JP2017149813A - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光硬化性樹脂組成物であって、その硬化物が柔軟性を有し、かつ、金属の腐食を抑制できる、光硬化性樹脂組成物の提供。【解決手段】(A)スチレン構造を有する化合物、(B)ラジカル重合性樹脂(但し、スチレン構造を有する化合物を除く)及び(C)光開始剤を含む、光硬化性樹脂組成物。(A)スチレン構造体を有する化合物が式(1)で表される構造に例示される様な化合物であることが好ましい光硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物に関する。
スマートフォン等に用いられる画像表示装置には、液晶表示パネルや有機ELパネルといった表示体の上に、通常、光透過性部材が設けられている。表示体と光透過性部材との接着に、光硬化性樹脂組成物を使用することが知られている。
特許文献1には、表示体と光透過性部材とを接着するための光硬化型樹脂組成物であって、(メタ)アクリレートオリゴマー、柔軟化成分及びチオール化合物を含み、その硬化物の弾性率及び破断時の伸びを特定の範囲内とした、光硬化型樹脂組成物が開示されている。
国際公開第2010/027041号
しかしながら、特許文献1に開示されたチオール化合物を含む光学弾性貼り合せ樹脂組成物を用いて、タッチパネルと、前面板又は表示素子とを貼り合せると、樹脂組成物の硬化物が、ITO等の金属配線の腐食を起こしタッチパネルの動作不良を起こす場合がある問題があった。よって、特許文献1に開示されたチオール化合物によって達成される柔軟性と同等の柔軟性を有しつつ、金属の腐食を抑制する接着剤組成物への要望があった。
本発明は、光硬化性樹脂組成物であって、その硬化物が柔軟性を有し、かつ、金属の腐食を抑制できる、光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、光硬化性樹脂組成物について、スチレン構造を有する化合物をチオール化合物の代わりに用いることで、その硬化物が柔軟性を有し、かつ、金属の腐食を抑制でき、前記課題を解決することを見出した。
本発明は以下を構成とする。
(1)(A)スチレン構造を有する化合物、(B)ラジカル重合性樹脂(但し、スチレン構造を有する化合物を除く)及び(C)光開始剤を含む、光硬化性樹脂組成物。
(2)(A)スチレン構造を有する化合物が、下記式(1)及び式(2)からなる群より選択される1種以上である、請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。


(式(1)中、
R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、H又はC〜Cの脂肪族炭化水素基であり、
式(2)中、
R7は、H、C〜Cの脂肪族炭化水素基、又はフェニル基であり、
R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、H又はC〜Cの脂肪族炭化水素基である)
(3)(B)ラジカル重合性樹脂が、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選択される1種以上を含む、(1)又は(2)の光硬化性樹脂組成物。
(4)樹脂組成物の硬化物の弾性率が1kPa以上90kPa以下であり、かつ硬化物の伸び率が100%以上1,000%以下である、(1)〜(3)のいずれかの光硬化性樹脂組成物。
本発明により、光硬化性樹脂組成物であって、その硬化物が柔軟性を有し、かつ、金属の腐食を抑制できる、光硬化性樹脂組成物が提供される。
光硬化性樹脂組成物
光硬化性樹脂組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、(A)スチレン構造を有する化合物、(B)ラジカル重合性樹脂(但し、スチレン構造を有する化合物を除く)及び(C)光開始剤を含む。
(A)スチレン構造を有する化合物
(A)スチレン構造を有する化合物(以下、「(A)成分」ともいう。)は、二重結合とベンゼン環が直接結合したスチレン構造を有する化合物であれば任意である。ここで、ベンゼン環は、非置換又は置換である。二重結合におけるベンゼン環に結合する炭素原子以外の炭素原子には、水素原子が結合するか、更なる基が結合している。(A)成分は、ベンゼン環と結合した二重結合の炭素原子には、更なる炭素原子が結合した構造を有する化合物である、α位に炭素原子を有するスチレン化合物がより好ましい。例えば、この更なる炭素原子は、下記式(1)中、R4及びR5が結合した炭素原子に相当する。ここで、α位に存在する炭素原子は、脂肪族炭素原子であっても、芳香族炭素原子であってもよい。
(A)は、入手のし易さの点から、下記式(1)及び式(2)からなる群より選択される1種以上であるのが特に好ましい。


(式(1)中、
R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、H又はC〜Cの脂肪族炭化水素基であり、
式(2)中、
R7は、H、C〜Cの脂肪族炭化水素基、又はフェニル基であり、
R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、H又はC〜Cの脂肪族炭化水素基である)
〜Cの脂肪族炭化水素基は、C〜Cのアルキル基及びC〜Cのシクロアルキル基が挙げられる。
〜Cのアルキル基は、直鎖又は分岐状であり、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
〜Cのシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
