JP6453748B2 - 熱電変換材料 - Google Patents

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本発明は、熱電変換材料に関する。
近年、地球温暖化問題から二酸化炭素排出量を削減するために、化石燃料から得られるエネルギーの割合を低減する技術への関心が益々増大しており、そのような技術の1つとして未利用廃熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換し得る熱電変換材料が挙げられる。熱電変換材料とは、火力発電のように熱を一旦運動エネルギーに変換しそれから電気エネルギーに変換する2段階の工程を必要とせず、熱から直接に電気エネルギーに変換することを可能とする材料である。
熱から電気エネルギーへの変換は熱電変換材料から成形したバルク体の両端の温度差を利用して行われる。この温度差によって電圧が生じる現象はゼーベックにより発見されたのでゼーベック効果と呼ばれている。この熱電変換材料の性能は、次式で求められる性能指数Zで表される。
Z=ασ/κ(=PF/κ) (κ=κel+κph
ここで、αは熱電変換材料のゼーベック係数、σは熱電変換材料の伝導率、κは熱電変換材料の熱伝導率、κelはキャリア熱伝導率、κphは格子熱伝導率である。ασの項をまとめて出力因子PFという。そして、Zは温度の逆数の次元を有し、この性能指数Zに絶対温度Tを乗じて得られるZTは無次元の値となる。そしてこのZTを無次元性能指数と呼び、熱電変換材料の性能を表す指標として用いられている。よって、熱電変換材料の性能向上には上記の式から明らかなように、より低い熱伝導率κが求められる。
従来から、熱電変換材料では熱伝導率低減による性能向上のため、母材と分散材とを複合化すること等が試みられている。
例えば特許文献1には、熱電変換材料の母相に分散材としてのシリカ微粒子が分散されたナノコンポジット熱電変換材料が記載されており、特許文献1によれば、熱電変換材料の母相と分散材のナノ粒子との界面に0.1nm以上の界面粗さを有することにより、熱が散乱されて熱の伝導が妨害され、熱伝導率を低減することができるとされている。特許文献2には、Bi(Te1−x,Se熱電変換材料(ただし0≦x<1)のマトリクス中にセラミックスのフォノン散乱粒子が分散しているナノコンポジット熱電変換材料が記載されており、その製造方法として、分散材としてのセラミックナノ粒子表面に官能基を修飾し、セラミックナノ粒子の周囲に熱電変換材料を結合させることが記載されている。
しかしながら、上述の従来技術のように、フォノン散乱用の粒子の界面においてフォノンが散乱されていても、このフォノン散乱粒子が粒子形状であるため、フォノン散乱界面積が不十分であり、熱伝導率が十分に低下しないという問題があった。
特許文献3には、コア部と、前記コア部を被覆する、構成材料がInSbであるシェル部とを有するコアシェル型ナノ粒子が記載されている。特許文献3には、その製造方法において、母材構成材料に付着可能な官能基を有する有機化合物を用いることが記載されているが、当該有機化合物はコアシェル型ナノ粒子を用いた熱電変換材料の製造工程において除去されており、よってこれにより熱電変換材料の熱伝導率を低減させるものではない。
このように、従来の熱電変換材料においては、上述したような理由により熱伝導率を大幅に低減させることが困難であり、十分に性能を向上させることができなかった。
特開2010−114419号公報 特開2013−197583号公報 特開2007−21670号公報
本発明は、十分に低減された熱伝導率を有する熱電変換材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、熱電変換材料において、母材に対して親和性の高い分散材を用いることにより、電気特性を低下させずに熱電変換材料の熱伝導率を十分に低減させることが可能となることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)Bi及びSbから選択される少なくとも1種の元素とTe及びSeから選択される少なくとも1種の元素とを含む母材、及び母材を構成する元素と結合可能な官能基を有する分散材を含む熱電変換材料であって、分散材と母材とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Raが6.0以下である、上記熱電変換材料。
(2)δp−δp[式中、δpは母材のHSPの極性項を示し、δpは分散材のHSPの極性項を示す]の絶対値が、2.0〜7.0である、上記(1)に記載の熱電変換材料。
本発明の熱電変換材料によれば、十分に低減された熱伝導率が得られる。
図1は、実施例1−2及び比較例1−2の熱電変換材料における母材と分散材とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Raと、格子熱伝導率κphとの関係を示すグラフである。 図2は、実施例1−2及び比較例1−2の熱電変換材料における分散材の極性項δpと、母材と分散材とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Raとの関係を示すグラフである。
