JP2017155259A - 希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法 - Google Patents

希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ボンド磁石の高い磁気特性とともに、優れた耐候性を有する希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法を提供する。【解決手段】有機溶剤を含む溶媒中で希土類元素を含む鉄系合金粉末を粉砕するとともに、該粉砕に際してリン酸化合物を添加し、表面がリン酸塩皮膜で被覆された微粉末を得る第1の工程と、得られた微粉末に対して所定の温度で加熱処理を施す第2の工程と、を有し、第1の工程では、前記粉砕を没食子酸とリン酸を含む有機溶剤中で微粉砕する粉砕処理工程を行う【選択図】なし

Description

本発明は、安定的に高い保磁力を有し、優れた耐候性を示す、希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法に関する。
希土類−鉄−窒素系ボンド磁石は磁気特性の優れた磁石として知られている。この希土類−鉄−窒素系ボンド磁石は、希土類酸化物、鉄、カルシウムを混合して還元拡散処理を行うことにより作製した希土類元素を含む鉄系合金粉末を窒化処理して得られる希土類元素を含む合金粉末を磁石粉末とし、樹脂バインダーに磁石粉末を混合・混錬して製造する。
現在、このボンド磁石は、一般電化製品から、通信機器、音響機器、医療機器、一般産業機器に至る幅広い分野に利用されているが、用いられる機器等の使用環境がさらに厳しきなり、ボンド磁石の高い磁気特性とともに、優れた耐候性をユーザーから要求されている。
これらの要求に対応するために、希土類−鉄−窒素系ボンド磁石の耐候性の改善のために様々な解決法が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、磁石粉末を有機溶媒中で粉砕する際にリン酸を添加して磁石粉を粉砕する方法が提案されている。この磁石粉末を用いてボンド磁石を作製し80℃相対湿度90%環境下で30時間放置後では、減磁率の低下がないが、1000時間の長期保存においては、減磁率の低下が認められる。
また、特許文献2には、平均粒径3μmの磁石粉末にエチルシリケートを添加して処理する方法が提案されているが、未処理の磁石粉末を大気中にさらすことで初期の磁気特性が低下するおそれがある。また、磁石粉末の凝集によりシリケート処理されてない磁石粉末ができるという問題もある。
特開2002−124406号公報 特開2000−309802号公報
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点に鑑み、ボンド磁石の高い磁気特性とともに、優れた耐候性を有する、ボンド磁石用に好適な希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、希土類−鉄−窒素系ボンド磁石の原料である希土類元素を含む鉄系合金の粗粉末を、有機溶剤中にて湿式微粉砕し、得られたスラリーを固液分離して、分離された合金微粉末を150℃以上の温度で加熱処理する希土類元素を含む鉄系合金粉末の製造方法において、微粉砕工程においてに没食子酸とリン酸を含む有機溶剤中に合金粉末を入れて粉砕した希土類元素を含む鉄系合金微粉末をもちいることで希土類−鉄−窒素系ボンド磁石の耐候性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、有機溶剤を含む溶媒中で希土類元素を含む鉄系合金粉末を粉砕する際に、該粉砕時にリン酸化合物を添加し、表面がリン酸塩皮膜で被覆された微粉末を得る第1の工程と、得られた微粉末に対して所定の温度で加熱処理を施す第2の工程と、を有し、第1の工程では、前記粉砕を没食子酸とリン酸を含む有機溶剤中で微粉砕する粉砕処理工程を行う希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明において、没食子酸とリン酸の添加量は、合金粉末に対し没食子酸とリン酸との合計で0.5質量%以上2.0質量%以下である希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法である。
本発明によれば、高い磁気特性を維持したまま、耐候性が優れた希土類−鉄−窒素系ボンド磁石を得ることができる。
