JP6496901B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体の製造方法に関し、具体的には画像表示装置である積層体の製造方法に関する。
スマートフォン等に用いられる画像表示装置には、液晶表示パネルや有機ELパネルといった表示体の上に、通常、光透過性部材が設けられている。表示体と光透過性部材との接着に、光硬化性樹脂組成物を使用することが知られている。画像表示装置においては、コントラスト向上等を図るため、光透過性部材の周縁部に、ブラックマトリックスといった遮光層が設けられていることが多い。そのため、表示体と光透過性部材とを光硬化性樹脂組成物を介して重ねて、光照射しても、遮光層の存在によって光が遮られ、硬化が十分に進行せず、流れ出しが生じたり、接着不足になるといった事態が生じ得る。
このような問題を解決するため、光硬化性樹脂組成物に熱重合開始剤を配合して、光照射した後、さらに熱硬化させる方法が提案されている(特許文献1)。
さらに、熱硬化プロセスを使用せずに、光硬化プロセスのみを用いる方法として、表示体の表面に、光硬化性樹脂組成物を遮光層の厚さよりも厚く塗布し、紫外線を10〜80%の硬化率となるように照射し仮硬化させた後に、光透過性部材を重ね、さらに紫外線を照射して本硬化させる方法が提案されている(特許文献2)。
国際公開2008/126860号公報 特開2013−151151号公報
しかしながら、特許文献2の方法では、仮硬化における硬化率を高くすると、その後、光透過性部材を重ねて本硬化した際に、十分な接着力が発揮されず、一方、仮硬化における硬化率を低くすると、従来のとおり、遮光層の存在によって、硬化が十分に進行しない部分が生じてしまうという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決し、光硬化プロセスのみを用いて、十分な接着力によって基材同士が接着した積層体、例えば画像表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明1は、基材1に、光硬化性樹脂組成物を塗布して塗布層を形成する工程、塗布層に、紫外線照射強度が100mW/cm未満の光を照射して仮硬化樹脂層を形成する工程、仮硬化樹脂層の上に基材2を貼り合わせる工程、及び基材1及び基材2の間の仮硬化樹脂層に、光を照射して本硬化させる工程を含む、積層体の製造方法に関する。
本発明2は、仮硬化樹脂層を形成する工程の光が、紫外線照射強度が1〜50mW/cmの光である、本発明1の積層体の製造方法に関する。
本発明3は、仮硬化樹脂層を、塗布層における光硬化性樹脂組成物の硬化率が40〜90%となるように、紫外線照射強度が100mW/cm未満の光を照射することにより形成する、本発明1又は2の積層体の製造方法。
本発明4は、紫外線照射強度100mW/cm未満の光が、365nmをピークとするLED及び/又は405nmをピークとするLEDを光源とする、本発明1〜3のいずれかの積層体の製造方法に関する。
本発明5は、紫外線照射強度が100mW/cm未満の光が、300nm以下の波長の光をカットする光学フィルター及び/又は500nm以上の波長をカットする光学フィルターを通した光である、本発明1〜4のいずれかの積層体の製造方法に関する。
本発明6は、光硬化性樹脂組成物が、(メタ)アクリレートオリゴマー及び光重合開始剤を含む、本発明1〜5のいずれかの積層体の製造方法に関する。
本発明7は、(メタ)アクリレートオリゴマーが、(水添)ポリイソプレン、(水添)ポリブタジエン又はポリウレタン構造を骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマーである、本発明6の積層体の製造方法に関する。
本発明8は、基材1又は基材2の一方が、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、保護パネル又はタッチパネルであり、もう一方が光透過性部材である、本発明1〜7のいずれかの積層体の製造方法に関する。
本発明9は、積層体が画像表示装置である、本発明1〜8のいずれかの積層体の製造方法に関する。
本発明の積層体の製造方法によれば、光硬化プロセスのみを用いて、十分な接着力によって基材同士が接着した積層体、例えば画像表示装置が提供される。
実施例の接着力の評価プロセスである。 実施例及び比較例の仮硬化で用いた光の発光スペクトルである。
本発明の積層体の製造方法は、下記の工程(A)〜(D)を含む。
工程(A):基材1に、光硬化性樹脂組成物を塗布して塗布層を形成する工程、
工程(B):塗布層に、紫外線照射強度が100mW/cm未満の光を照射して仮硬化樹脂層を形成する工程、
工程(C):仮硬化樹脂層の上に基材2を貼り合わせる工程、及び
工程(D):基材1及び基材2の間の仮硬化樹脂層に、光を照射して本硬化させる工程。
<積層体>
本発明の製造方法の目的物である積層体は、基材1及び基材2が、光硬化性樹脂組成物を用いて接着されている。基材1及び基材2は、特に限定されず、同じ基材であっても、異なる基材であってもよい。工程Dで、仮硬化樹脂層に光を照射する点から、基材1及び基材2の少なくとも一方は、光透過性部材であることが好ましい。積層体は、基材1及び基材2に加えて、さらなる基材を含んでいてもよく、その基材の接着方法は、特に限定されない。
