以下、図を参照して本発明を説明する。本発明においては、ラインヘッドの副走査方向に複数ラインの発光素子ラインを設け、その中の少なくとも1ラインを予備動作用の発光素子ラインとして形成する。通常動作用の発光素子ラインに故障などの不測の事態が発生した場合には、当該予備動作用の発光素子ラインを使用できるように、通常動作用の発光素子ラインと予備動作用の発光素子ラインを切り替える切り替え手段を設けたことを特徴としている。
図11は、本発明のラインヘッドの例を示す説明図である。図11において、ラインヘッド10には、主走査方向(Y方向)に多数の発光素子Laを形成した発光素子ライン1aを設ける。この発光素子ラインは、副走査方向(X方向)に複数ライン形成される。この例では、1a、1b、1c、1dの4ライン設けられている。発光素子Laは、前記EL素子以外に、例えばLED(Light Emitting Diod)を用いることもできる。
図11の例では、発光素子ライン1bは予備動作用の発光素子ラインとして形成されており通常は使用されない。通常の印字処理で使用される通常動作用の発光素子ライン1aのいずれかの発光素子Laが故障した場合には、詳細を後述する切り替え手段により予備動作用の発光素子ライン1bを使用する。発光素子ライン1c、1dは、例えば多重露光を行う場合に使用することができる。
本発明のラインヘッドにおいては、予備動作用として設けられる発光素子ラインは1ラインのみに限定されるものではない。発光素子ライン1cを発光素子ライン1dの予備動作用として形成することもできる。また、図11の例では発光素子ラインを副走査方向に4ライン形成しているが、発光素子ラインを2列形成し、一方の1ラインを通常動作用の発光素子ライン、他方の1ラインを予備動作用の発光素子ラインとして切り替えて使用する構成とすることもできる。なお、多重露光用のラインヘッドにおいては、通常動作用の発光素子ラインは任意数のラインを形成することができる。
このように、本発明においては、ラインヘッドの副走査方向に2ライン以上の複数ラインの発光素子ラインを設け、その中の少なくとも1ラインを予備動作用の発光素子ラインとして形成するものである。その形態は、前記のように、2ラインの発光素子ラインを通常動作用の発光素子ラインと予備動作用の発光素子ラインに区分して形成する場合、3ライン以上の複数ラインで発光素子ラインを形成し、その中の少なくとも1ラインを予備動
作用の発光素子ラインとして使用する場合が含まれる。後者の場合には、予備動作用の発光素子ラインは2ライン以上形成することもできる。
図1は、本発明の実施形態を示す回路図である。ラインヘッド10には、発光素子ライン1、2が設けられている。発光素子ライン1には、例えばEL素子を用いた発光素子D00〜D23が配列されている。また、発光素子ライン2にも、EL素子を用いた発光素子D50〜D73が配列されている。4は正の電源線、5、6は負の電源線である。
正の電源線4は、発光素子ライン1、2における各発光素子のアノードに共通して接続されている。また、負の電源線5は発光素子ライン1における各発光素子のカソードに接続され、負の電源線6は発光素子ライン2における各発光素子のカソードに接続されている。発光素子ライン1は、電源線4、5間に接続され、発光素子ライン2は電源線4、6間に接続される。なお、簡略化するために図1では図示を省略しているが、実際には、正の電源線4と各発光素子ライン1、2の発光素子のアノード間には、個別に正の電源線4とのオンオフスイッチが設けられている。このオンオフスイッチは、例えば電子スイッチで構成される。
3は切り替えスイッチで、接触子3cが接点3a側に投入されている場合には、電源線4、5間に直流電圧が印加されて発光素子ライン1の各発光素子D00〜D23が点灯動作する。また、切り替えスイッチ3の接触子3cが接点3b側に投入されている場合には、電源線4、6間に直流電圧が印加されて発光素子ライン2の各発光素子D50〜D73が点灯動作する。
発光素子ライン1は通常動作用に設けられており、発光素子ライン2は予備動作用に設けられている。発光素子ライン1の発光素子D00〜D23のいずれかに故障が発生した場合には、前記切り替えスイッチ3により発光素子ライン2の各発光素子D50〜D73に電圧を印加して発光動作を行わせる。このように、図1の例では、各発光素子ラインの発光素子のカソード側が共通に接続される電源線5、6を切り替えスイッチ3で切り替えることにより、発光素子ラインを切り替えている。
この際に、正の電源線4は各発光素子ラインの発光素子のアノードに共通して接続されている。図1の例では、一方極性の電源線4は2ラインの発光素子ラインで共通に接続した状態を維持し、他方極性の電源線5、6のみを切り替えている。このため、両極性の電源線共に切り替える場合と比較して、切り替え手段の構成を簡略化することができる。また、切り替え動作を円滑に行うことができる。
