JP2019160553A - 電極及び蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】短絡を抑制できる電極及びこの電極を備えた蓄電素子を提供することを目的とする。【解決手段】この電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面に形成された活物質層と、前記活物質層の端部に位置する絶縁層と、を備え、前記絶縁層は、前記集電体が延在する面内方向に前記集電体より突出している。【選択図】図1

Description

本発明は、電極及び蓄電素子に関する。
蓄電素子は、携帯電話、ノートパソコン等のモバイル機器やハイブリットカー等の動力源としても広く用いられている。これらの分野の発展と共に、蓄電素子の様々な性能を高めることが求められている。
蓄電素子は、正極と負極とがキャリア及び電子を授受することで動作する。正極と負極とが短絡すると、蓄電素子は正常に動作しなくなる。蓄電素子において、正極と負極との間の短絡を防ぐ方法が求められている。
特許文献1には、正極の一側縁に沿って形成された金属露出部に絶縁層を形成し、絶縁層の側縁が負極活物質層及びセパレータより突出したリチウムイオン二次電池が記載されている。
また特許文献2には、正極活物質層又は負極活物質層の側面が絶縁性部材でコーティングされた非水系二次電池が記載されている。
特開2011−216403号公報 国際公開第98/38688号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の蓄電素子は、集電体の側面が露出している。端部に外力が加わった際に、対向する電極の一部が屈曲し、露出する集電体の側面と接触し、短絡する恐れがある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、短絡を抑制できる電極及びこの電極を備えた蓄電素子を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面に形成された活物質層と、前記活物質層の端部に位置する絶縁層と、を備え、前記絶縁層は、前記集電体が延在する面内方向に前記集電体より突出している。
(2)上記態様にかかる電極において、前記絶縁層の前記集電体に対する突出量が、前記絶縁層の厚みの5倍以下であってもよい。
(3)上記態様にかかる電極において、前記絶縁層の厚みが、前記集電体の厚みの0.02倍以上20倍以下であってもよい。
(4)上記態様にかかる電極において、前記絶縁層の前記集電体に対する突出量が、前記絶縁層の幅の半分以下であってもよい。
(5)上記態様にかかる電極において、前記絶縁層は無機絶縁材料とバインダーとを備え、前記バインダーは、前記活物質層に含まれるバインダーと同一であってもよい。
(6)上記態様にかかる電極において、前記集電体の両面に前記活物質層及び前記絶縁層を備え、前記集電体の第1面側の第1絶縁層と、前記第1面と対向する第2面側の第2絶縁層とが、前記集電体の延在面を境に分離されていてもよい。
(7)第2の態様にかかる蓄電素子は、正極と、前記正極に対向する負極と、これらに含浸された電解液と、を含む蓄電素子であって、前記正極または前記負極が第1の態様にかかる電極である。
上記態様にかかる電極を用いた電極は、蓄電素子の短絡を抑制する。
第1実施形態にかかる電極の断面模式図である。 走査型電子顕微鏡を用いて第1実施形態にかかる電極の端部近傍を測定した断面模式図である。 第2実施形態にかかる蓄電素子の断面模式図である。 第2実施形態にかかる蓄電素子を展開した模式図である。 第1実施形態にかかる電極の作製方法を説明するための模式図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「第1実施形態」
(電極)
図1は、第1実施形態にかかる電極の断面模式図である。図1に示す電極1は、集電体2と活物質層4と絶縁層6とを備える。図1に示す電極1は、蓄電素子の正極として用いられてもよく、負極として用いられてもよく、正極及び負極の両方として用いられてもよい。
[集電体]
集電体2は、導電性の箔である。集電体2は、放電時には活物質層4で発生した電子を外部に出力し、充電時は電子を活物質層4に伝導する。集電体2には、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。集電体2が負極集電体の場合は、リチウムと合金化しにくい銅の金属薄板を用いることが好ましい。
集電体2の厚みt2は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。集電体2が正極集電体の場合は、厚みt2は10μm以上15μm以下であることが好ましく、集電体2が負極集電体の場合は、厚みt2は8μm以上12μm以下であることが好ましい。集電体2の厚みが薄いと集電体2の強度が低下する。集電体2の厚みが厚いと電極1を有する蓄電素子の体積当たりの容量が低下する。
[活物質層]
活物質層4は、集電体2の少なくとも一面に形成されている。図1に示す活物質層4は、集電体2の両面に形成されている。集電体2の両面に活物質層4が存在すると、両面に対向する電極を配置することができ、エネルギー密度の高い蓄電素子を得ることができる。
活物質層4の厚みt4は、蓄電素子に求められる性能に応じて設計される。例えば、活物質層4の厚みは、1μm以上1mm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
