JP2017165119A - エアレスタイヤ、並びに、その製造装置及び方法 - Google Patents

エアレスタイヤ、並びに、その製造装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トレッドリングとスポークとを接合する接着層の剥離に対するタフネスを向上させる。【解決手段】エアレスタイヤ10では、トレッドリング14とハブ18とをスポーク20で連結し、トレッドリング14とスポーク20とを接着層52を介して接合している。この場合、車軸16の方向に沿ったトレッドリング14の内側端部48及び外側端部50は、スポーク20の外側環状部36の側面から半径方向内側にまで回り込んで形成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、トレッドリングとハブとをスポークで連結したエアレスタイヤ、並びに、その製造装置及び方法に関する。
例えば、特許文献1には、トレッドリングとハブとをスポークで連結したエアレスタイヤであって、スポークとトレッドリングとを接着層を介して接合し、接着層における車軸方向の外側を接着テープ等の被覆手段で覆うことが開示されている。
国際公開第2014/188912号
図14A〜図14Cで模式的に示すように、トレッドリング100とハブ102とをスポーク104で連結し、スポーク104とトレッドリング100とを接着層106を介して接合した従来のエアレスタイヤ108を図示しない車両に装着した場合、エアレスタイヤ108には、以下に説明する力が作用する。
車両走行時、エアレスタイヤ108は、車体からの圧縮力を受ける一方で、路面から張力を受ける。また、車両走行時のエアレスタイヤ108の回転に伴い、スポーク104は、エアレスタイヤ108の周方向に作用する圧縮撓み力を受け、回転方向に撓む。図14Bは、停車時のスポーク104の状態を示し、図14Cは、車両走行時のスポーク104の状態を示す。さらに、車両のコーナリング時には、車軸方向の力としての横力がトレッドリング100に作用する。
ここで、トレッドリング100の車軸方向外側に大きな横力が加わると、スポーク104とトレッドリング100とを接合する接着層106が剥離するおそれがある。また、車両走行時、スポーク104は、上記の4つの力(圧縮力、張力、圧縮撓み力、横力)を受ける。このうち、張力、圧縮撓み力及び横力の3つの力が接着層106の剥離に特に大きな影響を及ぼす。
このように、従来のエアレスタイヤ108では、大きな横力等が加わる場合、接着層106の剥離に対するタフネスが低いため、当該タフネスを向上させる必要があった。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、トレッドリングとスポークとを接合する接着層の剥離に対するタフネスを向上させることができるエアレスタイヤ、並びに、その製造装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明は、接地面を有する円筒状のトレッドリング、前記トレッドリングの半径方向内側に配され、且つ、車軸に固定されるハブ、及び、前記トレッドリングと前記ハブとを連結するスポークを備え、前記トレッドリングと前記スポークとを接着層を介して接合したエアレスタイヤ、並びに、その製造装置及び方法に関する。
そして、上記の目的を達成するため、本発明に係るエアレスタイヤは、前記車軸の方向に沿った前記トレッドリングの端部が、前記スポークの側面から該スポークの半径方向内側にまで回り込んで形成されている。
また、本発明に係るエアレスタイヤの製造装置は、トレッドゴム部が配置される下型と、前記下型に配置された前記トレッドゴム部の端部を押さえる横型と、前記下型に対向する上型とを有する。この場合、前記下型に配置された前記トレッドゴム部の表面に前記接着層となる接着剤を配し、前記接着剤に前記スポークを接触させ、前記上型を下降させて前記トレッドゴム部及び前記スポークを押圧し、前記トレッドゴム部の端部を前記スポークの側面から該スポークの半径方向内側にまで回り込ませ、前記トレッドゴム部と前記スポークとを前記接着剤を介して接合させ、接合後の前記トレッドゴム部を前記トレッドリングとして形成する。
