JP6739946B2 - アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池 - Google Patents

アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池 Download PDF

Info

Publication number
JP6739946B2
JP6739946B2 JP2016038282A JP2016038282A JP6739946B2 JP 6739946 B2 JP6739946 B2 JP 6739946B2 JP 2016038282 A JP2016038282 A JP 2016038282A JP 2016038282 A JP2016038282 A JP 2016038282A JP 6739946 B2 JP6739946 B2 JP 6739946B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
separator
mass
dtex
fineness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016038282A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017157348A (ja
Inventor
小川 健太郎
健太郎 小川
直也 川澤
直也 川澤
正寛 黒岩
正寛 黒岩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kodoshi Corp
Original Assignee
Nippon Kodoshi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2016038282A priority Critical patent/JP6739946B2/ja
Application filed by Nippon Kodoshi Corp filed Critical Nippon Kodoshi Corp
Priority to EP17759905.7A priority patent/EP3425698B9/en
Priority to RU2018133826A priority patent/RU2737961C9/ru
Priority to KR1020187027888A priority patent/KR20180129794A/ko
Priority to PCT/JP2017/007458 priority patent/WO2017150439A1/ja
Priority to EP21186996.1A priority patent/EP3952017B1/en
Priority to BR112018067311A priority patent/BR112018067311A2/pt
Priority to CN201780012580.8A priority patent/CN108780865A/zh
Priority to US16/079,741 priority patent/US10804517B2/en
Publication of JP2017157348A publication Critical patent/JP2017157348A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6739946B2 publication Critical patent/JP6739946B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)

