以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一例について図1ないし図3を参照して説明する。図1は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、図2は同じくヘッド本体部の外観斜視説明図、図3は同じくケーブルユニットの外観斜視説明図である。
液体吐出ヘッド100は、ヘッド本体部1と、ヘッド本体部1に着脱可能に装着されるケーブルユニット2とを備えている。
ヘッド本体部1は、液体を吐出するノズル、ノズルが通じる個別液室、個別液室内の液体を加圧する圧力を発生する圧力発生手段、個別液室に液体を供給する共通液室などを含む吐出部3を備えている。
そして、吐出部3に液体を供給する液体供給経路部材などの外周を覆うカバー部材4を備えている。カバー部材4は、液体吐出ヘッド100の取り付けや交換時に供給チューブを抜き差しするとき、供給チューブ内部の液体が飛散しても、内部に液体が侵入しないようにヘッド本体部1を覆っているものである。
この液体吐出ヘッド100を液体吐出方向が下方向になる姿勢(以下の説明における「上」、「下」はこの姿勢を前提とする。)にしたとき、カバー部材4の上部には、ヘッド側コネクタ5が露出して配置されている。
ヘッド本体部1のヘッド側コネクタ5には、装置本体側の制御部などに接続されるケーブルユニット2が着脱可能に接続される。これにより、液体吐出ヘッド100と装置本体側の制御部とが接続される。なお、ケーブルユニット2は、液体吐出ヘッド100が搭載されるキャリッジ上の中継基板に接続されるものでもよい。
ケーブルユニット2は、フレキシブル配線部材などの配線部材8と、配線部材8の一端部に接続された配線部材側コネクタ6と、他端部に接続された配線部材側コネクタ7とを備えている。ここで、配線部材側コネクタ6は、配線部材8に設けられ、ヘッド本体部1と配線部材8を接続する接続部である。
そして、配線部材側コネクタ6側には、ヘッド本体部1と配線部材側コネクタ6を覆う保護部材であるカバー部材9を備えている。この場合、カバー部材9は、ヘッド本体部1に嵌め込まれて、配線部材側コネクタ6をヘッド側コネクタ5に接続することで構成される電気的接続部全体を覆っている。なお、配線部材側コネクタ7は装置本体側に接続される。
次に、本発明の第1実施形態について図4及び図5を参照して説明する。図4は同実施形態における電気的接続部周りの要部断面説明図、図5は図4の要部拡大図である。
ヘッド本体部1のカバー部材4及びケーブルユニット2のカバー部材9には、互いに嵌め合う嵌め合い部41、91が設けられている。カバー部材9の嵌め合い方向(矢印A方向)の先端部(以下、「対向部」という。)92は、カバー部材4の段差部(以下「対向部」という。)42に対向している。
なお、ここでは、カバー部材4の嵌め合い部41が内周側、カバー部材9の嵌め合い部91が外周側になる構成としているが、逆の関係の構成とすることもできる。
ここで、カバー部材9の対向部92とカバー部材4の対向部42とは、互いに当たって接触していることが好ましいが、接触していなくともよい。
そして、カバー部材4の嵌め合い部41の外周面側には凹部44が設けられ、カバー部材9の嵌め合い部91の内周面には切欠部94が設けられて、嵌め合い部41、91間の隙間の間隔を部分的に広くした空間50が形成されている。なお、嵌め合い部41の凹部44は嵌め合い部41の周方向では全周にわたって設けられている。同様に、嵌め合い部91の切欠部94も周方向では全周にわたって設けられている。
また、カバー部材4の嵌め合い部41の外周面には凹部44に連続して係合部である係合凹部45が設けられ、カバー部材9には係合凹部45に嵌まり込む係合部である爪部(係合凸部)95が設けられている。爪部95が係合凹部45に嵌まり込むことで、嵌め合い方向と反対方向へのカバー部材9の移動が段差部45aで規制され、カバー部材9の緩みや脱落が防止される。
次に、本実施形態の作用に比較例とともに図6ないし図8も参照して説明する。図6は本実施形態の作用説明に供する要部拡大断面説明図、図7は比較例の要部断面説明図、図8は同比較例の説明に供する図7の要部拡大図である。
