JP2017163629A - 電気機械装置、電気機械装置の制御方法、及び電気機械装置の制御プログラム - Google Patents

電気機械装置、電気機械装置の制御方法、及び電気機械装置の制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】モータに加わる幅広い負荷に対応して、モータを安定して回転させることができる電気機械装置、電気機械装置の制御方法、及び電気機械装置の制御プログラムを提供する。【解決手段】電気機械装置100は、回転軸132を含むモータ130と、回転軸132の角度位置が複数の角度範囲のいずれにあるか検知する回転センサと、回転センサで検知された回転軸132の角度範囲に基づいて、モータ130に駆動信号を送ることにより回転軸132の回転を制御するモータ制御部191と、を備え、モータ制御部191は、回転軸132が1つの角度範囲に入ってから回転軸132が1つの角度範囲から出るまでの滞在期間の長さに応じて、滞在期間における駆動信号を変化させる。【選択図】図9

Description

本発明は、電気機械装置、電気機械装置の制御方法、及び電気機械装置の制御プログラムに関するものである。
モータを搭載した電気機械装置は、モータの回転軸の回転によって種々の部材を動かす。電気機械装置の一種として、例えば、車両の変速機を切り替えるためのダイヤル式のシフト装置が挙げられる。ダイヤル式のシフト装置は、操作ノブの回転操作に応じて、電子的に変速機に切り替えを指令する。操作ノブには、操作パネルと面一の状態から突出し、さらに、突出した状態から操作パネルと面一に戻るものがある。操作ノブは、ステッピングモータなどのモータの動力により移動する。従来、ステッピングモータを動かすための種々の方法が知られている。例えば、特許文献1には、ステッピングモータを動かす駆動パルスの出力間隔を変化させることにより、カメラの絞りを所望の位置に停止させる方法が開示されている。
特開2015−89153号公報
しかしながら、電気機械装置のモータの回転軸には、回転を妨げる負荷が加わる場合がある。例えば、シフト装置の操作ノブに、操作者の手や荷物などにより大きな荷重が加わると、モータの回転軸に大きな負荷が加わる。モータの駆動電圧が低く、かつ、荷重が大きい場合、回転軸に加わる負荷が大きいので対象物を移動させることができないことがある。モータの駆動電圧が高く、かつ、荷重が小さい場合、対象物が振動する場合がある。すなわち、従来、モータに加わる幅広い負荷に対応して、モータを安定して回転させることができないという不利益がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータに加わる幅広い負荷に対応して、モータを安定して回転させることができる電気機械装置、電気機械装置の制御方法、及び電気機械装置の制御プログラムを提供することにある。
本発明は、回転軸を含むモータと、回転軸の角度位置が複数の角度範囲のいずれにあるかを検知する回転センサと、回転センサで検知された回転軸の角度範囲に基づいて、モータに駆動信号を送ることにより回転軸の回転を制御するモータ制御部と、を備え、モータ制御部は、回転軸が1つの角度範囲に入ってから回転軸が1つの角度範囲から出るまでの滞在期間の長さに応じて、滞在期間における駆動信号を変化させる、電気機械装置である。
この構成によれば、回転軸の負荷を反映した滞在期間の長さの変化に応じて、駆動信号を変化させることで、モータに加わる幅広い負荷に対応して、モータを安定して回転させることができる。
好適には本発明の電気機械装置において、駆動信号は、低電圧の印加期間と高電圧の印加期間とを時間的に変化させて得られるパルス幅変調信号であり、モータ制御部が、低電圧と高電圧との電位差を変化させることにより、滞在期間における駆動信号を変化させる。
この構成によれば、回転軸の負荷を反映した滞在期間の長さの変化に応じて、駆動信号の電位差を変化させることで、モータに加わる幅広い負荷に対応して、モータを安定して回転させることができる。
好適には本発明の電気機械装置において、モータは、駆動信号の電位差が大きいほど回転軸に加わるトルクを大きくし、モータ制御部は、滞在期間が所定の初期期間を越えた場合、所定の初期期間の経過後、滞在期間の少なくとも一部の期間において駆動信号の電位差を次第に大きくする。