さらに、本発明に係るエアレスタイヤの製造方法は、トレッドゴム部を製造する工程と、前記トレッドゴム部を前記トレッドリングとして形成する工程とを有する。前記トレッドリングを形成する工程では、前記トレッドゴム部を下型に配置し、前記トレッドゴム部の表面に前記接着層となる接着剤を配し、前記接着剤に前記スポークを接触させ、前記トレッドゴム部の端部を横型で押さえた状態で上型を下降させて前記トレッドゴム部及び前記スポークを押圧し、前記トレッドゴム部の端部を前記スポークの側面から該スポークの半径方向内側にまで回り込ませ、前記トレッドゴム部と前記スポークとを前記接着剤を介して接合させ、接合後の前記トレッドゴム部を前記トレッドリングとして形成する。
このように、本発明では、前記トレッドリング(前記トレッドゴム部)の端部を、前記スポークの側面及び半径方向内側にまで回り込ませる。これにより、前記トレッドゴム部の剛性に起因した形状保持力によって、前記エアレスタイヤに横力等の力が作用しても、前記接着層の剥離を抑制することができる。従って、本発明によれば、前記トレッドリング(前記トレッドゴム部)及び前記接着層の剥離に対するタフネスを向上させることができる。また、前記トレッドリングの端部は、前記スポークの側面を覆っているため、前記接着層に対する外的な衝撃(石や砂等の外部の異物の衝突)の発生を回避することができる。
本発明の効果は、概略、上記の通りであるが、より詳しく説明すると、従来のエアレスタイヤ108の形状と比較した場合、本発明では、下記の4つの効果が得られる。
(1)前記トレッドリング(前記トレッドゴム部)の端部が前記スポークの側面及び半径方向内側にまで回り込むことにより、前記トレッドリングと前記スポークとの接着面積(前記接着層の面積)が増加する。これにより、張力、圧縮撓み力及び横力に対する前記接着層の剥離タフネスが向上する。
(2)前記トレッドゴム部の形状剛性を利用することで、前記スポークの半径方向内側に対する張力、及び、前記スポークの圧縮撓み力に対する剥離タフネスが向上する。
(3)石や砂等の外的な異物に対する前記接着層のダメージリスクの軽減を図ることができる。
(4)従来のエアレスタイヤ108と比較して、前記トレッドリングの幅を変えることなく、前記接着層の剥離タフネスを向上させることができる。これにより、前記トレッドリングの端部の形状によって、前記エアレスタイヤのタイヤ特性が影響を受けることはない。
以上のように、本発明によれば、前記トレッドリングと前記スポークとを接合する前記接着層の剥離に対するタフネスを向上させることができる。
また、本発明において、前記スポークは、前記ハブと連結される内側環状部、前記接着層を介して前記トレッドリングと接合される外側環状部、及び、前記内側環状部と前記外側環状部とを一体的に連結し、且つ、前記エアレスタイヤの周方向に沿って所定角度間隔で設けられた複数のスポーク部で構成される。ここで、前記車軸の方向に対して前記各スポーク部を傾斜させて配列する場合、前記トレッドリングの両端部は、前記スポーク部の撓みと干渉しない位置まで、前記外側環状部の両側面及び半径方向内側を覆うことが好ましい。
このように、前記トレッドリングの端部は、撓んだ状態の前記スポーク部と干渉しない程度に、前記外側環状部の半径方向内側を覆うので、前記エアレスタイヤの機能を損なうことなく、前記接着層の剥離に対するタフネスを最大限に向上させることができる。
本発明によれば、トレッドリングとスポークとを接合する接着層の剥離に対するタフネスを向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るエアレスタイヤの斜視図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 図3Aは、図2のエアレスタイヤの一部を拡大して図示した断面図であり、図3Bは、第1比較例の断面図である。 図4A及び図4Bは、それぞれ、図2のエアレスタイヤを図示した一部側面図及び斜視図である。 図5A及び図5Bは、図2のエアレスタイヤの一部を図示した斜視図である。 図6A及び図6Bは、それぞれ、第2比較例の断面図及び斜視図である。 図7A及び図7Bは、第2比較例の斜視図である。 図8Aは、トレッドゴム部の製造工程を図示した断面図であり、図8B及び図8Cは、トレッドゴム部に対するワイヤの成型工程を図示した断面図である。 図9A及び図9Bは、本実施形態に係る製造装置によるエアレスタイヤの成型工程を図示した断面図である。 図10A及び図10Bは、それぞれ、第1及び第2変形例の断面図である。 図11A及び図11Bは、それぞれ、第3及び第4変形例の断面図である。 図12A及び図12Bは、それぞれ、第5及び第6変形例の断面図である。 図13A及び図13Bは、それぞれ、第7及び第8変形例の断面図である。 図14Aは、従来のエアレスタイヤの一部を拡大して図示した断面図であり、図14B及び図14Cは、図14Aのエアレスタイヤの一部を拡大して図示した側面図である。