まず、比較例にあっては、カバー部材4の嵌め合い部41の外周面及びカバー部材9の嵌め合い部91の内周面に、本実施形態の凹部44、切欠部94を設けていない構成である。ここでは、嵌め合い部41の外周面と嵌め合い部91の内周面との間には隙間150が形成されている。
この比較例の構成(構造)にあっては、カバー部材9をカバー部材4に嵌め合わせたとき、嵌め合い部91の先端部92とカバー部材4の段差面41との間(B部)に、部品表面の凹凸や寸法公差によって隙間が生じる。
そのため、動作中のミストやメンテナンス時の液体の取扱いによって、液体がB部付近のカバー部材4,9の周面などに付着した場合、B部に僅かの隙間があることで、矢印200で示すように、毛細管現象によって隙間からカバー部材9内に侵入する。
そして、カバー部材9内に侵入した液体は、嵌め合い部41の外周面と嵌め合い部91の内周面との間の隙間150(C部)の領域でも、毛細管現象によって、矢印201で示すように、更に内部へ侵入する。その結果、ヘッド側コネクタ5に到達して電気的不良を発生させることがある。
ここで、カバー部材4の嵌め合い部41とカバー部材9の嵌め合い部91との隙間150を単に広げるだけでは、がたつきが発生して、動作中の振動等でカバー部材9が動いて外れてしまうことがある。また、カバー部材4の嵌め合い部41とカバー部材9の嵌め合い部91との隙間が狭いことで、カバー部材9を装着するだけで、配線部材側コネクタ6をヘッド側コネクタ5に位置合わせして差し込むことができる。しかしながら、カバー部材4の嵌め合い部41とカバー部材9の嵌め合い部91との隙間が広くなると、位置合わせにずれが生じて、コネクタ6の誤挿入が生じるおそれがある。
この場合、カバー部材4の嵌め合い部41とカバー部材9の嵌め合い部91との隙間150をパッキン等の封止部材で封止することもできる。しかし、使用する液体に対して耐性のある封止部材を使用しなければならず、液体が変更されると封止部材も変更しなければならないなどの不都合が生じる。
これに対し、本実施形態では、図6に示すように、カバー部材4の嵌め合い部41とカバー部材9の嵌め合い部91にそれぞれ凹部44及び切欠部94を設けることで、対向部42、92間に生じる隙間よりも間隔の広い空間50を部分的に設けている。
したがって、対向部42、92間に生じる隙間から毛細管現象によって内部に侵入する液体300は空間50内に侵入する。この空間50は対向部42、92間に生じる隙間よりも間隔が広いことで、対向部42、92間に生じる隙間よりは毛細管力が小さくなり、空間50に侵入した液体がそれ以上に内部に向かって侵入することが低減され、空間50内に液体300が留められる。
つまり、毛細管現象では液体の表面張力や密度といった液体の物性と管の径(嵌め合い部41、91間の間隔)等で液体の移動量が定まる。したがって、図6に示すように、空間50を対向部42,92間の隙間よりも広くすることで、侵入した液体の上昇量h1を抑えることができる。そこで、空間50の高さh0を侵入した液体の最大上昇量よりも高くすることで、空間50内に液体を留めることができる。
これにより、ヘッド本体部の電気的接続部に液体が侵入することを抑制できる。
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照して説明する。図9は同実施形態における電気的接続部周りの要部断面説明図である。
本実施形態では、カバー部材4の嵌め合い部41に凹部44を設けることで、嵌め合い部41、91間の隙間の間隔を部分的に広くした空間50を設けている。
この場合、前記第1実施形態よりも空間50におけるカバー部材4の嵌め合い部41とカバー部材9の嵌め合い部91の間隔は狭くなるが、対向部42、92間に生じる隙間よりも広いことで、空間50内に液体を留めることができる。
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態における電気的接続部周りの要部断面説明図である。
本実施形態では、カバー部材9の嵌め合い部91に切欠部94を設けることで、嵌め合い部41、91間の隙間の間隔を部分的に広くした空間50を設けている。より具体的には、係合凹部45に段差Xを設けている。
この場合、前記第1実施形態よりも空間50におけるカバー部材4の嵌め合い部41とカバー部材9の嵌め合い部91の間隔は狭くなるが、対向部42、92間に生じる隙間よりも広いことで、空間50内に液体を留めることができる。
