JP2017158408A - ロータおよびロータの製造方法 - Google Patents

ロータおよびロータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高品質化かつ低コスト化されたロータを提供する。【解決手段】ロータ22は、回転可能に支持された出力軸24と、出力軸24に対して同軸状に固定されたロータヨーク61と、ロータヨーク61の第2端面61bに開口するとともに軸方向に沿って形成された収容孔62内に収容された永久磁石63と、ロータヨーク61の第2端面61bに対向配置され、収容孔62内に永久磁石63を保持する第2端面板90と、出力軸24に固定されるとともに、第2端面板90と一体化された状態で第2端面板90を出力軸24に対して固定されるカラー80と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、ロータおよびロータの製造方法に関するものである。
従来から、筒状のステータと、ステータの内側に配置されたロータと、を備えたモータが知られている。ロータは、回転可能に支持されたシャフトと、複数の磁性板材が積層されたヨークと、ヨークの端面から軸方向に沿って形成された収容孔内に収容された永久磁石と、ヨークの軸方向端部に設けられ、永久磁石を保持する端面板と、を備えている。端面板は、ロータヨークの軸方向の端面を覆うように設けられており、永久磁石が開口部から抜けて脱落すること等を防止するためのものである。
上述したロータでは、永久磁石のヨークからの脱落を防止するために、端面板のヨークからの離間を防止する構成を備えている。
例えば、特許文献1に記載のロータは、シャフトの円筒状の外周面に圧入されて端面板を固定する、円環状の内周面を有した固定部材を備えている。これにより、端面板がヨークから離間することを防止でき、永久磁石のヨークからの脱落が防止される。
また、特許文献2に記載のロータは、金型内に円板状をした複数枚の電磁鋼板を積層状態でセットし、金型側に設けられた加圧機構により、各電磁鋼板に対して積層方向に規定の圧力を加えた状態に保持し、この状態で金型内に樹脂材を充填して各電磁鋼板を積層状態で固定することにより製造されている。各電磁鋼板は、その磁石用スロットに組み込まれた永久磁石とともに樹脂材によって一体化されている。これにより、永久磁石のヨークからの脱落が防止される。
特許第4837288号公報 特許第4862107号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のロータでは、端面板と固定部材とが別体で設けられているので、部品点数の増加に伴う部品コストの上昇が生じるとともに、組み立て工数が増加に伴う製造コストの上昇が生じる。また。上記特許文献2に記載のロータでは、樹脂材の充填後の冷却時に樹脂材に応力が生じ、樹脂材が反る等してロータの品質が低下するおそれがある。
したがって、従来技術にあっては、高品質化かつ低コスト化するという点で改善の余地がある。
そこで本発明は、高品質化かつ低コスト化されたロータおよびロータの製造方法を提供するものである。
本発明のロータ(例えば、実施形態のロータ22)は、回転可能に支持されたシャフト(例えば、実施形態の出力軸24)と、前記シャフトに対して同軸状に固定されたヨーク(例えば、実施形態のロータヨーク61)と、前記ヨークの端面(例えば、実施形態の第2端面61b)に開口するとともに軸方向に沿って形成された収容孔(例えば、実施形態の収容孔62)内に収容された永久磁石(例えば、実施形態の永久磁石63)と、前記ヨークの前記端面に対向配置され、前記収容孔内に前記永久磁石を保持する端面板(例えば、実施形態の第2端面板90)と、前記シャフトに固定されるとともに、前記端面板と一体化された状態で前記シャフトに対して固定される固定部材(例えば、実施形態のカラー80)と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、端面板と一体化された状態でシャフトに対して固定される固定部材を備えるので、固定部材をシャフトに固定することで、端面板を所定の位置に配置することができる。これにより、ヨークの収容孔内に永久磁石を保持可能なロータにおいて、その部品点数を削減して組立工数の増加を抑制することが可能となる。しかも、固定部材がシャフトに対して固定されるので、端面板を加熱することなく所定の位置に組み付けることができる。よって、端面板に応力が生じて端面板が反る等、変形することを防止できる。したがって、高品質化かつ低コスト化されたロータを提供できる。