以下、本発明に係るエアレスタイヤ、並びに、その製造装置及び方法について好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら説明する。
[本実施形態の構成]
本発明の一実施形態に係るエアレスタイヤ10は、図1及び図2に示すように、接地面12を有する円筒状のトレッドリング14と、トレッドリング14の半径方向内側に配され、且つ、車軸16に固定されるハブ18と、トレッドリング14とハブ18とを連結するスポーク20とを具備する。エアレスタイヤ10は、例えば、乗用車用のタイヤとして構成される。
トレッドリング14は、空気入りタイヤにおけるトレッド部に相当する。トレッドリング14を構成するトレッドゴム部22は、接地に対する摩擦力や耐摩耗性に優れるゴム組成物が好適に採用される。また、接地面12には、ウェット性能を確保するため、図示しないトレッド溝が形成されている。
ハブ18は、タイヤホイールに相当し、車軸16に固定される円盤状のディスク部24と、ディスク部24の半径方向外側に一体形成される円筒状のスポーク取付部26とから構成される。ディスク部24の中央には、車軸16の前端部28が挿入されるハブ孔30が形成されている。また、ハブ孔30の周囲には、複数のボルト挿通孔32が形成されている。各ボルト挿通孔32には、車軸16側に配されるボルト部34が挿入され、図示しないナットにより固定される。なお、ハブ18は、従来のタイヤホイールと同様に、例えば、スチール、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属材料で構成されることが好ましい。
スポーク20は、トレッドリング14に連結される円環状の外側環状部36と、ハブ18に連結される円環状の内側環状部38と、エアレスタイヤ10の周方向に沿って所定角度間隔で設けられ、外側環状部36と内側環状部38とを一体的に連結する複数のスポーク部40とから構成されている。スポーク20は、高分子材料、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる。熱硬化系樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂、又は、メラミン系樹脂が好適である。
内側環状部38は、図示しない接着層を介して、ハブ18のスポーク取付部26と面接触により接合されている。なお、当該接着層における車軸16方向の外側(図2の左側)、すなわち、エアレスタイヤ10が装着される車両の車幅方向の外側は、車両走行中、石や砂等の外部の異物と接着層との接触を回避するため、接着テープ等の被覆手段で覆われていることが好ましい。
各スポーク部40は、エアレスタイヤ10の周方向に沿って所定角度間隔に設けられ、且つ、車軸16の方向に対して斜めに傾斜するスポーク板列46として、外側環状部36と内側環状部38との間に配列されている。そして、各スポーク部40によって外側環状部36と内側環状部38とが一体的に連結されたスポーク20が構成される。
本実施形態に係るエアレスタイヤ10は、図2及び図3Aに示すように、トレッドゴム部22の車軸16の方向に沿った両端部が、外側環状部36の側面から半径方向内側にまで回り込んで形成されている。ここで、トレッドゴム部22(トレッドリング14)の両端部とは、図2及び図3Aの右側(車両の車幅方向内側)の一端部である内側端部48と、図2及び図3Aの左側(車幅方向外側)の他端部である外側端部50とである。そして、トレッドゴム部22は、接着剤からなる接着層52を介して、外側環状部36と接合されている。