例えば、基材1又は基材2の一方を表示体とし、他方を光透過性部材とすることにより、種々の画像表示装置である積層体を製造することができる。例えば、基材1又は基材2の一方を液晶表示パネルとし、他方を光透過性部材とすることにより、液晶表示装置が製造でき、一方を有機EL表示パネルとし、他方を光透過性部材とすることにより、有機EL表示装置を製造することができる。
例えば、基材1又は基材2の一方を透明電極が形成された光透過性基板とし、他方を光透過性部材とすることにより、タッチパネルを製造することができる。さらに、基材1又は基材2の一方をタッチパネルとし、他方をアイコンシートや化粧板とすることもできる。
例えば、基材1又は基材2の一方を保護パネルとし、他方を画像表示装置や種々の基板等とすることにより、保護パネル付きの画像表示装置や保護パネル付の基板を製造することができる。さらに、基材1を保護パネルとし、基材2を光透過性部材とすることもできる。
光透過性部材を用いる場合、光透過性部材は、積層体の目的に応じた光透過性を有していればよく、例えば積層体が画像表示装置の場合、表示体に形成された画像が視認可能な程度の光透過性を有していればよい。光透過性部材としては、ガラス、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー等の板状材料やシート状材料が挙げられる。これらは、片面又は両面に、ハードコード処理、反射防止処理、防眩処理、防汚処理、防曇処理、偏光処理、波長カット処理等がなされていてもよい。また、光透過性部材には遮光層が形成されていてもよい。
<工程A>
工程Aは、基材1に、光硬化性樹脂組成物を塗布して塗布層を形成する工程である。光硬化性樹脂組成物としては、(メタ)アクリレートオリゴマー及び光重合開始剤を含む組成物を使用することができる。
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、特に限定されず、(水添)ポリイソプレン、(水添)ポリブタジエン又はポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。これらの(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種類又は2種類以上を使用できる。ここで、(水添)ポリイソプレンは、ポリイソプレン及び/又は水添ポリイソプレンを包含し、(水添)ポリブタジエンは、ポリブタジエン及び/又は水添ポリブタジエンを包含する。
(水添)ポリイソプレンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル変性ポリイソプレンとも呼ばれ、好ましくは1000〜100000、より好ましくは10000〜50000の分子量を有する。市販品として、例えば、クラレ社製の「UC−1」(分子量25000)がある。
(水添)ポリブタジエンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル変性ポリブタジエンとも呼ばれ、好ましくは500〜100000、より好ましくは1000〜30000の分子量を有する。市販品として、例えば、日本石油社製の「TE2000」(分子量2000)がある。
ポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル変性ポリウレタンとも呼ばれ、好ましくは1000〜100000、より好ましくは10000〜50000の分子量を有する。市販品として、例えば、ライトケミカル社製の「UA−1」、日本合成化学工業社製の「UV3630ID80」がある。
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーが特に好ましい。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、特に限定されず、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−メチルチオ]フェニル]−2−モルホリノプロパンー1−オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、2,4−ジエチルチオキサントン、2ークロロチオキサントン、ベンゾフェノン、エチルアントラキノン、ベンゾフェノンアンモニウム塩、チオキサントンアンモニウム塩、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、1,4ジベンゾイルベンゼン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2,2’ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2’−ビイミダゾール、2,2’ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイル ビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、o−メチルベンゾイルベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル、活性ターシャリアミン、カルバゾール・フェノン系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、ベンゾイル系光重合開始剤などを例示できる。