上記のロータにおいて、前記固定部材の表面は、凹凸面(例えば、実施形態の凹凸面85)となっており、前記端面板は、前記凹凸面に接合された状態で固定されている、ことが望ましい。
本発明によれば、凹凸面における凹凸の隙間に端面板が入り込むので、凹凸面において固定部材と端面板との間にアンカー効果が生じる。したがって、固定部材と端面板とを強固に固定することができる。
上記のロータにおいて、前記固定部材には、前記端面板が入り込む固定部材凹部(例えば、実施形態の凹部186)が形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、固定部材に形成された固定部材凹部に端面板が入り込むので、アンカー効果により固定部材と端面板とを強固に固定することができる。
上記のロータにおいて、前記端面板は、樹脂材料により形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、インサート成形等により端面板を容易に固定部材と一体化させることができる。したがって、製造コストを低減することが可能となり、低コスト化されたロータとすることができる。
また、端面板が金属材料により形成される構成と比較して、端面板を軽量化することができる。したがって、軽量なロータとすることができる。
さらに、金型を用いて端面板を形成できるので、ロータを冷却する冷媒の流路を、端面板の表面に切削加工することなく形成できる。したがって、冷却効率の高いロータを低コストで得ることができる。
上記のロータにおいて、前記端面板は、環状に形成され、前記端面板の外周部には、非磁性体の金属材料により形成された環状のリング部材(例えば、実施形態のリング部材95)が固定されている、ことが望ましい。
本発明によれば、製造過程において、ロータの偏心量に応じて金属のリング部材を切削加工することで、ロータの重心の位置を容易に調整でき、ロータの偏心を解消することができる。しかも、リング部材は、非磁性体により形成されているので、リング部材からの永久磁石の磁気漏洩を防止できる。したがって、振動や騒音が抑制された高効率なモータを形成することが可能なロータが得られる。
上記のロータにおいて、前記端面板の表面には、非磁性体の金属材料により形成された剛性部材(例えば、実施形態の補強板96)が接合されている、ことが望ましい。
本発明によれば、剛性部材は、樹脂材料よりも剛性の高い金属材料により形成されているので、樹脂材料により形成された端面板を剛性部材により補強することができる。しかも、剛性部材は、非磁性体により形成されているので、剛性部材からの永久磁石の磁気漏洩を防止できる。したがって、高効率なモータを形成することが可能な、高い強度を有するロータとすることができる。
上記のロータにおいて、前記端面板は、非磁性体の金属材料により形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、鋳造等により端面板を容易に固定部材と一体化させることができる。したがって、製造コストを低減することが可能となり、低コスト化されたロータとすることができる。
また、型を用いて端面板を形成できるので、ロータを冷却する冷媒の流路を、端面板の表面に切削加工することなく形成できる。したがって、冷却効率の高いロータを低コストで得ることができる。
上記のロータにおいて、前記端面板には、前記シャフトの周方向に並んで配置された複数の端面板凹部(例えば、実施形態の重り配置孔97)が形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、ロータが偏心している場合に、別途準備したバランス調整用の重り部材をロータの偏心量に応じて端面板凹部に嵌め込む等して配置することで、ロータの重心の位置を容易に調整でき、ロータの偏心を解消することができる。したがって、振動や騒音が抑制されたモータを形成することが可能なロータが得られる。
本発明のロータの製造方法は、上記のロータの製造方法であって、固定部材をレーザー加工することにより前記凹凸面を形成する、ことが望ましい。
本発明によれば、レーザー光により固定部材の表面が溶解されて微細な凹凸が形成されるので、固定部材の表面に容易に凹凸面を形成できる。したがって、上述した作用効果を奏するロータを容易に製造することができる。