また段差Xにより、第1実施形態と比較して空間50がヘッドの外側方面に位置し、ヘッド内部との距離が遠くなるため、液体300のヘッド内部への侵入をより低減できる。
次に、本発明の第4実施形態について図11及び図12を参照して説明する。図11は同実施形態における電気的接続部周りの要部断面説明図、図12は同実施形態におけるカバー部材の分解斜視説明図である。
なお、以下の実施形態においては、基礎出願時の「中継ケーブル10」は「ケーブルユニット2」に、同様に、「FPC11」は「配線部材8」に、「ヘッド側コネクタ12」は「配線部材側コネクタ6」に、「ヘッドコネクタ部438」は「ヘッド側コネクタ5」に、「囲い壁438a」は「嵌め合い部41」に、「液体吐出ユニット430A」は「ヘッド本体部1」に、「液体吐出ヘッド434」は「吐出部3」に、「カバー部材13」は「カバー部材9」にそれぞれ名称及び符号を変更しており、本願ではすべて後者の名称及び符号を使用する。
本実施形態では、液体を吐出するヘッド本体部1と、ヘッド本体部1に信号を伝達する配線部材8と、配線部材8に設けられ、ヘッド本体部1と配線部材8を接続する接続部である配線部材側コネクタ6と、ヘッド本体部1と配線部材側コネクタ6を覆う保護部材であるカバー部材9とを備えている。
そして、ヘッド本体部1の嵌め合い部41及びケーブルユニット2のカバー部材9には、互いに嵌め合う嵌め合い部41、91が設けられている。カバー部材9の嵌め合い方向(矢印A方向)の先端部(対向部)92は、嵌め合い部41の段差部(対向部)42に対向している。
なお、ここでは、ヘッド本体部1の嵌め合い部41が内周側、カバー部材9の嵌め合い部91が外周側になる構成としているが、逆の関係の構成とすることもできる。
ここで、カバー部材9の対向部92と嵌め合い部41の対向部42とは、互いに当たって接触していることが好ましい。
そして、嵌め合い部41、91の嵌め合い方向(矢印A方向に沿う方向)において、配線部材側コネクタ6とヘッド側コネクタ5との接続部56が、保護部材であるカバー部材9の嵌め合い部91の先端部(対向部92)によりも距離Gだけ後方(上方)に位置するようにしている。
ここで、カバー部材9は、図12に示すように、2つのカバー部材部品9a,9bを互いに嵌め合わせ、ネジ9cによって固定することで組み立てられる。このとき、図11に示すように、配線部材側コネクタ6に固定されているコネクタ支持板6aが2つのカバー部材部品9a,9bによって挟み込まれて支持される。
ただし、各部品の公差や組立誤差を考慮し、配線部材側コネクタ6がカバー部材9に対して変位が可能なように、所定の遊びをもってコネクタ支持板6aがカバー部材9に支持されている。したがって、各部品の公差や組立誤差があっても、カバー部材9に対して配線部材側コネクタ6が変位して、配線部材側コネクタ6とヘッド側コネクタ5とを適切に接続することができ、あるいは、適切に接続されるようにカバー部材9へ配線部材側コネクタ6を組み付けることができる。
また、カバー部材9の内部への異物混入を防止するために、カバー部材9の内部から配線部材8を延出させるためのケーブル用開口9dと配線部材8との隙間を密閉材である接着剤9eで密閉している。
本実施形態では、ケーブルユニット2のカバー部材9の嵌め合い部91をヘッド本体部1のカバー部材4の嵌め合い部41に対して押し込むようにして嵌め込む。これに伴って、カバー部材9に保持されている配線部材側コネクタ6がヘッド側コネクタ5に押し込まれて嵌め合わされる。本実施形態においては、カバー部材9の嵌め合い91とカバー部材4の嵌め合い部41との嵌合力と、配線部材側コネクタ6とヘッド側コネクタ5との嵌合力とによって、配線部材側コネクタ6とヘッド側コネクタ5との接続が維持される。
ここで、上述したように、嵌め合い部91を嵌め合い部41に嵌め込むときの嵌め合い方向(矢印A方向)において、配線部材側コネクタ6とヘッド側コネクタ5との接続部56は、カバー部材9の嵌め合い部91の先端部よりも後方(上方)に位置する構成としている。
さらに、接続部56は配線部材側コネクタ6の上端部よりも距離Kだけ上方に位置する。
これにより、嵌め合い部41、91の各対向部42、92間から内部に液体が侵入した場合、侵入した液体が接続部56まで到達しにくくなる。
