~0.227g/cm2であり、
    前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の片面に積層され、長手方向に6mm以上12mm以下の間隔で分けられた2つのリチウム層とを含み、
    前記2つのリチウム層は、それぞれ、単位面積当たりのリチウムの含有量が0.014~0.017g/cm2であり、
    前記負極は、前記2つのリチウム層の間で、かつ一方のリチウム層に近い位置で折り返されており、前記負極集電体が互いに重なり、かつ前記2つのリチウム層の内周側端部がそれぞれ巻回中心部の外方に位置するようにして巻回されていることを特徴とする円筒形リチウム一次電池。
  2. 前記負極は、前記2つのリチウム層の間で、かつ一方のリチウム層から1.5mm以内の位置で折り返されている請求項1に記載の円筒形リチウム一次電池。
  3. 前記負極は、重ねられた負極集電体のうち内面側の負極集電体において、巻回中心部から2mm以上の幅でリチウム層が積層されていない部分を有する請求項に記載の円筒形リチウム一次電池。
  4. 前記リチウム層の面積が、前記負極集電体の面積の83%以上である請求項に記載の円筒形リチウム一次電池。
  5. 前記正極合剤層の単位面積当たりの二酸化マンガンの含有量に対する、前記リチウム層の単位面積当たりのリチウムの含有量の比の値が、重量比で0.067~0.077である請求項に記載の円筒形リチウム一次電池。
  6. 前記リチウム層のセパレータ側の表面は、その面積の90%以上の部分において、アルミニウムと合金化してリチウム-アルミニウム合金が形成されている請求項に記載の円筒形リチウム一次電池。
  7. 前記リチウム-アルミニウム合金が形成されたリチウム層に含まれる、リチウムの総量に対するアルミニウムの総量の比が、重量比で0.095~0.105である請求項6に記載の円筒形リチウム一次電池。
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