本発明は、圃場内で自律走行・自律作業される1台又は複数台の作業車両により、圃場内における農作業の全部又は一部を実行させる自律走行・自律作業システムに関する。本実施形態では作業車両としてトラクタを例に説明するが、作業車両としては、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等、乗用型作業機に加え、歩行型作業機も含まれる。本明細書において自律走行とは、トラクタが備える制御部(ECU)によりトラクタが備える走行に関する構成が制御されて予め定められた経路に沿ってトラクタが走行することを意味し、自律作業とは、トラクタが備える制御部によりトラクタが備える作業に関する構成が制御されて予め定められた経路に沿ってトラクタが作業を行うことを意味する。
以下の説明で自律走行・自律作業されるトラクタを「無人(の)トラクタ」又は「ロボットトラクタ」と称することがあり、手動走行・手動作業されるトラクタを「有人(の)トラクタ」と称することがある。圃場内において農作業の一部が無人トラクタにより実行される場合、残りの農作業は有人トラクタにより実行される。単一の圃場における農作業を、無人トラクタ及び有人トラクタで実行することを、農作業の協調作業、追従作業、随伴作業などと称することがある。本明細書において無人トラクタと有人トラクタの違いは、ユーザによる操作の有無であり、各構成は共通であるものとする。即ち、無人トラクタであってもユーザが搭乗(乗車)して操作することが可能であり(即ち有人トラクタとして使用することができ)、或いは有人トラクタであってもユーザが降車して自律走行、自律作業させることが可能である(即ち無人トラクタとして使用することができる)。なお、農作業の協調作業としては、「単一圃場における農作業を、無人車両及び有人車両で実行すること」に加え、「隣接する圃場等の異なる圃場における農作業を同時期に無人車両及び有人車両で実行すること」が含まれてもよい。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る作業車両用経路生成システム99に備えられるロボットトラクタ1の全体的な構成を示す側面図である。図2は、ロボットトラクタ1の平面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る作業車両用経路生成システム99に備えられる無線通信端末46を示す図である。図4は、ロボットトラクタ1及び無線通信端末46の制御系の主要な構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施の一形態に係る作業車両用経路生成システム99は、トラクタ1の走行及び作業を制御する制御部(車両制御装置)4と、当該制御部4と無線通信することによりトラクタ1に対して自律走行・自律作業に関する所定の制御信号(自律走行・自律作業の経路に関する信号や自律走行・自律作業の開始信号、停止信号、終了信号等)を出力する無線通信端末46と、を備えて構成される。
初めに、本発明に係る作業車両用経路生成システム99に備えられる作業車両の実施の一形態であるロボットトラクタ(以下、単に「トラクタ」と称する場合がある。)1について、主として図1及び図2を参照して説明する。
トラクタ1は、圃場領域内を自律走行する車体部としての走行機体2を備える。走行機体2には、図1及び図2に示す作業機3が着脱可能に取り付けられている。この作業機3としては、例えば、耕耘機、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等の種々の作業機があり、これらの中から必要に応じて所望の作業機3を選択して走行機体2に装着することができる。走行機体2は、装着された作業機3の高さ及び姿勢を変更可能に構成されている。
トラクタ1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。トラクタ1の走行機体2は、図1に示すように、その前部が左右1対の前輪7,7で支持され、その後部が左右1対の後輪8,8で支持されている。
走行機体2の前部にはボンネット9が配置されている。このボンネット9内にはトラクタ1の駆動源であるエンジン10や燃料タンク(不図示)等が収容されている。このエンジン10は、例えばディーゼルエンジンにより構成することができるが、これに限るものではなく、例えばガソリンエンジンにより構成しても良い。また、駆動源としてエンジン10に加えて、又は、代えて電気モータを採用してもよい。
ボンネット9の後方には、ユーザが搭乗するためのキャビン11が配置されている。このキャビン11の内部には、ユーザが操向操作するための(ステアリング)ハンドル12と、ユーザが着座可能な座席13と、各種の操作を行うための様々な操作装置と、が主として設けられている。ただし、作業車両は、キャビン11付きのものに限るものではなく、キャビン11を備えないものであってもよい。
上記の操作装置としては、図2に示すモニタ装置14、スロットルレバー15、PTOスイッチ17、PTO変速レバー18、及び複数の油圧変速レバー16等を例として挙げることができる。これらの操作装置は、座席13の近傍、又はハンドル12の近傍に配置されている。モニタ装置14は、トラクタ1の様々な情報を表示可能に構成されている。スロットルレバー15は、エンジン10の回転速度を設定するためのものである。PTOスイッチ17は、トランスミッション22の後端から突出した図略のPTO軸(動力取出軸)への動力の伝達/遮断を切換操作するためのものである。即ち、PTOスイッチがON状態であるときPTO軸に動力が伝達されてPTO軸が回転し、作業機3が駆動される一方、PTOスイッチがOFF状態であるときPTO軸への動力が遮断されてPTO軸が回転せず、作業機3が停止される。PTO変速レバー18は、作業機3に入力される動力の変更操作を行うものであり、具体的にはPTO軸の回転速度の変速操作を行うものである。油圧変速レバー16は、図略の油圧外部取出バルブを切換操作することができる。
また、座席13の右側に配置されたアームレスト19の前部には、主変速レバー27、作業機昇降スイッチ28等の操作装置が設けられている。
主変速レバー27はトラクタ1の走行速度を変更するためのものであり、主変速レバー27を前方に倒すと走行速度が速くなり、後方に倒すと走行速度が遅くなるように構成されている。この主変速レバー27は無段階の操作が可能に構成されており、トラクタ1の走行速度は主変速レバー27の操作量に応じて無段階に変速される。
作業機昇降スイッチ28は、主変速レバー27に設けられた上下操作可能な電気スイッチとして構成されており、作業機3を上昇及び下降させるときに使用される。作業機3がロータリ耕耘装置として構成される場合、これにより、作業機3を下降させて作業機3が備える耕耘爪25による耕耘作業を開始させたり、上昇させて耕耘作業を終了させたりすることができる。なお、本実施形態において作業機3はロータリ耕耘装置として構成されることとする。
図1に示すように、走行機体2の下部には、トラクタ1のシャーシ20が設けられている。当該シャーシ20は、機体フレーム21、トランスミッション22、フロントアクスル23、及びリアアクスル24等から構成されている。
機体フレーム21は、トラクタ1の前部における支持部材であって、直接、又は防振部材等を介してエンジン10を支持している。トランスミッション22は、エンジン10からの動力を変化させてフロントアクスル23及びリアアクスル24に伝達する。フロントアクスル23は、トランスミッション22から入力された動力を前輪7に伝達するように構成されている。リアアクスル24は、トランスミッション22から入力された動力を後輪8に伝達するように構成されている。
図3に示すように、トラクタ1は、走行機体2の動作(前進、後進、停止及び旋回等)並びに作業機3の動作(昇降、駆動及び停止等)を制御するための制御部4を備える。制御部4はコンピュータとして構成されており、CPU、ROM、RAM等を備えている。この制御部4には、ガバナ装置41、変速装置42、及び昇降アクチュエータ44等がそれぞれ電気的に接続されている。
