JP2017154124A - ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性フィルムの製造方法において、生産性の低下を最小限に抑えつつ、フィルムの変形を抑制でき、ガスバリア性を向上させうる手段を提供する。【解決手段】未延伸のまたは一軸延伸された延伸用基材上に、ケイ素含有化合物を含む塗布液を塗布して前記基材上に塗布膜を形成することにより、第1の積層体を作製し、前記第1の積層体を延伸した後、加熱によって前記ケイ素含有化合物を改質して改質塗布膜を形成することにより、第2の積層体を作製することを有する、ガスバリア性フィルムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムの製造方法に関する。
フレキシブル電子デバイス、特に、フレキシブル有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略記する。)デバイスには、基板フィルムや封止フィルムとして、ガスバリア性フィルムが用いられている。これらに用いられるガスバリア性フィルムには、水分や酸素に対する高いガスバリア性が求められている。
一般に、ガスバリア性フィルムは、フィルム上に、蒸着法、スパッタ法、化学堆積法(CVD法:Chemical Vapor Deposition)といった気相成膜法によって、無機バリア層を形成することにより製造されている。無機バリア層の原料としてはケイ素含有化合物が広く用いられている。そして、ケイ素含有化合物を改質して高いバリア性を得るために、種々の方法が用いられている。
ケイ素含有化合物を改質する方法の一つとして、加熱処理を行うことが知られている。例えば、特許文献1には、ポリエチレンテレフタレートを基材として、基材上に無機酸化物の蒸着膜を形成し、蒸着膜の表面にポリシラザンを含む塗布液を塗布した後、加熱することでケイ素酸化物膜を主体とする塗布膜を形成するガスバリア性フィルムの製造方法が開示されている。
特開平11−151774号公報
しかしながら、特許文献1に記載のガスバリア性フィルムでは、ポリシラザンの加熱処理を比較的低い温度(120℃)で行っているため、ポリシラザンを改質する(ケイ素酸化物膜を主体とする塗布膜を形成する)には長時間(1時間)、加熱した状態を維持する必要があり、生産性が低いという問題があった。
一方、フィルムの生産性を向上させるために加熱温度を(例えば200℃以上に)上昇させると、高温により基材が変形したり、ガスバリア性が低下したりするという問題があった。
したがって、本発明は、ガスバリア性フィルムの製造方法において、生産性の低下を最小限に抑えつつ、フィルムの変形を抑制でき、ガスバリア性を向上させうる手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、ガスバリア性フィルムを製造する際、未延伸のまたは一軸延伸された延伸用基材上に、ケイ素含有化合物を含む塗布液を塗布して前記基材上に塗布膜を形成することにより第1の積層体を作製し、前記第1の積層体を延伸した後、加熱によって前記ケイ素含有化合物を改質して改質塗布膜を形成することにより第2の積層体を作製すると、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、ガスバリア性フィルムの製造方法において、生産性の低下を最小限に抑えつつ、フィルムの変形を抑制でき、ガスバリア性を向上させることが可能となる。
本発明の一形態によれば、未延伸または一軸延伸された延伸用基材上に、ケイ素含有化合物を含む塗布液を塗布して前記基材上に塗布膜を形成することにより、第1の積層体を作製し、前記第1の積層体を延伸した後、加熱によって前記ケイ素含有化合物を改質して改質塗布膜を形成することにより、第2の積層体を作製することを有する、ガスバリア性フィルムの製造方法が提供される。
本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法によれば、延伸用基材の延伸のための加熱とケイ素含有化合物の改質のための加熱とを一括(同時処理)で行うことにより、ガスバリア性フィルムの製造にあたって、フィルムの変形を抑制でき、ガスバリア性を向上させることができる。また、上記同時処理によってケイ素含有化合物を改質すること、および特別な装置を用いなくとも短時間でケイ素含有化合物を改質することができることから、ガスバリア性フィルムの製造時の生産性を向上させることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
≪ガスバリア性フィルムの製造方法≫
以下、本発明の一形態に係るガスバリア性フィルムの製造方法について、第1の積層体の作製工程および第2の積層体の作製工程の順に説明する。
<第1の積層体の作製工程>
本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法は、まず、未延伸のまたは一軸延伸された延伸用基材上に、ケイ素含有化合物を含む塗布液を塗布して前記基材上に塗布膜を形成することにより、第1の積層体を作製する工程を有する。
[延伸用基材]