Description

本発明はアルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池に関し、例えば、アルカリマンガン電池、酸化銀電池、水銀電池、亜鉛空気電池等の各種アルカリ電池に使用されるアルカリ電池用セパレータ及び該セパレータを使用したアルカリ電池に関するものである。
従来から、アルカリ電池における正極活物質と負極活物質とを隔離するためのセパレータに要求されている特性として、耐久性を有するとともに、起電反応を生ずるために十分な量の電解液を長期間保持し、イオン伝導を妨げないことが挙げられる。
セパレータに要求されている特性を確保するために、特許文献1や特許文献2には、セパレータの平均孔径を制御することにより、電池を組んだ際の内部短絡を防止するアルカリ電池用セパレータが提案されている。
特開2014−26877号公報 特表2005−525675号公報
従来のアルカリ電池用セパレータにおいて、合成繊維とセルロース繊維とを混抄してなるセパレータは、電解液や両極活物質に対する耐久性と電解液の保持性はあるが、セパレータの孔径が大きい場合は、両極活物質の接触による内部短絡や導電性の金属酸化物の針状結晶(デンドライト)による内部短絡を防止する面で遮蔽性が不十分であるという課題があった。
特許文献1及び2には、セパレータの平均孔径に注目した、遮蔽性に優れるセパレータが提案されている。これらのセパレータは、遮蔽性と保液性とのバランスがよく、セパレータとして良好な性能を示すが、近年、更なる遮蔽性向上が要求される場合があった。
本発明は上述した課題を解決することを目的としてなされたもので、係る課題を解決する一手段として、例えば、以下の構成を備える。
即ち、アルカリ電池の正極と負極との間に介在させ、両極の活物質を隔離するために使用するアルカリ電池用セパレータにおいて、少なくとも耐アルカリ性セルロース繊維と、耐アルカリ性合成繊維とを含有し、バインダ成分で結着した湿式不織布であって、該湿式不織布の最大孔径が20〜60μm、平均孔径が1.0〜10.0μm、40質量%KOH浸漬時の保液率が400〜700%、40質量%KOH浸漬時の膨潤率が30〜45%であることを特徴とする。
そして例えば、前記耐アルカリ性セルロース繊維が、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維と、非フィブリル化セルロースとからなることを特徴とする。
また例えば、前記耐アルカリ性合成繊維として、少なくともポリプロピレン繊維を含有したことを特徴とする。
また例えば、前記非フィブリル化セルロースが、少なくとも再生セルロース繊維を含有することを特徴とする。
さらに例えば、上記したいずれかのアルカリ電池用セパレータを使用したことを特徴とするアルカリ電池とする。
本発明によれば、内部短絡の防止に対する信頼性が向上し、更なる遮蔽性向上が実現したアルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池を提供できる。
図1は本発明に係る一発明の実施の形態例にかかるアルカリ電池用セパレータを使用したアルカリ電池の中央縦断面図である。
以下、図面も参照して本発明に係る一発明の実施の形態例を詳細に説明する。
一般的に、平均孔径が小さいセパレータほど遮蔽性が高く、電池に組み込んだ際の短絡に対する信頼性は向上する。
本実施の形態例者は、更に遮蔽性能を向上させることを目的として、種々実験・測定を繰り返した結果、平均孔径を小さくしても一定以上小さくしても遮蔽性が向上しないことを見出した。
これは、以下の理由によると考えられる。
湿式不織布は、原料を水に分散させ、ワイヤ等を用いて水を脱水(濾過)することでシート形成する。湿式不織布の孔は脱水時の繊維の脱落等により発生するため、湿式不織布の製法上、完全に孔をなくすことは困難である。平均孔径を小さくするには、湿式不織布中の繊維を緻密に充填する必要がある。
このため、湿式不織布中の繊維を、抄紙機の流れ方向に配向させ、整列したように紙層を形成させる手法がとられてきた。
しかしながら、このように繊維が整列したように配向した湿式不織布を製造するためには、製造時の抄紙速度を速くする必要があった。そのため、抄紙速度に併せて脱水能力も高くする必要があり、脱水力の向上により発生する孔が大きくなり、結果としてセパレータの遮蔽性が向上しなかったと考えられる。
以上のように、平均孔径を制御しても、最大孔径を小さくするには限界があった。つまり、平均孔径の制御と最大孔径の制御には相関がない事を見いだした。
以上の結果に鑑みて以下に説明する構成を備えることにより、上記課題を解決するセパレータが実現した。
即ち、以下に説明する本実施の形態例は、例えば、金属酸化物のデンドライト等による内部短絡を防止することのできる遮蔽性と放電性能の向上が図れる保液性、膨潤率を同時に充足するセパレータ、具体的には、耐アルカリ性セルロース繊維と、耐アルカリ性合成繊維と、バインダ成分とからなる湿式不織布であって、最大孔径が20〜60μm、平均孔径が1.0〜10.0μm、40質量%KOH浸漬時の保液率が400〜700%、40質量%KOH浸漬時の膨潤率が30〜45%であることを特徴とするアルカリ電池用セパレータを提供する。
上述したように、セパレータの遮蔽性向上のためには、平均孔径のみでなく最大孔径のコントロールも非常に重要である。
本実施の形態例のセパレータの最大孔径は、20.0〜60.0μmである。最大孔径が60.0μmを超過すると、遮蔽性の低いセパレータとなり、電池を組んだ際にショートが発生する。また、最大孔径が20μm未満では、セパレータが緻密になりすぎ、電池を組んだ際の抵抗値が増大してしまう場合がある。
本実施の形態例では、最大孔径のコントロールのために、以下の式1で表される、湿式不織布の引張強さの縦横比を制御した。
式1:不織布の流れ方向(MD)の引張強さ/不織布の流れ方向と直交する方向(CD)の引張強さ
本実施の形態例では、引張強さの縦横比を不織布の配向性の指標として用いる。
一般的に、湿式不織布の製法上、MD方向に繊維が配向しやすく、MD方向の引張強さの方が、CD方向の引張強さと比べると強くなる。
前述したとおり、繊維の配向を強くすると、平均孔径は小さくできるが、最大孔径は制御できない。
本実施の形態例では、引張強さの縦横比を1.0〜2.5の範囲とすることで、最大孔径を20.0〜60.0μmの範囲に制御する。
引張強さの縦横比が1.0未満では、セパレータのMD方向の曲げ剛性に偏りが生じ、電池製造時において、セパレータの加工性が低下する場合がある。
引張強さの縦横比が2.5を超過すると、セパレータの最大孔径を小さくしにくいし、セパレータのCD方向の曲げ剛性に偏りが生じ、電池製造時において、セパレータの加工性が低下する場合がある。
以上のように、引張強さの縦横比は、セパレータの最大孔径のみでなく、電池に用いる際の加工性にも影響を与える重要な指標である。
そして例えば、抄紙時に、原料スラリの流速J(m/min)と抄紙ワイヤの運転速度W(m/min)の比(J/W比)をコントロールすることで上記引張強さの縦横比を実現できる。
更に、本実施の形態例のセパレータは、平均孔径が10μm以下であることを特徴とする。セパレータの平均孔径が10μmより大きいと、デンドライトの成長に対して十分な遮蔽効果が得られず、間欠放電に耐え得る程度の十分な遮蔽性能が得られないため、セパレータの平均孔径は10μm以下であることが好ましい。
一方、平均孔径が1μm未満では、セパレータが緻密になりすぎ、電池を組んだ際の抵抗値が増大してしまう場合がある。
平均孔径の制御には、構成材料が重要となる。次に、抄紙に用いる原料繊維について詳細に記述する。
フィブリル化が可能な再生セルロース繊維は、叩解すると直径1μm以下の非常に細いフィブリルに分割することが可能である。特に、フィブリル化が可能な溶剤紡糸セルロース繊維は、高い結晶化度を有するものであり、その繊維の内部構造は、セルロース結晶部分と非晶部分とからなっており、結晶部分は非晶質を介して互いに接着して繊維を構成している。
この繊維を叩解すると非晶質部分が破壊され、結晶部分が繊維から剥離し直径1μm以下のフィブリルが発生する。このフィブリル化物により構成されたセパレータは非常に緻密な構造となる。またこのフィブリルは、結晶化度が非常に高いセルロースであるため剛性も高く、抄造工程におけるプレスによってもフィブリル自体が偏平に潰れることが少なく円形に近い断面形状を維持し、フィブリル同士は、接触点の交絡及び水素結合により紙層を形成する。したがって、当該フィブリル化物を含有するセパレータは、非常に緻密な紙質となりながらも、イオン流路の冗長が少なくイオン透過性の優れたものとなる。
以下、より詳細に説明する、本実施の形態例に係るセパレータの構成としては、耐アルカリ性セルロース繊維の一部として、フィブリル化が可能な溶剤紡糸セルロース繊維のフィブリル化物を含有することを特徴とする。
溶剤紡糸セルロース繊維にせん断力を加えて処理(叩解)することで、繊維は微細化され、この微細化された繊維から不織布を形成することで、非常に緻密なシートが得られる。
微細化されたセルロース繊維は、合成繊維などと比較して繊維長が短小であり、シートの間隙を埋めやすく、セパレータの遮蔽性を向上させる。
溶剤紡糸セルロース繊維の叩解の程度を表すCSF値(ml)は、叩解すると徐々に低下し、0mlを示す。そしてCSF値が0mlを示した後も更に叩解をおこなうと、CSF値が上昇に転じる。
本実施の形態例に用いるフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維のCSF値は、低下しているCSF値10〜0ml、上昇しているCSF値100ml以下が好ましい。
低下しているCSF値が10mlより大きい場合、当該フィブリル化物によるセパレータの緻密性が十分に得られなくなる。一方、上昇に転じたCSF値が100mlを超過したものは、繊維が微細になりすぎ、電池用セパレータ原料として適さない。
溶剤紡糸セルロース繊維のフィブリル化物の含有率は、セパレータに求める特性に応じて増減することができるが、含有率が5質量%未満では当該フィブリル化物の最大の特徴であるセパレータの緻密性が損なわれ、含有率が30質量%より大きい場合は当該フィブリル化物の過剰配合によりセパレータのイオン透過性が損なわれる傾向にあるため、遮蔽性と電気特性双方を高いレベルで実現するためには5〜30質量%の範囲が望ましい。
該フィブリル化物による緻密性は、主に平均孔径の低減に寄与し、セパレータの遮蔽性を向上させる。
更に、溶剤紡糸セルロース繊維のフィブリル化物に加えて配合する他の耐アルカリ性セルロース繊維としては、非フィブリル化セルロース、即ち銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨンといった非フィブリル化再生セルロース繊維や、マーセル化パルプ、コットンリンターパルプ、溶解パルプといった非フィブリル化セルロースパルプから選択される少なくとも一種以上であり、溶剤紡糸セルロース繊維のフィブリル化物と合わせて、セパレータの30〜70質量%まで含有できる。
なお、耐アルカリ性セルロースパルプも、溶剤紡糸セルロース繊維と同様、叩解により微細なフィブリルが発生し、セパレータの遮蔽性向上に寄与するが、溶剤紡糸セルロース繊維と比べて剛性が低く、溶剤紡糸セルロース繊維よりもセパレータのイオン透過性を低下させやすい事が近年判明してきた。このため、本実施の形態例においては、耐アルカリ性セルロースパルプはフィブリル化していないものを用いる事が好ましい。
耐アルカリ性セルロース繊維の含有率が30質量%未満ではセパレータの保液率が低下し、70質量%を超えると耐アルカリ性セルロース繊維同士の水素結合箇所が増加し、セパレータの緻密性が高くなりすぎ、ひいてはイオン透過性が損なわれることとなる。
本実施の形態例のアルカリ電池用セパレータの40質量%KOH保液率は、400%以上であることが好ましい。40質量%KOH水溶液の保液率が400%未満であると、高率放電特性が悪化するという問題がある。保液率は高いほど好ましいが、実質的にセパレータが保液できる電解液量には上限があり、700%程度が上限になると考えられる。
耐アルカリ性セルロース繊維の含有量を30〜70質量%とすることで、セパレータの保液率を400〜700%とすることができる。
非フィブリル化再生セルロース繊維は、セパレータの保液率を向上させるため、上記耐アルカリ性セルロース繊維の中でも特に好ましい。
非フィブリル化再生セルロース繊維の含有率は、セパレータに求める特性に応じて増減することができるが、含有率が10質量%未満では当該非フィブリル化再生セルロース繊維最大の特徴であるセパレータの保液性が損なわれ、含有率が40質量%より大きい場合は当該非フィブリル化再生セルロース繊維の過剰配合により、電解液中でのセパレータの膨潤が大きくなりすぎる傾向にあるため、保液性と膨潤率とを高いレベルで実現するためには10〜40質量%の範囲が望ましい。
本実施の形態例の質式不織布に使用される耐アルカリ性合成繊維の一部として、ポリプロピレン(以下PPと記載)繊維を用いる事が好ましい。繊維形状を比較すると通常アルカリ電池用のセパレータに使用されるアセタール化ポリビニルアルコール繊維(以下ビニロン繊維と記載)は扁平形状であるのに対し、PP繊維は円形である。ここで、ビニロン繊維よりも繊維径の大きなPPを使用すると、セパレータを嵩高にする事ができ、緻密性を制御できる。
さらに、セパレータとして電池に用いられたとき、PPの疎水性により、セパレータへの電解液の過剰な浸潤を抑制でき、セパレータの膨潤率を小さくできる。結果として、電池を組んだ際電池内でセパレータが占める体積が減少し、負極剤の充填量を増加させられ、アルカリ電池の高容量化も達成できる。このPP繊維は、純粋なPP繊維でなく、変性PP繊維やPP/変性PP複合繊維、PP/ポリエチレン(以下PEと記載)複合繊維といった複合繊維であってもよい。
PP繊維の含有率は、セパレータに求める特性に応じて増減することができるが、含有率が5質量%未満では膨潤率の抑制が困難になり、含有率が20質量%より大きい場合は、セパレータの疎水性が強くなり保液率が減少する。
そして、本実施の形態例のアルカリ電池用セパレータの40質量%KOH膨潤率は、30〜45%が好ましい。
膨潤率が30%未満では、アルカリ電池に用いたときの内部抵抗が増大する。また、膨潤率が45%を超過すると、電池ケース内でセパレータが占める体積が増加し、負極剤の充填量が減少する。
アルカリ電池用セパレータの40質量%KOH膨潤率を30〜45%にする、一実現手段として、耐アルカリ性合成繊維として使用するPP繊維の含有量を、5〜20質量%の範囲とすることがある。
更に、PP繊維に加えて配合する他の耐アルカリ性合成繊維としては、ビニロン繊維、未アセタール化ポリビニルアルコール繊維(以下PVA繊維と記載)、ポリアミド繊維(以下PA繊維と記載)、PE繊維、PA/変性PA複合繊維、PE合成パルプからなる群より選択される少なくとも一種以上であり、PP繊維と合わせて、セパレータの20〜50質量%まで含有できる。
耐アルカリ性合成繊維が20質量%未満であると、アルカリ電解液に含浸したときにセパレータの寸法安定性や筒成形時に底となる部分の熱融着性が損なわれ、50質量%を超えるとセパレータの緻密性が損なわれ、内部短絡が発生しやすくなる。また、セパレータの保液性が低下するため、アルカリ電池の高率放電特性が悪化するという問題がある。
そして、バインダ成分の含有率を、5〜20質量%とすることで、電解液中での寸法安定性に優れ、良好なイオン透過性を示す緻密なセパレータとなる。
バインダ成分としては、60〜90℃の熱水に溶解するPVAバインダ繊維がよく採用されている。
なお、本実施の形態例における耐アルカリ性セルロース繊維と耐アルカリ性合成繊維の耐アルカリ性とは、アルカリ電池に用いた際に、アルカリ電解液による繊維の分解が生じにくいことを指す。
具体的には、70℃の40質量%水酸化カリウム水溶液に8時間浸漬させた後の重量減少率が10%以下であることである。
この重量減少率が10%を超過する繊維を用いたセパレータは、40質量%水酸化カリウム水溶液に溶解する繊維を含有することとなり、電池を組んだ後、電解液により徐々に分解されてガスを発生する。このガスの影響で、電池の内圧が上昇するし、場合によっては液漏れを生じることもある。
本実施の形態例のアルカリ電池用セパレータの厚さは、60〜140μmが好ましい。セパレータの厚さが60μm未満であると、正極と負極との距離が短くなるため内部短絡が発生する可能性が高くなると共にアルカリ電解液の保持量(セパレータのアルカリ電解液保液量)が不足するため高率放電特性が悪化する。セパレータの厚さが140μmを超えると、電極間距離が長くなるため、電池の内部抵抗が高くなる。また、電池ケース内のセパレータ占有体積が増えることとなり、電池に注入する負極活物質量が減少するため、放電容量が減少する可能性がある。
