JP2017157786A - 熱電変換材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた電気特性及び十分に低減された熱伝導率を有する熱電変換材料の製造方法を提供する。【解決手段】式(1):BixSbyTez[式中、x、y及びzは、(x+y)/(x+y+z)が0.402以上0.430以下であることを満たす正の数である]で表される組成を有し、平均結晶粒径が0.05〜1.0μmである熱電変換材料。【選択図】図1

Description

本発明は、熱電変換材料及びその製造方法に関する。
近年、地球温暖化問題から二酸化炭素排出量を削減するために、化石燃料から得られるエネルギーの割合を低減する技術への関心が益々増大しており、そのような技術の1つとして未利用廃熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換し得る熱電変換材料が挙げられる。熱電変換材料とは、火力発電のように熱を一旦運動エネルギーに変換しそれから電気エネルギーに変換する2段階の工程を必要とせず、熱から直接に電気エネルギーに変換することを可能とする材料である。
熱から電気エネルギーへの変換は熱電変換材料から成形したバルク体の両端の温度差を利用して行われる。この温度差によって電圧が生じる現象はゼーベックにより発見されたのでゼーベック効果と呼ばれている。この熱電変換材料の性能は、次式で求められる性能指数Zで表される。
Z=ασ/κ(=PF/κ) (κ=κel+κph
ここで、αは熱電変換材料のゼーベック係数、σは熱電変換材料の伝導率、κは熱電変換材料の熱伝導率、κelはキャリア熱伝導率、κphは格子熱伝導率である。ασの項をまとめて出力因子PFという。そして、Zは温度の逆数の次元を有し、この性能指数Zに絶対温度Tを乗じて得られるZTは無次元の値となる。そしてこのZTを無次元性能指数と呼び、熱電変換材料の性能を表す指標として用いられている。よって、熱電変換材料の性能向上には上記の式から明らかなように、より低い熱伝導率κが求められる。
従来から、熱電性能向上のために熱電変換材料の組成が検討されている。
特許文献1には、Bi−Sb−Te合金を微粉末化した合金粉末の焼結体からなる熱電変換材料及びその製造方法が開示されている。特許文献1によれば、材料中における不純物含有量を低減することで、熱伝導率や電気伝導率を大きく変化させず、ゼーベック係数を向上させることができるとされている。しかしながら、特許文献1に記載される製造方法においては、焼結工程により合金粉末が高温にさらされるため、これにより結晶粒が粗大化し、熱伝導率が十分に低減しないと考えられる。
特許文献2には、熱電材料であって、(BiSb1−X2.0Te3.0+δで表される組成を有し、0.75≦X≦1.0、且つ、−0.5<δ<0.5を満たす、P型又はN型の熱電材料が開示されている。特許文献2によれば、当該組成を有することにより、低温域において高い性能指数を有する熱電材料が実現できるとされている。しかしながら、特許文献2においては、溶融して単結晶を作成しているために、得られる熱電材料の粒径は数百μm以上となると考えられる。
また従来技術においては、結晶粒を微細化する目的で、溶解→急冷→焼結、メカニカルアロイング(MA)→焼結等の工程により製造することが検討されているが、やはり高温での焼結工程が含まれる場合に、十分に熱伝導率を低減できるほど微細な結晶組織を有する熱電変換材料(焼結体)は未だ得られていない。また、合成ナノ粒子の焼結により作製した熱電変換材料は、溶製材料(単結晶育成法等)に比べて微細な結晶組織が得られるため熱伝導率の低減に有利であるが、やはり焼結工程にて高温プロセスを経て焼結体とする際に結晶粒が粗大化し熱伝導率低減の効果が十分に得られないという問題があった。これに対し、ナノ分散相による微細組織形成も検討されてきたが、安定した作製技術が確立されておらず、また電気特性を維持させることが難しいという問題があった。
したがって、優れた電気特性及び十分に低減された熱伝導率を有する熱電変換材料及びその製造方法の開発が求められていた。
特開2015−170728号公報 特開2003−243732号公報
本発明は、優れた電気特性及び十分に低減された熱伝導率を有する熱電変換材料熱電変換材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、BiTeのBiサイトの一部をSbに置換した(Bi1−XSbTe化合物において、モル比(Sb+Bi)/(Bi+Sb+Te)を特定の範囲とすることにより、焼結工程等高温処理による結晶粒の粗大化が抑制されて、得られる熱電変換材料の熱伝導率低減が低減し、よって熱電性能が向上することを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1]式(1):
