以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1及び図2に示されるように、本発明の第1実施形態に係る燃料電池装置FCは、燃料電池スタックCS(セルスタック)と、ケーシング10と、燃焼器20と、改質ユニット30と、制御装置CUと、を備えている。
燃料電池スタックCSは、複数の燃料電池セル(不図示)の集合体である。各燃料電池セルは、固体酸化物形の燃料電池セル(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)であって、平板状の固体電解質の一方側の面に燃料極(アノード)が形成され、他方側の面に空気極(カソード)が形成された構成となっている。これら燃料極及び空気極は、いずれも導電性のセラミックスで形成された多孔質体である。
燃料電池スタックCSでは、全ての燃料電池セルが上下方向に積層されており、これらが電気的に直列接続された状態となっている。具体的には、燃料電池スタックCSは、一対のエンドプレート(不図示)の間に複数の燃料電池セルを積層してなるサブスタックを、その積層方向に沿って更に複数重ねた構成となっている。それぞれの燃料電池セルの間にはインターコネクタが介在している。燃料電池スタックCSは、スタックアダプタADを介してベースプレートBPの上面側に立設されている。
スタックアダプタADは、内部に複数のガス流路(不図示)が形成された板状の部材である。後に説明するように、燃料電池スタックCSに対する燃料ガスの供給は、スタックアダプタADを介して行われる。また、燃料電池スタックCSからのガスの排出(発電に供しなかった残余の燃料ガス及び空気の排出)も、スタックアダプタADを介して行われる。ベースプレートBPは、ケーシング10の内部に水平に配置された円形の金属板である。ベースプレートBPにより、ケーシング10の内部空間は概ね上下2室に分けられている。
ケーシング10は、燃料電池スタックCS、燃焼器20、改質ユニット30等を内部に収容する略円柱形状の筐体である。ケーシング10は、その側面及び上面の全体を断熱材(不図示)により覆われている。ケーシング10は、第1筒状体110と、第2筒状体120と、第3筒状体130と、第4筒状体140と、第5筒状体150と、第6筒状体160とを有している。第1筒状体110、第2筒状体120、第3筒状体130、第4筒状体140、第5筒状体150、及び第6筒状体160は、いずれも金属製で中心軸周りに略円筒状に形成されており、それぞれの中心軸が同軸となるように配置されている。
第1筒状体110は、ケーシング10のうち最も内側に配置された筒状体であって、燃料電池スタックCS及びスタックアダプタADをその内部に収容している。第1筒状体110の上端は水平な天板181によって塞がれている。また、第1筒状体110の下端はベースプレートBPの上面に当接した状態で固定されている。第1筒状体110の下端から上端までの高さは、スタックアダプタADの下端から燃料電池スタックCSの上端までの高さよりも高くなっている。このため、天板181と燃料電池スタックCSの上端とは離間している。第1筒状体110の下部には、貫通穴である吹出口111が複数形成されている。これら複数の吹出口111は、同じ高さにおいて等間隔に並ぶよう形成されている。吹出口111は、燃料電池スタックCSに向けて供給される発電用の空気(酸化剤ガス)が通る穴である。
第2筒状体120は、第1筒状体110を外側から囲むように配置された筒状体である。第2筒状体120の内側面と第1筒状体110の外側面との間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。第2筒状体120と第1筒状体110との間に形成された空間は、発電用の空気が加熱されながら通る流路(空気流路403)となっている。
第2筒状体120の内径は、ベースプレートBPの外径と略等しい。第2筒状体120の下端部近傍における内側面は、全周に亘ってベースプレートBPの側面に当接している。当該当接部分において、第2筒状体120がベースプレートBPに対して固定されている。このような構成により、ベースプレートBPよりも下方側の空間と空気流路403との間を気体が出入りすることはできなくなっている。
第3筒状体130は、第2筒状体120を外側から囲むように配置された筒状体である。第3筒状体130の内側面と第2筒状体120の外側面との間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。第3筒状体130と第2筒状体120との間に形成された空間は、燃焼器20における燃焼により生じた高温の燃焼排ガスが通る流路(燃焼排ガス流路411)となっている。第3筒状体130の上端は、第2筒状体120の上端よりも低い位置に配置されている。第3筒状体130はベースプレートBPの下端よりも更に下方側まで延びている。
第4筒状体140は、第3筒状体130を外側から囲むように配置された筒状体である。第4筒状体140の内側面と第3筒状体130の外側面との間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。第4筒状体140と第3筒状体130との間に形成された空間は、燃焼器20における燃焼により生じた高温の燃焼排ガスが通る流路(燃焼排ガス流路412)となっている。
