JP2017157349A - アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池 - Google Patents
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Abstract
Description
以上のように、高い保液性を有したまま、近年要求が高まっているような、更なる遮蔽性を有したセパレータを実現することは困難であった。
即ち、少なくとも耐アルカリ性セルロース繊維と、耐アルカリ性合成繊維とを含有し、バインダ成分で結着した湿式不織布であって、前記湿式不織布の最大孔径が15〜35μm、平均孔径が1〜10μm、40質量%KOH水溶液浸漬時の保液率が450〜700%、40質量%KOH水溶液浸漬時の膨潤率が45〜55%、であることを特徴とするアルカリ電池用セパレータとする。
また、以上の構成を備えるアルカリ電池用セパレータを用いたことを特徴とするアルカリ電池とする。
本実施の形態例のセパレータの最大孔径は、15.0〜35.0μmである。最大孔径が35.0μmを超過すると、セパレータの遮蔽性を向上できない。また、最大孔径が15.0μm未満では、セパレータが緻密になりすぎ、電池を組んだ際の抵抗値が増大してしまう場合がある。
式1:{不織布の流れ方向(MD)の引張強さ}/{不織布の流れ方向と直交する方向(CD)の引張強さ}
一般的に、湿式不織布の製法上、MD方向に繊維が配向しやすく、MD方向の引張強さの方が、CD方向の引張強さと比べると強くなる。
前述したとおり、繊維の配向を強くすると、平均孔径は小さくできるが、最大孔径は制御できない。
引張強さの縦横比が1.0未満では、セパレータのMD方向の曲げ剛性に偏りが生じ、電池製造時において、セパレータの加工性が低下する場合がある。
引張強さの縦横比が2.5を超過すると、セパレータの最大孔径を小さくしにくいし、セパレータのCD方向の曲げ剛性に偏りが生じ、電池製造時において、セパレータの加工性が低下する場合がある。
以上のように、引張強さの縦横比は、セパレータの最大孔径のみでなく、電池に用いる際の加工性にも影響を与える重要な指標である。
一方、平均孔径が1μm未満では、セパレータが緻密になりすぎ、電池を組んだ際の抵抗値が増大してしまう場合がある。平均孔径の制御には、構成材料が重要となる。
フィブリル化が可能な再生セルロース繊維は、叩解すると直径1μm以下の非常に細いフィブリルに分割することが可能である。特に、フィブリル化が可能な溶剤紡糸セルロース繊維は、高い結晶化度を有するものであり、その繊維の内部構造は、セルロース結晶部分と非晶部分とからなっており、結晶部分は非晶質を介して互いに接着して繊維を構成している。
微細化されたセルロース繊維は、合成繊維などと比較して繊維長が短小であり、シートの間隙を埋めやすく、セパレータの遮蔽性を向上させる。
低下しているCSF値が10mlより大きい場合、当該フィブリル化物によるセパレータの緻密性が十分に得られなくなる。一方、上昇に転じたCSF値が100mlを超過したものは、繊維が微細になりすぎ、電池用セパレータ原料として適さない。
該フィブリル化物による緻密性は、主に平均孔径の低減に寄与し、セパレータの遮蔽性を向上させる。
耐アルカリ性セルロース繊維の含有量を30〜70質量%とすることで、セパレータの保液率を450〜700%とできる。
非フィブリル化再生セルロース繊維の含有率は、セパレータに求める特性に応じて増減することができるが、含有率が10質量%未満では当該非フィブリル化再生セルロース繊維最大の特徴であるセパレータの保液性が損なわれ、含有率が40質量%より大きい場合は当該非フィブリル化再生セルロース繊維の過剰配合により、電解液中でのセパレータの膨潤が大きくなりすぎる傾向にあるため、保液性と膨潤率とを高いレベルで実現するためには10〜40質量%の範囲が望ましい。
これらの繊維は、耐アルカリ性のみでなく、セパレータの曲げ剛性の点からも好ましい。
そして、本実施の形態例のアルカリ電池用セパレータの40質量%KOH膨潤率は、45〜55%が好ましい。
膨潤率が45%未満では、アルカリ電池に用いたときの内部抵抗が増大する。また、膨潤率が55%を超過すると、電池ケース内でセパレータが占める体積が増加し、負極剤の充填量が減少する。
アルカリ電池用セパレータの40質量%KOH膨潤率を30〜45%にする、一実現手段として、耐アルカリ性合成繊維として使用するビニロン繊維と、PVA繊維との合計含有量を、10〜50質量%とすることがある。
バインダ成分としては、60〜90℃の熱水に溶解するポリビニルアルコールバインダ繊維(以下PVAバインダ繊維と記載)がよく採用されている。
具体的には、70℃の40質量%水酸化カリウム水溶液に8時間浸漬させた後の収縮率が10%以下、重量減少率が10%以下であることである。
この重量減少率が10%を超過する繊維を用いたセパレータは、40質量%水酸化カリウム水溶液に溶解する繊維を含有することとなり、電池を組んだ後、電解液により徐々に分解されてガスを発生する。このガスの影響で、電池の内圧が上昇するし、場合によっては液漏れを生じることもある。
(1)前述したフィブリル化が可能な溶剤紡糸セルロース繊維を水に分散させ、ビーターあるいはリファイナ等の製紙用叩解機で所定のCSF値まで叩解する。
(2)これに前述した非フィブリル化再生セルロース繊維の1種あるいは2種以上を混合する。
(4)さらにアルカリ電解液中で寸法安定性に優れる耐アルカリ性合成繊維として、ビニロン繊維と、PVA繊維とを、また必要に応じてその他の耐アルカリ性合成繊維を混合する。
(5)そして、PVAバインダ繊維などのバインダ成分となる繊維を添加混合して原料とする。
各層の積層組合せとしては、各抄紙機で形成した同じ紙層同士や、別種の抄紙機で形成した層との組合せで可能な二層、または三層等、セパレータの遮蔽性及び保液性を損なわなければ、種々の組合せが可能である。
実施例、比較例および従来例にかかるセパレータの各測定値は次の方法で測定した。
(1)繊維の耐アルカリ分解試験
70℃の40質量%水酸化カリウム水溶液に繊維を浸漬し、8時間静置する。その後、イオン交換水で洗浄・乾燥した際の質量を測定し、次式で重量減少率を算出し分解率(%)とした。
分解率(%) =(1−分解後質量/分解前質量)×100
CSF(カナダ標準形濾水度、Canadian Standard Freeness)「JIS P8121−2 パルプ−ろ水度試験法−第2部:カナダ標準ろ水度法」に従い測定した。
(3)厚さ
2枚重ねにしたセパレータの厚さを、ダイヤルシックネスゲージGタイプ(測定反力2N、測定子:φ10mm)を用いて均等な間隔で測定し、その1/2を1枚当たりの厚さとし、さらに測定個所の平均値をセパレータの厚さ(μm)とした。
セパレータの面積と質量を測定し、セパレータ面積(m2)当たりの質量(g)を求めた。
(5)最大孔径、平均孔径
Porous Materials,Inc.製CFP−1200−AEXL−ESAを用いて、ASTM F316−03、JIS K3832に規定された方法で測定した。
試験液としてGALWICK(
Porous Materials,Inc社製)を用いて測定した。
