以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.参考例
2.第1の実施の形態
3.第2の実施の形態
4.第3の実施の形態
<1.参考例>
[構成例]
図1は、参考例に係る画像形成装置(画像形成装置100)の一構成例を表すものである。画像形成装置100は、例えば、普通紙などの記録媒体に対して、電子写真方式を用いて画像を形成するプリンタとして機能するものである。
画像形成装置100は、4つのID(Image Drum)ユニット10(10Y,10M,10C,10K)と、4つのトナー収容部18(18Y,18M,18C,18K)と、4つのLED(Light Emitting Diode)ヘッド19(19Y,19M,19C,19K)と、4つの一次転写ローラ21(21Y,21M,21C,21K)と、中間転写ベルト22と、駆動ローラ23と、従動ローラ24〜26と、バックアップローラ27と、二次転写ローラ28と、クリーニングブレード29aと、廃トナーボックス29bとを備えている。これらは、画像形成装置100において画像形成部を構成している。
4つのIDユニット10は、トナー像をそれぞれ形成するものである。具体的には、IDユニット10Yは黄色(Y)のトナー像を形成するものであり、IDユニット10Mはマゼンタ色(M)のトナー像を形成するものであり、IDユニット10Cはシアン色(C)のトナー像を形成するものであり、IDユニット10Kは黒色(K)のトナー像を形成するものである。IDユニット10Y,10M,10C,10Kは、搬送方向F1にこの順で配置されている。
図2は、IDユニット10の一構成例を表すものである。IDユニット10は、感光体ドラム11と、クリーニングブレード17と、帯電ローラ12と、現像ローラ13と、現像ブレード16と、供給ローラ14とを備えている。
感光体ドラム11は、表面(表層部分)に静電潜像を担持する部材である。感光体ドラム11は、感光体モータ53(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。感光体ドラム11は、帯電ローラ12により帯電する。そして、IDユニット10Yの感光体ドラム11はLEDヘッド19Yにより露光され、IDユニット10Mの感光体ドラム11はLEDヘッド19Mにより露光され、IDユニット10Cの感光体ドラム11はLEDヘッド19Cにより露光され、IDユニット10Kの感光体ドラム11はLEDヘッド19Kにより露光される。これにより、感光体ドラム11の表面には、静電潜像が形成される。そして、現像ローラ13によりトナーが供給されることにより、感光体ドラム11には、静電潜像に応じたトナー像が形成(現像)されるようになっている。
クリーニングブレード17は、感光体ドラム11の表面(表層部分)に残留するトナーを掻き取ってクリーニングする部材である。クリーニングブレード17は、感光体ドラム11の表面に対してカウンタで(感光体ドラム11の回転方向に対して逆向きで突出して)当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光体ドラム11に押し付けられように配置されている。
帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面(表層部分)を帯電させる部材である。帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面(周面)に接するように配置されており、所定の押し付け量で感光体ドラム11に押し付けられように配置されている。帯電ローラ12は、感光体ドラム11の回転に応じて、この例では右回りで回転する。帯電ローラ12には、高圧電源52(後述)により所定の電圧が印加されるようになっている。
現像ローラ13は、負の電圧に帯電したトナーを表面に担持する部材である。現像ローラ13は、感光体ドラム11の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光体ドラム11に押し付けられように配置されている。現像ローラ13は、感光体モータ53(後述)から伝達された動力により、この例では右回りで回転するようになっている。現像ローラ13には、高圧電源52(後述)により所定の電圧が印加されるようになっている。
現像ブレード16は、現像ローラ13の表面に当接することにより、この現像ローラ13の表面にトナーからなる層(トナー層)を形成させるとともに、そのトナー層の厚さを規制(制御,調整)する部材である。現像ブレード16は、例えば、ステンレス等からなる板状弾性部材をL字形状に折り曲げたものである。現像ブレード16は、その折れ曲がった部分が現像ローラ13の表面に当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ13に押し付けられように配置されている。
供給ローラ14は、トナー収容部18内に貯蔵されたトナーを、現像ローラ13に対して供給する部材である。具体的には、IDユニット10Yでは、供給ローラ14は、トナー収容部18Yに貯蔵されたトナーを現像ローラ13に対して供給し、IDユニット10Mでは、供給ローラ14は、トナー収容部18Mに貯蔵されたトナーを現像ローラ13に対して供給し、IDユニット10Cでは、供給ローラ14は、トナー収容部18Cに貯蔵されたトナーを現像ローラ13に対して供給し、IDユニット10Kでは、供給ローラ14は、トナー収容部18Kに貯蔵されたトナーを現像ローラ13に対して供給する。供給ローラ14は、現像ローラ13の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ13に押し付けられように配置されている。供給ローラ14は、感光体モータ53(後述)から伝達された動力により、この例では右回りで回転する。これにより、IDユニット10では、供給ローラ14の表面と現像ローラ13の表面との間には摩擦が生じる。その結果、IDユニット10では、トナーが、いわゆる摩擦帯電により帯電するようになっている。供給ローラ14には、高圧電源52(後述)により所定の電圧が印加されるようになっている。
4つのトナー収容部18(図1)は、トナーを貯蔵するものである。具体的には、トナー収容部18Yは黄色(Y)のトナーを貯蔵し、トナー収容部18Mはマゼンタ色(M)のトナーを貯蔵し、トナー収容部18Cはシアン色(C)のトナーを貯蔵し、トナー収容部18Kは黒色(K)のトナーを貯蔵するようになっている。
4つのLEDヘッド19は、4つのIDユニット10の感光体ドラム11に対して光をそれぞれ照射する部材である。具体的には、LEDヘッド19Yは、IDユニット10Yの感光体ドラム11に対して光を照射し、LEDヘッド19Mは、IDユニット10Mの感光体ドラム11に対して光を照射し、LEDヘッド19Cは、IDユニット10Cの感光体ドラム11に対して光を照射し、LEDヘッド19Kは、IDユニット10Kの感光体ドラム11に対して光を照射する。これにより、これらの感光体ドラム11は、各LEDヘッド19によりそれぞれ露光される。その結果、各感光体ドラム11の表面には、静電潜像が形成されるようになっている。
4つの一次転写ローラ21は、4つのIDユニット10により形成されたトナー像を、中間転写ベルト22の被転写面上に静電的にそれぞれ転写するための部材である。一次転写ローラ21Yは、中間転写ベルト22を介してIDユニット10Yの感光体ドラム11に対向配置されており、一次転写ローラ21Mは、中間転写ベルト22を介してIDユニット10Mの感光体ドラム11に対向配置されており、一次転写ローラ21Cは、中間転写ベルト22を介してIDユニット10Cの感光体ドラム11に対向配置されており、一次転写ローラ21Kは、中間転写ベルト22を介してIDユニット10Kの感光体ドラム11に対向配置されている。各一次転写ローラ21には、高圧電源52(後述)により所定の電圧が印加される。これにより、画像形成装置100では、各IDユニット10により形成されたトナー像が、中間転写ベルト22の被転写面上に転写(一次転写)されるようになっている。
中間転写ベルト22は、無端の弾性ベルトであり、駆動ローラ23、従動ローラ24〜26、およびバックアップローラ27によって張設(張架)されたものである。そして、中間転写ベルト22は、駆動ローラ23の回転に応じて、搬送方向F1の方向に循環回転するようになっている。その際、中間転写ベルト22は、IDユニット10Yと一次転写ローラ21Yとの間、IDユニット10Mと一次転写ローラ21Mとの間、IDユニット10Cと一次転写ローラ21Cとの間、およびIDユニット10Kと一次転写ローラ21Kとの間、バックアップローラ27と二次転写ローラ28との間を移動するようになっている。
駆動ローラ23は、中間転写ベルト22を循環回転させる部材である。この例では、駆動ローラ23は、搬送方向F1において、4つのIDユニット10の上流に配置され、ベルトモータ54(後述)から伝達された動力により、この例では右回りで回転する。これにより、駆動ローラ23は、中間転写ベルト22を搬送方向F1の方向へ循環回転させるようになっている。
従動ローラ24〜26、中間転写ベルト22の循環回転に応じて、この例では右回りで従動回転する部材である。従動ローラ24は、搬送方向1Fにおいて、4つのIDユニット10の上流に配置され、従動ローラ25は、搬送方向1Fにおいて、4つのIDユニット10の下流に配置され、従動ローラ26は、従動ローラ25とバックアップローラ27のとの間に配置されている。