ガバナ装置41は、エンジン10の回転数を調整するものである。ガバナ装置41を制御部4により制御してラック位置を適宜に調整することにより、エンジン10の回転数を所望の回転数にすることができる。
変速装置42は、具体的には例えば可動斜板式の油圧式無段変速装置であり、トランスミッション22に備えられている。変速装置42を制御部4により制御して図略の前記斜板の角度を適宜に調整することにより、トランスミッション22の変速比を所望の変速比にすることができる。
昇降アクチュエータ44は、例えば作業機3を走行機体2に連結している3点リンク機構を動作させることにより、作業機3を退避位置(農作業を行わない位置)又は作業位置(農作業を行う位置)の何れかに上げ下げするものである。なお、本実施形態において作業機3による農作業は耕耘作業を意味する。昇降アクチュエータ44を制御部4により制御して作業機3を適宜に昇降動作させることにより、所望の高さで作業機3により農作業を行うことができる。
以上のような制御部4を備えるトラクタ1は、ユーザがキャビン11内に搭乗して各種操作をすることにより、当該制御部4によりトラクタ1の各部(走行機体2、作業機3等)を制御して、圃場内を走行しながら農作業を行うことができるように構成されている。加えて、本実施形態のトラクタ1は、ユーザがトラクタ1に搭乗しなくても、無線通信端末46により出力される所定の制御信号に基づいて自律走行及び自律作業させることが可能となっている。
具体的には、図4等に示すように、トラクタ1は、自律走行及び自律作業を可能とするための各種の構成を備えている。例えば、トラクタ1は、測位システムに基づいて自ら(の走行機体2)の位置情報を取得するために必要な測位用アンテナ6等の構成を備えている。このような構成により、トラクタ1は、測位システムに基づいて自らの位置情報を取得して、圃場上を自律走行及び自律作業することが可能となっている。
次に、自律走行・自律作業を可能とするためにトラクタ1が備える構成について詳細に説明する。具体的には、本実施形態のトラクタ1は、図1及び図4に示すように、操舵アクチュエータ43、測位用アンテナ6、無線通信用アンテナ48、前方カメラ51、後方カメラ52、車速センサ53、及び燃料残量センサ54等を備える。また、これらに加えて、トラクタ1には、走行機体2の姿勢(ロール角、ピッチ角、ヨー角)を特定することが可能な慣性計測ユニット(IMU)が備えられていてもよい。
図4に示す操舵アクチュエータ43は、例えば、ハンドル12の回転軸(ステアリングシャフト)の中途部に設けられ、ハンドル12の回転角度(操舵角)を調整するものである。トラクタ1が無人トラクタとして予め定められた経路を走行する場合、制御部4は、当該経路に沿ってトラクタ1が走行されるようハンドル12の適切な回動角度を算出し、算出した回動角度にてハンドル12が回動されるように操舵アクチュエータ43を制御する。
測位用アンテナ6は、例えば衛星測位システム(GNSS)等の測位システムを構成する測位衛星からの信号を受信するものである。図1に示すように、測位用アンテナ6は、トラクタ1のキャビン11のルーフ92の上面に配置されている。測位用アンテナ6で受信された測位信号は、図3に示す位置情報算出部49に入力されて、当該位置情報算出部49でトラクタ1(厳密には、測位用アンテナ6)の位置情報が、例えば緯度・経度情報として算出される。当該位置情報算出部49で算出された位置情報は、制御部4に入力されて、自律走行に利用される。
なお本実施形態ではGNSS−RTK法を利用した高精度の衛星測位システムを利用しているが、これに限られるものではなく、高精度の位置座標が得られる限りにおいて他の測位システムを用いてもよい。例えば、相対測位方式(DGPS)、静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)などにおいて高精度の位置座標が得られれば、これらを用いることが可能である。
無線通信用アンテナ48は、ユーザが操作する無線通信端末46からの信号を受信したり、無線通信端末46への信号を送信したりするものである。図1に示すように、無線通信用アンテナ48は、トラクタ1のキャビン11のルーフ92の上面に配置されている。無線通信用アンテナ48で受信した無線通信端末46からの信号は、図4に示す無線通信部40で信号処理され、制御部4に入力される。また、制御部4から無線通信端末46に送信する信号は、無線通信部40で信号処理された後、無線通信用アンテナ48から送信されて無線通信端末46で受信される。
前方カメラ51はトラクタ1の前方を撮影するものである。後方カメラ52はトラクタ1の後方を撮影するものである。前方カメラ51及び後方カメラ52で撮影された動画データは、無線通信部40で信号処理された後、無線通信用アンテナ48から無線通信端末46に送信される。無線通信端末46は、受信した動画データに基づく動画をディスプレイ37に表示することができる。
車速センサ53は、トラクタ1の車速を検出するものであり、例えば前輪7,7の間の車軸に設けられる。燃料残量センサ54は、ボンネット9内に搭載される図略の燃料タンク内の燃料の残量を検出するものであり、当該燃料タンクに設けられる。車速センサ53及び燃料残量センサ54で得られた検出結果は、無線通信部40で信号処理された後、無線通信用アンテナ48から無線通信端末46に送信される。無線通信端末46は、受信した検出結果をディスプレイ37に表示することができる。
無線通信端末46は、図3に示すように、タッチパネル39を備えるタブレット型のパーソナルコンピュータとして構成される。ユーザは、無線通信端末46のディスプレイ37に表示された情報(例えば、前方カメラ51、後方カメラ52、車速センサ53、及び燃料残量センサ54等からの情報)を参照して確認することができる。また、ユーザは、上記のタッチパネル39、又はディスプレイ37の近傍に配置されたハードウェアキー38等を操作して、トラクタ1の制御部4に、トラクタ1を制御するための制御信号(例えば、緊急停止信号等)を送信することができる。なお、無線通信端末46はタブレット型のパーソナルコンピュータに限るものではなく、これに代えて、例えばノート型のパーソナルコンピュータで構成することも可能である。あるいは、図10に示すように有人のトラクタ1xを無人のトラクタ1に随伴して走行させる場合、有人側のトラクタ1xに搭載されるモニタ装置46xを無線通信端末とすることもできる。図10は、無人のロボットトラクタ1に有人のトラクタを協調作業させる様子を示す図である。
このように構成されたトラクタ1は、無線通信端末46を用いるユーザの指示に基づいて、圃場上の経路に沿って走行しつつ、作業機3による農作業を行うことができる。
具体的には、ユーザは、無線通信端末46を用いて各種設定を行うことにより、農作業を行う作業経路と、当該農作業経路の端同士を繋ぐ円弧状の旋回路(トラクタ1が旋回を行う旋回路)と、を交互に繋いだ一連の経路としての作業経路(パス)を生成することが可能である。そして、このようにして生成した作業経路の情報を車両制御装置としての制御部4に入力して所定の操作をすることにより、当該制御部4によりトラクタ1を制御して、当該トラクタ1を作業経路に沿って自律的に走行させながら作業機3により農作業をさせることが可能である。
以下では、図3から図9までを参照して、本発明の実施の一形態に係る作業車両用経路生成システム99に備えられる無線通信端末46の構成についてより詳細に説明する。図5は、無線通信端末46のディスプレイ37における入力選択画面60の表示例を示す図である。図6は、無線通信端末46のディスプレイ37における作業車両情報入力画面70の表示例を示す図である。図7は、無線通信端末46のディスプレイ37における走行領域情報入力画面80の表示例を示す図である。図8は、無線通信端末46のディスプレイ37における作業態様情報入力画面90の表示例を示す図である。図9は、無線通信端末46のディスプレイ37における自律走行監視画面100の表示例を示す図である。
図3及び図4に示すように、本実施形態の無線通信端末46は、ディスプレイ37、ハードウェアキー38、及びタッチパネル39の他、主要な構成として、表示制御部31、圃場形状取得部33、作業領域取得部34、作業経路取得部35、及び記憶部32を備える。