第2筒状体120の上端と第4筒状体140の上端とは、その高さ方向の位置が同一となっている。両者は、水平に配置された板である天板182により繋がれている。つまり、第2筒状体120の上端が天板182の内周端に繋れており、第4筒状体140の上端が天板182の外周端に繋れている。第3筒状体130の上端と天板182との間には隙間が形成されている。このため、燃焼排ガス流路411と燃焼排ガス流路412とは、それぞれの上端部において互いに繋がっている。
第3筒状体130の下端と第4筒状体140の内側面とは、水平に配置された板である底板183により繋がれている。つまり、燃焼排ガス流路412の下端が底板183により塞がれている。
第4筒状体140の下部(底板183よりも僅かに上方側)には、ガス排出管191が接続されている。ガス排出管191の内部空間は燃焼排ガス流路412に通じている。ガス排出管191は、燃焼排ガス流路412を通った燃焼排ガスをケーシング10の外部に排出するための配管である。
第4筒状体140は、第3筒状体130の下端よりも更に下方側まで延びている。第4筒状体140の下端には、当該下端から外側に向かって延びる水平なフランジ部141が形成されている。フランジ部141は、燃料電池装置FCが設置される際においてケーシング10の固定に利用されるフランジである。
第4筒状体140の下端部近傍には、水平な円板である底板184が配置されている。底板184の外径は第4筒状体140の内径と略等しい。底板184は、その外側面全体を第4筒状体140の内側面に当接させた状態で固定されている。底板184の下方側の空間には断熱材TIが配置されている。
第5筒状体150は、ケーシング10のうち最も外側に配置された筒状体であり、第4筒状体140の上部を外側から囲むように配置されている。第5筒状体150の内側面と第4筒状体140の外側面との間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。第5筒状体150と第4筒状体140との間に形成された空間は、発電用の空気が加熱されながら通る流路(空気流路401)となっている。
第5筒状体150は、第1筒状体110、第2筒状体120、第3筒状体130、及び第4筒状体140のいずれの上端よりも更に上方側まで延びている。第5筒状体150の上端は水平な天板185によって塞がれている。天板185と天板182との間には隙間402が形成されている。空気流路401の上端部と空気流路403の上端部とは、隙間402を介して互いに繋がっている。
第5筒状体150の下端と第4筒状体140の外側面とは、水平に配置された板である底板186により繋がれている。つまり、空気流路401の下端が底板186により塞がれている。
第5筒状体150の下部(底板186よりも僅かに上方側)には、第1空気導入管192が接続されている。第1空気導入管192の内部空間は空気流路401に通じている。第1空気導入管192は、発電用の空気をケーシング10の内部に導入するための配管である。
第6筒状体160は、第3筒状体130の内側であり且つベースプレートBPの下方側となる位置に配置された筒状体である。第6筒状体160は、上方側の部分である上円筒部161と、下方側の部分である下円筒部162とを有している。上円筒部161の径は下円筒部162の径に比べて小さい。上円筒部161の下端と下円筒部162の上端とは、水平に配置された板である中間部163で繋がれている。上円筒部161の上端はベースプレートBPの下面に当接している。下円筒部162の下端は底板184の上面に当接している。
下円筒部162の外径は第3筒状体130の内径よりも小さい。このため、第3筒状体130と第6筒状体160との間には全周に亘って隙間が形成されている。また、当該隙間には改質ユニット30が配置されているが、改質ユニット30と第6筒状体160との間にも全周に亘って隙間が形成されている。以下の説明においては、第6筒状体160の内側に形成された空間を「内側空間601」とも称する。また、第6筒状体160の下円筒部162と、改質ユニット30の内側円筒320との間に形成された空間を、「外側空間602」とも称する。
下円筒部162のうち、改質ユニット30の下端部よりも低い位置には、貫通穴である流出口165が複数形成されている。これら複数の流出口165は、同じ高さにおいて等間隔に並ぶよう形成されている。これら流出口165により、内側空間601と外側空間602とが連通されている。流出口165は、燃焼器20における燃焼により生じた高温の燃焼排ガスが通る穴である。
燃焼器20は、発電に供しなかった残余の燃料ガス(以下、「残余燃料」とも称する)及び発電に供しなかった残余の空気(以下、「残余空気」とも称する)を混合して燃焼させるためのバーナーである。尚、後に説明するように、燃焼器20には第2空気導入管50からも空気(冷却用空気)が供給される。
燃焼器20はステンレス鋼により形成されている。燃焼器20は、全体が略円柱形状に形成されており、ベースプレートBPの下面のうち中央から下方に向けて突出するように配置されている。また、上面視において、燃焼器20はケーシング10の中央となる位置(上円筒部161の中心軸に沿った位置)に配置されている。このように、燃焼器20は、燃料電池スタックCSの近傍(本実施形態では下方側の近傍)に配置されている。ここで、「燃料電池スタックCSの近傍」とは、燃焼器20からの燃焼熱が燃料電池スタックCSに直接的又は間接的に到達し、これにより燃料電池スタックCSの温度が局所的に上昇してしまうような位置のことである。
