JP2001155707A - アルカリ電池 - Google Patents
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Abstract
いセパレータを作成し、安全で高性能なアルカリ電池を
提供する。 【解決手段】アルカリ電池において正極合剤と負極ゲル
とを隔離しているセパレータとして、(A)通気度が6
×103 〜1.0×104 [ml/(min・c
m2 )]である不織布を2層以上にしたもの、または
(B)水銀圧入法により測定した全細孔体積が0.8〜
2.0cm2 /gである不織布を2層以上としたものを
用いる。ここで通気度とは、差圧100mmH2 Oの時
に通過する20±2℃,湿度65±2%の空気の量のこ
とである。かかるセパレータを用いれば、放電特性を向
上させ、正極と負極との隔離機能も高いので短寿命発生
を阻止することができる。
Description
し、さらに詳しくはセパレータを改良して放電特性と安
定性,信頼性を向上させたアルカリ電池に関する。
電池のセパレータとしては、セルロース系繊維(マーセ
ル化パルプ,レーヨン等)やポリビニルアルコール系繊
維(PVA,ビニロン等)を主材料とした不織布が用い
られてきた。この不織布を管理、評価する主な物性値と
しては、坪量(g/m2 )と厚さ(μm)がある。坪量
と厚さからその不織布の平均密度が計算でき、平均密度
から電池に組み込まれた時のおよその特性が推測され
る。つまり、不織布の密度が高ければ電池の正極と負極
の隔離の機能は良好になるが、電解液を保持する能力が
劣り、イオンの移動が妨害されるために放電特性は悪く
なる。
保持能力が上がり、また、イオン等も移動し易くなるた
めに放電特性が良くなるが、正極と負極の隔離機能が低
下するために軽負荷放電や間欠放電の途中で、放電生成
物の針状結晶(デンドライト)が成長して内部短絡を起
こし、短寿命になってしまう。そこで、一般的には不織
布の密度は0.28〜0.38(g/cm3 )に規制・
管理して使用してきた。
0.28〜0.38(g/cm3 )に規制・管理して使
用した場合に、放電特性にはそれほどばらつきがない
が、短寿命の発生では不織布の製造ロット毎にばらつく
という現象が見られた。したがって、セパレータについ
ては不織布の密度を管理するだけでは、短寿命発生に対
しての対策、言い換えると正極と負極の隔離機能の基準
にはならないと考えられる。
で、その目的はアルカリ電池のセパレータを改良して放
電特性も隔離機能も高いセパレータとし、安全で高性能
なアルカリ電池を提供することにある。
め、本発明者は、アルカリ電池のセパレータとして、従
来のように不織布の密度ではなく通気度に着目し、その
適性値を検討することによって請求項1に記載した本発
明に至った。またさらに本発明者は、水銀圧入法による
全細孔体積に着目し、その適性値を検討することによっ
て請求項2に記載した本発明に至った。
缶の中に円筒状の正極合剤が充填され、円筒状の正極合
剤の内側にセパレータを介して負極ゲルが充填されてい
るアルカリ電池において、セパレータとして、下記に規
定する通気度、 通気度=差圧100mmH2 Oの時に通過する20±2
℃,湿度65±2%の空気の量 が6×103 〜1.0×104 (ml/min・c
m2 )である不織布を2層以上として用いたことを特徴
とする。
属缶の中に円筒状の正極合剤が充填され、円筒状の正極
合剤の内側にセパレータを介して負極ゲルが充填されて
いるアルカリ電池において、セパレータとして、水銀圧
入法により測定した全細孔体積が0.8〜2.0cm3
/gである不織布を2層以上として用いたことを特徴と
する。
時に単位時間、単位面積を通過する20±2℃,湿度6
5±2%の空気の量(JIS P8111)を、以下
「通気度」と表現する。通気度の測定は、2つの筒状の
器具の間に空気が漏れないように測定対象となる不織布
をセットし、両筒間の差圧は圧力計で、また空気の流量
は流量計で測定するようにして、圧力計で100mmH
2 Oの差圧になるように流量計を調節してその時の流量
を測定することにより行う。測定値を単位時間、単位面
積の値に換算して、通気度を求める。
レータは密度により製品管理が行われていた。不織布の
密度からは、その構成繊維の材質や配合から空隙率が推
測される。空隙率は文字通り隙間、空間の割合であり、
空気の通過し易さの目安となりそうであるが、実際には
空隙率と通気度の相関が低い場合がある。これは、空隙
には大別して表面に開口していない塞がれた空隙と、不
織布表面に対して開かれた空隙があるためと考えられ
る。構成繊維に囲まれて塞がれた空隙は空気が通過でき
ないため有効に働かず、開かれた空隙のみが有効に働
き、空気が通過することになる。これが、密度と通気度
との相関が低い場合の理由と考えられる。
組み込まれた場合にはイオン等が通過するのにも有効に
働くと考えられるので、放電に対しても有効な指標とな
る。つまり、通気度が高い方がイオン等は移動し易く、
放電特性は良くなる。一方、有効な空隙はデンドライト
