JP2017159635A - 光書込み装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】記憶容量を不必要に増大させることなく、OLEDの劣化に伴う光量補正を精度良く行うことができる光書込み装置を提供する。【解決手段】発光回数の増加につれて劣化し、1回の発光量が多いほど早く劣化するOLEDを複数の設定光量で発光させるための劣化補正に加算値テーブルを用いる。加算値テーブルは、設定光量間で共通のドットカウント閾値と、設定光量ごとに複数の加算値とを記憶する。設定光量毎の加算値の平均値は、設定光量ごとの発光素子の劣化速度を設定光量間で劣化速度の比を近似する。発光素子を発光させるたびに複数の加算値を切り替えて発光素子毎のカウント値に加算すれば、当該カウント値がドットカウント閾値に達したか否かによって、発光素子の劣化度を精度良く推定することができる。設定光量ごとにドットカウント閾値を記憶する必要がないので、劣化補正に要する記憶容量を低減できる。【選択図】図8

Description

本発明は、光書込み装置及び画像形成装置に関し、特に有機LEDを用いた光書込み装置において光量補正に要するメモリ容量を低減する技術に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置に対する小型化の要求が一層強まっている。このため、感光体表面を露光して静電潜像を形成する光書込み装置についても、一層の小型化を図るべく、レーザーダイオード(LD: Laser Diode)を発光源とした光走査型から、微小ドットの発光素子をライン状に配置したライン光学型に切り替わりつつある。
また、ライン光学型の光書込み装置については、発光素子として半導体LEDを用いると、発光部(LEDアレイ)と各発光素子を制御するための駆動回路部とを、製造上の理由から別基板にせざるを得ず、コストが高くなる。このため、有機LED(OLED: Organic Light Emitting Diode)を用いて単一基板構成とし、低コスト化を図ったOLED−PH(OLED Print Head)が提案されている。
しかしながら、OLEDは、発光時間が長くなると発光効率が低下する劣化特性を有しており、この劣化特性は発光光量の多寡や環境温度に応じて変化することが知られている。OLED−PHにおいては、OLED間で光量が数%異なるだけでも、印刷画像にスジムラが視認され、画像品質が実用に耐えない。
このため、例えば、OLED−PHを構成する個々OLEDについて発光光量毎に発光時間、環境温度の履歴データを記憶しておき、OLEDを発光させる際には、発光時間と環境温度から所望の発光光量を得ることができる駆動電流量を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、OLED毎に発光回数をカウントして、カウント値が一定値を超えた場合には駆動電圧を高くする技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
これらの光量補正技術を適用すれば、OLEDの劣化による発光効率の低下に関わらず、優れた画像品質を維持し続けることができる。
特開2003−029710号公報 特開2005−329634号公報
上記従来技術においては、具体的に開示されてはいないが、発光光量、発光時間及び環境温度の組み合わせから望ましい駆動電流量や駆動電圧を得るために光量補正テーブルを用意する必要がある。また、OLEDには個体差があるため、例えば、OLEDの発光効率毎に光量補正テーブルを用意する必要もある。更に、光量を精度良く補正するためには、駆動電流量などを小まめに調整する必要が生じるために、光量補正テーブルにおける発光時間の刻みを細かくしなければならない。
すると、光量補正テーブルのサイズや数が膨大にならざるを得ないため、光量補正テーブルを記憶するために必要となる記憶容量が膨大になり、光書込み装置のサイズが大きくなったり、部品コストが上昇したりするおそれがある。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、記憶容量を不必要に増大させることなく、OLEDの劣化に伴う光量補正を精度良く行うことができる光書込み装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る光書込み装置は、発光回数の増加に伴って劣化し、かつ、発光量が多いほど早く劣化する電流駆動型の発光素子を複数の設定光量で発光させることによって光書込みを行う光書込み装置であって、前記複数の設定光量のうちの少なくとも2以上の設定光量に共通した閾値を記憶する閾値記憶手段と、前記設定光量ごとに、劣化度を所定度数だけ進行させる発光回数を前記閾値から求めるための係数値を記憶する係数値記憶手段と、前記2以上の設定光量のうちの1の設定光量で前記発光素子を発光させた場合において、その発光回数が、前記閾値と当該1の設定光量に係る前記係数値との演算で一義的に定まる値に達したら、前記発光素子に供給すべき駆動電流を増加させる電流補正を行う電流補正手段と、を備えることを特徴とする。
このようにすれば、設定光量毎に閾値を記憶するのに代えて、設定光量間で共通した閾値と、閾値よりもデータ量の小さい係数値とを記憶するので、OLEDの劣化補正に必要となる記憶容量を低減することができる。
この場合において、前記1の設定光量で前記発光素子を発光させるたびに、カウント値に前記係数値を加算し、又は前記カウント値から前記係数値を減算するカウント手段を備え、前記電流補正手段は、前記カウント値とその初期値との差が前記閾値に達したら、前記電流補正を行ってもよい。
更に、前記係数値記憶手段は、前記1の設定光量に係る前記係数値として複数の整数値を記憶しており、前記カウント手段は、前記発光素子を発光させるたびに前記複数の整数値を順次切り替えて、前記カウント値の計算に用いてもよいし、前記係数値は、整数部と小数部とからなっていてもよい。
また、前記1の設定光量で前記発光素子を発光させるたびにサブカウント値を1ずつカウントアップ又はカウントダウンし、前記サブカウント値とその初期値との差が前記1の設定光量に係る前記係数値に達するたびに当該サブカウント値を初期値にリセットするサブカウント手段と、前記サブカウント値とその初期値との差が前記1の設定光量に係る前記係数値に達するたびに、メインカウント値を1ずつカウントアップ又はカウントダウンするメインカウント手段と、を備え、前記電流補正手段は、前記メインカウント値とその初期値との差が前記閾値に達したら、前記電流補正を行ってもよい。
この場合において、前記係数値記憶手段は、設定光量ごとの係数値として複数の整数値を記憶しており、前記サブカウント手段は、前記サブカウント値とその初期値との差が前記係数値に達するたびに前記複数の整数値を順次切り替えてもよい。