活物質層4は活物質を含み、必要に応じて導電助剤、バインダーを含む。
<活物質>
活物質層4が正極活物質層である場合、正極活物質層に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMna2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
活物質層4が負極活物質層である場合、負極活物質は、公知の非水電解液二次電池に用いられる負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属、イオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウム等の金属と化合することのできる金属、SiO(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。
<導電助剤>
導電助剤としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物等を用いることができる。これらの中でも、カーボンブラック等の炭素材料が好ましい。活物質材料のみで十分な導電性を確保できる場合は、導電助剤を含んでいなくてもよい。
<バインダー>
バインダーは、公知のものを用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、が挙げられる。
上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電助剤の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
活物質層4が負極活物質層の場合は、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
正極活物質層における正極活物質の構成比率は、質量比で80%以上90%以下であることが好ましい。また正極活物質層における導電助剤の構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましく、正極活物質層におけるバインダーの構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましい。
負極活物質層における負極活物質の構成比率は、質量比で70%以上99%以下であることが好ましく、90%以上98%以下であることがより好ましい。また負極活物質層における導電助剤の構成比率は、質量比で0%以上20%以下であることが好ましく、負極活物質層におけるバインダーの構成比率は、質量比で1%以上30%以下であることが好ましい。
活物質層4における活物質とバインダーの含有量が上記範囲であれば、活物質層の強度を保ちつつ、エネルギー密度の高い蓄電素子を得ることができる。
[絶縁層]
絶縁層6は、活物質層4の端部に位置する。絶縁層6が活物質層4の端部を覆うことで、蓄電素子において他の電極と短絡を抑制する。
絶縁層6は、活物質層4を平面視した際に、少なくとも一辺に形成されていればよく、4辺すべてに形成されていてもよい。絶縁層6は、端子が接続される側の辺に少なくとも形成されていることが好ましい。端子は電極1の側面から突出しており、他の電極と接触しやすい。端子が接続された辺の絶縁性を高めることでより短絡を防ぐことができる。
図2は、走査型電子顕微鏡を用いて第1実施形態にかかる電極の端部近傍を測定した断面模式図である。図2に示すように、絶縁層6は、集電体2が延在する面内方向に集電体2より突出している。絶縁層6が集電体2より突出していると、他の導体は電極1の端部においてまず絶縁層6と接触し、集電体2と他の導体とが電気的に接続されることを抑制する。蓄電素子においては、他の導体が他の電極にあたり、他の電極との短絡が抑制される。
絶縁層6の厚みt6は、活物質層4の厚みt4以下であることが好ましく、集電体2の厚みt2の0.02倍以上20倍以下であることがより好ましく、0.1倍以上10倍以下であることがさらに好ましく、0.5倍以上2.5倍以下であることが特に好ましい。具体的には、絶縁層6の厚みt6は、1μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以下50μm以下であることが好ましい。
活物質層4は製造時に圧延される場合があり、絶縁層6の厚みt6が活物質層4より厚いと、圧延時に用いるカレンダーロールの傷、破損の原因となりうる。また絶縁層6の厚みが厚すぎると曲げ等の形状変化に対応しにくくなり、絶縁層6の厚みが薄すぎると突出部が破損しやすくなる。
絶縁層6の幅d6は、蓄電素子において後述するセパレータの厚みの半分以下であることが好ましい。絶縁層6の幅d6は、具体的には、5μm以上10mm以下であることが好ましく、0.5mm以上2mm以下であることが好ましい。
蓄電素子において短絡は、隣接する電極が電極1における活物質層4又は集電体2と接触することで生じる。絶縁層6の幅d6が狭いと、隣接する電極と活物質層4とが電気的に接続する可能性が高まる。これに対し、絶縁層6の幅d6が広いと、発電に寄与しない部分の面積が大きくなり、体積当たり又は重量当たりの容量が低下する。
絶縁層6の集電体2に対する突出量dは、絶縁層6の厚みt6の5倍以下であることが好ましく、絶縁層6の厚みt6の2倍以下であることより好ましい。また絶縁層の集電体2に対する突出量dは、絶縁層6の幅d6の半分以下であることが好ましい。絶縁層6の突出量dが大きすぎると、外力等が加わった際に突出部が破損したり、絶縁層6が剥離する可能性が高まる。また絶縁層6の突出量dが大きすぎると、発電に寄与しない部分の面積が大きくなり、体積当たり又は重量当たりの容量が低下する。