BiSbTe (1)
[式中、x、y及びzは、(x+y)/(x+y+z)が0.402以上0.430以下であることを満たす正の数である]
で表される組成を有し、平均結晶粒径が0.05〜1.0μmである熱電変換材料。
[2]式(1)において、y/(x+y)が0.10以上0.85以下である、[1]に記載の熱電変換材料。
[3]次の工程:
(a)式(1):
BiSbTe (1)
[式中、x、y及びzは、(x+y)/(x+y+z)が0.402以上0.430以下であることを満たす正の数である]
で表される組成を有する、Bi、Sb及びTeを含む複合粒子を、100℃以下の温度にて調製する工程;及び
(b)工程(a)で得られた複合粒子を熱処理により合金化する工程
を含む熱電変換材料の製造方法。
[4]工程(b)で得られた合金化した複合粒子を300℃〜450℃で焼結する工程(c)をさらに含む、[3]に記載の方法。
本発明の熱電変換材料によれば、優れた電気特性及び十分に低減された熱伝導率を得ることが可能となる。本発明の熱電変換材料の製造方法によれば、優れた電気特性及び十分に低減された熱伝導率を有する熱電変換材料熱電変換材料を得ることができる。
図1(a)は、実施例1の熱電変換材料(焼結体)のSEM(走査型電子顕微鏡)像である。図1(b)は、図1(a)の拡大したSEM像である。 図2は、比較例1の熱電変換材料(焼結体)のSEM像である。
本発明の熱電変換材料は、式(1):
BiSbTe (1)
[式中、x、y及びzは、(x+y)/(x+y+z)が0.402以上0.430以下であることを満たす正の数である]で表される組成を有し、平均結晶粒径が0.05〜1.0μmであることを特徴とする。本発明の熱電変換材料は、(Bi、Sb)Te系の母材において、モル比(Sb+Bi)/(Bi+Sb+Te)が上記特定範囲となるようにBiTeのBiサイトの一部がSbにより置換されているために、焼結工程等高温処理による結晶粒の粗大化が抑制されるため、熱伝導率が十分に低減されており、よって優れた熱電性能を有する。ここで、(Bi、Sb)Te系の母材は、室温付近の低温域で熱起電力が高く、高い変換効率を示すという点で利点を有する。理論に拘泥されないが、(Bi+Sb)比が定比(=0.4)より多い組成(低融点Te−プア組成)においては、熱処理プロセス(焼結工程等)の初期における低温共晶反応(SbTe+Te)による液相の生成が抑えられること、及び、散速度が遅い高融点Sbが拡散後期まで粒子間に残存しやすいことから、結晶粒の粗大化が抑制されると考えらえる。
上記式(1)において、結晶粒の粗大化を抑制し、格子熱伝導率κphを小さくする観点から、(x+y)/(x+y+z)が0.402以上0.430以下であり、好ましくは0.405以上0.425以下であり、低い比抵抗との両立の観点から、特に好ましくは0.405以上0.410以下である。上記上限値及び下限値は焼結処理後の熱電変換材料についての値を示す。
上記式(1)において、キャリア濃度の適正化の観点から、y/(x+y)が0.10以上0.85以下であり、好ましくは0.15以上0.83以下であり、特に好ましくは0.18以上0.82以下である。上記上限値及び下限値は焼結処理後の熱電変換材料についての値を示す。
本発明の熱電変換材料は、平均結晶粒径(母相材料の結晶粒の平均粒子径)が、0.05〜1.0μmであり、好ましくは0.1〜0.7μmであり、特に好ましくは0.2〜0.5μmである。平均結晶粒径は焼結処理後の値を示す。本発明の熱電変換材料は、上記範囲の平均結晶粒径を有し、結晶粒が微細化(ナノ結晶化)されているために、熱伝導率の上昇を低減されており、熱伝導性が向上されている。
上記平均結晶粒径は、本発明の熱電変換材料の走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて得られた画像から粒度分布をとることで算出できる。具体的には下記「3.平均結晶粒径の測定」に示した方法により算出することができる。焼結処理を行う前の平均結晶粒径の粒径は焼結後の値の0.2〜1倍、好ましくは0.5〜1倍であり得る。
本発明の熱電変換材料は、N型及びP型熱電変換材料として用いることができる。
本発明の熱電変換材料は、好ましくは0.7W/mk以下、さらに好ましくは0.5W/mk以下、特に好ましくは0.4W/mk以下の格子熱伝導率κphを有する。
