JP2005329634A - ラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 駆動時間が一定時間を超えた場合でも画質が劣化しない構成としたラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 図1(a)の例では、当初一定電圧Vaを印加して発光素子を定電圧制御している。発光素子の駆動時間が250時間を超えたところで、駆動電圧をVaからVbに昇圧して発光素子を定電圧制御する。すなわち、駆動時間に応じて印加電圧を変えて発光素子を定電圧制御する。図1(b)は、発光素子の駆動時間と発光光量との関係を示しており、駆動時間が200時間を超えると当初のIaからIxに低下する。ここで、駆動時間が250時間を超えると、前記のように印加電圧がVaからVbに昇圧されるので、発光光量はIbに改善される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機EL素子を定電圧制御する際に、駆動時間が一定時間を超えた場合でも画質が劣化しない構成とした、ラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置に関するものである。
1ラインに多数の発光素子を設けたラインヘッドを露光手段として用いる画像形成装置が開発されている。特許文献1には、複数の発光素子からなる発光素子アレイを単一チップに集積させて露光手段を形成した画像形成装置が記載されている。この例においては、各色毎の単一チップ発光素子アレイを単一基板に形成してから分離して、各色の現像装置に配置することにより、発光特性のバラツキを解消している。
ラインヘッドに適用される発光素子として、LEDの他に有機EL素子が提案されている。有機EL素子は、静的な制御が可能であるので制御系を簡略化できるという利点がある。有機EL素子からなる複数の発光素子を用いたラインヘッドにおいては、光量を一定値に保持するために発光素子を定電流制御で駆動する場合がある。
しかしながら、定電流制御の場合には回路構成が複雑になる、という問題があるので、回路構成が比較的簡単な定電圧制御で発光素子を駆動することが行われている。有機EL素子からなる発光素子を定電圧制御で駆動する際に、累積の駆動時間が一定時間を超える場合もある。このような場合には、有機EL素子に内在する固有の特性に起因して、各発光素子の抵抗値が変化して発光光量が低下することが知られている。
図9(b)は、駆動時間(h)と、有機EL素子からなる発光素子の発光光量との関係を示す特性図である。図9(a)に示すように、各発光素子には一定電圧Vaが印加されているものとする。この場合に、図9(b)に示すように発光光量は、駆動時間が一定時間、この例では200時間まではIaで一定である。駆動時間が200時間を超えると、発光光量はIaからIxのように低下し始め、駆動時間が250時間を超えると、発光光量は更に低下してIyのような特性となる。
特開平11―138899号公報
前記特許文献1に記載の技術は、発光素子としてLEDの他に有機EL素子を用いることについても言及されている。しかしながら、有機EL素子を定電圧制御する際に、図9のように、駆動時間が一定値を超えると発光光量が低下することの対策については開示されていない。このため、ラインヘッドに有機EL素子を取り付けて定電圧制御により駆動する際に、駆動時間が一定値を超えると発光光量が低下して、画質の劣化に対応することができないという問題があった。
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機EL素子を定電圧制御する際に、駆動時間が一定時間を超えた場合でも画質が劣化しない構成とした、ラインヘッドおよび画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成する本発明のラインヘッドは、1ラインに配列される複数の有機EL素子からなる発光素子と、前記発光素子を定電圧制御する手段と、ラインヘッドの使用状況のカウント手段とを具備し、前記カウント手段のカウント値を用いて前記発光素子を定電圧制御することを特徴とする。このような構成とすることにより、有機EL素子からなる発光素子を定電圧制御する際に、ラインヘッドの経年劣化に伴う発光光量の低下を補償して画質の劣化を防止することができる。
また、本発明のラインヘッドは、前記カウント手段は、前記発光素子の累積の駆動時間をカウントすることを特徴とする。このような構成とすることにより、駆動時間が一定時間を超えた際に発光光量が低下するという、有機EL素子に内在する特有の特性を補償して、画質の劣化を防止することができる。
また、本発明のラインヘッドは、前記カウント手段は、印字される記録紙の枚数をカウントすることを特徴とする。このような構成とすることにより、印字された記録紙の枚数をカウントするという簡単な手段で発光光量の低下を補償して、画質の劣化を防止することができる。
また、本発明のラインヘッドは、前記カウント手段は、画像パターンの印刷ドット列の形成回数をカウントすることを特徴とする。このような構成で、各発光素子毎のトナー消費量をカウントすることにより、発光素子の累積の駆動時間が求められる。このため、各発光素子毎にきめ細かに発光光量の低下を補償して、画質の劣化を防止することができる。