図2に示すように絶縁層6の端部6aは、湾曲していることが好ましい。絶縁層6の突出部に局所的に強い外力が加わることを抑制し、突出部の破損を抑制できる。
また図2に示すように、集電体2の第1面2a側の第1絶縁層6Aと、第1面2aと対向する第2面2b側の第2絶縁層6Bとが、集電体2の延在面を境に分離されていてもよい。第1絶縁層6Aと第2絶縁層6Bとの間に空間があると、電極1に外力が加わった際に、第1絶縁層6A及び第2絶縁層6Bが動くことができ、第1絶縁層6A及び第2絶縁層6Bの破損を抑制できる。
絶縁層6は、絶縁性を有する材料により構成される。例えば、上述のバインダーと同様のもの、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ゴム等を用いることができる。絶縁層6は、バインダーに無機絶縁材料が混合されたものであることが好ましい。無機絶縁材料を混合することで、絶縁層6の強度を高めることができる。
バインダーは、上記の活物質層に用いられるバインダーと同種であることが好ましく、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いることが特に好ましい。
無機絶縁材料は、酸化物を用いることができる。具体的には、酸化アルミニウム(Al)、ベーマイト(AlOOH)、炭化カルシウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等を用いることができる。ベーマイト(AlOOH)は、安価、塗料の粘度管理が容易、粒子の粒度が均一である、絶縁層6の硬度を適度に調整できる等の特徴を有し、絶縁層6に好適に用いることができる。
無機絶縁材料の粒子径は絶縁層6の厚み以下であり、直径0.05μm以上30μm以下であることが好ましく、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。無機絶縁材料の粒子径が当該範囲であれば、絶縁層6を塗工する際の塗膜の粘度を調整しやすい。
絶縁層6におけるバインダーの混合比は、活物質層4におけるバインダーの混合比より高いことが好ましい。絶縁層6におけるバインダーの混合比は、絶縁層6の0.1%以上20%以下であることが好ましく、5%以上15%以下であることがより好ましい。バインダーの混合比及びバインダーの種類によって絶縁層の強度を調整できる。バインダーの強度を確保することで、外力による突出部の破損を抑制できる。絶縁層6におけるバインダーの混合比が15%を超えると、絶縁層6への強度はあまり変化しなくなる。
上述のように、本実施形態にかかる電極は絶縁層を有し、絶縁層が面内方向に集電体より突出している。絶縁層が導電性を有する活物質層4の側面を覆い、集電体の端部に覆いかぶさることで、電極端部からの短絡を抑制できる。
「第2実施形態」
(蓄電素子)
図3は、第2実施形態にかかる蓄電素子100の断面模式図である。図3は、端子が延在する方向と直交する面で蓄電素子100を切断した断面である。図3に示す蓄電素子100は、発電部40と外装体50とを備える。発電部40には電解液が含浸されている。外装体50は、電解液が外部に漏洩すること、及び、外部の空気及び水分が発電部40に至ることを防ぐ。
[発電部]
発電部40は、正極10と負極20とセパレータ30とを有する。発電部40は、正極10と負極20との間にセパレータ30を挟んで、巻回された捲回体である。発電部40は、正極10と負極20とがセパレータ30を挟んで交互に積層された積層体でもよい。
正極10と負極20の少なくとも一方には、第1実施形態にかかる電極を用いることができる。以下、正極10が第1実施形態にかかる電極の場合について例示して説明する。図4は、第2実施形態にかかる蓄電素子を展開した模式図である。図4に示すように、発電部40は、負極20、セパレータ30、正極10、セパレータ30の順に積層された積層体が第1端部を軸に巻回されている。
<正極>
正極10は、正極集電体と、正極集電体上に設けられた正極活物質層14と、正極活物質層14の端部に位置する絶縁層16とを備える。正極10の正極集電体には、正極端子15が接続されている。具体的な正極集電体、正極活物質層、及び絶縁層は、上述した通りである。
<負極>
負極20は、負極集電体と、負極集電体の上に設けられた負極活物質層とを有する。負極20の負極集電体には、負極端子25が接続されている。具体的な負極集電体及び負極活物質層は、上述した通りである。
<セパレータ>
セパレータ30は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
発電部40の巻軸方向には、正極端子15及び負極端子25が延在する。正極端子15及び負極端子25の一端を外装体50の外部に引き出す際に、正極端子15及び負極端子25は延在方向と直交する力に外力を受ける。正極端子15及び負極端子25は、外力が加えられた方向に変形し、巻回された正極10又は負極20と近接する。本実施形態にかかる蓄電素子100は、絶縁層16を備える正極10を有するため、正極端子15又は負極端子25が、巻回された正極10又は負極20と短絡することが防止される。
[外装体]
外装体50は、その内部に発電部40及び電解液を密封するものである。外装体50は、電解液の外部への漏出や、外部からの電池内部への水分等の侵入等を抑止するものである。
