JP2017139169A - 燃料電池装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱による劣化を伴うことなく、セルスタックの端部と中央部とにおける温度差を抑制することが可能な燃料電池装置を提供する。【解決手段】ケーシング10は、セルスタックCSの端部と対向配置される端部側流路である第2流路311bと、端部側流路よりも中央部寄りの位置でセルスタックCSと対向配置される中央部側流路である第3流路311cと、を有する。第2流路311bを流れる流体の流速は、第3流路311cを流れる流体の流速よりも小さい。【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池装置に関する。
燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて電気化学反応を生じさせ、電力を発生させる燃料電池装置の研究開発が進められている。その発電効率は非常に高く、また、発電に伴って排出するガスは環境への影響が小さいことから、燃電池装置は次世代の発電装置として注目されている。
このような燃料電池装置では、単セル等と称される発電素子を多数用いてセルスタックを構成することが一般的となっている。各単セルの発電量は微小であるが、多数の単セルを電気的に直列に接続することにより、セルスタック全体では大きな電力を発生させることが可能となる。セルスタックを構成する単セルの数が多いほど、セルスタックが発電可能な電力は大きい。
燃料電池装置の動作時、セルスタックは、電気化学反応の反応熱に伴って昇温する。このため、単セルを多数用いて構成することによってセルスタックが大型化すると、セルスタック内において温度差が生じることがある。すなわち、セルスタックの中央部は、端部と比較して外部に放熱し難いため、端部よりも高温となることがある。セルスタック内において生じるこのような温度差は、セルスタックの発電性能の低下を招く。
このような課題に対し、下記特許文献1では、セルスタック内の温度を均一にするための手段を備えた燃料電池装置が提案されている。詳細には、当該燃料電池装置は、セルスタックと対向する端部にバーナーを備えている。セルスタックの端部がバーナーによって加熱されて昇温することにより、セルスタック内における温度差が抑制される。
特開2008−218277号公報
上記特許文献1に記載の燃料電池装置では、セルスタック内の温度差を抑制するために外部から加熱を行うことにより、セルスタックが過度に昇温するおそれがあった。セルスタックが過度に昇温すると、単セルを構成している金属材料の劣化が進行し、セルスタックの寿命が短くなってしまう。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱による劣化を伴うことなく、セルスタックの端部と中央部とにおける温度差を抑制することが可能な燃料電池装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池装置は、燃料電池装置(FC,FCA)であって、燃料ガス及び酸化剤ガスが供給され、電力を発生させるセルスタック(CS)と、前記セルスタックを収容するケーシング(10)と、を備える。前記ケーシングは、前記セルスタックの端部と対向配置される端部側流路(311b)と、前記端部側流路よりも中央部寄りの位置で前記セルスタックと対向配置される中央部側流路(311c)と、を有する。前記端部側流路を流れる流体の流速は、前記中央部側流路を流れる流体の流速よりも小さい。
上記構成によれば、セルスタックは、セルスタックと対向配置される端部側流路及び中央部側流路を流れる流体によって冷却される。詳細には、端部側流路及び中央部側流路の壁面は、発電に伴い高温になったセルスタックから輻射熱が伝達されて昇温するが、端部側流路及び中央部側流路を流れる流体がこれらの壁面から熱を奪う。この結果、端部側流路及び中央部側流路の壁面を介して、セルスタックが流体によって冷却される。
端部側流路を流れる流体の流速は、中央部側流路を流れる流体の流速よりも小さい。したがって、端部側流路における壁面と流体との間の熱伝達係数は、中央部側流路における壁面と流体との間の熱伝達係数よりも小さくなる。これにより、セルスタックの中央部と比べて温度が低くなる傾向がある端部では、流体による冷却を中央部寄りの位置と比べて緩和することができる。この結果、加熱による劣化を伴うことなく、セルスタックの端部と中央部とにおける温度差を抑制することが可能となる。