本工程では、未延伸のまたは一軸延伸された延伸用基材を用いる。延伸用基材としては、プラスチックフィルムを挙げることができ、改質塗布膜や蒸着膜などを保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムの材料として、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明の好ましい形態において、プラスチックフィルムの材料は、機械的強度と光学特性の観点から、ポリエステル樹脂である。前記ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、およびポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよびポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタテンジカルボン酸などのジカルボン酸成分が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性、耐薬品性および耐久性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
また、ポリエステル樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子および有機粒子などが添加されていてもよい。
本発明に係る延伸用基材は、未延伸のものであるか、または一軸延伸されたものである。かかる延伸用基材は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、Tダイや環状ダイにより押し出して、急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸フィルム(すなわち、未延伸の延伸用基材)を製造することができる。前記未延伸フィルムを公知の延伸方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向、またはフィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより、一軸方向に延伸したフィルム(すなわち、一軸延伸された延伸用基材)を製造することができる。
延伸用基材は、生産性の観点から、一軸延伸されたものが好ましい。
以下、ポリエチレンテレフタレートを材料として延伸用基材を作製する場合の一例について説明する。用いる樹脂の種類により、乾燥条件、押出条件、延伸温度などの条件を適宜設定することができる。
まず、テレフタル酸とエチレングリコールを反応させてエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換して、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次に、このBHTを重合槽に移行し、撹拌しながら、真空下で280℃の温度に加熱して重合反応を進める。ここで、撹拌のトルクを検出して、所定のトルクになったところで反応を終了する。重合槽から、ポリエチレンテレフタレートをガット状に吐出し、水で冷却してからペレット状に切断する。
上記で作製したポリエチレンテレフタレートのペレットを、例えば180℃程度の温度で5時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機に供給し、Tダイからシート状に押出す。この溶融されたシート状物を、ドラム表面温度25℃に冷却されたドラム上に静電気力により密着固化し、実質的に非晶状態の成形ポリエステルフィルム(すなわち、未延伸の延伸用基材)を得ることができる。この未延伸の延伸用基材を、70〜120℃の温度の加熱ロール群で加熱し、縦軸方向に2〜6倍に、一段もしくは多段階で延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却して、一軸延伸された延伸用基材を得ることができる。
延伸用基材の厚さは、用途によって適宜選択されるため特に制限がないが、例えば、1〜800μmであり、好ましくは5〜500μmであり、さらに好ましくは10〜200μmであり、特に好ましくは、30〜150μmである。
[塗布膜の形成]
次いで、本工程では、上記で準備した未延伸のまたは一軸延伸された延伸用基材上に、ケイ素含有化合物を含む塗布液を塗布する。これにより、前記延伸用基材上に塗布膜を形成する。
(ケイ素含有化合物)
ケイ素含有化合物としては、ケイ素含有化合物を含む塗布液の調製が可能であれば特に限定はされず、例えば、ポリシラザン化合物、シラザン化合物、アミノシラン化合物、シリルアセトアミド化合物、シリルイミダゾール化合物、その他の窒素を含有するケイ素含有化合物などが用いられる。
(ポリシラザン)
本発明のケイ素含有化合物は、下記一般式(1)で表されるポリシラザンであることが好ましい。
上記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、RおよびRは、それぞれ、同じものであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(1)で表されるポリシラザンの数平均分子量は、150〜150,000g/モルであることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態において、上記一般式(1)で表されるポリシラザンは、R、RおよびRのすべてが水素原子である、パーヒドロポリシラザンである。