式(1)で示される化合物の具体例は、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(cas.6362−80−7)、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ノネン(cas.1632453−83−8)、2,4−ジフェニル−3−メチル−1−ペンテン(cas.63017−01−6)、2,4−ジフェニル−1−ブテン(cas.16606−47−6)、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ヘキセン(cas.561320−39−6)、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ヘキセン(cas.561320−41−0)、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−オクテン(cas.1632453−87−2)、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ヘプテン(cas.1632453−85−0)、2−(4−メチルフェニル)−4−フェニル−4−メチル−1−ペンテン(cas.179234−23−2)、2,4−ジフェニル−1−ペンテン(cas.38212−18−9)が挙げられる。以下に式(1)で示される化合物の具体例の構造式を示す。より入手がし易い点から、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが特に好ましい。
式(2)で示される化合物の具体例は、1,1−ジフェニルエチレン(cas.530−48−3)、2−フェニル−1−ブテン(cas.2039−93−2)、2−フェニル−1−プロペン(α−メチルスチレン)(cas.98−83−9)、1−シクロヘキシル−1−フェニルエチレン(α−シクロヘキシルスチレン)(cas.5700−44−7)、2−フェニル−1−オクテン(cas.5698−49−7)、2−フェニル−3,3−ジメチル−1−ブテン(cas.5676−29−9)が挙げられる。以下に式(2)で示される化合物の具体例の構造式を示す。
組成物において、(A)成分の含有量は、(B)ラジカル重合性樹脂(但し、スチレン構造を有する化合物を除く)100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量部である。
(B)ラジカル重合性樹脂
ラジカル重合性樹脂(但し、スチレン構造を有する化合物を除く)(以下、「(B)成分」ともいう。)は、スチレン構造を有する化合物を除ラジカルにより重合する樹脂であれば特に限定されない。このような樹脂として、アクリル樹脂、ビニル化合物及びジエン化合物からなる群より選択される1以上の樹脂が挙げられ、アクリル樹脂が好ましい。
アクリル樹脂は、分子中に1以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であれば任意であり、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選択される1種以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。組成物は、(B)成分が(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選択される1種以上を含むのが好ましい。組成物は、(B)成分が(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択される1種以上及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選択される1種以上からなるか、(B)成分が(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選択される1種以上と、ビニル化合物及びジエン化合物からなる群より選択される1以上とからなるのがより好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の少なくとも一方を含む。また、「(メタ)アクリロイル基」は、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の少なくとも一方を含む。
<(メタ)アクリレートオリゴマー>
(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に限定されず、(水素添加)ポリイソプレン、(水素添加)ポリブタジエン又はポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。ここで、(水素添加)ポリイソプレンは、ポリイソプレン及び/又は水素添加ポリイソプレンを包含し、(水素添加)ポリブタジエンは、ポリブタジエン及び/又は水素添加ポリブタジエンを包含する。
(水素添加)ポリブタジエンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーは、(水素添加)ポリブタジエン(メタ)アクリレート、及び、(水素添加)ポリブタジエンウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、(水素添加)ポリブタジエン骨格の末端がウレタン結合により(メタ)アクリロイル基と連結されているオリゴマーは、(水素添加)ポリブタジエンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーとする。市販品として、例えば、日本曹達株式会社製の「TE−2000」(分子量2,500)がある。
(水素添加)ポリイソプレンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーは、(水素添加)ポリイソプレン(メタ)アクリレート、及び、(水素添加)ポリイソプレンウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、(水素添加)ポリイソプレン骨格がウレタン結合により(メタ)アクリロイル基と連結されているオリゴマーは、(水素添加)ポリイソプレンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーとする。市販品として、例えば、クラレ社製の「UC−203」(分子量35,000)及び「UC−102」(分子量17,000)がある。
ポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、(水素添加)ポリブタジエン系、(水素添加)ポリイソプレン系又はこれらの組合せのポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。市販品として、例えば、ライトケミカル社製の「UA−1」、ダイセル・オルネクス株式会社製の「EBECRYL−230」(分子量5,000)、日本合成化学工業社製の「UV3630ID80」(分子量35,000)、日本合成化学工業社製の「UV3700B」(分子量38,000)がある。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
(メタ)アクリレートオリゴマーの分子量は、特に限定されないが、1,000〜70,000であるのが好ましく、2,000〜50,000であるのがより好ましい。本明細書において、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した重量平均分子量である。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
<(メタ)アクリレートモノマー>
(メタ)アクリレートモノマーは、特に限定されず、(B)(メタ)アクリレートモノマーは、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の、ヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート以外の水酸基含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート、又は、アルキル(メタ)アクリレートとヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレートとの組合せが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
ビニル化合物は、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン等のオレフィン類;、及びビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレン等のベンゼン環以外の芳香環を有するビニル化合物等が挙げられる。ビニル化合物は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
ジエン化合物は、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。ジエン化合物は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
組成物において、アクリル樹脂の含有量は、(B)成分の合計100重量部に対して、50〜100重量部であるのが好ましく、より好ましくは60〜100重量部である。(B)成分が(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択される1種以上及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選択される1種以上を含む場合、組成物における(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーの合計100重量部に対して、50〜90重量部であるのが好ましく、より好ましくは60〜85重量部である。
(C)光重合開始剤
(C)光重合開始剤(以下、「(C)成分」ともいう。)は、光を吸収してラジカルを発生させる化合物であれば、特に限定されず、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−メチルチオ]フェニル]−2−モルホリノプロパンー1−オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、2,4−ジエチルチオキサントン、2ークロロチオキサントン、ベンゾフェノン、エチルアントラキノン、ベンゾフェノンアンモニウム塩、チオキサントンアンモニウム塩、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、1,4ジベンゾイルベンゼン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2,2’ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2’−ビイミダゾール、2,2’ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイル ビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、o−メチルベンゾイルベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル、活性ターシャリアミン、カルバゾール・フェノン系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、ベンゾイル系光重合開始剤等が挙げられる。
(C)成分は、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンからなる群より選択される1以上が好ましい。
(C)成分は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
組成物において、(C)成分の量は、(B)成分の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。
(D)更なる成分
組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(D)更なる成分(以下、「(D)成分」ともいう。)を含むことができる。(D)成分は、可塑剤、接着付与剤、酸化防止剤、消泡剤、顔料、充填剤、光安定剤、表面張力調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤及び抑泡剤からなる群より選択される1種以上が挙げられる。更なる成分は、可塑剤、接着付与剤及び酸化防止剤からなる群より選択される1以上であるのが好ましい。更なる成分は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