光重合開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド等が好ましい。
光重合開始剤は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量部であり、さらに好ましくは1〜10質量部である。
光硬化性樹脂組成物には、反応希釈剤として、(メタ)アクリレートモノマーを含むことができ、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等を例示できる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、1〜250質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜200質量部であり、さらに好ましくは50〜150質量部である。
光硬化性樹脂組成物には、可塑剤を含むことができる。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソノニル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル等の多価カルボン酸エステル;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル;トリメリット酸エステル;ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン等のゴム系ポリマー;熱可塑性エラストマー;石油樹脂;脂環族飽和炭化水素樹脂;テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;ロジンフェノール等のロジン系樹脂;不均化ロジンエステル系樹脂、重合ロジンエステル系樹脂、水添(水素化)ロジンエステル系樹脂等のロジンエステル系樹脂等が挙げられる。
可塑剤としては、多価カルボン酸エステル、ロジンエステル系樹脂等が好ましく、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、(水素化)ロジンエステル系樹脂がより好ましい。
可塑剤は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
可塑剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは30〜400質量部であり、さらに好ましくは50〜300質量部である。
光硬化性樹脂組成物は、さらに、接着付与剤を含むことができる。接着付与剤として、シランカップリング剤、例えば、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル、メチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどを例示できる。
接着付与剤は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
接着付与剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、0.01〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは1〜5質量部である。
光硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤としては、BHT、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、オクチル化ジフェニルアミン、2,4,−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジブチルヒドロキシトルエンを例示できる。
酸化防止剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、0.01〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは1〜5質量部である。
光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、顔料、充填剤、連鎖移動剤、光安定剤、表面張力調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、抑泡剤等を配合することができる。
光硬化性樹脂組成物は、各成分を混合することにより調製することができる。混合の方法は、特に限定されず、各種金属、プラスチック容器、攪拌羽、攪拌機を用いることができる。