従って、本発明によって得られる希土類元素を含む鉄系合金微粉末は、例えば、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器等に至る幅広い分野において極めて有用であるため、その工業的価値は非常に高く、産業の発達に大いに寄与するものである。
以下、本発明の希土類元素を含む鉄系合金微粉末を製造する方法、得られる高磁気特性を有する希土類元素を含む鉄系合金微粉末について詳しく説明する。
<希土類元素を含む鉄系合金粉末の製造方法>
本実施の形態に係る希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法は、先ず、原料とする合金粉末をリン酸化合物の存在下にて粉砕し、粉砕により生じた合金微粉末の表面にリン酸塩による皮膜を形成する第1の工程、粉砕して得られた合金微粉末を乾燥、加熱して表面のリン酸塩による皮膜を定着させる第2の工程と、を有する。
<第1の工程>
第1の工程では、原料である合金粉末を、リン酸化合物を添加した有機溶媒中で粉砕するとともに、粉砕により生じた微粉末の表面にリン酸塩皮膜を被覆する。
原料の希土類−鉄−窒素系合金粗粉末を湿式粉砕する際に、有機溶剤に没食子酸とリン酸を混合して粉砕溶剤とし、該粉砕溶剤中で希土類−鉄−窒素系合金粉末を所定の粒径に微粉砕する。
本発明では、希土類−鉄−窒素系合金粗粉末を所望の粒径にするために、所定量の没食子酸を含むリン酸を添加した有機溶剤中で粉砕する。原料となる希土類−鉄−窒素系合金粗粉末は、希土類元素と鉄を主成分として含む磁石粉末(以下、単に磁石粉末ともいう)であれば特に制限は無い。
希土類元素としては、例えば、Sm、Gd、Tb、およびCeから選ばれる少なくとも1種の元素、あるいは、さらにPr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、およびYbから選ばれる少なくとも1種の元素が含まれるものが好ましい。なお、本発明の希土類元素を含む鉄系合金微粉末の原料としては、酸化し易く高温に弱いネオジムよりも耐候性や熱安定性に優れているサマリウムが好ましい。
希土類元素としてSmが含まれる場合、高い保磁力を得るには、Sm含有量を希土類全体の60重量%以上、好ましくは90質量%以上とするとより高い保磁力が得られる。なお、希土類−鉄−窒素系合金粉末としては、Feの一部をCoで置換した組成の希土類−鉄−コバルト−窒素系合金粉末も挙げられる。
また、希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法には、鋳造法や還元拡散法などがあるが、本発明においては、特に還元拡散法で得られたSm−Fe−N系の合金粉末が適している。
還元拡散法によりSm−Fe−N系の合金粉末を製造するには、まず原料である希土類および鉄に還元剤としてカルシウムを加えてから、不活性ガス雰囲気中において、例えば、900〜1180℃で3〜5時間還元拡散処理を行い、得られた還元拡散物を、不活性ガス雰囲気中で500℃以下に冷却した後、不活性ガスの少なくとも一部を排出してから水素含むガスを供給して該還元拡散物に水素を吸収させ崩壊させる。さらに、この水素を吸収して崩壊した反応生成物を水中に投入した後、酢酸などを加え、撹拌しながら酸化カルシウムを除き、真空中において50〜200℃で数時間乾燥させて希土類−鉄系合金粉末とする。
次に、この希土類−鉄系合金粉末を、例えば、120〜480℃で加熱処理し、さらにアンモニアガス:3〜5L/min、水素ガス:3〜5L/minの条件で280〜400分間アンモニアと水素を含有する混合ガス中で昇温し、350〜500℃で窒化処理することにより、希土類−鉄−窒素系合金粗粉末とすることができる。
この磁石粗粉末を微粉砕するための粉砕装置としては、固体を取り扱う各種の化学工業において広く使用され、種々の材料を所望の程度に粉砕できるものであれば、特に限定されない。その中でも、磁石粉末の組成や粒子径を均一にしやすい点で、媒体攪拌ミルが好適である。
また、本発明においては、上記希土類−鉄−窒素系合金石粗粉末の微粉砕処理で没食子酸を含むリン酸を含む有機溶剤中において微粉砕処理を行うことがとくに重要である。
粉砕に用いる有機溶剤としては、特に制限はなく、2−プロパノール、エタノール、メタノールなどのアルコール類、ペンタン、ヘキサンなどの低級炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなど芳香族類、ケトン類、それらの混合物等が使用できるが、安全性などの観点から特にエタノール、2−プロパノールが好ましい。