燃料電池スタックCSから排出された残余燃料及び残余空気は、いずれもスタックアダプタAD内に形成された流路(不図示)及びベースプレートBP内に形成された流路(不図示)を通じて、燃焼器20の上端部へと供給される。その後、残余燃料及び残余空気は、燃焼器20内に形成された流路(不図示)を通って燃焼器20の下端部に到達し、下端部において混合されながら下方に向けて噴出される。燃焼器20の下端部では、噴出された残余燃料及び残余空気が燃焼し、高温の燃焼排ガスが生じる。また、当該燃焼の熱により燃焼器20自体も高温となる。
燃焼器20の下方側には着火器IGが配置されている。着火器IGは、燃焼器20から噴出された残余燃料及び残余空気の混合気体に着火させて、燃焼を開始させるための装置である。着火器IGは、底板184及び断熱材TIを上下に貫いており、火花放電が生じる上端部を燃焼器20の下端に近接させた状態で配置されている。着火器IGによる着火は、燃料電池装置FCの起動時において行われる。
内側空間601には第2空気導入管50の一部が配置されている。第2空気導入管50は、ステンレス鋼によって形成された断面が円形の配管であって、底板184及び断熱材TIを上下に貫いた状態で配置されている。第2空気導入管50は、鉛直部51と、螺旋部52と、水平部53とを有している。
鉛直部51は、第2空気導入管50のうち最も下方側(上流側)の部分である。鉛直部51のうち少なくともフランジ部141よりも上方側の部分は、その中心軸を鉛直方向に沿わせた状態で配置されている。鉛直部51のうち最も上流側の端部は、ケーシング10の外部に配置された第2ブロアBL2(図2参照)に接続されている。第2ブロアBL2は、空気供給源AS(本実施形態では大気)からの空気を、第2空気導入管50に送り込むための送風機である。鉛直部51の上方側の端部(螺旋部52との境界部)の位置は、燃焼器20の下端よりも僅かに低い位置となっている。
螺旋部52は、第2空気導入管50のうち鉛直部51よりも上方側(下流側)の部分である。螺旋部52は全体が螺旋状となっており、燃焼器20の周囲を取り囲んでいる。ただし、螺旋部52と燃焼器20とは互いに接触しておらず、両者の間には略一定の隙間が形成されている。螺旋部52の上方側の端部の位置は、燃焼器20の上端よりも僅かに低い位置となっている。
水平部53は、第2空気導入管50のうち最も上方側(下流側)の部分である。水平部53は、その中心軸を水平方向に沿わせた状態で配置されている。水平部53は、螺旋部52の上端から燃焼器20に向かって延びており、その下流側端部は燃焼器20の側面に接続されている。
燃焼器20には、水平部53との接続部分から更に内部に向かう流路(不図示)が形成されている。当該流路は、既に説明した残余空気が通る流路に繋がっている。このため、第2ブロアBL2から第2空気導入管50に空気が送り込まれると、当該空気は鉛直部51、螺旋部52、水平部53を順に通った後、燃焼器20の内部において(燃料電池スタックCSからの)残余空気の流れに合流する。その後、残余空気と共に燃焼器20の下端から下方に向けて噴出され、燃焼に供されることとなる。
螺旋部52は、燃焼器20からの輻射熱を受けて高温となる。このため、螺旋部52を通る空気は、燃焼器20の中心軸の周りを周回して流れながら加熱される。また、燃焼器20は、螺旋部52及びこれを通る空気に輻射熱を奪われて冷却される。このように、本実施形態に係る燃料電池装置FCでは、第2ブロアBL2から第2空気導入管50に空気を送り込むことによって燃焼器20を冷却することが可能となっている。
改質ユニット30の構成について説明する。改質ユニット30は、改質反応によって都市ガスから燃料ガス(水素含有ガス)を生成する改質器302と、水蒸気を発生させて改質器302に供給する蒸発器301とが一体となったものである。改質ユニット30は、その全体が略円筒形状となっており、ケーシング10の内部のうち第3筒状体130と第6筒状体160との間の空間に配置されている。改質ユニット30は、外側円筒310と、内側円筒320と、天板330と、第1底板340と、第2底板350と、第1仕切板360と、第2仕切板370とを有している。
外側円筒310は、改質ユニット30の外側面を形成する筒状体である。外側円筒310の中心軸は第3筒状体130の中心軸と一致している。外側円筒310の外径は第3筒状体130の内径に略等しい。外側円筒310は、その外側面の略全体が第3筒状体130の内側面に当接している。外側円筒310は、底板183よりも更に下方側まで延びている。
内側円筒320は、改質ユニット30の内側面を形成する筒状体である。内側円筒320の中心軸は第3筒状体130の中心軸と一致している。内側円筒320の外径は、外側円筒310の内径よりも小さい。このため、外側円筒310と内側円筒320と間には空間が形成されている。後に説明するように、当該空間の一部が、水が水蒸気となって流れる空間となっている。また、当該空間の他の一部が、改質反応が生じて燃料ガスが生成される空間となっている。
内側円筒320の内径は、第3筒状体130の下円筒部162の外径よりも大きい。このため、既に説明したように、改質ユニット30と第6筒状体160との間には全周に亘って隙間が形成されている。内側円筒320の上端の高さは、外側円筒310の上端の高さと同一となっている。一方、内側円筒320の下端の高さは、外側円筒310の下端の高さよりも高くなっており、底板183の下端の高さと同一となっている。
天板330は、水平に配置された板である。天板330の外側面は、外側円筒310の内側面のうち上端部に繋がっている。また、天板330の内側面は、内側円筒320の外側面のうち上端部に繋がっている。このように、天板330によって外側円筒310の上端と内側円筒320の上端とが繋がれている。