また、前記閾値記憶手段は、前記複数の設定光量のすべてに共通する1の閾値を記憶してもよい。
また、前記発光素子に供給される駆動電流と、当該駆動電流を供給されたときの前記発光素子の発光量とを対応付けるLUT又は関数を記憶する電流光量関係記憶手段を備え、前記駆動電流補正手段は、前記LUT又は関数を用いて前記電流補正を行ってもよい。
更に、前記電流光量関係手段は、前記発光素子の劣化度に応じて、前記LUT又は関数を記憶し、前記駆動電流補正手段は、前記劣化度に応じて前記電流補正を行ってもよい。
また、前記発光素子は有機ELであってもよい。
また、本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る光書込み装置を備えることを特徴とする。このようにすれば、上述のような効果を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。 光書込み装置100の主要な構成を示す図である。 OLEDパネル200の概略平面図であり、併せてB−B´線における断面図とC−C´線における断面図が示されている。 TFT基板300の主要な構成を示すブロック図である。 1対の選択回路401と発光ブロック402とを示す回路図である。 アクティブ駆動方式を説明するタイミングチャートである。 ASIC310の主要な機能構成を示すブロック図である。 (a)は駆動電流値テーブルを例示し、(b)は加算値テーブルを例示する。 (a)、(b)及び(c)は順に発光効率テーブル、設定光量テーブル及び劣化度テーブルを例示する。 ASIC310の動作を表すフローチャートである。 (a)は従来技術に係るドットカウント閾値テーブルを例示し、(b)は当該テーブルのデータ量を試算する表である。 設定光量毎の劣化速度を比較する表である。 (a)は第1の実施の形態に係る加算値テーブルのデータ量を、(b)はその補正誤差をそれぞれ試算する表である。 第2の実施の形態に係る加算値テーブルを例示する図である。 第2の実施の形態に係る加算値テーブルについて、(a)はデータ量を試算する表であり、(b)は補正誤差を試算する表である。 第3の実施の形態に係るASIC310の主要な機能構成を示すブロック図である。 第3の実施の形態に係る閾値テーブルを例示する図である。 第3の実施の形態に係るASIC310の動作を表すフローチャートである。 第3の実施の形態に係る閾値テーブルについて、(a)はデータ量を試算する表であり、(b)は補正精度を試算する表である。
以下、本発明に係る光書込み装置及び画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]第1の実施の形態
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
(1)画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
図1に示されるように、画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンターである。画像形成装置1が備える画像形成ステーション110Y、110M、110C及び110Kは、制御部101の制御の下、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)各色のトナー像を形成する。
例えば、画像形成ステーション110Yにおいてイエローのトナー像を形成する際には、帯電装置112は感光体ドラム111の外周面を一様に帯電させる。光書込み装置100は、感光体ドラム111の外周面を露光して、静電潜像を形成する。
現像装置113は、感光体ドラム111の外周面にイエローのトナーを供給して、静電潜像を現像(顕像化)し、イエローのトナー像を形成する。1次転写ローラー114は、感光体ドラム111の外周面上から中間転写ベルト102の外周面上へトナー像を静電転写(1次転写)する。1次転写後に感光体ドラム111の外周面上に残留するトナーはクリーナー115によって除去され、廃棄される。
中間転写ベルト102は、2次転写ローラー対103と従動ローラー104に張架されており、トナー像を担持した状態で矢印A方向に回転走行する。
同様にして、画像形成ステーション110M、110C及び110Kが形成したマゼンタ、シアン及びブラック各色のトナー像が、イエローのトナー像に重なるようにタイミングを合わせて中間転写ベルト102の外周面上に1次転写され、カラートナー像となる。中間転写ベルト102はカラートナー像を2次転写ローラー対103まで搬送する。
給紙カセット120には記録シートSの束が収容されており、ピックアップローラー121は、記録シートSを1枚ずつ送り出す。記録シートSは、タイミングローラー122に達すると搬送が一旦停止された後、中間転写ベルト102によるカラートナー像の搬送にタイミングを合せて、2次転写ローラー対103まで搬送される。
2次転写ローラー対103は、中間転写ベルト102上のトナー像を記録シートS上に静電転写(2次転写)する。2次転写後、中間転写ベルト102上に残留するトナーはクリーナー105によって掻き取られ、廃棄される。トナー像を転写された記録シートSは、定着装置106でトナー像を熱定着された後、排紙ローラー107によって排紙トレイ108上に排出される。
なお、制御部101には不図示の操作パネルが接続されており、画像形成装置1のユーザーに対する情報提示を行ったり、ユーザーから指示入力を受け付けたりする。
(2)光書込み装置100の構成
次に、光書込み装置100の構成について説明する。
(2−1)全体構成
図2に示されるように、光書込み装置100は、OLEDパネル200とロッドレンズアレイ202をホルダー203に収容したものであって、OLEDパネル200においては15,000個のOLED201がライン状に配設されている。OLED201が出射した光ビームLは、ロッドレンズアレイ202によって感光体ドラム111の外周面上に集光される。ロッドレンズアレイ202は、多数のロッドレンズを集積した光学素子であって、SLA(SELFOC Lens Array。SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標。)を用いてもよいし、MLA(Micro Lens Array)を用いてもよい。
ロッドレンズアレイ202を構成する個々のロッドレンズと個々のOLED201と位置関係はさまざまであり、OLED201毎の集光率が一定しないため、すべてのOLED201を同一の発光量で発光させると、感光体ドラム111の外周面上でのOLED201毎の露光量にムラが生じる。このようなムラが生じないようにするために、本実施の形態においてはOLED201毎に発光量が調整される。
