JP6379789B2 - 燃料電池装置 - Google Patents

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Description

本発明は燃料電池装置に関する。
燃料電池装置は、燃料及び酸化剤が持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電装置である。その発電効率は非常に高く、また排出されるガスも比較的クリーンであることから、次世代の発電装置として注目されている。
燃料電池装置の動作中においては、燃料電池スタック(セルスタック)の温度は発電に適した温度に維持される。例えば、固体酸化物型の燃料電池装置の場合、燃料電池スタックは約700度の高温に維持される。
また、燃料電池スタックでは発電に伴って熱が生じる。このため、発電量が比較的大きな定常運転時においては、当該熱によって燃料電池スタックの温度は上昇する傾向にある。従って、燃料電池スタックは冷却されることによって発電に適した温度に維持される。具体的には、酸化剤が、予め燃料電池スタックとの熱交換が行われるような流路を通過した後に燃料電池スタックに供給される。つまり、酸化剤によって燃料電池スタックの冷却が行われる。
一方、燃料電池装置の起動時においては、燃料電池スタックの温度を発電に適した温度まで短時間で上昇させる必要がある。しかし、起動時には発電が行われていない(もしくは発電量が非常に小さい)ため、燃料電池スタックの温度は発電に伴う熱によっては上昇し難い。このため、起動時においては、燃料電池スタックは定常運転時のように冷却されるのではなく、むしろ加熱される必要がある。
下記特許文献1に記載の燃料電池装置では、酸化剤(空気)が通る流路内にバーナーが配置されている。起動時においては、当該バーナーによって加熱された高温の空気を燃料電池スタックに供給することにより、短時間で燃料電池スタックの温度を上昇させる構成となっている。
特開2005−317232号公報
しかしながら、起動時における酸化剤(及び燃料電池スタック)の加熱を目的としてバーナーを追加することは、燃料電池装置の構造を複雑化させ、コストの上昇につながってしまう。また、バーナーが内部に追加配置されることによって燃料電池装置全体のサイズが大型化してしまうという問題も生じ得る。更に、燃料電池装置の起動が完了して定常運転状態となった後は、上記のように燃料電池スタックは加熱されるのではなく冷却される必要があるので、バーナーは停止することとなる。つまり、追加されるバーナーは起動時にしか用いられないので、この点に鑑みても無駄が大きい。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、起動時専用のバーナーを追加して設けることなく、起動時において燃料電池スタックの温度を迅速に上昇させることのできる燃料電池装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池装置は、原燃料を改質して改質燃料を生成する改質器(302)と、改質燃料と酸化剤との供給を受けて発電する燃料電池スタック(CS)と、燃料電池スタックから排出された改質燃料を燃焼させることにより、改質器を加熱する燃焼器(20)と、酸化剤を、燃料電池スタックと熱交換させた後に燃料電池スタックに供給する第1供給手段(40)と、を備えている。また、酸化剤を、燃焼器における燃焼により生じた燃焼熱により加熱して、燃料電池スタックと熱交換させることなく燃料電池スタックに供給する第2供給手段(50)を更に備えている。また、上記の燃料電池装置には、燃焼器の熱膨張に伴って第2供給手段が変形してしまうことを抑制する変形抑制手段(GP)が設けられている。
本発明に係る燃料電池装置では、酸化剤を燃料電池セルスタックに供給する手段として、単一ではなく二つの供給手段(第1供給手段、第2供給手段)を備えている。燃料電池装置の起動が完了して発電が定常的に行われるようになった状態においては、第1供給手段から酸化剤を燃料電池スタックに供給することで、燃料電池スタックを酸化剤により冷却して適温に保つことができる。また、燃料電池装置の起動時においては、第2供給手段から高温の酸化剤を燃料電池スタックに供給することで、燃料電池スタックの温度を迅速に上昇させ、短期間で起動を完了させることができる。
第2供給手段から燃料電池スタックに供給される酸化剤は、改質器を加熱するために設けられた既存の燃焼器によって加熱されて高温となる。つまり、本発明によれば、起動時専用のバーナーを追加して設けることなく、起動時において高温の空気を燃料電池スタックに供給することができる。
ところで、起動時において、酸化剤を途中で燃料電池スタックと熱交換させるような経路で燃料電池スタックに供給した場合には、燃料電池スタックの温度上昇が酸化剤によって妨げられてしまうことも起こりうる。例えば、燃料電池スタックの温度がある程度上昇した後(起動ステップの終盤)においては、複雑な流路を通って温度が低下した酸化剤の方が燃料電池スタックよりも低温となってしまうことがある。この場合、輻射等の伝熱によって燃料電池スタックの熱が酸化剤に奪われてしまい(つまり、酸化剤との熱交換によって燃料電池スタックが冷却され)、燃料電池スタックの温度上昇が妨げられてしまうこととなる。
これに対し、本発明における第2供給手段は、酸化剤ガスを燃料電池スタックと熱交換させることなく燃料電池スタックに供給するように構成されている。酸化剤は、燃焼器における燃焼により生じた燃焼熱により加熱された後、複雑な流路を通ることなく直ちに燃料電池スタックに供給される。酸化剤により燃料電池スタックの熱が奪われてしまうことが抑制される結果、起動時における燃料電池スタックの温度上昇が更に迅速に行われる。