本発明の熱電変換材料は、好ましくは19μΩm以下、さらに好ましくは17μΩm以下、特に好ましくは13μΩm以下の比抵抗ρを有し、熱電変換材料の性能が向上されている。
本発明の熱電変換材料は、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上、特に好ましくは1.0以上の無次元性能指数ZTを有し、熱電変換材料の性能が向上されている。
本発明は、熱電変換材料の製造方法にも関する(以下、本発明の製造方法ともいう)。本発明の製造方法は、本発明の熱電変換材料の製造に適している。
本発明の製造方法は、次の工程:
(a)BiSbTe (1)
[式中、x、y及びzは、(x+y)/(x+y+z)が0.402以上0.430以下であることを満たす正の数である]で表される組成を有する、Bi、Sb及びTeを含む複合粒子を、100℃以下の温度にて調製する工程;及び(b)工程(a)で得られた複合粒子を熱処理により合金化する工程を含むことを特徴とする。本発明の製造方法によれば、上記組成式(1)においてx、y及びzが上記範囲を満たすような複合ナノ粒子を低温にて調製するため、後に焼結工程等の高温処理をしても結晶粒の粗大化を抑制することができる。
本発明の製造方法の工程(a)において、式(1)で表される組成を有するBi、Sb及びTeを含む複合粒子を調製する。工程(a)において使用するBi、Sb及びTeの前駆体の配合量を調整することにより複合粒子の組成を上記範囲とすることができる。
上記工程(a)における複合粒子の調製は、相分離を抑制し、微細な粒子を得る観点から、Bi−Sb−Te3元系にて液相が生成しない100℃以下の温度で行う。このような温度は、液相が生成しない100℃以下の範囲で適宜選択することができるが、例えば、20〜80℃が好ましく、30〜70℃がさらに好ましく、40〜55℃が特に好ましい。また上記温度にて複合粒子を調製することにより、合成時にSbの副生成物が生成することによる複合粒子の組成ズレを抑制することができる。
上記複合粒子を調製する方法としては、複合粒子の液相を生成させない工程によるものであれば特に制限されないが、例えば、Bi、Sb及びTeの前駆体を溶解させた溶液に、複合粒子の液相を生成させない温度にて、還元剤を添加する方法(還元合成)が挙げられる。他に、上記複合粒子は、Bi、Sb前駆体(Bi、Sbのカチオン)を溶解させた溶液とTeのアニオンを含む溶液との混合等の方法により合成してもよい。
複合粒子を還元合成する際、上記Bi、Sb及びTeの前駆体としては、溶媒に溶解するものであれば特に制限されず、具体的には上記元素の塩、好ましくは上記元素のハロゲン化物(例えば塩化物、フッ化物及び臭化物)、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられ、特に好ましくは塩化物、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。
上記還元剤は、Bi、Sb及びTeの前駆体を還元し得るものであれば特に制限はなく、例えば第三級ホスフィン、第二級ホスフィン及び第一級ホスフィン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ヒドロキシフェニル化合物、水素、水素化物、ボラン、アルデヒド、還元性ハロゲン化物、多官能性還元体等が挙げられ、その中でも水素化ホウ素アルカリ、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム等の物質の1種類以上が挙げられる。
還元剤を用いた複合粒子の調製は、具体的には、上記Bi、Sb及びTeの前駆体と上記還元剤を混合したスラリーを溶媒(例えばエタノール)中に滴下して還元粒子を析出させてナノ粒子を生成させることにより調製することが望ましい。当該方法によれば、Sbが溶媒中でBi,Te粒子表面に析出し、Sb(高融点)シェル及びTe(低融点)コア構造を有するナノ粒子が得られやすく、その後の熱処理プロセスでの結晶粒粗大化抑制の効果が得られやすい。この際、上記Bi、Sb及びTeの前駆体と上記還元剤を混合したスラリー、及びスラリーを滴下する溶媒それぞれについて、その温度を上記範囲とすることが好ましい。均一な微細粒子を得る観点から、両者の温度は等しいことが好ましい。
上記Bi、Sb及びTeの前駆体を溶解させる溶媒としては、元素の前駆体が溶解することができる限り特に制限されないが、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール及びオクタノールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられ、これらの中で、後工程である工程(b)において蒸気圧が高いものを用いることが望ましいことから、エタノール及びメタノール等が好ましい。