また、本発明のラインヘッドは、前記発光素子の定電圧制御は、個別の発光素子毎に行うことを特徴とする。このように、個別の発光素子毎に定電圧制御を行うので、各発光素子の駆動時間が一定値を超えた場合でも高画質の画像形成を行うことができる。
また、本発明のラインヘッドは、前記発光素子の定電圧制御は、1ラインに配列される複数の発光素子を複数のブロックに区分してブロック単位で行うことを特徴とする。このように、ブロック単位で定電圧制御を行うので、種々の画像パターンを形成する際に、画質の劣化を防止することができる。
また、本発明のラインヘッドは、前記発光素子の定電圧制御は、1ラインに配列される複数の発光素子に対して同時に同電圧を印加して行うことを特徴とする。このような構成とすることにより、複数の発光素子に対する定電圧制御が簡易化される。
また、本発明のラインヘッドは、前記各発光素子を駆動するFETのゲート電極とドレイン電極間に、コンデンサを接続したことを特徴とする。このように、FETのゲート電極とドレイン電極間に、コンデンサを接続しているので、各発光素子に対する定電圧制御を円滑に行える。
また、本発明のラインヘッドは、前記発光素子の定電圧制御は、前記発光素子の駆動時間が一定時間を超えて発光光量が低下した際に、発光光量を所定値に回復させるために段階的に昇圧して行われることを特徴とする。このように、発光素子に対する電圧制御は、発光素子の駆動時間に応じて段階的に電圧を変えた定電圧制御であるので、簡単な手段で画質の劣化を防止することができる。
また、本発明のラインヘッドは、前記複数の発光素子が配列されるラインを副走査方向に複数列形成したことを特徴とする。このように、ラインヘッドの副走査方向に複数列の発光素子ラインを設けているので、多重露光や予備列の設置などに対応でき、当該ラインヘッドを用いた画像形成装置を多様な用途に適用できる。
本発明の画像形成装置は、像担持体の周囲に帯電手段と、前記いずれかに記載のラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする。このため、タンデム方式の画像形成装置において、有機EL素子からなる発光素子の定電圧制御を行う際に、発光素子の駆動時間が一定時間を超えた場合の画質の劣化を防止することができる。
また、本発明の画像形成装置は、静電潜像を担持可能に構成された像担持体と、ロータリ現像ユニットと、前記いずれかに記載のラインヘッドとを備え、前記ロータリ現像ユニットは、複数のトナーカートリッジに収納されたトナーをその表面に担持するとともに、所定の回転方向に回転することによって異なる色のトナーを順次前記像担持体との対向位置に搬送し、前記像担持体と前記ロータリ現像ユニットとの間に現像バイアスを印加して、前記トナーを前記ロータリ現像ユニットから前記像担持体に移動させることで、前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成することを特徴とする。このため、ロータリ方式の画像形成装置において、有機EL素子からなる発光素子の定電圧制御を行う際に、発光素子の駆動時間が一定時間を超えた場合の画質の劣化を防止することができる。
また、本発明の画像形成装置は、中間転写部材を備えたことを特徴とする。このため、中間転写部材を備えた画像形成装置において、有機EL素子からなる発光素子の定電圧制御を行う際に、発光素子の駆動時間が一定時間を超えた場合の画質の劣化を防止することができる。
本発明によれば、有機EL素子を定電圧制御する際に、駆動時間が一定時間を超えた場合でも画質が劣化しない構成とした、ラインヘッドおよび画像形成装置を得ることができる。
以下、図を参照して本発明を説明する。図1は、ラインヘッドに発光素子として有機EL素子を用いた場合の、駆動時間―印加電圧(a)、駆動時間―発光光量(b)の関係を示す特性図である。本発明においては、発光素子を定電圧制御する際に、発光素子の駆動時間が一定時間、例えば250時間を超えると、電圧値を上昇させて定電圧制御するものである。このような定電圧制御を行うことにより、低下した発光光量を増加させて初期の発光光量に回復させることを基本としている。
図1(a)には、発光素子の駆動時間と、発光素子に印加する電圧値との関係が示されている。この例では、当初一定電圧Vaを印加して発光素子を定電圧制御している。発光素子の駆動時間が250時間を超えたところで、駆動電圧をVaからVbに昇圧して発光素子を定電圧制御する。すなわち、駆動時間に応じて印加電圧を変えて発光素子を定電圧制御するものである。このように、本発明の実施形態にかかる発光素子に対する電圧制御は、発光素子の駆動時間に応じて、印加する電圧値を段階的に変えた定電圧制御であるので、簡単な手段で画質の劣化を防止することができる。
図1(b)は、発光素子の駆動時間と発光光量との関係を示している。発光素子の発光光量は、駆動時間が200時間を超えると当初のIaからIxに低下する。さらに駆動時間が経過して、発光素子の駆動時間が250時間を超えたものとする。この場合には、前記のように印加電圧がVaからVbに昇圧されるので、発光光量はIxのように初期値から低下した特性から引き上げられてIb、すなわちほぼIaに近い特性に改善される。