次に、本実施の形態例のアルカリ電池用セパレータの製造方法について説明する。本実施の形態例のセパレータの製造は、以下の工程で行われる。
(1)前述したフィブリル化が可能な溶剤紡糸セルロース繊維を水に分散させ、ビーターあるいはリファイナ等の製紙用叩解機で所定のCSF値まで叩解する。
(2)これに前述した非フィブリル化セルロースパルプの1種あるいは2種以上を混合する。
(3)さらにアルカリ電解液中で寸法安定性に優れる耐アルカリ性合成繊維として、PP繊維と、その他の耐アルカリ性合成繊維の1種あるいは2種以上を混合する。
(4)そして、PVAバインダ繊維などのバインダ成分となる繊維を添加混合して原料とする。
(5)この原料を円網抄紙機や短網抄紙機、長網抄紙機、或いはこれらの組み合わせコンビネーション抄紙機を使用して抄紙する。湿式不織布は、単層であっても複層であってもよく、また、複層の場合も、コンビネーション抄紙機に限らず、円網抄紙機や短網抄紙機、長網抄紙機で抄紙した湿式不織布を単独で製造した後に、複数層を貼り合わせてもよい。
各層の積層組合せとしては、各抄紙機で形成した同じ紙層同士や、別種の抄紙機で形成した層との組合せで可能な二層、または三層等、セパレータの遮蔽性及び保液性を損なわなければ、種々の組合せが可能である。
ここにある傾斜短網抄紙機および長網抄紙機を使用した抄紙方法は、抄紙網の上に送り込む繊維スラリ液の流速を増減させることで、セパレータの縦および横方向の繊維の配向を自在にコントロールすることができ、セパレータの縦および横方向の強度や曲げ剛性等を調整することが可能であり、電池製造時において、セパレータの加工性を考慮した設計が可能となる抄紙法である。
以下、本発明に係る一実施例のアルカリ電池用セパレータ及び該セパレータを使用したアルカリ電池の具体例について詳細に説明する。なお、本実施の形態例および本発明はこれら実施例の記載内容に限定されるものではない。
(試験方法)
実施例、比較例および従来例にかかるセパレータの各測定値は次の方法で測定した。
(1)繊維の耐アルカリ分解試験
70℃の40質量%水酸化カリウム水溶液に繊維を浸漬し、8時間静置する。その後、イオン交換水で洗浄・乾燥した際の質量を測定し、次式で重量減少率を算出し分解率(%)とした。
分解率(%) =(1−分解後質量/分解前質量)×100
(2)CSF(カナダ標準形濾水度、Canadian Standard Freeness)「JIS P8121−2 パルプ−ろ水度試験法−第2部:カナダ標準ろ水度法」に従い測定した。
(3)厚さ
2枚重ねにしたセパレータの厚さを、ダイヤルシックネスゲージGタイプ(測定反力2N、測定子:φ10mm)を用いて均等な間隔で複数箇所測定し、その1/2を1枚当たりの測定箇所の厚さとし、さらに各測定個所の平均値をセパレータの厚さ(μm)とした。
(4)坪量
セパレータの面積と重量を測定し、セパレータ面積(m2)当たりの重量(g)を求めた。
(5)最大孔径、平均孔径
Porous Materials,Inc.製CFP−1200−AEXL−ESAを用いて、ASTM F316−03、JIS K3832に規定された方法で測定した。
試験液としてGALWICK(
Porous Materials,Inc社製)を用いて測定した。
(6)引張強さの縦横比
大きさ15×250mmの試験片を流れ方向(MD)と幅方向(CD)にとり、万能引張試験機またはこれに準ずるものを用い、ツカミの間隔180mm、毎分約200mmの速さで試験片を引張り、その引張り強さを測定し、次式で縦横比を算出した。
縦横比=流れ方向の引っ張り強さ(MD)/幅方向の引っ張り強さ(CD)
(7)保液率
セパレータを50mm×50mmの正方形に切り取り、乾燥後の質量を測定した後、40質量%KOH水溶液に10分間浸漬した。この試験片を45度の角度に傾斜させたガラス板にそのまま貼り付けて3分間固定し、過剰の40質量%KOH水溶液を流下させて取り除き、そのまま保液した試験片の質量を測定し、次式により保液率(%)を算出した。
保液率(%)=(W2−W1)/W1×100
W1=浸漬前の質量
W2=浸漬後の質量
(8)膨潤率
厚さ測定と同様にセパレータを幅(CD)方向にシワのない長さ500mmの試験片を2枚とり、これらのセパレータの粗面側をあわせて重ね、両端が動かないように固定する。その後、40質量%KOH水溶液に30分間浸漬し、浸漬後、紙端から15mm以上内側のところから、おおむね均等な間隔で5箇所の厚さを測定し平均値をとり、さらに重ねた枚数で割って1枚あたりの厚さを求め次式で計算した。なお、測定器は、ダイヤルシックネスゲ−ジGタイプ(測定反力2N、測定子:φ10mm)を用いて測定した。
膨潤率=A2−A1/A1×100
A1=浸漬前平均厚さ
A2=浸漬後平均厚さ
(9)イオン抵抗
40質量%KOH水溶液に浸漬された、約2mmの間隔で並行する白金電極(白金黒付けした直径20mmの円板形状の電極)の間にセパレータを挿入し、この挿入に伴う電極間の電気抵抗の増加をセパレータのイオン抵抗(mΩ)とした。なお、電極間の電気抵抗は1000Hzの周波数でLCRメータを用いて測定した。
(10)水素ガス発生量
市販されているアルカリマンガン電池負極用の亜鉛合金粉末にセパレータ及びKOH電解液(酸化亜鉛を添加)を加え、70℃で10日間放置して発生する水素ガス量(亜鉛1gに対する発生した水素ガスの容積(μl))を測定した。なお、各セパレータの測定にあたり、亜鉛合金粉末:セパレータ:KOH電解液は質量比で1:0.05:1の一定量を取り、特開2008−171767号公報で開示された図2に類似した装置を使用して水素ガス発生量を測定した。
(11)放電試験
A.電池の製作
本実施例および比較例のセパレータを使用して、図1に示す正極缶2、正極合剤3、セパレータ4、ゲル状負極5、負極集電子6、樹脂製封口体7、負極端子板8、樹脂外装材9、で構成されるアルカリマンガン電池1(LR6)を各30個製作した。
図1において、1はアルカリマンガン電池であり、2は有底筒状の正極缶であり、一端部に正極端子2aが形成されている。この正極缶2内には、二酸化マンガンと黒鉛からなる円筒状の正極合剤3が圧入されている。4は筒状に捲回した本実施の形態例のセパレータで、その内部には水銀無添加の亜鉛合金粉末とアルカリ電解液とを混合したゲル状負極5が充填されている。
6は負極集電子、7は正極缶2の開口部を閉塞する樹脂製封口体で、この樹脂製封口体7には、負極端子を兼ねる負極端子板8が負極集電子6の頭部に溶接されている。筒状に捲回したセパレータ4の正極端子側はセパレータ端部を接着あるいは融着して封止し、負極と正極とが接触するのを防止している。9は樹脂外装材であり、正極端子2aと負極端子板8を露出させた状態で正極缶2の外周面に密着して包装されている。
B.放電試験方法
2Ωの負荷で0.9Vの終止電圧までの時間(分)を測定する高率負荷放電試験と、100Ωの負荷で0.9Vの終止電圧までの時間(時間)を測定する軽負荷放電試験を行い、その平均値(サンプル数n=10)を算出した。
間欠放電試験は電池10個をそれぞれ3.9Ωの負荷で5分間/日放電し、50日以内に0.9V以下に低下した電池を不良個数としてカウントした。
以下に、繊維の耐アルカリ分解試験結果を表1として記載する。
Figure 0006739946
なお、表1のCSFの値について、*付きの値は、CSFが0mmに到達した後さらに叩解を進めた結果の値を示している。
表1に示したとおり、溶剤紡糸セルロース繊維、針葉樹溶解パルプ、広葉樹溶解パルプ、コットンリンター、マーセル化針葉樹パルプ、マーセル化広葉樹パルプは、アルカリ分解率が低く、耐アルカリ性セルロース繊維として好ましいことが判る。
また、ポリプロピレン繊維(PP繊維)、ポリエチレン繊維(PE繊維)、PP/PP複合繊維、PP/PE複合繊維、アセタール化ポリビニルアルコール繊維(ビニロン繊維)、未アセタール化ポリビニルアルコール繊維(PVA繊維)、ポリアミド繊維(PA繊維)が、アルカリ分解率が低く、耐アルカリ性合成繊維として好ましい。
上記の耐アルカリ性セルロース繊維と、耐アルカリ性合成繊維とを用いて、以下の各実施例、比較例、従来例のセパレータを作製した。
〔実施例1〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ30質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.5で積層抄紙して、厚さ120.0μm、坪量40.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.6、最大孔径31.0μm、平均孔径7.8μm、膨潤率34%、保液率432%、イオン抵抗13.3mΩ、ガス発生量90μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は143分、100Ω放電時間は245時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例2〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長3mm)5質量%をCSF値で10mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm)30質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(0.8dtex.繊維長5mm)10質量%とPP/変性PP複合繊維(0.8dtex.繊維長5mm)5質量%とビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長2mm)10質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にてJ/W比1.9で抄紙して、厚さ60.0μm、坪量20.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比2.0、最大孔径60.0μm、平均孔径10.0μm、膨潤率40%、保液率608%、イオン抵抗14.0mΩ、ガス発生量96μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は145分、100Ω放電時間は239時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例3〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度3.3dtex.繊維長5mm)30質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値100mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度3.3dtex.繊維長4mm)15質量%と広葉樹溶解パルプ15質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.9で積層抄紙して、厚さ140.0μm、坪量45.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.8、最大孔径25.0μm、平均孔径1.1μm、膨潤率43%、保液率652%、イオン抵抗13.9mΩ、ガス発生量114μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は155分、100Ω放電時間は258時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例4〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)30質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)5質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.4で積層抄紙して、厚さ100.0μm、坪量30.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.5、最大孔径32.0μm、平均孔径4.6μm、膨潤率42%、保液率621%、イオン抵抗13.5mΩ、ガス発生量110μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は141分、100Ω放電時間は244時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例5〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)25質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値50mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度0.8dtex.繊維長3mm)10質量%と針葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)20質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.6で積層抄紙して、厚さ80.0μm、坪量23.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.5、最大孔径31.0μm、平均孔径9.1μm、膨潤率38%、保液率478%、イオン抵抗11.5mΩ、ガス発生量101μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は141分、100Ω放電時間は240時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例6〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長2mm)10質量%をCSF値で1mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度0.8dtex.繊維長3mm)10質量%と広葉樹溶解パルプ20質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPE繊維(繊度3.3dtex.繊維長5mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。この混合原料を長網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比2.1で積層抄紙して、厚さ95.0μm、坪量30.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータは、引張強さの縦横比2.4、最大孔径54.0μm、平均孔径8.3μm、膨潤率40%、保液率597%、イオン抵抗12.4mΩ、ガス発生量94μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は149分、100Ω放電時間は238時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例7〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長5mm)15質量%をCSF値で3mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.7dtex.繊維長3mm)40質量%とマーセル化広葉樹パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm)10質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)5質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比0.7で積層抄紙して、厚さ120.0μm、坪量40.