本発明の製造方法は、工程(a)で得られた複合粒子を熱処理により合金化する工程(b)を含む。熱処理は、例えばソルボサーマル処理により比較的低温で行うことが好ましい。工程(b)の熱処理を行うことにより、複合粒子の組織を均一化(合金化)し、原子欠陥を低減させて電気特性を向上させることができる。ソルボサーマル処理は、有機溶媒中において、高温及び高圧下で複数の原料物質を反応させて、反応生成物を得る技術である。
工程(b)のソルボサーマル処理の温度としては、原子欠陥を低減させて電気特性を向上させる観点から比較的低温とすることが好ましく、具体的には、200〜300℃であることが好ましく、230〜300℃であることがさらに好ましい。ソルボサーマル処理の圧力としては、原子欠陥を低減させて電気特性を向上させる観点から高圧であることが好ましく、具体的には、3MPa以上であることが好ましく、3〜20MPaであることが好ましく、5〜15MPaであることがさらに好ましい。ソルボサーマル処理の圧力は、溶媒量と温度を調整することにより適宜調整することができる。
また、ソルボサーマル処理の時間は、1〜24時間の範囲であることが好ましく、5〜24時間の範囲であることがより好ましく、8〜12時間の範囲であることがさらに好ましい。ソルボサーマル反応に使用される反応容器及び/又は反応制御装置等の手段は特に限定されない。本工程においては、オートクレーブのような当該技術分野でソルボサーマル反応に通常使用される装置を、反応容器及び反応制御装置として用いることができる。例えば、200〜250℃の範囲の温度でソルボサーマル反応させる場合、フッ素樹脂(例えばテフロン(登録商標))のような比較的安価な樹脂を用いたオートクレーブ装置を使用すればよく、250℃超かつ300℃以下の温度でソルボサーマル反応させる場合、ニッケル合金(例えばハステロイ(登録商標))のような耐熱・耐食合金を用いたオートクレーブ装置を使用すればよい。上記手段を用いることにより、特別な装置を準備することなく本工程のソルボサーマル反応を実施することができる。ソルボサーマル反応に使用される有機溶媒としては、蒸気圧が高いものが好ましく、例えば、エタノール若しくはメタノール又はそれらの混合物であることが好ましく、エタノール若しくはメタノール又はそれらの混合物であることが好ましい。
本発明の製造方法は、上記工程(b)の後、複合粒子を含む溶液を乾燥させることが好ましい。乾燥方法としては、密閉容器中での不活性ガスフローが挙げられる。
本発明の製造方法は、上記工程(b)の後に、合金化された複合粒子を焼結する焼結工程(c)を含むことができる。本工程により、上記熱電変換材料の一次粒子が凝集したバルク体の形態の熱電変換材料を形成させ、格子熱伝導率を低減し、熱電性能を向上させることができる。本工程において、上記熱電変換材料を焼結する手段は特に限定されない。例えば、放電プラズマ焼結(SPS焼結)法又はホットプレス法のような当該技術分野で通常使用される焼結手段を適用することができる。本工程は、SPS焼結法を用いて実施することが好ましい。上記手段によって上記熱電変換材料の一次粒子を焼結することにより、該一次粒子が凝集したバルク体の形態の熱電変換材料を形成させることができる。例えば、熱電変換材料を300℃〜450℃、好ましくは350℃〜400℃、50〜100MPa、好ましくは60〜90MPa、10〜30分間、好ましくは15〜20分間SPS焼結(放電プラズマ焼結:Spark Plasma Sintering)することによって、熱電変換材料バルク体を得ることができる。SPS焼結は、パンチ(上部、下部)、電極(上部、下部)、ダイ及び加圧装置を備えたSPS焼結機を用いて行うことができる。また、焼結の際に、焼結機の焼結チャンバのみを外気から隔離して不活性の焼結雰囲気にしてもよくあるいはシステム全体をハウジングで囲んで不活性雰囲気にしてもよい。
本発明の製造方法は、上記焼結工程(c)の前に、上記工程(b)で得られた熱電変換材料の仮焼を行う工程(d)を含むことができる。本工程により、残存溶媒を除去することができる。本工程は、例えば不活性ガス雰囲気下、200〜300℃で1〜10時間行うことが好ましい。
本発明の熱電変換材料、及び本発明の製造方法により得られる熱電変換材料は、熱電変換素子に用いることができる。熱電変換素子は、得られた熱電変換材料を用いて、それ自体公知の方法によって、ナノコンポジット熱電変換材料、電極及び絶縁性基板を組み立てることによって得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