バックアップローラ27は、中間転写ベルト22の循環回転に応じて、この例では右回りで従動回転する部材である。バックアップローラ27は、記録媒体9を搬送する搬送路8および中間転写ベルト22を挟んで、二次転写ローラ28と対向配置されている。バックアップローラ27は、この二次転写ローラ28とともに、二次転写部30を構成する。バックアップローラ27には、高圧電源52(後述)により所定の電圧が印加される。
二次転写ローラ28は、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像を、記録媒体9の被転写面上に転写するための部材である。二次転写ローラ28は、搬送路8および中間転写ベルト22を挟んで、バックアップローラ27と対向配置されている。二次転写ローラ28は、バックアップローラ27とともに、二次転写部30を構成する。二次転写ローラ28には、高圧電源52(後述)により所定の電圧が印加される。これにより、画像形成装置100では、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像が、記録媒体9の被転写面上に転写(2次転写)されるようになっている。
クリーニングブレード29aは、中間転写ベルト22の被転写面上に付着したトナーなどの付着物を掻き取ってクリーニングする部材である。クリーニングブレード29aは、この例では、駆動ローラ23に対向する位置において、中間転写ベルト22の被転写面に当接するように配置されている。廃トナーボックス29bは、このクリーニングブレード29aにより掻き取られた付着物を収容する部材である。
さらに、画像形成装置100は、ピックアップローラ31と、媒体供給ローラ32と、分離ローラ33と、レジストセンサ34と、レジストローラ35と、搬送センサ36と、搬送ローラ37と、搬送センサ38と、搬送ローラ39と、定着部41と、搬送ローラ42と、排出ローラ43とを備えている。これらの部材は、記録媒体9を搬送する搬送路8に沿って配置されている。
ピックアップローラ31は、媒体トレイ7から記録媒体9を取り出す部材である。ピックアップローラ31は、モータ55(後述)からクラッチ56(後述)を介して伝達された動力により回転するようになっている。
媒体供給ローラ32および分離ローラ33は、ピックアップローラ31が取り出した記録媒体9を搬送路8に送り出す部材である。媒体供給ローラ32および分離ローラ33は、搬送路8を挟んで、互いに対向配置されている。媒体供給ローラ32は、モータ55(後述)からクラッチ56(後述)を介して伝達された動力により回転する。分離ローラ33は、搬送方向F2と反対向きの力を記録媒体9に供給する。これにより、媒体供給ローラ32および分離ローラ33は、記録媒体9を一枚ずつ搬送路8に送り出すことができるようになっている。
レジストセンサ34は、搬送路8における記録媒体9の通過を検出するセンサである。レジストセンサ34は、媒体供給ローラ32および分離ローラ33と、レジストローラ35との間に設けられている。
レジストローラ35は、搬送路8を挟んで配置された一対のローラであり、搬送路8を通過する記録媒体9の斜行を矯正する部材である。レジストローラ35は、モータ55(後述)からクラッチ57(後述)を介して伝達された動力により回転するようになっている。
搬送センサ36は、搬送路8における記録媒体9の通過を検出するセンサである。搬送センサ36は、二次転写部30の上流において、レジストローラ35と搬送ローラ37との間に設けられている。搬送センサ36は、後述するように、二次転写部30が記録媒体9にトナー像を転写する際に、記録媒体9への書き出し位置のずれを調整する目的で使用されるようになっている。
搬送ローラ37は、搬送路8を挟んで配置された一対のローラであり、搬送路8に沿って記録媒体9を搬送する部材である。搬送ローラ37は、搬送モータ58(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
搬送センサ38は、搬送路8における記録媒体9の通過を検出するセンサである。搬送センサ38は、二次転写部30の上流において、搬送ローラ37と搬送ローラ39との間に設けられている。搬送センサ38は、搬送センサ36と同様に、二次転写部30が記録媒体9にトナー像を転写する際に、記録媒体9への書き出し位置のずれを調整する目的で使用されるようになっている。
搬送ローラ39は、搬送路8を挟んで配置された一対のローラであり、搬送路8に沿って記録媒体9を二次転写部30に供給する部材である。搬送ローラ39は、搬送モータ58(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
そして、二次転写部30において、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像が、記録媒体9の被転写面上に転写(2次転写)される。
定着部41は、二次転写部30から供給された記録媒体9に対して熱および圧力を付与することにより、記録媒体9上に転写されたトナー像を記録媒体9に定着させる部材である。定着部41は、ヒートローラ41aと、加圧ローラ41bとを有する。ヒートローラ41aは、その内部にハロゲンランプ等の加熱ヒータを含んで構成されており、記録媒体9上のトナーに対して熱を付与する部材である。加圧ローラ41bは、ヒートローラ41aとの間に圧接部が形成されるように配置されており、記録媒体9上のトナーに対して圧力を付与する部材である。これにより、定着部41では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着するようになっている。
搬送ローラ42は、搬送路8を挟んで配置された一対のローラであり、定着部41から供給された記録媒体9を、搬送路8に沿って搬送する部材である。搬送ローラ42は、モータ59(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
排出ローラ43は、搬送路8を挟んで配置された一対のローラであり、記録媒体9を画像形成装置100の外部に導き、排出トレイ44に排出するための部材である。排出ローラ43は、モータ59(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
図3は、画像形成装置100における制御機構の一例を表すものである。画像形成装置100は、ユーザインタフェース51と、高圧電源52と、4つの感光体モータ53(53Y,53M,53C,53K)と、ベルトモータ54と、モータ55と、クラッチ56,57と、搬送モータ58と、モータ59と、メイン制御部60とを備えている。
ユーザインタフェース51は、例えば、液晶パネル、タッチパネル、各種ボタンなどを含んで構成されるものであり、ユーザの操作を受け付けてその操作内容をメイン制御部60に伝えるとともに、メイン制御部60からの指示に基づいて、ユーザに対して画像形成装置100の動作状態を表示するものである。
高圧電源52は、メイン制御部60からの指示に基づいて、各IDユニット10内の帯電ローラ12、現像ローラ13、および供給ローラ14や、4つの一次転写ローラ21、バックアップローラ27、二次転写ローラ28に、所定のタイミングで所定の電圧をそれぞれ供給するものである。
4つの感光体モータ53は、メイン制御部60からの指示に基づいて、4つのIDユニット10に供給される動力をそれぞれ生成するものである。具体的には、感光体モータ53Yは、IDユニット10Yに供給される動力を生成し、感光体モータ53Mは、IDユニット10Mに供給される動力を生成し、感光体モータ53Cは、IDユニット10Cに供給される動力を生成し、感光体モータ53Kは、IDユニット10Kに供給される動力を生成するようになっている。
ベルトモータ54は、メイン制御部60からの指示に基づいて、中間転写ベルト22を駆動する駆動ローラ23に供給される動力を生成するものである。ベルトモータ54は、例えば、DCブラシレスモータを用いて構成されるものである。
モータ55は、メイン制御部60からの指示に基づいて、ピックアップローラ31、媒体供給ローラ32、およびレジストローラ35に供給される動力を生成するものである。モータ55は、例えば、パルス信号に同期して動作するパルスモータ(ステッピングモータ)を用いて構成されるものである。
クラッチ56は、メイン制御部60からの指示に基づいて、モータ55が生成した動力を、ピックアップローラ31および媒体供給ローラ32へ伝達し、またはその伝達を遮断するものである。クラッチ57は、メイン制御部60からの指示に基づいて、モータ55が生成した動力をレジストローラ35へ伝達し、またはその伝達を遮断するものである。
搬送モータ58は、メイン制御部60からの指示に基づいて、搬送ローラ37,39に供給される動力を生成するものである。搬送モータ58は、例えば、パルス信号に同期して動作するパルスモータ(ステッピングモータ)を用いて構成されるものである。
モータ59は、メイン制御部60からの指示に基づいて、定着部41、搬送ローラ42、および排出ローラ43に供給される動力を生成するものである。
メイン制御部60は、画像形成装置100の動作を制御するものである。メイン制御部60は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを用いて構成されるものであり、プログラムに従って動作するものである。具体的には、メイン制御部60は、入出力ポートを介して、4つのLEDヘッド19、ユーザインタフェース51、高圧電源52、4つの感光体モータ53、ベルトモータ54、モータ55、クラッチ56,57、搬送モータ58、モータ59、および定着部41に接続され、これらの動作を制御する。また、メイン制御部60は、入出力ポートを介して、レジストセンサ34および搬送センサ36,38に接続されている。メイン制御部60は、搬送センサ36,38における検出結果に基づいて、二次転写部30が記録媒体9にトナー像を転写する際に、書き出し位置のずれを調整するようになっている。