ポリシラザンについては、上述したもののほか、特開2013−255910号公報の段落番号「0024」〜「0040」、特開2013−188942号公報の段落番号「0037」〜「0043」、特開2013−151123号公報の段落番号「0014」〜「0021」、特開2013−052569号公報の段落番号「0033」〜「0045」、特開2013−129557号公報の段落番号「0062」〜「0075」、特開2013−226758号公報の段落番号「0037」〜「0064」に記載されているものを用いることができる。
本発明で使用できるポリシラザンの別の例としては、以下に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、メルク株式会社製のNN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
(シラザン化合物)
本発明に好ましく用いられるシラザン化合物の例として、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、および1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
(アミノシラン化合物)
本発明に好ましく用いられるアミノシラン化合物の例として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アリールアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルエチレンジアミンシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、3−ブチルアミノプロピルトリメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、およびビス(ブチルアミノ)ジメチルシランなどが挙げられるが、これらに限定されない。
(シリルアセトアミド化合物)
本発明に好ましく用いられるシリルアセトアミド化合物の例として、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド、N,O−ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(ジエチルヒドロゲンシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、およびN−トリメチルシリルアセトアミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
(シリルイミダゾール化合物)
本発明に好ましく用いられるシリルイミダゾール化合物の例として、1−(tert−ブチルジメチルシリル)イミダゾール、1−(ジメチルエチルシリル)イミダゾール、1−(ジメチルイソプロピルシリル)イミダゾール、およびN−トリメチルシリルイミダゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
(その他の窒素を含有するケイ素含有化合物)
本発明において、上述の窒素を含有するケイ素含有化合物の他に、例えば、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、トリメチルシリルアジド、N,O−ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)尿素、3−ブロモ−1−(トリイソプロピルシリル)インドール、3−ブロモ−1−(トリイソプロピルシリル)ピロール、N−メチル−N,O−ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、およびシリコンテトライソチオシアナートなどが用いられるがこれらに限定されない。
中でも、成膜性、クラック等の欠陥が少ないこと、残留有機物の少なさの点で、パーヒドロポリシラザン、オルガノポリシラザン等のポリシラザン;シルセスキオキサン等のポリシロキサン等が好ましく、ガスバリア性能が高く、屈曲時および高温高湿条件下であってもガスバリア性能が維持されることから、ポリシラザンがより好ましく、パーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
(ケイ素含有化合物を含む塗布液)
ケイ素含有化合物を含む塗布液は、ケイ素含有化合物の他に、溶媒や必要に応じて後述する添加剤を含有することができる。
ケイ素含有化合物を含む塗布液の調製に用いる溶媒としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類:例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)などを挙げることができる。
また、ケイ素含有化合物を含む塗布液は、改質を促進するために、触媒を含有することが好ましい。本発明に適用可能な触媒としては、塩基性触媒が好ましく、特に、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等のアミン触媒、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物が挙げられる。これらのうち、アミン触媒を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、ケイ素含有化合物を基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成、および膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けることができる。