(2−2)OLEDパネル200の概略構成
図3は、OLEDパネル200の概略平面図であり、併せてB−B´線における断面図とC−C´線における断面図も示されている。また、概略平面図部分は後述する封止板301を取り外した状態を示している。
図3に示されるように、OLEDパネル200は、TFT(Thin Film Transistor)基板300、封止板301及びドライバーIC(Integrated Circuit)302等を備えている。TFT基板300には、15,000個のOLED201が主走査方向に沿って配列されている。これらのOLED201は、感光体ドラム111の外周面上で集光点が21.2μmピッチ(1200dpi)になるように一列又は千鳥状に配置されている。
TFT基板300のOLED201が配設された基板面には、スペーサー枠体303を挟んで封止板301が取着されている。これによって、TFT基板300上に実装されたOLED201等が、外気に触れないように乾燥窒素等を封入した状態で封止される。なお、吸湿剤を併せて封入してもよい。また、封止板301は、封止ガラスであってもよいし、ガラス以外の材料からなっていてもよい。
TFT基板300の封止領域外にはドライバーIC302が実装されている。制御部101は、光書込み装置100を駆動するためのASIC(Application Specific Integrated Circuit)310を内蔵している。制御部101は、カード電線(FFC: Flexible Flat Card)311を介してドライバーIC302に接続されており、ASIC310を用いてドライバーIC302に画像データを入力する。ドライバーIC302は画像データを変換して輝度信号を出力する。OLED201には輝度信号に応じた駆動電流が供給され、発光量が制御される。輝度信号は、電流信号であってもよいし電圧信号であってもよい。
ドライバーIC302には、温度センサー304が内蔵されている。OLED201の環境温度として、温度センサー304が検出するドライバーIC302の内部温度は、OLED201自体の温度に相関している。制御部101は、ドライバーIC302に内蔵された温度センサー304が検出した温度を参照することができる。
このように、OLED−PHではOLEDとTFTとを同一基板上に形成することができるので、発光部(LEDアレイ)と制御回路部(駆動IC等)とを別基板にせざるを得ないLED−PHよりも低コスト化を図ることができる。
(2−3)TFT基板300の構成
OLED201は、環境温度の変化に伴って発光効率が変化する光量温度特性を有しており、環境温度の高低により画像全体の濃度が変化する。また、OLED201は積算発光時間が長くなるにつれて発光量が低下する劣化特性を有する一方、OLED201毎の積算発光時間には画像データに応じて様々であるため、OLED201毎に光量劣化度が異なり輝度がばらついてしまう。
このような問題に対して、印刷画像をムラ無く、かつ画像品位を一定に保つためには、OLED201毎に駆動電流量を調整する必要がある。このため、ドライバーIC302がDACを用いてOLED201毎に生成した輝度信号を駆動回路に書き込むことによって、OLED201毎の発光量が調整される。
また、本実施の形態においては、複数のOLED201がDACを共用し、これらのOLED201を順次切り替えながらDACから輝度信号を書き込むアクティブ駆動方式を採用し、回路規模を削減している。アクティブ駆動方式では、DACが書き込んだ輝度信号は、主走査期間(1H期間)経過後の次の書込みが実施されるまで保持される(例えば、発光データが書き込まれた場合、約1H期間発光し続ける)。
図4に示されるように、TFT基板300においては、15,000個のOLED201が100個ずつ、150個の発光ブロック402に組分けされている。また、ドライバーIC302には150個のDAC400が内蔵されており、それぞれ発光ブロック402と1対1に対応している。
ドライバーIC302は、制御部101から画像データを入力されると、当該入力を100画素分ずつ1走査期間毎に各DAC400に分配する。DAC400から発光ブロックに向かう回路上には何れも選択回路401が配設されている。各DAC400は、画像データを輝度信号に変換し、配下の100個のOLED201に対して順次、輝度信号を出力する。
図5は、1対の選択回路401と発光ブロック402とを示す回路図である。図5に示されるように、発光ブロック402は100個の発光画素回路からなっており、各発光画素回路は、キャパシター521、駆動用TFT522及びOLED201を1つずつ有している。また、選択回路401はシフトレジスター511と100個の選択用TFT512とを備えている。
シフトレジスター511は、100個の選択用TFT512それぞれのゲート端子に接続されており、選択用TFT512を順番にオンする。選択用TFT512のソース端子は、書き込み配線530を経由して、DAC400に接続されており、ドレイン端子はキャパシター521の第1の端子並びに駆動用TFT522のゲート端子に接続されている。
シフトレジスター511が選択用TFT512をオンした状態で、DAC400からの輝度信号がキャパシター521の第1の端子に入力され(チャージ)、リセットされるまで保持される(ホールド)。
キャパシター521の第1の端子は、駆動用TFT522のゲート端子にも接続されており、キャパシター521の第2の端子は駆動用TFT522のソース端子並びに電源線531に接続されている。
駆動用TFT522のドレイン端子にはOLED201のアノード端子が接続されており、直列回路になっている。OLED201のカソード端子は接地配線532に接続されている。また、電源線531は、電源部612から受電した定電圧源AVDDに接続されており、接地配線532は接地端子GNDに接続されている。
定電圧源AVDDは、OLED201に供給される駆動電流の供給源となっており、駆動用TFT522は、キャパシター521の第1、第2の端子間に保持されている電圧、言い換えると駆動用TFT522のソース−ゲート電圧に応じたドレイン電流を駆動電流としてOLED201に供給する。言うまでもなく、ソース−ゲート電圧が高いほど、駆動用TFT522は多くの駆動電流を供給し、OLED201の発光量が増大する。
例えば、キャパシター521にHiに相当する輝度信号が書き込まれると、駆動用TFT522がオンして、駆動電流に応じた光量でOLED201が発光する。また、キャパシター521にLowに相当する輝度信号が書き込まれると、駆動用TFT522はオフして、OLED201は発光しない。このように、DAC400が出力する起動信号を変更することによって、OLED201の発光量を制御することができる。