この構成によれば、回転軸の負荷が大きく滞在期間が長い場合に、電位差を所定の初期期間の電位差から次第に高めることで、モータを確実に回転させることができる。さらに、滞在期間が所定の初期期間の間に終われば、電位差が比較的小さいままであるので、軽負荷時に大きな電位差が印加されることによる振動を防ぐことができる。また、振動を防ぐことにより、位置制御に必要な時間を短くすることができる。
好適には本発明の電気機械装置において、モータ制御部は、回転センサで検知された回転軸の角度範囲が切り替わったことに応答して、電位差を所定の初期値にする。
この構成によれば、角度範囲が切り替わるごとに、電位差を所定の初期値に戻すので、各角度範囲で同じ動作を繰り返すことができる。その結果、簡潔な構成により、モータを安定して回転させることができる。
好適には本発明の電気機械装置において、モータ制御部は、電位差が所定の最大値に達した後、電位差を所定の最大値に固定する。
この構成によれば、電位差が所定の最大値より大きくならないので、モータに過電流が流れることを防止して、モータを安定して回転させることができる。
好適には本発明の電気機械装置において、回転センサが、磁気センサを含む。
この構成によれば、磁気センサを使用することで、回転軸の角度位置を正確に検出できる。
好適には本発明の電気機械装置において、車両の変速機を切り替える操作ノブを備え、操作ノブが、回転軸の駆動力により移動する。
この構成によれば、車両の変速機を切り替える操作ノブからモータに加わる幅広い負荷に対応して、モータを安定して回転させることができるので、操作ノブを安定して移動させることができる。
好適には本発明の電気機械装置において、モータは、複数の駆動信号に基づいて回転軸を回転させる複数のコイルを含み、モータ制御部は、回転センサで検知された回転軸の角度範囲と角度範囲の変化とに基づいて複数の駆動信号の各々の低電圧の印加期間と高電圧の印加期間とを決定するステップ制御中に、滞在期間における駆動信号を変化させる。
この構成によれば、ステップ制御中に、モータに加わる幅広い負荷に対応して、モータを安定して回転させることができるので、回転軸を目標の位置に正確に移動させることができる。
本発明は、回転軸を含むモータと、回転軸の角度位置が複数の角度範囲のいずれにあるか検知する回転センサと、回転センサで検知された回転軸の角度範囲に基づいて、モータに駆動信号を送ることにより回転軸の回転を制御するモータ制御部とを備える電気機械装置の制御方法であって、モータ制御部により、回転軸が1つの角度範囲に入ってから回転軸が1つの角度範囲から出るまでの滞在期間の長さに応じて、滞在期間における駆動信号を変化させる、電気機械装置の制御方法である。
本発明は、上記の電気機械装置の制御方法をコンピュータに実行させる電気機械装置の制御プログラムである。
本発明によれば、モータに加わる幅広い負荷に対応して、モータを安定して回転させることができる。
本発明の実施形態の電気機械装置の斜視図である。 操作ノブが収納位置にある図1の電気機械装置の斜視図である。 図1の電気機械装置の3−3線における断面図である。 図2の電気機械装置の4−4線における断面図である。 モータの一部の構成要素の配置を示す概念図である。 検知相ごとに回転センサの検出信号の組み合わせを示す表である。 図1の電気機械装置の制御系統の構成図である。 例示的な駆動信号の電圧と時間との関係を示すグラフである。 駆動信号の高電圧と時間との例示的な関係を示すグラフである。 図1に示す電気機械装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
(構成)
以下、本発明の実施形態に係る電気機械装置について説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る電気機械装置100の異なる状態を示す斜視図である。電気機械装置100は、図示しない車両に搭載されるシフト装置である。本実施形態における上下方向は、説明の便宜のために規定されているのであって、実際の使用方向を限定するわけではない。
図3は、操作ノブ120が突出位置にある図1の電気機械装置100を、3−3線と操作ノブ120の移動方向である上下方向とを含む平面で切断して、矢印の方向に見た、概略の断面図である。図4は、操作ノブ120が収納位置にある図2の電気機械装置100を、4−4線と操作ノブ120の上下方向とを含む平面で切断して、矢印の方向に見た、概略の断面図である。
図1に示すように、電気機械装置100は、筐体110と操作ノブ120とを備える。電気機械装置100の構成要素は、操作ノブ120を除いて筐体110内に収容されている。筐体110は、なくてもよい。