具体的には、上述のとおり無線通信端末46はコンピュータとして構成されており、図示しないCPU、ROM、RAM等を備えている。また、この無線通信端末46には、トラクタ1を制御するための制御アプリケーションが予めインストールされている。そして、上記したハードウェア及びソフトウェアの協働により、無線通信端末46を、表示制御部31、圃場形状取得部33、作業領域取得部34、作業経路取得部35、及び記憶部32等として動作させることができる。
表示制御部31は、ディスプレイ37に表示する表示用データを作成し、表示画面を適宜に切り換える制御を行うものである。表示制御部31は、図5に示す初期画面(メニュー画面)としての入力選択画面60を生成し、ディスプレイ37に表示することが可能である。また、表示制御部31は、入力選択画面60において所定の操作がされたとき、後述する各入力画面70,80,90(図6から図8までを参照)を生成し、ディスプレイ37の表示画面を当該入力画面70,80,90に切り換えることが可能である。
圃場形状取得部33は、例えばトラクタ1を圃場の外周に沿って1回り周回させ、そのときの測位用アンテナ6の位置情報の推移を記録することで、圃場の形状を取得するものである。圃場形状取得部33で取得された圃場の形状は記憶部32に記憶される。ただし、圃場の形状を取得する方法はこれに限るものではなく、例えばこれに代えて、圃場の角部の位置情報を記録して、記録した点同士を結ぶ線分が交わらないようにいわゆる閉路グラフにより特定した多角形を、圃場の形状として取得することとしてもよい。
作業領域取得部34は、例えばユーザが、圃場形状取得部33で取得した圃場の形状をディスプレイ37に表示させた状態で、複数の点を選択することにより指定した場合に、指定した点同士を結ぶ線分が交わらないようにいわゆる閉路グラフにより特定した多角形を、作業領域の形状として取得するものである。作業領域取得部34で取得された作業領域の形状は記憶部32に記憶される。ただし、作業領域の形状を取得する方法はこれに限るものではなく、例えばこれに代えて、圃場の外周よりも所定の距離だけ内側の位置を作業領域の外周の位置とすることにより、作業領域の形状を自動的に取得することとしてもよい。
作業経路を生成可能な制御部としての作業経路取得部35は、後述する作業車両情報、走行領域情報、及び作業態様情報が入力漏れなく設定された場合に、自動的に作業経路を生成する(取得する)ものである。生成された作業経路は、記憶部32に記憶される。
作業車両情報設定部36は、後述する作業車両情報入力画面70に入力された作業車両情報を受け付けるものである。作業車両情報設定部36により設定された作業車両情報は記憶部32に記憶される。
走行領域情報設定部45は、後述する走行領域情報入力画面80に入力された走行領域情報を受け付けるものである。走行領域情報設定部45により設定された走行領域情報は記憶部32に記憶される。
作業態様情報設定部47は、後述する作業態様情報入力画面90に入力された作業態様情報を受け付けるものである。作業態様情報設定部47により設定された作業領域情報は記憶部32に記憶される。
記憶部32は、不揮発性のメモリ(例えば、フラッシュROM)を含んで構成されており、作業車両情報設定部36で設定された作業車両情報、走行領域情報設定部45で設定された走行領域情報、及び、作業態様情報設定部47で設定された作業態様情報を記憶することができる。また、記憶部32は、登録された圃場形状の情報、登録された作業領域の情報、及び、生成された作業経路の情報等を記憶することができる。記憶部32は、生成された作業経路の情報を、この作業経路の生成に用いた作業車両情報、走行領域情報、及び作業態様情報と対応付けて記憶する。
次に、作業車両情報、走行領域情報、及び作業態様情報の設定を行い、作業経路を生成するときに、ユーザが無線通信端末46を用いて行う操作について、詳細に説明する。
ユーザが作業車両情報、走行領域情報、及び作業態様情報の設定を開始する前の段階では、無線通信端末46のディスプレイ37には、図5に示すように、表示制御部31により作成された入力選択画面60が初期画面(メニュー画面)として表示されている。入力選択画面60には、作業車両情報入力操作部61と、走行領域情報入力操作部62と、作業態様情報入力操作部63と、作業経路転送操作部64と、農作業開始操作部65と、が表示されている。
これらの操作部は、何れもディスプレイ37に表示される仮想的なボタン(所謂アイコン)として構成され、当該ボタンの表示領域に相当するタッチパネル39の位置をユーザが指で触れることによって操作することができる。ただし、作業車両情報、走行領域情報、及び作業態様情報が何れも設定されていない段階では、作業車両情報入力操作部61、走行領域情報入力操作部62、作業態様情報入力操作部63、作業経路転送操作部64及び農作業開始操作部65のうち、操作が可能であるのは作業車両情報入力操作部61だけである。即ち、走行領域情報入力操作部62、作業態様情報入力操作部63、作業経路転送操作部64及び農作業開始操作部65は、当初は操作が無効化されており(例えば、グレーアウト表示)、触れても操作することができない。
ユーザが作業車両情報、走行領域情報、及び作業態様情報の設定を開始する場合には、初めに、入力選択画面60の作業車両情報入力操作部61を操作する。この作業車両情報入力操作部61は、入力選択画面60から作業車両情報入力画面70に切り換えるときに操作されるボタンである。
ユーザが作業車両情報入力操作部61を操作すると、所定の第1選択画面(不図示)が表示され、当該第1選択画面には、過去に設定(登録)したトラクタの情報が存在する場合、過去に設定したトラクタの情報が選択可能に表示される。第1選択画面においてトラクタの情報は所定数(例えば2つ)まで選択可能に表示されるものであり、過去に設定したトラクタの情報の数が所定数を超える場合、所定の第1基準に従って第1選択画面に表示するトラクタの情報が特定されて表示される。なお、上記第1基準に従って特定されなかったトラクタの情報は適宜スクロール操作をすることによって表示させることが可能である。第1基準は、例えば、トラクタの情報の設定日時が現時点から直近である所定数のトラクタの情報、又は、ユーザによって選択された日時が現時点から直近である所定数のトラクタの情報、又は、ユーザによって選択された回数が多いものから所定数のトラクタの情報等及びこれらの組み合わせであり、ユーザによって選択される可能性が高いトラクタの情報を特定して表示する。
また、第1選択画面には、トラクタの情報を新規に設定(登録)するか、過去に設定したトラクタの情報を変更するか(ただし、過去に設定したトラクタの情報が存在する場合しか選択できない)が選択可能に表示される。ユーザが新規登録を選択した場合、ディスプレイ37の表示画面が、図6に示す作業車両情報入力画面70に切り換えられる。なお、過去に設定(登録)されたトラクタの情報がない場合、作業車両情報入力操作部61が操作されると入力選択画面60から直ちに作業車両情報入力画面70に切り換わることとしてもよい。
作業車両情報入力画面70では、走行機体2及び当該走行機体2に装着される作業機3に関する作業車両情報を入力することができる。具体的には、作業車両情報入力画面70には、作業車両情報としての、トラクタ1の機種、測位用アンテナ6の走行機体2に対する取付位置、トラクタ1及び作業機3の横幅、3点リンク機構の後端(ロアリンクの後端)から作業機3の後端までの距離、トラクタ1の中心線からの作業機3の中心線のオフセット量(距離)、往路での作業時の車速、復路での作業時の車速、枕地(旋回時)での車速、往路での作業時のエンジン回転数、復路での作業時のエンジン回転数、枕地(旋回時)でのエンジン回転数、枕地での作業機の上げ下げ、作業時のPTOの駆動の有無、等を指定する欄がそれぞれ配置されている。なお、図6に示す作業車両情報入力画面70では上記した欄の一部しか表示されていないが、図6の状態から画面を下方へスクロールする操作を行うことで、残りの欄を表示させることができる。