組成物において、(D)成分の総含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100重量部に対して、0.01〜300重量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜200重量部であり、特に好ましくは0.1〜100重量部である。
<可塑剤>
組成物が可塑剤を含むことにより、硬化物の柔軟性が高くなる。可塑剤は、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソノニル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル等の多価カルボン酸アルキルエステル(例えば、多価カルボン酸のC〜C12アルキルエステル等);トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル;トリメリット酸エステル;トリエチレングリコール ビス(2−エチルヘキサノエート)等のポリオキシアルキレングリコールのアルキルエステル(例えば、ジ、トリ又はテトラエチレングリコールのC〜C12アルキルエステル等);ゴム系ポリマー、ゴム系コポリマー(例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエンもしくはポリブテン、又はこれらの水素化物、これらの両末端に水酸基を導入した誘導体もしくはこれらの水素化物の両末端に水酸基を導入した誘導体等);熱可塑性エラストマー;石油樹脂;脂環族飽和炭化水素樹脂;テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;ロジンフェノール等のロジン系樹脂;不均化ロジンエステル系樹脂、重合ロジンエステル系樹脂、(水素添加)ロジンエステル系樹脂等のロジンエステル系樹脂;キシレン樹脂等;アクリルポリマー、アクリルコポリマー等のアクリル系樹脂;シリコーン系樹脂が挙げられ、多価カルボン酸アルキルエステルが好ましい。可塑剤の市販品は、Hexamoll DINCH(BASF社製)、LIRシリーズ(クラレ社製)及びポリオイルシリーズ(デグッサ社製)が挙げられる。可塑剤は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
組成物において、可塑剤の量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100重量部に対して、1〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは50〜150重量部である。
<接着付与剤>
接着付与剤は、シランカップリング剤、例えば、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル、メチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。接着付与剤は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
組成物において、接着付与剤の量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。
<酸化防止剤>
酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、オクチル化ジフェニルアミン、2,4,−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール及びイソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。酸化防止剤は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
組成物において、酸化防止剤の量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。
組成物は、その硬化物の弾性率が1kPa以上90kPa以下であり、かつ硬化物の伸び率が100%以上1,000%以下であるのが好ましい。組成物の硬化物がこのような弾性率及び伸び率を有することにより、組成物は、表示体と光学機能材料を貼り合わせた場合に、接着面が剥がれたり、表示体のガラスが割れたり、表示ムラになったりすることがない。硬化物の弾性率の下限は、10kPa以上がより好ましく、12kPa以上であるのが特に好ましい。硬化物の弾性率の上限は、50kPa以下がより好ましい。硬化物の伸び率の下限は、200%以上であるのがより好ましい。硬化物の伸び率の上限は、700%以下であるのがより好ましく、500%以下であるのがさらに好ましく、300%未満であるのが特に好ましい。硬化物の弾性率及び伸び率は、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
組成物は、各成分を混合することにより調製することができる。混合の方法は、特に限定されず、各種金属、プラスチック容器、攪拌羽、攪拌機を用いることができる。
組成物は、エネルギー線(例えば、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線であり、紫外線が好ましい。)を照射することによって、硬化させることができる。エネルギー線の種類は、(C)光開始剤の反応可能な範囲の波長領域に応じて適宜選択することができる。紫外線の光源としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲンランプ、パルスキセノンランプ、LED等が挙げられる。エネルギー線の照射は、エネルギー線の積算光量が30〜15,000mJ/cmとなるように照射することができる。積算光量は、50〜12,000mJ/cmであるのが好ましく、100〜10,000mJ/cmであるのがより好ましい。