次に、本発明の第5実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態における電気的接続部周りの要部断面説明図である。
本実施形態でも、配線部材8のカバー部材9をヘッド本体部1の嵌め合い部41に対して押し込むようにして嵌め込むと、これに伴って、カバー部材9に保持されている配線部材側コネクタ6がヘッド側コネクタ5に押し込まれて嵌め合わされる。
そして、カバー部材9と嵌め合い部41との嵌合力と、配線部材側コネクタ6とヘッド側コネクタ5との嵌合力とによって、配線部材側コネクタ6とヘッド側コネクタ5との接続が維持される。
ここで、カバー部材9に対して配線部材側コネクタ6が変位可能に構成されていると、ヘッド本体部1のヘッド側コネクタ5に対して配線部材側コネクタ6を着脱する際に生じる押圧力や引張力によって、配線部材側コネクタ6に接続される配線部材8あるいはヘッド側コネクタ5が接続されているヘッド本体部1などに大きな負荷が加わる。
例えば、前記第4実施形態のように、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aが真っ直ぐに配置される構成では、配線部材側コネクタ6の着脱時の押圧力や引張力が配線部材部分8aに伝わるとき、これを十分に逃がすことができず、配線部材8やヘッド本体部1などに大きな負荷が加わってしまうことがある。
そして、前述した第4実施形態で説明したように、カバー部材9の内部への異物混入を防止するために、カバー部材9の内部から配線部材8を延出させるためのケーブル用開口9dと配線部材8との隙間を密閉材である接着剤9eで密閉している。
そのため、配線部材部分8aに伝わった押圧力や引張力は、配線部材部分8aの僅かな延び縮みで僅かに逃がすことができても、十分に逃がすことはできないことがある。また、カバー部材9については、その設置スペース(占有スペース)の制限等の制約から、小型であることが要望されるため、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aの長さを十分に確保することも難しい。そのため、配線部材部分8aの延び縮みだけで押圧力や引張力を十分に逃がすことは困難である。
この場合、配線部材側コネクタ6の着脱時の押圧力や引張力の負荷を逃がす方法としては、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aに屈曲箇所を設けるという方法が有効である。
これによれば、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aの長さを確保しやすく、配線部材側コネクタ6の着脱時の押圧力や引張力が生じたときに、より多くの力を配線部材部分8aの延び縮みで逃がすことが可能となる。また、屈曲箇所を設けることで、配線部材側コネクタ6の着脱時の押圧力や引張力を、その屈曲箇所の動きによって逃がすことができる。
ここで、特許文献2に記載のケーブルのように、カバー部材の内部に位置する配線部材部分を折り畳んだ状態にする構成では、その折り畳まれた状態の配線部材を収容するための空間をカバー部材の内部に設ける必要がある。このとき、断線などを考慮すると配線部材を急激に折り曲げることは避けるべきである。そのため、特許文献2に記載の構成(すなわち、屈曲箇所の屈曲角度が180°である構成)では、FPCの重なり方向に、FPCの厚み分よりも十分に広い空間を確保する必要であり、また、FPCの重なり方向に対して直交する方向(FPCの長手方向)にも、折り畳みを実現するために十分に空間が必要となる。しかしながら、上述したとおり、カバー部材9には小型化の要請があり、特許文献1に記載の装置のようにカバー部材内でFPCを折り畳んだ状態で配置する構成では、カバー部材が大型化して採用できない場合がある。
そこで、本実施形態では、図16に示すように、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aに屈曲箇所C1,C2が設けられている。