操作ノブ120は、人間による回転操作を受けて、車両の変速機を切り替えるように電子的に指示を送る。操作ノブ120は、筐体110から上方に突出した図1の突出位置と、筐体110に収納された図2に示す収納位置との間で移動する。例えば、車両の図示しないイグニッションスイッチをオンにすると、図2の収納位置から図1の突出位置に移動し、イグニッションスイッチをオフにすることにより、図1の突出位置から図2の収納位置に移動する。
図3に示すように、電気機械装置100は、モータ130を備える。本実施形態のモータ130は、4極6スロットの三相ブラシレスモータであるが、他のブラシレスモータであってもよく、ステップモータなどの他のモータであってもよい。モータ130は、カバー131と、カバー131内からカバー131の外まで上方に突設された回転軸132と、カバー131内で、回転軸132の周囲に配設された固定子133とを含む。回転軸132の円筒状の外周曲面は、ウォームギアとして機能するように溝が設けられている。
図5は、モータ130の一部の構成要素を上方から見たときの配置を示す概念図である。回転軸132は、上下方向に沿った仮想的な中心線135の周りで回転する。回転軸132の下端は、NSNSの4極を回転方向に均等に並べた磁石で構成された回転子として機能する。6スロットの固定子133を構成するコイルU1、コイルV1、コイルW1、コイルU2、コイルV2及びコイルW2は、この順序で中心線135の周りで、反時計回りに60度間隔に配設されている。回転軸132の極の配置は、中心線135の周りに180度単位で同じである。
モータ130は、一般的な三相ブラシレスモータの制御方法と同様に制御される。コイルU1、V1、W1、U2、V2及びW2は、複数の駆動信号に基づいて回転軸132を回転させる。駆動信号の経時的な変化によって、回転方向及び回転速度が決まる。固定子133には、中心線135の周りで180度ごとに対称的な駆動信号が印加される。
モータ130は、さらに、中心線135の周りに60度間隔で配設された、3つの回転センサ134を含む。回転センサ134は、磁気センサであり、より具体的には、ホール効果を利用したホール素子である。回転センサ134は、回転軸132の角度位置を検出する。回転センサ134(HU)は、コイルW2とコイルU1との間に配設されている。回転センサ134(HV)は、コイルU1とコイルV1との間に配設されている。回転センサ134(HW)は、コイルV1とコイルW1との間に配設されている。
3つの回転センサ134から出力される検出信号のパターンに基づいて、回転軸132の回転方向と、角度位置がわかる。角度位置は、回転軸132が回転した角度に対応する。回転センサ134は、回転軸132の角度位置が、所定幅の複数の角度範囲のいずれにあるか検知する。
図6の表136は、検知相D1〜D6により識別された、回転センサ134(HU〜HW)の検出信号の組み合わせを示す。検知相D1〜D6は、180度を6等分した角度範囲に対応する。残りの180度も、検知相D1〜D6と同じパターンの繰り返しである。
検知相D1では、HUがON、HVがOFF、HWがOFFである。検知相D2では、HUがOFF、HVがOFF、HWがOFFである。検知相D3では、HUがOFF、HVがOFF、HWがONである。検知相D4では、HUがOFF、HVがON、HWがONである。検知相D5では、HUがON、HVがON、HWがONである。検知相D6では、HUがON、HVがON、HWがOFFである。
図5に示す回転センサ134(HU〜HW)の検出信号の組み合わせが図6に示す検知相D1〜D6のいずれに該当するかに応じて、回転軸132の存在する角度範囲がわかる。回転軸132が第1回転方向に回転しているとき、検知相は、D1からD6に向かう方向に変化する。D6の次はD1に戻る。回転軸132が第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転しているとき、検知相は、D6からD1に向かう方向に変化する。D1の次はD6に戻る。
図3に示すように、電気機械装置100は、さらに、昇降軸141、昇降台142、及び従動ギア片143を備える。昇降軸141は、操作ノブ120と一体的に連結されており、中心線135の周りで操作ノブ120と一体的に回転する。昇降台142は、昇降軸141を回転可能に保持する。昇降台142は、上下方向に移動可能である一方で、中心線135の周りで回転できないように、図示しない要素で制限されている。従動ギア片143は、昇降台142に固定されており、回転軸132の周囲に配設されている。従動ギア片143は、回転軸132を臨む面に、回転軸132のウォームギアにかみ合うギア溝をもつ。