没食子酸とリン酸の添加量は、粉砕後の合金微粉末の粒径、表面積等に関係するので一概には言えないが、通常は、粉砕する合金粉末に対して没食子酸の量は0.3質量%以上1.4質量%以下とし、リン酸の量は0.1質量%以上0.6質量%以下とし、両者の合計で0.5質量%以上2.0質量%以下とする。没食子酸とリン酸の添加量の合計が0.5質量未満であると合金微粉末の表面処理が十分に行なわれないために耐候性が改善されず、また大気中で乾燥させると酸化・発熱して磁気特性が極端に低下する。2.0質量を超えると磁気特性の低下が起きる。また、耐候性の向上も見られない。
没食子酸を含むリン酸の添加方法は、特に限定されず、例えば、媒体撹拌ミル等で粉砕するに際し、溶剤の有機溶剤に没食子酸とリン酸を添加する。没食子酸とリン酸は、最終的に所望の濃度になれば良く、粉砕開始前に一度に添加しても粉砕中に徐々に添加しても良いが、粉砕で生じた新生面が直ちに処理されるように、常に溶液中に没食子酸とリン酸を存在させなければならない。好ましくは、粉砕末期に所望の没食子酸とリン酸濃度となるように粉砕溶剤の有機溶剤に没食子酸とリン酸を添加して粉砕する。粉砕装置には不活性ガスを供給して合金微粉末が酸化されにくい雰囲気とすることが望ましい。
上記の方法によれば、合金粉末の粉砕によって凝集粒子に新生面が生じても瞬時に溶剤中の没食子酸を含むリン酸と反応し、有機溶剤中に実質的に酸素が含まれないことと相俟って、粒子表面に安定な没食子酸を含むリン酸皮膜が形成される。また、その後、粉砕された合金粉末がその磁力などによって凝集しても、接触面はすでに安定化されており、解砕により腐食が生じることはない。
粉砕時間は、装置の大きさ、処理すべき合金粉末の粒径や処理量などによって異なり、一概に規定できないが、所定の没食子酸とリン酸濃度の粉砕溶剤内では0.1〜3時間、好ましくは0.1〜2時間とする。
これにより、粉砕後の合金微粉末は、平均粒径を1〜5μm、好ましくは2〜4μmに微粒子化され、その表面が充分な厚さの没食子酸を含むリン酸皮膜で均一に被覆され、安定化される。本発明においては、優れた磁気特性を引き出すために微粉化された合金微粉末自体が没食子酸を含むリン酸皮膜で均一に被覆され、安定化されることが肝要である。
ここで、均一に被覆されるとは、通常は合金微粉末表面の80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上が没食子酸を含むリン酸皮膜で覆われることをいう。合金微粉末表面を保護するために必要な没食子酸を含むリン酸皮膜の厚さは、通常、平均で5〜100nmである。没食子酸を含むリン酸皮膜の平均厚さが5nm未満であると十分な耐候性が得られず、また、100nmを超えると磁気特性が低下すると共にボンド磁石を作製する際の混練性や成形性が低下する。
これに対して、没食子酸を含むリン酸を用いないと、粉砕された希土類−鉄−窒素系合金微粉末を表面処理できず、得られる粉末の粒径が不揃いになったり、あるいは粉末表面に欠陥が生じたりして、高品質の磁石粉末を得ることができない。
また、希土類−鉄−窒素系合金粗粉末の粉砕終了後に没食子酸を含むリン酸等の処理剤を添加しても、粉砕後の磁石粉末は、磁力などによって互いに凝集しているため、合金微粉末の接触面には被膜処理が行われない。こうして得られた合金微粉末は、没食子酸を含むリン酸皮膜の形成が不十分であるため、ボンド磁石時に樹脂バインダーと混練されると、凝集していた合金微粉末が混練による剪断力で一部解砕され、皮膜のない活性な粉末表面が露出する。このため、このような合金微粉末を成形して得られたボンド磁石は、実用上重要な5%塩化ナトリウム溶液環境下で容易に腐食が生じ、磁気特性が低下する。特に、サマリウム−鉄−窒素系合金のような核発生型の保磁力発現機構を示す磁石粉末では、一部にこのような領域が生じると著しく保磁力が低下してしまう。
本発明において、このようにして微粉砕された合金微粉末と没食子酸を含むリン酸及び有機溶剤を含むスラリーは、次いで大部分の液体を除去するために固液分離装置に供給される。このスラリーは、固液分離装置内で処理されて、例えば含液率が5〜30質量%の希土類−鉄系合金微粉末ケーキとなる。
固液分離装置としては、ヌッチェ式ろ過機や遠心ろ過機等のフィルター式ろ過機、デカンタ型遠心分離機を使用できるが、フィルター式ろ過機では、ろ過性に対する粉体性状の影響が大きく、装置パラメータとして含液率を制御しにくい場合がある。また、希土類−鉄系合金微粉末スラリーは、ろ過性が非常に悪いためにフィルターによるろ過に多大な時間がかかり、低含液率とすることが困難なことが多い。これらの事情を考慮して固液分離装置を選択する必要がある。