外装体50は、例えば金属層の両面を樹脂層で被覆したものを用いることができる。発電部40側の樹脂層には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを使用できる。金属層には、アルミニウム、ステンレス等を使用できる。外表面側の樹脂層には、融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等を使用できる。
[電解液]
電解液は、発電部40内に含浸される。電解液には、リチウム塩等を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する非水系電解質溶液)を使用することができる。
非水電解質溶液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、電離度の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解質溶液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
[蓄電素子の作製方法]
図3に示す蓄電素子の製造方法の具体例について説明する。まず絶縁層16を備える正極10を作製する。図5は、第1実施形態にかかる電極の作製方法を説明するための模式図である。
正極活物質、バインダー及び溶媒を混合して、正極活物質層14となる正極塗料を作製する。必要に応じ導電助剤を更に加えても良い。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。正極活物質、導電助剤、バインダーの構成比率は、質量比で80wt%〜90wt%:0.1wt%〜10wt%:0.1wt%〜10wt%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
また無機絶縁材料、バインダー及び溶媒を混合して、絶縁層16となる絶縁塗料を作製する。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。無機絶縁材料、バインダーの構成比率は、質量比で80wt%〜99.9wt%:0.1wt%〜20wt%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
上記正極塗料及び絶縁塗料を、正極集電体12に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法、インクジェット法が挙げられる。絶縁塗料は正極塗料の外側になるように塗り分ける。
次いで、正極集電体12上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体12を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させる。最後に必要に応じて圧延する。そして、正極集電体12上に、正極活物質層14及び絶縁層16が積層された積層体18が得られる。
次いで、積層体18を図5に示す点線に沿ってカットする。点線に沿うカットは、レーザーを用いて行う。レーザーの種類は特に問わず、ファイバーレーザー、YAG(イットリウム・アルミニウム、ガーネット)レーザー、YVO4(イットリウム・四酸化バナジウム)レーザー等を用いることができる。
絶縁層16と正極集電体12とはレーザーの吸収率が異なる。レーザーが照射された部分における正極集電体12は蒸発し、絶縁層16はそのまま残る。その結果、図2に示すように、正極集電体12が延在する面内方向に絶縁層16が正極集電体12より突出する。
このような工程を経ることで、第1実施形態にかかる電極(正極)が作製される。ここでは簡便に作製できるレーザーを用いた方法について説明したが、第1実施形態にかかる電極の製造方法は当該方法に限られるものではない。
例えば、積層体18を図5に示す点線に沿ってシャーカット又は打ち抜きで切り出し、その端部をエッチングすることで、絶縁層を集電体より突出させてもよい。また例えば、積層体18を図5に示す点線に沿ってシャーカット又は打ち抜きで、端部における集電体の露出面をマスクしたのち、絶縁層を気相で積層してもよい。
次いで負極20を作製する。負極20は、正極10と活物質となる物質が異なるだけであり、同様の製造方法で作製できる。負極20が絶縁層を有さない場合は、絶縁塗料を塗布せずに、負極塗料のみを負極集電体上に塗布する。
準備した正極10、負極20及びセパレータ30を、図4に示すように負極20、セパレータ30、正極10、セパレータ30の順に積層し、一端側を軸として、これらを捲回する。
最後に、作製した発電部40を外装体50に封入し、電解液を外装体50内に注入する。このような工程を経ることで、第2実施形態にかかる蓄電素子100が得られる。
上述のように、第2実施形態にかかる蓄電素子100は、第1実施形態にかかる電極1を備えるため、短絡を抑制できる。
以上、本実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
「実施例1」
(正極の作製)
正極活物質には、コバルト酸リチウム(LiCoO)を用いた。この正極活物質を1.90質量部と、アセチレンブラックを5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5質量部と、をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、正極塗料を作製した。