の生成・成長する場所でもあり、空隙が多すぎる場合に
は短寿命が発生し易くなる。したがって、短寿命の発生
という点では通気度は低い方が好ましい。放電特性と短
寿命発生との両者を勘案して定めた通気度の範囲が、上
記の値6×103 〜1.0×104 (ml/min・c
m2 )である。
は、20±2℃、湿度65±2%に充分放置して安定し
た不織布を、水銀ポロシメーターにセットして行う。測
定器としては、例えば島津製作所製ポロシメーター「ポ
アサイザ9320」などが使用できる。
れた場合には電解液やイオン等が通過するのにも有効に
働くと考えられるので、放電に対しても有効な指標とな
る。つまり、水銀圧入法により測定した全細孔体積が多
い方がイオン等は移動し易く、放電特性は良くなる。一
方、有効な空隙はデンドライトの生成・成長する場所で
もあり、空隙が多すぎる場合には短寿命が発生し易くな
る。したがって、短寿命の発生という点では全細孔体積
は少ない方が好ましい。放電特性と短寿命発生との両者
を勘案して定めた全細孔体積の範囲が、0.8〜2.0
cm3 /gである。
以上としたが、それは次のような理由による。不織布の
厚さと層数は様々な組み合せが考えられるが、不織布の
製造上、ピンホールを無くすことは困難であり、層数が
1層ではピンホールを通して内部短絡を起こす可能性が
非常に高くなる。そこで本発明ではセパレータの層数を
2層以上にして用いる。
不織布では円筒状に作製する時にテンションをかけるの
で切れる可能性が高くなり、200μmより厚い不織布
では巻き込む時の反発力が強くなりすぎて巻き込みにく
くなる。したがって作業性を考えると不織布の厚さは7
0μm〜200μmの範囲が好ましい。
本発明の実施の形態を説明する。 (A)通気度によるもの まず、表1に記載した、マーセル化パルプ,レーヨン,
ビニロンおよびバインダーとしてのポリビニルアルコー
ル(PVA)の各繊維を、表1記載の割合で配合して抄
紙機にて不織布を作製した。表2に示すように、これら
の不織布の密度は同程度であり、通気度を変えている。
通気度を低くする方法は、マーセル化パルプの叩解を進
めて目を詰めること、細繊維径のビニロン繊維を使用す
ることおよびPVA繊維配合量を増やすことで行ない、
表1に示すようにこれらを併用して、実施例1A〜3A
および比較例1A〜2Aの不織布を作製した。得られた
不織布の物性を表2に示す。保液率(g電解液/g不織
布の比率)は通気度とほぼ相関しており、通気度が低く
なると保液率は低下する傾向にあるが、これらの例では
電池作製に必要な量は保液できるレベルとなっている。
て円筒状に3層に巻き、更に円形の底紙を熱融着するこ
とにより有底円筒状のセパレータを作製した。こうして
得られたセパレータを用いて、図1に示すJIS規格L
R6形(単3形)アルカリ電池を組み立てた。
底円筒形の金属缶であり、この金属缶1内には円筒状に
加圧成形した正極合剤2が充填されている。正極合剤2
は、二酸化マンガン粉末とカーボン粉末を混合し、これ
を金属缶1内に収納し所定の圧力で中空円筒状に加圧成
形したものである。また、正極合剤2の中空部には、前
記の有底円筒状のセパレータ3を介して、無汞化亜鉛合
金粉末,アルカリ電解液およびゲル化剤としてのポリア
クリル酸ソーダからなるゲル状亜鉛負極4が充填されて
いる。ゲル状亜鉛負極4内には真鍮製の負極集電棒5
が、その上端部をゲル状負極4より突出するように挿着
されている。負極集電棒5の突出部外周面および金属缶
1の上部内周面には二重環状のポリアミド樹脂からなる
絶縁ガスケット6が配設されている。また、ガスケット
6の二重環状部の間にはリング状の金属板7が配設さ
れ、かつ金属板7には負極端子を兼ねる帽子形の金属封
口板8が集電棒5の頭部に当接するように配設されてい
る。そして、金属缶1の開口縁を内方に屈曲させること
によりガスケット6および金属封口板8で金属缶1内を
密封口している。
池について、2Ω連続放電の放電持続時間(調査数n=
20個の平均値)および1.2kΩ連続放電での短寿命
発生率(調査数n=50個)を調査した。結果を表3に
示す。
い方が優勢であることがわかる。通気度が低いと電池の
内部抵抗(インピーダンス)が高くなり、重負荷放電で
はより電圧降下(IRドロップ)が大きく、放電中の作
動電圧が低くなるために持続時間は短くなると考えられ
る。特に比較例1Aは実施例1Aと比較しても約7%劣
勢で、明らかに悪い。
ると、通気度が最も高い比較例2Aで短寿命が発生して
いる。不織布はフィルム等と比較して目が粗い、つまり
細孔径が明らかに大きく、また、細孔径のばらつきも大
きいために、不織布の部分によって厳密には通気度が異
なる。したがって、短寿命が発生するのは確率の問題で
あり、比較例2Aの通気度レベルになると発生する確率
が急激に高くなるものと考えられる。
積によるもの 表4に記載した、マーセル化パルプ,レーヨン,ビニロ
ン,アラミドおよびバインダーとしてのポリビニルアル
コール(PVA)の各繊維を、表4記載の割合で配合し
て湿式抄紙機にて不織布を作製した。表5に示すよう