回転軸132が回転すると、従動ギア片143は回転せずに上下に移動する。回転軸132の回転にともなって、従動ギア片143、昇降台142、昇降軸141及び操作ノブ120が一体的に上下に移動する。すなわち、車両の変速機を切り替える操作ノブ120は、回転軸132の駆動力により移動する。従動ギア片143及び昇降台142は中心線135の周りで回転しないが、操作ノブ120及び昇降軸141は中心線135の周りで両方向に回転可能である。操作ノブ120及び昇降軸141は、回転軸132の回転とは無関係に回転させることができる。回転軸132のウォームギア及び従動ギア片143が、回転軸132の回転に伴って所定の経路に沿って操作ノブ120を移動させる移動機構として機能する。所定の経路は、中心線135に平行な直線である。
昇降台142は、2つの下遮光片144a及び上遮光片144b(以下、区別せずに遮光片144と呼ぶ場合がある)をもつ。下遮光片144aは、昇降台142の一部から下向きに突設されており、上遮光片144bは、昇降台142の一部から上向きに突設されている。
電気機械装置100は、さらに、回路基板150を備える。回路基板150は、筐体110の内部の空間を上下に区画するように配設されている。回路基板150は、操作ノブ120と昇降台142との間に配設され、昇降軸141が回路基板150に触れずに貫通するように配設されている。
電気機械装置100は、さらに、下位置センサ151a及び上位置センサ151b(以下、区別せずに位置センサ151と呼ぶ場合がある)を備える。位置センサ151は、遮光片144の位置を検知することより、間接的に操作ノブ120の位置を検知するフォトセンサである。下位置センサ151aは、筐体110内部の底面に配設されており、下遮光片144aの位置を検知する。上位置センサ151bは、回路基板150の下面に配設されており、上遮光片144bの位置を検知する。
位置センサ151は、上下のいずれか一方に開口をもつ内部空間を画定している。位置センサ151は、内部空間内に物体が存在するか否かを光により検知する。位置センサ151は、内部空間内に遮光片144が存在する場合にオンとなり、内部空間内に遮光片144が存在しない場合にオフとなる。上下方向において、遮光片144の移動量と操作ノブ120の移動量とが同じである。位置センサ151は、遮光片144を通じて間接的に、操作ノブ120の位置を検知する。操作ノブ120は、遮光片144が下位置センサ151aをオンにする収納位置と、遮光片144が上位置センサ151bをオンにする突出位置との間で上下に移動する。
電気機械装置100は、さらに、回路基板150に搭載された操作検知部160を備える。操作検知部160は、回路基板150の両側に配設された2つの回転盤161と、操作量センサ162とを含む。昇降軸141は、回転盤161を貫くように配設されている。昇降軸141の円筒状側面には上下方向に延在する溝が設けられており、回転盤161の係合片が昇降軸141の溝に係合している。回転盤161は、図示しない構成要素により、中心線135の周りに回転可能としながら、上下に移動しないように回路基板150に拘束されている。
昇降軸141が上下に移動するとき、回転盤161の係合片が昇降軸141の溝の中で摺動するので、回転盤161は上下に移動しない。昇降軸141が、中心線135の周りで回転すると、回転盤161の係合片が昇降軸141の溝に押されるので、回転盤161が昇降軸141と共に回転する。回転盤161の回転量は、磁気センサで構成される操作量センサ162によって検知される。すなわち、操作ノブ120の回転操作は、昇降軸141及び回転盤161を通じて、操作量センサ162によって検知される。操作ノブ120の回転操作の検出手段はこれに限るわけではない。
(制御系統)
図7は、電気機械装置100の上下の移動を制御することに関連する制御系統の構成図である。電気機械装置100は、図3に示す回路基板150に搭載された、図7に示すモータ駆動回路170、記憶装置180、及び演算処理装置190を備える。
モータ駆動回路170は、演算処理装置190からの指示に基づいてモータ130を制御して、回転軸132(図3)を所望の方向及び所望の速度で回転させ、並びに、回転軸132(図3)を停止させる。