本発明によれば、加熱による劣化を伴うことなく、セルスタックの端部と中央部とにおける温度差を抑制することが可能な燃料電池装置を提供することができる。
第1実施形態に係る燃料電池装置の内部を示す模式図である。 図1に示される燃料電池装置におけるガス及び水の流れを示す説明図である。 図1に示される燃料電池装置における輻射熱の伝達を示す説明図である。 第2実施形態に係る燃料電池装置の内部を示す模式図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、第1実施形態に係る燃料電池装置FCは、セルスタックCSと、ケーシング10と、燃料ガス供給部20と、第1空気供給部31と、第2空気供給部32と、燃焼部40と、燃焼ガス排出部50と、を備えている。まず、図1を参照しながら、セルスタックCS及びケーシング10の構成について説明する。
セルスタックCSは、複数の単セルCを上下方向に積層させることによって構成されている。図1では、一部の単セルCのみを図示している。各単セルCは、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)であり、電極として正極(アノードまたは燃料極とも言い、Anとも記す)と負極(カソードまたは空気極とも言い、Caとも記す)と、を有している。複数の単セルCは、全て電気的に直列に接続されている。各単セルCの正極及び負極は、いずれも導電性セラミックスで形成されている。正極と負極との間には、イオン伝導性を有する固体電解質が設けられている。セルスタックCSは、ベースプレートBP上に立設されている。
ケーシング10は、セルスタックCSを収容する筐体である。ケーシング10は、第1筒状体101と、第2筒状体102と、第3筒状体103と、第4筒状体104と、第5筒状体105と、下部筒状体108と、を有している。第1筒状体101、第2筒状体102、第3筒状体103、第4筒状体104、第5筒状体105及び下部筒状体108は、いずれも金属製で略円筒状に形成されており、それぞれの中心軸が同軸となるように配置されている。
第1筒状体101は、上端を塞ぐ天板部101aと、円筒状の円筒部101bと、を有している。第1筒状体101は、ベースプレートBP上に立設されたセルスタックCSをその内部に収容しており、その下端がベースプレートBP上に当接して固定されている。円筒部101bの下部には、後述する第1空気供給部31の吹出口313が形成されている。
第2筒状体102は、円筒状に形成され、その下端がベースプレートBP上に当接して固定されている。第2筒状体102は、円筒部101bの外側面と所定の距離を保つように、円筒部101bを覆っている。これにより、第2筒状体102の内側面と円筒部101bの外側面との間に隙間が形成されている。この隙間は、後述する空気流路311の第3流路311cとなる。
第3筒状体103は、その上端から下端まで径がほぼ一様の筒状に形成されている。第3筒状体103は、第2筒状体102の外側に配置されている。第3筒状体103は、第2筒状体102の外側面と所定の距離を保つように、その外側面を覆っている。これにより、第3筒状体103の内側面と第2筒状体102の外側面との間に隙間が形成されている。この隙間は、後述する燃焼ガス流路502の第1流路502aとなる。
第4筒状体104は、その下端にフランジ部104aを有する筒状に形成されており、第3筒状体103の外部に配置されている。このフランジ部104aは、ケーシング10の固定に利用される。第4筒状体104は、第3筒状体103の外側面と所定の距離を保つように、その外側面を覆っている。これにより、第4筒状体104の内側面と第3筒状体103の外側面との間に隙間が形成されている。この隙間は、後述する燃焼ガス流路502の第3流路502cとなる。第4筒状体104の下部の内部には、円板状の底板104bが配置されている。底板104bは、第4筒状体104の内部を上下に区画している。
第2筒状体102、第3筒状体103及び第4筒状体104のそれぞれの上端部の上方には、円環状の環状内蓋106が配置されている。環状内蓋106は、第2筒状体102の内側面及び第4筒状体104の外側面に対して固定され、第2筒状体102と第4筒状体104との間に形成される空間を覆っている。環状内蓋106は、その下面が第3筒状体103上端との間に隙間を空けて配置されることで、第2筒状体102と第3筒状体103との間に形成されている隙間と、第3筒状体103と第4筒状体104との間に形成されている隙間と、を連通させている。