本発明の熱電変換材料は、Bi及びSbから選択される少なくとも1種の元素とTe及びSeから選択される少なくとも1種の元素とを含む母材、及び母材を構成する元素と結合可能な官能基を有する分散材を含み、分散材と母材とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Raが6.0以下であることを特徴とする。本発明の熱電変換材料は、母材に対して特定のハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Raを有し、母材に結合可能な官能基を有する分散材を含むため、母材と分散材との間に微細かつ複雑な構造の界面を有し、これにより増加した界面積において散乱されるフォノンの効果により熱伝導率が十分に低減されている。さらに上記のような母材と親和性の高い分散材を用いることにより、少量の分散材で熱伝導率を低下させることが可能となるため、電気伝導率の低下も抑制することができ、結果として熱電変換効率が向上する。
本発明の熱電変換材料は、母材としてBi及びSbから選択される少なくとも1種の元素とTe及びSeから選択される少なくとも1種の元素とを含む。母材の材質としては特に制限なく、例えば、(Bi、Sb)Te系、(Bi、Sb)(Te、Se)系、BiTe系、(Bi、Sb)Te系、Bi(Te、Se)系等が挙げられ、これらの中で、熱電変換効率の観点から、(Bi、Sb)(Te、Se)系とすることが好ましい。
本発明の熱電変換材料は、母材を構成する元素と結合可能な官能基を有する分散材を含む。これにより、母材と分散材との間に微細かつ複雑な構造の界面が生じ、これによる界面積の増加によりフォノンを効果的に散乱させることができる。ここで「母材を構成する元素と結合可能な官能基」とは、母材と化学的に結合し、強固な結合を維持することが可能な官能基を意味する。母材を構成する元素と結合可能な官能基としては、母材を構成する元素と上に説明した結合性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアヌレート基、ウレイド基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、汎用性の高さから、メルカプト基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の熱電変換材料に含まれる分散材は、母材と親和性を高める観点から、母材とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Raが6.0以下であり、好ましくは0.5〜5.8であり、特に好ましくは1.0〜5.0である。
ここで、ハンセン溶解度パラメータ(以下、「HSP」とも記載する)は物質間の溶解特性を表すパラメータである。本明細書において、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)は、ヒルデブランドの溶解度パラメータを、ロンドン分散力、双極子間力及び水素結合力の3個の凝集エネルギー成分に分割したベクトル量のパラメータを意味する。本発明において、HSPのロンドン分散力に対応する成分を分散項(以下、「δd」とも記載する)、双極子間力に対応する成分を極性項(以下、「δp」とも記載する)、水素結合力に対応する成分を水素結合項(以下、「δh」とも記載する)と記載する。また総HSPは以下の式:
総HSP=δd+δp+δh
で表される。HSPはベクトル量であるため、純粋な物質で全く同一の値を有するものは殆ど存在しないことが知られている。また、一般的に使用される物質のHSPは、データベースが構築されている。このため、当業者であれば、当該データベースを参照することにより、所望の物質のHSP値を入手することができる。データベースにHSP値が登録されていない物質であっても、当業者であれば、Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)のようなコンピュータソフトウェアを用いることにより、その化学構造からHSP値を計算することができる。複数の物質からなる混合物の場合、該混合物のHSP値は、含有成分である各物質のHSP値に、該成分の混合物全体に対する体積比を乗じた値の和として算出される。HSPについては、例えば、山本博志,S.Abbott,C.M.Hansen,化学工業,2010年3月号を参照することができる。
本明細書において分散材と母材とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Raは以下の式:
Ra=4x(δd−δd+(δp−δp+(δh−δh
[式中、
δdは、分散材のハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項であり、
δpは、分散材のハンセン溶解度パラメータ(HSP)の極性項であり、
δhは、分散材のハンセン溶解度パラメータ(HSP)の水素結合項であり、