本発明のロータの製造方法は、上記のロータの製造方法であって、固定部材をブラスト加工することにより前記凹凸面を形成する、ことが望ましい。
本発明によれば、ブラスト加工により固定部材の表面に微細な凹凸が形成されるので、固定部材の表面に容易に凹凸面を形成できる。したがって、上述した作用効果を奏するロータを容易に製造することができる。
本発明のロータの製造方法は、上記のロータの製造方法であって、固定部材を放電加工することにより前記凹凸面を形成する、ことが望ましい。
本発明によれば、放電により固定部材の表面に微細な凹凸が形成されるので、固定部材の表面に容易に凹凸面を形成できる。したがって、上述した作用効果を奏するロータを容易に製造することができる。
本発明のロータの製造方法は、上記のロータの製造方法であって、固定部材をローレット加工することにより前記凹凸面を形成する、ことが望ましい。
本発明によれば、固定部材のローレット加工された部分に凹凸が形成されるので、固定部材の表面に容易に凹凸面を形成できる。したがって、上述した作用効果を奏するロータを容易に製造することができる。
本発明によれば、端面板と一体化された状態でシャフトに対して固定される固定部材を備えるので、固定部材をシャフトに固定することで、端面板を所定の位置に配置することができる。これにより、ヨークの収容孔内に永久磁石を保持可能なロータにおいて、その部品点数を削減して組立工数の増加を抑制することが可能となる。しかも、固定部材がシャフトに対して固定されるので、端面板を加熱することなく所定の位置に組み付けることができる。よって、端面板に応力が生じて端面板が反る等、変形することを防止できる。したがって、高品質化かつ低コスト化されたロータを提供できる。
実施形態に係るモータユニットの概略構成断面図である。 実施形態に係るロータの平面図である。 図2のIII−III線に沿う縦断面図である。 実施形態に係るカラーの斜視図である。 実施形態に係るカラーおよび第2端面板の斜視図である。 実施形態の第1変形例に係るカラーの斜視図である。 実施形態の第1変形例に係るロータの縦断面図である。 実施形態の第2変形例に係るカラーおよび第2端面板の斜視図である。 実施形態の第3変形例に係るロータの縦断面図である。 実施形態の第4変形例に係るカラーおよび第2端面板の平面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では車両用駆動モータユニットに採用したモータについて説明する。また、以下の説明では、モータの出力軸の軸方向を単に「軸方向」といい、出力軸回りの周方向を単に「周方向」といい、軸方向に直交する方向を「径方向」という。
(車両用駆動モータユニット)
図1は、車両用駆動モータユニットの概略構成断面図である。
図1に示すように、車両用駆動モータユニット10(以下、「モータユニット10」という。)は、ステータ21およびロータ22を備えたモータ23を収容するモータハウジング11と、モータハウジング11の軸方向一方側に締結され、モータ23の出力軸24(シャフト)からの動力を伝達する動力伝達部(不図示)を収容するミッションハウジング12と、モータハウジング11の軸方向他方側に締結され、モータ23の回転センサ25を収容するセンサハウジング13と、を備えている。なお、ミッションハウジング12は、モータハウジング11に締結された共用ハウジング12Aと、共用ハウジング12Aに締結されたギアハウジング12Bと、により構成されている。また、モータハウジング11の内部はモータ室36が、ミッションハウジング12の内部はミッション室37が、センサハウジング13の内部はセンサ室38が、それぞれ構成されている。
モータハウジング11は、モータ23全体を覆うような円筒状に形成されている。共用ハウジング12Aは、モータハウジング11とミッションハウジング12との境界部として構成されており、モータハウジング11とミッションハウジング12との間にモータ室36とミッション室37とを仕切る仕切壁41が形成されている。仕切壁41の径方向中央部には、仕切壁41の厚さ方向に貫通する貫通孔40が形成されている。貫通孔40内には、モータ23の出力軸24の一端を回転自在に支持するベアリング26が挿入されている。一方、モータハウジング11とセンサハウジング13との境界部のセンサハウジング13側には、モータ23の出力軸24の他端を回転自在に支持するベアリング27が挿入されている。