第1底板340は、水平に配置された板である。第1底板340は底板183と同一の高さとなる位置に配置されている。第1底板340の外側面は、後述の第1仕切板360の内側面に繋がっている。また、第1底板340の内側面は、内側円筒320の内側面のうち下端部に繋がっている。
第2底板350は、水平に配置された板である。第2底板350の外側面は、外側円筒310の内側面のうち下端部に繋がっている。また、第2底板350の内側面は、後述の第1仕切板360の外側面のうち下端部に繋がっている。このため、第2底板350は第1底板340よりも低い位置に配置されている。
第1仕切板360は、その一部が改質ユニット30の内部に配置された筒状体である。第1仕切板360の中心軸は、外側円筒310の中心軸及び内側円筒320の中心軸と一致している。第1仕切板360の外径は、外側円筒310の内径よりも小さい。このため、外側円筒310と第1仕切板360と間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。
第1仕切板360の上端の高さは、外側円筒310の上端の高さよりも低くなっている。このため、第1仕切板360の上端と天板330の下面との間には隙間が空いている。第1仕切板360の下端の高さは、外側円筒310の下端の高さと同一となっている。既に述べたように、第1仕切板360の下端部には外側から第2底板350が繋がっている。また、第1仕切板360には内側から第1底板340が繋がっている。
第2仕切板370は、その全体が改質ユニット30の内部に配置された筒状体である。第2仕切板370の中心軸は、外側円筒310の中心軸及び内側円筒320の中心軸と一致している。第2仕切板370の外径は、第1仕切板360の内径よりも小さい。このため、第2仕切板370と第1仕切板360と間には、全周に亘って一定の隙間が形成されている。また、第2仕切板370の内径は、内側円筒320の外径よりも大きい。このため、第2仕切板370と内側円筒320と間にも、全周に亘って一定の隙間が形成されている。
第2仕切板370は、その上端を天板330の底面に当接させた状態で、天板330に対して固定されている。第2仕切板370の下端の高さは、内側円筒320の下端の高さよりも高くなっている。このため、第2仕切板370の下端と第1底板340の上面との間には隙間が空いている。
以上のような構成により、改質ユニット30の内部には、外側円筒310と第1仕切板360と間に形成された空間である第1空間381と、第1仕切板360と第2仕切板370と間に形成された空間である第2空間382と、第2仕切板370と内側円筒320と間に形成された空間である第3空間383とが形成されている。第1仕切板360の上方において第1空間381と第2空間382とが繋がっており、第2仕切板370の下方において第2空間382と第3空間383とが繋がっている。
第2底板350には、水供給配管391の一端が下方から接続されている。水供給配管391は、第1空間381に水を供給するための配管である。水供給配管391の他端は、ケーシング10の外部に配置された水供給ポンプWP(図2参照)に接続されている。
後に詳しく説明するように、水供給配管391から第1空間381内に供給された水は、燃焼排ガス流路412を通る高温の燃焼排ガスによって加熱されて水蒸気となる。水蒸気は、第1空間381、第2空間382を順に通って、第3空間383の入口に到達する。このように、改質ユニット30のうち、第1空間381、第2空間382、及びこれらを区画する壁面は、外部から水の供給を受けて水蒸気を発生させる部分、すなわち蒸発器301に該当する部分となっている。
第1空間381には支持板352が配置されている。支持板352は、第1空間381を上下に仕切るように水平に配置された板である。支持板352は、第1底板340と同一の高さとなる位置において、外側円筒310及び第1仕切板360に対して固定されている。支持板352には複数の貫通穴(不図示)が形成されており、支持板352を水が通過し得るようになっている。第1空間381のうち支持板352よりも上方側には、外側円筒310から水への伝熱を促進するための伝熱促進部材CBが充填されている。伝熱促進部材CBは複数のアルミナの球体(セラミックボール)である。
第1底板340には、都市ガス供給配管392の一端が下方から接続されている。都市ガス供給配管392は、第3空間383の入口部分に都市ガスを供給するための配管である。都市ガス供給配管392の他端は、都市ガス供給源GS(図2参照)に接続されている。都市ガス供給源GSは、例えばガスメータである。
第3空間383には改質触媒RCが充填されている。改質触媒RCは、アルミナの球体表面にニッケル等の触媒金属を担持させたものである。第3空間383のうち、第2仕切板370の下端より僅かに高い位置には、水平に配置された金属網が固定されている。当該金属網によって改質触媒RCが下方から支えられている。
後に詳しく説明するように、都市ガス供給配管392から改質ユニット30の内部に供給された都市ガスは、第3空間383の入口部分において水蒸気と混合された後、第3空間383を上方に向かって流れる。この時、都市ガスと水蒸気が改質触媒RCに触れることによって水蒸気改質反応が生じ、燃料ガス(水素含有ガス)が生成される。このように、改質ユニット30のうち、第3空間383及びこれを区画する壁面は、蒸発器301からの水蒸気の供給、及び外部から都市ガスの供給を受けて水蒸気改質反応が生じる部分、すなわち改質器302に該当する部分となっている。改質触媒RCは、第3空間383の周方向全体に亘って充填されている。このため、蒸発器301から供給された水蒸気が、改質触媒RCに触れることなく第3空間383を通過してしまうことはない。