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.6、最大孔径49.0μm、平均孔径5.4μm、膨潤率45%、保液率684%、イオン抵抗12.8mΩ、ガス発生量119μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は142分、100Ω放電時間は241時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例8〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長5mm)10質量%をCSF値で3mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてマーセル化広葉樹パルプ20質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(0.8dtex.繊維長5mm)10質量%とPP/変性PP複合繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)5質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.8で積層抄紙して、厚さ80.0μm、坪量25.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.7、最大孔径45.0μm、平均孔径6.4μm、膨潤率30%、保液率400%、イオン抵抗13.9mΩ、ガス発生量94μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は156分、100Ω放電時間は248時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例9〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値30mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度0.6dtex.繊維長3mm)25質量%とコットンリンターパルプ25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(0.8dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.2で積層抄紙して、厚さ74.0μm、坪量24.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータは、引張強さの縦横比1.4、最大孔径35.0μm、平均孔径4.4μm、膨潤率44%、保液率700%、イオン抵抗12.6mΩ、ガス発生量122μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は149分、100Ω放電時間は246時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例10〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度3.3dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.7dtex.繊維長3mm)15質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)5質量%とPP/変性PE複合繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)5質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を円網/傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比0.5で積層抄紙して、厚さ133.0μm、坪量39.0g/m2の三層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比2.2、最大孔径52.0μm、平均孔径7.7μm、膨潤率37%、保液率469%、イオン抵抗10.9mΩ、ガス発生量91μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は137分、100Ω放電時間は238時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例11〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値50mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ25質量%とコットンリンターパルプ25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP/変性PP複合繊維(繊度2.2dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網抄紙機にてJ/W比1.1で抄紙して、厚さ125.0μm、坪量39.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータは、引張強さの縦横比1.0、最大孔径39.0μm、平均孔径2.6μm、膨潤率38%、保液率485%、イオン抵抗13.1mΩ、ガス発生量89μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は144分、100Ω放電時間は239時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例12〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)10質量%をCSF値0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ20質量%とマーセル化針葉樹パルプ20質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)15質量%とビニロン繊維(繊度0.6dtex.繊維長2mm)10質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、PA繊維10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)5質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.3で積層抄紙して、厚さ95.0μm、坪量26.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.4、最大孔径30.0μm、平均孔径4.3μm、膨潤率35%、保液率453%、イオン抵抗11.6mΩ、ガス発生量91μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は141分、100Ω放電時間は237時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例13〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/傾斜短網コンビネーション抄紙機にてJ/W比0.9で積層抄紙して、厚さ100.0μm、坪量30.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.0、最大孔径23.0μm、平均孔径3.0μm、膨潤率33%、保液率434%、イオン抵抗13.5mΩ、ガス発生量87μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は140分、100Ω放電時間は244時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例14〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)25質量%をCSF値5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ20質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(繊度3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。
この混合原料を円網/傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比2.1で積層抄紙して、厚さ100.0μm、坪量30.0g/m2の三層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比2.5、最大孔径47.0μm、平均孔径9.8μm、膨潤率34%、保液率448%、イオン抵抗10.9mΩ、ガス発生量91μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は139分、100Ω放電時間は242時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例15〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ30質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。
この混合原料を長網/短網抄紙機にてJ/W比1.2で積層抄紙して、厚さ100.0μm、坪量30.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.4、最大孔径20.0μm、平均孔径1.2μm、膨潤率33%、保液率431%、イオン抵抗13.2mΩ、ガス発生量88μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は147分、100Ω放電時間は246時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔実施例16〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%と広葉樹溶解パルプ15質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(繊度0.8dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にてJ/W比1.6で積層抄紙して、厚さ138.0μm、坪量42.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータは、引張強さの縦横比1.8、最大孔径40.0μm、平均孔径5.4μm、膨潤率40%、保液率601%、イオン抵抗13.2mΩ、ガス発生量104μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は143分、100Ω放電時間は240時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔比較例1〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)35質量%をCSF値で10mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ5質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)15質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網抄紙機にてJ/W比0.7で積層抄紙して、厚さ118.0μm、坪量38.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.7、最大孔径18.0μm、平均孔径2.2μm、膨潤率38%、保液率476%、イオン抵抗25.0mΩ、ガス発生量99μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は109分、100Ω放電時間は194時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔比較例2〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)2質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値100mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ28質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%を混合した。
ここの混合原料を長網/短網抄紙機にてJ/W比1.7で積層抄紙して、厚さ58.0μm、坪量18.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.9、最大孔径65.0μm、平均孔径12μm、膨潤率32%、保液率418%、イオン抵抗17.0mΩ、ガス発生量98μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は135分、100Ω放電時間は213時間、間欠放電の不良個数は7個であった。
〔比較例3〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)25質量%をCSF値で5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)30質量%と広葉樹溶解パルプ20質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)5質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比1.5で積層抄紙して、厚さ138.0μm、坪量41.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータは、引張強さの縦横比1.6、最大孔径49.0μm、平均孔径8.3μm、膨潤率47%、保液率697%、イオン抵抗10.8mΩ、ガス発生量141μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は118分、100Ω放電時間は207時間、間欠放電の不良個数は3個であった。
〔比較例4〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)15質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比1.6で積層抄紙して、厚さ97.0μm、坪量32.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.6、最大孔径45.0μm、平均孔径8.0μm、膨潤率28%、保液率377%、イオン抵抗12.2mΩ、ガス発生量94μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は103分、100Ω放電時間は201時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔比較例5〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で2mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%と広葉樹溶解パルプ20質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)3質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)17質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比0.8で積層抄紙して、厚さ104.0μm、坪量35.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.5、最大孔径61.0μm、平均孔径11.4μm、膨潤率45%、保液率612%、イオン抵抗11.3mΩ、ガス発生量93μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は108分、100Ω放電時間は196時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔比較例6〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で2mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)25質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比2.0で抄紙して、厚さ100.0μm、坪量25.0g/m2のセパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比2.2、最大孔径47.0μm、平均孔径7.7μm、膨潤率31%、保液率439%、イオン抵抗13.1mΩ、ガス発生量109μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は126分、100Ω放電時間は222時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔比較例7〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として針葉樹溶解パルプ20質量%と広葉樹溶解パルプ20質量%とマーセル化針葉樹パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比0.8で積層抄紙して、厚さ100.0μm、坪量30.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.6、最大孔径28.0μm、平均孔径7.7μm、膨潤率39%、保液率496%、イオン抵抗14.8mΩ、ガス発生量136μl/gであった。