実施例1〜4及び比較例1〜3
[I:熱電変換材料の製造]
[実施例1]
(1)Bi1.79Sb0.43Teの組成となるように熱電変換材料を構成する元素の塩(塩化ビスマス、塩化テルル、塩化アンチモン)をエタノール中に溶解した溶液Aと、還元剤(NaBH)を含むエタノール溶液BとをY字リアクターを用いて混合した。リアクターで混合された溶液をエタノール中で回収することで原料ナノ複合粒子を作製した。リアクター部と回収部は50℃に制御した。
(2)合成したBi,Te,Sbナノ粒子を含むエタノール溶液に対し、240℃で10時間熱処理を実施した。スラリーのろ過により試料粉末を回収した。
(3)試料粉末をAr雰囲気中、200℃で10時間仮焼を行った。
(4)上記合金粉末の焼結(350℃、75MPa、15分間)によりバルク化して焼結体を得た。
[実施例2〜4及び比較例1〜3]
工程(1)において配合する各原料の配合量を下の表1に記載される量とした以外は、実施例1と同様にして焼結体を得た。
[II:分析]
上記手順によって得られた実施例1〜4及び比較例1〜3の焼結体について、格子熱伝導率κphの測定、無次元性能指数ZTを算出、及び平均結晶粒径の測定をした。
<1.格子熱伝導率の測定>
定常法熱伝導率評価法及びフラッシュ法(非定常法)(ネッチ社製フラッシュ法熱伝導率測定装置)による。
格子熱伝導率κphは、全体の熱伝導率からキャリア熱伝導率(Kel)を差し引いて算出した。
el=LσT(L:ローレンツ数、σ:電気伝導率(=1/比抵抗ρ)、T:絶対温度)。
<2.無次元性能指数ZTの算出>
無次元性能指数ZTを以下:
Z=(ゼーベック係数α)×(電気伝導率σ)/(熱電変換材料の熱伝導率κ)
の式に基づき算出した。
<3.平均結晶粒径の測定>
平均結晶粒径を以下のステップにより測定・算出した:
(1)試料の断面をSEM観察し画像解析処理により結晶粒径を測定した。
(2)個々の結晶粒径は、最大幅とそれに直交する方向の横幅(最大幅)を測定し、その平均値を結晶粒径として評価した。
(3)100個以上の結晶の粒径をサンプル測定し、平均値を算出した。
分析結果を表1に示す。
[III:結果]
実施例1〜4及び比較例1〜3の焼結体についての分析結果を表1に示す。
Figure 2017157786
表1、図1(実施例1)及び図2(比較例1)より、Sb+Bi比が小さい(=0.4未満)比較例1〜2の焼結体に対して、実施例1〜4の焼結体は、平均結晶粒径が小さく、格子熱伝導率κphが低減されており、また無次元性能指数ZTが大きく熱電性能に優れることがわかる。また、Sb+Bi比が大きい(=0.459)比較例3の焼結体は、実施例1〜4の焼結体に対して電気特性(主に熱起電力)が低下しており、高い熱電性能が得られない。これは、組成ズレの影響や偏析の影響等によるものと考えられる。
本発明の熱電変換材料、及び本発明の製造方法により得られる熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、自動車の排熱や地熱を用いた発電及び人工衛星用の電源に利用することができる。また、本発明の熱電変換材料、及び本発明の製造方法により得られる熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、電化製品及び自動車等の温度調節素子に利用することができる。

Claims (4)

  1. 式(1):
    BiSbTe (1)
    [式中、x、y及びzは、(x+y)/(x+y+z)が0.402以上0.430以下であることを満たす正の数である]
    で表される組成を有し、平均結晶粒径が0.05〜1.0μmである熱電変換材料。
  2. 式(1)において、y/(x+y)が0.10以上0.85以下である、請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 次の工程:
    (a)式(1):
    BiSbTe (1)
    [式中、x、y及びzは、(x+y)/(x+y+z)が0.402以上0.430以下であることを満たす正の数である]
    で表される組成を有する、Bi、Sb及びTeを含む複合粒子を、100℃以下の温度にて調製する工程;及び
    (b)工程(a)で得られた複合粒子を熱処理により合金化する工程
    を含む熱電変換材料の製造方法。
  4. 工程(b)で得られた合金化した複合粒子を300℃〜450℃で焼結する工程(c)をさらに含む、請求項3に記載の方法。
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