第5筒状体105は、第4筒状体104の外部に配置され、第4筒状体104の上部の外側を覆っている。第5筒状体105は、第4筒状体104の外側面と所定の距離を保つように、その外側面を覆っている。これにより、第5筒状体105の内側面と第4筒状体104の外側面との間に隙間が形成されている。この隙間は、後述する空気流路311の第1流路311aとなる。
第5筒状体105の上端部は、上面蓋107によって覆われている。前述した環状内蓋106は、上面蓋107の下面との間に隙間を形成するように配置されている。この隙間は、後述する空気流路311の第2流路311bとなる。
下部筒状体108は、第3筒状体103の下部の内部に配置され、その上端がベースプレートBPの下面に当接して固定されている。また、下部筒状体108は、その外側面が第3筒状体103の内側面との間に隙間を形成するように配置されている。この隙間は、後述する燃焼ガス流路502の第1流路502aとなる。また、下部筒状体108の下部には、後述する燃焼ガス排出部50の燃焼ガス排出口501が形成されている。
次に、図1及び図2を参照しながら、燃料ガス供給部20、第1空気供給部31、第2空気供給部32、燃焼部40及び燃焼ガス排出部50の構成について説明する。
燃料ガス供給部20は、水供給管201と、都市ガス供給管240と、改質ユニット202と、燃料ガス供給管203と、脱硫器204(図2参照)と、を有している。
水供給管201は、その内部に水を流す配管である。水供給管201は、ケーシング10の第4筒状体104を貫通し、改質ユニット202まで延びるように形成されている。
都市ガス供給管240は、炭化水素ガスを含む都市ガスをその内部に流す配管である。都市ガスは、都市ガス供給管240の上流において脱硫器204を通過する際に、セルスタックCSの発電性能の低下を招く硫黄成分が除去される。都市ガス供給管240は、都市ガスに加えて空気を流すこともできる。都市ガス供給管240は、水供給管201よりも上方の位置でケーシング10の第4筒状体104を貫通し、改質ユニット202まで延びるように形成されている。
改質ユニット202は、下部筒状体108を囲むように円環状に形成されている。改質ユニット202は、その中心軸が第1筒状体101等の中心軸と同軸となるように配置されている。改質ユニット202は、下部筒状体108と第3筒状体103との間に形成される隙間に配置されている。また、改質ユニット202は、その内周側の側面が下部筒状体108の外側面との間に隙間を形成するとともに、その外周側の側面が第3筒状体103の内側面と当接するように配置されている。
また、改質ユニット202は、その内部に水蒸発器206と、改質器208と、を有している。後述するように、改質ユニット202は、水蒸発器206及び改質器208を内部に収めることでユニット化されている。水供給管201及び都市ガス供給管240は、この改質ユニット202に接続されている。詳細には、水供給管201及び都市ガス供給管240は、改質ユニット202の水蒸発器206に接続されている。
燃料ガス供給管203は、改質ユニット202に接続され、改質ユニット202から排出される燃料ガスをその内部に流す配管である。燃料ガス供給管203は、改質ユニット202から水平方向に延び、さらに上方のベースプレートBPまで延びるように形成されている。
第1空気供給部31は、空気流路311と、第1空気導入管312と、吹出口313と、を有している。
空気流路311は、第1流路311a、第2流路311b及び第3流路311cを有している。第1流路311aは、第4筒状体104と第5筒状体105との間に形成された隙間である。第2流路311bは、環状内蓋106と上面蓋107との間に形成された隙間である。第3流路311cは、第1筒状体101と第2筒状体102との間に形成された隙間である。
第1流路311aと第2流路311bとは連続して形成されている。また、第2流路311bと第3流路311cとは連続して形成されている。これにより、第2流路311bを介して第1流路311aから第3流路311cに連続する流路が形成されている。
第1空気導入管312は、第5筒状体105の外側面に接続される配管である。第1空気導入管312は、空気流路311の第1流路311aに連通している。