切り替えスイッチ3は、図1に示されているような機械的なスイッチの外に、トランジスタなどの電子的スイッチを用いる構成とすることができる。また、発光素子ライン1、2の一方を通常動作用、他方を予備動作用とするものであり、発光素子ライン2を通常動作用、発光素子ライン1を予備動作用として用いることもできる。
本発明においては、1ラインの発光素子ラインに配列されている複数の発光素子をブロックに区分して、ブロック単位で動作させることや、各発光素子ラインにおける個別の発光素子を選択して発光させる制御を行うことができる。図2はこのような制御を行う例を示す回路図、図3はそのタイミングチャート、図4は説明図である。図2の回路図において、図1と同じところには同一の符号を付している。
図2の11、12、13は、発光素子D00〜D23をブロック単位で制御するためのシフトレジスタで、シフトレジスタ11の出力信号C0は発光素子D00〜D03を含むブロックAを制御する。また、シフトレジスタ12の出力信号C1は発光素子D10〜D
13を含むブロックBを制御し、シフトレジスタ13の出力信号C2は発光素子D20〜D23を含むブロックCを制御する。
SPは信号線17よりシフトレジスタ11のデータ端子Dに入力されるスタートパルス、CKは信号線18より各シフトレジスタ11〜13に入力されるクロック信号である。7は各発光素子にデータ信号Dat0〜Dat3を供給する信号線、Tr2は各発光素子のアノード側に接続されるドライブトランジスタ、Tr1はドライブトランジスタTr2のゲートにソースが接続される制御トランジスタである。制御トランジスタTr1、ドライブトランジスタTr2は、例えばFET(Field Effect Transistor、電界効果トラン
ジスタ)により形成される。
シフトレジスタ11の出力端子Qから出力される出力信号C0は、信号線C0aを介して発光素子D00〜D03に接続される各制御トランジスタTr1のゲートに印加される。C1はシフトレジスタ12の出力信号であり、信号線C1aを介して発光素子D10〜D13に接続される各制御トランジスタTr1のゲートに印加される。C2はシフトレジスタ13の出力信号であり、信号線C2aを介して発光素子D20〜D23に接続される各制御トランジスタTr1のゲートに印加される。
このように、シフトレジスタ11は発光素子ライン1の発光素子の中からブロックAの発光素子D00〜D03を選択する。また、シフトレジスタ12はブロックBの発光素子D10〜D13を選択し、シフトレジスタ13はブロックCの発光素子D20〜D23を選択する。すなわち、シフトレジスタ11〜13は、発光素子のブロック選択手段として機能する。それぞれの出力信号C0〜C2がハイレベル(以下Hレベルと略記する)のときに、当該ブロックの発光素子を制御する各制御トランジスタTr1のゲートに信号を印加する。各発光素子は、正の電圧VDDが印加される電源線4と負の電源線5間に並列に接続されている。図2の例では、発光素子ライン1の発光素子をブロックに区分して、ブロック単位で点灯動作せている。このため、必要な範囲で印字動作を行わせることができる。
次に、データ線7のデータ信号Dat0〜Dat3について説明する。このデータ信号は、各制御トランジスタTr1のドレインに供給される。したがって、前記ブロック選択信号で選択された発光素子の制御トランジスタTr1にデータ信号Dat0〜Dat3が供給されると、当該制御トランジスタTr1に接続されたドライブトランジスタTr2が導通して該当する発光素子が動作する。例えばブロックAについては、データ信号Dat0〜Dat3はそれぞれ発光素子D00〜D03を制御する制御トランジスタTr1に供給される。すなわち、データ信号Dat0〜Dat3は、同一ブロック内の個別の発光素子を選択する選択信号として作用する。このように、本発明のラインヘッドにおいては、個別の発光素子を選択して点灯動作させることができる。
図3のタイミングチャートを参照して、各発光素子の具体的な動作について説明する。図2の各発光素子に接続される正負の電源線4−5間には直流電圧が印加されているものとする。このタイミングチャートは、発光素子の動作時間が1〜8のインターバル(小主走査期間)に8区分されている。このインターバルの長さは例えば10μsに設定する。図示番号11〜13で構成される一連のシフトレジスタにおいて、左端のシフトレジスタ11のデータ端子Dにスタートパルス(SP)を入力する。このSPは、クロック信号(CK)の立上りに同期して取り込まれ、順次シフトレジスタ11〜13間で転送される。