内側円筒320のうち上端部の近傍には、燃料ガス供給配管393の一端が接続されている。燃料ガス供給配管393は、改質ユニット30(改質器302)において生成された燃料ガスを燃料電池スタックCSへ供給するための配管である。燃料ガス供給配管393の他端はベースプレートBPの下面に接続されている。燃料ガスは、第3空間383の上部から燃料ガス供給配管393を通ってベースプレートBPに到達する。その後、ベースプレートBP内に形成された流路(不図示)及びスタックアダプタAD内に形成された流路(不図示)を通って、燃料電池スタックCSに供給される。
改質ユニット30は、耐熱性の部材からなる円筒型のシールブロックSBにより下方から支持されている。シールブロックSBは、その上端が改質ユニット30の下面(第1底板340)に当接しており、その下端が底板184の上面に当接している。シールブロックSBの内径は改質ユニット30の内径に等しい。また、シールブロックSBの径方向の寸法(厚さ)は、改質ユニット30の径方向の寸法(厚さ)よりも小さくなっている。このため、図1に示されるように、シールブロックSBの外側(改質ユニット30の下方側)には空間SPが形成されている。
第6筒状体160の外側の空間と空間SPとは、改質ユニット30及びシールブロックSBによって分離されており、両者の間をガスが通過することができなくなっている。高温の燃焼排ガスが空間SP内に流入しないため、空間SP内の気温は比較的低温に保たれている。
制御装置CU(図2参照)は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インタフェースを備えたコンピュータシステムであり、燃料電池装置FCの全体の動作を制御するものである。後に詳しく説明するように、制御装置CUは、第1ブロアBL1及び第2ブロアBL2の回転数(送風量)をそれぞれ制御することにより、燃料電池スタックCSの温度分布を均一な状態に近づける(燃料電池スタックCSにおける温度差を小さくする)。
また制御装置CUは、流量調整弁VVの開度を制御することにより、改質ユニット30に供給される都市ガスの流量(燃料電池スタックCSに供給される燃料ガスの流量ともいえる)を調整する。更に、水供給ポンプWPの動作を制御することにより、改質ユニット30に供給される水の流量を調整する。
続いて、燃料電池装置FCの定常運転中、すなわち、起動が完了して定格電力又はそれに近い電力が出力されているときにおける、ガス(空気、都市ガス、燃料ガス、及び燃焼排ガス)の流れについて説明する。
まず、燃料電池スタックCSに供給される発電用の空気(酸化剤ガス)の流れについて説明する。空気は、ケーシング10の外部に配置された第1ブロアBL1(図2参照)から、第1空気導入管192を通じてケーシング10の内部に供給される。図2に示されるように第1ブロアBL1は、空気供給源AS(本実施形態では大気)からの空気を、第1空気導入管192に送り込むための送風機である。
第1空気導入管192を通じてケーシング10に供給された空気は、空気流路401を上方に向かって流れる。その後、隙間402を経由して空気流路403に流入し、空気流路403を下方に向かって流れる。
空気流路401と空気流路403との間には、燃焼排ガス流路411及び燃焼排ガス流路412が形成されている。これら燃焼排ガス流路411及び燃焼排ガス流路412の内部では、高温の燃焼排ガスが通っている。このため、ケーシング10内に導入された空気は、空気流路401及び空気流路403を通る間に燃焼排ガスによって加熱され、その温度を上昇させる。つまり、空気と燃焼排ガスとの間で熱交換が行われる。
また、発電中において燃料電池スタックCSは高温となっており、燃料電池スタックCSからの輻射熱によって第1筒状体110も高温となっている。このため、空気は、空気流路403を通る際において第1筒状体110に触れることにより更に加熱される。
このように、空気流路401及び空気流路403は、燃焼排ガスの熱及び燃料電池スタックCSからの輻射熱によって空気が加熱されながら流れる流路となっている。このため、以下の説明においては、空気流路401と空気流路403とをまとめて「空気加熱流路40」とも表記する。空気加熱流路40は、燃料電池スタックCSを側方から取り囲むように配置されている。空気加熱流路40は、燃焼器20における燃焼により生じた燃焼排ガスと、燃料電池スタックCSに供給される空気と、の間で熱交換を行う「予熱器」に該当するものである。
空気流路403の下部まで到達した空気は、第1筒状体110に形成された吹出口111から燃料電池スタックCSに向けて噴出される。その後、空気はそれぞれの燃料電池セルの空気極に到達し、発電に供される。
燃料電池スタックCSは、第1筒状体110及びその外側(空気流路403)を流れる空気に輻射熱を奪われて(輻射により冷却されて)、その温度上昇が抑制される。燃料電池スタックCSは、上記のように輻射伝熱によって熱を奪われることに加えて、空気流路403を通り吹出口111から噴出された空気に直接触れることによっても熱を奪われる。このように奪われる熱と、発電に伴って生じる熱とのバランスが保たれることにより、燃料電池スタックCSの温度は適切な温度(約700度)に保たれる。