吹出口313は、第1筒状体101を貫通する孔である。吹出口313は、第1筒状体101の下部に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。
第2空気供給部32は、第2空気導入管321と、吹出管322と、を有している。
第2空気導入管321は、空気をその内部に流す配管である。第2空気導入管321は、ケーシング10の底板104bを下方から貫通して下部筒状体108の内部に延びている。第2空気導入管321は、その上端近傍に螺旋状の螺旋部321aが形成されている。
吹出管322は、第2空気導入管321と連通している配管である。吹出管322は、第1筒状体101の内部において、ベースプレートBPから上方に向けて突出するように設けられている。吹出管322は、第2空気導入管321を流れる空気を第1筒状体101の内部に吹き出す。
燃焼部40は、燃焼室401と、バーナー402と、イグナイタ403と、を有している。
燃焼室401は、下部筒状体108の内部に形成された空間である。燃焼室401の上部はベースプレートBPによって区画され、その下部は底板104bによって区画されている。
バーナー402は、セルスタックCSにおける電気化学反応に用いられなかった残余の燃料ガスをその内部に流し、下端から燃焼室401内に供給する筒状の部材である。バーナー402は、ベースプレートBPから下方の燃焼室401内に向けて突出し、第2空気導入管321の螺旋部321aに覆われるように設けられている。
イグナイタ403は、着火装置である。イグナイタ403は、ケーシング10の底板104bを貫通して燃焼室401内に臨出するよう設けられている。イグナイタ403は、高電圧が印加されることで火花放電を発生させ、燃焼室401内の燃料ガスに着火して燃焼させる。このような残余の燃料ガスの燃焼により、燃焼室401内で燃焼ガスが発生する。
燃焼ガス排出部50は、燃焼ガス排出口501と、燃焼ガス流路502と、燃焼ガス排出管503と、を有している。
燃焼ガス排出口501は、下部筒状体108を貫通する孔である。燃焼ガス排出口501は、下部筒状体108の下部に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
燃焼ガス流路502は、第1流路502a、第2流路502b及び第3流路502cを有している。
第1流路502aは、下部筒状体108と第3筒状体103との間に形成された隙間と、第2筒状体102と第3筒状体103との間に形成された隙間である。第2流路502bは、環状内蓋106と第3筒状体103上端との間に形成された隙間である。
第3流路502cは、第3筒状体103と第4筒状体104との間に形成された隙間である。
第1流路502aと第2流路502bとは連続して形成されている。また、第2流路502bと第3流路502cとは連続して形成されている。これにより、第2流路502bを介して第1流路502aから第3流路502cに連続する流路が形成されている。
燃焼ガス排出管503は、ケーシング10の第4筒状体104の外側面に接続される配管である。燃焼ガス排出管503は、燃焼ガス流路502の第3流路502cと連通している。
次に、図1及び図2を参照しながら、燃料電池装置FCの動作について説明する。
燃料電池装置FCの起動工程の際など、セルスタックCSや改質器208の温度が低い状態にあるときは、燃料ガス供給部20は、都市ガス及び空気を改質ユニット202に供給する。都市ガス及び空気は、都市ガス供給管240によって改質ユニット202に供給され、まず水蒸発器206に導入される。そして、水蒸発器206を通過した都市ガス及び空気は改質器208に導入される。
改質器208は、その内部に改質触媒が配置されている。改質器208において、都市ガスに含まれる炭化水素ガスと、空気に含まれる酸素とによる部分酸化改質が行われる。この部分酸化改質により、水素を含む燃料ガスが生成される。部分酸化改質は発熱反応であることから、改質器208において生成される燃料ガスも高温となる。このようにして高温になった燃料ガスが、セルスタックCSを構成する単セルCの正極Anに供給されることで、セルスタックCSが加熱されて昇温し、燃料電池装置FCの迅速な起動に寄与する。