作業車両情報入力画面70において、最も上の欄であるトラクタ1の機種については、機種名又は機種番号を一覧から選択して指定することができる。この機種の欄が入力されると、トラクタ1の機種に応じて特定される他の欄には、当該機種の工場出荷時の仕様に対応したデフォルト値が自動的に入力されるようになっている。ただし、例えば、走行機体2に装着する作業機3を変更したり、前輪7や後輪8を付け替えたり、トラクタ1の前端部にフロントウェイトを取り付けたりすることにより、トラクタ1の大きさ等が変更される場合もあるので、ユーザがデフォルト値から任意の値に変更することもできるようになっている。
作業車両情報入力画面70において、往路での作業時のエンジン回転数、復路での作業時のエンジン回転数、及び枕地(旋回時)でのエンジン回転数は、それぞれ10rpm刻みで指定することができる。ただし、トラクタ1の機種が指定されると、それに搭載されているエンジン10のエンジン回転数(駆動源の出力値)の下限値及び上限値(最大出力値)が自動的に制御部4から取得され、往路での作業時のエンジン回転数、復路での作業時のエンジン回転数、及び枕地(旋回時)でのエンジン回転数の各欄では、その下限値から上限値までの範囲でしかエンジン回転数の指定ができないようになっている。即ち、トラクタ1の機種に応じて、出力値として指定可能なエンジン回転数が制限されるようになっている。
作業車両情報入力画面70において、往路での作業時の車速、復路での作業時の車速、及び、枕地(旋回時)での車速は、それぞれ0.1km/h刻みで指定することができる。ただし、上記のようにエンジン回転数(駆動源の出力値)が指定されると、それに応じて移動速度としての車速の上限値が定まるので、往路での作業時の車速、復路での作業時の車速、及び枕地(旋回時)での車速の各欄では、ゼロから上記車速の上限値までの範囲(ただし、ゼロを含まない)でしか車速の指定ができないようになっている。なお、いったん車速が指定された後に、エンジン回転数の指定が変更された場合、車速の上限値が再度計算されて、車速がゼロから上記再計算された車速の上限値までの範囲となるように、車速の指定が自動的に変更される。より具体的には、駆動源の出力値であるエンジン回転数として第1エンジン回転数(第1出力値)が指定され、移動速度である車速として第1車速(第1移動速度)が指定された後に、エンジン回転数の指定が第1エンジン回転数よりも小さい第2エンジン回転数(第2出力値)に変更され、かつ、第1車速が、第2エンジン回転数に応じて特定された最大車速よりも速い場合、車速の指定は、前記第2エンジン回転数に応じて特定された前記最大車速となるように自動的に変更される。言い換えれば、第1車速が第2エンジン回転数に応じて特定された最大車速よりも遅い場合、車速の設定は第1車速のまま維持される。
また、本実施形態では、上記のように、往路と復路とで異なる車速やエンジン回転数を指定可能としている。これにより、圃場が水平面に対して傾斜しているような場合でも、例えば、下り時は比較的早い速度で小さいエンジン回転数に設定し、上り時は比較的遅い速度で大きいエンジン回転数に設定することにより、エンストを防止し、かつ農作業を効率よく行えるような適切な設定とすることができる。
作業車両情報入力画面70の全ての項目についての指定が完了した場合、図略の「車両設定確認」のボタンが表示される。ユーザが「車両設定確認」のボタンを操作すると、図略の設定確認画面が表示され、各欄で指定された内容が確認のために表示される。この設定確認画面でユーザが図略の「確定」ボタンを操作すると、作業車両情報の内容が記憶部32に記憶され、作業車両情報の設定が完了する。作業車両情報の設定(登録)が完了すると、表示画面の下部に、「走行領域情報を編集/追加する」のボタンと、「ホームへ戻る」のボタンと、が選択可能に表示される。「走行領域情報を編集/追加する」を選択すると、入力選択画面60において走行領域情報入力操作部62が操作された場合と同様に、走行領域情報の設定を行うことができる。「ホームへ戻る」を選択すると、表示画面が入力選択画面60に切り換わる。
なお、作業車両情報入力画面70に各項目を入力して登録する操作を繰り返すことにより、複数の作業車両(例えば、トラクタA、トラクタB、及びトラクタC)のそれぞれについて作業車両情報を保存(即ち、記憶部32に記憶)することができる。保存された作業車両情報は、入力選択画面60で作業車両情報入力操作部61を操作したときに、上述した第1選択画面において過去に設定(登録)したトラクタの情報として選択することで用いることができる。なお、過去に設定したトラクタの情報の全部又は一部を変更した場合、変更後のトラクタの情報を、変更前のトラクタの情報に代えて記憶部32に記憶(所謂上書き保存)してもよいし、変更前のトラクタの情報とは別に記憶部32に記憶してもよい。
ユーザが作業車両情報を設定(登録)し終わって図5の入力選択画面60に戻ると、当該入力選択画面60の走行領域情報入力操作部62が操作可能となる。この走行領域情報入力操作部62は、入力選択画面60から走行領域情報入力画面80に切り換えるときに操作されるボタンである。
ユーザが走行領域情報入力操作部62を操作すると、所定の第2選択画面(不図示)が表示され、当該第2選択画面には、過去に設定(登録)した圃場の情報が存在する場合、過去に設定した圃場の情報が選択可能に表示される。第2選択画面において圃場の情報は所定数(例えば2つ)まで選択可能に表示されるものであり、過去に設定した圃場の情報の数が所定数を超える場合、所定の第2基準に従って第2選択画面に表示する圃場の情報が特定されて表示される。なお、第2基準に従って特定されなかった圃場の情報は適宜スクロール操作をすることによって表示させることが可能である。第2基準は、例えば、トラクタ1の現在位置から近い所定数の圃場の情報、圃場の情報の設定日時が現時点から直近である所定数の圃場の情報、又は、ユーザによって選択された日時が現時点から直近である所定数の圃場の情報、又は、ユーザによって選択された回数が多いものから所定数の圃場の情報等及びこれらの組み合わせであり、ユーザによって選択される可能性が高い圃場の情報を特定して表示する。
また、第2選択画面には、圃場の情報を新規に設定(登録)するか、過去に設定した圃場の情報を変更するか(ただし、過去に設定した圃場の情報が存在する場合しか選択できない)が選択可能に表示される。ユーザが新規登録を選択した場合、ディスプレイ37の表示画面が、図7に示す走行領域情報入力画面80に切り換えられる。なお、過去に設定(登録)された圃場の情報がない場合、走行領域情報入力操作部62が操作されると入力選択画面60から直ちに走行領域情報入力画面80に切り換わることとしてもよい。
走行領域情報入力画面80では、走行機体2が走行する走行領域(圃場)に関する走行領域情報を入力することができる。具体的には、走行領域情報入力画面80には、圃場の形状及び作業領域の形状を図形で(グラフィカルに)示す平面表示部81が配置されている。また、走行領域情報入力画面80において、「圃場外周の位置」の欄には、「記録開始」及び「やり直し」のボタンが配置されている。また、走行領域情報入力画面80において、作業領域の位置、自律走行の開始位置、自律走行の終了位置、及び作業方向のそれぞれの欄には、「指定」及び「やり直し」のボタンが配置されている。
「圃場外周の位置」の「記録開始」ボタンを操作すると、無線通信端末46が圃場形状記録モードに切り換わる。この圃場形状記録モードにおいて、トラクタ1を圃場の外周に沿って1回り周回させると、そのときの測位用アンテナ6の位置情報の推移が圃場形状取得部33で記録されて、当該圃場形状取得部33で圃場の形状が取得(算出)される。これにより、圃場の位置及び形状を指定することができる。上記のようにトラクタ1を周回させているとき、無線通信端末46は、トラクタ1の位置情報を地図データに重ねた画像を走行領域情報入力画面80の平面表示部81に表示する。この画像は、ヘディングアップになるように表示することもできるし、ノースアップになるように表示することもできるし、あるいは、ユーザが任意の方向に回転することもできる。このようにして算出(指定)した圃場外周の位置は、平面表示部81にグラフィカルに表示される。また、「やり直し」ボタンを操作することで、圃場外周の位置の記録(指定)を再び行うことができる。