大きさ15×250mmの試験片を流れ方向(MD)と幅方向(CD)にとり、万能引張試験機またはこれに準ずるものを用い、ツカミの間隔180mm、毎分約200mmの速さで試験片を引張り、その引張強さを測定し、次式で縦横比を算出した。
縦横比=流れ方向の引張強さ(MD)/幅方向の引張強さ(CD)
セパレータを50mm×50mmの正方形に切り取り、乾燥後の質量を測定した後、40質量%KOH水溶液に10分間浸漬した。この試験片を45度の角度に傾斜させたガラス板にそのまま貼り付けて3分間固定し、過剰の40質量%KOH水溶液を流下させて取り除き、そのまま保液した試験片の質量を測定し、次式により保液率(%)を算出した。
保液率(%)=(W2−W1)/W1×100
W1=浸漬前の質量
W2=浸漬後の質量
厚さ測定と同様にセパレータを幅(CD)方向にシワのない長さ500mmの試験片を2枚とり、これらのセパレータの粗面側をあわせて重ね、両端が動かないように固定する。その後、40質量%KOH水溶液に30分間浸漬し、浸漬後、紙端から15mm以上内側のところから、おおむね均等な間隔で5箇所の厚さを測定し平均値をとり、さらに重ねた枚数で割って1枚あたりの厚さを求め次式で計算した。なお、測定器は、ダイヤルシックネスゲ−ジGタイプ(測定反力2N、測定子:φ10mm)を用いて測定した。
膨潤率=A2−A1/A1×100
A1=浸漬前平均厚さ
A2=浸漬後平均厚さ
40質量%KOH水溶液に浸漬された、約2mmの間隔で並行する白金電極(白金黒付けした直径20mmの円板形状の電極)の間にセパレータを挿入し、この挿入に伴う電極間の電気抵抗の増加をセパレータのイオン抵抗(mΩ)とした。なお、電極間の電気抵抗は1000Hzの周波数でLCRメータを用いて測定した。
市販されているアルカリマンガン電池負極用の亜鉛合金粉末にセパレータ及びKOH電解液(酸化亜鉛を添加)を加え、70℃で10日間放置して発生する水素ガス量(亜鉛1gに対する発生した水素ガスの容積(μl))を測定した。なお、各セパレータの測定にあたり、亜鉛合金粉末:セパレータ:KOH電解液は質量比で1:0.05:1の一定量を取り、特開2008−171767号公報で開示された図2に類似した装置を使用して水素ガス発生量を測定した。
A.電池の製作
本実施例および比較例のセパレータを使用して、図1に示す正極缶2、正極合剤3、セパレータ4、ゲル状負極5、負極集電子6、樹脂製封口体7、負極端子板8、樹脂外装材9、で構成されるアルカリマンガン電池1(LR6)を各30個製作した。
図1において、1はアルカリマンガン電池であり、2は有底筒状の正極缶であり、一端部に正極端子2aが形成されている。この正極缶2内には、二酸化マンガンと黒鉛からなる円筒状の正極合剤3が圧入されている。4は筒状に捲回した本実施の形態例のセパレータで、その内部には水銀無添加の亜鉛合金粉末とアルカリ電解液とを混合したゲル状負極5が充填されている。
2Ωの負荷で0.9Vの終止電圧までの時間(分)を測定する高率負荷放電試験と、100Ωの負荷で0.9Vの終止電圧までの時間(時間)を測定する軽負荷放電試験を行い、その平均値(サンプル数n=10)を算出した。
間欠放電試験は電池10個をそれぞれ3.9Ωの負荷で5分間/日放電し、50日以内に0.9V以下に低下した電池を不良個数としてカウントした。
また、ポリプロピレン繊維(PP繊維)、ポリエチレン繊維(PE繊維)、PP/PP複合繊維、PP/PE複合繊維、アセタール化ポリビニルアルコール繊維(ビニロン繊維)、未アセタール化ポリビニルアルコール繊維(PVA繊維)、ポリアミド繊維(PA繊維)が、アルカリ分解率が低く、耐アルカリ性合成繊維として好ましい。
以下に、各実施例、比較例、従来例について詳細に記載する。
溶剤紡糸セルロース繊維のCSF値は、特に断りのない限り、下降している途中のCSF値を指す。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値10mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%と広葉樹溶解パルプ25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は141分、100Ω放電時間は244時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長3mm)5質量%をCSF値で10mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度0.8dtex.繊維長3mm)30質量%と広葉樹溶解パルプ25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にてJ/W比1.9で抄紙して、厚さ60.0μm、坪量20.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は145分、100Ω放電時間は239時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度3.3dtex.繊維長5mm)30質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値100mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.7dtex.繊維長3mm)15質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は155分、100Ω放電時間は258時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長5mm)20質量%をCSF値で8mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度0.8dtex.繊維長4mm)10質量%と広葉樹溶解パルプ30質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm)10質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%とPP繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を長網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比2.1で積層抄紙して、厚さ95.0μm、坪量30.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は149分、100Ω放電時間は238時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値で5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm)40質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%とPP/変性PP複合繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は142分、100Ω放電時間は241時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長5mm)15質量%をCSF値2mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度3.3dtex.