これにより、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aの長さを確保でき、配線部材側コネクタ6の着脱時の押圧力や引張力(図中上下方向矢印Aや図中左右方向矢印Bなど)が生じたときに、より多くの力を配線部材部分8aの延び縮みで逃がすことが可能である。また、配線部材側コネクタ6の着脱時に生じる押圧力や引張力が、その屈曲箇所C1,C2の閉じ開きなどの動きによっても逃がされる。したがって、配線部材8やヘッド本体部1などに加わる負荷を軽減できる。
しかも、本実施形態においては、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aの屈曲箇所C1,C2が、いずれの屈曲角度も90°以下となるように構成されている。そのため、配線部材8の重なりが生じることはなく、FPCを折り畳んだ状態で配置する特許文献2に記載の構成と比較して、カバー部材9の小型化に有利である。
なお、ここでいう屈曲角度とは、屈曲が始まる直前における配線部材8の延び方向と当該屈曲が終わる直前における配線部材8の延び方向とのなす角度をいう。
したがって、本実施形態における屈曲箇所C1の屈曲角度は、図13に示すとおり、屈曲が始まる直前の地点P1における配線部材8の延び方向L1と当該屈曲が終わる直前の地点P2における配線部材8の延び方向L2とのなす角度θ1である。
同様に、本実施形態における屈曲箇所C2の屈曲角度は、図13に示すとおり、屈曲が始まる直前の地点P3における配線部材8の延び方向L3と当該屈曲が終わる直前の地点P4における配線部材8の延び方向L4とのなす角度θ2である。
また、本実施形態においては、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aの屈曲箇所C1,C2を得るために、図13に示すように、カバー部材9の上部を、ケーブル用開口9dの周囲だけ盛り上げた構成を採用している。ケーブル用開口9dから延出した直後の配線部材部分8aの周辺には、多少の余剰スペースが存在することが多い。本実施形態では、この余剰スペースを利用してカバー部材9の上部を盛り上げ、その盛り上げた部分の内部空間を使って、カバー部材9内の配線部材部分8aaの屈曲箇所C1,C2を得ている。
また、本実施形態においては、図13に示すように、カバー部材9の内部から配線部材8を延出させるためのケーブル用開口9d、配線部材側コネクタ6から、その接続対象であるヘッド側コネクタ5に対する配線部材側コネクタ6の着脱方向へ延びる延長線上(図13符号L1で示す二点鎖線上)から外れた位置に配置されている。
カバー部材9の小型化の要請により、カバー部材9を上部へ盛り上げる量には限度があるため、ケーブル用開口13dが当該延長線上に位置した構成であると、配線部材部分8aaを屈曲させてカバー部材9の内部に配置することが困難であり、ほとんど真っ直ぐな状態で配置せざるを得ない。
これに対し、本実施形態のようにケーブル用開口9dが当該延長線上から外れた位置にある構成であれば、十分な屈曲角度で屈曲させた状態で配線部材部分8aaをカバー部材9の内部に配置することが可能である。
したがって、カバー部材9の大型化を抑制しつつ、配線部材側コネクタ6の着脱時に生じる押圧力や引張力を十分に逃がして、配線部材8やヘッド本体部1に加わる負荷を軽減できる。
また、上記のとおり、カバー部材9に設けられた、内部から配線部材である配線部材8を出す開口部9は、嵌め合い方向と直交する方向(矢印B方向)において、配線部材側コネクタ6とヘッド側コネクタ5(ヘッド本体部)の接続箇所と重なっていない(図16の距離Jだけ離れた)位置にある。
これにより、カバー部材9の開口部dを封止していない場合でも、開口部9から侵入した液体が、配線部材8などを伝って、配線部材側コネクタ6とヘッド側コネクタ5(ヘッド本体部)の接続箇所に到達しにくくなる。
また、本実施形態においては、配線部材8に少なくとも2箇所の屈曲箇所C1,C2があり、配線部材8(配線部材)のうち、配線部材側コネクタ6(接続部)に接している面(直線L1に沿う面)と、開口部9に対向している面(直線L4に沿う面)とは平行に配置されている。
これにより、省スペース化と負荷の軽減を両立することができる。
次に、本発明の第6実施形態について図14を参照して説明する。図14は同実施形態における電気的接続部周りの要部断面説明図である。