なお、モータユニット10内(モータハウジング11、ミッションハウジング12、センサハウジング13)には、ベアリング26,27やモータ23等を冷却するための冷媒(例えば潤滑油)が導入されており、上述したモータ23は、ステータ21の一部が冷媒に浸漬した状態で配置されている。また、モータハウジング11とミッションハウジング12との間には、オイルポンプ(不図示)が設けられており、オイルポンプにより汲み上げられた冷媒が、図示しない油路を通ってモータユニット10内を循環可能に構成されている。そして、モータユニット10内を循環する冷媒がベアリング26,27等に供給されることでベアリング26,27等が冷却されるようになっている。
また、モータハウジング11の壁部31、ミッションハウジング12の壁部32、およびセンサハウジング13の壁部33には、互いに連通するブリーザ通路35がそれぞれ形成され、ブリーザ配管39からモータユニット10内の高圧・高温の空気を排出することができるようになっている。
さらに、モータハウジング11の壁部31内で、ブリーザ通路35よりも内周側には、モータ23を冷却するためのウォータジャケット55が、モータ23におけるステータ21の全周を覆うように設けられている。また、ステータ21は、モータハウジング11に焼き嵌めされており、モータハウジング11の内周面に密着するように配置されている。
(モータ)
モータ23は、インナーロータ型のIPMモータ(埋込磁石同期モータ)であって、筒状のステータ21と、ステータ21の内側に所定間隔を空けて配置された円柱状のロータ22と、を備えている。
ステータ21は、磁性板材44が軸方向に積層されたものであって、径方向内側に向かって延びるティース42を備えている。ティース42には、インシュレータ(不図示)を介してコイル43が巻装されている。
図2は、ロータを軸方向から見た側面図である。図3は、図2のIII−III線に沿う縦断面図である。
図2および図3に示すように、ロータ22は、回転可能に支持された出力軸24と、出力軸24に対して同軸状に圧入固定されたロータヨーク61と、を備えている。
図3に示すように、出力軸24は、ステンレスや鉄等により形成された中空の円筒状の部材であり、鍛造や鋳造、機械加工等により形成される。出力軸24の内部は空洞となっており、上述した冷媒が通流する冷媒流路29となっている。出力軸24には、外周面に開口し、冷媒流路29と連通する図示しない吐出孔が形成されている。冷媒は、上述したオイルポンプ(不図示)から供給される。オイルポンプから供給された冷媒は、冷媒流路29を通り、ロータ22が回転することにより発生する遠心力によって、吐出孔から吐出される。
また、出力軸24の外周面には、拡径部28が形成されている。拡径部28は、ロータヨーク61よりも軸方向一方側に形成されている。拡径部28は、軸方向一方側から他方側に向かって段階的(本実施形態では2段階)に拡径するように形成されている。拡径部28の軸方向他方側を向く段差面28aは、軸方向に直交するように形成されている。
ロータヨーク61は、軸方向に沿って磁性板材60が積層されて形成されている。ロータヨーク61には、その軸方向一方側に面する第1端面61a、および軸方向他方側に面する第2端面61bに開口するとともに、軸方向に沿って貫通する複数(本実施形態では16個)の収容孔62が形成されている。これら収容孔62は、周方向に沿って等間隔に配置されており、平面視で弧状や長方形状に形成されている(図2参照)。各収容孔62内には、ネオジム等の希土類からなる永久磁石63が収容されている。永久磁石63は、その端面がロータヨーク61の端面と面一となるように配置されている。
ここで、ロータヨーク61は、軸方向一方側に設けられた第1端面板70と、軸方向他方側に設けられたカラー80および第2端面板90と、により挟持されている。
第1端面板70は、非磁性体の金属材料、例えばSUS304やアルミニウム、銅等により円板形状に形成され、出力軸24と同軸状に配置されている。第1端面板70の径方向中央部には、軸方向に貫通する挿通孔73が形成されている。挿通孔73の内径は、出力軸24の外径と同等になっている。第1端面板70は、出力軸24の拡径部28の段差面28aに当接し、軸方向への移動が規制されている。
第1端面板70の外径は、ロータヨーク61の外径と同等になっている。第1端面板70は、ロータヨーク61の第1端面61aに対し向き合って配置され、収容孔62の軸方向一方側の開口部を覆っている。第1端面板70のロータヨーク61に対向する面は、ロータヨーク61の第1端面61a、および永久磁石63に当接している。第1端面板70は、永久磁石63を保持して永久磁石63が収容孔62から抜けることを防止している。