また直径2μmのベーマイト(AlOOH)とPVDFとを88:12の混合比で混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、絶縁塗料を作製した。
作製した正極塗料と絶縁塗料とを厚み15μmのアルミニウム箔の両面に塗工し、温度140℃で30分間乾燥した。
次に、ロールプレス装置を用いて線圧1000kgf/cmでプレス処理し、正極のロールを得た。そして、正極のロールから図5に示すようにレーザーで正極を切り出した。レーザーは、エス・ピー・アイーレーザーズ社製のファイバーレーザー(EPZ1060−100)を用いた。レーザーの条件は、出力80W、出力波長1063nm、パルス幅15nsec、繰り返し周波数500kHz、ビーム径30μm、加工速度0.5m/secとした。
レーザーで切り出された正極の端部は図1に示す形状となった。絶縁層の厚みt6は10μm、絶縁層の突出量dは20μm、絶縁層の幅d6は800μm、活物質層の厚みt4は70μmであった。
(負極の作製)
天然黒鉛粉末(負極活物質)を90質量部と、PVDFを10質量部とを、NMP中に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗工した。その後温度140℃で30分間減圧乾燥した。
次いで、ロールプレス装置を用いてプレス処理することにより、負極ロールを得た。負極ロールから一端側に10mm角のタブ溶接箇所を有する負極を切り出した。
(セパレータの準備)
膜厚20μmのポリエチレン微多孔膜(空孔率:40%、シャットダウン温度:134℃)を用意した。このセパレータを長さ81mm、幅72mmに切り出した。
(発電部の作製)
図4に示すように、正極、セパレータ、負極、セパレータを順に積層し、一端を軸に巻回した。
(非水電解液)
電解質としてエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lとなるように溶解させた非水電解質溶液を用意した。混合溶媒におけるECとDECとの体積比は、EC:DEC=30:70とした。
(電池の作製)
発電部を非水電解液と共にアルミラミネートに封入し、実施例1の電池セルを作製した。
「実施例2〜8」
実施例2〜8は、正極集電体の厚みt2、絶縁層の厚みt6、絶縁層の突出量dを変更した点が実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同様にした。正極集電体の厚みt2は、準備する正極集電体を変えることで変更した。絶縁層の厚みt6は、絶縁塗料の塗工量を変えることで変更した。絶縁層の突出量dは、レーザーの照射範囲を変えることで変更した。
「比較例1」
正極ロールから正極を切り出す際に、レーザーを用いずにシャーカットを用いた点が実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同様にした。シャーカットは切断面が揃うため、絶縁層の突出量dは0であった。
(K−Value歩留まり測定)
実施例及び比較例で作製したリチウムイオン二次電池について、K−Value歩留まり測定を行った。まず25℃の環境下で0.5Cで3.9Vまで定電流定電圧で充電した。ついで、充電したサンプルを60時間放置した。そして、放置後の充電電圧降下が、0.024mV/h以上、すなわち0.024mV/h×60h=1.44mV以上となったサンプルを不良品として歩留まりをもとめた。K−Value歩留まりは、500サンプルの試験結果であり、良品率として示す。その結果を表1にまとめた。
1 電極
2 集電体
2a 第1面
2b 第2面
4 活物質層
6 絶縁層
6a 端部
6A 第1絶縁層
6B 第2絶縁層
10 正極
12 正極集電体
14 正極活物質層
15 正極端子
16 絶縁層
18 積層体
20 負極
25 負極端子
30 セパレータ
40 発電部
50 外装体
100 蓄電素子

Claims (7)

  1. 集電体と、
    前記集電体の少なくとも一面に形成された活物質層と、
    前記活物質層の端部に位置する絶縁層と、を備え、
    前記絶縁層は、前記集電体が延在する面内方向に前記集電体より突出している、電極。
  2. 前記絶縁層の前記集電体に対する突出量が、前記絶縁層の厚みの5倍以下である、請求項1に記載の電極。
  3. 前記絶縁層の厚みが、前記集電体の厚みの0.02倍以上20倍以下である、請求項1または2に記載の電極。
  4. 前記絶縁層の前記集電体に対する突出量が、前記絶縁層の幅の半分以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の電極。
  5. 前記絶縁層は無機絶縁材料とバインダーとを備え、
    前記バインダーは、前記活物質層に含まれるバインダーと同一である、請求項1から4のいずれか一項に記載の電極。
  6. 前記集電体の両面に前記活物質層及び前記絶縁層を備え、
    前記集電体の第1面側の第1絶縁層と、前記第1面と対向する第2面側の第2絶縁層とが、前記集電体の延在面を境に分離されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電極。
  7. 正極と、前記正極に対向する負極と、これらに含浸された電解液と、を含む蓄電素子であって、
    前記正極または前記負極が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電極である、蓄電素子。
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