前記第5実施形態においては、カバー部材9の内部から配線部材8を延出させる方向が配線部材側コネクタ6の着脱方向に平行となるようにケーブル用開口9dが配置されているが、これに限られない。
本実施形態のように、カバー部材9の内部から配線部材8を延出させる方向が配線部材側コネクタ6の着脱方向に対して直交する方向となるようにケーブル用開口9d1を配置してもよい。
また、前記第5実施形態においては、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aの屈曲箇所が2箇所C1,C2であるが、1箇所でもよいし、3箇所以上であってもよい。本実施形態のように、カバー部材9の内部に位置する配線部材部分8aaの屈曲箇所が3箇所C1,C2,C3となるようにしてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材9の開口部9d1は、配線部材側コネクタ6の着脱方向と同じである嵌め合い方向(矢印A方向)と直交する方向に設けられている。
これにより、液体の侵入をより防ぐことができる。つまり、前記第5実施形態などのように開口部9dが上方に開口している場合、侵入した液体が下方に流れるが、開口部9d1のように上下方向と直交する方向(水平方向)に開口している場合には、開口部9d1から侵入した液体が内部に移動し難くなる。
また、ヘッドを複数並べる場合に、配線部材(ケーブル)を大きく屈曲させることなく1つに束ねることができ、省スペース化と負担軽減を図ることができる。
上記配線部材の這回しに関する前記第5実施形態、第6実施形態は一例であり、次の態様AないしE毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
ヘッド側コネクタ5等の接続対象に接続される柔軟な配線部材8等の配線部材と、前記配線部材の一端側に設けられ、前記接続対象に対して着脱自在に接続される配線部材側コネクタ6等のコネクタと、前記コネクタを囲うカバー部材9とを備えたケーブルユニット2等のケーブルにおいて、前記カバー部材の内部に位置する前記配線部材の部分には屈曲箇所C1,C2,C3が存在し、該屈曲箇所のすべてが90°以下の屈曲角度を有することを特徴とする。
態様Aによれば、コネクタの着脱時に押圧力や引張力の負荷が生じたとき、カバー部材の内部に位置する配線部材の部分に屈曲箇所の動き(閉じ開き等)によって当該負荷を逃がすことができる。また、このような屈曲箇所が存在することで、カバー部材の内部に位置する配線部材の部分の長さを確保することが可能となる。
これにより、その配線部材部分8aの伸び縮みにより当該負荷を逃がすことができる量が増やすことができる。その結果、態様Aによれば、ケーブル部材や接続対象に加わる負荷を軽減することができる。
一方で、柔軟な配線部材であっても、断線などを考慮すると急激に折り曲げることは避けるべきである。そのため、特許文献1に記載の装置のようにカバー部材内でケーブル部材を折り畳んだ状態で配置する構成(すなわち、屈曲箇所の屈曲角度が180°である構成)では、上述したとおり、配線部材の重なり方向や配線部材の長尺方向に、十分な広さの空間が必要となり、カバー部材が大型化しやすい。
これに対し、態様Aにおいては、すべての屈曲箇所の屈曲角度が90°以下であるため、配線部材の重なりは生じず、配線部材の重なり方向や配線部材の長手方向に必要となる空間を少なく抑えることが可能となり、カバー部材の大型化が抑制できる。
(態様B)
前記態様Aにおいて、前記カバー部材の内部から前記配線部材を延出させるための開口9dは、前記コネクタから前記接続対象に対する該コネクタの着脱方向へ延びる延長線L1上から外れた位置に配置されていることを特徴とする。
これによれば、上述したとおり、カバー部材を大型化させずに、十分な屈曲角度をもつ屈曲箇所を設けやすくなる。その結果、負荷を逃がすための十分な屈曲箇所の動き(閉じ開き等)を実現しやすく、また、負荷を逃がすための十分な延び縮みを可能にするケーブル部材部分の長さを確保しやすくなる。
(態様C)
前記態様A又はBにおいて、前記カバー部材の内部から前記配線部材を延出させるための開口9dと該配線部材との隙間が接着剤9e等の密閉材によって密閉されていることを特徴とする。