メイン制御部60は、記憶部61を有している。記憶部61は、例えば不揮発性メモリにより構成されるものであり、印刷条件や各種設定などを記憶するものである。記憶部61は、この例では、エンジン速度設定62と、調整速度設定63と、加減速プロフィール64とを記憶している。これらのエンジン速度設定62、調整速度設定63、および加減速プロフィール64は、搬送モータ58を制御することにより記録媒体9の媒体搬送速度Vを設定する際に用いるものである。すなわち、ステッピングモータは、パルス信号に同期して動作するものであり、1パルスあたりの回転角度が決まっているため、メイン制御部60は、これらの設定に基づいて搬送モータ58にパルスを供給することにより、媒体搬送速度Vを設定するようになっている。
エンジン速度設定62は、媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfに設定するための設定データである。具体的には、エンジン速度設定62は、媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfに設定するときに搬送モータ58に供給するパルス信号のパルス幅の設定値を含んでいる。このエンジン速度Vfは、中間転写ベルト22のベルト搬送速度Vbに対応するものである。
図4は、エンジン速度Vfとベルト搬送速度Vbとの関係を表すものである。なお、この図では、説明の便宜上、中間転写ベルト22の厚さを誇張して描いている。中間転写ベルト22は、二次転写部30において、バックアップローラ27の外周に沿って曲がりながら搬送される。よって、中間転写ベルト22の記録媒体9と接する面における速度Vb1は、中間転写ベルト22の厚さに応じて、ベルト搬送速度Vbよりもやや高くなる(Vb1>Vb)。メイン制御部60は、二次転写部30において、中間転写ベルト22上のトナー像を記録媒体9に転写するとき、速度Vb1がエンジン速度Vfと一致するように制御する。よって、エンジン速度Vfは、ベルト搬送速度Vbよりもやや高い速度(Vf>Vb)に設定される。
調整速度設定63は、媒体搬送速度Vを調整速度Vsに設定するための設定データである。具体的には、調整速度設定63は、媒体搬送速度Vを調整速度Vsに設定するときに搬送モータ58に供給するパルス信号のパルス幅の設定値を含んでいる。この調整速度Vsは、エンジン速度Vfよりも低い速度である。
加減速プロフィール64は、媒体搬送速度Vを変化させる際に用いるものである。メイン制御部60は、媒体搬送速度Vを変化させる場合、搬送モータ58(ステッピングモータ)に供給するパルス信号のパルス幅を徐々に変化させる。加減速プロフィール64は、媒体搬送速度Vを徐々に変化させるときの搬送モータ58に供給するパルス信号のパルス幅の設定値を含んでいる。
図5は、加減速プロフィール64の一例を表すものである。図6は、この加減速プロフィール64をプロットしたものである。図5,6は、媒体搬送速度Vを上げる場合(加速する場合)の一例を示している。なお、この加減速プロフィール64において、時間軸を反転させることにより、媒体搬送速度Vを下げる場合(減速する場合)にも適用することができる。また、この加減速プロフィール64の一部の範囲を使用してもよい。メイン制御部60は、この加減速プロフィール64を用いることにより、媒体搬送速度Vを、任意の速度から、他の任意の速度に変化させることができるようになっている。
なお、搬送ローラ37,39は、一般にギヤ列を介して搬送モータ58と接続されるため、媒体搬送速度Vは、ギヤ列のギヤ比に依存する。また、媒体搬送速度Vは、例えば搬送ローラ37,39のローラ径にも依存する。以下では、説明の便宜上、搬送モータ58の回転速度および媒体搬送速度Vが、互いに等価であるとする。ベルトモータ54の回転速度および中間転写ベルト22の搬送速度についても同様である。
メイン制御部60は、このようなエンジン速度設定62、調整速度設定63、および加減速プロフィール64を用いて、搬送センサ36,38における検出結果に基づいて、媒体搬送速度Vを制御する。具体的には、メイン制御部60は、後述するように、媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfに設定して、記録媒体9を搬送路8に沿って搬送させる。その際、メイン制御部60は、記録媒体9が、中間転写ベルト22上のトナー像よりも所定距離(調整距離D)だけ先行するように、記録媒体9を搬送させる。その後、メイン制御部60は、1番目の搬送センサ36の検出結果に基づいて、媒体搬送速度Vを調整速度Vsに変化(減速)させ、2番目の搬送センサ38の検出結果に基づいて、媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfに変化(加速)させる。このように、メイン制御部60は、所定の期間だけ媒体搬送速度Vを調整速度Vsに設定することにより、二次転写部30が記録媒体9にトナー像を転写する際の、記録媒体9への書き出し位置のずれを調整するようになっている。
[動作および作用]
続いて、本参考例に係る画像形成装置100の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず、図1〜3を参照して、画像形成装置100の全体動作概要を説明する。画像形成装置100では、メイン制御部60は、印刷データを受け取ると、まず、定着部41を制御し、ヒートローラ41aの加熱ヒータを動作させる。そして、ヒートローラ41aの温度が所定の温度に到達すると、メイン制御部60は、各感光体モータ53を制御して、各IDユニット10を動作させるとともに、ベルトモータ54を制御して、中間転写ベルト22の搬送速度をベルト搬送速度Vbに設定する。また、メイン制御部60は、高圧電源52を制御し、各IDユニット10の各ローラ(帯電ローラ12、現像ローラ13、および供給ローラ14)、4つの一次転写ローラ21、バックアップローラ27、および二次転写ローラ28に、所定のタイミングで所定の電圧をそれぞれ供給させる。
メイン制御部60は、各LEDヘッド19を制御し、各IDユニット10の感光体ドラム11を露光させる。これにより、感光体ドラム11の表面には、静電潜像が形成される。そして、現像ローラ13上の帯電したトナーが、クーロン力により、感光体ドラム11に供給される。これにより、感光体ドラム11では、トナー像が可視像として現像される。感光体ドラム11上のトナー像は、中間転写ベルト22の被転写面上に転写(一次転写)される。そして、中間転写ベルト22上のトナー像は、ベルト搬送速度Vbで搬送方向F1に搬送され、二次転写部30に供給される。
メイン制御部60は、モータ55、搬送モータ58、およびモータ59を制御して、記録媒体9を搬送路8に沿って搬送する。メイン制御部60は、搬送モータ58を制御して、まず、記録媒体9の媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfに設定する。その際、メイン制御部60は、記録媒体9を、中間転写ベルト22上のトナー像よりも調整距離Dだけ先行させる。その後、メイン制御部60は、1番目の搬送センサ36の検出結果に基づいて、媒体搬送速度Vを調整速度Vsに変化(減速)させ、2番目の搬送センサ38の検出結果に基づいて、媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfに変化(加速)させる。このように、メイン制御部60は、所定の期間だけ媒体搬送速度Vを調整速度Vsに設定することにより、二次転写部30が記録媒体9にトナー像を転写する際の、記録媒体9への書き出し位置のずれを調整する。
二次転写部30は、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像を、記録媒体9の被転写面上に転写(2次転写)する。定着部41は、二次転写部30から供給された記録媒体9に対して熱および圧力を付与することにより、記録媒体9上に転写されたトナー像を記録媒体9に定着させる。そして、トナー像が定着した記録媒体9は、画像形成装置100の外部に導かれる。
(詳細動作)
画像形成装置100は、画像形成動作と、媒体トレイ7からの記録媒体9の搬送動作とを、非同期または半同期で行う。そして、画像形成装置100は、二次転写部30において、中間転写ベルト22上のトナー像の位置と記録媒体9の位置が合うように、記録媒体9の搬送制御を行う。