このため、空気加熱流路40は、燃料電池スタックCSに発電用の空気を供給する機能と、燃料電池スタックCSを冷却してその温度を発電に適した温度(約700度)に保つ機能と、を兼ね備えたものということができる。
燃料電池スタックCSに供給される燃料ガスの流れ、及び燃料ガスの原料である都市ガスの流れについて説明する。都市ガスは、ケーシング10の外部(都市ガス供給源GS)から都市ガス供給配管392を通じて改質ユニット30内に供給される。都市ガスの供給源と都市ガス供給配管392との間には脱硫器(不図示)が配置されている。脱硫器は、都市ガスに含まれる硫黄成分を除去するための装置である。都市ガスは、燃料電池セルの性能に悪影響を及ぼす硫黄成分が脱硫器によって除去された後、改質ユニット30内に供給される。
都市ガス供給配管392の上流側端部(都市ガス供給配管392と脱硫器の間)には、流量調整弁VVが配置されている。流量調整弁VVは、その開度を変化させることによって、都市ガス供給源GSから都市ガス供給配管392に送り込まれる都市ガスの流量を調整するための弁である。流量調整弁VVの開度は制御装置CUによって調整される。
都市ガス供給配管392から改質ユニット30の内部に供給された都市ガスは、第3空間383の入口部分において水蒸気と混合される。その後、改質触媒RCが充填された第3空間383を上方に向かって流れる。
第6筒状体160の下円筒部162と、改質ユニット30の内側円筒320との間に形成された空間には、高温の燃焼排ガスが通っている。このため、都市ガス及び水蒸気は、第3空間383を通る間に燃焼排ガスによって加熱され、その温度を上昇させる。つまり、都市ガス及び水蒸気と燃焼排ガスとの間で熱交換が行われる。また、第3空間383に充填されている改質触媒RCも、内側円筒320を通じた伝熱によって高温となっている。
燃焼器20を取り囲む第6筒状体160は、燃焼排ガスによって加熱されていることに加え、燃焼器20からの輻射熱によっても加熱されているため、非常に高温となっている。その結果、改質ユニット30の内側円筒320には、高温となった第6筒状体160からの輻射熱(燃焼器20から第6筒状体160を経由して到達した輻射熱ともいえる)が到達している。つまり、内側円筒320を含む改質器302は、燃焼排ガスによって加熱されるだけではなく、燃焼器20からの輻射熱によっても加熱されている。
このような状態において、都市ガスと水蒸気の混合ガスが改質触媒RCに触れると、第3空間383(改質器302)では水蒸気改質反応が生じる。その結果、上記混合ガスから燃料ガスが生成される。尚、水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、反応を安定して維持させるためには熱の供給が必要となる。本実施形態においては、内側円筒320を通じて加えられる燃焼排ガスからの熱、及び燃焼器20からの輻射熱の両方が、水蒸気改質反応を維持するための熱として用いられる。
改質器302において生成された燃料ガスは、燃料ガス供給配管393及びスタックアダプタAD内の流路を通って燃料電池スタックCSに供給される。燃料ガスは、それぞれの燃料電池セルの燃料極に到達し、発電に供される。
燃焼排ガスの流れについて説明する。既に説明したように、燃料電池スタックCSから排出された残余燃料及び残余空気は燃焼器20に供給され、燃焼器20の下端部において燃焼する。当該燃焼の結果、第6筒状体160の内部(内側空間601)では高温の燃焼排ガスが生じる。燃焼排ガスは、流出口165を通って第6筒状体160の外側(外側空間602)へ流出する。
その後、燃焼排ガスは、内側円筒320に沿って外側空間602を上方に向かって流れる。このとき、既に述べたように、燃焼排ガスの熱は内側円筒320を通じて第3空間383に伝達され、水蒸気改質反応を維持するための熱の一部として用いられる。
外側空間602を通過した燃焼排ガスは、空気流路403を流れる空気との間で熱交換しながら、燃焼排ガス流路411を上方に向かって流れる。続いて、空気流路401を流れる空気との間で熱交換しながら、燃焼排ガス流路412を下方に向かって流れる。
改質ユニット30の外側円筒310は、支持板352よりも上方側の部分において第3筒状体130の内側面に当接している。このため、燃焼排ガス流路412を通る燃焼排ガスによって外側円筒310は高温となっている。
水供給配管391から第1空間381内に供給された水は、外側円筒310からの伝熱(燃焼排ガスの熱)により加熱されて水蒸気となる。つまり、水と燃焼排ガスとの間で熱交換が行われ、これにより第1空間381内で水蒸気が生成される。
燃焼排ガス流路412の下端部まで到達した燃焼排ガスは、ガス排出管191を通って排熱回収器(不図示)に供給される。排熱回収器は、燃焼排ガスと水と熱交換させることにより湯を生成するものである。このように、燃料電池装置FCは発電を行うことに加えて湯を生成することも可能となっており、高い効率でエネルギーを利用するコジェネレーションシステムとなっている。
続いて、水及び水蒸気の流れについて説明する。改質ユニット30(蒸発器301)には、ケーシング10の外部に配置された水供給ポンプWPから水供給配管391を通じて水が供給される。水供給ポンプWPは、水供給源WS(図2参照)からの水を水供給配管391に送り込むためのポンプである。水供給配管391は第2底板350に対して下方から接続されている。このため、供給された水は、まず第1空間381の下部に形成された空間に溜まることとなる。具体的には、第1空間381のうち支持板352よりも下方側の空間である貯水部WSTに溜まることとなる。