ここで、シフトレジスタのいずれかの出力の一つだけがHレベルとなるように信号SPの間隔が設定されている。例えば時間1のインターバルにおいて、時刻0でSPがシフトレジスタ11に入力され、この際にCKがHレベル(u)でシフトレジスタ11の出力信
号C0がHレベルとなる。次のCKがHレベルのタイミング(v)でSPがシフトレジスタ12に転送され、その出力信号C1がHレベルとなる。さらに、次のCKがHレベルのタイミング(w)でSPがシフトレジスタ13に転送され、その出力信号C2がHレベルとなる。
各シフトレジスタの出力は、各ブロックの制御トランジスタTr1群のゲートに接続されている。図3に示されているように、各ブロックを選択するC0〜C2の信号は、時間差をもって制御トランジスタTr1に印加される。このため、あるブロックの制御トランジスタTr1群のスイッチがオンとなるときには、残りの他のブロックの制御トランジスタTr1群のスイッチはオフとなっている。
このように、選択されているブロックは、制御トランジスタTr1群のスイッチがオンとなり、選択されたブロックのドライブトランジスタTr2群のゲートにデータ信号Dat0〜Dat3が供給される状態となる。このため、データ信号Dat0〜Dat3の状態(HレベルまたはLレベル)で、ドライブトランジスタTr2群のゲートの電位が決定され、選択ブロックのドライブトランジスタTr2群のスイッチのオン/オフ状態が決定される。
あるブロックの選択後、当該ブロックが非選択になると、データ信号Dat0〜Dat3は、選択されていたブロックのドライブトランジスタTr2群のゲートに供給されない状態となる。しかしながら、ドライブトランジスタTr2群のゲートの電位は寄生容量によりブロック選択時の電位を保つので、ドライブトランジスタTr2群のスイッチのオン/オフ状態が維持される。このようなドライブトランジスタTr2群の状態は、次に当該ブロックが選択されるまで維持される。
非選択の状態から次のタイミングで当該ブロックが選択されると、再びデータ信号Dat0〜Dat3の状態でブロック内におけるドライブトランジスタTr2群のスイッチのオン/オフ状態が決定される。以上の動作が、総てのブロックについて順次、繰り返し行われる。従って、各発光素子の点灯動作について、この繰り返し周期単位の時間変調、すなわち、点灯時間の制御が可能となる。
図3において、時間1のインターバル内において、時刻0でブロックAが選択される。次に時刻taでブロックBが選択され、時刻tcでブロックCが選択される。時間2〜8のインターバルにおいても同様に、シフトレジスタ11〜13の出力信号C0〜C2がHレベルのときに、それぞれ対応したブロックA〜Cのいずれかが選択される。このようなブロック選択の状況を図3では縦方向の網がけで表示している。
データ信号Dat0〜Dat3は、前記のように各ブロックA〜C内の個別の発光素子を選択する。例えばブロックAにおいては、データ信号と発光素子との対応関係は、Dat0(D00)、Dat1(D01)、
Dat2(D02)、Dat3(D03)、となる。細線(F)は、このようなデータ信号と発光素子との対応関係を示すものである。ブロックB、Cについても同様に各データ信号と発光素子との対応関係を細線で表示している。
ブロックAについて、時間1のインターバル内においては、時刻0でブロック選択信号C0がHレベルのときに、データ信号Dat0、Dat3がHレベルとなり発光素子D00、D03が点灯する。時刻taでブロック選択信号C0がロウレベル(以下Lレベルと略記する)になった場合にも、制御トランジスタTr1のゲートーソース間の寄生容量により電圧が保持される。このため、発光素子D00、D03は点灯を維持する。
時刻tcにおいてブロック選択信号C0とデータ信号Dat3はLレベルとなり、ブロック選択信号C1がHレベルとなってブロックBが選択される。しかしながら、前記のように、制御トランジスタTr1のゲートーソース間の寄生容量によりドライブトランジスタTr2は導通を保持しており、発光素子D03は点灯状態を維持する。
時刻tsではブロック選択信号C0がHレベルとなり、発光素子D03に接続されるドライブトランジスタTr2は、データ信号Dat3の状態によりオンオフが決定される。時刻tsでは、データ信号Dat3がLレベルで制御トランジスタTr1がオフとなり、ドライブトランジスタTr2もオフとなって発光素子D03は消灯する。
時刻teでブロック選択信号C0とデータ信号Dat2がHレベルとなり、発光素子D02が点灯する。データ信号Dat2は時刻trでLレベルとなるが、ブロック選択信号C0が次にHレベルとなるタイミングの時刻tsまでは点灯状態を維持する。時刻tsでは前記のように発光素子D03も消灯する。