カラー80は、出力軸24と同等の線膨張係数を有する材料、例えば鉄等により円板形状に形成され、出力軸24と同軸状に配置されている。カラー80は、複数の収容孔62よりも径方向の内側に位置するように形成されている。カラー80の径方向中央部には、カラー80の厚さ方向に貫通する圧入孔83が形成されている。圧入孔83の内径は、出力軸24の外径より小さく形成されており、出力軸24と締め代を有している。カラー80は、ロータヨーク61の61bと当接し、ロータヨーク61および第1端面板70を軸方向他方側から一方側に向かって押圧した状態で、出力軸24に圧入固定されている。
図4は、実施形態に係るカラーを軸方向の他方側から見た斜視図である。
図4に示すように、カラー80の軸方向他方側の端面には、微細な凹凸形状を有する凹凸面85が形成されている。凹凸面85は、カラー80の外周縁に沿って一定の幅で全周に亘って形成されている。凹凸面85は、カラー80の表面にレーザー光を照射する、いわゆるレーザー加工を行うことにより形成されている。
図5は、実施形態に係るカラーおよび第2端面板を軸方向の他方側から見た斜視図である。
図3および図5に示すように、第2端面板90は、樹脂材料により円環形状に形成され、出力軸24と同軸状に配置されている。第2端面板90は、カラー80よりも厚く形成されている。第2端面板90の内周面91は、カラー80の外周面81に全周に亘って密接している。第2端面板90の内周面91には、その軸方向他方側の端部から径方向の内側に向かって張り出す内フランジ部93が形成されている。内フランジ部93は、カラー80よりも軸方向他方側に位置し、軸方向一方側を向く面がカラー80の凹凸面85に対してアンカー効果により接合している。これにより、第2端面板90は、カラー80と一体化し、出力軸24と第2端面板90との間に介在するカラー80により出力軸24に対して固定されている。
図3に示すように、第2端面板90の外径は、ロータヨーク61の外径と同等になっている。第2端面板90は、ロータヨーク61の第2端面61bに対し向き合って配置され、収容孔62の軸方向他方側の開口部を覆っている。第2端面板90のロータヨーク61に対向する面は、ロータヨーク61の第2端面61b、および永久磁石63に当接している。第2端面板90は、永久磁石63を保持して永久磁石63が収容孔62から抜けることを防止している。
第2端面板90は、インサート成形により形成される。この際、金型内にカラー80を装填しておくことで、カラー80と第2端面板90とを一体化することができるとともに、カラー80の凹凸面85における微小な凹凸の隙間に、第2端面板90を形成する樹脂材料を流し込むことができる。これにより、カラー80と第2端面板90との間にアンカー効果が生じ、カラー80と第2端面板90とが強固に固定される。
なお、カラー80および第2端面板90のロータヨーク61に対向する面には、カラー80および第2端面板90に跨って延びる溝部が形成されていてもよい。この溝部は、径方向内側の端部においてカラー80の内側に開口するとともに出力軸24の上述した吐出孔(不図示)に連通し、径方向外側の端部において第2端面板90の径方向外側に開口している。これにより、溝部とロータヨーク61の第2端面61bとの間に、出力軸24の吐出孔と連通する流路が形成され、その流路を出力軸24の吐出孔から吐出された冷媒が通流することで、ロータ22を冷却することができる。
以上詳述したように、本実施形態では、ロータ22は、第2端面板90と一体化された状態で出力軸24に対して固定されるカラー80を備える構成とした。
この構成によれば、カラー80を出力軸24に固定することで、第2端面板90を所定の位置に配置することができる。これにより、ロータヨーク61の収容孔62内に永久磁石63を保持可能なロータ22において、その部品点数を削減して組立工数の増加を抑制することが可能となる。しかも、カラー80が出力軸24に対して固定されるので、第2端面板90を加熱することなく所定の位置に組み付けることができる。よって、第2端面板90に応力が生じて第2端面板90が反る等、変形することを防止できる。したがって、高品質化かつ低コスト化されたロータ22を提供できる。