このように、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50が外側環状部36の側面から半径方向内側にまで回り込み、トレッドゴム部22が接着層52を介して外側環状部36と面接触で接合されている。これにより、より大きな接合面積でトレッドゴム部22と外側環状部36とが接合される。この結果、車両走行時にエアレスタイヤ10に作用する各力(圧縮力、張力、圧縮撓み力、横力)に起因した外側環状部36からのトレッドゴム部22及び接着層52の剥離タフネスを向上させることができる。また、外部から見て、接着層52は、トレッドゴム部22で覆われている。これにより、車両走行時、石や砂等の外部の異物から接着層52を適切に保護することができる。
なお、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50には、補強用のワイヤ54、56がそれぞれ埋設されている。但し、エアレスタイヤ10において、ワイヤ54、56は、必須の構成要素ではない。従って、本実施形態に係るエアレスタイヤ10は、ワイヤ54、56の無いエアレスタイヤであってもよいことは勿論である。
図3Bは、第1比較例として、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50が外側環状部36の側面のみ覆っている場合を図示する。第1比較例では、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50が、外側環状部36の半径方向内側にまで回り込んでいない。そのため、第1比較例は、本実施形態を図示した図2及び図3Aと比較して、内側端部48及び外側端部50が外側環状部36の半径方向内側にまで回り込んでいない分、トレッドゴム部22と外側環状部36との接合面積(接着層52の接着面積)が小さくなる。この結果、第1比較例では、外側環状部36に対するトレッドゴム部22及び接着層52の剥離タフネスが低く、車両のコーナリング時に発生する横力等によってトレッドゴム部22及び接着層52が剥離するおそれがある。
図4A〜図5Bは、スポーク部40とトレッドゴム部22との配置関係を図示したものである。なお、図4A〜図5Bでは、説明の容易化のため、1個のスポーク部40のみ図示すると共に、当該スポーク部40の傾斜の向きを図1の場合とは異なる傾斜の向きで図示している。
エアレスタイヤ10を装着した車両が走行する場合、スポーク部40は、車両の走行方向(エアレスタイヤ10の回転方向)に向かう圧縮撓み力を受ける。図4Aは走行前の状態を図示し、図4B〜図5Bでは、車両走行中、スポーク部40が圧縮撓み力を受けて略V字状に撓んだ状態を図示している。
本実施形態に係るエアレスタイヤ10では、車両走行中のスポーク部40の撓みの発生も考慮し、撓んだ状態のスポーク部40とトレッドゴム部22との干渉が発生しない程度に、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50を、外側環状部36の半径方向内側に回り込ませるようにしている。これにより、図4B〜図5Bに示すように、スポーク部40の撓みが発生しても、スポーク部40とトレッドゴム部22との干渉の発生を回避することができる。
図6A〜図7Bは、第2比較例として、撓んだ状態のスポーク部40との干渉が発生する位置にまで、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50が、外側環状部36の半径方向内側に回り込んでいる場合を図示している。第2比較例では、車両走行時に発生する横力等に起因してスポーク部40の撓みが発生すると、スポーク部40とトレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50との干渉が発生し、内側端部48及び外側端部50におけるスポーク部40との接触箇所58でトレッドゴム部22が損傷するおそれがある。この結果、外側環状部36に対するトレッドゴム部22及び接着層52の剥離タフネスの確保や、外部の異物からの接着層52の保護が困難になる。
[本実施形態の製造装置及び製造方法]
以上のように構成される本実施形態に係るエアレスタイヤ10を製造する製造装置60及び製造方法について、図8A〜図9Bを参照しながら説明する。
エアレスタイヤ10を製造する場合、先ず、図8Aに示すように、平板状のトレッドゴム部22を製造する(トレッドゴム部22を製造する工程)。
次に、図8Bに示すように、ワイヤ54、56をトレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50の近傍に配置し、ワイヤ54を覆うように内側端部48を丸める一方で、ワイヤ56を覆うように外側端部50を丸める。これにより、図8Cに示すように、トレッドゴム部22内にワイヤ54、56が埋設される。