ここで、得られる合金微粉末ケーキの含液率は、5〜30質量%、好ましくは、10〜30質量%に調整することが望ましい。含液率が30質量%を超えると、次の工程で加熱処理する時に合金微粉末が凝集して塊状になってしまい、別途それらを解砕する処理が必要となる。加えて、加熱処理において処理時間が長くなり、生産効率が低下するので好ましくない。また、含液率が5質量%未満であると、大気中で発火したり、酸化し発熱したりして磁気特性が低下することがある。
(2)第2の工程
第2の工程では、第1の工程にて得られた、所定量の没食子酸を含むリン酸を添加した有機溶剤中で微粉砕され、表面にリン酸塩皮膜が形成された合金微粉末を含むケーキを加熱処理装置に移送し、引き続き、排気しながら、真空に保持して、加熱処理する。
この加熱処理には、ミキサー型乾燥機、処理物静置型の箱型乾燥機などを用いることができる。
本発明においては、上記のようにして真空中又は不活性ガス中、150℃以上の温度範囲で合金微粉末に加熱処理を施すことが好ましく、150〜220℃、特に160〜180℃の温度範囲で加熱処理を施すことが好ましい。150℃未満で加熱処理を施すと、合金微粉末の乾燥が十分進まずに合金微粉末に取り込まれた水素が十分に抜けないため磁気特性が低下し、また、220℃を超える温度で加熱処理を施すと、合金微粉末が熱的なダメージを受けるためか、やはり磁気特性が低下するという問題がある。
この際、処理槽内を1.33×103Pa以下、好ましくは6.66×102Pa以下の真空度に保持することが望ましい。真空度がこれよりも小さいと、磁気特性が低下する場合がある。これは、真空度が小さい場合には加熱処理時間を長くしなければならないので、合金微粉末表面の酸化が進行する影響が大きくなるためと考えられる。
また、加熱処理時間は、装置の大きさ、処理すべき合金微粉末の粒径や処理量などによって異なり、一概に規定できないが、なるべく短いほうが望ましい。例えば容積100リットルの攪拌型乾燥機にて合金微粉末50kgを処理する場合は2時間以内、特に90分間以内とする。加熱処理時間が長くなるほど磁気特性が低下する。ただし、10分よりも短いと安定な没食子酸を含むリン酸皮膜が形成されない場合がある。
≪2. 希土類元素を含む鉄系合金微粉末≫
本実施の形態に係る希土類元素を含む鉄系合金微粉末は、上記の製造方法によって得られ、表面が充分な厚さの没食子酸を含むリン酸皮膜で均一に被覆され、安定化された合金微粉末である。
この合金微粉末は、平均粒径が1〜5μm、好ましくは2〜4μmである。平均粒径が1μm未満では製造コストが高くなり、5μmを超えると磁気特性が低下するので好ましくない。また、表面が充分な厚さの没食子酸を含むリン酸皮膜で均一に被覆され、安定化されている
≪3.ボンド磁石用組成物≫
ボンド磁石用組成物は、上記のようにして得られた希土類元素を含む鉄系合金微粉末を樹脂バインダーと混合して得られる希土類−鉄系ボンド磁石用組成物である。
樹脂バインダーは、特に限定されることはなく、各種熱可塑性樹脂単体または混合物、あるいは各種熱硬化性樹脂単体あるいは混合物であり、それぞれの物性、性状等も所望の特性が得られる範囲でよく特に限定されることはない。
熱可塑性樹脂は、磁石粉末のバインダーとして働くものであれば、特に制限なく、従来公知のものを使用できる。その具体例としては、6ナイロン、6−6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、6−12ナイロン、芳香族系ナイロン、これらの分子を一部変性した変性ナイロン等のポリアミド樹脂、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂、架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、セミ架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、メタクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリルエーテルアリルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂、前出各樹脂系エラストマー等が挙げられ、これらの単重合体や他種モノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、他の物質での末端基変性品等が挙げられる。これら熱可塑性樹脂の溶融粘度や分子量は、得られるボンド磁石に所望の機械的強度が得られる範囲で低い方が望ましい。また、熱可塑性樹脂の形状は、パウダー状、ビーズ状、ペレット状等、特に限定されないが、磁石粉末と均一に混合される点で、パウダー状が望ましい。