図2は、ラインヘッドの制御部の概略構成を示すブロック図である。図2において、2はラインヘッドの制御部、3は制御回路、4はTFTからなる駆動回路、5はカウンタ、6はメモリ、7は発光素子Eaが1ライン(主走査方向)に複数配列され、副走査方向に複数列設けられている発光素子ライン、8は本体コントローラである。カウンタ5は、ラインヘッドの使用状況をカウントする。カウンタ5の例として、発光素子の累積の駆動時間のカウンタ、記録紙の印字枚数のカウンタ、ドットカウンタなどのカウンタが適用される。これらのカウンタのカウント値は、制御回路3に入力される。
本体コントローラ8は、印刷データを形成してラインヘッドの制御部2に送信する。メモリ6には、各発光素子Eaの特性、例えば図1(b)に示したような駆動時間―発光光量の特性を記憶させている。また、本体コントローラ8で作成された、図1(a)に示したような駆動時間―印加電圧特性が制御回路3に送信される。制御回路3は、カウンタ5から入力されるラインヘッドの使用状況のカウント値と、発光素子の駆動時間―発光光量の特性とを対比して各発光素子の定電圧制御を行う。図2の例で、カウンタ5が発光素子の累積の駆動時間をカウントする場合には、制御回路3は、各発光素子の駆動時間が250時間を超えているかどうかを判断する。各発光素子の駆動時間が250時間を超えている場合には、印加電圧をVaからVbに昇圧して定電圧制御を行う。
このように、制御回路3により、図1(b)に示したような駆動時間―発光光量の特性から、個別の発光素子毎に発光状態を予測して電圧制御を行う。このため、各発光素子の駆動時間が一定値を超えた場合でも高画質の画像形成を行うことができる。制御部2は、請求項1に記載された「発光素子の定電圧制御手段」として機能する。
なお、図2の例では、駆動回路4は、個別の発光素子Eaに対してそれぞれ電圧を印加して定電圧制御を行っているが、主走査方向の1ラインすべての発光素子に対して、同じ電圧を印加して駆動することも可能である。このような構成とすることにより、複数の発光素子に対する定電圧制御が簡易化される。
図2の例では、ラインヘッドの副走査方向に複数列の発光素子ラインを設けている。このため、ラインヘッドを多重露光に適用することができる。また、主走査方向の1ラインで画像形成を行い、他のラインは前記画像形成ラインの故障時の予備用に用いることもできる。このように、図2の例では、ラインヘッドの副走査方向に複数列の発光素子ラインを設けているので、画像形成装置を多様な用途に適用できる。
本発明のラインヘッドは、図2のように副走査方向に複数列の発光素子ラインを設けた例には限定されない。図3は、本発明の他の実施形態にかかるラインヘッドの説明図である。図3の例では、ラインヘッド10には、1ラインの発光素子ライン1が設けられている。この発光素子ライン1には、主走査方向(Y方向)に有機EL素子からなる複数の発光素子Eaが配列されている。
また、発光素子ライン1は、A、B、C・・・Nの複数のブロックに区分されている。本発明の実施形態においては、前記図1(a)に示したような定電圧制御を、図2で説明したように各発光素子単位、すなわち、各ドット単位で行う外に、図3に示したようなブロック単位で行うこともできる。このように、ブロック単位で定電圧制御を行う場合には、種々の画像パターンを形成する際に、画質の劣化を防止することができる。次に、ブロック単位で発光素子を定電圧制御する具体例について、図4の回路図で説明する。
図4において、ラインヘッド10aには、発光素子ライン1が設けられている。発光素子ライン1には、有機EL素子を用いた発光素子D00〜D23が配列されている。14は正の電源線、15は負の電源線である。正の電源線14は、発光素子ライン1における各発光素子のアノードに共通して接続されている。また、負の電源線15は発光素子ライン1における各発光素子のカソードに接続されている。発光素子ライン1は、電源線14、15間に接続される。
図4の11、12、13は、発光素子D00〜D23をブロック単位で制御するためのシフトレジスタ回路で、シフトレジスタ回路11の出力信号C0は発光素子D00〜D03を含むブロックAを制御する。また、シフトレジスタ回路12の出力信号C1は発光素子D10〜D13を含むブロックBを制御し、シフトレジスタ回路13の出力信号C2は発光素子D20〜D23を含むブロックCを制御する。
SPは信号線17よりシフトレジスタ11のデータ端子Dに入力されるスタートパルス、CKは信号線18より各シフトレジスタ11〜13に入力されるクロック信号である。16は各発光素子にデータ信号Dat0〜Dat3を供給する信号線、Tr2は各発光素子のアノード側に接続されるドライバトランジスタ、Tr1はドライバトランジスタTr2のゲートにソースが接続される制御トランジスタである。制御トランジスタTr1、ドライバトランジスタTr2は、例えばFET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)により形成される。