貯水部WSTは、外側円筒310のうち底板183よりも下方側の部分(以下、当該部分を「区画壁311」とも表記する)と、第2底板350と、第1仕切板360のうち第1底板340よりも下方側の部分(以下、当該部分を「区画壁361」とも表記する)とによって区画された空間となっている。
貯水部WSTを区画する区画壁311、第2底板350、及び区画壁361は、改質ユニット30の底面の一部を下方に向けて延ばしたような形状となっている。これらは、いずれも空間SP内に配置されている。つまり、高温の燃焼排ガスが到達せず、比較的低温となっている空間内に配置されている。
また、燃焼排ガス流路412を通る燃焼排ガスによって外側円筒310は加熱されるのであるが、区画壁311は底板183よりも下方側に配置されているため、燃焼排ガスによって直接は加熱されない。このため、貯水部WST内において水が沸騰することはなく、貯水部WST内は全体が水(液体)で満たされている。
水供給ポンプWPから水が供給されることにより、第1空間381内の水面の高さは、支持板352の上面よりも僅かに高い位置に維持される。このため、支持板352の上方側に充填された伝熱促進部材CB(アルミナの球体)は、一部が水没した状態となっている。
第1空間381内においては、燃焼排ガスによって高温となった外側円筒310からの伝熱により、伝熱促進部材CBも高温となっている。支持板352よりも上方側に存在する水は、高温の伝熱促進部材CBに触れることにより沸騰し、水蒸気となる。
このように、第1空間381内において水は水蒸気となり、上方側に向かって流れる。その後、水蒸気は第2空間382を下方に向かって流れて、第3空間383(改質器302)に供給される。
燃料電池装置FCが備えるセンサについて説明する。燃料電池装置FCは種々のセンサを備えており、これらセンサによって測定された測定値がそれぞれ制御装置CUに入力される構成となっている。図2に示されるように、燃料電池装置FCは、電流センサISと、上部電圧センサVS1と、下部電圧センサVS2と、第1空気流量センサAFS1と、第2空気流量センサAFS2と、上部セル温度センサTS1と、中部セル温度センサTS2と、下部セル温度センサTS3と、を備えている。
尚、説明の便宜上、図2においては全てのセンサがケーシング10の外側に配置されているように描かれているが、実際には、一部のセンサ(例えば上部電圧センサVS1)はケーシング10の内側に配置されている。また、燃料電池装置FCが備えるセンサは、その全てが図2に示されているわけではない。燃料電池装置FCには不図示のセンサも多数備えられている。
電流センサISは、燃料電池スタックCSから取り出されて外部に出力される電力の電流値を測定するセンサである。また、燃料電池装置FCは、出力端子間の電圧を測定するための電圧センサ(不図示)も備えている。制御装置CUは、当該電圧センサで測定された電圧値、及び電流センサISで測定された電流値に基づいて、燃料電池装置FCから外部の負荷に向けて出力されている電力の大きさを常に算出し、監視している。
上部電圧センサVS1は、燃料電池スタックCSに含まれる複数の燃料電池セルのうち、最も上方に配置された燃料電池セルの電圧(単セル電圧)を測定するセンサである。上部電圧センサVS1が有する一対の入力端子は、当該燃料電池セルの両端に配置されたインターコネクタにそれぞれ接続されている。つまり、上部電圧センサVS1は、隣り合うインターコネクタ間の電圧を測定することにより、これらインターコネクタ間に配置された燃料電池セルの単セル電圧を測定するものである。
下部電圧センサVS2は、燃料電池スタックCSに含まれる複数の燃料電池セルのうち、最も下方に配置された燃料電池セルの電圧(単セル電圧)を測定するセンサである。下部電圧センサVS2の構成及び接続方法は、上部電圧センサVS1と同一である。
第1空気流量センサAFS1は、第1空気導入管192を流れる空気の流量を測定するセンサである。制御装置CUは、第1空気流量センサAFS1で測定された空気の流量に基づいて第1ブロアBL1の動作を制御することにより、空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される空気(発電用空気)の流量が適切となるように調整する。
第2空気流量センサAFS2は、第2空気導入管50を流れる空気の流量を測定するセンサである。制御装置CUは、第2空気流量センサAFS2で測定された空気の流量に基づいて第2ブロアBL2の動作を制御することにより、第2空気導入管50から燃焼器20に供給される空気(冷却用空気)の流量が適切となるように調整する。尚、第2空気導入管50から燃焼器20への空気の供給は、燃料電池装置FCの定常運転中においては行われない。第2空気導入管50から燃焼器20への空気の供給が行われる場合については、後に説明する。
上部セル温度センサTS1は、燃料電池スタックCSのうち上端の部分の温度を測定するセンサである。つまり、燃料電池スタックCSのうち燃焼器20から最も近い部分の温度を測定するセンサである。上部セル温度センサTS1は、最も上方に配置されたサブスタックのうち上方側のエンドプレート(不図示)に埋め込まれている。
中部セル温度センサTS2は、燃料電池スタックCSのうち上下方向に沿った略中央部分の温度を測定するセンサである。中部セル温度センサTS2は、略中央に配置されたサブスタックのうち一方のエンドプレート(不図示)に埋め込まれている。