時間6のインターバルにおいて、時刻tuでDat0がLレベルとなり発光素子D00は消灯する。ここで、時刻tuにおける発光素子D00の動作(E)部を拡大して示しているように、発光素子D00のオンオフの切り替わり(b)は、ブロック選択信号C0の選択期間中(a)に行われる。他の発光素子のオンオフの切り替わりも、同様にブロック選択信号の選択期間中になされる。
次に、ブロックBの動作を参照すると、時間1のインターバル内においては時刻taでブロック選択信号C1がHレベルのときに、データ信号Dat0がHレベルであるから発光素子D10が点灯する。なお、発光素子D10は、時刻0〜ta間では不定の状態にあるが、時刻taで前記のように点灯動作するものである。
時間3のインターバルにおいて、時刻tfでブロック選択信号C1がHレベル、データ信号Dat1がHレベルとなり、発光素子D11が点灯する。また、時刻tfではデータ信号Dat3がHレベルとなっているので、発光素子D13も点灯する。時刻thではブロック選択信号C1がHレベルとなるので、発光素子D13はデータ信号Dat3の状態で点灯または非点灯となる。このときのデータ信号Dat3はLレベルであるので、発光素子D13は非点灯となる。
時刻trにおいて、ブロック選択信号C1はHレベル、データ信号Dat1はLレベルとなるので、発光素子D11は消灯する。また、時刻trではデータ信号Dat3はHレベルであるから、発光素子D13は点灯する。なお、時刻tuでブロック選択信号C1はLレベル、データ信号Dat0もLレベルとなるが、前記のようにドライブトランジスタTr2が導通を維持しており、発光素子D10の点灯状態が図示Gのように時刻tvまで継続される。
ブロックCの各発光素子の動作については説明を省略する。図4は、図3のタイミングチャートを表形式で示した説明図である。図4において、(a)欄には時間のインターバル1〜8と、時刻を設定する。(b)欄には選択ブロックA、B、Cを設定する。○印がある時刻において選択された状態を示している。(c)欄にはデータ信号の状態を示しており、「1」はHレベル、「0」はLレベルを示している。(d)欄には各発光素子の点灯状態を示している。
(d)欄の縦方向に形成された網かけ部分は、図3で説明した各発光素子の点灯状態に相当する。*は図3の時刻0における発光素子D10の不定状態を示している。←は、発光素子の点灯、非点灯がデータ信号のオンオフで決定される状態を示している。また無印
は前の状態を維持する状態を示している。このように、本発明においては、1ラインに複数の発光素子が配置されている発光素子ラインをブロックに区分し、各ブロック内の個別の発光素子を選択して適宜の時間点灯制御している。すなわち、発光素子ライン内の個別の発光素子に対して二重の選択手段を設けているので、種々の形態の印字処理に対応できる。したがって、ラインヘッドの用途を拡張することができる。
図5は、本発明の実施形態の例を示す回路図である。図5において、図1、図2と同じところには同じ符号を付している。図5の例では、図2で説明したブロック選択用のシフトレジスタ11〜13が設けられ、また、個別発光素子選択用のデータ信号Dat0〜Dat3が制御トランジスタTr1に供給される構成を基本としている。なお、以下の各実施形態においては、シフトレジスタ11〜13のデータ端子D、出力端子Qは簡単のため図示を省略する。図5は前記した構成において、発光素子ライン1と2を切り替えスイッチ3により切り替えて使用するものである。図5の例は、各発光素子ライン1、2の発光素子に接続される負の電源線5、6側、すなわち、発光素子のカソード側で切り替えを行うものである。
このように、本発明においては、図1に示したような発光素子ラインを切り替えるための切り替え手段(第1の制御手段)、複数ラインの各発光素子ラインに配列された発光素子をブロックに区分して、ブロック単位で発光させる発光素子を選択する第2の制御手段(図2のブロック選択信号C0〜C2を形成するシフトレジスタ11〜13)、複数ラインの各発光素子ラインに配列された発光素子を、個別に選択して発光させる第3の制御手段(図2の制御トランジスタTr1)を具備している。なお、図5において、シフトレジスタ11〜13を発光素子ライン1、2、制御トランジスタTr1、ドライブトランジスタTr2と共に同一基板に形成できるので、この場合にはラインヘッドをコンパクトに構成することができる。
図6は、本発明に係る他の実施形態の例を示す回路図である。図6において、Tr3、Tr4は発光素子ライン1、2に共通のドライブトランジスタTr2に直列に接続される、発光素子ラインの切り替え用トランジスタである。8、9は、発光素子ラインのセレクト信号Sel1、Sel2が供給される信号線、INVはセレクト信号Sel2が信号線9側から信号線8側に逆流しないように設けたインバータである。