なお、圃場形状記録モードにおいてトラクタ1を周回させているとき、電波状況の不良等の事情によりトラクタ1から測位用アンテナ6の位置情報を取得できない場合、又は測位システムの設定の初期化がされていない等の事情により正確な位置情報を取得できない場合、走行領域情報入力画面80の平面表示部81にエラーメッセージが表示される。
「作業領域の位置」の「指定」ボタンを操作すると、走行領域情報入力画面80の平面表示部81に、圃場形状取得部33で取得した圃場の形状が表示される。この状態で、ユーザが複数の点を選択することにより指定すると、指定した点同士を結ぶ線が交わらないようにいわゆる閉路グラフにより特定した多角形が作業領域取得部34により算出される。これにより、作業領域の位置及び形状を指定することができる。この多角形が圃場形状取得部33で取得した圃場外にはみ出した場合には、平面表示部81にエラーメッセージが表示され、ユーザに指定点の変更が促される。あるいはこれに代えて、閉路グラフにより特定した多角形が圃場外にはみ出した場合に、作業領域が圃場内となるように自動的に補正されて、補正後の作業領域が作業領域取得部34により取得されることとしてもよい。作業領域が圃場内となるように自動的に補正する手法としては、例えば、圃場外にはみ出した部分についての輪郭は、閉路グラフにより特定した多角形の輪郭に代えて、圃場の外周の形状を採用することとする方法を用いることができる。このようにして取得(指定)した作業領域の位置は、平面表示部81にグラフィカルに表示される。また、「やり直し」ボタンを操作することで、作業領域の位置情報の記録(指定)を再び行うことができる。
「作業開始位置」の「指定」ボタンを操作すると、走行領域情報入力画面80の平面表示部81に、作業領域取得部34で取得した作業領域の形状が地図データに重ね合わされて表示される。この状態で、ユーザが作業領域の輪郭の近傍の任意の点を選択することで、選択した点の位置情報を開始位置として指定することができる。これにより、後述する作業方向に垂直な方向に沿って平行に整然と農作業経路が並ぶように作業経路を作成し易くなる。なお、「やり直し」ボタンの機能については、上記と同様である。
「作業終了位置」の「指定」ボタンを操作すると、走行領域情報入力画面80の平面表示部81に作業領域取得部34で取得した作業領域の形状が地図データに重ね合わされて表示される。この状態で、ユーザが作業領域の輪郭の近傍の任意の点を選択することで、選択した点の位置情報を終了位置として指定することができる。なお、「やり直し」ボタンの機能については、上記と同様である。
「作業方向」の「指定」ボタンを操作すると、走行領域情報入力画面80の平面表示部81に、作業領域取得部34で取得した作業領域の形状が地図データに重ね合わされて表示される。この状態で、ユーザが、例えば作業領域を指定するときに指定した点の中から2点を選択することで、当該2点を結んだ直線の方向を作業方向として指定することができる。なお、「やり直し」ボタンの機能については、上記と同様である。
走行領域情報入力画面80の全ての項目についての指定が完了した場合、「登録」のボタンが表示される。ユーザが指定した内容を平面表示部81等により確認して当該「登録」ボタンを操作すると、指定された走行領域情報の内容が記憶部32に記憶され、走行領域情報の設定が完了する。走行領域情報の設定(登録)が完了すると、表示画面の下部に、「作業を編集/追加する」のボタンと、「入力選択画面へ戻る」のボタンと、が選択可能に表示される。「作業を編集/追加する」を選択すると、入力選択画面60において作業態様情報入力操作部63が操作された場合と同様に、作業態様情報の設定を行うことができる。「入力選択画面へ戻る」を選択すると、表示画面が入力選択画面60に切り換わる。
なお、走行領域情報入力画面80において各項目を登録する操作を繰り返すことにより、複数の圃場(例えば、圃場a、圃場b、及び圃場c)のそれぞれについて走行領域情報を保存(即ち、記憶部32に記憶)することができる。保存された走行領域情報は、入力選択画面60で走行領域情報入力操作部62を操作したときに、上述した第2選択画面において過去に設定(登録)した圃場の情報として選択することで用いることができる。なお、過去に設定した圃場の情報の全部又は一部を変更した場合、変更後の圃場の情報を、変更前の圃場の情報に代えて記憶部32に記憶(所謂上書き保存)してもよいし、変更前の圃場の情報とは別に記憶部32に記憶してもよい。
ユーザが走行領域情報を設定し終わって図5の入力選択画面60に戻ると、当該入力選択画面60の作業態様情報入力操作部63が操作可能となる。言い換えれば、ユーザが作業車両情報及び走行領域情報を設定し終わるまでは、作業態様情報入力操作部63は操作不能の状態とされる。即ち、作業態様情報設定部47は、作業車両情報設定部36で作業車両情報が設定され、かつ、走行領域情報設定部45で走行領域情報が設定されるまでは、情報の入力(作業態様情報の設定)を受け付けない構成となっている。この作業態様情報入力操作部63は、入力選択画面60から図8に示す作業態様情報入力画面90に切り換えるときに操作されるボタンである。
ユーザが作業態様情報入力操作部63を操作すると、表示画面が、図8に示す作業態様情報入力画面90に切り換わる。
作業態様情報入力画面90では、作業態様情報を入力することができる。具体的には、作業態様情報入力画面90には、作業態様情報として、ロボットトラクタ1と有人のトラクタの協調作業の有無、有人のトラクタが協調作業する場合のパターン、有人のトラクタが協調作業する場合の当該有人のトラクタの作業幅、有人のトラクタが協調作業する場合のロボットトラクタ1のスキップ量(何列飛ばしで走行するか)、隣接する農作業経路における作業幅のオーバーラップ量、及び枕地幅等を入力する欄がそれぞれ設けられている。
ロボットトラクタ1と有人のトラクタの協調作業の有無を入力する欄では、ロボットトラクタ1を単独で自律走行させて農作業を行うか(協調作業無し)、又は、自律走行・自律作業するロボットトラクタ1と有人のトラクタ(ユーザが搭乗するトラクタ)とを協調作業させることにより農作業を行うか(協調作業有り)、の何れかを選択することが可能となっている。
「協調作業有り」の場合、パターンの欄で、ロボットトラクタ1の後方を有人のトラクタに走らせるか(真後ろ)、ロボットトラクタ1の直進方向に対して右側後方(右斜め後ろ)を有人のトラクタに走らせるか(右)、ロボットトラクタ1の直進方向に対して左側後方(左斜め後ろ)を有人のトラクタに走らせるか(左)、の何れかを選択することが可能となっている。
「協調作業有り」の場合、有人トラクタの作業幅の欄で、有人トラクタの作業幅(作業機により作業が行われる有効幅)を入力することが可能となる。
「協調作業有り」の場合、ロボットトラクタ1のスキップ量(スキップ数)の欄で、何列飛ばしで農作業経路に対して農作業を行うかの経路数を入力することが可能となる。これにより、例えば、随伴する有人のトラクタでも農作業を行うことを考慮して、1列飛ばしに農作業を行うことが可能である。なお、スキップ量が「N(Nは0以上の整数)」である場合、第1の農作業経路と、第1の農作業経路の次に農作業を行う第2の農作業経路との間に、N列の農作業経路が介在することを意味する。
作業幅のオーバーラップ量の欄では、隣接する農作業経路における作業幅が重複する長さを入力することが可能である。オーバーラップ量は「0」であってもよく、あるいはユーザの好みや農作業の種類を考慮して例えば「30cm」等としてもよい。即ち、農作業の種類によって、作業幅の重複が許容されない場合(例えば、作業機3が施肥機や播種機の場合)と、作業幅の重複がある程度許容される場合(例えば、作業機3が耕耘機の場合)があるが、その何れの場合にも、オーバーラップ量の指定を変更することで対応することができる。また、例えば作業機3がサブソイラの場合等においては、オーバーラップ量としてマイナスの値を指定することで、隣接する農作業経路の作業幅の間で間隔を生じさせることもできるようになっている。