本発明によれば、起動時専用のバーナーを追加して設けることなく、起動時において燃料電池スタックの温度を迅速に上昇させることのできる燃料電池装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池装置の内部構造を示す模式図である。 図1に示される燃料電池装置における、熱及び空気の流れを示すブロック図である。 図1に示される燃料電池装置における、熱及び空気の流れを示すブロック図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、燃料電池装置FCは、燃料電池スタックCS(セルスタック)と、ケーシング10と、燃焼器20と、改質ユニット30と、を備えている。
燃料電池スタックCSは、複数の燃料電池セル(不図示)の集合体である。各燃料電池セルは、固体酸化物形の燃料電池セル(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)であって、平板状の固体電解質の一方側の面に燃料極(アノード)が形成され、他方側の面に空気極(カソード)が形成された構成となっている。これら燃料極及び空気極は、いずれも導電性のセラミックスで形成された多孔質体である。
燃料電池スタックCSでは、全ての燃料電池セルが上下方向に積層されており、これらが電気的に直列接続された状態となっている。燃料電池スタックCSは、スタックアダプタADを介してベースプレートBPの上面側に立設されている。
スタックアダプタADは、内部に複数のガス流路(不図示)が形成された板状の部材である。後に説明するように、燃料電池スタックCSに対する燃料ガスの供給は、スタックアダプタADを介して行われる。また、燃料電池スタックCSからのガスの排出(発電に供しなかった残余の燃料ガス及び空気の排出)も、スタックアダプタADを介して行われる。ベースプレートBPは、ケーシング10の内部に水平に配置された円形の金属板である。ベースプレートBPにより、ケーシング10の内部空間は概ね上下2室に分けられている。
ケーシング10は、燃料電池スタックCS、燃焼器20、改質ユニット30等を内部に収容する略円柱形状の筐体である。ケーシング10は、その側面及び上面の全体を断熱材(不図示)により覆われている。ケーシング10は、第1筒状体110と、第2筒状体120と、第3筒状体130と、第4筒状体140と、第5筒状体150と、第6筒状体160とを有している。第1筒状体110、第2筒状体120、第3筒状体130、第4筒状体140、第5筒状体150、及び第6筒状体160は、いずれも金属製で中心軸周りに略円筒状に形成されており、それぞれの中心軸が同軸となるように配置されている。
第1筒状体110は、ケーシング10のうち最も内側に配置された筒状体であって、燃料電池スタックCS及びスタックアダプタADをその内部に収容している。第1筒状体110の上端は水平な天板181によって塞がれている。また、第1筒状体110の下端はベースプレートBPの上面に当接した状態で固定されている。第1筒状体110の下端から上端までの高さは、スタックアダプタADの下端から燃料電池スタックCSの上端までの高さよりも高くなっている。このため、天板181と燃料電池スタックCSの上端とは離間している。第1筒状体110の下部には、貫通孔である吹出口111が複数形成されている。これら複数の吹出口111は、同じ高さにおいて等間隔に並ぶよう形成されている。吹出口111は、燃料電池スタックCSに向けて供給される発電用の空気(酸化剤ガス)が通る孔である。
第2筒状体120は、第1筒状体110を外側から囲むように配置された筒状体である。第2筒状体120の内側面と第1筒状体110の外側面との間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。第2筒状体120と第1筒状体110との間に形成された空間は、発電用の空気が加熱されながら通る流路(空気流路403)となっている。
第2筒状体120の内径は、ベースプレートBPの外径と略等しい。第2筒状体120の下端部近傍における内側面は、全周に亘ってベースプレートBPの側面に当接している。当該当接部分において、第2筒状体120がベースプレートBPに対して固定されている。このような構成により、ベースプレートBPよりも下方側の空間と空気流路403との間を気体が出入りすることはできなくなっている。
第3筒状体130は、第2筒状体120を外側から囲むように配置された筒状体である。第3筒状体130の内側面と第2筒状体120の外側面との間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。第3筒状体130と第2筒状体120との間に形成された空間は、燃焼器20における燃焼により生じた高温の燃焼排ガスが通る流路(燃焼排ガス流路411)となっている。第3筒状体130の上端は、第2筒状体120の上端よりも低い位置に配置されている。第3筒状体130はベースプレートBPの下端よりも更に下方側まで延びている。
第4筒状体140は、第3筒状体130を外側から囲むように配置された筒状体である。第4筒状体140の内側面と第3筒状体130の外側面との間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。第4筒状体140と第3筒状体130との間に形成された空間は、燃焼器20における燃焼により生じた高温の燃焼排ガスが通る流路(燃焼排ガス流路412)となっている。
第2筒状体120の上端と第4筒状体140の上端とは、その高さ方向の位置が同一となっている。両者は、水平に配置されたドーナツ状の円板である天板182により繋がれている。つまり、第2筒状体120の上端が天板182の内周端に繋れており、第4筒状体140の上端が天板182の外周端に繋れている。第3筒状体130の上端と天板182との間には隙間が形成されている。このため、燃焼排ガス流路411と燃焼排ガス流路412とは、それぞれの上端部において互いに繋がっている。
第3筒状体130の下端と第4筒状体140の内側面とは、水平に配置されたドーナツ状の円板である底板183により繋がれている。つまり、燃焼排ガス流路412の下端が底板183により塞がれている。