ポリシラザン含有塗布液には、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
ケイ素含有化合物を含む塗布液におけるケイ素含有化合物の濃度は、特に制限されず、塗布膜の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは5〜40質量%である。
(ケイ素含有化合物を含む塗布液を塗布する方法)
ポリシラザン含有塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。本発明の好ましい形態では、塗布膜均一性の観点から、バーコート法を用いる。
塗布膜の厚さは、下記改質塗布膜の厚さや延伸条件により適宜調整されるが、例えば、0.5〜10μmであり、好ましくは1〜5μmである。
<第2の積層体の作製工程>
本工程では、まず、上記(第1の積層体の作製工程)で作製した第1の積層体を延伸する。その後、加熱によって前記ケイ素含有化合物を改質して改質塗布膜を形成する。これにより、第2の積層体が作製される。
[第1の積層体の延伸]
第1の積層体の延伸は、従来公知の方法によって行うことができる。第1の積層体の作製において未延伸の延伸用基材を用いた場合には、本工程において一軸延伸、同時二軸延伸などの方法により延伸することができる。また、第1の積層体において一軸延伸された延伸用基材を用いた場合には、本工程において一軸延伸、逐次二軸延伸などの方法によりさらに延伸することができる。
本発明に係る製造方法では、生産性の観点から、第1の積層体の延伸および後述する改質塗布膜の形成を連続して行うことが好ましい。本発明の一実施形態では、例えば、逐次二軸延伸により、一段階目の延伸として縦軸方向に延伸された(一軸延伸された)延伸用基材を用いて上述の工程(第1の積層体の作製工程)を行って塗布膜を形成することにより第1の積層体を作製する。次いで、引き続き前記第1の積層体を二段階目の延伸として横軸方向に延伸することにより、二軸延伸された第1の積層体の加熱とケイ素含有化合物を含む塗布膜の加熱による改質を同時に行って第2の積層体を作製する。このようにして、本発明のガスバリア性フィルムを得ることができる。
第1の積層体の延伸は、例えば、第1の積層体をテンターに導き、第1の積層体の両端をクリップで把持しながら、80〜140℃の温度に加熱された熱風雰囲気中で加熱することで、横軸方向に2.5〜6倍延伸することで、二軸延伸された第1の積層体を得ることができる。
[改質塗布膜の形成]
本工程では、続いて、前記二軸延伸された第1の積層体を加熱してケイ素含有化合物を改質することにより、改質塗布膜を形成することができる。ここで、本明細書において「ケイ素含有化合物の改質」とは、ケイ素含有化合物のすべてまたはその一部を酸化ケイ素または酸化窒化ケイ素へと転化する処理のことをいう。
加熱処理の際の温度は、延伸用基材として用いる材料によって適宜調整することができるが、前記材料としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合、例えば、200〜255℃であり、好ましくは225〜245℃である。また、加熱時間は、0.5〜5分であり、パーヒドロポリシラザン(ケイ素含有化合物)の十分な改質と生産性との観点から、好ましくは1〜2分である。
第2の積層体に形成される改質塗布膜の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜500nmであり、好ましくは、10〜300nmであり、より好ましくは、50〜200nmであり、特に好ましくは、70〜150nmである。
<気相成膜法による蒸着層の形成>
本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法では、上述した第2の積層体の改質塗布膜上に気相成膜法によって蒸着層を形成することが好ましい。蒸着層を形成することで、本発明のガスバリア性フィルムのガスバリア性をより向上させることができ、また延伸用基材と改質塗布膜との密着性を向上させることができる。なお、前記蒸着層は、単層でもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。
[蒸着層]
本発明に係る蒸着層は、上述した気相成膜法によって形成されるものであれば、特に限定されず、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などの無機化合物を含有することができる。本発明の蒸着層は、ガスバリア性をより向上させるとの観点から、遷移金属化合物を含有することが好ましい。
ここで、遷移金属とは、長周期型周期表の3〜11族の元素を指し、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Auなどが挙げられる。
中でも、Ti、Ce、Nb、Fe、Zr、La、Ndが好ましく、更には、透明性が良好な化合物が得られるNb、Zr、Ti及びFeから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、特に好ましくは、Nbである。