δdは、母材のハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項であり、
δpは、母材のハンセン溶解度パラメータ(HSP)の極性項であり、
δhは、母材のハンセン溶解度パラメータ(HSP)の水素結合項であり、
Raは、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)空間における、母材と分散材とのHSP距離である]で表される。
本発明の熱電変換材料に含まれる分散材は、ナノ母材粒子との複合化をさせやすくする観点から、δp−δp[式中、δpは母材のHSPの極性項を示し、δpは分散材のHSPの極性項を示す]の絶対値が、好ましくは2.0〜7.0、さらに好ましくは2.5〜6.0、特に好ましくは3.0〜4.0を満たす。特に母材が(Bi,Sb)Te系である場合、本発明の熱電変換材料に含まれる分散材は、ナノ母材粒子との複合化をさせやすくする観点から、HSPから同定した極性項δpが、好ましくは6.5以上であり、さらに好ましくは7.8〜12.0であり、特に好ましくは8.5〜11.8である。
本発明の熱電変換材料に含まれる分散材としては、凝集抑制の観点から、δdが15.0〜20.0の範囲であり、δpが6.5〜12.0の範囲であり、δhが5.0〜15.0の範囲であることが好ましく、δdが16.1〜17.1であり、δpが7.8〜11.8であり、δhが7.1〜13.5であることがより好ましい。
本発明の熱電変換材料に含まれる分散材は、母材とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Raが6.0以下であり、上記母材を構成する元素と結合可能な官能基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、シロキサン及びシルメチレン等を主骨格とする有機炭素系化合物等を挙げることができる。
上記有機炭素系化合物としては、具体的には、下記一般式(I):
[化1]
Figure 0006453748
(式中、
Mは、Si、Ti、Al、Sb及びTeからなる群より選択され、
は独立して、母材を構成する元素と結合可能な官能基であり、
は独立して、CH基、又は母材を構成する元素と結合可能な官能基であり、
nは、2〜29の整数であり、
mは、0〜5の整数であり、
lは、0〜5の整数である)
で表される化合物が挙げられる。分散材として一般式(I)で表される化合物を使用する場合、本発明の熱電変換材料において、分散材はG又はGにおいて母材元素に結合している。一般式(I)中のG及びGはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。このような構造を含む分散材は、上記一般式(I)に示されるように官能基以外の最外側は反応性の少ない炭化水素基で構成されるために、加熱により重縮合して粗大粒子が生成することを防ぐことができる。このような観点から、上記一般式(I)において、GがCH基であることが好ましい。
上記一般式(I)中のnは、母材との親和性の観点から、2〜29の整数であり、好ましくは2〜20であり、さらに好ましくは2〜10であり、特に好ましくは2〜5である。また、分散材の大きさを適切なものとすることにより、フォノン熱伝導率を低下させることができる。
本発明の熱電変換材料に含まれる分散材は、電気伝導率の低下を抑制する観点から含有量が少ないことが好ましく、具体的には、熱電変換材料を基準として、好ましくは2.0〜50モル%、さらに好ましくは3.0〜40モル%、特に好ましくは5.0〜25モル%である。
本発明の熱電変換材料は、母材と分散材の界面において微細かつ複雑な構造を有する。このような構造は、微細な分散材が母材との親和性が高く、母材表面又は母材間の微小且つ複雑な隙間に浸透しやすいために得られる。
本発明の熱電変換材料の格子熱伝導率は、熱電変換材料の性能を向上させる観点から、好ましくは0.3W/m/K以下、さらに好ましくは0.2W/m/K以下、特に好ましくは0.17W/m/K以下である。
本発明の熱電変換材料は、上に説明した構成のものが得られる限り特に制限されないが、例えば、次の工程:(a)Bi及びSbから選択される少なくとも1種の元素の前駆体とTe及びSeから選択される少なくとも1種の元素の前駆体とを含有する溶液と、還元剤とを混合して母材複合粒子を得る工程、(b)工程(a)で得られた複合粒子を含む溶液に分散材を添加する工程、及び(c)工程(b)で得られた複合粒子及び分散材を含む溶液を熱処理する工程を含む方法により製造することができる。
上記工程(a)において使用するBi及びSbから選択される少なくとも1種の元素の前駆体とTe及びSeから選択される少なくとも1種の元素(以下、両者を母材構成元素ともいう)の前駆体としては、溶媒に溶解するものであれば特に制限されず、具体的には上記母材構成元素の塩、好ましくは上記元素のハロゲン化物(例えば塩化物、フッ化物及び臭化物)、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられ、特に好ましくは塩化物、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。