第4筒状体140の下部(底板183よりも僅かに上方側)には、ガス排出管191が接続されている。ガス排出管191の内部空間は燃焼排ガス流路412に通じている。ガス排出管191は、燃焼排ガス流路412を通った燃焼排ガスをケーシング10の外部に排出するための配管である。
第4筒状体140は、第3筒状体130の下端よりも更に下方側まで延びている。第4筒状体140の下端には、当該下端から外側に向かって延びる水平なフランジ部141が形成されている。フランジ部141は、燃料電池装置FCが設置される際においてケーシング10の固定に利用されるフランジである。
第4筒状体140の下端部近傍には、水平な円板である底板184が配置されている。底板184の外径は第4筒状体140の内径と略等しい。底板184は、その外側面全体を第4筒状体140の内側面に当接させた状態で固定されている。底板184の下方側の空間には断熱材TIが配置されている。
第5筒状体150は、ケーシング10のうち最も外側に配置された筒状体であり、第4筒状体140の上部を外側から囲むように配置されている。第5筒状体150の内側面と第4筒状体140の外側面との間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。第5筒状体150と第4筒状体140との間に形成された空間は、発電用の空気が加熱されながら通る流路(空気流路401)となっている。
第5筒状体150は、第1筒状体110、第2筒状体120、第3筒状体130、及び第4筒状体140のいずれの上端よりも更に上方側まで延びている。第5筒状体150の上端は水平な天板185によって塞がれている。天板185と天板182との間には隙間402が形成されている。空気流路401の上端部と空気流路403の上端部とは、隙間402を介して互いに繋がっている。
第5筒状体150の下端と第4筒状体140の外側面とは、水平に配置されたドーナツ状の円板である底板186により繋がれている。つまり、空気流路401の下端が底板186により塞がれている。
第5筒状体150の下部(底板186よりも僅かに上方側)には、第1空気導入管192の一端が接続されている。第1空気導入管192の内部空間は空気流路401に通じている。第1空気導入管192は、発電用の空気をケーシング10の内部に導入するための配管である。第1空気導入管192の他端は、ケーシング10の外部に配置された第1ブロアBL1に接続されている。第1ブロアBL1は、空気供給源(本実施形態では大気)からの空気を、第1空気導入管192に送り込むための送風機である。
第6筒状体160は、第3筒状体130の内側であり且つベースプレートBPの下方側となる位置に配置された筒状体である。第6筒状体160は、上方側の部分である上円筒部161と、下方側の部分である下円筒部162とを有している。上円筒部161の径は下円筒部162の径に比べて小さい。上円筒部161の下端と下円筒部162の上端とは、水平に配置されたドーナツ状の円板である中間部163で繋がれている。上円筒部161の上端はベースプレートBPの下面に当接している。下円筒部162の下端は底板184の上面に当接している。
下円筒部162の径は第3筒状体130の径よりも小さい。このため、第3筒状体130と第6筒状体160との間には全周に亘って隙間が形成されている。また、当該隙間には改質ユニット30が配置されているが、改質ユニット30と第6筒状体160との間にも全周に亘って隙間が形成されている。以下の説明においては、第6筒状体160の内側に形成された空間を「内側空間601」とも称する。また、第6筒状体160の下円筒部162と、改質ユニット30の内側円筒320との間に形成された空間を、「外側空間602」とも称する。
下円筒部162のうち、改質ユニット30の下端部よりも低い位置には、貫通孔である流出口165が複数形成されている。これら複数の流出口165は、同じ高さにおいて等間隔に並ぶよう形成されている。これら流出口165により、内側空間601と外側空間602とが連通されている。流出口165は、燃焼器20における燃焼により生じた高温の燃焼排ガスが通る孔である。
燃焼器20は、発電に供しなかった残余の燃料ガス(以下、「残余燃料」とも称する)及び発電に供しなかった残余の空気(以下、「残余空気」とも称する)を混合して燃焼させることにより、改質ユニット30を加熱するためのバーナーである。燃焼器20はステンレス鋼により形成されている。燃焼器20は、全体が略円柱形状に形成されており、ベースプレートBPの下面のうち中央から下方に向けて突出するように配置されている。また、上面視において、燃焼器20はケーシング10の中央となる位置(上円筒部161の中心軸に沿った位置)に配置されている。
燃料電池スタックCSから排出された残余燃料及び残余空気は、いずれもスタックアダプタAD内に形成された流路(不図示)及びベースプレートBP内に形成された流路(不図示)を通じて、燃焼器20の上端部へと供給される。その後、残余燃料及び残余空気は、燃焼器20内に形成された流路(不図示)を通って燃焼器20の下端部に到達し、下端部において混合されながら下方に向けて噴出される。燃焼器20の下端部では、噴出された残余燃料及び残余空気が燃焼し、高温の燃焼排ガスが生じる。また、当該燃焼の熱により燃焼器20自体も高温となる。
燃焼器20の下方側には着火器IGが配置されている。着火器IGは、燃焼器20から噴出された残余燃料及び残余空気の混合気体に着火させて、燃焼を開始させるための装置である。着火器IGは、底板184及び断熱材TIを上下に貫いており、火花放電が生じる上端部を燃焼器20の下端に近接させた状態で配置されている。着火器IGによる着火は、燃料電池装置FCの起動時において行われる。
内側空間601には第2空気導入管510の一部が配置されている。第2空気導入管510は、ステンレス鋼によって形成された断面が円形の配管であって、底板184及び断熱材TIを上下に貫いた状態で配置されている。第2空気導入管510の一端(上端)はベースプレートBPの下面に接続されている。第2空気導入管510の他端は、ケーシング10の外部に配置された第2ブロアBL2に接続されている。第2ブロアBL2は、空気供給源(本実施形態では大気)からの空気を、第2空気導入管510に送り込むための送風機である。