また、本発明の蒸着層では、遷移金属が、酸化物、窒化物、酸窒化物、酸炭化物等の形態で含有されていてもよい。遷移金属は、成膜レートがより高く、より高い生産性を有することから、酸化物の形態で含有されていることがより好ましい。
上記遷移金属は、1種単独であっても2種以上併用してもよい。
蒸着層に含まれる無機化合物の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲において特に限定されないが、蒸着層の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%である(すなわち、蒸着層が遷移金属化合物からなる)ことが最も好ましい。
蒸着層の厚さは、特に制限されないが、例えば、0.5〜100nmであり、ガスバリア性の向上およびフィルム変形の防止の観点から、好ましくは0.5〜16nmであり、より好ましくは1〜15nmである。なお、蒸着層の厚さは、実施例に記載の方法により得ることができる。
[気相成膜法]
本発明において蒸着層の形成に用いられる気相成膜法としては、特に限定されず、例えば、既存の薄膜堆積技術を利用した従来公知の気相成膜法を用いることができる。気相成膜法の一例として、スパッタ法、熱蒸着法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法等の物理気相成長(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapordeposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などの化学気相成長(CVD)法が挙げられる。なかでも、下層へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、物理気相成長(PVD)法により形成することが好ましく、スパッタ法により形成することがより好ましい。以下、スパッタ法、蒸着法およびプラズマCVD法について説明する。
(スパッタ法)
スパッタ法の成膜材料としては、特に制限されず、公知のものを用いることができ、例えば、遷移金属やケイ素などが挙げられる。
スパッタ法による成膜は、2極スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、中間的な周波数領域を用いたデュアルマグネトロンスパッタリング(Dual Magnetron Sputtering:DMS)、イオンビームスパッタリング、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリングなどを単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、ターゲットの印加方式は、ターゲット種に応じて適宜選択され、DC(直流)スパッタリングまたはRF(高周波)スパッタリングのいずれを用いてもよい。
また、例えば、金属モードと、酸化物モードとの中間である遷移モードを利用した反応性スパッタ法も用いることができる。遷移領域となるようにスパッタ現象を制御することにより、高い成膜スピードで金属酸化物を成膜することが可能となるため好ましい。DCスパッタリングやデュアルマグネトロンスパッタリングを行う際には、そのターゲットとして、例えば上記の遷移金属を用い、更に、プロセスガス中に酸素を導入することで、遷移金属酸化物の薄膜を形成することができる。また、RF(高周波)スパッタリングで成膜する場合は、遷移金属の酸化物のターゲットを用いることができる。
プロセスガスに用いられる不活性ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xe等を用いることができ、Arを用いることが好ましい。さらに、プロセスガス中に酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素を導入することで、遷移金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、酸炭化物等の遷移金属化合物薄膜を作ることができる。
スパッタ法における成膜条件としては、印加電力、放電電流、放電電圧、時間等が挙げられるが、これらは、スパッタ装置や、膜の材料、膜厚等に応じて適宜選択することができる。
中でも、成膜レートがより高く、より高い生産性を有することから、遷移金属の酸化物をターゲットとして用いるスパッタ法が好ましい。
(プラズマCVD法)
プラズマCVD法により得られる蒸着層は、原材料(原料ともいう)である金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、目的の化合物を製造できる。プラズマCVD法による蒸着層の形成条件の詳細については、例えば、特開平8−142252号の段落「0017」〜「0022」に記載される条件が適宜採用されうる。このような方法により形成される蒸着層は、酸化物、窒化物、酸窒化物または酸炭化物を含む層であることが好ましい。
<その他の機能層>
本発明のガスバリア性フィルムは、上述した第2の積層体および蒸着層の他に、その他の機能層を含むものであってもよい。ただし、その他の機能層は、延伸用基材と改質塗布膜との間以外の面に存在することができる。
[ハードコート層]