記憶装置180は、制御プログラムを記憶する。制御プログラムは、演算処理装置190によって読み出されて、演算処理装置190に電気機械装置100の制御方法の一部を行うための機能、及び他の機能を実装させる。演算処理装置190が種々の機能を実行するとき、記憶装置180は、演算処理装置190に制御されて、適宜必要な情報を記憶する。記憶装置180は、非一時的な有形の記憶媒体である。記憶装置180は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)を含む。記憶装置180は、揮発性または不揮発性の記憶媒体である。記憶装置180は、取り外し可能であってもよく、取り外し不能であってもよい。
演算処理装置190は、記憶装置180に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、モータ制御部191として機能する。本実施形態の演算処理装置190は、汎用コンピュータであるが、特定用途向け集積回路(ASIC;application specific integrated circuits)であってもよく、本実施形態で説明される各機能を実装可能な他の回路であってもよい。
演算処理装置190は、モータ駆動回路170、下位置センサ151a、上位置センサ151b、回転センサ134(HU)、回転センサ134(HV)及び回転センサ134(HW)に接続されている。
演算処理装置190は、記憶装置180に記憶された制御プログラムを読み込んで実行することにより、モータ制御部191として機能する。モータ制御部191は、主に、回転制御、停止制御、及びステップ制御の3種類の方法で、回転軸132(図3)を制御する。
まず、図5及び図8を参照して、回転制御について説明する。図8は、固定子133に印加される例示的な駆動信号の電圧と時間との関係を示すグラフである。第1駆動信号211は、コイルU1及びコイルU2に印加される。第2駆動信号212は、コイルV1及びコイルV2に印加される。第3駆動信号213は、コイルW1及びコイルW2に印加される。第1駆動信号211〜第3駆動信号213の電圧は、いずれも、各時点で低電圧VLと高電圧VHとのいずれかをとる方形波であり、低電圧VLの印加期間と高電圧VHの印加期間とを時間的に変化させて得られるパルス幅変調信号である。
第1駆動信号211は、期間A1において、高電圧VHの期間が徐々に長くなり、期間A2において、高電圧VHのみをとり、期間A3において、高電圧VHの期間が徐々に短くなり、期間A4〜期間A6で、低電圧VLのみをとる。第2駆動信号212は、第1駆動信号211を2期間分右に巡回シフトした形状をもつ。第3駆動信号213は、第2駆動信号212を2期間分右に巡回シフトした形状をもつ。
期間A1〜期間A6の順に第1駆動信号211〜第3駆動信号213を、繰り返し固定子133に印加することにより、回転軸132が第1回転方向に回転する。期間A6〜期間A1の順に第1駆動信号211〜第3駆動信号213を、繰り返し固定子133に印加することにより、回転軸132が第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転する。期間A1〜期間A6の第1駆動信号211〜第3駆動信号213を速く送ると、回転軸132が速く回転し、遅く送ると、回転軸132が遅く回転する。
次に、図5及び図8を参照して、停止制御について説明する。停止制御において、モータ制御部191は、回転センサ134から得られる現在の回転軸132の現在の角度範囲と、角度範囲の変化とに基づいて、駆動信号を決定する。停止制御では、ある期間ずつ駆動信号を固定して回転制御よりも細かい移動を行う。駆動信号は、回転制御の場合とは異なってよい。モータ制御部191は、回転軸132の一回転を12等分した角度ごとに配置される12個の角度位置のいずれかを、停止目標とする。設定された停止目標に向かうトルクが回転軸132に印加されるように、駆動信号が選択される。停止目標付近に存在する回転軸132に、停止目標に向かうトルクが印加されるように駆動信号が決定される。