また、第1筒状体110の内部空間(燃料電池スタックCSが収納されている空間)には空気噴出管520が配置されている。空気噴出管520は、ステンレス鋼によって形成された断面が円形の配管であって、その下端がスタックアダプタADの上面に接続されており、その上端が開放されている。空気噴出管520は燃料電池スタックCSの側方側に配置されており、その開放端(上端)は、第1筒状体110に形成された吹出口111の近傍に位置している。
第2空気導入管510の内部と空気噴出管520の内部とは、ベースプレートBP内に形成された空気流路(不図示)及びスタックアダプタAD内に形成された空気流路(不図示)を介して接続されている。つまり、第2ブロアBL2から第2空気導入管510に空気が送られると、当該空気は空気噴出管520の上端から噴出されて燃料電池スタックCSに供給される。
第2空気導入管510は、その上端近傍の部分(符号511が付された部分)が螺旋状となっており、当該部分が燃焼器20の周囲を取り囲んでいる。このため、第2空気導入管510を流れる空気は、燃焼器20の中心軸の周りを周回しながら流れることとなる。この螺旋状に形成された部分を、以下では螺旋部511と表記する。螺旋部511のうち最も内周側の部分と、燃焼器20の外周面との間は離間しており、隙間GPが形成されている。つまり、第2空気導入管510は、その一部たりとも燃焼器20とは繋がっておらず、燃焼器20とは別体の構造物となっている。
螺旋部511は、主に燃焼器20からの輻射熱を受けて高温となる。このため、第2空気導入管510の内部を上方に向かって流れる空気は、螺旋部511において加熱され高温となった状態で空気噴出管520に到達し、燃料電池スタックCSの周囲に噴出される。
また、燃焼器20は、第2空気導入管510及びこれを流れる空気に輻射熱を奪われるため(輻射により冷却されるため)、その温度上昇が抑制される。このように、第2空気導入管510は、燃料電池スタックCSに供給される空気の温度を上昇させる機能と、燃焼器20の温度が上昇し過ぎてしまうことを防止する機能と、を兼ね備えたものということができる。
改質ユニット30の構成について説明する。改質ユニット30は、改質反応によって都市ガス(原燃料)から燃料ガス(改質燃料:水素含有ガス)を生成する改質器302と、水蒸気を発生させて改質器302に供給する蒸発器301とが一体となったものである。改質ユニット30は、その全体が略円筒形状となっており、ケーシング10の内部のうち第3筒状体130と第6筒状体160との間の空間に配置されている。改質ユニット30は、外側円筒310と、内側円筒320と、天板330と、第1底板340と、第2底板350と、第1仕切板360と、第2仕切板370とを有している。
外側円筒310は、改質ユニット30の外側面を形成する筒状体である。外側円筒310の中心軸は第3筒状体130の中心軸と一致している。外側円筒310の外径は第3筒状体130の内径に略等しい。外側円筒310は、その外側面の略全体が第3筒状体130の内側面に当接している。外側円筒310は、底板183よりも更に下方側まで延びている。
内側円筒320は、改質ユニット30の内側面を形成する筒状体である。内側円筒320の中心軸は第3筒状体130の中心軸と一致している。内側円筒320の外径は、外側円筒310の内径よりも小さい。このため、外側円筒310と内側円筒320と間には空間が形成されている。後に説明するように、当該空間の一部が、水が水蒸気となって流れる空間となっている。また、当該空間の他の一部が、改質反応が生じて燃料ガスが生成される空間となっている。
内側円筒320の内径は、第3筒状体130の下円筒部162の外径よりも大きい。このため、既に説明したように、改質ユニット30と第6筒状体160との間には全周に亘って隙間が形成されている。内側円筒320の上端の高さは、外側円筒310の上端の高さと同一となっている。一方、内側円筒320の下端の高さは、外側円筒310の下端の高さよりも高くなっており、底板183の下端の高さと同一となっている。
天板330は、水平に配置されたドーナツ状の円板である。天板330の外側面は、外側円筒310の内側面のうち上端部に繋がっている。また、天板330の内側面は、内側円筒320の外側面のうち上端部に繋がっている。このように、天板330によって外側円筒310の上端と内側円筒320の上端とが繋がれている。
第1底板340は、水平に配置されたドーナツ状の円板である。第1底板340は底板183と同一の高さとなる位置に配置されている。第1底板340の外側面は、後述の第1仕切板360の内側面に繋がっている。また、第1底板340の内側面は、内側円筒320の内側面のうち下端部に繋がっている。
第2底板350は、水平に配置されたドーナツ状の円板である。第2底板350の外側面は、外側円筒310の内側面のうち下端部に繋がっている。また、第2底板350の内側面は、後述の第1仕切板360の外側面のうち下端部に繋がっている。このため、第2底板350は第1底板340よりも低い位置に配置されている。
第1仕切板360は、その一部が改質ユニット30の内部に配置された筒状体である。第1仕切板360の中心軸は、外側円筒310の中心軸及び内側円筒320の中心軸と一致している。第1仕切板360の外径は、外側円筒310の内径よりも小さい。このため、外側円筒310と第1仕切板360と間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。
第1仕切板360の上端の高さは、外側円筒310の上端の高さよりも低くなっている。このため、第1仕切板360の上端と天板330の下面との間には隙間が空いている。第1仕切板360の下端の高さは、外側円筒310の下端の高さと同一となっている。既に述べたように、第1仕切板360の下端部には外側から第2底板350が繋がっている。また、第1仕切板360には内側から第1底板340が繋がっている。