組成物は、2つの基材を組成物を介して接着するための組成物として使用することができる。基材は、特に限定されないが、画像表示装置の構成部材が好ましい。このような基材の材料は、視認性向上や外部衝撃から表示素子の割れ防止を目的とするアクリル板(片面又は両面ハードコート処理やARコート処理してあってもよい)、ポリカーボネート板、ポリエチレンテレフタレート(PET)板、ポリエチレンナフタレート(PEN)板等の透明プラスチック板、強化ガラス(飛散防止フィルムが付いていてもよい)及びタッチパネル入力センサーが挙げられる。組成物を、接着用組成物として使用する方法は、従来公知の方法を使用することができる。2つの基材が組成物を介して接着された積層体の具体例は、EL照明、電子ペーパー、液晶表示装置及び有機EL表示装置等の画像表示装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。表示は、特に断りがない限り、重量部、重量%である。
(組成物の調製)
表1に示す配合の各成分を均一に混合し、実施例・比較例の光硬化性樹脂組成物を調製した。
(特性)
以下の方法により、特性を測定した。結果を表1に示す。
<弾性率及び伸びの測定>
弾性率及び破断時の伸びは、JISZ1702 No.3ダンベル試験片(厚さ1mmt)を島津製作所製オートグラフを用いて10m/minの速度により測定した。なお、ダンベル試験片は、コンベア付拡散メタルハライドランプを使用し、積算光量6,000mJ/cmで硬化させた。
<ITO腐食試験方法>
(1)試験片の作製
スライドガラス(松浪ガラス社製 S1112)に光硬化性樹脂組成物を塗布し、ITO(Indium−Tin−Oxide)が全面に形成されたガラスのITO面を貼り合せた。光硬化性樹脂組成物は100μm〜200μmの厚みとなる様に、塗布量を調整した。また、後に、光硬化性樹脂組成物の塗布部と非塗布部との境目を評価するため、ITO面の一部に光硬化性樹脂組成物が塗布されない部分を残した。貼り合せた部材に、積算光量6,000mJ/cmで紫外線(アイグラフィクス社製メタルハライドランプ)を照射し、光硬化性樹脂組成物を硬化し、2枚のガラスが光硬化性樹脂組成物を介して貼り合せられた試験片を得た。
(2)促進試験
貼り合せられた試験片を耐光性試験機に投入し、評価の促進を行い、促進試験後の試験片を得た。なお、耐光性試験においては、株式会社東洋精機製作所製装置(ATLAS Ci4000)を使用し、試験条件はASTM D4459の条件とし、試験時間は500時間であった。
(3)試験片の解析
促進試験後の試験片から、スライドガラスを除去し、更に、ITO面に残った光学弾性貼り合せ樹脂を溶剤(メチルシクロへキサン)を含ませた洗浄綿で拭き取り除去し、ITO面の腐食の有無を評価した。
表1で用いられた成分は以下の通りである。
UV3630ID80:ポリウレタンアクリレート(重量平均分子量:35,000)(日本合成化学工業株式会社製)
LA:ラウリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
I−TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド(BASF社製)
I−184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製)
Inox1010:ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製)
KBM−503:3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社)
PE−1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製)
AMSD:2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン
Hexamoll DINCH:1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(BASF社製)
表1に示されるように、実施例1及び2は、硬化物が柔軟性を有し、かつ、金属の腐食を抑制できた。
比較例1は、チオール化合物及び(A)成分のいずれも含まないため、柔軟性を有する硬化物が得られなかった。
比較例2は、チオール化合物を含むため、柔軟性を有する硬化物が得られたが、金属の腐食を抑制できなかった。
組成物は、硬化物が柔軟性を有し、かつ、金属の腐食を抑制できる。そのため、表示体と光学機能性材料とを貼り合わせるための組成物、及び表示体と光学機能性材料とを貼り合わせるための組成物が提供されるため、産業上極めて有用である。

Claims (4)

  1. (A)スチレン構造を有する化合物、(B)ラジカル重合性樹脂(但し、スチレン構造を有する化合物を除く)及び(C)光開始剤を含む、光硬化性樹脂組成物。
  2. (A)スチレン構造を有する化合物が、下記式(1)及び式(2)からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。


    (式(1)中、
    R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、H又はC〜Cの脂肪族炭化水素基であり、
    式(2)中、
    R7は、H、C〜Cの脂肪族炭化水素基、又はフェニル基であり、
    R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、H又はC〜Cの脂肪族炭化水素基である)
  3. (B)ラジカル重合性樹脂が、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 樹脂組成物の硬化物の弾性率が1kPa以上90kPa以下であり、かつ硬化物の伸び率が100%以上1,000%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
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