次に、図5及び図8を参照して、ステップ制御について説明する。ステップ制御時において、モータ制御部191は、回転センサ134から得られる回転軸132の現在の角度範囲と、角度範囲の変化とに基づいて、駆動信号の各々の低電圧VLの印加期間と高電圧VHの印加期間とを決定する。ステップ制御では、回転軸132が角度範囲単位で移動する。例えば、現在、図6の検知相D1〜D6のいずれであるかに応じて、図8の期間A1〜A6のいずれかの組み合わせの駆動信号が選択される。駆動信号の組み合わせは図8に示すもの以外であってもよい。現在の検知相がD1(図6)であり、次に回転軸132をD2に移動させたい時には、図8の期間A1〜A6のうち、D2に向かうトルクを回転軸132に印加する組み合わせの駆動信号が選択される。
モータ制御部191は、図3の突出位置にある操作ノブ120を、図4の収納位置に移動させるとき、まず、回転制御により操作ノブ120を目標の位置まで動かす。目標の位置に到達したかどうかは、回転センサ134で検知される検知相の変化をカウントすることにより検知する。次に、現在のカウント数が、目標位置のカウント数に到達した場合、停止制御を行う。次に、まだ、現在のカウント数が、目標位置のカウント数からずれている場合、ステップ制御で微調整を行う。
図9は、駆動信号の高電圧VHと時間との例示的な関係を示すグラフ220である。図5及び図9を参照して、ステップ制御について詳細に説明する。回転センサ134の出力は、期間ta〜tdで検知相D1であり、期間td〜teで検知相D2であり、期間te〜tgで検知相D3であり、期間tg〜tjで検知相D4である。
モータ制御部191は、回転センサ134で検知された回転軸132の角度範囲に基づいて、モータ130に駆動信号を送ることにより回転軸132の回転を制御する。角度範囲の違いは、検知相D1〜D6(図6)の違いに対応する。モータ制御部191は、回転軸132が1つの角度範囲に入ってから回転軸132がその1つの角度範囲から出るまでの滞在期間の長さに応じて、滞在期間における駆動信号を変化させる。モータ制御部191は、低電圧VL(図8)と高電圧VHとの電位差を変化させることにより、滞在期間における駆動信号を変化させる。モータ130は、駆動信号の低電圧VLと高電圧VHとの電位差が大きいほど回転軸132に加わるトルクを大きくする。例えば、モータ制御部191は、低電圧VLを固定し、低電圧VLと高電圧VHとの電位差を変化させる。図9の例では、滞在期間ta〜td、滞在期間td〜te、滞在期間te〜tg、滞在期間tg〜tjのすべてにおいて、高電圧VHが異なる形状で変化する。
モータ制御部191は、回転センサ134で検知された回転軸132の角度範囲が切り替わったことに応答して、電位差を所定の初期値にする。図9の例では、モータ制御部191は、時間ta、時間td、時間tg、及び時間tjにおいて、高電圧VHがVH0に戻ることにより、電位差が所定の初期値に戻る。
モータ制御部191は、回転軸132の角度範囲が切り替わった後、所定の初期期間T1を越えるまでの間、駆動電圧の電位差を所定の初期値に保つ。図9の例では、期間ta〜tb、期間td〜te、期間te〜tf、及び期間tg〜thにおいて、高電圧VHが一定であるので、駆動電圧の電位差が所定の初期値に保たれている。
モータ制御部191は、滞在期間が所定の初期期間T1を越えた場合、初期期間T1の経過後、滞在期間の少なくとも一部の期間において駆動信号の電位差を次第に大きくする。図9の例では、期間tb〜tc、期間tf〜tg、及び期間th〜tiにおいて、高電圧VHが次第に大きくなることにより、駆動電圧の電位差が次第に大きくなる。電位差の変化の割合は一定である。他の例において、変化の割合が一定でなくてもよい。
モータ制御部191は、電位差が所定の最大値に達した後、電位差を所定の最大値に固定する。図9の例では、期間tc〜td、及び期間ti〜tjにおいて、高電圧VHが最大値VH1に固定されることにより、電位差が所定の最大値に固定される。モータ制御部191は、高電圧VHが最大値VH1に達したことを、高電圧VHの値から検知してもよく、高電圧VHが次第に上昇する上昇期間がT2を越えたことにより検知してもよい。
図3に示す突出位置にある操作ノブ120を、図4に示す収納位置に移動させるとき、操作ノブ120に、何も触れていなければ、回転軸132の負荷は比較的小さい。回転軸132の負荷が比較的小さいとき、回転軸132を比較的小さなトルクで回転させることができる。図9の滞在期間td〜teは、回転軸132に加わる負荷が比較的小さい場合に対応し、他の滞在期間に比べて短い。