第2仕切板370は、その全体が改質ユニット30の内部に配置された筒状体である。第2仕切板370の中心軸は、外側円筒310の中心軸及び内側円筒320の中心軸と一致している。第2仕切板370の外径は、第1仕切板360の内径よりも小さい。このため、第2仕切板370と第1仕切板360と間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。また、第2仕切板370の内径は、内側円筒320の外径よりも大きい。このため、第2仕切板370と内側円筒320と間にも、全周に亘って一定の隙間が形成されている。
第2仕切板370は、その上端を天板330の底面に当接させた状態で、天板330に対して固定されている。第2仕切板370の下端の高さは、内側円筒320の下端の高さよりも高くなっている。このため、第2仕切板370の下端と第1底板340の上面との間には隙間が空いている。
以上のような構成により、改質ユニット30の内部には、外側円筒310と第1仕切板360と間に形成された空間である第1空間381と、第1仕切板360と第2仕切板370と間に形成された空間である第2空間382と、第2仕切板370と内側円筒320と間に形成された空間である第3空間383とが形成されている。第1仕切板360の上方において第1空間381と第2空間382とが繋がっており、第2仕切板370の下方において第2空間382と第3空間383とが繋がっている。
第2底板350には、水供給配管391の一端が下方から接続されている。水供給配管391は、第1空間381に水を供給するための配管である。水供給配管391の他端は、ケーシング10の外部に配置された水供給ポンプ(不図示)に接続されている。
後に詳しく説明するように、水供給配管391から第1空間381内に供給された水は、燃焼排ガス流路412を通る高温の燃焼排ガスによって加熱されて水蒸気となる。水蒸気は、第1空間381、第2空間382を順に通って、第3空間383の入口に到達する。このように、改質ユニット30のうち、第1空間381、第2空間382、及びこれらを区画する壁面は、外部から水の供給を受けて水蒸気を発生させる部分、すなわち蒸発器301に該当する部分となっている。
第1空間381には支持板352が配置されている。支持板352は、第1空間381を上下に仕切るように水平に配置されたドーナツ状の板である。支持板352は、第1底板340と同一の高さとなる位置において、外側円筒310及び第1仕切板360に対して固定されている。支持板352には複数の貫通孔(不図示)が形成されており、支持板352を水が通過し得るようになっている。第1空間381のうち支持板352よりも上方側には、外側円筒310から水への伝熱を促進するための伝熱促進部材CBが充填されている。伝熱促進部材CBは複数のアルミナの球体(セラミックボール)である。
第1底板340には、都市ガス供給配管392の一端が下方から接続されている。都市ガス供給配管392は、第3空間383の入口部分に都市ガスを供給するための配管である。都市ガス供給配管392の他端は、都市ガス供給源(不図示)に接続されている。都市ガス供給源とは、例えばガスメータである。
第3空間383には改質触媒RCが充填されている。改質触媒RCは、アルミナの球体表面にニッケル等の触媒金属を担持させたものである。第3空間383のうち、第2仕切板370の下端より僅かに高い位置には、水平に配置された金属網が固定されている。当該金属網によって改質触媒RCが下方から支えられている。
後に詳しく説明するように、都市ガス供給配管392から改質ユニット30の内部に供給された都市ガスは、第3空間383の入口部分において水蒸気と混合された後、第3空間383を上方に向かって流れる。この時、都市ガスと水蒸気が改質触媒RCに触れることによって水蒸気改質反応が生じ、燃料ガス(水素含有ガス)が生成される。このように、改質ユニット30のうち、第3空間383及びこれを区画する壁面は、蒸発器301からの水蒸気の供給、及び外部から都市ガスの供給を受けて水蒸気改質反応が生じる部分、すなわち改質器302に該当する部分となっている。改質触媒RCは、第3空間383の周方向全体に亘って充填されている。このため、蒸発器301から供給された水蒸気が、改質触媒RCに触れることなく第3空間383を通過してしまうことはない。
内側円筒320のうち上端部の近傍には、燃料ガス供給配管393の一端が接続されている。燃料ガス供給配管393は、改質ユニット30(改質器302)において生成された燃料ガスを燃料電池スタックCSへ供給するための配管である。燃料ガス供給配管393の他端はベースプレートBPの下面に接続されている。燃料ガスは、第3空間383の上部から燃料ガス供給配管393を通ってベースプレートBPに到達する。その後、ベースプレートBP内に形成された流路(不図示)及びスタックアダプタAD内に形成された流路(不図示)を通って、燃料電池スタックCSに供給される。
改質ユニット30は、耐熱性の部材からなる円筒型のシールブロックSBにより下方から支持されている。シールブロックSBは、その上端が改質ユニット30の下面(第1底板340)に当接しており、その下端が底板184の上面に当接している。シールブロックSBの内径は改質ユニット30の内径に等しい。また、シールブロックSBの径方向の寸法(厚さ)は、改質ユニット30の径方向の寸法(厚さ)よりも小さくなっている。このため、図1に示されるように、シールブロックSBの外側(改質ユニット30の下方側)には空間SPが形成されている。
第6筒状体160の外側の空間と空間SPとは、改質ユニット30及びシールブロックSBによって分離されており、両者の間をガスが通過することができなくなっている。高温の燃焼排ガスが空間SP内に流入しないため、空間SP内の気温は比較的低温に保たれている。