図7は、記録媒体9の搬送制御の一例を表すものである。図8は、時間軸上での媒体搬送速度Vの変化の一例を表すものである。この図7,8において、距離Limgは、IDユニット10Yの感光体ドラム11(11Y)における露光位置から、二次転写部30の二次転写ローラ28までの距離を示す。トナー像搬送距離Dimgは、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出した時点での、トナー像がIDユニット10Yの感光体ドラム11Yにおける露光位置から搬送された距離を示す。距離Dsns1は、1番目の搬送センサ36が記録媒体9の先端を検出してから、媒体搬送速度Vがエンジン速度Vfから調整速度Vsに向かって変化(減速)し始めるまでに、記録媒体9が進む距離を示す。距離Dsns2は、2番目の搬送センサ38から二次転写部30の二次転写ローラ28までの距離を示す。減速距離Ddecは、媒体搬送速度Vがエンジン速度Vfから調整速度Vsに向かって変化(減速)し始めてから変化し終えるまでに記録媒体9が進む距離を示し、減速時間Tdecは、媒体搬送速度Vがエンジン速度Vfから調整速度Vsに向かって変化(減速)し始めてから変化し終えるまでにかかる時間を示す。加速距離Daccは、媒体搬送速度Vが調整速度Vsからエンジン速度Vfに向かって変化(加速)し始めてから変化し終えるまでに記録媒体9が進む距離を示し、加速時間Taccは、媒体搬送速度Vが調整速度Vsからエンジン速度Vfに向かって変化(加速)し始めてから変化し終えるまでにかかる時間を示す。距離Xは、搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、媒体搬送速度Vが調整速度Vsからエンジン速度Vfに向かって変化(加速)し始めるまでに、記録媒体9が進む距離を示す。
図7に概念的に示したように、画像形成装置100では、まず、記録媒体9を、中間転写ベルト22上のトナー像よりも調整距離Dだけ先行させる。具体的には、メイン制御部60は、例えばクラッチ56,57のオンタイミングを調整することにより、調整距離Dを調整する。調整距離Dは、短すぎると調整範囲が狭まってしまい、長すぎると、印刷スループットが低下してしまう。すなわち、調整距離Dが長い場合には、複数の記録媒体9に対して連続的に印刷を行う際に、記録媒体9の間隔を調整距離Dに応じて広げる必要があるため、印刷スループットが低下してしまう。よって、調整距離Dは、例えば15[mm]〜35[mm]程度にすることが望ましい。
そして、メイン制御部60は、図7,8に示したように、1番目の搬送センサ36が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が距離Dsns1だけ進んだタイミングt1において、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfから調整速度Vsに向かって変化(減速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt2において調整速度Vsに到達する。
その後、2番目の搬送センサ38は、記録媒体9が調整速度Vsで搬送される期間における検出タイミングtsensにおいて、記録媒体9の先端を検出する。メイン制御部60は、この検出タイミングtsensにおけるトナー像搬送距離Dimgに基づいて距離Xを算出する。そして、メイン制御部60は、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が距離Xだけ進んだタイミングt3において、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vを調整速度Vsからエンジン速度Vfに向かって変化(加速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt4においてエンジン速度Vfに到達する。
このようにして、メイン制御部60は、二次転写部30において、中間転写ベルト22上のトナー像の位置と記録媒体9の位置とを合わせる。すなわち、調整距離Dは、図8における斜線部の面積に対応する。
二次転写部30において、中間転写ベルト22上のトナー像の位置と記録媒体9の位置とを合わせるためには、以下の式を満たす必要がある。
式(E1)において、左辺は、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、中間転写ベルト22上のトナー像が二次転写ローラ28に到達するまでの時間を示し、右辺は、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が二次転写ローラ28に到達するまでの時間を示す。この式を距離Xについて整理すると、次式が得られる。
トナー像搬送距離Dimgは、LEDヘッド19Yが発光を開始してから2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出するまでの期間における、ベルトモータ54に供給されたパルス数と、1パルスあたりのベルト搬送量とを用いて求めることができる。メイン制御部60は、この式(E2)を用いて距離Xを求め、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が距離Xだけ進んだときに、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vを調整速度Vsからエンジン速度Vfに向かって変化(加速)させ始める。
ところで、搬送モータ58にはステッピングモータを用いているため、記録媒体9を距離Xだけ進ませようとしても、距離にずれ(ずれ量ΔX)が生じてしまうおそれがある。すなわち、メイン制御部60は、記録媒体9を距離Xだけ進ませるために、例えば、次式で表されるパルス数Psのパルスを搬送モータ58に供給する。
ここで、Sは、搬送モータ58に供給されるパルス1つあたりの記録媒体9の媒体搬送量を示す。また、“int”は、小数点以下を切り捨てる演算を行う関数である。よって、ずれ量ΔXは、次式のように表される。
図9は、距離Xのずれの一例を表すものである。図9において、特性W1は理想的なケースを示し、特性W2は実際のケースを示す。このように、特性W1で示したように、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9を距離Xだけ進んだときに、記録媒体9を加速させようしても、特性W2で示したように、距離Xにずれが生じるおそれがある。具体的には、この例では、式(E3)に示したように、小数点以下を切り捨てる演算を行っているため、実際の距離Xが短くなってしまうおそれがある。
2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから搬送モータ58が加速を開始するまでの時間には、理想的なケースと実際のケースとで、次式で表される時間差Δtが生じる。
すなわち、距離Xのずれにより、調整速度Vsで搬送される距離が短くなる一方、エンジン速度Vfで搬送される距離が長くなるため、このような時間差Δtが生じる。この時間差Δtの間に中間転写ベルト22上のトナー像が進むことにより、記録媒体9への書き出し位置にずれが生じる。この書き出し位置のずれ量Gは、次式で表すことができる。
図10は、書き出し位置のずれ量Gの計算結果の一例を表すものである。この図10は、搬送モータ58におけるパルス1つあたりの媒体搬送量S、ベルト搬送速度Vb、エンジン速度Vf、および調整速度Vsを図10に示した各値に設定したときの、距離Xのずれ量ΔX、および書き出し位置のずれ量Gの計算結果を示している。画像形成装置100では、このように、書き出し位置にずれが生じるおそれがある。
ここで、式(E5)から分かるように、例えば、調整速度Vsをエンジン速度Vfに近付けることにより、書き出し位置のずれ量Gを小さくすることが可能である。しかしながら、調整速度Vsをエンジン速度Vfに近付けると、以下に説明するように、搬送モータ58における1パルス当たりの調整量が小さくなってしまう。
図11は、調整速度Vsを速度Vs1,Vs2にしたときの、搬送モータ58における1パルス当たりの調整量を模式的に表すものである。図11において、横軸は、1パルス当たりの時間(1パルス時間)を示し、縦軸は、媒体搬送速度Vを示す。ここで、速度Vs2は、速度Vs1よりも高く、ベルト搬送速度Vbよりも低い速度である。Ts1は、調整速度Vsを速度Vs1にしたときの1パルス時間を示し、Ts2は、調整速度Vsを速度Vs2にしたときの1パルス時間を示す。
調整速度Vsを速度Vs1にした場合には、1パルス当たりの調整量は“(Vb−Vs1)×Ts1”で表すことができる。一方、調整速度Vsを速度Vs2にした場合には、1パルス当たりの調整量は“(Vb−Vs2)×Ts2”で表すことができる。これらの1パルス当たりの調整量は、この図において、面積で表している。調整速度Vsを高い速度Vs2にした場合には、調整速度Vsを低い速度Vs1にした場合に比べて、1パルス当たりの調整量が小さくなってしまう。これは、以下の2つの理由による。すなわち、まず第1に、図11において横軸で示したように、ステッピングモータでは、調整速度Vsをエンジン速度Vfに近付けるほど1パルス時間が短くなる。そして、第2に、図11において縦軸で示したように、調整速度Vsをエンジン速度Vfに近付けることにより、エンジン速度Vfと調整速度Vsとの差分が小さくなる。その結果、調整速度Vsがエンジン速度Vfに近いほど、搬送モータ58における1パルス当たりの調整量が小さくなってしまう。
このように、調整速度Vsが高い場合には、書き出し位置のずれを小さくすることができるものの、搬送モータ58における1パルス当たりの調整量が小さくなってしまう。その結果、図12に示したように、調整範囲が狭まってしまい、あるいは、調整に必要な媒体搬送距離が長くなってしまう。上述したように、調整距離Dは、例えば15[mm]〜35[mm]程度にすることが望ましく、これによりも短くなるのは好ましくない。また、このような調整距離Dを実現するために、調整に必要な媒体搬送距離を長くした場合には、画像形成装置100の構造寸法が大きくなってしまうため、コストやユーザビリティなどの観点から好ましくない。