枕地幅の欄では、例えば、枕地幅の下限値と同じかそれよりも大きい値を指定することができる。ただし、これに代えて、最終的には枕地にも作業機3により農作業を施すことを考慮し、枕地幅として、作業機3の作業幅の整数倍の値のみを入力できるように構成してもよい。なお、枕地幅の下限値は、トラクタ1及び作業機3の大きさ(全長、横幅等)を考慮して、枕地における走行(特に旋回)に必要な幅に設定される。
ユーザが作業態様情報入力画面90の入力欄(作業態様情報を含む)を漏れなく入力すると、図略の「パス生成」ボタンが選択可能となり、「パス生成」ボタンを選択した場合、自動的に作業経路が作成され、この作業経路が記憶部32に記憶される。また、作業経路が生成されると、ディスプレイ37の表示画面に「パスシミュレーション」のボタンが選択可能に表示される。この「パスシミュレーション」のボタンを選択(操作)することにより、生成した作業経路を矢印や線等で表現した画像が表示される。なお、作業経路に沿ってトラクタのアイコンが移動するアニメーション表示が行われても良い。ユーザは、この表示内容を参照して、作業経路の採用の可否を判断することができる。
更に、ユーザが作業態様情報入力画面90の入力欄(作業態様情報を含む)を漏れなく入力した場合、「データを転送する」のボタンと、「ホームへ戻る」のボタンと、が選択可能に表示される。「データを転送する」を選択すると、入力選択画面60において作業経路転送操作部64が操作された場合と同様に、作業経路の情報をトラクタ1の制御部4に転送するための指示を行うことができる。「ホームへ戻る」のボタンを選択すると、表示画面が入力選択画面60に切り換わる。
なお、作業態様情報入力画面90において複数回作業態様情報を入力して作業経路を生成することで、複数の作業経路を設定(登録)して記憶部32に記憶しておくことができる。ただし、本実施形態では、記憶部32に記憶された作業車両情報、走行領域情報、又は作業態様情報が削除され又は変更された場合には、当該情報に基づいて作成された作業経路の情報が自動的に削除される。言い換えれば、記憶部32に記憶された作業車両情報、走行領域情報、及び作業態様情報の何れかが変更又は削除された場合、この変更又は削除された情報に対応付けられた作業経路は記憶部32から自動的に削除される。これにより、前提となる情報が削除又は変更されることにより不要となった作業経路の情報が自動的に削除されるので、記憶部32の記憶領域を効率的に利用することができる。
なお、記憶部32に記憶された作業車両情報、走行領域情報、及び作業態様情報の何れかが変更された場合であっても、作業経路の生成に影響を与えない項目が変更された場合には、この変更された情報に対応付けられた作業経路が記憶部32から削除されないこととしてもよい。例えば、作業車両情報に含まれる車速、エンジン10の回転数、枕地での作業機3の上げ下げ、作業時のPTOの駆動の有無の変更は、作業経路の生成に影響を与えない項目である。
作業経路の生成が終了すると、図5の入力選択画面60において、作業経路転送操作部64が操作可能な状態となる。入力選択画面60で作業経路転送操作部64が操作されると、ディスプレイ37の表示が、生成した作業経路の情報をトラクタ1の制御部4に転送する方法を選択するための図略の転送方法選択画面に切り換えられる。当該転送方法選択画面には、「USBで転送する」のボタンと、「WiFiで転送する」のボタンと、が選択可能に表示される。ユーザが「USBで転送する」を選択し、無線通信端末46とトラクタ1の制御部4とをUSBケーブルで接続することで、無線通信端末46側で生成した作業経路の情報をトラクタ1の制御部4に送信することができる。一方、ユーザが「WiFiで転送する」を選択した場合、WiFi(無線網)を介して、無線通信端末46側で生成した作業経路の情報をトラクタ1の制御部4に送信することができる。制御部4は、無線通信端末46から受信した作業経路の情報を、当該制御部4に電気的に接続された作業経路記憶部55に記憶する。
なお、無線通信端末46側で作業経路の情報が複数登録されている場合には、ユーザは、トラクタ1側に転送する作業経路を選択することができる。この場合、トラクタ1の位置(又は無線通信端末46の位置)を測位システムにより取得し、得られた位置に作業経路(自律走行開始位置)が近い順に、候補となる作業経路をディスプレイ37の表示画面に並べて表示することとし、ユーザが所望の作業経路を選び易くすることができる。また、トラクタ1の位置からの距離が同じである複数の作業経路が存在する場合には、生成された時間が新しい順に、作業経路を候補として並べて表示してもよい。あるいは、トラクタ1がある圃場内に位置しているときにはその圃場について生成された作業経路を、トラクタ1が圃場外に位置しているときにはトラクタ1の現在の位置に近い場所の圃場について生成された作業経路を、候補となる作業経路として表示してもよい。
また、作業経路の情報をトラクタ1側にWiFiを介して転送する場合において、無線通信状況が不良である等の事情で転送に失敗したときには、ディスプレイ37の表示画面にエラーメッセージを表示して、ユーザに時間をおいての転送のやり直しを促すこととしてもよい。
上述のようにして、生成した作業経路の情報がトラクタ1の作業経路記憶部55に転送(入力)された場合、入力選択画面60の農作業開始操作部65が操作可能となる。言い換えれば、作業経路が作成されて当該作業経路がトラクタ1の作業経路記憶部55に転送されて初めて、農作業開始操作部65が操作可能となる。即ち、トラクタ1の車両制御装置としての制御部4は、走行機体2の走行及び作業機3による作業の開始指示を行うことが可能である一方、作業経路が生成されて作業経路記憶部55に入力されるまでは開始指示を行うことができない構成となっている。
ユーザが入力選択画面60で農作業開始操作部65を操作すると、トラクタ1が入力された作業経路に沿って自律走行・自律作業するように、制御部4がトラクタ1の走行及び農作業を制御する。この自律走行の開始に伴って、ディスプレイ37の表示画面が図9に示す自律走行監視画面100に切り換わる。
自律走行監視画面100の左部には、前方カメラ51で撮影した動画データを表示する前方カメラ表示部101が配置されている。自律走行監視画面100の左部の、前方カメラ表示部101の下方には、後方カメラ52で撮影した動画データを表示する後方カメラ表示部102が配置されている。
自律走行監視画面100の右部には、トラクタ1の走行中の作業経路を含む画像データを表示する走行状態表示部103が配置されている。走行状態表示部103に表示される画像データは、例えば図9に示すように、地図データに、圃場の形状と、作業領域の形状と、を重ね合わせて表示し、その上にトラクタ1の走行軌跡をハッチングで示したものとすることができる。
走行状態表示部103の右部には、走行状態表示部103に表示されている映像データを拡大・縮小するための拡大縮小ボタン104が配置されている。ユーザがこの拡大縮小ボタン104を適宜に操作することにより、走行状態表示部103に表示されている映像データの拡大・縮小倍率を変更することができ、ユーザにとって見易い大きさで表示することができる。
自律走行監視画面100の上部には、トラクタ1の制御部4に制御信号を送信するための各種の操作ボタンが集中的に配置されている。言い換えれば、トラクタ1の制御部4に制御信号を送信するための各種の操作ボタンは、自律走行監視画面100において、上部にまとまって表示されるように構成されている。
自律走行監視画面100の上部の一番左には、自律走行を開始したり、一時停止したりするための開始/一時停止ボタン105が表示されている。ユーザがトラクタ1を自律走行の開始位置まで手動で移動させて、当該トラクタ1の向きを作業方向に合わせた状態で、開始/一時停止ボタン105に触れることにより、自律走行を開始する旨を指示する制御信号が無線通信端末46からトラクタ1の制御部4に送信されて、トラクタ1の自律走行を開始することができる。また、トラクタ1が自律走行を行っている状態で開始/一時停止ボタン105に触れることにより、トラクタ1の自律走行を一時停止することができる。なお、トラクタ1が自律走行を一時停止している状態で、ユーザが開始/一時停止ボタン105に再度触れることにより、トラクタ1の自律走行を再開することができる。