このセパレータを用いてアルカリ電池を作製しようとしたが、耐アルカリ性合成繊維の配合率が少なく、底となる部分を熱融着で成形しようとした際に融着することが出来なかったため、放電試験は行っていない。
〔比較例8〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で3mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ35質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)7質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)3質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比1.0で抄紙して、厚さ127.0μm、坪量40.0g/m2のセパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.2、最大孔径39.0μm、平均孔径8.3μm、膨潤率41%、保液率511%、イオン抵抗11.5mΩ、ガス発生量90μl/gであった。
このセパレータを用いてアルカリ電池を作製しようとしたがバインダ成分であるPVAバインダ繊維の配合率が少ないため、セパレータ強度が低く、セパレータが破れたため、放電試験は行っていない。
〔比較例9〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で3mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ20質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)15質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)25質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比1.6で積層抄紙して、厚さ94.0μm、坪量27.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.5、最大孔径30.0μm、平均孔径6.3μm、膨潤率27%、保液率388%、イオン抵抗12.4mΩ、ガス発生量91μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は105分、100Ω放電時間は207時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔比較例10〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)10質量%をCSF値で3mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)50質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比1.6で積層抄紙して、厚さ120.0μm、坪量38.0g/m2の二層セパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比1.7、最大孔径51.0μm、平均孔径9.6μm、膨潤率62%、保液率744%、イオン抵抗12.4mΩ、ガス発生量114μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は140分、100Ω放電時間は243時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔比較例11〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値で5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)5質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%と広葉樹溶解パルプ15質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%、PVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。この混合原料を傾斜短網/円網コンビネーション抄紙機にて、J/W比1.6で積層抄紙して、厚さ155.0μm、坪量43.0g/m2の二層セパレータを得た。
このセパレータは、引張強さの縦横比1.8、最大孔径45.0μm、平均孔径7.2μm、膨潤率34%、保液率397%、イオン抵抗14.4mΩ、ガス発生量125μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は121分、100Ω放電時間は216時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔比較例12〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)30質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)5質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比1.0で抄紙して、厚さ105.0μm、坪量31.0g/m2のセパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比0.7、最大孔径19.0μm、平均孔径2.6μm、膨潤率39%、保液率593%、イオン抵抗13.5mΩ、ガス発生量110μl/gであった。このセパレータを用いてアルカリ電池を作製しようとしたがT/Y比が小さすぎるためコシがなく、筒成形時に不良が発生したため、放電試験は行っていない。
〔比較例13〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で5mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)30質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)5質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比3.1で抄紙して、厚さ100.0μm、坪量29.0g/m2のセパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比4.5、最大孔径62.0μm、平均孔径9.8μm、膨潤率38%、保液率589%、イオン抵抗13.1mΩ、ガス発生量108μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は151分、100Ω放電時間は252時間、間欠放電の不良個数は9個であった。
〔比較例14〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値が0mlを示した後も更に叩解し、上昇に転じたCSF値150mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ30質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比1.9で抄紙して、厚さ100.0μm、坪量30.0g/m2のセパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比2.2、最大孔径21.0μm、平均孔径0.9μm、膨潤率35%、保液率457%、イオン抵抗24.0mΩ、ガス発生量97μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は110分、100Ω放電時間は196時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔比較例15〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)15質量%をCSF値で30mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維として広葉樹溶解パルプ30質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%とPVA繊維(繊度1.1dtex.繊維長2mm)10質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比0.5で抄紙して、厚さ100.0μm、坪量30.0g/m2のセパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比2.0、最大孔径48.0μm、平均孔径11.0μm、膨潤率36%、保液率461%、イオン抵抗18.0mΩ、ガス発生量96μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は136分、100Ω放電時間は235分時間、間欠放電の不良個数は5個であった。
〔比較例16〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値で0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)30質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比2.6で抄紙して、厚さ50.0μm、坪量15.0g/m2のセパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比3.1、最大孔径65.0μm、平均孔径12.0μm、膨潤率43%、保液率634%、イオン抵抗17.6mΩ、ガス発生量131μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は124分、100Ω放電時間は233時間、間欠放電の不良個数は9個であった。
〔比較例17〕
溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長4mm)20質量%をCSF値で0mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてビスコースレーヨン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)30質量%と広葉樹溶解パルプ10質量%と耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維(3.3dtex.繊維長5mm)10質量%とビニロン繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)20質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)10質量%を混合した。
この混合原料を傾斜短網抄紙機にて、J/W比1.7で抄紙して、厚さ160.0μm、坪量50.0g/m2のセパレータを得た。このセパレータは、引張強さの縦横比2.0、最大孔径51.0μm、平均孔径8.6μm、膨潤率42%、保液率643%、イオン抵抗24.1mΩ、ガス発生量129μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は105分、100Ω放電時間は188時間、間欠放電の不良個数は0個であった。
〔従来例1〕
国際公開WO第2012/036025号公報(特許文献3)には、セパレータを粗層と密層の少なくとも二層で構成された積層構造にし、粗層を構成する耐アルカリ性セルロース繊維を特定の割合にするとともに、特定のCSF差を有する複数種のセルロース繊維から形成し、耐アルカリ性セルロース繊維全体のCSFを特定の値とすることによって、CSFの高いセルロース繊維により保液性を達成するとともに、CSFの低いセルロース繊維によりセパレータに存在する最大ポアサイズを小さくすることができ、アルカリ電池に必要な保液性を確保しつつ、デンドライトの発生を有効に抑制できるだけでなく、セパレータの耐衝撃性を向上できることが記載されている。
この従来例1のセパレータは、本願出願前公知である国際公開WO第2012/036025号公報の実施例10に記載されたセパレータであり、溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長2mm)15質量%をCSF値で150mlまで叩解した。これに耐アルカリ性セルロース繊維としてCSF値で705mlまで叩解したマーセル化広葉樹パルプ30質量%と耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度0.3dtex.繊維長2mm)40質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合し粗層とした。
一方で、溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex.繊維長2mm)50質量%をCSF値で125mlまで叩解した。これに耐アルカリ性合成繊維としてビニロン繊維(繊度0.3dtex.繊維長2mm)35質量%、バインダ成分としてPVAバインダ繊維(繊度1.1dtex.繊維長3mm)15質量%を混合し密層とした。この2種類の混合原料を円網多層抄紙機にて、J/W比1.7で積層抄紙して、厚さ90.0μm、坪量28.0g/m2のセパレータを得た。
このセパレータは、引張強さの縦横比1.8、最大孔径61.0μm、平均孔径12.0μm、膨潤率38%、保液率512%、イオン抵抗13.4mΩ、ガス発生量127μl/gであった。
このセパレータを用いて作製したアルカリ電池の2Ω放電時間は135分、100Ω放電時間は226時間、間欠放電の不良個数は2個であった。
各実施例、比較例、従来例のセパレータの諸物性、アルカリ電池の評価結果を表2に示す。
Figure 0006739946
以下に、各実施例、比較例、従来例について、詳細に説明する。
各実施例は、引張強さの縦横比1.0〜2.5、最大孔径20.0〜50.0μm、平均孔径1.0〜10.0μmの範囲にある。各実施例の電池試験結果と従来例の電池試験結果とを比較すると、従来例では間欠放電における不良が2個発生しているのに対し、実施例では1個も発生していない。また、各実施例の100Ωでの軽負荷放電時間が、従来例を上回っている。
つまり、本実施の形態例のセパレータは、これまで相反する特性といわれてきた遮蔽性と、放電性能を兼ね備えた良好なセパレータであることがわかる。
比較例1のセパレータは、イオン抵抗が25mΩと高く、このセパレータを用いたアルカリ電池は、従来例と比べ、軽負荷放電、高率負荷放電ともに放電時間が短い。
これは、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の含有量を35質量%としたことで、最大孔径を20μm未満にしたことに起因すると考えられる。