繊維長4mm)15質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%とPP/変性PE複合繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%を混合した。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は156分、100Ω放電時間は251時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長2mm)25質量%をCSF値0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%と針葉樹溶解パルプ10質量%とマーセル化広葉樹パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長2mm)5質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%とPA繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)5質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.3で積層抄紙して、厚さ74.0μm、坪量24.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は149分、100Ω放電時間は246時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値30mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%とコットンリンターパルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)25質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にてJ/W比1.2で抄紙して、厚さ112.0μm、坪量36.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は155分、100Ω放電時間は252時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm:)20質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値50mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度0.8dtex.繊維長3mm)30質量%とマーセル化針葉樹パルプ15質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%とPE繊維(繊度3.3dtex.繊維長5mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比2.0で積層抄紙して、厚さ83.0μm、坪量27.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は141分、100Ω放電時間は240時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)10質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値75mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)30質量%と広葉樹パルプ25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm)10質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/傾斜短網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.1で積層抄紙して、厚さ94.0μm、坪量32.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は139分、100Ω放電時間は241時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)2質量%をCSF値で0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)33質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網抄紙機にてJ/W比1.8で積層抄紙して、厚さ57.0μm、坪量19.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は129分、100Ω放電時間は228時間、間欠放電の不良個数は10個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)35質量%をCSF値で0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。ここの混合原料を長網/短網抄紙機にてJ/W比2.0で積層抄紙して、厚さ117.0μm、坪量37.6g/m2の二層セパレータを得た。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値で20mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)質量15%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比1.6で積層抄紙して、厚さ143.0μm、坪量46.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は133分、100Ω放電時間は226時間、間欠放電の不良個数は8個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値150mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比1.3で積層抄紙して、厚さ42.0μm、坪量14.