延伸用基材の表面(改質塗布膜が形成されていない面)には、ハードコート層が配置されてもよい。ハードコート層に含まれる材料の例としては、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含む層、すなわちハードコート層が形成される。活性エネルギー線硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。予めハードコート層が形成されている市販の基材を用いてもよい。
ハードコート層の厚さは、平滑性および屈曲耐性の観点から、0.1〜15μmの範囲内が好ましく、1〜5μmの範囲内であることがより好ましい。
ハードコート層の形成材料に適用可能な活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズを用いることができる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
熱硬化性材料として具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、株式会社アデカ製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製の各種シリコン樹脂、日東紡株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。この中でも特に耐熱性を有するエポキシ樹脂ベースの材料であることが好ましい。
ハードコート層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
ハードコート層の形成では、上述の活性エネルギー線硬化性樹脂に、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、ハードコート層の積層位置に関係なく、いずれのハードコート層においても、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
ハードコート層の厚さとしては、フィルムの耐熱性を向上させ、フィルムの光学特性のバランス調整を容易にする観点から、1〜10μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2μm〜7μmの範囲にすることが好ましい。
[半導体ナノ粒子層]
本発明のガスバリア性フィルムは、半導体ナノ粒子層と組み合わせて、いわゆるQDシートと呼ばれる波長変換シート用部品として用いることができる。
半導体ナノ粒子層は、主には、改質塗布膜または蒸着層の上面側に設けることができ、半導体ナノ粒子及び紫外線硬化型樹脂を含有して構成されている。
半導体ナノ粒子層は、2層以上設けられているものとしても良い。この場合には、2層以上の各半導体ナノ粒子層に、それぞれ異なる発光波長の半導体ナノ粒子が含有されていることが好ましい。
半導体ナノ粒子層には、半導体ナノ粒子が含有されている。すなわち、半導体ナノ粒子は、半導体ナノ粒子層形成用塗布液に含有されているものである。
半導体ナノ粒子とは、半導体材料の結晶で構成され、量子閉じ込め効果を有する所定の大きさの粒子をいい、その粒子径が数nm〜数十nm程度の微粒子であり、下記に示す量子ドット効果が得られるものをいう。
なお、半導体ナノ粒子に関連する事項については、例えば、特開2012−133158号公報、2012−169460号公報、2014−078381号公報、2015−099636号公報、2015−103728号公報、2015−127362号公報等に記載されている内容を参照することができる。
<電子デバイス>
本発明の製造方法により製造されたガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく適用できる。すなわち、本発明は、本発明の製造方法により製造されたガスバリア性フィルムと、電子デバイス本体と、を含む電子デバイスおよび前記電気デバイスの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により製造されたガスバリア性フィルムを具備した電子デバイスに用いられる電子デバイス本体の例としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等を挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、該電子デバイス本体は有機EL素子または太陽電池が好ましく、有機EL素子がより好ましい。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40〜50%の条件下で行われた。
[未延伸の延伸用基材の作製]
(延伸用基材1の作製)
ポリエチレンテレフタレートのペレットを180℃の温度で5時間真空乾燥した後に、270℃〜300℃の温度に加熱された押出機に供給し、Tダイからシート状に成形した。さらにこのシート状物を表面温度25℃の温度の冷却ドラム上に静電気力で密着固化して、厚さ100μmの未延伸の延伸用基材1を作製した。
なお、極限粘度の値は、ポリエチレンテレフタレート1gをフェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlに加えて溶解し、30℃で測定した値である。
(延伸用基材2の作製)
延伸用基材1と同様にして、厚さ125μmの未延伸の延伸用基材2を作製した。
(延伸用基材3の作製)