続いて、燃料電池装置FCの定常運転中、すなわち、起動が完了して定格電力又はそれに近い電力が出力されているときにおける、ガス(空気、都市ガス、燃料ガス、及び燃焼排ガス)の流れについて説明する。
まず、燃料電池スタックCSに供給される発電用の空気(酸化剤ガス)の流れについて説明する。空気は、ケーシング10の外部に配置された第1ブロアBL1から、第1空気導入管192を通じてケーシング10の内部に供給される。
第1空気導入管192を通じてケーシング10に供給された空気は、空気流路401を上方に向かって流れる。その後、隙間402を経由して空気流路403に流入し、空気流路403を下方に向かって流れる。
空気流路401と空気流路403との間には、燃焼排ガス流路411及び燃焼排ガス流路412が形成されている。これら燃焼排ガス流路411及び燃焼排ガス流路412の内部では、高温の燃焼排ガスが通っている。このため、ケーシング10内に導入された空気は、空気流路401及び空気流路403を通る間に燃焼排ガスによって加熱され、その温度を上昇させる。つまり、空気と燃焼排ガスとの間で熱交換が行われる。
また、発電中において燃料電池スタックCSは高温となっており、燃料電池スタックCSからの輻射熱によって第1筒状体110も高温となっている。このため、空気は、空気流路403を通る際において第1筒状体110に触れることにより更に加熱される。
このように、空気流路401及び空気流路403は、燃焼排ガスの熱及び燃料電池スタックCSからの輻射熱によって空気が加熱されながら流れる流路となっている。このため、以下の説明においては、空気流路401と空気流路403とをまとめて「第1空気加熱流路40」とも表記する。第1空気加熱流路40は、燃料電池スタックCSを側方から取り囲むように配置されている。第1空気加熱流路40は、燃焼器20における燃焼により生じた燃焼排ガスと、燃料電池スタックCSに供給される空気と、の間で熱交換を行う「予熱器」に該当するものである。
空気流路403の下部まで到達した空気は、第1筒状体110に形成された吹出口111から燃料電池スタックCSに向けて噴出される。その後、空気はそれぞれの燃料電池セルの空気極に到達し、発電に供される。
燃料電池スタックCSは、第1筒状体110及びその外側(空気流路403)を流れる空気に輻射熱を奪われて(輻射により冷却されて)、その温度上昇が抑制される。燃料電池スタックCSは、上記のように輻射伝熱によって熱を奪われることに加えて、空気流路403を通り吹出口111から噴出された空気に直接触れることによっても熱を奪われる。このように奪われる熱と、発電に伴って生じる熱とのバランスが保たれることにより、燃料電池スタックCSの温度は適切な温度(約700度)に保たれる。
このため、第1空気加熱流路40は、燃料電池スタックCSに発電用の空気を供給する機能と、燃料電池スタックCSを冷却してその温度を発電に適した温度(約700度)に保つ機能と、を兼ね備えたものということができる。
ところで、既に説明したように、燃料電池装置FCでは空気噴出管520からも燃料電池スタックCSに空気を供給することが可能となっている。つまり、第1空気加熱流路40とは別の流路からも空気を供給することが可能となっている。このため、第2ブロアBL2、第2空気導入管510、及び空気噴出管520を順に通る空気の流路のことを、以下では第2空気加熱流路50とも表記する。尚、燃料電池装置FCの定常運転中においては、第2ブロアBL2は停止している。このため、燃料電池スタックCSには第1空気加熱流路40からのみ空気が供給される。
燃料電池スタックCSに供給される燃料ガスの流れ、及び燃料ガスの原料である都市ガスの流れについて説明する。都市ガスは、ケーシング10の外部(都市ガス供給源)から都市ガス供給配管392を通じて改質ユニット30内に供給される。都市ガスの供給源と都市ガス供給配管392との間には脱硫器(不図示)が配置されている。脱硫器は、都市ガスに含まれる硫黄成分を除去するための装置である。都市ガスは、燃料電池セルの性能に悪影響を及ぼす硫黄成分が脱硫器によって除去された後、改質ユニット30内に供給される。
都市ガス供給配管392から改質ユニット30の内部に供給された都市ガスは、第3空間383の入口部分において水蒸気と混合される。その後、改質触媒RCが充填された第3空間383を上方に向かって流れる。
第6筒状体160の下円筒部162と、改質ユニット30の内側円筒320との間に形成された空間には、高温の燃焼排ガスが通っている。このため、都市ガス及び水蒸気は、第3空間383を通る間に燃焼排ガスによって加熱され、その温度を上昇させる。つまり、都市ガス及び水蒸気と燃焼排ガスとの間で熱交換が行われる。また、第3空間383に充填されている改質触媒RCも、内側円筒320を通じた伝熱によって高温となっている。
燃焼器20を取り囲む第6筒状体160は、燃焼排ガスによって加熱されていることに加え、燃焼器20からの輻射熱によっても加熱されているため、非常に高温となっている。その結果、改質ユニット30の内側円筒320には、高温となった第6筒状体160からの輻射熱(燃焼器20から第6筒状体160を経由して到達した輻射熱ともいえる)が到達している。つまり、内側円筒320を含む改質器302は、燃焼排ガスによって加熱されるだけではなく、燃焼器20からの輻射熱によっても加熱されている。
このような状態において、都市ガスと水蒸気の混合ガスが改質触媒RCに触れると、第3空間383(改質器302)では水蒸気改質反応が生じる。その結果、上記混合ガスから燃料ガスが生成される。尚、水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、反応を安定して維持させるためには熱の供給が必要となる。本実施形態においては、内側円筒320を通じて加えられる燃焼排ガスからの熱、及び燃焼器20からの輻射熱の両方が、水蒸気改質反応を維持するための熱として用いられる。
改質器302において生成された燃料ガスは、燃料ガス供給配管393及びスタックアダプタAD内の流路を通って燃料電池スタックCSに供給される。燃料ガスは、それぞれの燃料電池セルの燃料極に到達し、発電に供される。