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は116分、100Ω放電時間は199時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値で2mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)45質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は130分、100Ω放電時間は211時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値で2mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)5質量%と広葉樹溶解パルプ5質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は121分、100Ω放電時間は208時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)25質量%をCSF値で5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)35質量%と広葉樹溶解パルプ15質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%とPP繊維(繊度3.3dtex.繊維長5mm)、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比0.9で積層抄紙して、厚さ138.0μm、坪量44.0g/m2の二層セパレータを得た。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%とPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比1.2で抄紙して、厚さ88.0μm、坪量28.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は123分、100Ω放電時間は216時間、間欠放電の不良個数は1個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値で8mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%と広葉樹溶解パルプ20質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)5質量%、とPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比1.4で積層抄紙して、厚さ100.0μm、坪量33.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は108分、100Ω放電時間は196時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値で8mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)30質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)30質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比0.5で抄紙して、厚さ104.0μm、坪量34.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータは、引張強さの縦横比2.2、最大孔径31.0μm、平均孔径7.5μm、膨潤率45.0%、保液率475%、イオン抵抗13.1mΩ、ガス発生量109μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は126分、100Ω放電時間は224時間、間欠放電の不良個数は2個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)30質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値10mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)35質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%を混合した。この混合原料を円網抄紙機にて、J/W比2.1で抄紙して、厚さ71.0μm、坪量23.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータは、引張強さの縦横比2.3、最大孔径22μm、平均孔径6.2μm、膨潤率52.0%、保液率616%、イオン抵抗12.4mΩ、ガス発生量117μl/gであった。
このセパレータを用いてアルカリ電池を作製しようとしたが、耐アルカリ性合成繊維の配合率が少なく、底となる部分を熱融着で成形しようとした際に融着することが出来なかったため、放電試験は行っていない。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)30質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値10mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)30質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)19質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)19質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)2質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比2.2で抄紙して、厚さ111.0μm、坪量35.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータを用いてアルカリ電池を作製しようとしたがバインダ成分であるPVAバインダ繊維の配合率が少ないため、セパレータ強度が低く、筒成形不良が発生したため、放電試験は行っていない。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)25質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値10mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比1.7で抄紙して、厚さ115.0μm、坪量39.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は114分、100Ω放電時間は215時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値10mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%と広葉樹溶解パルプ25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比0.4で抄紙して、厚さ50.0μm、坪量15.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は124分、100Ω放電時間は233時間、間欠放電の不良個数は9個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値10mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%と広葉樹溶解パルプ25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比2.0で抄紙して、厚さ160.0μm、坪量50.