JP7247028B2 - 競技用途車椅子用タイヤのトレッド用ゴム組成物、及び競技用途車椅子用タイヤ - Google Patents
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Description
より具体的には、競技用途車椅子において、2つのタイヤは、平行に配置されないことがあるため、このようなタイヤは両輪を均等な力で回さないと直進することすら難しい。上記の競技において、競技者は、競技用途車椅子により、直進し、停止し、回転することを繰り返すが、1つ1つの動作に高度なテクニックが必要とされており、タイヤとしても、特にコート上でのグリップ性に改善の余地があった。
また、競技用途車椅子においては、2つのタイヤが平行に配置されないことがあるため、タイヤの幅方向内側と外側で摩耗具合が異なり易く、耐偏摩耗性にも改善の余地があった。
更に、競技用途車椅子においては、手動でタイヤを回して、頻繁な停止と回転を繰り返すため、操作性(漕ぎの軽さ)についても改善の余地があった。
また、本発明は、コートにおけるグリップ性、耐偏摩耗性、操作性(漕ぎの軽さ)をバランス良く向上させた競技用途車椅子用タイヤを提供することを更なる課題とする。
30℃におけるtanδが0.16以上であり、
60℃におけるtanδが0.25以下であることを特徴とする。
かかる本発明の競技用途車椅子用タイヤのトレッド用ゴム組成物によれば、競技用途車椅子用タイヤのトレッドに用いることで、競技用途車椅子用タイヤのコートにおけるグリップ性、耐偏摩耗性、操作性(漕ぎの軽さ)をバランス良く向上させることができる。
かかる本発明の競技用途車椅子用タイヤは、コートにおけるグリップ性、耐偏摩耗性、操作性(漕ぎの軽さ)がバランス良く向上しており、キャンバー角度のある競技用途車椅子用タイヤとして、特に有用である。
また、本発明によれば、コートにおけるグリップ性、耐偏摩耗性、操作性(漕ぎの軽さ)をバランス良く向上させた競技用途車椅子用タイヤを提供することができる。
本発明の競技用途車椅子用タイヤのトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分を含み、該ゴム成分100質量部中、スチレン-ブタジエンゴムの含有量が60質量部以上であり、30℃におけるtanδが0.16以上であり、60℃におけるtanδが0.25以下であることを特徴とする。
また、本発明の競技用途車椅子用タイヤのトレッド用ゴム組成物においては、60℃におけるtanδが0.25以下であることで、該ゴム組成物をトレッドに適用したタイヤを競技用途車椅子に装着することで、競技用途車椅子の漕ぎが軽くなり、操作性が向上する。
そのため、本発明の競技用途車椅子用タイヤのトレッド用ゴム組成物によれば、競技用途車椅子用タイヤのトレッドに用いることで、競技用途車椅子の、コートにおけるグリップ性、耐偏摩耗性、操作性(漕ぎの軽さ)をバランス良く向上させることができる。
なお、前記スチレン-ブタジエンゴム(SBR)のスチレン含有量は、競技用途車椅子用タイヤのコートにおけるグリップ性及び耐偏摩耗性の観点から、25~50質量%の範囲が好ましい。
また、前記スチレン-ブタジエンゴム(SBR)のブタジエン部分のビニル結合量は、競技用途車椅子用タイヤのコートにおけるグリップ性及び耐偏摩耗性の観点から、20~50質量%の範囲が好ましい。
ここで、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)におけるスチレン含有量及びブタジエン部分のビニル結合量は、1H-NMRスペクトルの積分比より求める。
前記変性スチレン-ブタジエンゴムにおける変性官能基としては、例えば、含窒素官能基、含ケイ素官能基、含酸素官能基等が挙げられる。
前記変性スチレン-ブタジエンゴムしては、市販品を利用することができる。また、前記変性スチレン-ブタジエンゴムは、合成して使用してもよく、例えば、該変性スチレン-ブタジエンゴムしては、(1)モノマーとしてスチレンとブタジエンを使用し、これらのモノマーを共重合させて得た共重合体の分子末端及び/又は主鎖を変性剤で変性して得たポリマー、(2)モノマーとしてスチレンとブタジエンを使用し、変性官能基を有する重合開始剤を用いて、これらのモノマーを共重合させて得たポリマー、(3)モノマーとしてスチレンとブタジエンを使用し、変性官能基を有する重合開始剤を用いて、これらのモノマーを共重合させて得た共重合体の分子末端及び/又は主鎖を更に変性剤で変性して得たポリマー、等を使用することができる。
前記変性剤としては、例えば、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-トリエトキシシリル-1-プロパンアミン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。
前記変性官能基を有する重合開始剤としては、リチウムアミド化合物が好ましい。該リチウムアミド化合物としては、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ-2-エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム-N-メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。
前記着色剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.01~10質量部の範囲が好ましい。
前記架橋剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~10質量部の範囲が好ましい。
前記加硫促進剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部の範囲が好ましい。
ここで、本発明の競技用途車椅子用タイヤのトレッド用ゴム組成物において、30℃におけるtanδ及び60℃におけるtanδは、ゴム成分中のスチレン-ブタジエンゴムの含有量、使用するスチレン-ブタジエンゴムのスチレン含有量、充填剤として使用するシリカ及び/又はカーボンブラックの含有量や種類、その他の配合剤の含有量や種類を変えることで調整でき、当業者であれば、目的とする30℃におけるtanδ及び60℃におけるtanδの値に応じて、適宜調整できる。なお、充填剤の含有量を多くすると、30℃におけるtanδ及び60℃におけるtanδが大きくなる傾向があり、逆に、充填剤の含有量を少なくすると、30℃におけるtanδ及び60℃におけるtanδが小さくなる傾向がある。