上記工程(a)において使用する還元剤は、母材構成元素の前駆体を還元し得るものであれば特に制限はなく、例えば第三級ホスフィン、第二級ホスフィン及び第一級ホスフィン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ヒドロキシフェニル化合物、水素、水素化物、ボラン、アルデヒド、還元性ハロゲン化物、多官能性還元体等が挙げられ、その中でも水素化ホウ素アルカリ、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム等の物質の1種類以上が挙げられる。
上記工程(a)において使用する母材構成元素の前駆体を溶解させる溶媒としては、元素の前駆体が溶解することができる限り特に制限されないが、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール及びオクタノールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられ、これらの中で、後工程である工程(c)において蒸気圧が高いものを用いることが望ましいことから、エタノール及びメタノール等が好ましい。
上記工程(b)において、工程(a)で得られた複合粒子を含む溶液に分散材を添加する。ここで、分散材については、本発明の熱電変換材料について説明した上記記載を引用するものとする。
上記工程(c)において、工程(b)で得られた複合粒子及び分散材を含む溶液を熱処理して合金化を行なう。当該熱処理は、合金化が可能であれば特に制限されないが、低温で合金化を促進させる観点から、ソルボサーマル反応させる方法が好ましい。ソルボサーマル反応は、有機溶媒中において、高温及び高圧下で複数の原料物質を反応させて、反応生成物を得る技術である。ソルボサーマル反応させる温度は、200〜350℃であることが好ましい。ソルボサーマル反応させる圧力は、0〜20MPaの範囲であることが好ましく、0.5〜15MPaの範囲であることがより好ましい。また、ソルボサーマル反応させる時間は、1〜48時間の範囲であることが好ましく、5〜24時間の範囲であることがより好ましく、8〜12時間の範囲であることがさらに好ましい。ソルボサーマル反応に使用される反応容器及び/又は反応制御装置等の手段は特に限定されない。本工程においては、オートクレーブのような当該技術分野でソルボサーマル反応に通常使用される装置を、反応容器及び反応制御装置として用いることができる。例えば、200〜250℃の範囲の温度でソルボサーマル反応させる場合、フッ素樹脂(例えばテフロン(登録商標))のような比較的安価な樹脂を用いたオートクレーブ装置を使用すればよく、250℃超かつ350℃以下の温度でソルボサーマル反応させる場合、ニッケル合金(例えばハステロイ(登録商標))のような耐熱・耐食合金を用いたオートクレーブ装置を使用すればよい。上記手段を用いることにより、特別な装置を準備することなく本工程のソルボサーマル反応を実施することができる。ソルボサーマル反応に使用される有機溶媒としては、例えば、エタノール若しくはメタノール又はそれらの混合物であることが好ましく、エタノール若しくはメタノール又はそれらの混合物であることが好ましい。
上記工程(c)の後、合金化された粒子を含む溶液を乾燥させることが好ましい。乾燥方法としては、密閉容器中での不活性ガスフローが挙げられる。
上記工程(c)の後、構成元素を含有する熱電変換材料を焼結する焼結工程(d)を行ってもよい。本工程により、上記熱電変換材料の一次粒子が凝集したバルク体の形態の熱電変換材料を形成させることができる。本工程において、上記熱電変換材料を焼結する手段は特に限定されない。例えば、放電プラズマ焼結(SPS焼結)法又はホットプレス法のような当該技術分野で通常使用される焼結手段を適用することができる。本工程は、SPS焼結法を用いて実施することが好ましい。上記手段によって上記熱電変換材料の一次粒子を焼結することにより、該一次粒子が凝集したバルク体の形態の熱電変換材料を形成させることができる。例えば、熱電変換材料を300℃〜450℃、50〜100MPa、10〜30分間SPS焼結(放電プラズマ焼結:Spark Plasma Sintering)することによって、熱電変換材料バルク体を得ることができる。SPS焼結は、パンチ(上部、下部)、電極(上部、下部)、ダイ及び加圧装置を備えたSPS焼結機を用いて行うことができる。また、焼結の際に、焼結機の焼結チャンバのみを外気から隔離して不活性の焼結雰囲気にしてもよくあるいはシステム全体をハウジングで囲んで不活性雰囲気にしてもよい。
本発明の熱電変換材料は、通常は、微細粒径の粒子の形態であり、典型的には、ナノ粒子の形態である。一般に、約100nm超の平均粒径を有する合金粒子はサブマイクロ粒子と分類され、約100nm以下の平均粒径を有する合金粒子はナノ粒子と分類される。上記熱電変換材料は、通常は、300nm以下の平均粒径を有し、典型的には、200nm以下の平均粒径を有する。上記熱電変換材料は、通常は、50nm以上の平均粒径を有し、典型的には、70nm以上の平均粒径を有する。本発明の熱電変換材料は、上記平均粒径を有する微細粒径の粒子(以下、「一次粒子」とも記載する)を焼結等することによって得られるバルク体の形態であってもよい。