自律走行監視画面100において、開始/一時停止ボタン105のすぐ右側には、トラクタ1の現在の車速を表示する車速表示部106と、車速を微調整するための車速調整部107と、が上下に配置されている。車速表示部106には、車速センサ53から送信されてきたデータに基づいて取得された、トラクタ1の現在の車速が表示される。また、ユーザは、車速調整部107を操作することにより、例えば圃場の傾きや土質等を考慮して車速を調整することができる。車速調整部107が操作されると、車速を調整する旨を指示する制御信号が無線通信端末46からトラクタ1の制御部4に送信されて、これに基づいて変速装置42等が制御されて車速が調整される。
自律走行監視画面100において、車速表示部106のすぐ右側には、エンジン10の現在の回転数を表示するエンジン回転数表示部108が配置されている。また、車速調整部107のすぐ右側には、エンジン回転数を微調整するためのエンジン回転数調整部109が配置されている。エンジン回転数表示部108においては、図略のエンジン回転数センサから送られてきたデータに基づいて取得された、エンジン10の現在のエンジン回転数が表示される。また、ユーザは、エンジン回転数調整部109を操作することにより、例えば圃場の傾きや土質等を考慮してエンジン回転数を調整することができる。エンジン回転数調整部109が操作されると、エンジン回転数を調整する旨を指示する制御信号が無線通信端末46からトラクタ1の制御部4に送信されて、これに基づいてガバナ装置41等が制御されてエンジン回転数が調整される。
自律走行監視画面100において、エンジン回転数表示部108を挟んで車速表示部106とは反対側には、作業機3の現在の高さを表示する作業機高さ表示部110が配置されている。また、エンジン回転数調整部109を挟んで車速調整部107とは反対側には、作業機3の高さを微調整するための作業機高さ調整部111が配置されている。作業機高さ表示部110には、制御部4から昇降アクチュエータ44に送っている制御信号についての情報を無線通信端末46が受信することにより、作業機3の現在の高さが無線通信端末46で取得され、数値データとして表示される。また、ユーザは、作業機高さ調整部111を操作することにより、例えば圃場の土質等を考慮して作業機3の高さを調整することができる。作業機高さ調整部111が操作されると、作業機3の高さを調整する旨を指示する制御信号が無線通信端末46からトラクタ1の制御部4に送信されて、これに基づいて昇降アクチュエータ44が制御されて作業機3の高さが調整される。
自律走行監視画面100において、作業機高さ表示部110を挟んでエンジン回転数表示部108とは反対側には、PTO軸の駆動・非駆動(ON/OFF)を表示するPTO表示部112が配置されている。また、自律走行監視画面100の作業機高さ調整部111を挟んでエンジン回転数調整部109とは反対側には、PTO軸の駆動・非駆動を切り換えるためのPTO切換ボタン113が配置されている。PTO軸に設けられた図略の回転数センサからの検出結果を無線通信端末46が受信することにより、PTO軸が駆動されているか(ONであるか)、駆動されていないか(OFFであるか)が無線通信端末46で取得され、その結果がPTO表示部112に表示される。また、ユーザは、PTO切換ボタン113を操作することにより、PTO軸の駆動・非駆動を切り換えることが可能となっている。PTO切換ボタン113が操作されたら、PTO軸のON/OFFを指示する制御信号が無線通信端末46からトラクタ1の制御部4に送信されて、これに基づいてPTO軸のON/OFFが切り換えられる。
自律走行監視画面100の上部の一番右には、自律走行しているトラクタ1を緊急停止するための緊急停止ボタン114が配置されている。何らかの事情によりトラクタ1を緊急停止させたい場合、ユーザが緊急停止ボタン114に触れることにより、緊急停止信号(自律走行を緊急停止させる旨を指示する制御信号)が制御部4に送信されて、トラクタ1の走行及び農作業を緊急停止させることができる。
このように、自律走行監視画面100の上部には、トラクタ1の制御部4に制御信号を送信するための各種の操作ボタンが集中して備えられている。このため、例えば、ユーザが有人のトラクタのキャビン内で無線通信端末46を操作してトラクタ1に対して所定の制御信号を出力する場合でも、片方の手で無線通信端末46の下部をしっかりと握りながら、もう片方の手で無線通信端末46の上部に触れて操作を行うことができ、振動の激しいトラクタの中でも正確に操作を行うことができる。
自律走行監視画面100の下部には、作業時間表示部115が配置されている。当該作業時間表示部115では、作業経路を生成したときに得られた作業経路の長さ(距離)と、ユーザにより設定された車速と、に基づいて算出される、農作業が開始されてから終了するまでの作業時間と、これまでの経過時間と、が例えば棒グラフで表示される。
また、自律走行監視画面100の下部には、燃料必要量表示部116が配置されている。当該燃料必要量表示部116では、農作業が開始されてから終了するまでに必要な燃料の量が表示される。なお、必要な燃料の量は、作業経路の長さ(距離)、及び、ユーザにより設定された車速やエンジン回転数等に基づいて算出することができる。また、無線通信端末46は、燃料残量センサ54からの検出結果を取得して、これに基づいて不足している燃料の量を算出し、必要な燃料の量とともに燃料必要量表示部116に表示する。
以上で説明したような無線通信端末46の操作により、トラクタ1を監視しながら作業経路に沿って自律的に走行させて農作業をさせ、必要に応じて制御信号をトラクタ1に送って適宜の制御を行うことができる。
以上に説明したように、本実施形態の作業車両用経路生成システム99は、作業車両情報設定部36と、走行領域情報設定部45と、作業態様情報設定部47と、制御部としての作業経路取得部35と、を備える。作業車両情報設定部36は、車体部としての走行機体2及び当該走行機体2に装着される作業機3に関する作業車両情報の設定を受け付ける。走行領域情報設定部45は、走行機体2が走行する走行領域に関する走行領域情報の設定を受け付ける。作業態様情報設定部47は、作業機3による作業態様に関する作業態様情報の設定を受け付ける。作業経路取得部35は、前記作業車両情報、前記走行領域情報及び前記作業態様情報に基づいて作業機3により作業が行われる作業経路を生成可能である。前記作業態様情報の設定は、前記作業車両情報の設定及び前記走行領域情報の設定を行う前に行うことができない。
これにより、作業車両情報及び走行領域情報を設定した場合に限り、作業態様情報を設定して作業経路を生成できるようになるので、入力漏れがない状態で円滑に作業経路を作成することができる。
また、本実施形態の作業車両用経路生成システム99においては、トラクタ1を制御する車両制御装置としての制御部4は、走行機体2の走行及び作業機3による作業の開始指示を行うことが可能である一方、作業経路取得部35が前記作業経路を生成する前に、前記開始指示を行うことができないように構成されている。
これにより、作業経路が生成されたときに限り、トラクタ1の制御部4による走行及び農作業の制御を開始することができるので、ユーザが意図しないタイミングで不意に農作業が開始されてしまうおそれを確実になくすことができる。
また、本実施形態の作業車両用経路生成システム99は、生成された前記作業経路を示す作業経路情報と前記作業経路の生成に用いた前記作業車両情報、前記走行領域情報及び前記作業態様情報とを対応付けて記憶する記憶部32を備える。制御部は、記憶部32に記憶された前記作業車両情報、走行領域情報及び作業態様情報の何れかが変更又は削除された場合、前記変更又は前記削除された情報に対応付けられた前記作業経路を記憶部32から削除する。
これにより、前提となる情報が削除又は変更されることにより不要となった作業経路の情報を自動的に削除することができる。従って、作業経路の情報が無駄に蓄積されて記憶部32の容量が不足してしまったり、ユーザが複数の作業経路の中から選択する際に混乱してしまったりすることを防止することができる。