一方、調整速度Vsが低い場合には、搬送モータ58における1パルス当たりの調整量を大きくすることができるため、例えば、調整範囲を広くでき、あるいは調整に必要な媒体搬送距離を短くすることができる。しかしながら、この場合には、書き出し位置のずれが大きくなってしまう。このように、画像形成装置100では、例えば、書き出し位置のずれおよび調整範囲は、いわゆるトレードオフの関係にあり、両立することが難しかった。
<2.第1の実施の形態>
次に、第1の実施の形態に係る画像形成装置1について説明する。本実施の形態は、媒体搬送速度Vの制御方法が、上記参考例の場合と異なるものである。なお、上記参考例に係る画像形成装置100と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[構成例]
図13は、画像形成装置1における制御機構の一例を表すものである。画像形成装置1は、メイン制御部70を備えている。メイン制御部70は、記憶部71を有している。記憶部71は、この例では、エンジン速度設定62と、調整速度設定63と、微調整速度設定73と、加減速プロフィール64とを記憶している。
微調整速度設定73は、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfaに設定するための設定データである。具体的には、微調整速度設定73は、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfaに設定するときに搬送モータ58に供給するパルス信号のパルス幅の設定値を含んでいる。この微調整速度Vfaは、調整速度Vsよりも高く、エンジン速度Vfよりも低い速度である。微調整速度Vfaは、例えば、エンジン速度Vfと微調整速度Vfaとの差(Vf−Vfa)が、微調整速度Vfaと調整速度Vsとの差(Vfa−Vs)よりも小さくなるように、設定することが望ましい。
メイン制御部70は、このようなエンジン速度設定62、調整速度設定63、微調整速度設定73、および加減速プロフィール64を用いて、搬送センサ36,38における検出結果に基づいて、媒体搬送速度Vを制御する。その際、メイン制御部70は、調整速度Vsを用いて粗調整を行うとともに、微調整速度Vfaを用いて微調整を行うことにより、書き出し位置のずれを調整するようになっている。
ここで、中間転写ベルト22は、本発明における「転写ベルト」の一具体例に対応する。搬送ローラ37,39、および搬送モータ58は、本発明における「媒体搬送部」の一具体例に対応する。メイン制御部70は、本発明における「制御部」の一具体例に対応する。エンジン速度Vfは、本発明における「第1の速度」の一具体例に対応する。調整速度Vsは、本発明における「第2の速度」の一具体例に対応する。微調整速度Vfaは、本発明における「第3の速度」の一具体例に対応する。二次転写部30は、本発明における「転写部」の一具体例に対応する。搬送センサ38は、本発明における「第1の検出部」の一具体例に対応する。搬送センサ36は、本発明における「第2の検出部」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
図14は、画像形成装置1の一動作例を表すものである。図15は、時間軸上での媒体搬送速度Vの変化の一例を表すものである。図14において、特性W3は、画像形成装置1における実際のケースを示す。なお、特性W1は、図9に示した特性と同じである。
画像形成装置1では、参考例に係る画像形成装置100と同様に、まず、記録媒体9を、中間転写ベルト22上のトナー像よりも調整距離Dだけ先行させる。そして、メイン制御部70は、1番目の搬送センサ36が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が距離Dsns1だけ進んだタイミングt1において、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfから調整速度Vsに向かって変化(減速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt2において調整速度Vsに到達する。
その後、2番目の搬送センサ38は、図14,15に示したように、記録媒体9が調整速度Vsで搬送される期間における検出タイミングtsensにおいて、記録媒体9の先端を検出する。メイン制御部70は、その検出タイミングtsensにおけるトナー像搬送距離Dimgに基づいて、距離Xを算出する。さらに、メイン制御部70は、微調整パルス数Pa(後述)を算出する。そして、メイン制御部70は、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が距離(S×Ps)だけ進んだタイミングt5において、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vを調整速度Vsから微調整速度Vfaに向かって変化(加速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt6において微調整速度Vfaに到達する。そして、メイン制御部70は、微調整パルス数Paに応じたタイミングt7において、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfaからエンジン速度Vfに向かって変化(加速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt8においてエンジン速度Vfに到達する。
画像形成装置1では、このように、まず、媒体搬送速度Vを調整速度Vsに設定することにより粗調整を行い、次に、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfaに設定することにより微調整を行う。
この画像形成装置1でも、距離Xは、上記参考例の場合と同様に、式(E2)で表すことができ、搬送モータ58に供給するパルス信号のパルス数Psは、式(E3)で表すことができる。分解能の倍率Nを用いて、参考例における時間差Δt(式(E5))を1/Nにする場合について以下に説明する。この場合、微調整速度Vfa、ずれ量ΔX、エンジン速度Vf、調整速度Vs、および分解能の倍率Nの関係は、次式で表すことができる。
式(E5),(E7)を用いて、微調整速度Vfaについて整理すると、次式が得られる。
また、媒体搬送速度Vが微調整速度Vfaである場合での、搬送モータ58における1パルス当たりの補正量Xaは、次式で表すことができる
ここで、Tfaは、媒体搬送速度Vが微調整速度Vfaである場合での、搬送モータ58における1パルス時間である。この式(E9)において、右辺の第1項は、本来の意図に反してエンジン速度Vfで搬送された場合の、微調整速度Vfa時の1パルス時間における記録媒体9の搬送量を示す。また、右辺の第2項は、その1パルス時間における、実際の記録媒体9の搬送量を示す。微調整パルス数Paは、この補正量Xaを用いて、次式で表すことができる。
ここで、“round”は、小数点以下を四捨五入する演算を行う関数である。
補正後の書き出し位置のずれ量G1は、式(E6)により求めた書き出し位置のずれ量G、式(E9)により求めた1パルス当たりの補正量Xa、および式(E10)により求めた微調整パルス数Paを用いて、次式で表すことができる。
図16は、画像形成装置1におけるメイン制御部70の一動作例を表すものである。画像形成装置1は、まず、媒体搬送速度Vを調整速度Vsに設定することにより粗調整を行い、次に、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfaに設定することにより微調整を行う。以下に、この動作について詳細に説明する。
まず、メイン制御部70は、1番目の搬送センサ36が記録媒体9の先端を検出したか否かを確認する(ステップS1)。搬送センサ36が記録媒体9の先端をまだ検出していない場合(ステップS1において“N”)には、ステップS1に戻り、搬送センサ36が記録媒体9の先端を検出するまでステップS1を繰り返す。
ステップS1において、搬送センサ36が記録媒体9の先端を検出した場合(ステップS1において“Y”)には、メイン制御部70は、搬送センサ36が記録媒体9の先端を検出した後、記録媒体9の搬送距離が距離Dsns1に達したか否かを確認する(ステップS2)。具体的には、メイン制御部70は、搬送モータ58に供給するパルス数をカウントすることにより、記録媒体9の搬送距離を求め、その搬送距離が距離Dsns1に達したか否かを確認する。記録媒体9の搬送距離が距離Dsns1に達していない場合(ステップS2において“N”)には、ステップS2に戻り、搬送距離が距離Dsns1に達するまでステップS2を繰り返す。
ステップS2において、記録媒体9の搬送距離が距離Dsns1に達した場合(ステップS2において“Y”)には、メイン制御部70は、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfから調整速度Vsへ変化(減速)させ始める(ステップS3)。その後、媒体搬送速度Vが調整速度Vsに到達する(ステップS4)。
次に、メイン制御部70は、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出したか否かを確認する(ステップS5)。搬送センサ38が記録媒体9の先端をまだ検出していない場合(ステップS5において“N”)には、ステップS5に戻り、搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出するまでステップS5を繰り返す。