光硬化性樹脂組成物を基材1に塗布する方法は、特に限定されず、ダイコーター、ディスペンサー、スクリーン印刷等による方法を利用することができる。
塗布層の厚みは、特に限定されず、例えば10〜500μmとすることができ、30〜350μmが好ましい。
<工程B>
工程(B)は、塗布層に、紫外線照射強度が100mW/cm未満の光を照射して仮硬化樹脂層を形成する工程である。
工程(B)の照射に用いられる光は、紫外線照射強度が100mW/cm未満であるものであり、本硬化後の強度発現の点から、好ましくは、50mW/cm以下であり、より好ましくは、30mW/cm以下であり、また、仮硬化樹脂層を形成できるまでの時間の点から、好ましくは、1mW/cm以上である。本明細書において、紫外線照射強度は、照度計を用いて測定された最大強度であり、使用する光源の300〜500nmの波長分布において最も照射強度が高い波長に対応する波長域に感度を持つ照度計によって、測定することができる。光源は、300〜500nmの波長分布において、単一又は複数のピークを有していてもよいが、最も高い照射強度が100mW/cm未満であればよい。このような光源を使用することにより、仮硬化での液だれ、流れ出しを防止と本硬化後の強度発現が両立できる。
工程(B)の照射に用いられる光について、全波長の照射強度の積算値に対する300〜500nmの波長の照射強度の積算値は、特に限定されないが、本硬化後の強度発現の点から、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。
光源としては、紫外線(UV)が発せられる光源を使用することができ、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲンランプ、パルスキセノンランプ等が挙げられる。これらの光源から発せられる光を、光学フィルターを通すことによって、特定の波長の光に調整してもよい。具体的には、300nm以下の波長の光をカットする光学フィルター及び/又は500nm以上の波長をカットする光学フィルターを通すことにより調整することができる。このような光学フィルターとしては、石英製干渉フィルター(型番:A7028−05、浜松フォトニクス社製)、LTフィルター、RTフィルター(ともにHOYA社製)、バンドパスフィルター(アイグラフィックス社製)等が挙げられる。LEDを光源とした光も使用することができ、光源として365nmをピークとするLED、405nmピークとするLED、375nmをピークとするLED、385nmをピークとするLED、395nmをピークとするLED等が挙げられる。
塗布層に対して、紫外線照射強度が100mW/cm未満の光を照射することにより、塗布層の樹脂組成物を仮硬化させて仮硬化樹脂層を形成する。照射方法は、特に限定されず、例えば紫外線積算光量が30〜7500mJ/cmとなるように照射することができる。積算光量は、好ましくは50〜5000mJ/cm、より好ましくは100〜2000mJ/cmである。
仮硬化性樹脂層の硬化率は、本硬化後の強度発現や流れ出し、液ダレ防止の点から、40〜90%であることが好ましく、より好ましくは45〜80%であり、さらに好ましくは50〜70%である。硬化率は、光硬化性樹脂組成物の紫外線照射前後の(メタ)アクリル基の減少率で定義され、FT−IRによって測定することができる。
<工程C>
工程Cは、仮硬化樹脂層の上に基材2を貼り合わせる工程である。仮硬化樹脂層を形成した基板1の上に、仮硬化樹脂層に接するように基板2を載置し、場合により、基板1側及び/基板2側から加圧して、基板1と基板2とを貼り合わせることができる。加圧方法は、特に限定されず、ゴムローラ、平板プレス装置等を用いることができる。
<工程D>
工程Dは、基材1及び基材2の間の仮硬化樹脂層に、さらに光を照射して本硬化させる工程である。基材1、基材2のいずれかが光透過性部材である場合、光透過性部材である基材側から光を照射して、本硬化させることができる。
光は、特に限定されず、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線を使用することができ、好ましくは紫外線である。光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、パルスキセノンランプ等を用いることができる。
光の照射方法は、特に限定されず、例えば強度10〜1500mW/cmの光を、積算光量500〜10000mJ/cmとなるように照射することができる。強度は、好ましくは100〜1000mW/cm、より好ましくは200〜500mW/cmであり、積算光量は、好ましくは1000〜6000mJ/cm、より好ましくは1500〜4500mJ/cmである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。表示は、特に断りがない限り、質量部、質量%である。
表1に示す配合の各成分をポリエチレン容器に秤量し、スリーワンモーター(東京理科機器社製、MAZELA)、攪拌羽を用いて均一に混合し、光硬化性樹脂組成物を調製した。