図6の例では、正の電源線4は発光素子ライン1、2における各発光素子のアノードに共通して接続されている。また、負の電源線5は発光素子ライン1における各発光素子のカソードに接続され、負の電源線6は発光素子ライン2における各発光素子のカソードに接続されている。各発光素子は、負の電源線5、6に共通の電位で接続された状態を保持する。
信号線8から、発光素子ラインを切り替えるために、切り替え用のトランジスタTr3のゲートにセレクト信号Sel1が供給されると、発光素子ライン1の各発光素子が点灯する。この際に、信号線9からはセレクト信号Sel2が供給されないので、発光素子ライン2の発光素子は点灯しない。信号線8のセレクト信号Sel1を停止し、信号線9からセレクト信号Sel2が供給されると、発光素子ライン1の発光素子は消灯し、発光素子ライン2の発光素子が点灯する。
このように、図6の例ではトランジスタTr3、Tr4が動作して各発光素子ライン1、2のアノード側で切り替え制御を行うものである。すなわち、セレクト信号Sel1、Sel2が供給されるトランジスタTr3、Tr4は発光素子ラインを切り替える第1の制御手段として作用する。なお、セレクト信号Sel2をセレクト信号Sel1の反転信号として形成することもできる。
上記のように図6の例では、発光素子ラインを切り替える第1の制御手段をトランジスタTr3、Tr4で構成している。このため、切り替え動作を迅速に、また、機械的スイッチと比較して発光素子ラインの切り替えの信頼性を高めることができる。なお、発光素子を有機EL素子で、切り替え用のトランジスタTr3、Tr4をTFT(Thin Film Transistor)で形成する場合には、ラインヘッドに切り替え用のトランジスタと発光素子とを同じ製造技術を用いて作製できるので、製造コストを低減することができる。
図7は、本発明に係る他の実施形態の例を示す回路図である。図7において、Tr5は発光素子ライン1の発光素子のドライバトランジスタ、Tr6は発光素子ライン2の発光素子のドライバトランジスタ、Tr7、Tr8は、発光素子ライン1、2に共通の制御トランジスタTr1に直列に接続されている発光素子ライン切り替え用のトランジスタである。
図7の例では、信号線8、9の選択信号Sel1、Sel2のいずれかを発光素子ライン切り替え用のトランジスタTr7、またはTr8に供給する。この際に、当該トランジスタTr7、またはTr8に接続されているドライバトランジスタTr5、またはTr6が動作して、発光素子ライン1、または発光素子ライン2の各発光素子が点灯する。
図7においては、各発光素子がブロック選択信号で選択された期間毎に、当該発光素子が形成されている発光素子ラインの選択信号Sel1またはSel2をHレベルにする。Sel2信号は、Sel1信号の反転信号として制御部の内部で作成可能である。発光素子ラインを3ライン以上(nライン)とする時は、n個の選択信号を形成する。前記のように、発光素子ラインの発光素子単位で点灯を切り替え動作することも可能である。この場合には、1小主走査期間単位で点灯させる発光素子ラインを変えることにより、発光素子単位の切り替えが可能となる。例えば、第1の小主走査期間は第1ラインの発光素子ラインを選択し、第1ライン上の点灯させるべき画素データを当該期間に逐次書き込む。なお、図7の例において、発光素子ライン1の特定のブロックに故障がある場合には、当該ブロック選択時に他のブロックに切り替えることもできる。
次に、第2の小主走査期間は第2ラインの発光素子ラインを選択し、第2ライン上の点灯させるべき画素データを当該期間に逐次書き込む。第3の小主走査期間は再び第1ラインの発光素子ラインを選択し、第1ライン上の点灯させるべき画素データを当該期間に逐次書き込む。このような処理を繰り返えす。隣接する画素間の点灯/非点灯の時間のずれ
は1小主走査期間分程度であり、上記処理を行っても殆ど問題は生じない。
図8は、本発明に係る他の実施形態の例を示す回路図である。図8においても、発光素子ライン切り替え用のトランジスタTr7、Tr8が、発光素子ライン1、2に共通の制御トランジスタTr1に対して直列に接続されている。信号線15には発光素子ライン1の各発光素子を選択するセレクト信号Sal1〜Sel4が供給される。また、信号線16には発光素子ライン2の各発光素子を選択するセレクト信号Sal1〜Sel4の反転信号が供給される。
セレクト信号Sal1〜Sel4のいずれかの信号は、発光素子ライン1の各発光素子に対応する切り替え用トランジスタTr7のドレインに供給される。また、セレクト信号Sal1〜Sel4のいずれかの反転信号は、発光素子ライン2の各発光素子に対応する切り替えトランジスタTr8のドレインに供給される。したがって、信号線15、16のいずれかを活性化し、各セレクト信号Sal1〜Sel4、または各セレクト信号Sal1〜Sel4の反転信号のいずれかを切り替えトランジスタTr7、Tr8に供給することにより、発光素子ライン1、2の個別の発光素子を選択して発光させることができる。