ステップS5において、搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出した場合(ステップS5において“Y”)には、メイン制御部70は、加速タイミングを算出する(ステップS6)。具体的には、メイン制御部70は、式(E2)を用いて距離Xを算出し、この距離Xおよび式(E3)を用いてパルス数Psを算出する。
次に、メイン制御部70は、書き出し位置のずれ量Gを算出する(ステップS7)。具体的には、メイン制御部70は、式(E4)を用いて距離Xのずれ量ΔXを算出し、このずれ量ΔXおよび式(E6)を用いて、書き出し位置のずれ量Gを算出する。
次に、メイン制御部70は、微調整パルス数Paを算出する(ステップS8)。具体的には、メイン制御部70は、式(E9),(E10)を用いて微調整パルス数Paを算出する。
次に、メイン制御部70は、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出した後に搬送モータ58に供給されたパルスの数が、パルス数Psに達したか否かを確認する(ステップS9)。搬送モータ58に供給されたパルスの数がパルス数Psに達していない場合(ステップS9において“N”)には、ステップS9に戻り、パルスの数がパルス数Psに達するまでステップS9を繰り返す。
ステップS9において、搬送モータ58に供給されたパルスの数がパルス数Psに達した場合(ステップS9において“Y”)には、メイン制御部70は、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vを調整速度Vsから微調整速度Vfaへ変化(加速)させ始める(ステップS10)。その後、媒体搬送速度Vが微調整速度Vfaに到達する(ステップS11)。
次に、メイン制御部70は、媒体搬送速度Vが微調整速度Vfaに到達した後に搬送モータ58に供給されたパルスの数が、微調整パルス数Paに達したか否かを確認する(ステップS12)。搬送モータ58に供給されたパルスの数が微調整パルス数Paに達していない場合(ステップS12において“N”)には、ステップS12に戻り、パルスの数が微調整パルス数Paに達するまでステップS12を繰り返す。
ステップS12において、搬送モータ58に供給されたパルスの数が微調整パルス数Paに達した場合(ステップS12において“Y”)には、メイン制御部70は、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfaからエンジン速度Vfへ変化(加速)させ始める(ステップS13)。その後、媒体搬送速度Vがエンジン速度Vfに到達する(ステップS14)。
以上でこのフローは終了する。
図17は、このような補正を行った後の書き出し位置のずれ量G1の計算結果の一例を表すものである。この図17は、微調整時の1パルス時間Tfa、微調整時の1パルス当たりの補正量Xa、および微調整パルス数Paを図17に示した各値に設定したときの、補正後の書き出し位置のずれ量G1の計算結果を示している。分解能の倍率Nは、この例では、“6”(N=6)に設定している。このように、画像形成装置1では、微調整を行うようにしたので、微調整を行わない場合における書き出し位置のずれ量Gに比べて、書き出し位置のずれ量G1を小さくすることができる。
また、画像形成装置1では、調整速度Vsを用いて粗調整を行うとともに、微調整速度Vfaを用いて微調整を行うようにした。これにより、画像形成装置1では、粗調整により調整範囲を維持しつつ、微調整により書き出し位置のずれを小さくすることができる。
また、画像形成装置1では、図15に示したように、記録媒体9を調整速度Vsで搬送する期間内の検出タイミングtsensで、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出し、その検出タイミングtsensにおけるトナー像搬送距離Dimgに基づいて粗調整および微調整を行うようにした。これにより、画像形成装置1では、構造寸法を小さくすることができる。すなわち、例えば、図8に示したように、タイミングt1〜t4の期間において粗調整を行った後に、媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfに一旦設定し、他の搬送センサが記録媒体9の先頭を検出し、その検出結果に基づいて微調整を行う場合には、粗調整と別に記録媒体9の検出および微調整を行うため、調整に必要な媒体搬送距離が長くなってしまう。このように、調整に必要な媒体搬送距離を長い場合には、画像形成装置の構造寸法が大きくなってしまうおそれがある。一方、画像形成装置1では、媒体搬送速度Vが調整速度Vsに設定されている期間内において、搬送センサ38が記録媒体9を検出し、その検出結果に基づいて粗調整および微調整を行うようにしたので、調整に必要な媒体搬送距離を短くすることができる。その結果、画像形成装置1では、構造寸法を小さくすることができる。
特に、画像形成装置1では、図15に示したように、媒体搬送速度Vを、調整速度Vsから微調整速度Vfaに直接変化させるようにした。これにより、画像形成装置1では、粗調整と微調整とをまとめて行うことができるため、調整に必要な媒体搬送距離を短くすることができ、その結果、構造寸法を小さくすることができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、調整速度を用いて粗調整を行うとともに、微調整速度を用いて微調整を行うようにしたので、粗調整により調整範囲を維持しつつ、微調整により書き出し位置のずれを小さくすることができる。
本実施の形態では、記録媒体を調整速度で搬送する期間内において、2番目の搬送センサが記録媒体を検出し、その検出結果に基づいて粗調整および微調整を行うようにしたので、調整に必要な媒体搬送距離を短くすることができ、その結果、画像形成装置の構造寸法を小さくすることができる。
本実施の形態では、媒体搬送速度を、調整速度から微調整速度に直接変化させるようにしたので、粗調整と微調整とをまとめて行うことができるため、画像形成装置の構造寸法を小さくすることができる。
[変形例1−1]
上記実施の形態では、搬送センサ38を搬送ローラ39の上流に配置したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図18に示す画像形成装置1Bのように、2番目の搬送センサ38Bを搬送ローラ39の下流に配置してもよい。この場合には、例えば、記録媒体9が搬送ローラ39を介して搬送センサ38Bに供給されるため、記録媒体9のそりを抑えることができ、調整精度を高めることができる。
<3.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る画像形成装置2について説明する。本実施の形態は、媒体搬送速度Vを微調整速度に設定する方法が、上記第1の実施の形態の場合と異なるものである。なお、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1などと実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図19は、本実施の形態に係る画像形成装置2における制御機構の一例を表すものである。画像形成装置2は、メイン制御部80を備えている。メイン制御部80は、記憶部81を有している。記憶部81は、この例では、エンジン速度設定62と、調整速度設定63と、加減速プロフィール64とを記憶している。
メイン制御部80は、このようなエンジン速度設定62、調整速度設定63、および加減速プロフィール64を用いて、搬送センサ36,38における検出結果に基づいて、媒体搬送速度Vを制御する。その際、メイン制御部80は、調整速度Vsを用いて粗調整を行うとともに、微調整速度Vfplus,Vfminusを選択的に用いて微調整を行うことにより、書き出し位置のずれを調整する。微調整速度Vfplusは、エンジン速度Vfよりも高い速度であり、微調整速度Vfminusは、エンジン速度Vfよりも低い速度である。
図20は、媒体搬送速度Vを変化させるときの一例を表すものである。メイン制御部80は、加減速プロフィール64を用いて、媒体搬送速度Vを段階的に変化させる。微調整速度Vfplusは、この例では、加減速プロフィール64におけるエンジン速度Vfの一階調上の速度である。また、微調整速度Vfminusは、この例では、加減速プロフィール64におけるエンジン速度Vfの一階調下の速度である。なお、これに限定されるものではなく、微調整速度Vfplusを、エンジン速度Vfより所定の階調だけ上の速度にし、微調整速度Vfminusを、エンジン速度Vfより所定の階調だけ下の速度にしてもよい。この所定量は、微調整を行うという目的から、例えば、1階調から3階調程度にすることが望ましい。
図21は、画像形成装置2における、微調整速度Vfplusを用いて微調整を行う場合の一動作例を表すものである。図22は、微調整速度Vfplusを用いて微調整を行う場合における、時間軸上での媒体搬送速度Vの変化の一例を表すものである。図21において、特性W4は、画像形成装置2における実際のケースを示す。タイミングt1〜t2の期間における動作は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