<実施例1>
26mm×75mm×1.1mmtガラスに、光硬化性樹脂の塗布部分が10mm×10mmの正方形状になるようにセロハンテープ(50μmt)3枚を用いて作成した150μmtの厚みのスペーサーを貼り、金属スキージを用いて光硬化性樹脂組成物塗布層を形成した後、スペーサーを除去した(図1(1))。
表2に示す仮硬化条件で、水銀キセノンランプ(HOYA社製、EXECURE4000、図2に発光スペクトルを示す)を用いて、紫外線照射強度(365nm)30mW/cm(浜松ホトニクス社製にて測定)で照射をして、仮硬化樹脂層を形成した。全波長の照射強度の積算値に対する300〜500nmの波長の照射強度の積算値を波長分布測定における発光強度を積算して求めたところ、約85%であることがわかる。
仮硬化樹脂層の硬化率は、光硬化性樹脂組成物の紫外線照射前後のアクリル基の減少率としてFT−IR(Perkin Elmer社製、Spectrum100)により測定した。減少率は、紫外線照射前の樹脂組成物層のFT−IR測定チャートにおけるベースラインからの800〜820cm-1の吸収ピーク高さ(X)と紫外線照射後の樹脂組成物層のFT−IR測定チャートにおけるベースラインからの800〜820cm-1の吸収ピーク高さ(Y)とを以下の数式(1)に代入することにより求めた。

硬化率(%)={(X−Y)/X}×100 ・・・(1)

別の26mm×75mm×1.1mmtガラスを用意し、仮硬化樹脂層を形成したガラス上に、仮硬化樹脂層が接するようにして載置し、加圧して貼り合わせた(図1(2))。
仮硬化樹脂層の流れ出し、液だれについて観察し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
流れ出し・液だれ大:×
流れ出し・液だれ小:△
流れ出し・液だれなし:○
メタルハライドランプ(200〜400mW/cm)にて3000mJ/cmで、ガラス越しに仮硬化樹脂層に光照射し、本硬化させた。
接着したガラス積層体について、引っ張り試験機(ミネベア製、テクノグラフTG-2kN)を用いて、せん断方向に10mm/分にて引っ張り強度を測定し、以下の基準で評価した(図1(3))。結果を表2に示す。
0.3MPa未満:×
0.3〜0.5MPa未満:△
0.5MPa以上:○
<実施例2>
表3に示す仮硬化条件で、水銀キセノンランプ(HOYA社製、EXECURE4000、図2に発光スペクトルを示す)を用いて、紫外線照射強度(365nm)10mW/cmで照射をして、仮硬化樹脂層を形成した他は、実施例1と同様にして、ガラス積層体を調製し、引っ張り強度を測定した。
<比較例1>
表4に示す仮硬化条件で、水銀キセノンランプ(HOYA社製、EXECURE4000、図2に発光スペクトルを示す)を用いて、紫外線照射強度(365nm)100mW/cmで照射をして、仮硬化樹脂層を形成した他は、実施例1と同様にして、ガラス積層体を調製し、引っ張り強度を測定した。
実施例1及び2では、仮硬化樹脂層の硬化率が高くても、十分な接着力でガラス同士が接着した積層体が得られることがわかる。
本発明の積層体の製造方法によれば、光硬化プロセスのみを用いて、十分な接着力によって基材同士が接着した積層体、例えば画像表示装置が提供されるため、産業上の有用性が高い。
1 ガラス板
2 塗布層
3 仮硬化樹脂層
4 引っ張り試験機(模式図)

Claims (2)

  1. 基材1に、光硬化性樹脂組成物を塗布して塗布層を形成する工程、
    塗布層に、紫外線照射強度が10〜30mW/cmの光を照射して仮硬化樹脂層を形成する工程、
    仮硬化樹脂層の上に基材2を貼り合わせる工程、及び
    基材1及び基材2の間の仮硬化樹脂層に、光を照射して本硬化させる工程を含む、
    画像表示装置である積層体の製造方法であって、
    基材1又は基材2の一方が、表示体であり、もう一方が光透過性部材であり、
    光硬化性樹脂組成物が、(メタ)アクリレートオリゴマー光重合開始剤及び可塑剤を含み、(メタ)アクリレートオリゴマーが、ポリウレタン構造を骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマーであり、
    紫外線照射強度が10〜30mW/cmの光が、300nm以下の波長の光をカットする光学フィルター及び/又は500nm以上の波長をカットする光学フィルターを通した光、あるいは365nmをピークとするLED及び/又は405nmをピークとするLEDを光源とする光であり、
    仮硬化樹脂層を、塗布層における光硬化性樹脂組成物の硬化率が40〜80%となるように、紫外線照射強度が10〜30mW/cmの光を照射することにより形成する、
    画像表示装置である積層体の製造方法。
  2. 基材1又は基材2の一方が、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、保護パネル又はタッチパネルであり、もう一方が光透過性部材である、請求項1記載の積層体の製造方法。
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