図9は、本発明に係る他の実施形態の例を示す回路図である。図8と同じところには同じ符号を付している。図9において、Tr9、Tr10は発光素子ラインの切り替え用トランジスタである。図9の切り替え用トランジスタTr9は、ゲートを信号線15に接続し、ドレインを制御Tr1のソースに接続する。また、切り替えトランジスタTr10は、ゲートを信号線16に接続し、ドレインを制御Tr1のソースに接続する。発光素子ライン切り替え用のトランジスタTr9、Tr10は同一伝導層(チャンネル)、この例ではNチャンネルのFETで構成される。
したがって、この例でも発光素子ラインの切り替え用トランジスタTr9、Tr10は制御トランジスタTr1と直列に接続されている。信号線15、または16のいずれかを活性化し、各セレクト信号Sal1〜Sel4、または各セレクト信号Sal1〜Sel4の反転信号のいずれかを切り替え用トランジスタTr9、Tr10に供給する。このような制御を行うことにより、発光素子ライン1、2の個別の発光素子を選択して発光させることができる。
図10は、本発明に係る他の実施形態の例を示す回路図である。図9と同じところには同じ符号を付している。図10においては、発光素子ライン切り替え用のトランジスタTr9とTr11は伝導層が異なるFETを使用する。この例では、トランジスタTr9をNチャンネルのFET、トランジスタTr10をPチャンネルのFETで構成する。
一対のトランジスタTr9、Tr11のゲートには、同じデータ線の信号Sel1〜Sel4が供給される。したがって、一方のトランジスタTr9がオンのときに他方のトランジスタTr11はオフ、また、トランジスタTr11がオンのときにトランジスタTr9はオフとなる。すなわち、信号Sel1〜Sel4がオンのときには発光素子ライン1の各発光素子が点灯し、発光素子ライン2の各発光素子が非点灯となる。また、信号Sel1〜Sel4がオフのときには発光素子ライン1の各発光素子が非点灯、発光素子ライン2の各発光素子が点灯となる。
このように、図10の例では信号Sel1〜Sel4の反転信号を供給するデータ線が不要になるという利点がある。しかしながら、発光素子ライン切り替え用のトランジスタTr9、Tr11は異なる伝導層で形成されるので、FETの製造プロセスが複雑になる。これに対して、図9の例では、信号Sel1〜Sel4の反転信号を供給するデータ線が必要となるが、発光素子ライン切り替え用のトランジスタTr9、Tr10は同じ伝導層で構成されるので製造プロセスが簡単になる。
上記の説明は、モノクロプリンタのような画像形成装置に使用されるラインヘッドを対象としている。しかしながら、本発明においては、4サイクルカラープリンタや、タンデム方式のカラープリンタにも当該ラインヘッドは当然適用されるものである。これらのカラープリンタにおいては、本発明の構成とすることにより、ラインヘッドに形成される複数ラインの発光素子ラインを合理的に使用することができる。
図12は、発光素子として有機ELを用いた画像形成装置の一例を示す縦断側面図である。この画像形成装置は、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置として構成されている。
図12に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51と従動ローラ52とテンションローラ53が設けられており、テンションローラ53によりテンションを加えて張架
されて、図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト50を備えている。この中間転写ベルト50に対して所定間隔で配置された4個の像担持体としての外周面に感光層を有する感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
前記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様である。感光体41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。
各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を感光体41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する本発明の上記のような有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)が設けられている。
また、この有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト50に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。
ここで、各有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)は、有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)のアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置される。そして、各有機ELアレイ露光ヘッド1(K、C、M、Y)の発光エナルギーピーク波長と、感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体41(K、C、M、Y)に接触あるいは押厚させることにより、感光体41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させることによりトナー像として現像するものである。
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
なお、図12中、63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
このように、図12の画像形成装置は、書き込み手段として有機ELアレイを用いているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。
次に、本発明に係る画像形成装置に係る他の実施の形態について説明する。図13は、画像形成装置の縦断側面図である。図13において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、有機ELアレイが設けられている像書込手段(露光ヘッド)167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢視A方向に回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢視B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢視C方向に回転するトナ−供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器、167は像書込手段で有機ELアレイが設けられている。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向の矢視D方向に駆動される。
中間転写ベルト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ170aが前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆方向の矢視E方向に回動される。
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接されて用紙に画像が転写される。
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢視G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータは、例えば低速のブラシレスモータが用いられる。また、中間転写ベルト169は色ずれ補正などが必要となるのでステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略している制御手段からの信号により制御される。
図の状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ62aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢視A方向に90度回転する。
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次にシアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後に更に回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。
以上、本発明のラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置について実施例に基づいて説明した。本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。