に、これらの不織布は密度が同程度で、全細孔体積に変
化がある。全細孔体積を多くする方法は、繊維の叩解度
を上げること、叩解できるアラミド繊維(ポリp−フェ
ニレンテレフタルアミド)を使用すること、より細繊維
径のビニロン繊維を使用することおよびPVA繊維配合
量を減らすことで行ない、表4に示すようにこれらを併
用して、実施例1B〜3Bおよび比較例1B〜2Bの不
織布を作製した。得られた不織布の物性を表5に示す。
保液率(g電解液/g不織布の比率)は全細孔体積とほ
ぼ相関しており、全細孔体積が少なくなると保液率は低
下する傾向にあるが、これらの例では電池作製に必要な
量は保液できるレベルとなっている。
想定して約110μmに調整した。なお、厚さと層数は
様々な組み合わせが考えられるが、70μmより薄い不
織布では円筒状に作成する時にテンションをかけるので
切れる可能性が高くなり、200μmより厚い不織布で
は巻き込む時の反発力が強くなりすぎて巻き込みにくく
なる。したがって作業性を考えると不織布の厚さは70
〜200μmの範囲が好ましい。
の底紙を熱融着して、有底円筒状のセパレータを作成し
た。これらのセパレータを用いて、図1に示すJIS規
格LR6形(単3形)アルカリ電池を組み立てた。
池について、2Ω連続放電の放電持続時間(調査数n=
20個の平均値)および1.2kΩ連続放電での短寿命
発生率(調査数n=50個)を調査した。結果を表6に
示す。
が多い方が優勢であることが分かる。全細孔体積が少な
いと電池の内部抵抗(インピーダンス)が高くなり、重
負荷放電ではより電圧降下(IRドロップ)が大きく、
放電中の作動電圧が低くなるために持続時間は短くなる
と考えられる。特に比較例1Bは実施例1Bと比較して
も約8%劣勢で、明らかに悪い。
ると、全細孔体積が最も多い比較例2Bで短寿命が発生
している。不織布はフィルム等と比較して細孔径が明ら
かに大きく、また部分によって厳密には細孔の分布が異
なっている。したがって、短寿命が発生するのは確率の
問題であり、比較例2程度の全細孔体積レベルになる
と、発生する確率が急激に高くなるものと考えられる。
パレータは、いずれも電解液保持力が高いので放電特性
を良好にし、しかも正極と負極の隔離機能もよいので電
池の短寿命発生を防ぐことができる。したがって本発明
によれば、安定性、信頼性を向上させた安全で高性能な
アルカリ電池を提供することができる。
図。
状負極、5…負極集電棒、6…絶縁ガスケット、7…リ
ング状金属板、8…金属封口板。
Claims (4)
- 【請求項1】 正極端子を兼ねる金属缶の中に円筒状の
正極合剤が充填され、円筒状の正極合剤の内側にセパレ
ータを介して負極ゲルが充填されているアルカリ電池に
おいて、セパレータとして、下記に規定する通気度、 通気度=差圧100mmH2 Oの時に通過する20±2
℃,湿度65±2%の空気の量 が6×103 〜1.0×104 (ml/min・c
m2 )である不織布を2層以上にしたものを用いたこと
を特徴とするアルカリ電池。 - 【請求項2】 正極端子を兼ねる金属缶の中に円筒状の
正極合剤が充填され、円筒状の正極合剤の内側にセパレ
ータを介して負極ゲルが充填されているアルカリ電池に
おいて、セパレータとして、水銀圧入法により測定した
全細孔体積が0.8〜2.0cm3 /gである不織布を
2層以上にしたものを用いたことを特徴とするアルカリ
電池。 - 【請求項3】 不織布の厚さが70〜200μmである
請求項1または2記載のアルカリ電池。 - 【請求項4】 不織布がポリビニルアルコール系繊維、
セルロース系繊維および芳香族ポリアミド系繊維のうち
の少なくとも1種の繊維を含む請求項1または2記載の
アルカリ電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33295199A JP2001155707A (ja) | 1999-11-24 | 1999-11-24 | アルカリ電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP33295199A JP2001155707A (ja) | 1999-11-24 | 1999-11-24 | アルカリ電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001155707A true JP2001155707A (ja) | 2001-06-08 |
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ID=18260643
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP33295199A Pending JP2001155707A (ja) | 1999-11-24 | 1999-11-24 | アルカリ電池 |
Country Status (1)
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