書き込み配線530にはリセット回路540が接続されている。リセット回路540をオンすると電流DAC400から選択用TFT512までの配線が所定電圧にリセットされる。所定電圧は、定電圧源AVDDと同電圧であってもよいし、設置電圧と同電圧であってもよい。また、これらの中間電圧であってもよく、適切な電圧を選択するのが望ましい。リセット回路540は、ドライバーIC302に内蔵されていてもよい。また、リセット時と書込時でDACの極性を変えてリセットしてもよい。
このような構成を備えることによって、次のように輝度信号が書き込まれる。図6に示されるように、シフトレジスター511が、まず1番目の選択用TFT512をオンすると、当該オン期間をチャージ期間として、DAC400からの輝度信号が1番目のキャパシター521に入力される。
次に、シフトレジスター511が1番目の選択用TFT512をオフすると、1番目のキャパシター521が保持している電圧に応じた駆動電流が1番目のOLED201に供給され、OLED201が点灯する(ホールド期間)。
1番目の選択用TFT512のオフと共に、2番目の選択用TFT512がオンされ、2番目のキャパシター521に輝度信号が入力される。このような動作を100番目の選択用TFT512まで実行すると、また、1番目の選択用TFT512に戻って上記の動作を繰り返す。
なお、本実施の形態においては、駆動用TFT522がpチャンネルである場合を例にとって説明しているが、nチャンネルの駆動用TFT522を用いても良いことは言うまでも無い。また、書き込み配線530、電源線531及び接地配線532は何れも薄膜配線である。
(3)ASIC310の機能構成
次に、ASIC310の機能構成について説明する。
図7に示されるように、ASIC310は、駆動電流補正部700とドットカウント部710とを備えており、ドットカウント部710はOLED201毎にドットカウンター711を備えている。
ドットカウンター711は、対応するOLED201が主走査期間単位で1回発光すると所定のカウント値が加算される。
駆動電流補正部700は、駆動電流値テーブル、加算値テーブル及び温度補正係数を記憶している。
駆動電流値テーブルは、図8(a)に示されるように、発光効率、設定光量及び劣化度をパラメーターとして駆動電流値を記憶する。発光効率は、駆動電流値に対する発光量の比で表され、駆動電流値が同じであれば発光量が多いほど発光効率が高く、発光量が同じであれば駆動電流値が小さいほど発光効率が高い。
設定光量は、OLED201が出射すべき目標光量である。設定光量はOLED毎に指定されており、必要に応じて変更される。例えば、記録シートSの種類が普通紙であるか厚紙であるかによって画像形成装置1のシステム速度を切り替える場合には、併せて設定光量が切り替えられる。
劣化度は、OLED201が発光によって劣化した度合いを表すパラメーターである。本実施の形態においては、発光効率が10種類、設定光量が5種類、また、劣化度は1.000から1.400まで0.002刻みで200ステップになっており、初期状態においては何れのOLED201も劣化度が1.000に設定されている。
加算値テーブルは、図8(b)に示されるように、発光効率、設定光量及び劣化度をパラメーターとしてドットカウンター711の加算値を記憶すると共に、発光効率と劣化度とをパラメーターとしてドットカウント閾値を記憶する。加算値は、OLED201が1回発光するたびにドットカウンター711に加算される整数値である。
本実施の形態においては、加算値は、発光効率、設定光量及び劣化度の組み合わせ毎に2つずつ記憶される。例えば、発光効率01、劣化度1.002で、設定光量が500W/m2である場合には、加算値として18と19とが記憶されている。設定光量が100W/m2、200W/m2、300W/m2、400W/m2及び500W/m2である場合に記憶される加算値のデータ量はそれぞれ1ビット×2、2ビット×2、3ビット×2、4ビット×2及び5ビット×2である。
ドットカウント閾値は、劣化度を1ステップ(本実施の形態においては0.002)増加させるタイミングを表す整数値であって、ドットカウンター711のカウント値がドットカウント閾値に達すると、当該OLED201の劣化度が1ステップ増加される。
駆動電流補正部700は、更に発光効率テーブル、設定光量テーブル及び劣化度テーブルを記憶している。図9に示されるように、発光効率テーブルはOLED201毎に発光効率を記憶し、設定光量テーブルはOLED201毎に設定光量を記憶する。また、劣化度テーブルはOLED201毎に劣化度を記憶する。
(4)ASIC310の動作
次に、ASIC310の動作について説明する。
ASIC310は、図10に示されるように、まず、各OLED201に対応する発光効率、設定光量及び劣化度を発光効率テーブル、設定光量テーブル及び劣化度テーブルからそれぞれ取得する(S1001)。次に、ASIC310は、取得した発光効率、設定光量及び劣化度に対応する駆動電流量を、駆動電流量テーブルから取得し(S1002)、更に、発光効率、設定光量及び劣化度に対応するすべての加算値と、発光効率と劣化度との組み合わせに対応するドットカウント閾値とを加算値テーブルから取得する(S1003)。
例えば、発光効率が発光効率01で、劣化度が1.002、設定光量が200W/m2である場合には、前回の発光時に、図8に例示されている加算値テーブルから加算値3、4を読み出す。また、設定光量が100W/m2である場合には、無条件に加算値を1としてもよい。
その後、OLED201を発光させる場合には(S1004:YES)、当該OLED201に前記駆動電流量を供給するようドライバーIC302に指示して発光させる(S1005)。そして、当該OLED201に対応するドットカウンター711のカウント値に当該加算値を加算して、新たなカウント値を求める(S1006)。この場合において、ASIC310は発光効率、設定光量及び劣化度に対応する2つの加算値を、OLED201を発光させるたびに交互に加算する。
当該新たなカウント値がドットカウント閾値以上である場合には(S1007:YES)、当該OLED201の劣化度を更新する(S1008)。本実施の形態においては、劣化度を0.002だけ増加させる。
ステップS1008の処理を完了した後や、新たなカウント値がドットカウント閾値未満である場合には(S1007:NO)、ステップS1004に進んで上記の処理を繰り返す。
(5)劣化補正に要するデータ量
次に、劣化補正に要するデータ量を従来技術と比較する。