一方、第1空気供給部31の第1空気導入管312によってケーシング10内に導入される空気は、図1に示されるように、空気流路311の第1流路311aを上方に流れる。第1流路311aを流れ終えた空気は、次に、第2流路311bにおいてその向きを下方に変え、さらに第3流路311cを下方に流れる。第3流路311cを流れて第1筒状体101の下部に至った空気は、吹出口313から第1筒状体101の内部に向けて吹き出し、セルスタックCSを構成する燃料電池セルの負極Caに供給される。
後述するように、空気流路311を流れる空気は、高温の燃焼ガスを熱源として加熱され、昇温する。このようにして高温になった空気が、セルスタックCSを構成する単セルCの負極Caに供給されることで、セルスタックCSが加熱されて昇温し、燃料電池装置FCの迅速な起動に寄与する。
また、第2空気供給部32の第2空気導入管321によってケーシング10内に導入される空気は、図1に示されるように、螺旋部321aを上方へと流れる。この空気は、バーナー402の周囲を旋回しながら流れることにより、バーナー402から熱を受けて温度が上昇する。一方、バーナー402は、螺旋部321aを流れる空気に熱を奪われることで、過度な昇温が抑制される。第2空気導入管321を通過し、温度が上昇した空気は、吹出管322から第1筒状体101の内部に吹き出され、セルスタックCSを構成する燃料電池セルの負極Caに供給される。
セルスタックCSでは、以上のように供給される燃料ガスと空気を用いて電気化学反応を生じさせ、発電を行う。セルスタックCSにおける電気化学反応に用いられなかった残余の燃料ガスは、バーナー402から燃焼室401内に吹き出され、イグナイタ403によって着火されて燃焼する。この燃焼の結果として、燃焼室401内に高温の燃焼ガスが発生する。
燃焼室401内で発生した高温の燃焼ガスは、燃焼ガス排出口501から排出され、燃焼ガス流路502の第1流路502aに流入する。第1流路502aには改質ユニット202が配置されており、燃焼ガスは改質ユニット202の側面に沿って上方に流れる。これにより、高温の燃焼ガスによって改質ユニット202の改質器208が加熱され、昇温する。
改質ユニット202の側面を通過した第1流路502aの燃焼ガスは、空気流路311の第3流路311cを流れる空気と、第2筒状体102を挟んで逆向きに流れる。これにより、第3流路311cを流れる空気は、第2筒状体102を介して高温の燃焼ガスによって加熱され、昇温する。
第1流路502aを通過した燃焼ガスは、第2流路502bにおいてその向きを下方に変え、次に第3流路502cを下方に流れる。第3流路502cの燃焼ガスは、空気流路311の第1流路311aを流れる空気と、第4筒状体104を挟んで逆向きに流れる。これにより、第1流路311aを流れる空気は、第4筒状体104を介して高温の燃焼ガスによって加熱され、昇温する。
第3流路502cをさらに下方に流れた燃焼ガスは、改質ユニット202の外側面が当接する第3筒状体103の下部に沿って流れる。これにより、改質ユニット202の水蒸発器206は、第3筒状体103を介して高温の燃焼ガスによって加熱され、昇温する。
第3流路502cを流れ終えた燃焼ガスは、燃焼ガス排出管503を介してケーシング10から排出される。この燃焼ガスは、図2に示される排熱回収器504を通過することによって熱を回収され、低温になって排出される。
燃料電池装置FCの運転に伴い、セルスタックCSや改質器208が所定温度まで昇温した後は、燃料ガス供給部20は、空気に代えて、あるいは空気に加えて、水供給管201に水を流して改質ユニット202に供給する。都市ガスとともに改質ユニット202に供給された供給された水は、まず水蒸発器206に導入される。前述したように水蒸発器206は燃焼ガスによって加熱されて昇温していることから、水蒸発器206に導入された水は加熱されて蒸発し、水蒸気となる。
水蒸発器206において発生した水蒸気は、都市ガスとともに改質器208に導入される。改質器208では、その内部の改質触媒により、水蒸気と、都市ガスに含まれる炭化水素ガスとによる水蒸気改質が行われ、水素を含む燃料ガスが生成される。水蒸気改質は、部分酸化改質に比べて水素の収率が高い改質反応である。改質器208は、燃焼ガス流路502を流れる高温の燃焼ガスから熱の供給を受けることで、吸熱反応である水蒸気改質を行っている。
セルスタックCSや改質器208が高温となり、燃料電池装置FCがセルスタックCSからの電力の取り出しが可能な発電行程(換言すれば、定常運転)に移行する際は、改質器208における水蒸気改質により水素リッチな燃料ガスを生成可能な状態となっている。このような燃料ガスの供給を受けることにより、燃料電池装置FCは高効率で発電を行うことが可能となる。