2番目の搬送センサ38は、図21,22に示したように、記録媒体9が調整速度Vsで搬送される期間における検出タイミングtsensにおいて、記録媒体9の先端を検出する。メイン制御部80は、その検出タイミングtsensにおけるトナー像搬送距離Dimgに基づいて、距離Xを算出する。さらに、メイン制御部80は、微調整パルス数Pa2(後述)を算出する。そして、メイン制御部80は、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が距離(X×Ps)だけ進んだタイミングt11において、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vを調整速度Vsから微調整速度Vfplusに向かって変化(加速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt12において微調整速度Vfplusに到達する。そして、メイン制御部80は、微調整パルス数Pa2に応じたタイミングt13において、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfplusからエンジン速度Vfに向かって変化(減速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、エンジン速度Vfに到達する。
図23は、画像形成装置2における、微調整速度Vfminusを用いて微調整を行う場合の一動作例を表すものである。図24は、微調整速度Vfminusを用いて微調整を行う場合における、時間軸上での媒体搬送速度Vの変化の一例を表すものである。図23において、特性W5は、画像形成装置2における実際のケースを示す。
2番目の搬送センサ38は、図23,24に示したように、記録媒体9が調整速度Vsで搬送される期間における検出タイミングtsensにおいて、記録媒体9の先端を検出する。メイン制御部80は、その検出タイミングtsensにおけるトナー像搬送距離Dimgに基づいて、距離Xを算出するとともに、微調整パルス数Pa2を算出する。そして、メイン制御部80は、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が距離(S×Ps)だけ進んだタイミングt21において、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vを調整速度Vsから微調整速度Vfminusに向かって変化(加速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt22において微調整速度Vfminusに到達する。そして、メイン制御部80は、微調整パルス数Pa2に応じたタイミングt23において、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfminusからエンジン速度Vfに向かって変化(加速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、エンジン速度Vfに到達する。
画像形成装置2では、このように、まず、媒体搬送速度Vを調整速度Vsに設定することにより粗調整を行い、次に、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfplusまたは微調整速度Vfminusに選択的に設定することにより微調整を行う。
この画像形成装置2でも、距離Xは、上記第1の実施の形態の場合と同様に、式(E2)で表すことができる。また、メイン制御部80は、記録媒体9を距離Xだけ進ませるために、例えば、次式で表されるパルス数Psのパルスを搬送モータ58に供給する。
よって、ずれ量ΔXは、次式のように表される。
距離Xのずれ量ΔXが正である場合(ΔX>0)には、書き出し位置のずれ量Gは正になり(G>0)になり、その結果、記録媒体9の先端における余白が広がる。この場合、メイン制御部80は、微調整速度Vfminusを選択する。また、距離Xのずれ量ΔXが負である場合(ΔX<0)には、書き出し位置のずれ量Gは負になり(G<0)になり、その結果、記録媒体9の先端における余白が狭まる。この場合、メイン制御部80は、微調整速度Vfplusを選択する。
搬送モータ58における1パルス当たりの補正量Xaは、上記第1の実施の形態の場合と同様に、式(E9)で表すことができる。この式(E9)における微調整速度Vfaは、選択された微調整速度(微調整速度Vfplusまたは微調整速度Vfminus)である。微調整パルス数Pa2は、この補正量Xaを用いて、次式で表すことができる。
ここで、“abs”は、絶対値を求める演算を行う関数である。補正後の書き出し位置のずれ量G1は、上記第1の実施の形態の場合と同様に、式(E11)で表すことができる。
図25A,25Bは、画像形成装置2におけるメイン制御部80の一動作例を表すものである。画像形成装置2は、まず、媒体搬送速度Vを調整速度Vsに設定することにより粗調整を行い、次に、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfplusまたは微調整速度Vfminusに選択的に設定することにより微調整を行う。以下に、この動作について詳細に説明する。
まず、メイン制御部80は、上記第1の実施の形態に係るメイン制御部70と同様に、1番目の搬送センサ36が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が距離Dsns1だけ進んだタイミングにおいて、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfから調整速度Vsに向かって変化(減速)させ始める(ステップS1〜S3)。そして、メイン制御部80は、媒体搬送速度Vが調整速度Vsに到達した後(ステップS4)、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出した検出タイミングtsensにおけるトナー像搬送距離Dimgに基づいて、加速タイミング(距離Xおよびパルス数Ps)を算出し、書き出し位置のずれ量Gを算出する(ステップS5〜S7)。
次に、メイン制御部80は、書き出し位置のずれ量Gが正(G>0)であるか否かを確認する(ステップS21)。メイン制御部80は、書き出し位置のずれ量Gが正である場合(ステップS21において“Y”)には、微調整速度Vfaを微調整速度Vfminusに設定し(ステップS22)、それ以外の場合(ステップS21において“N”)には、微調整速度Vfaを微調整速度Vfplusに設定する(ステップS23)。
次に、メイン制御部80は、微調整パルス数Pa2を算出する(ステップS24)。具体的には、メイン制御部80は、式(E9),(E14)を用いて微調整パルス数Pa2を算出する。
次に、メイン制御部80は、2番目の搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出した後に搬送モータ58に供給されたパルスの数が、パルス数Psに達したか否かを確認する(ステップS25)。搬送モータ58に供給されたパルスの数がパルス数Psに達していない場合(ステップS25において“N”)には、ステップS25に戻り、パルスの数がパルス数Psに達するまでステップS25を繰り返す。
ステップS25において、搬送モータ58に供給されたパルスの数がパルス数Psに達した場合(ステップS25において“Y”)には、メイン制御部80は、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vを調整速度Vsから微調整速度Vfaへ変化(加速)させ始める(ステップS26)。この微調整速度Vfaは、ステップS22で設定した微調整速度VfminusまたはステップS23で設定した微調整速度Vfplusである。その後、媒体搬送速度Vが微調整速度Vfaに到達する(ステップS27)。
次に、メイン制御部80は、媒体搬送速度Vが微調整速度Vfaに到達した後に搬送モータ58に供給されたパルスの数が、微調整パルス数Pa2に達したか否かを確認する(ステップS28)。搬送モータ58に供給されたパルスの数が微調整パルス数Paに達していない場合(ステップS28において“N”)には、ステップS28に戻り、パルスの数が微調整パルス数Paに達するまでステップS28を繰り返す。
ステップS28において、搬送モータ58に供給されたパルスの数が微調整パルス数Pa2に達した場合(ステップS28において“Y”)には、メイン制御部80は、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfaからエンジン速度Vfへ変化(加速または減速)させ始める(ステップS29)。その後、媒体搬送速度Vがエンジン速度Vfに到達する(ステップS30)。
以上でこのフローは終了する。
図26は、このような補正を行った後の書き出し位置のずれ量G1の計算結果の一例を表すものである。このように、画像形成装置2では、微調整を行うようにしたので、微調整を行わない場合における書き出し位置のずれ量Gに比べて、書き出し位置のずれ量G1を小さくすることができる。
また、画像形成装置2では、微調整速度Vfaを、エンジン速度Vfの一階調上の速度(微調整速度Vfplus)、またはエンジン速度Vfの一階調下の速度(微調整速度Vfminus)に選択的に設定するようにした。これにより、メイン制御部80の記憶部81は、第1の実施の形態に係る記憶部71(図13)とは異なり、微調整速度設定を記憶する必要がないため、メイン制御部80の構成をシンプルにすることができる。