本発明の熱電変換材料は、熱電変換素子の製造に用いることができる。熱電変換素子は、本発明の熱電変換材料を用いて、それ自体公知の方法によって、N型ナノコンポジット熱電変換材料、P型ナノコンポジット熱電変換材料、電極及び絶縁性基板を組み立てることによって得ることができる。熱電変換素子は、本発明の熱電変換材料を用いて、それ自体公知の方法によって、N型ナノコンポジット熱電変換材料、P型ナノコンポジット熱電変換材料、電極及び絶縁性基板を組み立てることによって得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
実施例1−2及び比較例1−2
[I:熱電変換材料の製造]
[実施例1]
(1)熱電変換材料を構成する元素の塩BiCl(0.24g)、SbCl(0.68g)、TeCl(1.51g)を含む溶液Aと還元剤(NaBH)を含むエタノール溶液B(1.60gのNaBHを150mlのエタノールに溶解させたもの)を混合して、熱電変換材料を構成するナノ母材複合粒子を作製した。
(2)作製したナノ母材複合粒子(Bi,Sb,Te)を含む溶液中に分散材として、以下の表1及び化学式に示す有機炭素化合物(0.15g)を添加した。
(3)低温熱処理(ソルボサーマル)(240℃、48時間)を施し、合金化を促進し、熱電材料母材を形成した。
(4)母材を乾燥させて粉末を得た。
(5)上記合金粉末を焼結処理(360℃)によりバルク化して焼結体を得た。
[実施例2]
工程(1)において配合する分散材を以下の表1及び化学式に示されるものとした以外は、実施例1と同様にして焼結体を得た。
[比較例1]
(1)熱電変換材料を構成する元素の塩BiCl(0.24g)、SbCl(0.68g)、TeCl(1.51g)を含む溶液Aと還元剤(NaBH)を含むエタノール溶液B(1.60gのNaBHを150mlのエタノールに溶解させたもの)を混合して、熱電変換材料を構成するナノ母材複合粒子を作製した。
(2)作製したナノ母材複合粒子(Bi,Sb,Te)を含む溶液中に分散材として、以下の表1及び化学式に示す有機炭素化合物(0.15g)を添加した。
(3)低温熱処理(ソルボサーマル)(240℃、48時間)を施し、合金化を促進し、熱電材料母材を形成した。
(4)母材を乾燥させて粉末を得た。
(5)上記合金粉末を焼結処理(360℃)によりバルク化して焼結体を得た。
[比較例2]
工程(1)において配合する分散材を以下の表1及び化学式に示されるものとした以外は、比較例1と同様にして焼結体を得た。
[II:分析]
上記手順によって得られた実施例1−2及び比較例1−2の焼結体について、格子熱伝導率を測定した。
<1.格子熱伝導率の測定>
定常法熱伝導率評価法及びフラッシュ法(非定常法)(ネッチ社製フラッシュ法熱伝導率測定装置)による。
格子熱伝導率κphは、全体の熱伝導率からキャリア熱伝導率(Kel)を差し引いて算出した。Kel=LσT(L:ローレンツ数、σ:電気伝導率(=1/比抵抗)、T:絶対温度)。
[III:結果]
実施例1−2及び比較例1−2の焼結体についての分析結果を表1に示す。
Figure 0006453748
Figure 0006453748
表1の結果より、実施例1−2の焼結体は低減された格子熱伝導率κphを有することがわかる。
本発明の熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、自動車の排熱や地熱を用いた発電及び人工衛星用の電源に利用することができる。また、本発明の熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、電化製品及び自動車等の温度調節素子に利用することができる。

Claims (2)

  1. Bi及びSbから選択される少なくとも1種の元素とTe及びSeから選択される少なくとも1種の元素とを含む母材、及び母材を構成する元素と結合可能な官能基を有する分散材を含む熱電変換材料であって、
    分散材と母材とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Raが6.0以下であり、
    分散材が、下記一般式(I):
    Figure 0006453748
    (式中、
    Mは、Si、Ti、Al、Sb及びTeからなる群より選択され、
    は独立して、母材を構成する元素と結合可能な官能基であり、
    は独立して、CH 基、又は母材を構成する元素と結合可能な官能基であり、
    nは、2〜29の整数であり、
    mは、0〜5の整数であり、
    lは、0〜5の整数である)
    で表される化合物である、上記熱電変換材料。
  2. δp−δp[式中、δpは母材のHSPの極性項を示し、δpは分散材のHSPの極性項を示す]の絶対値が、2.0〜7.0である、請求項1に記載の熱電変換材料。
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