発電に伴い、セルスタックCSは高温となって輻射熱を発する。この輻射熱は、ケーシング10に伝達され、第1筒状体101等の温度が上昇する。第1筒状体101の円筒部101bの外側面と第2筒状体102の内側面との間を流れる空気は、第1筒状体101からの熱伝達によってさらに高温になる。すなわち、当該空気は、燃焼ガスに加えて、セルスタックCSからの輻射熱を熱源として加熱される。
次に、図3を参照しながら、燃料電池装置FCにおける熱伝達について説明する。図3は、セルスタックCSが発する輻射熱を破線の矢印によって示している。
図3に示されるように、ケーシング10の環状内蓋106は、上面蓋107の下面との間に、空気流路311の第2流路311bとなる隙間を形成するように配置されている。詳細には、環状内蓋106は、セルスタックCSの上端部CS1から下方に距離Hだけ離間した位置に配置されている。これにより、第2流路311bは、セルスタックCSの上端部CS1と対向配置され、第3流路311cは、第2流路311bよりも中央部寄りの位置CS2までの範囲でセルスタックCSと対向配置される。第2流路311bの流路断面積は、第3流路311cの流路断面積よりも大きい。
すなわち、第2流路311b及び第3流路311cの壁面である第1筒状体101の円筒部101bのうち、第2流路311bに対応する壁面3111はセルスタックCSの上端部CS1と対向しており、第3流路311cに対応する壁面3112はセルスタックCSの中央部寄りの位置と対向している。
このような構成によれば、セルスタックCSは、セルスタックCSと対向配置される第2流路311b及び第3流路311cを流れる流体によって冷却される。詳細には、第2流路311b及び第3流路311cの壁面3111,3112は、発電に伴い高温になったセルスタックCSから輻射熱が伝達されて昇温するが、第2流路311b及び第3流路311cを流れる空気がこれらの壁面3111,3112から熱を奪う。この結果、第2流路311b及び第3流路311cの壁面3111,3112を介して、セルスタックCSが空気によって冷却される。
第2流路311bを流れる空気の流速は、第3流路311cを流れる空気の流速よりも小さい。したがって、第2流路311bにおける壁面3111と空気との間の熱伝達係数は、第3流路311cにおける壁面3112と空気との間の熱伝達係数よりも小さくなる。これにより、セルスタックCSの中央部と比べて温度が低くなる傾向がある上端部CS1では、空気による冷却を中央部寄りの位置と比べて緩和することができる。この結果、加熱による劣化を伴うことなく、セルスタックCSの上端部CS1と中央部とにおける温度差を抑制することが可能となる。
尚、前述した距離Hは、セルスタックCSの上端部CS1と、上端部CS1よりも中央部寄りの位置CS2との温度差に基づいて適宜設定することが好ましい。具体的には、仮に、第3流路311cがセルスタックCSの上端部CS1と対応する高さまで延びていた場合に(すなわち、距離Hが0であった場合に)、上端部CS1との温度差が5%程度となる位置を位置CS2とし、その位置CS2まで第2流路311bを配置するように距離Hを設定することが好ましい。
また、第2流路311b及び第3流路311cは連続して形成されている。更に、第2流路311bの断面積は、第3流路311cの断面積よりも大きい。この構成によれば、連続して形成された第2流路311b及び第3流路311cに空気を供給することによって、第2流路311bを流れる空気の流速を、第3流路311cを流れる空気の流速よりも小さくすることが可能となる。この結果、加熱による劣化を伴うことなく、セルスタックCSの上端部CS1と中央部とにおける温度差を抑制することが可能となる。
また、第2流路311b及び第3流路311cに、セルスタックCSに供給する空気が流れるように構成されている。
空気は酸素ガスを含有するため、セルスタックCSの各単セルCのカソードCaに供給する酸化剤ガスとして用いることができる。一般的に、このようにセルスタックCSに供給される空気の流量は、改質器208に供給される空気の流量よりも大きくなる。