シフトレジスタ回路11の出力端子Qから出力される出力信号C0は、信号線C0aを介して発光素子D00〜D03に接続される各制御トランジスタTr1のゲートに印加される。C1はシフトレジスタ回路12の出力信号であり、信号線C1aを介して発光素子D10〜D13に接続される各制御トランジスタTr1のゲートに印加される。C2はシフトレジスタ回路13の出力信号であり、信号線C2aを介して発光素子D20〜D23に接続される各制御トランジスタTr1のゲートに印加される。
このように、シフトレジスタ回路11は、発光素子ライン1の発光素子の中からブロックAの発光素子D00〜D03を選択する。また、シフトレジスタ回路12はブロックBの発光素子D10〜D13を選択し、シフトレジスタ回路13はブロックCの発光素子D20〜D23を選択する。すなわち、シフトレジスタ回路11〜13は、発光素子のブロック選択手段として機能する。
それぞれのシフトレジスタ回路の出力信号C0〜C2がHレベルのときに、当該ブロックの発光素子を制御する各制御トランジスタTr1のゲートに信号を印加する。各発光素子は、正の電圧VDDが印加される電源線14と負の電源線15間に並列に接続されている。このようにシフトレジスタを用いているので、パルス駆動の簡単な構成でブロック選択を行うことができる。
次に、データ線16のデータ信号Dat0〜Dat3について説明する。このデータ信号は、各制御トランジスタTr1のドレインに供給される。したがって、前記ブロック選択信号で選択された発光素子の制御トランジスタTr1にデータ信号Dat0〜Dat3が供給されると、当該制御トランジスタTr1に接続されたドライバトランジスタTr2が導通して該当する発光素子が動作する。なお、前記ブロック選択信号を制御トランジスタTr1のドレインに、データ線を制御トランジスタTr1のゲートに繋ぎ変えた構成でも同様の動作が可能である。
例えばブロックAについては、データ信号Dat0〜Dat3はそれぞれ発光素子D00〜D03を制御する制御トランジスタTr1に供給される。すなわち、データ信号Dat0〜Dat3は、同一ブロック内の個別の発光素子を選択する選択信号として作用する。このように、本発明のラインヘッドにおいては、個別の発光素子を選択して点灯動作させることができる。なお、データ信号Dat0〜Dat3は、濃淡データが時間データに変換されて各発光素子に供給される。
図4においては、前記のようにシフトレジスタ回路11〜13が、発光素子のブロック選択手段として機能している。シフトレジスタ回路11〜13で選択されたブロックA、B、Cの各発光素子に、電源線14から正の電圧VDDを供給することにより、初期のVaによる定電圧制御を行う。また、図1(a)に示したようなVaからVbに昇圧した電圧による定電圧制御を行うことができる。
図5は、図4で説明した個別の発光素子Eaの電圧制御の例を示す回路図である。図5においては、ドライバトランジスタTr2のゲート電極gとドレイン電極dとの間にコンデンサCxを接続している。図5の構成において、ドライバトランジスタTr2のゲート電極gとドレイン電極dとを短絡すると、ドライバトランジスタTr2のゲートーソース間の電圧Vgsとドレインーソース間の電圧Vdsとは等しくなる。このときの電圧VgsをコンデンサCxに記憶させている。この際に、発光素子Eaに電源VDDから供給されるアナログ電流は、定電圧に切り替えられる。本発明においては、このような原理を利用して、コンデンサCxをドライバトランジスタTr2(FET)のゲートーソース間に接続して発光素子Eaの定電圧制御を行っている。
図6は、図2で説明したカウンタの使用例を示すブロック図である。図6の例は、トナーカウンタのカウント値に基づいてラインヘッドの使用状況を判断している。この例では、トナーカウンタのカウント値により画像パターンの印刷ドット列の形成回数を計数して、発光素子の経年劣化の度合いを判断するものである。
図6において、トナーカウンタ200では、CPU100から露光制御部102に与えられるものと同一の制御信号、すなわち、外部装置、例えば図2の本体コントローラ8から与えられた画像信号に基づいて、各トナー色毎の階調値に展開された信号が入力される。比較回路201はその制御信号に基づき、階調値が所定の閾値以上の印刷ドットに対応する信号のみを通過させ、判別回路202に入力する。判別回路202は、比較回路201の出力信号に基づき印刷ドットの配列状態を判別する「パターン判別手段」としての機能を有している。
すなわち、判別回路202は、印刷ドット列を構成するドット数を検知して、閾値以上のドット、4連続ドット、孤立ドット、の3パターンに分類し、そのパターンに応じてカウンタ203〜205のいずれかに「1」を出力する。ここで、孤立ドットは、ある閾値以上の画素の両隣の画素が閾値未満のものである。これらのカウンタ203、204および205は、それぞれ閾値以上のドット、4連続ドット、孤立ドット、の各パターンに対応して設けられたものである。各カウンタ203〜205は、判別回路202から随時出力される信号をカウントすることによって、当該パターンの印刷ドット列の形成回数を計数する「カウント手段」としての機能を有している。