また、本実施形態の作業車両用経路生成システム99においては、作業車両情報設定部36は、前記作業車両情報として走行機体2の種類、及び、走行機体2が備えるエンジン10の出力値としてのエンジン回転数を指定可能であり、前記エンジン回転数として指定可能な最大エンジン回転数を、走行機体2の種類に応じて異なる値に制限する。
これにより、走行機体2の種類に応じて、エンジン10の出力値としてのエンジン回転数の指定可能な値が制限されるので、作業車両情報を設定する際のユーザの操作が簡単になる。
また、本実施形態の作業車両用経路生成システム99においては、作業車両情報設定部36は、走行機体2の移動速度としての車速を指定可能であり、前記車速として指定可能な最大車速を、エンジン10のエンジン回転数に応じて異なる速度に制限する。作業車両情報設定部36は、エンジン回転数として第1エンジン回転数が指定され、前記車速として第1車速が指定された後、前記エンジン回転数の指定が第1エンジン回転数よりも小さい第2エンジン回転数に変更され、かつ、第1車速が第2エンジン回転数に応じて特定された最大車速よりも速い場合、前記車速の指定を、前記特定された前記最大移動速度に変更する。
これにより、エンジン回転数の指定が低減される変更に伴って、車速の指定が自動的に変更されるので、作業車両情報を設定する際のユーザの操作が簡単になる。
また、本実施形態の作業車両用経路生成システム99は、車両制御装置としての制御部4と、無線通信端末46と、を備える。制御部4は、トラクタ1の走行及び農作業を制御する。無線通信端末46は、制御部4と無線通信することによりユーザがトラクタ1に所定の制御信号を出力することを可能とする。無線通信端末46は、当該無線通信端末46のディスプレイ37にユーザが操作することが可能な画面を表示させる表示制御部31を有する。表示制御部31は、前記画面をトラクタ1の車体及び作業機3に関する作業車両情報を入力するための作業車両情報入力画面70と、トラクタ1により農作業を行う対象の圃場に関する走行領域情報を入力するための走行領域情報入力画面80と、前記圃場内で農作業を行う経路である作業経路を作成するために必要な作業態様情報を入力するための作業態様情報入力画面90と、に切換可能である。無線通信端末46は、前記作業車両情報、前記走行領域情報、及び前記作業態様情報が設定された場合に限り、前記作業経路を生成可能である。
これにより、作業車両情報は作業車両情報入力画面70で、走行領域情報は走行領域情報入力画面80で、作業態様情報は作業態様情報入力画面90で、それぞれ個別に入力するので、情報をカテゴリー別に整理しながら入力することができ、入力操作がユーザにとって分かり易いものとなる。また、作業車両情報、走行領域情報、作業態様情報を設定した場合に限り作業経路を生成できるようになるので、入力漏れがない状態で円滑に作業経路を作成することができる。
また、本実施形態の作業車両用経路生成システム99においては、表示制御部31は、作業車両情報入力操作部61と、走行領域情報入力操作部62と、作業態様情報入力操作部63と、が配置された入力選択画面60を表示可能である。作業車両情報入力操作部61は、作業車両情報入力画面70に切り換えるときに操作される。走行領域情報入力操作部62は、走行領域情報入力画面80に切り換えるときに操作される。作業態様情報入力操作部63は、作業態様情報入力画面90に切り換えるときに操作される。入力選択画面60には、トラクタ1による農作業を開始させるときに操作される農作業開始操作部65が更に配置される。農作業開始操作部65は、前記作業経路が作成されて、当該作業経路の情報が制御部4に入力されたときに限り、操作可能である。
これにより、作業経路が作成されて当該作業経路の情報が制御部4に入力されたときに限り、農作業開始操作部65を操作してトラクタ1による農作業を開始することができるので、ユーザが意図しないタイミングで不意に農作業が開始されてしまうおそれを確実になくすことができる。
また、本実施形態の作業車両用経路生成システム99において、無線通信端末46は、記憶部32を更に備える。記憶部32には、前記作業車両情報、前記走行領域情報、前記作業態様情報、及び作成した前記作業経路の情報が記憶される。記憶部32においては、記憶部32に記憶された前記作業車両情報、前記走行領域情報、又は前記作業態様情報が削除され又は変更された場合、当該情報に基づいて作成された前記作業経路の情報が自動的に削除される。
これにより、前提となる情報が削除又は変更されることにより不要となった作業経路の情報を自動的に削除することができる。従って、作業経路の情報が無駄に蓄積されて記憶部32の容量が不足してしまったり、ユーザが複数の作業経路の中から選択する際に混乱してしまったりすることを防止することができる。
また、本実施形態の作業車両用経路生成システム99においては、前記作業車両情報には、エンジン回転数に関する情報が含まれ、あるトラクタ1について指定されているエンジン回転数が変更された結果、当該トラクタ1の車速上限値が変更される場合には、当該トラクタ1について前記作業車両情報として指定されている車速を自動的に変更する。
これにより、エンジン回転数の変更に伴って、車速の指定が自動的に変更されるので、設定の際のユーザの操作が簡単となる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記の実施形態では、作業車両情報を入力し終えた後に、走行領域情報を入力するものとした。しかしながら、入力の順序は必ずしもこれに限るものではなく、走行領域情報を入力した後に作業車両情報を入力するものとしてもよい。
上記の実施形態では、入力選択画面60において、作業車両情報入力操作部61と、走行領域情報入力操作部62と、作業態様情報入力操作部63と、作業経路転送操作部64と、が左右方向に並べて配置されるものとしたが、これに限るものではなく、例えばこれに代えて、これらの操作部が縦に並べて配置されるものとしてもよい。
上記で挙げた作業車両情報、走行領域情報、及び作業態様情報の項目は一例であり、項目の数はこれより少なくても多くてもよい。例えば、作業態様情報入力画面90に表示される作業態様情報の項目に、「サイドマージン(無耕作地)の幅」や、「ダミー経路(農作業を行わずに通過される経路)の有無」等が含まれていてもよい。あるいは、作業車両情報入力画面70に表示される作業車両情報の項目に、「施肥量」等が含まれていてもよい。
上記の実施形態では、自律走行監視画面100の上部に、トラクタ1の制御部4に制御信号を送信するための各種の操作ボタンが集中して備えられているものとしたが、これに代えて、自律走行監視画面100の左部又は右部に、トラクタ1の制御部4に制御信号を送信するための各種の操作ボタンが集中して備えられているものとしてもよい。
トラクタ1には、車速センサ53及び燃料残量センサ54以外にも、当該トラクタ1の状態を検出するための種々のセンサが設けられている。従って、自律走行監視画面100において、これらのセンサの検出値を表示しても良い。
上述のほか、入力選択画面60、作業車両情報入力画面70、走行領域情報入力画面80、作業態様情報入力画面90、及び自律走行監視画面100における表示項目、配置、入力方法等は、適宜変更することができる。また、上記の各画面における操作ボタンを、ハードウェアキー38に割り当てても良い。
上記の実施形態で無線通信端末46に備えられているものとして説明した構成の一部がトラクタ1側に備えられていてもよく、また、トラクタ1に備えられているものとして説明した構成の一部が無線通信端末46側に備えられていてもよい。即ち上記実施形態では無線通信端末46を操作することにより圃場内で作業経路が生成され、又、作業経路に沿った走行及び作業の開始・終了を指示可能であることとしたが、モニタ装置14を操作することにより、圃場内で作業経路が生成され、又、作業経路に沿った走行及び作業の開始・終了を指示可能であることとしてもよい。その場合、無線通信端末46を備えないこととしてもよいし、作業経路を生成するために必要な各種情報(車両情報、圃場情報、作業情報)の入力を行うための手段として無線通信端末46を備えていてもよい。