本発明の競技用途車椅子用タイヤは、上記の競技用途車椅子用タイヤのトレッド用ゴム組成物を、トレッドに用いたことを特徴とする。
かかる本発明の競技用途車椅子用タイヤは、コートにおけるグリップ性、耐偏摩耗性、操作性(漕ぎの軽さ)がバランス良く向上しており、キャンバー角度のある(即ち、タイヤの赤道面を鉛直方向から傾斜させた)競技用途車椅子用タイヤとして、特に有用である。
また、本発明の競技用途車椅子用タイヤは、車椅子テニス、車椅子バドミントン、車椅子バスケット等のコート上での競技に特に有用である。
表1に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、実施例2のゴム組成物を製造した。また、同様にして、表1に示す配合処方に従い、実施例1及び3~7、並びに比較例1~3のゴム組成物を製造する。得られたゴム組成物に対して、下記の方法で0℃、30℃及び60℃におけるtanδ(損失正接)を測定する。結果を表1に示す。
実施例2のゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムに対して、株式会社上島製作所製スペクトロメーター(動的引張粘弾性測定試験機)を用いて、初期歪2%、動歪1%、周波数52Hzの条件下で、0℃、30℃及び60℃におけるtanδ(損失正接)を測定した。また、実施例1及び3~7、並びに比較例1~3のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムに対しても、同条件下でtanδを測定する。
上記のようにして得られた実施例2のゴム組成物をトレッドに用いて、競技用途車椅子用タイヤ(タイヤサイズ:23-590)を作製した。作製した供試タイヤを競技用途車椅子に装着し、下記の方法で、コートにおけるグリップ性、耐偏摩耗性、操作性を評価した。また、実施例1及び3~7、並びに比較例1~3についても、同様の評価を行う。結果を表1に示す。
なお、装着したタイヤのキャンバー角度(鉛直方向に対する、タイヤの赤道面の傾斜角度)は、18°とした。
実施例2のゴム組成物をトレッドに用いた競技用途車椅子用タイヤについて、初速ゼロから2回漕いで、トップスピードに到達するまでの平均加速度で評価した。回転速度については、トップスピード到達後に、左回り体幹ターンの角速度を評価した。測定には、スマートフォンアプリ「加速度ロガー」を使用した。また、実施例1及び3~7、並びに比較例1~3についても、同様の評価を行う。
各例について、比較例1を100として指数表示し、平均加速度と角速度の指数の平均値で評価した。指数値が大きい程、コートにおけるグリップ性が優れていることを示す。
供試タイヤのトレッドから試験片を切り出し、該試験片に対して、ランボーン型摩耗試験機を使用して、スリップ率80%での摩耗量を測定し、該摩耗量の逆数を算出する。また、測定温度は室温とする。
各例について、比較例1を100として指数表示する。指数値が大きい程、耐偏摩耗性が優れていることを示す。
実施例2のゴム組成物をトレッドに用いた競技用途車椅子用タイヤについて、初速ゼロから2回漕いで、トップスピードに到達するまでの平均加速度で評価した。測定には、スマートフォンアプリ「加速度ロガー」を使用した。また、実施例1及び3~7、並びに比較例1~3についても、同様の評価を行う。
各例について、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、操作性(漕ぎの軽さ)が優れていることを示す。
*2 SBR-B: 下記の方法で合成した変性スチレン-ブタジエンゴム、スチレン含有量=35質量%、ブタジエン部分のビニル結合量=26質量%
*3 SBR-C: 変性スチレン-ブタジエンゴム、旭化成(株)製、商品名「タフデンF3440」、スチレン含有量=35.5質量%、ブタジエン部分のビニル結合量=40質量%
*4 NR: 天然ゴム、#RSS3
*5 シリカ: 東ソー・シリカ工業株式会社製、商品名「ニプシルAQ」
*6 カーボンブラック:旭カーボン株式会社製、商品名「#78」
*7 シランカップリング剤: ビス(3-トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75(登録商標)」
*8 加硫促進剤-A: 1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD]
*9 加硫促進剤-B: ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーDM」
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3-ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3-ブタジエン70.2g及びスチレン39.5gになるように加え、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn-ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-トリエトキシシリル-1-プロパンアミンを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して、変性スチレン-ブタジエンゴムを得た。
Claims (3)
- ゴム成分を含み、該ゴム成分100質量部中、スチレン-ブタジエンゴムの含有量が60質量部以上であり、
更に、シリカを、前記ゴム成分100質量部に対して20~100質量部含み、
30℃におけるtanδが0.16以上であり、
60℃におけるtanδが0.25以下であることを特徴とする、競技用途車椅子用タイヤのトレッド用ゴム組成物。 - 請求項1に記載の競技用途車椅子用タイヤのトレッド用ゴム組成物を、トレッドに用いたことを特徴とする、競技用途車椅子用タイヤ。
- 前記トレッドが、黒以外の色に着色されている、請求項2に記載の競技用途車椅子用タイヤ。
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