また、第2端面板90は、カラー80の凹凸面85に接合されているので、凹凸面85における凹凸の隙間に第2端面板90が入り込む。これにより、凹凸面85においてカラー80と第2端面板90との間にアンカー効果が生じる。したがって、カラー80と第2端面板90とを強固に固定することができる。
また、第2端面板90は、樹脂材料により形成されているので、インサート成形等により容易にカラー80と一体化させることができる。したがって、製造コストを低減することが可能となり、低コスト化されたロータ22とすることができる。
さらに、第2端面板90が金属材料により形成される構成と比較して、第2端面板90を軽量化することができる。したがって、軽量なロータ22とすることができる。
また、金型を用いて第2端面板90を形成できるので、ロータ22を冷却する冷媒の流路(溝部)を、第2端面板90の表面に切削加工することなく形成できる。したがって、冷却効率の高いロータ22を低コストで得ることができる。
また、本実施形態のロータ22の製造方法では、カラー80をレーザー加工することにより凹凸面85を形成する。この方法によれば、レーザー光によりカラー80の表面が溶解されて微細な凹凸が形成されるので、カラー80の表面に容易に凹凸面85を形成できる。したがって、上述した作用効果を奏するロータ22を容易に製造することができる。
なお、上記実施形態では、凹凸面85がカラー80をレーザー加工することにより形成されているが、これに限定されるものではない。
凹凸面85は、カラー80をブラスト加工することにより形成されていてもよい。この方法によれば、ブラスト加工によりカラー80の表面に微細な凹凸が形成されるので、固定部材の表面に容易に凹凸面85を形成できる。したがって、上述した作用効果を奏するロータ22を容易に製造することができる。
また、凹凸面85は、カラー80を放電加工することにより形成されていてもよい。この方法によれば、放電によりカラー80の表面に微細な凹凸が形成されるので、カラー80の表面に容易に凹凸面85を形成できる。したがって、上述した作用効果を奏するロータ22を容易に製造することができる。
また、凹凸面85は、カラー80をローレット加工することにより形成されていてもよい。この方法によれば、カラー80のローレット加工された部分に凹凸が形成されるので、カラー80の表面に容易に凹凸面85を形成できる。したがって、上述した作用効果を奏するロータ22を容易に製造することができる。
次に、実施形態の第1変形例について説明する。
図6は、実施形態の第1変形例に係るカラーを軸方向の他方側から見た斜視図である。図7は、実施形態の第1変形例に係るロータの縦断面図である。
図3から図5に示す実施形態では、第2端面板90は、カラー80の凹凸面85に接合している。これに対して、図6および図7に示す実施形態の第1変形例では、第2端面板190は、カラー180の凹部186(固定部材凹部)に入り込んで接合している点で、実施形態と異なっている。なお、図3に示す実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する(以下の変形例についても同様)。
図6に示すように、第1変形例のカラー180の軸方向他方側の端面には、軸方向一方側に向かって窪む複数(本実施形態では8個)の凹部186が形成されている。複数の凹部186は、軸方向から見て円形状に形成されている。複数の凹部186は、カラー180の外周縁に沿って周方向に等間隔で並んで形成されている。
図7に示すように、第2端面板190の内フランジ部93のうち軸方向一方側を向く面は、カラー180の軸方向他方側を向く面の形状に倣って形成されている。内フランジ部93には、カラー180の凹部186に入り込む複数の凸部193aが形成されている。
第2端面板190は、実施形態の第2端面板90と同様に、インサート成形により形成される。この際、金型内にカラー180を装填しておくことで、カラー180の凹部186内に、第2端面板190を形成する樹脂材料を流し込むことができる。
このように、本変形例によれば、カラー180の凹部186に第2端面板190が入り込むので、アンカー効果によりカラー180と第2端面板190とを強固に固定することができる。
次に、実施形態の第2変形例について説明する。
図8は、実施形態の第2変形例に係るカラーおよび第2端面板を軸方向の他方側から見た斜視図である。
図8に示す実施形態の第2変形例では、第2端面板90の外周部にリング部材95が固定されている点で、図5に示す実施形態と異なっている。