例えば、比較回路201に入力された制御信号が、孤立ドットに対応したものであったときには、比較回路201からの出力信号に基づいて、判別回路202は当該印刷ドットが孤立ドットであることを判別する。そして、カウンタ205に対して「1」を出力する一方、他のカウンタ203、204に対しては「0」を出力する。このような処理により、孤立ドットの形成回数を示すカウンタ205のカウント値のみを1つ増加させる。
しかしながら、この際に他のカウンタ203、204のカウント値は変化しない。同様に、比較回路201に入力された制御信号が4連続ドットに対応したものである場合には、対応したカウンタ204のカウント値が1つずつ増加してゆく。このようにして、各パターン毎の印刷ドットの形成回数が個別にカウントされる。
これらのカウント値C1、C2およびC3は、演算回路206に入力される。この演算回路206には、カウント値C1、C2およびC3以外に、CPU100から与えられるオフセット値Noと、係数テーブル207からの出力とが入力される。また、演算回路206からの出力は、CPU100および係数テーブル207に入力されている。この係数テーブル207には、「重み付け係数」Kx、K1、K2、K3(下記(1)式)の候補となる複数組の数値が予め記憶されており、演算回路206の出力値に応じてそのうちの1組が選択される。
そして、演算回路206は、各カウンタ203〜205から出力されるそれぞれのカウント値C1、C2、C3と、係数テーブル207から選択されて出力される重み付け係数K1、K2、K3とを乗じるとともにそれらの和を求める。更に、その和と係数Kxとの積に、CPU100から与えられるオフセット値Noを加算する。このような演算によって、(1)式に定義するトナー消費量が求められる。(トナー消費量)=Kx・(K1・C1+K2・C2+K3・C3)+No…(1)ただし、Kxは各色により異なる色依存係数である。
このようにして、各ドットに対応する発光素子毎のトナー消費量、すなわち、各発光素子の駆動時間のパラメータをカウントすることによりラインヘッドの使用状況を把握している。したがって、各発光素子毎にきめ細かに発光光量の低下を補償して、画質の劣化を防止することができる。
カウンタ210は、タイマまたはプログラムタイマで計時したラインヘッドの駆動時間、すなわち、発光素子の累積の駆動時間をカウントする。カウントされた結果はカウンタ210から演算回路206に入力され、累積の発光素子の駆動時間が演算される。演算回路206で演算された累積の発光素子の駆動時間はCPU100に入力される。CPU100は、累積のラインヘッドの駆動時間に基づいて図1(a)に示したような発光素子に対する電圧制御を行う制御信号を形成する。
このように、カウンタ210を用いることにより、駆動時間が一定時間を超えた際に、発光光量が低下する有機EL素子に特有の特性を補償して、画質の劣化を防止することができる。なお、カウンタ210は、ラインヘッドの累積の駆動時間をカウントする外に、例えば記録紙の印字枚数のカウント、画像形成のための垂直同期信号(Vsyhc)のパルス数のカウントなど、発光素子の駆動時間のパラメータとなる項目をカウントする構成とすることができる。記録紙の印字枚数のカウンタは、給紙経路などにセンサを設けることで対応ができるので、簡単な構成とすることができる。
本発明においては、上記のような構成の有機ELアレイヘッドを、例えば電子写真方式のカラー画像を形成する画像形成装置の露光ヘッドとして用いることができる。図7は、有機ELアレイヘッドを用いた画像形成装置の一例を示す正面図である。この画像形成装置は、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置として構成されている。
図7に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51と従動ローラ52とテンションローラ53が設けられており、テンションローラ53によりテンションを加えて張架されて、図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト50を備えている。この中間転写ベルト50に対して所定間隔で配置された4個の像担持体としての外周面に感光層を有する感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
前記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様である。感光体41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。
各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を感光体41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する本発明の上記のような有機ELアレイ露光ヘッド1(K、C、M、Y)が設けられている。
また、この有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト50に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。