操作ノブ120に人間の手や荷物などにより荷重が加わると、回転軸132に比較的大きな負荷が加わる。回転軸132に加わる負荷が比較的大きいとき、回転軸132を回転させるのに大きなトルクが必要となる。図9の滞在期間ta〜td、滞在期間te〜tg、及び滞在期間tg〜tjは、回転軸132に加わる負荷が比較的大きい場合に対応し、他の滞在期間に比べて長い。滞在期間が初期期間T1を越えると、駆動信号の電位差が上昇して、回転軸132に加わるトルクが高くなる。従って、回転軸132に大きな負荷がかかっても、回転軸132を回転させることができる。
(制御方法)
次に、図10のフローを参照して、ステップ制御時の電気機械装置100の制御方法について説明する。本制御方法は、回転センサ134で検知された角度位置が変化するごとに、実行される。
ステップ302において、モータ制御部191は、駆動信号の高電圧VHをVH0に設定する。駆動信号の高電圧VHと低電圧VLとの電位差が所定の初期値になる。すなわち、回転センサ134で検知された角度位置が変化するごとに、駆動信号の電位差が所定の初期値に戻る。VH0は、低電圧VLより大きい。
ステップ304において、モータ制御部191は、タイマーをt=0にリセットする。タイマーで示される経過時間は、回転センサ134で検知される角度位置が変化してからの経過時間を表す。
ステップ306において、モータ制御部191は、回転センサ134で検知された角度位置が変化していないか判定する。角度位置の変化は、検知相D1〜D6(図6)の変化に対応する。モータ制御部191は、回転センサ134で検知された角度位置が変化した場合、比較的小さなトルクで回転軸132の角度位置が変化したので、本制御方法を終了する。モータ制御部191は、回転センサ134で検知された角度位置が変化しない場合、ステップ308に進む。
ステップ308において、モータ制御部191は、タイマーで示される経過時間が、所定の初期期間T1以上であるか判定する。モータ制御部191は、経過時間が所定の初期期間T1未満である場合、ステップ310に進み、経過時間が所定の初期期間T1以上である場合、ステップ312に進む。
ステップ310において、モータ制御部191は、駆動信号の高電圧VHをVH0に維持し、ステップ318に進む。すなわち、経過時間が所定の初期期間T1以上となるまで、電位差が所定の初期値に維持される。
ステップ312において、モータ制御部191は、タイマーで示される経過時間が、所定の上昇期間T2以上であるか判定する。モータ制御部191は、経過時間が所定の上昇期間T2未満である場合、ステップ314に進み、経過時間が所定の上昇期間T2以上である場合、ステップ318に進む。上昇期間T2は、駆動信号の高電圧VHが、上昇を始めてから最大値VH1に達するまでの時間である。
ステップ314において、モータ制御部191は、駆動信号の高電圧VHを上昇させて、ステップ318に進む。駆動信号の高電圧VHは、VH0+(k×t)で表される。kは、単位時間当たりの電圧の上昇度合いを表す比例定数である。tはタイマーで示される経過時間である。高電圧VHは、時間に比例して次第に上昇する。
ステップ316において、モータ制御部191は、駆動信号の高電圧VHを最大値VH1に固定し、ステップ318に進む。すなわち、駆動信号の高電圧VHが、VH1に達すると、電位差が固定される。
ステップ318において、モータ制御部191は、タイマーを1進める(t=t+1)。本実施形態では、略一定のタイミングでステップ318が実行される。
モータ制御部191は、ステップ306において、回転センサ134で検知された角度位置が変化したと判定されるまで、ステップ306〜ステップ318を繰り返す。
(効果)
本実施形態によれば、回転軸132の負荷を反映した滞在期間の長さの変化に応じて、駆動信号を変化させることで、モータ130に加わる幅広い負荷に対応して、モータ130を安定して回転させることができる。
本実施形態によれば、回転軸132の負荷を反映した滞在期間の長さの変化に応じて、駆動信号の電位差を変化させることで、モータ130に加わる幅広い負荷に対応して、モータ130を安定して回転させることができる。
本実施形態によれば、回転軸132の負荷が大きく滞在期間が長い場合に、電位差を所定の初期期間の電位差から次第に高めることで、モータ130を確実に回転させることができる。さらに、滞在期間が所定の初期期間の間に終われば、電位差が比較的小さいままであるので、軽負荷時に大きな電位差が印加されることによる振動を防ぐことができる。また、振動を防ぐことにより、位置制御に必要な時間を短くすることができる。