なお、従来技術においても、本実施の形態と同様に、劣化度は1.000から1.400まで0.002ずつ増加し、劣化度が0.002増加する毎に光量を補正するものとし、設定光量は5種類、発光効率は10種類に分類する。また、従来技術においては、OLED201を1回発光させる毎にドットカウント値に1を加算し、ドットカウント値がドットカウント閾値を超えた時、駆動電流値を更新する。
また、従来技術においても、本実施の形態に係る駆動電流値テーブルと同じ駆動電流値テーブルを用いるものとする。従って、駆動電流値テーブルについては従来技術も本実施の形態もデータ量は同じである。
(5−1)従来技術において必要となるデータ量
従来技術においては、ドットカウンターの加算値が常に1であるので、加算値テーブルは不要であるが、その代わりに発光効率、設定光量及び劣化度の組み合わせ毎にドットカウント閾値を記憶するドットカウント閾値テーブルが必要になる(図11(a))。
このドットカウント閾値テーブルのデータ量については、次のように試算することができる。図11(b)は、初期の劣化度1.000から次の劣化度1.002に劣化度を更新するまでにカウントすべき発光回数であるドットカウント閾値を例示する表である。ドットカウント閾値が最大になるのは設定光量が100W/m2である場合で、その値は8,819,812,090であって、データ量は34ビットである。また、ドットカウント閾値が最小になるのは設定光量が500W/m2である場合で、その値は478,986,887であって、データ量は29ビットである。
発光効率は10種類、設定光量は5種類、劣化度は1.000から1.400までの200ステップあるので、全データ量は、
(10種類)×(200ステップ)×(29+…+34ビット)≒312キロビット
となるので、膨大な記録容量が必要となり、光書込み装置のコスト上昇の要因となる。
(5−2)加算テーブルのデータ量
次に、加算テーブルのデータ量を、上記従来技術の場合と同じ条件で試算する。
図12に示されるように、劣化度が1.000から1.002に1ステップ進行する速度(劣化速度)は、設定光量が100W/m2である場合の劣化速度を基準に考えると、設定光量が200W/m2である場合には、ドットカウント閾値の比から3.51倍になる。同様に設定光量が500W/m2である場合には劣化速度が18.41倍である。
本実施の形態においては、この劣化速度の比に着目し、従来技術に係るドットカウント閾値テーブルに代えて、設定光量の如何に関わらず共通のドットカウント閾値を採用すると共に加算値テーブルを用いることによってデータ量の低減を図る。
また、本実施の形態においては、劣化度の精度を確保するために、設定光量ごとに2つの加算値を用いる。すなわち、図13(a)に例示されるように、200〜500W/m2の光量に対して加算値をカウントUP値a、カウントUP値bの2値保有し、発光毎に切り替えて加算する。設定光量が500W/m2である場合には、カウントUP値aに18、bに19を保持し、発光毎に切り替えて加算すれば、1回発光するたびに平均して18.5が加算される。
上記従来技術においては、設定光量が500W/m2である場合には29ビットのドットカウント閾値を記憶する必要があるのに対して、本実施の形態においては、5ビット×2、すなわち10ビットだけ記憶すればよいので、記憶しなければならないデータ量を低減することができる。設定光量が100W/m2、200W/m2、300W/m2及び400W/m2である場合に記憶される加算値のデータ量はそれぞれ1ビット×2(=2ビット)、2ビット×2(=4ビット)、3ビット×2(=6ビット)及び4ビット×2(=8ビット)である。
従って、加算値テーブルのデータ量は、
(10種類)×(200ステップ)×{34ビット+(2+…+10ビット)}≒124キロビット
となり、上記従来技術に関する試算値の半分以下に圧縮される。
(5−3)劣化度の精度
次に、本実施の形態における劣化度の推定精度について説明する。
上述のように、本実施の形態においては、設定光量毎に2つの加算値を用いてカウント値を更新することによって劣化度を推定する。劣化度の推定精度は、設定光量が200W/m2である場合を例にとると、加算値3、4を交互に加算すると、1回の発光で平均的3.5加算されるので、劣化度が1.000から1.002に更新される発光回数は、
8,819,812,909÷3.5≒2,519,946,311
となり、正確な閾値との差は、
2,515,330,403−2,529,946,311=4,615,908
であるので、補正誤差は、
4,615,908÷2,515,330,403≒0.18%
である。この補正誤差が、同一の駆動電流に対するOLED201の発光量が20%低下するまで繰り返されると、累積誤差は、
0.002×0.18%×(20%÷0.2%)≒0.04%
となる。この程度の誤差であれば、印刷画像において視認されない。設定光量が300W/m2、400W/m2及び500W/m2である場合においても、累積誤差を同様に算出すると、図13(b)に示されるように、−0.52%、−0.33%及び−0.09%となり、印刷画像において視認されないレベルである。
なお、本実施の形態においては、加算値が2つである場合を例にとって説明したが、3つ以上の加算値を切り替えてもよく、また、3つ以上の加算値を切り替える場合には、同じ加算値が複数含まれていてもよい。例えば、3つの加算値3、3及び2を用いれば、2.67を精度良く近似することができる。
[2]第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態に係る画像形成装置は、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置と概ね共通の構成を備える一方、加算値テーブルにおける加算値のデータ形式が相違している。以下、第1の実施の形態に係る画像形成装置との相違点に着目して説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部材等については共通の符号が付与されている。
(1)加算値テーブル
本実施の形態に係る加算値テーブルは、図14に示されるように、各加算値が整数部分と小数部分とを有している。例えば、設定光量が100W/m2の欄では、整数部分が1ビットで小数部分が2ビットの合計3ビットの加算値が記憶されており、本実施の形態においては、いずれの劣化度についても加算値は1.00である。
また、設定光量が200W/m2の欄では、整数部分、小数部分ともに2ビットで合計4ビットの加算値が記憶されており、劣化度が1.002である場合には加算値として3.50が記憶されている。同様に、設定光量が300W/m2、400W/m2及び500W/m2の欄においては、加算値のデータサイズが5、6及び7ビットになっている。