次に、図9Aに示すように、製造装置60の下型62に図8Cのトレッドゴム部22を配置し、トレッドゴム部22の上面に接着剤64を塗布する。そして、トレッドゴム部22の左右両側に横型66を接近させ、各横型66で内側端部48及び外側端部50を押圧する。そして、断面略L字状の樹脂製のスポーク片68と、断面略I字状の樹脂製のスポーク片70とを下降させ、接着剤64上に接触させる。なお、スポーク片70は、下型62に対向するスライド型としての上型72の中心に形成された挿通孔74を貫通して接着剤64と接触する。
横型66によりトレッドゴム部22を横方向に押圧している状態で、上型72を下降させ、トレッドゴム部22、接着剤64及びスポーク片68、70を上型72及び下型62で上下方向に押圧する(トレッドリング14を形成する工程)。この結果、図9Bに示すように、スポーク片68の上側にまでトレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50が回り込み、トレッドゴム部22とスポーク片68、70とは、接着剤64を介して接合される。
接着剤64が硬化した後、トレッドゴム部22に対して上型72を上方に離間する一方で、横型66を左右に離間させる。次に、下型62から一体となったトレッドゴム部22及びスポーク片68、70を取り出し、所定の加工処理を施すことにより、エアレスタイヤ10が完成する。この場合、接着剤64が接着層52となり、断面略L字状の2つのスポーク片68と、断面略I字状のスポーク片70のスポーク片68側とが、スポーク20の外側環状部36となる。
なお、本実施形態に係るエアレスタイヤ10は、前述のように、ワイヤ54、56を有しないエアレスタイヤも包含する。そのため、上記の製造装置60及び製造方法において、ワイヤ54、56の無いエアレスタイヤ10を製造する場合には、ワイヤ54、56を埋設する工程は不要である。
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係るエアレスタイヤ10、並びに、その製造装置60及び製造方法によれば、トレッドリング14(トレッドゴム部22)の内側端部48及び外側端部50を、スポーク20の外側環状部36の側面及び半径方向内側にまで回り込ませる。これにより、トレッドゴム部22の剛性に起因した形状保持力によって、車両走行中、エアレスタイヤ10に横力等の力が作用しても、接着層52の剥離を抑制することができる。従って、本実施形態によれば、トレッドリング14(トレッドゴム部22)及び接着層52の剥離に対するタフネスを向上させることができる。また、トレッドリング14の内側端部48及び外側端部50は、スポーク20の外側環状部36の側面を覆っているため、接着層52に対する外的な衝撃(石や砂等の外部の異物の衝突)の発生を回避することができる。
さらに、従来のエアレスタイヤ108の形状と比較した場合、エアレスタイヤ10では、下記の4つの効果が得られる。
(1)トレッドリング14(トレッドゴム部22)の内側端部48及び外側端部50がスポーク20の外側環状部36の側面及び半径方向内側にまで回り込むことにより、トレッドゴム部22と外側環状部36との接着面積(接着層52の面積)が増加する。これにより、張力、圧縮撓み力及び横力に対する接着層52の剥離タフネスが向上する。
(2)トレッドゴム部22の形状剛性を利用することで、外側環状部36の半径方向内側に対する張力、及び、スポーク部40の圧縮撓み力に対する剥離タフネスが向上する。
(3)石や砂等の外的な異物に対する接着層52のダメージリスクの軽減を図ることができる。
(4)従来のエアレスタイヤ108と比較して、トレッドリング14の幅を変えることなく、接着層52の剥離タフネスを向上させることができる。これにより、トレッドリング14の内側端部48及び外側端部50の形状によって、エアレスタイヤ10のタイヤ特性が影響を受けることはない。
以上のように、本実施形態によれば、トレッドリング14とスポーク20の外側環状部36とを接合する接着層52の剥離に対するタフネスを向上させることができる。