本実施形態によれば、角度範囲が切り替わるごとに、電位差を所定の初期値に戻すので、各角度範囲で同じ動作を繰り返すことができる。その結果、簡潔な構成により、モータ130を安定して回転させることができる。
本実施形態によれば、電位差が所定の最大値より大きくならないので、モータ130に過電流が流れることを防止して、モータ130を安定して回転させることができる。
本実施形態によれば、車両の変速機を切り替える操作ノブ120からモータ130に加わる幅広い負荷に対応して、モータ130を安定して回転させることができるので、操作ノブ120を安定して移動させることができる。
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
本発明は、回転軸を含むモータを駆動する様々な電気機械装置に適用可能である。電気機械装置は、例えば、車両、航空機、船舶、及び宇宙船などの輸送体、並びに、輸送体の変速機を切り替えるシフト装置である。
100…電気機械装置
120…操作ノブ
130…モータ
132…回転軸
133…固定子
134…回転センサ
170…モータ駆動回路
180…記憶装置
190…演算処理装置
191…モータ制御部
211〜213…第1〜第3駆動信号

Claims (10)

  1. 回転軸を含むモータと、
    前記回転軸の角度位置が複数の角度範囲のいずれにあるかを検知する回転センサと、
    前記回転センサで検知された前記回転軸の前記角度範囲に基づいて、前記モータに駆動信号を送ることにより前記回転軸の回転を制御するモータ制御部と、
    を備え、
    前記モータ制御部は、前記回転軸が1つの前記角度範囲に入ってから前記回転軸が前記1つの前記角度範囲から出るまでの滞在期間の長さに応じて、前記滞在期間における前記駆動信号を変化させる、
    電気機械装置。
  2. 前記駆動信号は、低電圧の印加期間と高電圧の印加期間とを時間的に変化させて得られるパルス幅変調信号であり、
    前記モータ制御部が、前記低電圧と前記高電圧との電位差を変化させることにより、前記滞在期間における前記駆動信号を変化させる、
    請求項1に記載の電気機械装置。
  3. 前記モータは、前記駆動信号の前記電位差が大きいほど前記回転軸に加わるトルクを大きくし、
    前記モータ制御部は、前記滞在期間が所定の初期期間を越えた場合、前記所定の初期期間の経過後、前記滞在期間の少なくとも一部の期間において前記駆動信号の前記電位差を次第に大きくする、
    請求項2に記載の電気機械装置。
  4. 前記モータ制御部は、前記回転センサで検知された前記回転軸の前記角度範囲が切り替わったことに応答して、前記電位差を所定の初期値にする、
    請求項2または請求項3に記載の電気機械装置。
  5. 前記モータ制御部は、前記電位差が所定の最大値に達した後、前記電位差を前記所定の最大値に固定する、
    請求項2乃至請求項4に記載の電気機械装置。
  6. 前記回転センサが、磁気センサを含む、
    請求項1乃至請求項5に記載の電気機械装置。
  7. 車両の変速機を切り替える操作ノブを備え、
    前記操作ノブが、前記回転軸の駆動力により移動する、
    請求項1乃至請求項6に記載の電気機械装置。
  8. 前記モータは、複数の前記駆動信号に基づいて前記回転軸を回転させる複数のコイルを含み、
    前記モータ制御部は、前記回転センサで検知された前記回転軸の前記角度範囲と前記角度範囲の変化とに基づいて複数の前記駆動信号の各々の前記低電圧の印加期間と前記高電圧の印加期間とを決定するステップ制御中に、前記滞在期間における前記駆動信号を変化させる、
    請求項1乃至請求項7に記載の電気機械装置。
  9. 回転軸を含むモータと、前記回転軸の角度位置が複数の角度範囲のいずれにあるか検知する回転センサと、前記回転センサで検知された前記回転軸の前記角度範囲に基づいて、前記モータに駆動信号を送ることにより前記回転軸の回転を制御するモータ制御部とを備える電気機械装置の制御方法であって、
    前記モータ制御部により、前記回転軸が1つの前記角度範囲に入ってから前記回転軸が前記1つの前記角度範囲から出るまでの滞在期間の長さに応じて、前記滞在期間における前記駆動信号を変化させる、
    電気機械装置の制御方法。
  10. 請求項9に記載の電気機械装置の制御方法をコンピュータに実行させる、電気機械装置の制御プログラム。


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