熱可塑性樹脂の配合量は、磁石粉末100質量部に対して、通常5〜50質量部、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは5〜15質量部である。熱可塑性樹脂の配合量が5質量部未満であると、組成物の混練抵抗(トルク)が大きくなり、流動性が低下して磁石の成形が困難となり、一方、50質量部を超えると、所望の磁気特性が得られない。本発明の目的を損なわない範囲で、ボンド磁石用組成物の加熱流動性等を向上させるために、各種カップリング剤、滑剤や種々の安定剤等を配合することができる。
一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、ラジカル重合反応性を有する不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂及びポリエステル(メタ)アクリレート樹脂などの樹脂が挙げられる。このほかに、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂を使用できる。これらの中でも、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂が好ましい。また、重合度や分子量に制約されないが、150℃以下の温度では液状であり、25℃における粘度が5000mPa・s以下である樹脂が成形性の面から好適である。
≪4.ボンド磁石≫
本実施の形態に係るボンド磁石は、上記の希土類−鉄−窒素系ボンド磁石用組成物を射出成形法、押出成形法、又は熱間圧縮成形法のいずれかにより成形してなるものである。これらの中では、特に射出成形法、熱間圧縮成形法が好ましい。なお、射出成形法には、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、トランスファー成形法等の各種成形法が含まれる。また、成形時に磁場を印加することで異方性のボンド磁石を製造することができる。
上記のボンド磁石用組成物が熱可塑性樹脂を樹脂バインダーとする場合、樹脂の溶融温度で加熱溶融した後、所望の形状を有する磁石に成形する。射出成形法では、熱可塑性樹脂と磁石合金粉末を含む組成物を250℃以上の温度で溶融し、金型のキャビティー内に供給し、その後、冷却して成形体を取り出す。この場合、樹脂バインダーとしては、前記のとおり、例えば、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、液晶樹脂、ポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂が使用可能である。また、熱硬化性樹脂と磁石合金粉末を含む組成物を用いる場合は、流動性のある状態で組成物を金型のキャビティー内に供給し、その後、樹脂の熱硬化温度以上に加熱し、得られた成形体を常温で取り出す。
射出成形法においては、一般に、表面被膜を付与しない希土類元素を含む鉄系合金微粉末を使用した場合、合金微粉末と特定の樹脂バインダーとを混練して射出成形する際に混練トルクが高くなり、成形が困難となることがあるが、本発明の希土類元素を含む鉄系磁石粉末を使用した場合は、問題なく成形することができる。そして、本発明においては、優れた磁気特性を引き出すために微粉化された磁石粉末自体が没食子酸を含むリン酸皮膜で均一に被覆され、安定化されているためである。
樹脂バインダーは、各構成成分を含めた状態で、磁石粉末100質量部に対して、2〜50質量部の割合で添加されるが、3〜20質量部、さらには10〜15質量部添加することが好ましい。樹脂バインダーの添加量が磁石粉末100質量部に対して2質量部未満の場合は、著しい成形体強度の低下や成形時の流動性の低下を招く。また、50質量部を超えると、所望の磁気特性が得られない。
また、圧縮成形法により成形を行う場合には、溶剤等で液状化した熱硬化性樹脂を本発明の磁石合金粉末と攪拌しながら混合して得られるボンド磁石用組成物を用いる。樹脂バインダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂等ほか、不飽和ポリエステルやビニルエステルなども使用可能である。樹脂バインダーの使用量は、本発明の希土類元素を含む鉄系粉末に対して、通常、0.5〜15質量%であり、好ましくは、0.7〜10質量%である。樹脂バインダーが多すぎると、得られるボンド磁石の磁気特性が不満足なものとなり、また、少なすぎるとボンド磁石の強度が不満足なものとなる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例や比較例に用いた希土類元素を含む鉄系合金粉の評価方法は、以下の通りである。