図8に示すように、リング部材95は、非磁性体の金属材料、例えばSUS304やアルミニウム、銅等により円環板状に形成されている。リング部材95は、第2端面板90と同軸状に配置されている。リング部材95は、第2端面板90と同じ厚さに形成されている。リング部材95の内周面は、第2端面板90の外周面に全周に亘って密接している。リング部材95の軸方向両側の端面は、第2端面板90の軸方向両側の端面と面一になるように設けられている。リング部材95は、ロータ22(図3参照)の組み付け後にロータ22の重量バランスの調整を行うためのものであり、ドリル等により切削される。リング部材95は、第2端面板90をインサート成形する際に、金型内に装填されることで、第2端面板90と一体化して固定される。
このように、本変形例によれば、製造過程において、ロータ22の偏心量に応じて金属のリング部材95を切削加工することで、ロータ22の重心の位置を容易に調整でき、ロータ22の偏心を解消することができる。しかも、リング部材95は、非磁性体により形成されているので、リング部材95からの永久磁石63の磁気漏洩を防止できる。したがって、振動や騒音が抑制された高効率なモータ23を形成することが可能なロータ22が得られる。
次に、実施形態の第3変形例について説明する。
図9は、実施形態の第3変形例に係るロータの縦断面図である。
図9に示す実施形態の第3変形例では、第2端面板90の軸方向他方側の端面に補強板96(剛性部材)が接合されている点で、図3に示す実施形態と異なっている。
図9に示すように、補強板96は、非磁性体の金属材料、例えばSUS304やアルミニウム、銅等により円環板状に形成されている。補強板96は、第2端面板90と同軸状に配置され、軸方向から見て第2端面板90と同一形状に形成されている。図示の例では、補強板96は、第2端面板90よりも薄く形成されている。補強板96は、第2端面板90をインサート成形する際に、金型内に装填されることで、第2端面板90と一体化して第2端面板90に固定される。
このように、本変形例によれば、補強板96は、第2端面板90を形成する樹脂材料よりも剛性の高い金属材料により形成されているので、樹脂材料により形成された第2端面板90を補強板96により補強することができる。しかも、補強板96は、非磁性体により形成されているので、補強板96からの永久磁石63の磁気漏洩を防止できる。したがって、高効率なモータ23を形成することが可能な、高い強度を有するロータ22とすることができる。
次に、実施形態の第4変形例について説明する。
図10は、実施形態の第4変形例に係るカラーおよび第2端面板を軸方向から見た平面図である。
図10に示す実施形態の第4変形例では、第2端面板90に複数(図示の例では18個)の重り配置孔97(端面板凹部)が形成されている点で、図5に示す実施形態と異なっている。
図10に示すように、複数の重り配置孔97は、第2端面板90の外周縁に沿って周方向に等間隔で並んで形成されている。重り配置孔97は、軸方向に沿って貫通している。重り配置孔97には、ロータ22(図3参照)の組み付け後にロータ22の重量バランスの調整を行うための重り部材を嵌め込むことが可能となっている。なお、本変形例では、重り配置孔97は、第2端面板90を貫通しているが、これに限定されず、第2端面板90の厚さ方向に窪む凹状に形成されていてもよい。
このように、本変形例によれば、ロータ22が偏心している場合に、別途準備したバランス調整用の重り部材をロータ22の偏心量に応じて重り配置孔97に嵌め込む等して配置することで、ロータ22の重心の位置を容易に調整でき、ロータ22の偏心を解消することができる。したがって、振動や騒音が抑制されたモータ23を形成することが可能なロータ22とすることができる。
なお、上記実施形態およびその変形例では、第2端面板90が樹脂材料により形成されているが、これに限定されるものではない。第2端面板90は、非磁性体の金属材料、例えばSUS304やアルミニウム、銅等により形成されていてもよい。この場合には、第2端面板90は、鋳造により形成される。この際、型の中にカラー80,180を装填しておくことで、カラー80,180と第2端面板90とを一体化することができる。
この構成によれば、鋳造等により第2端面板90を容易にカラー80,180と一体化させることができる。したがって、製造コストを低減することが可能となり、低コスト化されたロータ22とすることができる。