ここで、各有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)は、有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)のアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置される。そして、各有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体41(K、C、M、Y)に接触あるいは押厚させることにより、感光体41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させることによりトナー像として現像するものである。
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
なお、図7中、63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。記録媒体Pの搬送経路の適宜の位置、例えば給紙カセット63とゲートローラ対65間の適宜の位置には、印字される記録紙の枚数をカウントするカウンタを設ける。
このように、図7の画像形成装置は、書き込み手段として有機ELアレイを用いているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。本発明においては、図7に示したようなタンデム方式の画像形成装置において、発光素子の定電圧制御を行う際に、発光素子の駆動時間が一定時間を超えた場合の画質の劣化を防止することができる。
次に、本発明に係る画像形成装置に係る他の実施の形態について説明する。図8は、画像形成装置の縦断側面図である。図8において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、有機ELアレイが設けられている像書込手段(ラインヘッド)167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢視A方向に回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢視B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢視C方向に回転するトナ−供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器、167は像書込手段で有機ELアレイが設けられている。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向の矢視D方向に駆動される。
中間転写ベルト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ170aが前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆方向の矢視E方向に回動される。
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接されて用紙に画像が転写される。
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢視G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。印字される記録紙の枚数は、給紙トレイ近傍など、給紙搬送路の適宜の位置に設けられるセンサによりカウントされる。
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータは、例えば低速のブラシレスモータが用いられる。また、中間転写ベルト169は色ずれ補正などが必要となるのでステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略している制御手段からの信号により制御される。
図の状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ62aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢視A方向に90度回転する。
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次にシアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後に更に回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。
本発明においては、図8に示したようなロータリ方式の画像形成装置において、発光素子の定電圧制御を行う際に、発光素子の駆動時間が一定時間を超えた場合の画質の劣化を防止することができる。また、中間転写部材を備えたタンデム方式およびロータリ方式の画像形成装置において、発光素子の定電圧制御を行う際に、発光素子の駆動時間が一定時間を超えた場合の画質の劣化を防止することができる。