これによれば、前記隙間から進入する異物がコネクタに付着することを防止することができる。また、この隙間を密閉材で密閉すると、前記カバー部材の内部に位置する配線部材の部分のみで負荷を逃がす必要があり、配線部材や接続対象に負荷が加わりやすいが、上述したとおり、本態様によれば、当該配線部材の部分のみで十分に負荷を逃がすことが可能である。
(態様D)
ヘッド本体部とは配線部材とを備える液体吐出ヘッドにおいて、前記態様A〜Cのいずれかの態様に係るケーブルを用いたことを特徴とする。
態様Dによれば、カバー部材を大型化させずに、コネクタの着脱時に生じる押圧力や引張力の負荷を逃がすことが可能な液体吐出ユニットを実現できる。
(態様E)
ケーブルユニット2等のケーブルが接続されるヘッド側コネクタ5等のケーブル接続部と、前記ケーブル接続部に着脱自在に接続されるケーブルユニット2等のケーブルと、前記ケーブルを介して伝送される駆動信号に基づいてノズル等の吐出孔からインク等の液体を吐出させる液体吐出ヘッドとを備えたインクジェットプリンタ等の液体を吐出する装置において、前記ケーブルとして、前記態様A〜Cのいずれかの態様に係るケーブルを用いたことを特徴とする。
態様Eによれば、カバー部材を大型化させずに、コネクタの着脱時に生じる押圧力や引張力の負荷を逃がすことが可能な液体を吐出する装置を実現できる。
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図15及び図16を参照して説明する。図15は同装置の要部平面説明図、図16は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図17を参照して説明する。図17は同ユニットの要部平面説明図である。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図18を参照して説明する。図18は同ユニットの正面説明図である。
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
次に、液体を吐出する装置の他の例としてのインクジェット記録装置であるインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)について図19及び図20を参照して説明する。図19は同プリンタの機構部の側面説明図、図20は同プリンタの機構部の要部平面説明図である。
このプリンタは、シリアル型のインクジェット記録装置であり、左右の側板1421A,1421Bに横架した主従のガイドロッド1431,1432でキャリッジ1433を主走査方向(矢印方向)に往復移動可能に保持している。
このキャリッジ1433には、液体吐出部材としての液体吐出ヘッド1434と、液体吐出ヘッド1434に液体であるインクを供給するサブタンクであるヘッドタンク1435とを、一体にした2つの液体吐出ユニット1430A,1430Bを搭載している。液体吐出ヘッド1434は、複数のノズル(吐出孔)からなるノズル列のノズル配列方向を、主走査方向と直交する副走査方向(液体吐出ヘッド長手方向)にし、液体吐出方向を下方に向けて装着されている。
液体吐出ヘッド1434は、例えば2つのノズル列を有している。一方の液体吐出ユニット1430Aの液体吐出ヘッド1434の一方のノズル列はブラック(K)のインクを、他方のノズル列はシアン(C)のインクを吐出する。また、他方の液体吐出ユニット1430Bの液体吐出ヘッド1434の一方のノズル列はマゼンタ(M)のインクを、他方のノズル列はイエロー(Y)のインクを吐出する。なお、ここでは、2つの液体吐出ヘッドを使用して4色のインク(液体)を吐出する構成としているが、1つの液体吐出ヘッドに4つのノズル列を配置して、1個の液体吐出ヘッドから4色のインクを吐出させることもできる。
装置本体側のカートリッジホルダ1404には、各色の液体カートリッジであるメインタンク1410k,1410c,1410m,1410yが着脱自在に装着される。そして、各液体吐出ユニット1430A,1430Bのヘッドタンク1435には、各色の供給チューブ1436を介して、送液ポンプを含む送液ユニット1424によって各色のメインタンク1410から各色のインクが送液される。