また、車軸16の方向に対して各スポーク部40を傾斜させて配列する場合、トレッドリング14の内側端部48及び外側端部50は、スポーク部40の撓みと干渉しない位置まで、外側環状部36の両側面及び半径方向内側を覆う。このように、内側端部48及び外側端部50は、撓んだ状態のスポーク部40と干渉しない程度に、外側環状部36の半径方向内側を覆うので、エアレスタイヤ10の機能を損なうことなく、接着層52の剥離に対するタフネスを最大限に向上させることができる。
[本実施形態の変形例]
次に、本実施形態に係るエアレスタイヤ10の変形例(第1〜第8変形例)について、図10A〜図13Bを参照しながら説明する。
図10Aに示す第1変形例では、外側環状部36の半径方向内側を覆っているトレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50について、その角部分が面取りされた形状とされている。この場合、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50以外の箇所は、図3Aでの本実施形態の形状や、図3Bでの第1比較例の形状と同じ形状となる。そのため、第1変形例では、その形状がタイヤ特性に影響を与えるものではない。
また、内側端部48及び外側端部50における外側環状部36の側面の部分や半径方向内側の部分は、ストレート形状であり、一方で、角部分は面取りされている。そのため、製造装置60(図9A及び図9B参照)を用いて第1変形例のエアレスタイヤ10を製造する場合、上型72、下型62及び横型66の金型からの離型性が良好となり、エアレスタイヤ10の生産性を向上させることができる。
図10Bに示す第2変形例では、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50における外側環状部36の側面の部分が、接地面12に向って外方に傾斜する形状となっている。すなわち、トレッドゴム部22は、スポーク20から接地面12に向かって拡開する形状となっている。
図11A及び図11Bに示す第3及び第4変形例では、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50における外側環状部36の側面の部分が、接地面12に向って中心に傾斜する形状となっている。すなわち、トレッドゴム部22は、スポーク20から接地面12に向かって縮径する形状となっている。なお、図11Aの第3変形例よりも図11Bの第4変形例の方が、内側端部48及び外側端部50における外側環状部36の側面部分での傾斜が大きい。
図10B〜図11Bの第2〜第4変形例では、外側環状部36の車軸16の方向の幅を変えることなく、内側端部48及び外側端部50における外側環状部36の側面部分を傾斜させることで、トレッドリング14の幅を変更可能である。これにより、車両に適したタイヤ特性を有するエアレスタイヤ10を実現することができる。
例えば、路面との接地面積を増やし、車両走行の安定性を確保したい場合には、図10Bの第2変形例のエアレスタイヤ10が好適である。そのような車両としては、例えば、車椅子、シニアカー、スポーツカー、高級乗用車のような各種車両や、全地形対応車(ATV;All Terrain Vehicle)、マルチユーティリティビークル(MUV;Multipurpose Utility Vehicle)、サイドバイサイドビークル(SSV;Side by Side Vehicle)のような不整地用車両がある。
図12Aに示す第5変形例では、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50における外側環状部36の半径方向内側の部分が、中心に向かって傾斜するテーパ状に形成されている。一方、図12Bに示す第6変形例では、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50における外側環状部36の半径方向内側の部分が、中心に向かって円弧状に縮径している。すなわち、図3Aの本実施形態の形状や、図10Aの第1変形例の形状と比較して、第5及び第6変形例では、内側端部48及び外側端部50のトレッドゴムの量が少ない。
これにより、第5及び第6変形例では、トレッドゴム部22と外側環状部36との接着面積を一定にしつつ、内側端部48及び外側端部50でのトレッドゴムの量を調整することで、内側端部48及び外側端部50の形状剛性をコントロールすることが可能となる。この結果、トレッドゴム部22の軽量化と、車両に適したトレッドゴム部22及び接着層52の剥離タフネスとのバランスを適切にチューニングすることができる。