燃焼排ガスの流れについて説明する。既に説明したように、燃料電池スタックCSから排出された残余燃料及び残余空気は燃焼器20に供給され、燃焼器20の下端部において燃焼する。当該燃焼の結果、第6筒状体160の内部(内側空間601)では高温の燃焼排ガスが生じる。燃焼排ガスは、流出口165を通って第6筒状体160の外側(外側空間602)へ流出する。
その後、燃焼排ガスは、内側円筒320に沿って外側空間602を上方に向かって流れる。このとき、既に述べたように、燃焼排ガスの熱は内側円筒320を通じて第3空間383に伝達され、水蒸気改質反応を維持するための熱の一部として用いられる。
外側空間602を通過した燃焼排ガスは、空気流路403を流れる空気との間で熱交換しながら、燃焼排ガス流路411を上方に向かって流れる。続いて、空気流路401を流れる空気との間で熱交換しながら、燃焼排ガス流路412を下方に向かって流れる。
改質ユニット30の外側円筒310は、支持板352よりも上方側の部分において第3筒状体130の内側面に当接している。このため、燃焼排ガス流路412を通る燃焼排ガスによって外側円筒310は高温となっている。
水供給配管391から第1空間381内に供給された水は、外側円筒310からの伝熱(燃焼排ガスの熱)により加熱されて水蒸気となる。つまり、水と燃焼排ガスとの間で熱交換が行われ、これにより第1空間381内で水蒸気が生成される。
燃焼排ガス流路412の下端部まで到達した燃焼排ガスは、ガス排出管191を通って排熱回収器(不図示)に供給される。排熱回収器は、燃焼排ガスと水と熱交換させることにより湯を生成するものである。このように、燃料電池装置FCは発電を行うことに加えて湯を生成することも可能となっており、高い効率でエネルギーを利用するコジェネレーションシステムとなっている。
続いて、水及び水蒸気の流れについて説明する。改質ユニット30(蒸発器301)には、ケーシング10の外部に配置された水供給ポンプ(不図示)から水供給配管391を通じて水が供給される。水供給ポンプは、水供給源(不図示)からの水を水供給配管391に送り込むためのポンプである。水供給配管391は第2底板350に対して下方から接続されている。このため、供給された水は、まず第1空間381の下部に形成された空間に溜まることとなる。具体的には、第1空間381のうち支持板352よりも下方側の空間である貯水部WSTに溜まることとなる。
貯水部WSTは、外側円筒310のうち底板183よりも下方側の部分(以下、当該部分を「区画壁311」とも表記する)と、第2底板350と、第1仕切板360のうち第1底板340よりも下方側の部分(以下、当該部分を「区画壁361」とも表記する)とによって区画された空間となっている。
貯水部WSTを区画する区画壁311、第2底板350、及び区画壁361は、改質ユニット30の底面の一部を下方に向けて延ばしたような形状となっている。これらは、いずれも空間SP内に配置されている。つまり、高温の燃焼排ガスが到達せず、比較的低温となっている空間内に配置されている。
また、燃焼排ガス流路412を通る燃焼排ガスによって外側円筒310は加熱されるのであるが、区画壁311は底板183よりも下方側に配置されているため、燃焼排ガスによって直接は加熱されない。このため、貯水部WST内において水が沸騰することはなく、貯水部WST内は全体が水(液体)で満たされている。
水供給ポンプから水が供給されることにより、第1空間381内の水面の高さは、支持板352の上面よりも僅かに高い位置に維持される。このため、支持板352の上方側に充填された伝熱促進部材CB(アルミナの球体)は、一部が水没した状態となっている。
第1空間381内においては、燃焼排ガスによって高温となった外側円筒310からの伝熱により、伝熱促進部材CBも高温となっている。支持板352よりも上方側に存在する水は、高温の伝熱促進部材CBに触れることにより沸騰し、水蒸気となる。
このように、第1空間381内において水は水蒸気となり、上方側に向かって流れる。その後、水蒸気は第2空間382を下方に向かって流れて、第3空間383(改質器302)に供給される。
燃料電池装置FCの定常運転時においては、燃料電池スタックCSは、第1空気加熱流路40を流れる空気により奪われる熱と、発電により生じた熱とがバランスすることによって、適切な温度(約700度)に保たれている。その結果、燃料電池スタックCSにおける発電が安定して行われる。
一方、燃料電池装置FCの起動時においては、発電が行われる状態に早期に移行するために、燃料電池スタックCSの温度を発電に適した温度まで短時間で上昇させる必要がある。しかしながら、起動時には発電が行われていない(もしくは発電量が非常に小さい)ため、燃料電池スタックCSの温度は発電に伴う熱によっては上昇し難い。このため、起動時においては、燃料電池スタックCSは定常運転時のように冷却されるのではなく、むしろ加熱される必要がある。
燃料電池スタックCSを加熱するための方法としては、例えば、燃焼器20において生じる燃焼熱を増加させることにより、第1空気加熱流路40の近傍(燃焼排ガス流路411)を通る燃焼排ガスの温度をより高温とすることが考えられる。つまり、燃焼排ガスの温度を高温とすることにより、第1空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される空気の温度を上昇させ、燃料電池スタックCSを加熱することができる。図2には、このような場合において第1空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される空気の流れ(矢印A11、A12)と、燃焼器20からの燃焼熱の流れ(矢印A21、A22、A23)とが模式的に示されている。
しかしながら、燃焼器20から生じた燃焼排ガスが第1空気加熱流路40の近傍(燃焼排ガス流路411)に到達する経路の途中には、改質器302が配置されている。このため、燃焼排ガスは、改質器302で生じている水蒸気改質反応(吸熱反応)によって熱の一部を奪われた後に、第1空気加熱流路40の近傍を通ることになる。