また、型を用いて第2端面板90を形成できるので、上述した実施形態と同様に、第2端面板90に冷媒の流路(溝部)を形成する場合に、第2端面板90の表面に切削加工することなく形成できる。したがって、冷却効率の高いロータ22を低コストで得ることができる。
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、凹凸面85がカラー80の軸方向他方側の端面に形成されているが、カラー80の外周面81に跨って形成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、第1端面板70は、出力軸24の拡径部28により軸方向一方側への移動が規制されることで、カラー80および第2端面板90とともにロータヨーク61を挟持しているが、これに限定されない。第1端面板は、非磁性材料により形成されて出力軸24に圧入固定される構成であってもよいし、第2端面板90と同様に樹脂材料により形成されて、カラー80と同様の部材により出力軸24に対して固定される構成であってもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
22…ロータ 24…出力軸(シャフト) 61…ロータヨーク(ヨーク) 61b…第2端面(ヨークの端面) 62…収容孔 63…永久磁石 80,180…カラー(固定部材) 85…凹凸面 90,190…第2端面板(端面板) 95…リング部材 96…補強板 97…重り配置孔(端面板凹部) 186…凹部(固定部材凹部)

Claims (12)

  1. 回転可能に支持されたシャフトと、
    前記シャフトに対して同軸状に固定されたヨークと、
    前記ヨークの端面に開口するとともに軸方向に沿って形成された収容孔内に収容された永久磁石と、
    前記ヨークの前記端面に対向配置され、前記収容孔内に前記永久磁石を保持する端面板と、
    前記シャフトに固定されるとともに、前記端面板と一体化された状態で前記シャフトに対して固定される固定部材と、
    を備えることを特徴とするロータ。
  2. 前記固定部材の表面は、凹凸面となっており、
    前記端面板は、前記凹凸面に接合された状態で固定されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロータ。
  3. 前記固定部材には、前記端面板が入り込む固定部材凹部が形成されている、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のロータ。
  4. 前記端面板は、樹脂材料により形成されている、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロータ。
  5. 前記端面板は、環状に形成され、
    前記端面板の外周部には、非磁性体の金属材料により形成された環状のリング部材が固定されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載のロータ。
  6. 前記端面板の表面には、非磁性体の金属材料により形成された剛性部材が接合されている、
    ことを特徴とする請求項4または5に記載のロータ。
  7. 前記端面板は、非磁性体の金属材料により形成されている、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロータ。
  8. 前記端面板には、前記シャフトの周方向に並んで配置された複数の端面板凹部が形成されている、
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のロータ。
  9. 請求項2に記載のロータの製造方法であって、
    固定部材をレーザー加工することにより前記凹凸面を形成する、
    ことを特徴とするロータの製造方法。
  10. 請求項2に記載のロータの製造方法であって、
    固定部材をブラスト加工することにより前記凹凸面を形成する、
    ことを特徴とするロータの製造方法。
  11. 請求項2に記載のロータの製造方法であって、
    固定部材を放電加工することにより前記凹凸面を形成する、
    ことを特徴とするロータの製造方法。
  12. 請求項2に記載のロータの製造方法であって、
    固定部材をローレット加工することにより前記凹凸面を形成する、
    ことを特徴とするロータの製造方法。
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