したがって、この構成によれば、比較的大きな流量でセルスタックCSに供給される空気を用いてセルスタックCSの冷却を行うため、第2流路311bと第3流路311cとにおける空気の流速差を大きくすることができる。これにより、セルスタックCSの中央部と比べて温度が低くなる傾向がある上端部CS1では、空気による冷却を中央部寄りの位置と比べて確実に緩和することができる。この結果、加熱による劣化を伴うことなく、セルスタックCSの上端部CS1と中央部とにおける温度差を抑制することが可能となる。
また、第3流路311cは、第2流路311bの下流側に形成されている。さらに、第2流路311bは、上方に向かって流れる空気を下方に折り返して第3流路311cに流すように形成されている。この構成によれば、セルスタックCSからの輻射熱によって加熱された空気が、自然対流によって第2流路311bに留まり易くなる。このため、第2流路311bを流れる空気の流速を、第3流路311cを流れる空気の流速よりも確実に小さくすることができる。この結果、加熱による劣化を伴うことなく、セルスタックCSの上端部CS1と中央部とにおける温度差を抑制することが可能となる。
続いて、第2実施形態に係る燃料電池装置FCAについて、図4を参照しながら説明する。この燃料電池装置FCAは、第1実施形態と同様に、燃料ガス及び酸化剤ガスによって電力を発生させる発電装置である。燃料電池装置FCAは、輻射遮蔽板109を備えている点で第1実施形態と異なる。燃料電池装置FCAのうち、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
輻射遮蔽板109は、ステンレス等、耐熱性が高い金属材料によって形成された部材である。輻射遮蔽板109は、金属板を環状に加工することによって形成されている。また、輻射遮蔽板109は、その中心軸が第1筒状体101等の中心軸と同軸となるように配置されている。
輻射遮蔽板109は、第2流路311bにおいて、セルスタックCSの上端部CS1と対応する位置に配置されている。また、輻射遮蔽板109は、その一側面をセルスタックCS側に向けて配置されている。
このように形成された燃料電池装置FCAによれば、セルスタックCSが発する輻射熱の伝達を輻射遮蔽板109によって遮蔽することが可能となる。これにより、セルスタックCSの中央部と比べて温度が低くなる傾向がある上端部CS1では、空気による冷却を中央部寄りの位置と比べて緩和することができる。この結果、加熱による劣化を伴うことなく、セルスタックCSの上端部CS1と中央部とにおける温度差を抑制することが可能となる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
10:ケーシング
109:輻射遮蔽板
311b:第2流路(端部側流路)
311c:第3流路(中央部側流路)
CS:セルスタック
FC,FCA:燃料電池装置

Claims (6)

  1. 燃料電池装置(FC,FCA)であって、
    燃料ガス及び酸化剤ガスが供給され、電力を発生させるセルスタック(CS)と、
    前記セルスタックを収容するケーシング(10)と、を備え、
    前記ケーシングは、前記セルスタックの端部と対向配置される端部側流路(311b)と、前記端部側流路よりも中央部寄りの位置で前記セルスタックと対向配置される中央部側流路(311c)と、を有し、
    前記端部側流路を流れる流体の流速は、前記中央部側流路を流れる流体の流速よりも小さい、燃料電池装置。
  2. 前記端部側流路及び前記中央部側流路は連続して形成されており、
    前記端部側流路の断面積は、前記中央部側流路の断面積よりも大きい、請求項1に記載の燃料電池装置。
  3. 前記端部側流路及び前記中央部側流路に、前記セルスタックに供給する空気が流れるように構成されている、請求項2に記載の燃料電池装置。
  4. 前記端部側流路は、屈曲していることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池装置。
  5. 前記中央部側流路は、前記端部側流路の下流側に形成されており、
    前記端部側流路は、上方に向かって流れる空気を下方に折り返して前記中央部側流路に流すように形成されている、請求項4に記載の燃料電池装置。
  6. 輻射熱の伝達を抑制する輻射遮蔽板(109)が前記端部側流路に配置されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃料電池装置。
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