一方、比較例2のセパレータを用いたアルカリ電池は、間欠放電の不良が7個発生している。これは、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の含有量が2質量%と少なく、最大孔径65.0μm、平均孔径12μmと最大孔径、平均孔径ともに大きいことが原因と考えられる。
各実施例と、比較例1及び比較例2から、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維の含有量は、5〜30質量%が好ましいとわかる。
比較例3のセパレータを用いたアルカリ電池は、間欠放電の不良が5個発生している。これは、セルロース繊維の合計含有量が75質量%と多く、セパレータのガス発生量が多くなったためと考えられる。また、セルロース繊維を多く含有するため、セパレータの膨潤率も大きくなっている。
一方、比較例4のセパレータは、セルロース繊維の合計含有量が25質量%と少なく、合成繊維の合計含有量が55質量%と多い。このため、セパレータの保液量が少なくなり、アルカリ電池の放電時間が短くなったと考えられる。
各実施例と、比較例3及び比較例4とから、耐アルカリ性セルロース繊維の合計含有量は、30〜70質量%が好ましいとわかる。
比較例5のセパレータは、PP繊維の含有量が3質量%と少ない。このため、セパレータの膨潤率が45%と大きい。このため、アルカリ電池の作製時に注入できる負極剤量が減少し、このセパレータを用いたアルカリ電池の放電時間が短くなった。
比較例6のセパレータは、PP繊維の含有割合が25質量%と多い。このため、セパレータの疎水性が高くなり、アルカリ電解液保液量が少なくなった結果、アルカリ電池の放電時間が短くなった。
各実施例と、比較例5及び比較例6とから、PP繊維の含有量は、5〜20質量%が好ましいとわかる。
比較例7のセパレータは、合成繊維の合計含有量が15質量%と少なく、電池作製時のセパレータ筒成型の際、筒の底部を熱誘着できなかった。このため、電池試験は実施していない。
各実施例と、比較例4及び比較例7とから、合成繊維の合計含有量は、20〜50質量%が好ましいとわかる。
比較例8のセパレータは、シートの強度が弱く、電池作製時のセパレータ筒成型の際にセパレータが破損した。これはバインダ成分の含有量が3質量%と少ないことが原因である。また、筒成型の際にセパレータが破損したため、電池試験は実施していない。
比較例9のセパレータは、セパレータの保液率が低く、このセパレータを用いたアルカリ電池の放電時間が短くなった。これは、バインダ成分の含有量が25質量%と多いためである。