また、このプリンタは、給紙トレイ1402の用紙積載部1441上に積載した被吐出部材である用紙1442を給紙するための給紙部として、用紙積載部1441から用紙1442を1枚ずつ分離給送する給紙コロ1443及び給紙コロ1443に対向する分離パッド1444を備えている。また、このプリンタは、給送された用紙1442を搬送及び案内するガイド1445、カウンタローラ1446、搬送ガイド部材1447、先端加圧コロ1449を有する押さえ部材1448も備えている。さらに、このプリンタは、搬送された用紙1442を吸着して液体吐出ユニット1430の液体吐出ヘッド1434に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト1451を備えている。
搬送ベルト1451は、無端状ベルトであり、搬送ローラ1452とテンションローラ453との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成されている。この搬送ベルト1451には、帯電手段である帯電ローラ1456で帯電される静電搬送ベルトを使用している。ただし、搬送ベルト1451としては、エアー吸引で吸着する搬送ベルトでもよい。また、搬送手段としては、搬送ベルトを使用しないで、ローラによって搬送するものでもよい。
搬送ベルト1451を掛け回したテンションローラ1453の下流側には、搬送ベルト1451から用紙1442を分離するための分離爪1461と、排紙ローラ1462及び排紙コロ1463とを備え、排紙ローラ1462の下方に排紙トレイ1403を備えている。また、装置本体の背面部には両面ユニット1471が着脱自在に装着されている。この両面ユニット1471は搬送ベルト1451の逆方向回転で戻される用紙1442を取り込んで反転させて、再度、カウンタローラ1446と搬送ベルト1451との間に給紙する。また、この両面ユニット1471の上面は手差しトレイ1472としている。さらに、キャリッジ1433の走査方向一方側の非印字領域には、液体吐出ユニット1430A,1430Bの液体吐出ヘッド1434のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構1481を配置している。
この維持回復機構1481は、液体吐出ヘッド1434のノズル面をキャッピングするための各キャップ1482a,1482bを備えている。また、維持回復機構1481は、ノズル面をワイピングするためのブレード部材1483を備えている。また、維持回復機構1481は、増粘したインクを排出するために画像形成に寄与しないインクを吐出させる空吐出を行うときのインクを受ける空吐出受け1484などを備えている。また、キャリッジ1433の走査方向他方側の非印字領域には、画像形成中などに空吐出を行うときのインクを受ける空吐出受け1488を配置している。この空吐出受け1488には液体吐出ヘッド1434のノズル配列方向に沿った開口部1489などを備えている。
このプリンタにおいては、給紙トレイ1402から用紙1442が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙1442はガイド1445で案内され、搬送ベルト1451とカウンタローラ1446との間に挟まれて搬送される。更に、用紙1442は、先端を搬送ガイド1437で案内されて先端加圧コロ1449で搬送ベルト1451に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。そして、帯電した搬送ベルト1451上に用紙1442が給送されると、用紙1442が搬送ベルト1451に吸着され、搬送ベルト1451の周回移動によって用紙1442が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ1433を移動させながら画像信号に応じて液体吐出ユニット1430A,1430Bの液体吐出ヘッド1434を駆動することにより、停止している用紙1442にインクを吐出して1行分の画像を記録する。そして、用紙1442を所定量搬送後、次の行の画像形成を行う。記録終了信号又は用紙1442の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙1442を排紙トレイ1403に排紙する。
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。