延伸用基材1と同様にして、厚さ50μmの未延伸の延伸用基材3を作製した。
[ケイ素含有化合物を含む塗布液の調製]
パーヒドロポリシラザン(PHPS)を20質量%含むジブチルエーテル溶液(メルク株式会社製、商品名:NN120−20)と、1質量%のアミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン、略称:TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザンの20質量%のジブチルエーテル溶液(メルク株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで固形分濃度が5質量%となるように希釈し、ケイ素含有化合物を含む塗布液を調製した。なお、当該ケイ素含有化合物を含む塗布液の調製は、グローブボックス内で行った。
[ガスバリア性フィルム1の作製]
上記作製した未延伸の延伸用基材1を、70〜100℃の温度の加熱ロール群で加熱して縦軸(長手)方向に3.4倍一段階で縦延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸された延伸用基材1を作製した。前記一軸延伸された延伸用基材1の片面に、バーコーターを用いて、上記調製したケイ素含有化合物を含む塗布液を塗工することにより乾燥膜厚150nmの塗布膜を形成して、第1の積層体を作製した。前記第1の積層体を40m/分の速度でテンターに導き、第1の積層体の両端をクリップで把持しながら、120℃の温度に加熱された熱風雰囲気中で予熱し、100℃の温度の熱風雰囲気中で横軸(幅)方向に3.6倍横延伸し、引き続きテンターの中で、230℃の温度の加熱処理を1分間行い、パーヒドロポリシラザンを改質して改質塗布膜を形成することにより、第2の積層体を作製した。加熱処理後、得られた第2の積層体をテンターから取出し、前記第2の積層体の両端部のエッジ部分をトリミングして巻取り、ガスバリア性フィルム1を得た。なお、改質塗布膜の厚さは、100nmであった。
[ガスバリア性フィルム2の作製]
ガスバリア性フィルム1の改質塗布膜上に、以下のようにしてスパッタ法による厚さ7nmの蒸着層を形成して、ガスバリア性フィルム2を作製した。
(スパッタ法による蒸着層の形成)
スパッタ装置として、マグネトロンスパッタ装置(キャノンアネルバ社製:型式EB1100)を用いた。
ここでは、ターゲットとして酸素欠損型Nbターゲットを用い、プロセスガスにはArとOとを用いて、DCスパッタにより、厚さ7nmの蒸着層を形成した。スパッタ電源パワーは、5.0W/cmとし、成膜圧力は0.4Paとした。酸素分圧は、10%とした。また、蒸着層の厚さ(層厚)に関しては、事前にガラス基材を用いた成膜により、成膜時間に対する層厚変化のデータを取り、単位時間当たりに成膜される層厚を算出した後、設定層厚となるように成膜時間を設定した。
[ガスバリア性フィルム3の作製]
未延伸の延伸用基材1に代えて未延伸の延伸用基材2を用いたこと以外は、ガスバリア性フィルム2の作製と同様にして、ガスバリア性フィルム3を作製した。
[ガスバリア性フィルム4の作製]
未延伸の延伸用基材1に代えて未延伸の延伸用基材3を用いたこと以外は、ガスバリア性フィルム2の作製と同様にして、ガスバリア性フィルム4を作製した。
[ガスバリア性フィルム5の作製]
蒸着層の厚さを16nmとしたこと以外は、ガスバリア性フィルム3の作製と同様にして、ガスバリア性フィルム5を作製した。
[ガスバリア性フィルム6の作製]
蒸着層の厚さを15nmとしたこと以外は、ガスバリア性フィルム3の作製と同様にして、ガスバリア性フィルム6を作製した。
[ガスバリア性フィルム7の作製]
蒸着層の厚さを1nmとしたこと以外は、ガスバリア性フィルム3の作製と同様にして、ガスバリア性フィルム7を作製した。
[ガスバリア性フィルム8の作製]
蒸着層の厚さを0.5nmとしたこと以外は、ガスバリア性フィルム3の作製と同様にして、ガスバリア性フィルム8を作製した。
[ガスバリア性フィルム9の作製]
ガスバリア性フィルム4の蒸着層に代えて、以下のようにして真空プラズマCVD法による厚さ7nmの蒸着層を形成し、ガスバリア性フィルム9を作製した。
(真空プラズマCVD法による蒸着層の形成)
真空プラズマCVD装置として、W60C((株)神戸製鋼所)を用いた。
特開平8−142252号の段落「0025」〜「0026」に記載の方法により、蒸着層を形成した。詳細には、成膜条件を、搬送速度90m/分、原料ガスとしてTEOSと酸素とヘリウムとを、1:9:8で混合したもの、真空度5×10−2torr、印加電力10kwとして、厚さ7nmの蒸着層を形成した。
[ガスバリア性フィルム10の作製]
上記作製した未延伸の延伸用基材1を、70〜100℃の温度の加熱ロール群で加熱して縦軸(長手)方向に3.4倍一段階で縦延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸された延伸用基材1を作製した。前記一軸延伸された延伸用基材1を40m/分の速度でテンターに導き、前記基材1の両端をクリップで把持しながら、120℃の温度に加熱された熱風雰囲気中で予熱し、100℃の温度の熱風雰囲気中で横軸(幅)方向に3.6倍横延伸し、そのまま、テンターの中で引き続き、230℃の温度の加熱処理を行い、得られたポリエステルフィルムをテンターから取出し、前記ポリエステルフィルムの両端部のエッジ部分をトリミングして巻取り、逐次二軸延伸された基材を得た。