[保磁力評価]
得られた合金粉末試料に5%塩化ナトリウム溶液を噴霧して25℃、90%の恒温恒湿環境下に24時間放置する放置した後に、合金粉末試料の錆発生を目視による観察し、また保磁力を振動試料磁力計にて常温で測定した。
(実施例1)
酸化サマリウム粉末1976g、鉄粉4221g、カルシウム801.5gを混合して1150℃で270分間還元拡散処理を行い、さらに水素気流中で室温、20時間保持して還元拡散物を得た。その後、還元拡散物を水中に入れ、酢酸を加えて4質量%酢酸溶液とした後、撹拌しながら酸化カルシウムを除去し、Sm−Fe系合金粉末を得た。
次に、得られたSm−Fe系合金粉末を450℃において、アンモニアガス4.7L/min、水素ガス9.3L/minの混合ガスを用いた条件で350分間窒化処理した。
得られたSm−Fe−N系合金粉末(平均粒径20μm)を、エタノールと磁石粉末に対して没食子酸0.7質量%とリン酸0.3質量%を含む溶液中に入れてスラリー化し、媒体撹拌ミルを用いて微粉砕を行った。
次に、粉砕後の磁石粉末を含んだスラリーをろ過装置に移送して固液分離し、含液率を15質量%に調整した。その後、脱液された磁石粉末ケーキを乾燥装置に供給し、1.33×103Pa以下の真空度に保持し、160〜180℃で2時間乾燥させてSm−Fe−N系の合金粉末を作製した。
得られたSm−Fe−N系の合金粉末の耐候性を上記の評価方法で評価した。錆の発生はなく、保磁力は24時間放置前は727kA/mであり、24時間放置後は710kA/mであり、高い磁気特性を維持しており、耐候性に優れていた。
(実施例2〜3)
実施例2は没食子酸の添加量を0.3質量%、リン酸の添加量を0.2質量%とし、実施例3は没食子酸の添加量を1.4質量%、リン酸の添加量を0.5質量%に変化させた以外は、実施例1と同様な方法で、Sm−Fe−N系の合金粉末を作製した。
得られた磁石粉の耐候性を実施例1と同様に評価を行った。実施例2,3ともに錆の発生はなく、実施例2は保磁力は24時間放置前は707kA/mであり、24時間放置後は693kA/mであり、実施例3は保磁力は24時間放置前は728kA/mであり、24時間放置後は715kA/mであり、高い磁気特性を維持しており、いずれも耐候性に優れていた。
(比較例1)
没食子酸とリン酸とを添加しないでエタノールだけで粉砕したSm−Fe−N系の合金粉末を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、Sm−Fe−N系の合金粉末を作製した。
(比較例2,3)
比較例2は、没食子酸の添加量を0.2質量%、リン酸の添加量を0.1質量%とし、比較例3は、没食子酸の添加量を1.5質量%、リン酸の添加量を0.7質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、Sm−Fe−N系の合金粉末を作製した。
得られたSm−Fe−N系の合金粉末試料の耐候性を実施例と同様の評価方法で評価した。比較例3は錆の発生はなかったが、比較例1と2は錆が発生していた。また、比較例1では、24時間放置前は832kA/mであったが、24時間放置後は102kA/mと大きく低下してしまった。比較例2では、24時間放置前は750kA/mであったが、24時間放置後は205kA/mと大きく低下してしまった。比較例3では、保磁力は24時間放置前は654kA/mであり、24時間放置後は632kA/mであり、24時間放置後の低下は少ないが、放置前から磁気特性が低かった。

Claims (2)

  1. 有機溶剤を含む溶媒中で希土類元素を含む鉄系合金粉末を粉砕する際に、該粉砕時にリン酸化合物を添加し、表面がリン酸塩皮膜で被覆された微粉末を得る第1の工程と、得られた微粉末に対して所定の温度で加熱処理を施す第2の工程と、を有し、
    第1の工程では、前記粉砕を没食子酸とリン酸を含む有機溶剤中で微粉砕する粉砕処理工程を行うことを特徴とする
    希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法。
  2. 前記没食子酸とリン酸の添加量は、合金粉末に対し没食子酸とリン酸との合計で0.5質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする
    請求項1に記載の希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法。
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