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は122分、100Ω放電時間は194時間、間欠放電の不良個数は2個であった。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)25質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値50mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%と広葉樹溶解パルプ15質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比1.0で抄紙して、厚さ105.0μm、坪量31.0g/m2のセパレータを得た。
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%と広葉樹溶解パルプ25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比3.8で抄紙して、厚さ100.0μm、坪量29.0g/m2のセパレータを得た。
国際公開WO第2012/036025号公報(特許文献3)には、セパレータを粗層と密層の少なくとも二層で構成された積層構造にし、粗層を構成する耐アルカリ性セルロース繊維を特定の割合にするとともに、特定のCSF差を有する複数種のセルロース繊維から形成し、耐アルカリ性セルロース繊維全体のCSFを特定の値とすることによって、CSFの高いセルロース繊維により保液性を達成するとともに、CSFの低いセルロース繊維によりセパレータに存在する最大ポアサイズを小さくすることができ、アルカリ電池に必要な保液性を確保しつつ、デンドライトの発生を有効に抑制できるだけでなく、セパレータの耐衝撃性を向上できることが記載されている。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は135分、100Ω放電時間は226時間、間欠放電の不良個数は2個であった。
なお、表2のCSFの値について、*付きの値は、CSFが0mmに到達した後さらに叩解を進めた結果の値を示している。
各実施例は、引張強さの縦横比1.0〜2.5、最大孔径15.0〜35.0μm、平均孔径1.0〜10.0μm、保液率450〜700%の範囲にある。各実施例の電池試験結果と従来例の電池試験結果とを比較すると、従来例では間欠放電における不良が2個発生しているのに対し、実施例では1個も発生していない。また、各実施例の100Ωでの軽負荷放電時間が、従来例を上回っている。
つまり、本実施の形態例のセパレータは、これまで相反する特性といわれてきた遮蔽性と、放電性能を兼ね備えた良好なセパレータであることがわかる。
一方、比較例2のセパレータは、イオン抵抗が25mΩと高く、このセパレータを用いたアルカリ電池は、従来例と比べ、軽負荷放電、高率負荷放電ともに放電時間が短い。
各実施例と、比較例1及び比較例2から、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の含有量は、5〜30質量%が好ましいとわかる。
比較例4のセパレータは、溶剤紡糸セルロース繊維のCSF値が上昇に転じたCSF値150mlである。であり、セパレータのイオン抵抗が高くなり、このセパレータを用いたアルカリ電池の放電時間が短くなった。
比較例5のセパレータは、非フィブリル化再生セルロース繊維の含有量が、45質量%であり、セパレータの膨潤率が大きく、アルカリ電池の作製時に注入負極剤量が減少し、このセパレータを用いたアルカリ電池の放電時間が短くなった。
各実施例と、比較例5及び比較例6とから、非フィブリル化再生セルロース繊維の含有量は、10〜40質量%が好ましいとわかる。
比較例7のセパレータを用いたアルカリ電池は、間欠放電の不良が3個発生している。これは、セルロース繊維の合計含有量が75質量%と多く、セパレータのガス発生量が多くなったためと考えられる。
各実施例と、比較例7及び比較例8とから、耐アルカリ性セルロース繊維の合計含有量は、30〜70質量%が好ましいとわかる。
各実施例と、比較例9及び比較例10とから、ビニロン繊維とPVA繊維との合計含有量は、10〜50質量%が好ましいとわかる。
各実施例と、比較例8及び比較例11とから、合成繊維の合計含有量は、20〜50質量%が好ましいとわかる。
比較例14のセパレータは、厚さが50μm、坪量が15.0g/m2である。セパレータの坪量が小さく、密度も低いため、セパレータの緻密性が不足し、最大孔径28.0μm、平均孔径11.8μmと大きくなり、このセパレータを用いたアルカリ電池は、間欠放電の不良が9個発生した。
比較例16のセパレータは、曲げ剛性が低く、電池作製時のセパレータ筒成型の際に不良が発生した。このため、電池評価はおこなっていない。これは、引張強さの縦横比が1.0未満となったためと考えられる。
各実施例、比較例16及び比較例17とから、最大孔径は15〜35μmが好ましく、且つこれらを実現するには、セパレータの引張強さの縦横比は1.0〜2.5とするのが好ましいとわかる。
更に、溶剤紡糸セルロース繊維のCSF値を10〜0ml、上昇に転じたCSF値0〜100mlとすることで、更にアルカリ電池用セパレータとして適度な遮蔽性を有するセパレータとできる。
そして、溶剤紡糸セルロース繊維以外の耐アルカリ性セルロース繊維として非フィブリル化再生セルロース繊維を用いることで、セパレータの保液性を更に向上できる。
Claims (5)
- 少なくとも耐アルカリ性セルロース繊維と、耐アルカリ性合成繊維とを含有し、バインダ成分で結着した湿式不織布であって、
前記湿式不織布の最大孔径が15〜35μm、
平均孔径が1〜10μm、
40質量%KOH水溶液浸漬時の保液率が450〜700%、
40質量%KOH水溶液浸漬時の膨潤率が45〜55%、
であることを特徴とするアルカリ電池用セパレータ。 - 前記耐アルカリ性セルロース繊維が、少なくともフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維と、非フィブリル化セルロースとを含有することを特徴とする、請求項1記載のアルカリ電池用セパレータ。
- 前記耐アルカリ性合成繊維として、非アセタール化ポリビニルアルコール繊維とアセタール化ポリビニルアルコール繊維とを含有することを特徴とする、請求項1乃至請求項2いずれかに記載のアルカリ電池用セパレータ。
- 前記非フィブリル化セルロースが、少なくとも再生セルロース繊維を含有することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレータ。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレータを用いたことを特徴とするアルカリ電池。
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