上記基材の片面に、バーコーターを用いて、上記調製したケイ素含有化合物を含む塗布液を塗工することにより乾燥膜厚100nmの塗布膜を形成し、200℃で1分間の条件により乾燥処理を施して、改質塗布膜を形成した。前記改質塗布膜上に、ガスバリア性フィルム2の作製と同様にして、スパッタ法による厚さ7nmの蒸着層を形成し、ガスバリア性フィルム10を作製した。
[ガスバリア性フィルム11の作製]
改質塗布膜を形成する際の乾燥処理の条件を80℃で1分間に変更したこと以外は、ガスバリア性フィルム10の作製と同様にして、ガスバリア性フィルム11を作製した。
[ガスバリア性フィルム12の作製]
ケイ素含有化合物を含む塗布液の代わりに、ケイ素含有化合物を含まない水系ポリウレタン(スーパーフレックス800;第一工業製薬(株))を塗布液として用いたこと以外は、ガスバリア性フィルム2と同様にして、ガスバリア性フィルム12を作製した。
[ガスバリア性フィルム13の作製]
ガスバリア性フィルム10の作製で用いた逐次二軸延伸された基材上に、以下のようにしてスパッタ法による厚さ100nmの蒸着層を形成して、ガスバリア性フィルム13を作製した。
(スパッタ法による蒸着層の形成)
スパッタ装置として、マグネトロンスパッタ装置(キャノンアネルバ社製:型式EB1100)を用いた。
ここでは、ターゲットとしてSiOターゲットを用い、プロセスガスにはArとOとの混合ガス(O/Ar=30/100(体積%))を槽内に100sccm導入した。圧力を8.0×10−4Torrに保った後、メインロールの温度を室温、投入電力密度を1W/cmに設定して、フィルム速度をVf=1.0m/minとしてスパッタリングを行い、膜厚100nmの蒸着層を形成した。
上記作製したガスバリア性フィルム1〜13の構成および製造条件について、下記の表1に示す。
<ガスバリア性フィルムの性能評価>
上記で作製したガスバリア性フィルム1〜13について、下記の評価を行った。
[水蒸気バリア性の評価]
ガスバリア性フィルム1〜13について、作製直後から20℃・50%RH環境に保管した試料を用意した。
次いで、各試料について、MOCON社製の水蒸気透過率測定装置:PERMATRANを用いて、38℃・100%RHの条件で水蒸気透過度(単位[g/m・day])を測定し、以下の評価基準に従って水蒸気バリア性を評価した。結果を下記の表2に示す。
評価基準
◎:水蒸気透過度が0.01以下
○:水蒸気透過度が0.01超0.1以下
△:水蒸気透過度が0.1超10以下
×:水蒸気透過度が10超。
[フィルム変形の評価]
ガスバリア性フィルム1〜13について、作製直後、1m×1mのサイズに切り出し、水平で平坦な台の上に置き、前記台の表面から2mm以上浮き上がっている個数を計測し、フィルムの変形(ツレ)について、以下の評価基準に従って評価した。結果を下記の表2に示す。
評価基準
◎:0個
○:1個
△:2〜3個
×:4個以上。
表2に示す結果から明らかなように、本発明に係る製造方法によるガスバリア性フィルムは、比較例に対し、フィルム変形を抑制でき、かつ良好な水蒸気バリア性を維持していることが分かる。また、本発明に係る製造方法によれば、特別な装置を用いなくとも短時間でケイ素含有化合物を改質することができることから、ガスバリア性フィルムの製造時の生産性を向上させることができる。

Claims (8)

  1. 未延伸のまたは一軸延伸された延伸用基材上に、ケイ素含有化合物を含む塗布液を塗布して前記基材上に塗布膜を形成することにより、第1の積層体を作製し、
    前記第1の積層体を延伸した後、加熱によって前記ケイ素含有化合物を改質して改質塗布膜を形成することにより、第2の積層体を作製することを有する、ガスバリア性フィルムの製造方法。
  2. 前記加熱が、200℃以上の温度で行われる、請求項1に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  3. 前記延伸用基材が一軸延伸されたものである、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  4. 前記ケイ素含有化合物が、下記式(1):
    ただし、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である、
    で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  5. 前記改質塗布膜上に気相成膜法によって蒸着層を形成することをさらに有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  6. 前記蒸着層を、物理気相成長法によって形成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  7. 前記蒸着層が、遷移金属化合物を含有する層である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  8. 前記蒸着層の厚さが、1〜15nmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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