従って、第1空気加熱流路40を通る空気を十分に加熱するためには、改質器302を通過する際に熱が奪われることを見越して、更に多くの燃焼熱を燃焼器20において発生させなければならない。換言すれば、第1空気加熱流路40を通る空気を燃焼排ガスによって十分に加熱しようとすると、燃焼器20の温度が非常に高温になってしまう。その結果、燃焼器20が劣化してしまったり、破損してしまったりする可能性がある。
そこで、本実施形態に係る燃料電池装置FCでは、起動時における燃料電池スタックCSの加熱が、第1空気加熱流路40から供給される空気によって行われるのではなく、第2空気加熱流路50から供給される空気によって行われる。
具体的には、起動時においては、第1空気加熱流路40からではなく第2空気加熱流路50から、燃料電池スタックCSへの空気の供給が行われる。つまり、第1ブロアBL1を停止させ、第2ブロアBL2のみを動作させることにより、第2空気加熱流路50のみから燃料電池スタックCSに空気が供給される。
図3には、起動時において第2空気加熱流路50から燃料電池スタックCSに供給される空気の流れ(矢印A31、A32)と、燃焼器20からの燃焼熱の流れ(矢印A41、A42)とが模式的に示されている。
第2ブロアBL2から供給された空気は、第2空気加熱流路50のうち螺旋部511を通る際に、燃焼器20からの燃焼熱(主に輻射熱)によって加熱されて高温となる。その後、空気噴出管520から噴出されて、燃料電池スタックCSに直接供給される(矢印A32)。
図3に示されるように、燃焼器20からの燃焼熱は、途中で改質器302によって奪われることなく、第2空気加熱流路50において直接空気に伝達される。このため、燃料電池スタックCSに供給される空気の温度は十分に高温となる。また、改質器302において熱が奪われることを見越して燃焼熱を増加させる必要がないため、燃焼器20の温度が非常に高温になってしまうことがない。更に、螺旋部511への輻射伝熱によって燃焼器20の温度上昇が抑制されるため、燃焼器20への負荷は更に低減される。
また、第2空気加熱流路50を通る空気は、燃焼器20からの熱のみによって加熱され、途中で燃料電池スタックCSとの熱交換が行われることなくそのまま燃料電池スタックCSへと供給される。つまり、第1空気加熱流路40を通る空気とは異なり、途中で燃料電池スタックCSから輻射熱を奪うことなく、また、複雑な流路を通って温度が低下することなく、直ちに燃料電池スタックCSに供給される。このような構成により、空気により燃料電池スタックCSの熱が奪われてしまうことが抑制されるので、起動時における燃料電池スタックCSの温度上昇が更に迅速に行われる。
ところで、燃焼器20は燃料電池装置FCの中で最も高温となる部分であるから、熱膨張による変形も大きい。このため、空気を加熱するための配管を例えば燃焼器20と一体に形成した場合には、燃焼器20の熱膨張に伴って当該配管が変形し、熱応力によって破損してしまうことも考えられる。
しかしながら、本実施形態においては、第2空気導入管510は、その一部たりとも燃焼器20とは繋がっておらず、燃焼器20とは別体の構造物となっている。このため、燃焼器20が熱膨張しても、これに伴って第2空気導入管510が変形してしまうことはない。本実施形態においては、螺旋部511と燃焼器20との間に形成された隙間GPが、第2空気導入管510の変形を防止するための変形抑制手段として機能している。
尚、変形抑制手段の態様としてはこのようなもの(隙間GP)に限られない。例えば、空気の流路を区画する管壁と燃焼器との間に、比較的軟質な部材を介在させることによっても、燃焼器の熱膨張に伴う管壁の変形を抑制することができる。
本実施形態では、燃焼器20と第2空気導入管510との間が離間しているため、燃焼器20の熱は主に輻射によって第2空気導入管510に伝達される。このため、固体を介した熱伝導が行われる場合に比べると、伝熱の効率は小さい。しかしながら、第2空気導入管510のうち燃焼器20の近傍の部分(螺旋部511)は、燃焼器20の周囲を螺旋状に取り囲むように配置されている。このため、輻射伝熱を受ける部分の流路長が比較的長くなっているので、輻射のみであっても十分な量の熱が空気に伝達される。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
FC:燃料電池装置
CS:燃料電池スタック
20:燃焼器
40:第1空気加熱流路
50:第2空気加熱流路
510:第2空気導入管510
511:螺旋部
30:改質ユニット
302:改質器
GP:隙間

Claims (3)

  1. 原燃料を改質して改質燃料を生成する改質器(302)と、
    前記改質燃料と酸化剤との供給を受けて発電する燃料電池スタック(CS)と、
    前記燃料電池スタックから排出された前記改質燃料を燃焼させることにより、前記改質器を加熱する燃焼器(20)と、
    前記酸化剤を、前記燃料電池スタックと熱交換させた後に前記燃料電池スタックに供給する第1供給手段(40)と、を備え、
    前記酸化剤を、前記燃焼器における燃焼により生じた燃焼熱により加熱して、前記燃料電池スタックと熱交換させることなく前記燃料電池スタックに供給する第2供給手段(50)を更に備えており、
    前記燃焼器の熱膨張に伴って前記第2供給手段が変形してしまうことを抑制する変形抑制手段(GP)が設けられていることを特徴とする燃料電池装置。
  2. 前記変形抑制手段は、前記第2供給手段と前記燃焼器との間に形成された隙間であることを特徴とする、請求項に記載の燃料電池装置。
  3. 前記第2供給手段は、前記燃焼器の周囲を螺旋状に取り囲むように配置された配管(511)であることを特徴とする、請求項に記載の燃料電池装置。
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