(2)加算テーブルのデータ量
次に、加算テーブルのデータ量を試算する。
例えば、設定光量が500W/m2である場合、上記第1の実施の形態において試算した従来技術においては29ビットのドットカウント閾値を記憶する必要があるのに対して、図15(a)に示されるように、本実施の形態においては、2進少数第2位まで近似するカウントUP値を7ビットだけ記憶すればよいので、記憶しなければならないデータ量を低減することができる。設定光量が100W/m2、200W/m2、300W/m2及び400W/m2である場合に記憶される加算値のデータ量はそれぞれ1ビット、4ビット、5ビット及び6ビットである。
従って、加算値テーブルのデータ量は、
(10種類)×(200ステップ)×{34ビット+(1+…+7ビット)}≒112キロビット
となる。小数部2ビットを拡張するための30キロビットを考慮しても、
112キロビット+30キロビット=142キロビット
となるので、上記従来技術に関する試算値312キロビットの半分以下に圧縮される。
(3)劣化度の推定精度
次に、本実施の形態における劣化度の推定精度について説明する。
本実施の形態における劣化度の推定精度は、設定光量が200W/m2である場合を例にとると、図15(b)に示されるように、1回の発光で平均的3.5加算されるので、劣化度が1.000から1.002に更新される発光回数は、
8,819,812,909÷3.5≒2,519,946,311
となり、正確な閾値との差は、
2,515,330,403−2,529,946,311=4,615,908
であるので、補正誤差は、
4,615,908÷2,515,330,403≒0.18%
である。この補正誤差が、同一の駆動電流に対するOLED201の発光量が20%低下するまで繰り返されると、累積誤差は、
0.002×0.18%×(20%÷0.2%)≒0.04%
となる。この程度の誤差であれば、印刷画像において視認されない。設定光量が300W/m2、400W/m2及び500W/m2である場合においても、累積誤差を同様に算出すると、図15(b)に示されるように、−0.52%、−0.33%及び−0.09%となり、印刷画像において視認されないレベルである。
なお、本実施の形態においては、小数部を2ビットとすることによって、加算値の精度が0.25である場合を例にとって説明をしたが、小数部を3ビット以上として、加算値の精度を0.125以下にしてもよいことは言うまでもない。
[3]第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態に係る画像形成装置は、上記実施の形態に係る画像形成装置と概ね共通の構成を備える一方、OLED201毎のドットカウンター711が、メインカウンターとサブカウンターとからなっており、設定光量毎にメインカウンターとサブカウンターとの各閾値が指定されている点において相違している。以下、上記実施の形態に係る画像形成装置との相違点に着目して説明する。なお、上記実施の形態と共通する部材等については共通の符号が付与されている。
(1)ASIC310の機能構成
まず、ASIC310の機能構成について説明する。
図16に示されるように、本実施の形態においては、OLED201毎のドットカウンター711がメインカウンター1601とサブカウンター1602とからなっている。後述のように、サブカウンター1602は、対応するOLED201が1回発光するたびに1ずつカウントアップされる。また、サブカウンター1602のカウント値がサブカウンター閾値に達すると、メインカウンター1601が1ずつカウントアップされると共に、サブカウンター1602のカウント値が0にリセットされる。
駆動電流補正部700は、本実施の形態においては、加算値テーブルに代えて、閾値テーブルを記憶している。
閾値テーブルは、図17に示されるように、発光効率、設定光量及び劣化度をパラメーターとして2つのサブカウンター閾値を記憶すると共に、発光効率と劣化度とをパラメーターとしてドットカウント閾値を記憶する。
上述のように、サブカウンター1602のカウント値が2つのサブカウンター閾値のうちの一方のサブカウンター閾値に達すると、メインカウンター1601のカウント値が1だけ増加すると共に、サブカウンター1602のカウント値が0にリセットされる。また、参照すべきサブカウンター閾値は、サブカウンター1602のカウント値が0にリセットされるたびに切り替えられる。
上の処理を繰り返して、メインカウンター1601のカウント値がドットカウント閾値に達すると、劣化度が0.002だけ増加すると共に、メインカウンター1601のカウント値が0にリセットされる。
図17の例では、例えば、設定光量が100W/m2で劣化度が1.002である場合には、サブカウンター閾値として18、19が記憶されている。例えば、OLED201が18回発光すると、サブカウンター1602のカウント値が一方のサブカウンター閾値に達して、メインカウンター1601のカウント値が1だけ増加し、サブカウンター1602のカウント値が0にリセットされる。
また、メインカウンター1601のカウント値がドットカウント閾値に達すると、劣化度が1.002から1.004に更新されると共に、メインカウンター1601のカウント値が0にリセットされる。
(2)ASIC310の動作
次に、ASIC310の動作について説明する。なお、図10と共通するステップについては、S1001など同じ符号が付されている。
ASIC310は、図18に示されるように、まず、各OLED201に対応する発光効率、設定光量及び劣化度を発光効率テーブル、設定光量テーブル及び劣化度テーブルからそれぞれ取得する(S1001)。次に、ASIC310は、取得した発光効率、設定光量及び劣化度に対応する駆動電流量を、駆動電流量テーブルから取得する(S1002)、更に、ASIC310は、閾値テーブルからサブカウンター閾値を2つとも読み出すと共に(S1801)、ドットカウント閾値を読み出す(S1802)。
OLED201を発光させる場合には(S1004:YES)、当該OLED201に前記駆動電流量を供給するようドライバーIC302に指示して発光させて(S1005)、サブカウンター1602のカウント値を1だけ増加させる(S1803)。次に、サブカウンター1602のカウント値とサブカウンター閾値とを比較する。
サブカウンター1602のカウント値がサブカウンター閾値に達していたら(S1804:YES)、メインカウンター1601のカウント値を1増加させる(S1805)。なお、サブカウンター1602のカウント値と比較するサブカウンター閾値は、サブカウンター1602のカウント値がサブカウンター閾値に達するたびに切り替えるものとする。