各実施例と、比較例8及び比較例9とから、バインダ成分の含有量は、5〜20質量%が好ましいとわかる。
比較例10のセパレータは、非フィブリル化再生セルロース繊維の含有量が、50質量%であり、セパレータの膨潤率が大きく、アルカリ電池の作製時に注入負極剤量が減少し、このセパレータを用いたアルカリ電池の放電時間が短くなった。
比較例11のセパレータは、非フィブリル化再生セルロース繊維を含有しておらず、セパレータの保液率が400%未満となった。このセパレータを用いたアルカリ電池の放電時間が短くなった。
各実施例と、比較例10及び比較例11とから、非フィブリル化再生セルロース繊維の含有量が、10〜40質量%であれば、セパレータの保液率400%以上を達成でき、膨潤率も45%以下に抑制できるため、更に好ましいとわかる。
比較例12のセパレータは、曲げ剛性が低く、電池作製時のセパレータ筒成型の際に不良が発生した。このため、電池評価はおこなっていない。これは、引張強さの縦横比が1.0未満となったためと考えられる。
比較例13のセパレータは、最大孔径が55μmと大きい。これは、引張強さの縦横比が4.5であるためと考えられる。このセパレータを用いたアルカリ電池の間欠放電時の不良が7個発生した。
各実施例、比較例10及び比較例13とから、セパレータの最大孔径は20〜60μmが好ましく、引張強さの縦横比1.0〜2.5が好ましいとわかる。
比較例14のセパレータを用いたアルカリ電池は放電時間が短かった。これは、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維のCSF値が、上昇に転じた後の150mlであるため、セパレータの平均孔径が0.9μmと小さくなり、セパレータのイオン抵抗が24mΩと大きくなったことが原因と考えられる。
比較例15のセパレータを用いたアルカリ電池は、間欠放電の不良が5個発生している。これは、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維のCSF値が30mlであるため、セパレータの平均孔径が11μmとなったためと考えられる。
各実施例と、比較例12及び比較例13とから、セパレータの平均孔径は1.0〜10.0μmが好ましく、これらを実現するためには、フィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維のCSF値を10〜0ml、上昇に転じたCSF値0〜100mlとする事が重要とわかる。
比較例16のセパレータは、厚さが50μm、坪量が15.0g/m2である。セパレータの坪量が小さく、密度も低いため、セパレータの緻密性が不足し、最大孔径が65μm、平均孔径が12μmと大きくなり、このセパレータを用いたアルカリ電池は、間欠放電の不良が9個発生した。
比較例17のセパレータは、厚さが160μm、坪量が50.0g/m2である。このため、このセパレータを用いたアルカリ電池の放電時間が短くなった。
従来例1のセパレータを用いたアルカリ電池の作製時に、電解液を含浸させた際、電解液中での各層の伸縮度合いの差に起因すると考えられるセパレータのカールが、円筒の内側方向に発生した。このため、セパレータの円筒内部へのゲル状負極注入工程の作業性が悪かった。
以上説明したように、本実施の形態例によれば、最大孔径を制御した、遮蔽性の高いセパレータを提供できる。
また、引張強さの縦横比を制御することで、アルカリ電池用セパレータとして適度な曲げ剛性を有するセパレータとなり、本実施の形態例のセパレータを用いたアルカリ電池の、内部短絡防止に対する信頼性を向上するとともに、電池製造時のセパレータの加工性も改善できる。
また、本実施の形態例の複層のセパレータは、各層同一の原料で構成しており、セパレータの表裏差がないため、アルカリ電解液に浸漬しても反り(カール)が生じない。
更に、溶剤紡糸セルロース繊維のCSF値を10〜0ml、上昇に転じたCSF値0〜100mlとすることで、更にアルカリ電池用セパレータとして適度な遮蔽性を有するセパレータとできる。
そして、耐アルカリ性合成繊維としてPP繊維を採用することで、良好な保液性を示しながらも膨潤率の低いセパレータが実現でき、電解液の保液性が高く、放電特性の優れたアルカリ電池が得られる。
以上説明したように、本発明に係る一発明の実施の形態例の最大孔径、及び平均孔径は、ASTM F316−03、JIS K3832によるバブルポイント法による最大孔径、及び平均孔径を指す。
アルカリ電池中で生じるデンドライドは、セパレータの空孔中を成長していく。そして、このデンドライドが正極と負極とを電気的に接触させることでアルカリ電池の短絡に至る。
セパレータの平均孔径は、繊維間空隙の大きさであり、一方、最大孔径として計測されるような大きな孔は、湿式不織布の製法上生じるものである。
セパレータの平均孔径を小さくすることで、確かにデンドライドの成長は抑制される。しかし、最大孔径が制御されていない場合、セパレータの平均孔径が小さくても、最大孔径が大きいため、この大きな孔中でデンドライドが成長し、短絡に至る。
本実施の形態例では、湿式不織布に生じる最大孔径と平均孔径とをともに小さくし、セパレータとしてアルカリ電池に用いたときの内部短絡の防止に対する信頼性を向上させられる。
アルカリ電池の放電容量には、負極剤の充填量が重要である。セパレータの膨潤率が大きいと、電池ケース内でセパレータが占める体積が増加し、負極剤の充填量が減少する。
本実施の形態例では、セパレータの膨潤を抑制することにより、電池を製造する際電池内でセパレータが占める体積が減少し、負極剤の充填量を増加させられ、アルカリ電池の高容量化も達成できる。
アルカリ電池の放電時間には、セパレータの電解液保持量が重要である。
本実施の形態例では、セパレータの保液率を向上させることで、電池の長寿命化も達成できる。
さらに、本実施の形態例では、セパレータの膨潤率を制御することで、アルカリ電池の負極剤充填量を増加させることができ、電池の放電容量も増加する。