図13A及び図13Bに示す第7及び第8変形例では、トレッドゴム部22の内側端部48及び外側端部50が外方に向かって円弧状に膨出している。これにより、エアレスタイヤ10のショルダー部分の形状やレイアウトを含め、車両のコーナリング時に、エアレスタイヤ10の接地面12が、空気入りタイヤに最も近い形状となる。この結果、エアレスタイヤ10と空気入りタイヤとの互換性(タイヤ特性、レイアウト等)を確保することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。
10…エアレスタイヤ 12…接地面
14…トレッドリング 16…車軸
18…ハブ 20…スポーク
22…トレッドゴム部 36…外側環状部
38…内側環状部 40…スポーク部
46…スポーク板列 48…内側端部
50…外側端部 52…接着層
54、56…ワイヤ 58…接触箇所
60…製造装置 62…下型
64…接着剤 66…横型
68、70…スポーク片 72…上型

Claims (4)

  1. 接地面を有する円筒状のトレッドリング、前記トレッドリングの半径方向内側に配され、且つ、車軸に固定されるハブ、及び、前記トレッドリングと前記ハブとを連結するスポークを備え、前記トレッドリングと前記スポークとを接着層を介して接合したエアレスタイヤであって、
    前記車軸の方向に沿った前記トレッドリングの端部は、前記スポークの側面から該スポークの半径方向内側にまで回り込んで形成されていることを特徴とするエアレスタイヤ。
  2. 請求項1記載のエアレスタイヤにおいて、
    前記スポークは、前記ハブと連結される内側環状部、前記接着層を介して前記トレッドリングと接合される外側環状部、及び、前記内側環状部と前記外側環状部とを一体的に連結し、且つ、前記エアレスタイヤの周方向に沿って所定角度間隔で設けられた複数のスポーク部で構成され、
    前記車軸の方向に対して前記各スポーク部を傾斜させて配列する場合、前記トレッドリングの両端部は、前記スポーク部の撓みと干渉しない位置まで、前記外側環状部の両側面及び半径方向内側を覆うことを特徴とするエアレスタイヤ。
  3. 接地面を有する円筒状のトレッドリング、前記トレッドリングの半径方向内側に配され、且つ、車軸に固定されるハブ、及び、前記トレッドリングと前記ハブとを連結するスポークを備え、前記トレッドリングと前記スポークとを接着層を介して接合したエアレスタイヤの製造装置であって、
    トレッドゴム部が配置される下型と、
    前記下型に配置された前記トレッドゴム部の端部を押さえる横型と、
    前記下型に対向する上型と、
    を有し、
    前記下型に配置された前記トレッドゴム部の表面に前記接着層となる接着剤を配し、前記接着剤に前記スポークを接触させ、前記上型を下降させて前記トレッドゴム部及び前記スポークを押圧し、前記トレッドゴム部の端部を前記スポークの側面から該スポークの半径方向内側にまで回り込ませ、前記トレッドゴム部と前記スポークとを前記接着剤を介して接合させ、接合後の前記トレッドゴム部を前記トレッドリングとして形成することを特徴とするエアレスタイヤの製造装置。
  4. 接地面を有する円筒状のトレッドリング、前記トレッドリングの半径方向内側に配され、且つ、車軸に固定されるハブ、及び、前記トレッドリングと前記ハブとを連結するスポークを備え、前記トレッドリングと前記スポークとを接着層を介して接合したエアレスタイヤの製造方法であって、
    トレッドゴム部を製造する工程と、
    前記トレッドゴム部を下型に配置し、前記トレッドゴム部の表面に前記接着層となる接着剤を配し、前記接着剤に前記スポークを接触させ、前記トレッドゴム部の端部を横型で押さえた状態で上型を下降させて前記トレッドゴム部及び前記スポークを押圧し、前記トレッドゴム部の端部を前記スポークの側面から該スポークの半径方向内側にまで回り込ませ、前記トレッドゴム部と前記スポークとを前記接着剤を介して接合させ、接合後の前記トレッドゴム部を前記トレッドリングとして形成する工程と、
    を有することを特徴とするエアレスタイヤの製造方法。
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