以上のように本実施の形態では、微調整速度を、エンジン速度の一階調上の速度、またはエンジン速度の一階調下の速度に選択的に設定するようにしたので、構成をシンプルにすることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
[変形例2−1]
上記実施の形態では、搬送センサ38を搬送ローラ39の上流に配置したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、第1の実施の形態の変形例1−1(図18)と同様に、2番目の搬送センサ38Bを搬送ローラ39の下流に配置してもよい。
<4.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る画像形成装置3について説明する。本実施の形態は、1つの搬送センサにおける検出結果に基づいて、粗調整および微調整を行うものである。なお、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1などと実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図27は、本実施の形態に係る画像形成装置3の一構成例を表すものである。画像形成装置3は、搬送センサ38を備えている。この搬送センサ38は、二次転写部30が記録媒体9にトナー像を転写する際に、記録媒体9への書き出し位置のずれを調整する目的で使用される。具体的には、画像形成装置3では、搬送センサ38における検出結果に基づいて、粗調整および微調整を行う。すなわち、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1では、1番目の搬送センサ36における検出結果に基づいて粗調整を行うとともに、2番目の搬送センサ38における検出結果に基づいて微調整を行ったが、画像形成装置3では、1つの搬送センサ38における検出結果に基づいて、粗調整および微調整を行うようになっている。
図28は、画像形成装置3における制御機構の一例を表すものである。画像形成装置3は、メイン制御部90を備えている。メイン制御部90は、搬送センサ38における検出結果に基づいて、二次転写部30が記録媒体9にトナー像を転写する際に、書き出し位置のずれを調整する。メイン制御部90は、記憶部91を有している。記憶部91は、上記第1の実施の形態に係る記憶部71と同様に、エンジン速度設定62と、調整速度設定63と、微調整速度設定73と、加減速プロフィール64とを記憶している。
図29は、画像形成装置3の一動作例を表すものである。図30は、時間軸上での媒体搬送速度Vの変化の一例を表すものである。図29において、特性W6は、画像形成装置1における実際のケースを示す。
画像形成装置3では、第1の実施の形態に係る画像形成装置1などと同様に、まず、記録媒体9を、中間転写ベルト22上のトナー像よりも調整距離Dだけ先行させる。そして、搬送センサ38は、図29,30に示したように、タイミングt31において、エンジン速度Vfで搬送されてきた記録媒体9の先端を検出する。すなわち、このタイミングt31が検出タイミングtsensである。メイン制御部90は、この検出タイミングtsensにおいて、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfから調整速度Vsに向かって変化(減速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt2において調整速度Vsに到達する。
メイン制御部90は、検出タイミングtsensにおけるトナー像搬送距離Dimgに基づいて、距離Xおよび微調整パルス数Paを算出する。そして、メイン制御部90は、搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出してから、記録媒体9が距離(S×Ps)だけ進んだタイミングt33において、搬送モータ58を制御して、記録媒体9の媒体搬送速度Vを調整速度Vsから微調整速度Vfaに向かって変化(加速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt34において微調整速度Vfaに到達する。そして、メイン制御部70は、微調整パルス数Paに応じたタイミングt35において、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfaからエンジン速度Vfに向かって変化(加速)させ始める。その後、媒体搬送速度Vは、タイミングt36においてエンジン速度Vfに到達する。
図31は、画像形成装置3におけるメイン制御部90の一動作例を表すものである。
まず、メイン制御部90は、搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出したか否かを確認する(ステップS31)。搬送センサ38が記録媒体9の先端をまだ検出していない場合(ステップS31において“N”)には、ステップS31に戻り、搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出するまでステップS31を繰り返す。
ステップS31において、搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出した場合(ステップS31において“Y”)には、メイン制御部90は、搬送モータ58を制御して、媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfから調整速度Vsへ変化(減速)させ始める(ステップS32)。その後、媒体搬送速度Vが調整速度Vsに到達する(ステップS33)。
次に、メイン制御部90は、上記第1の実施の形態の場合と同様に、加速タイミングを算出する(ステップS6)。具体的には、メイン制御部90は、式(E2)を用いて距離Xを算出し、この距離Xおよび式(E3)を用いてパルス数Psを算出する。
次に、メイン制御部90は、上記第1の実施の形態の場合と同様に、書き出し位置のずれ量Gを算出する(ステップS7)。具体的には、メイン制御部90は、式(E4)を用いて距離Xのずれ量ΔXを算出し、このずれ量ΔXおよび式(E6)を用いて、書き出し位置のずれ量Gを算出する。
次に、メイン制御部90は、上記第1の実施の形態の場合と同様に、微調整パルス数Paを算出する(ステップS8)。具体的には、メイン制御部70は、式(E9),(E10)を用いて微調整パルス数Paを算出する。
なお、この図31では、説明の便宜上、ステップS33において減速が完了した後に、ステップS6〜S8において演算を行ったが、これに限定されるものではなく、ステップS31において搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出した後であれば、いつこれらの演算を行ってもよい。
その後、メイン制御部90は、第1の実施の形態の場合と同様に、搬送センサ38が記録媒体9の先端を検出した後に搬送モータ58に供給されたパルスの数が、パルス数Psに達したタイミングで、媒体搬送速度Vを調整速度Vsから微調整速度Vfaへ変化(加速)させ始める(ステップS9,S10)。その後、媒体搬送速度Vが微調整速度Vfaに到達する(ステップS11)。
そして、メイン制御部90は、第1の実施の形態の場合と同様に、媒体搬送速度Vが微調整速度Vfaに到達した後に搬送モータ58に供給されたパルスの数が、微調整パルス数Paに達したタイミングで、媒体搬送速度Vを微調整速度Vfaからエンジン速度Vfへ変化(加速)させ始める(ステップS12,S13)。その後、媒体搬送速度Vがエンジン速度Vfに到達する(ステップS14)。
以上でこのフローは終了する。
このように、1つの搬送センサ38における検出結果に基づいて、粗調整および微調整を行うようにしても、上記第1の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
[変形例3−1]
上記実施の形態では、第1の実施の形態に係る画像形成装置1において、1つの搬送センサ38における検出結果に基づいて、粗調整および微調整を行うようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、第2の実施の形態に係る画像形成装置2において、1つの搬送センサ38における検出結果に基づいて、粗調整および微調整を行うようにしてもよい。
[変形例3−2]
上記実施の形態では、搬送センサ38における検出結果に基づいて、媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfから調整速度Vsへ変化(減速)させ始めたが、その際、例えば、図32に示したように、検出タイミングtsensから所定時間が経過してから媒体搬送速度Vをエンジン速度Vfから調整速度Vsへ変化(減速)させ始めてもよい。
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記の各実施の形態では、本発明を画像形成装置に適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、コピー機、ファクシミリ、スキャナなどの機能を有する、いわゆる多機能周辺装置(MFP;Multi Function Peripheral)に適用してもよい。
また、例えば、上記の各実施の形態では、画像形成装置は、カラー画像を形成可能に構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、白黒画像を形成可能に構成してもよい。