Claims (4)

  1. 少なくとも耐アルカリ性セルロース繊維と、20〜50質量%の耐アルカリ性合成繊維とを含有し、バインダ成分で決着した湿式不織布であって、
    前記耐アルカリ性合成繊維として、5〜20質量%のポリプロピレン繊維を含有し、
    前記湿式不織布の最大孔径が20〜60μm、
    平均孔径が1〜10μm、
    40質量%KOH水溶液浸漬時の保液率が400〜700%、
    40質量%KOH水溶液浸漬時の膨潤率が30〜45%、
    引張強さの縦横比が1.0〜2.5、厚さ60〜140μmであることを特徴とするアルカリ電池用セパレータ。
  2. 前記耐アルカリ性セルロース繊維が、少なくともフィブリル化溶剤紡糸セルロース繊維と、非フィブリル化セルロースとからなることを特徴とする請求項1記載のアルカリ電池用セパレータ。
  3. 前記非フィブリル化セルロースが、少なくとも再生セルロース繊維を含有することを特徴とする請求項に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに1項に記載のアルカリ電池用セパレータを用いたことを特徴とするアルカリ電池。
JP2016038282A 2016-02-29 2016-02-29 アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池 Active JP6739946B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016038282A JP6739946B2 (ja) 2016-02-29 2016-02-29 アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
RU2018133826A RU2737961C9 (ru) 2016-02-29 2017-02-27 Разделитель для щелочной батареи и щелочная батарея
KR1020187027888A KR20180129794A (ko) 2016-02-29 2017-02-27 알칼리 전지용 세퍼레이터 및 알칼리 전지
PCT/JP2017/007458 WO2017150439A1 (ja) 2016-02-29 2017-02-27 アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
EP17759905.7A EP3425698B9 (en) 2016-02-29 2017-02-27 Alkaline battery separator and alkaline battery
EP21186996.1A EP3952017B1 (en) 2016-02-29 2017-02-27 Alkaline battery separator and alkaline battery
BR112018067311A BR112018067311A2 (pt) 2016-02-29 2017-02-27 separador de pilha alcalina e pilha alcalina
CN201780012580.8A CN108780865A (zh) 2016-02-29 2017-02-27 碱性电池用隔膜以及碱性电池
US16/079,741 US10804517B2 (en) 2016-02-29 2017-02-27 Alkaline battery separator and alkaline battery

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016038282A JP6739946B2 (ja) 2016-02-29 2016-02-29 アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017157348A JP2017157348A (ja) 2017-09-07
JP6739946B2 true JP6739946B2 (ja) 2020-08-12

Family

ID=59810273

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016038282A Active JP6739946B2 (ja) 2016-02-29 2016-02-29 アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6739946B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11811086B2 (en) 2017-09-26 2023-11-07 Swm Luxembourg Sarl Alkaline battery separators having controlled pore size
WO2019131740A1 (ja) 2017-12-27 2019-07-04 古河電気工業株式会社 充電可能電池温度推定装置および充電可能電池温度推定方法
ES2968967T3 (es) * 2018-11-13 2024-05-14 Japan Vilene Co Ltd Tela no tejida y separador para dispositivos electroquímicos
US20230044329A1 (en) * 2019-12-25 2023-02-09 Kuraray Co., Ltd. Separator for electrochemical elements

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0748375B2 (ja) * 1988-10-27 1995-05-24 ニッポン高度紙工業株式会社 アルカリ電池用セパレータ紙
JP2938315B2 (ja) * 1992-06-01 1999-08-23 株式会社クラレ アルカリ電池用セパレーター
JPH11219693A (ja) * 1997-11-26 1999-08-10 Oji Paper Co Ltd 電池用セパレータ
JP3864020B2 (ja) * 1999-09-03 2006-12-27 株式会社クラレ 電池用セパレータ用紙及びその製造方法
JP5032748B2 (ja) * 2005-02-25 2012-09-26 株式会社クラレ アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ一次電池
JP2010232205A (ja) * 2009-03-25 2010-10-14 Tomoegawa Paper Co Ltd 蓄電デバイス用セパレータ
JP6099328B2 (ja) * 2012-07-27 2017-03-22 ニッポン高度紙工業株式会社 アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017157348A (ja) 2017-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6099328B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
WO2017150439A1 (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
JP6069391B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
US9142816B2 (en) Alkaline battery separator and alkaline battery using separator
JP4787473B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ紙及びアルカリ電池
JP6872493B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
JP6674956B2 (ja) 電気化学素子用セパレータおよび電気化学素子
JP6739946B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
JP2014123443A (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
JP6503201B2 (ja) 蓄電デバイス用セパレータ及び該セパレータを用いた蓄電デバイス
JP5191091B2 (ja) リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池
JP6739947B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
KR20180061199A (ko) 전기 화학 소자용 세퍼레이터 및 전기 화학 소자
JPH02119049A (ja) アルカリ電池用セパレータ紙
JP2016170974A (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
JP2010239028A (ja) 蓄電デバイス用セパレータ
JP3310935B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ紙
WO2020195238A1 (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
JP2002279957A (ja) アルカリ電池用セパレータ紙
JP2001155707A (ja) アルカリ電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200324

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200520

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200623

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200722

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6739946

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250