次に、メインカウンター1601のカウント値とドットカウント閾値とを比較して、カウント値がドットカウント閾値に達していたら(S1806:YES)、劣化度を更新する(S1807)。本実施の形態においては、劣化度を0.002だけ増加させる。
ステップS1807の処理を完了した後や、サブカウンター1602のカウント値がサブカウンター閾値に満たない場合(S1804:NO)、メインカウンター1601のカウント値がドットカウント閾値に満たない場合(S1806:NO)には、ステップS1004に進んで上記の処理を繰り返す。
(3)閾値テーブル
本実施の形態に係る閾値テーブルのデータ量を試算する。
図19(a)に例示されるように、閾値テーブルは、発光効率、設定光量及び劣化度の組み合わせ毎に2つのサブカウンター閾値を記憶する。例えば、設定光量が100W/m2の欄では、サブカウンター閾値aとサブカウンター閾値bとが何れも5ビットであり、設定光量が200W/m2の欄では、サブカウンター閾値aとサブカウンター閾値bとが何れも3ビットである。
また、閾値テーブルには29ビットのドットカウント閾値も記憶されている。本実施の形態においては、設定光量が500W/m2である場合の劣化速度を基準とするので、設定光量が100W/m2である場合の劣化速度を基準とする場合と比較して、ドットカウント閾値のデータ量を低減することができる。
このため、閾値テーブルのデータ量は、
(10種類)×(200ステップ)×{29ビット+(5ビット×2+…+2ビット×2)}≒106キロビット
となる。これは、上記従来技術のテーブルサイズ312キロビットの概ね1/3である。
(4)劣化度の推定精度
次に、本実施の形態における劣化度の推定精度について説明する。
上記第1の実施の形態においては、図12に示すように、設定光量が100W/m2である場合の劣化速度を1.00として、他の設定光量での劣化速度を求めた。これに対して、本実施の形態においては、図19(a)の欄1900に示されるように、設定光量が500W/m2である場合の劣化速度を1.00として、他の設定光量での劣化速度Vを求めている。サブカウンター閾値a、bは劣化速度Vを用いて下記のように表される。
(サブカウンター閾値a)=[V]
(サブカウンター閾値b)=[V]+1
ここで、[・]はガウス記号であって、記号内の数値の小数部分を切り捨てた整数値を表す。このサブカウンター閾値a、bを交互に用いれば、サブカウンター閾値a、bの平均値で劣化速度を近似することができる。
設定光量100W/m2である場合を例にとると、サブカウンター閾値a、bは18、19であるので、その平均値18.5を用いて正確な劣化速度18.41が近似される。
このため、劣化度の推定精度は、図19(b)に示されるように、1回の発光で平均的3.5加算されるので、劣化度が1.000から1.002に更新される発光回数は、
478,986,887×{(18+19)÷2}≒8,861,257,419
となり、正確な閾値との差は、
8,861,257,419−8,819,812,090=41,445,329
であるので、補正誤差は、
41,445,329÷8,819,812,090≒0.47%
である。この補正誤差が、同一の駆動電流に対するOLED201の発光量が20%低下するまで繰り返されると、累積誤差は、
0.002×0.47%×(20%÷0.2%)≒0.09%
となる。この程度の誤差であれば、印刷画像において視認されない。設定光量が200W/m2、300W/m2及び400W/m2である場合においても、累積誤差を同様に算出すると、図19(b)に示されるように、−0.95%、−0.17%及び0.03%となり、印刷画像において視認されないレベルである。
なお、本実施の形態においては、サブカウンター閾値が2つである場合を例にとって説明したが、3つ以上のサブカウンター閾値を切り替えてもよく、また、3つ以上のサブカウンター閾値を切り替える場合には、同じサブカウンター閾値が複数含まれていてもよい。例えば、3つのサブカウンター閾値5、5及び6を用いれば、2つのサブカウンター閾値を用いる場合よりも5.33を精度良く近似することができる。
[4]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)上記第1の実施の形態においては、2つの加算値の平均値でドットカウント閾値を除算した回数だけOLED201を発光させるたびに劣化度を更新する場合を例にとって説明した。また、第2の実施の形態においては、整数部分と小数部分とを有する加算値でドットカウント閾値を除算した回数だけOLED201を発光させるたびに劣化度を更新する場合を例にとって説明した。
更に、第3の実施の形態においては、ドットカウント閾値にサブカウンター閾値を乗算した回数だけOLED201を発光させるたびに劣化度を更新する場合を例にとって説明した。
これら第1、第2の実施の形態については、加算値とドットカウント閾値とを共に同じ乗数を乗算した加算値テーブルを用いても、劣化補正の精度は同じである。また、設定光量間でドットカウント閾値を共用することに変わりはないので、本発明の効果を得ることができる。
第3の実施の形態については、ドットカウント閾値を除算する除数と、サブカウンター閾値に乗算する乗数とが同じであれば、劣化補正の精度は同じである。また、設定光量間でドットカウント閾値を共用することに変わりはないので、本発明の効果を得ることができる。
(2)上記実施の形態においては、ドットカウンター711やメインカウンター1601、サブカウンター1602が初期値0から閾値までカウントアップする場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、初期値と最終値との差が閾値に等しければ、初期値が0でなくてもよい。
また、初期値と最終値との大小関係を逆にしてカウントダウンしてもよく、この場合には上記の加算値を減算値としてカウント値から減算することになる。例えば、閾値を初期値として0まで減算値ずつカウントダウンしてもよい。
(3)上記実施の形態においては、100W/m2から500W/m2までの5種類の設定光量すべてについて共通のドットカウント閾値を用いる場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、少なくとも2種類の設定光量について共通のドットカウント閾値を用いればよい。
設定光量間で共通のドットカウント閾値を用いれば、劣化補正のために記憶しなければならないドットカウント閾値の種類を減らすことができるので、劣化補正に要するデータ量を低減することができる。当然ながら、すべての設定光量間で共通のドットカウント閾値を用いれば、データ量を最も低減することができる。