以上、本発明のラインヘッドと画像形成装置を実施例に基づいて説明した。本発明においては、発光素子の駆動時間が一定時間を超えた場合には特性が劣化して発光光量が低下することを予測して、発光光量を回復させるような定電圧制御を行うものである。本発明のラインヘッドと画像形成装置は、これら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
本発明にかかる発光素子の特性を示す特性図である。 ラインヘッドの制御部を示すブロック図である。 ラインヘッドの例を示す説明図である。 図3における発光素子の制御の例を示す回路図である。 定電圧制御の例を示す回路図である。 カウンタの例を示すブロック図である。 タンデム方式の画像形成装置を示す側面図である。 ロータリ方式の画像形成装置を示す側面図である。 発光素子の駆動時間-発光光量の特性を示す特性図である。
符号の説明
1・・・発光素子ライン、2・・・制御部、3・・・制御回路、4・・・駆動回路、5・・・カウンタ、6・・・メモリ、7・・・発光素子ライン、8・・・本体コントローラ、10・・・ラインヘッド、11〜13・・・シフトレジスタ、41(K、C、M、Y)・・・感光体ドラム(像担持体)、44(K、C、M、Y)・・・現像装置、50・・・中間転写ベルト、66・・・二次転写ローラ、101K、101C、101M、101Y・・・有機ELアレイ露光ヘッド(ラインヘッド)、161・・・現像装置、165・・・感光体ドラム、167・・・露光ヘッド(ラインヘッド)、169・・・中間転写ベルト、171・・・二次転写ローラ、P…記録媒体、Ea・・・有機EL素子。

Claims (13)

  1. 1ラインに配列される複数の有機EL素子からなる発光素子と、前記発光素子を定電圧制御する手段と、ラインヘッドの使用状況のカウント手段とを具備し、前記カウント手段のカウント値を用いて前記発光素子を定電圧制御することを特徴とするラインヘッド。
  2. 前記カウント手段は、前記発光素子の累積の駆動時間をカウントすることを特徴とする、請求項1に記載のラインヘッド。
  3. 前記カウント手段は、印字される記録紙の枚数をカウントすることを特徴とする、請求項1に記載のラインヘッド。
  4. 前記カウント手段は、画像パターンの印刷ドット列の形成回数をカウントすることを特徴とする、請求項1に記載のラインヘッド。
  5. 前記発光素子の定電圧制御は、個別の発光素子毎に行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラインヘッド。
  6. 前記発光素子の定電圧制御は、1ラインに配列される複数の発光素子を複数のブロックに区分してブロック単位で行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラインヘッド。
  7. 前記発光素子の定電圧制御は、1ラインに配列される複数の発光素子に対して同時に同電圧を印加して行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラインヘッド。
  8. 前記各発光素子を駆動するFETのゲート電極とドレイン電極間に、コンデンサを接続したことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のラインヘッド。
  9. 前記発光素子の定電圧制御は、前記発光素子の駆動時間が一定時間を超えて発光光量が低下した際に、発光光量を所定値に回復させるために段階的に昇圧して行われることを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のラインヘッド。
  10. 前記複数の発光素子が配列されるラインを副走査方向に複数列形成したことを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のラインヘッド。
  11. 像担持体の周囲に帯電手段と、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
  12. 静電潜像を担持可能に構成された像担持体と、ロータリ現像ユニットと、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のラインヘッドとを備え、前記ロータリ現像ユニットは、複数のトナーカートリッジに収納されたトナーをその表面に担持するとともに、所定の回転方向に回転することによって異なる色のトナーを順次前記像担持体との対向位置に搬送し、前記像担持体と前記ロータリ現像ユニットとの間に現像バイアスを印加して、前記トナーを前記ロータリ現像ユニットから前記像担持体に移動させることで、前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  13. 中間転写部材を備えたことを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の画像形成装置。

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