(4)上記実施の形態においては、何れかの設定光量に対応する加算値が1に等しくなるドットカウント閾値を用いたが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、何れの設定光量に対応する加算値も1にならないドットカウント閾値を用いても加算値テーブルのデータ量を低減する効果を得ることができる。
例えば、図8(b)の加算値テーブルにおいて、元の値に代えて、ドットカウント閾値並びに加算値をすべて2倍した値を用いても、上記第1の実施の形態と同様の補正精度を達成することができ、かつ、上記第1の実施の形態ほどではないにしても、従来技術よりもデータ量を低減することができる。
なお、加算値テーブルのデータ量を最小化するという意味では、何れかの設定光量に対応する加算値が1に等しくなるドットカウント閾値を用いのが望ましい。
(5)上記実施の形態においては、駆動電流値テーブルを用いて発光素子の劣化度に応じた駆動電流値を取得する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、LUT(Look Up Table)に代えて適当な関数を用いて駆動電流値を算出してもよい。そのような関数は、例えば上記実施の形態に合わせると、発光効率、劣化度及び設定光量を変数として駆動電流値を算出させる。
(6)上記実施の形態においては、画像形成装置1がタンデム型のカラープリンターである場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、タンデム型以外のカラープリンターであってもよいし、モノクロプリンターであってもよい。また、スキャナーを備えた複写装置であってもよいし、更に通信機能を備えたファクシミリ装置であってもよい。また、これらの機能を兼ね備えた複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)に本発明を適用しても効果を得ることができる。
本発明に係る光書込み装置及び画像形成装置は、特に有機LEDを用いた光書込み装置において光量補正に要するメモリ容量を低減した装置として有用である。
1…………画像形成装置
110……画像形成ステーション
100……光書込み装置
101……制御部
200……OLEDパネル
201……OLED
310……ASIC
700……駆動電流補正部
710……ドットカウント部
711……ドットカウンター
1601…メインカウンター
1602…サブカウンター

Claims (11)

  1. 発光回数の増加に伴って劣化し、かつ、発光量が多いほど早く劣化する電流駆動型の発光素子を複数の設定光量で発光させることによって光書込みを行う光書込み装置であって、
    前記複数の設定光量のうちの少なくとも2以上の設定光量に共通した閾値を記憶する閾値記憶手段と、
    前記設定光量ごとに、劣化度を所定度数だけ進行させる発光回数を前記閾値から求めるための係数値を記憶する係数値記憶手段と、
    前記2以上の設定光量のうちの1の設定光量で前記発光素子を発光させた場合において、その発光回数が、前記閾値と当該1の設定光量に係る前記係数値との演算で一義的に定まる値に達したら、前記発光素子に供給すべき駆動電流を増加させる電流補正を行う電流補正手段と、を備える
    ことを特徴とする光書込み装置。
  2. 前記1の設定光量で前記発光素子を発光させるたびに、カウント値に前記係数値を加算し、又は前記カウント値から前記係数値を減算するカウント手段を備え、
    前記電流補正手段は、前記カウント値とその初期値との差が前記閾値に達したら、前記電流補正を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の光書込み装置。
  3. 前記係数値記憶手段は、前記1の設定光量に係る前記係数値として複数の整数値を記憶しており、
    前記カウント手段は、前記発光素子を発光させるたびに前記複数の整数値を順次切り替えて、前記カウント値の計算に用いる
    ことを特徴とする請求項2に記載の光書込み装置。
  4. 前記係数値は、整数部と小数部とからなっている
    ことを特徴とする請求項2に記載の光書込み装置。
  5. 前記1の設定光量で前記発光素子を発光させるたびにサブカウント値を1ずつカウントアップ又はカウントダウンし、前記サブカウント値とその初期値との差が前記1の設定光量に係る前記係数値に達するたびに当該サブカウント値を初期値にリセットするサブカウント手段と、
    前記サブカウント値とその初期値との差が前記1の設定光量に係る前記係数値に達するたびに、メインカウント値を1ずつカウントアップ又はカウントダウンするメインカウント手段と、を備え、
    前記電流補正手段は、前記メインカウント値とその初期値との差が前記閾値に達したら、前記電流補正を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の光書込み装置。
  6. 前記係数値記憶手段は、設定光量ごとの係数値として複数の整数値を記憶しており、
    前記サブカウント手段は、前記サブカウント値とその初期値との差が前記係数値に達するたびに前記複数の整数値を順次切り替える
    ことを特徴とする請求項5に記載の光書込み装置。
  7. 前記閾値記憶手段は、前記複数の設定光量のすべてに共通する1の閾値を記憶する
    ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の光書込み装置。
  8. 前記発光素子に供給される駆動電流と、当該駆動電流を供給されたときの前記発光素子の発光量とを対応付けるLUT又は関数を記憶する電流光量関係記憶手段を備え、
    前記駆動電流補正手段は、前記LUT又は関数を用いて前記電流補正を行う
    ことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の光書込み装置
  9. 前記電流光量関係手段は、前記発光素子の劣化度に応じて、前記LUT又は関数を記憶し、
    前記駆動電流補正手段は、前記劣化度に応じて前記電流補正を行う
    ことを特徴とする請求項8に記載の光書込み装置。
  10. 前記発光素子は有機ELである
    ことを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の光書込み装置。
  11. 前記請求項1から10の何れかに記載の光書込み装置を備える
    ことを特徴とする画像形成装置。
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