下部セル温度センサTS3は、燃料電池スタックCSのうち下端の部分の温度を測定するセンサである。つまり、燃料電池スタックCSのうち燃焼器20に最も近い部分の温度を測定するセンサである。下部セル温度センサTS3は、最も下方に配置されたサブスタックのうち下方側のエンドプレート(不図示)に埋め込まれている。
燃料電池装置FCは、外部負荷の要求電力が変化することに合わせて、燃料電池スタックCSにおける発電量を変化させる。つまり、所謂「負荷追従運転」を行うように構成されている。制御装置CUは、電流センサISの測定値等に基づいて算出された電力(以下、「出力電力P」と表記する)の変化を常に監視しており、出力電力Pに応じて第1ブロアBL1、第2ブロアBL2、流量調整弁VV、及び水供給ポンプWPの動作を制御する。
これまでに説明したように、燃料電池スタックCSは、空気加熱流路40を流れる空気との熱交換により奪われる熱と、発電により生じた熱とがバランスすることによって、適切な温度(約700度)に保たれている。
ところで、燃料電池スタックCSの下端には、ベースプレートBP及びスタックアダプタADを介した熱伝導により、燃焼器20の燃焼熱が到達する。つまり、燃料電池スタックCSの下端部近傍が燃焼器20によって局所的に加熱されてしまう。
ただし、燃料電池装置FCの定常運転中においては、燃料電池スタックCSが約700度の高温になっていることに加え、燃焼器20の温度が(燃料電池スタックCSよりも高温ではあるものの)比較的低い。このため、燃料電池スタックCSのうち最も温度が高い部分(下端)と、最も温度が低い部分(上端)との温度差は、比較的小さくなっている。換言すれば、燃料電池スタックCSのうち燃焼器20によって最も加熱されやすい位置(下端)と、最も加熱されにくい位置(上端)との温度差が小さくなっており、これにより燃料電池スタックCSにおける温度分布は略均一になっている。
ところが、発電する電力が定格電力よりも低下したときには、燃料電池スタックCSにおいて生じる発電熱が少なくなり、燃料電池スタックCSの温度は低下する。一方、燃焼器20において生じる燃焼熱は増加し、燃焼器20の温度は定常運転時よりも高くなる。
その原因は、以下のように考えられる。発電する電力が低下し、燃料電池スタックCSで生じる発電熱が小さくなると、燃料電池スタックCSの冷却を抑制する必要がある。このため、制御装置CUにより、空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される発電用の空気の流量が低減される。
これにより、空気加熱流路40を通る空気の流速が遅くなり、燃焼排ガス流路411、412を通る燃焼排ガスによって空気が加熱される時間は長くなる。長時間の加熱により、吹出口111から噴出される時点における空気の温度は、定常運転中の温度よりも高くなる。これに伴い、燃焼器20の内部を通る残余空気の温度も高くなるので、燃焼器20の温度は定常運転時よりも高くなるのである。
また、空気加熱流路40から供給される発電用空気の流量が上記のように小さくなると、燃焼器20の内部を通る残余燃料及び残余空気の混合気体においては、残余空気の割合が小さくなる。その結果、燃焼器20においては水素リッチな混合気体が燃焼されるので、より多くの燃焼熱が生じこととなる。これによっても、燃焼器20の温度は定常運転時よりも高くなってしまう。
以上のように、発電する電力が定格電力よりも低下したときには、燃料電池スタックCSの温度は低下する一方で、燃焼器20の温度は高くなる。このため、燃焼器20から燃料電池スタックCSへの伝熱によって、燃料電池スタックCSにおける温度分布は不均一となる。すなわち、燃料電池スタックCSの上端と下端との温度差が大きくなる。このような温度差は、燃料電池装置FCの運転効率の低下に繋がるだけでなく、燃料電池スタックCSを構成する燃料電池セルを破損させてしまうこともあるので、望ましくない。
このような現象は、負荷の需要電力が低下した場合のほか、燃料電池装置FCの起動時や、ホットスタンバイ時にも生じうる。起動時やホットスタンバイ時には、燃料電池スタックCSにおいて発電される電力は0であるか、補機類に供給する最低限の大きさとなっており、燃料電池スタックCSにおいて生じる熱が定常運転時に比べて少ないからである。
そこで、本実施形態に係る燃料電池装置FCでは、出力電力Pが所定の電力閾値よりも低下していること(起動時、ホットスタンバイ時を含む)が検知されると、制御装置CUによって第2ブロアBL2の運転が開始される。つまり、第2空気導入管50から燃焼器20への冷却用空気の供給が開始される。尚、この時における燃料電池装置FCの運転モードを、以下では「低負荷モード」と称する。これに対し、定常運転が行われているときにおける燃料電池装置FCの運転モードを、以下では「定常モード」と称する。
第2ブロアBL2の運転が開始され、冷却用空気が第2空気導入管50を通るようになると、既に説明したように燃焼器20が冷却される。燃焼器20の温度が低下する結果、ベースプレートBP及びスタックアダプタADを介して燃料電池スタックCSに伝達される熱量は少なくなる。つまり、第2空気導入管50を空気が通ることによって、燃焼器20から燃料電池スタックCSへの伝熱が抑制される。これにより、燃料電池スタックCSの下端の温度も低下するので、燃料電池スタックCSの上端と下端との温度差は小さくなる。すなわち、燃料電池スタックCSにおける温度分布は均一な状態に近づく。
冷却用空気の流量が大きいほど、第2空気導入管50を通る冷却用空気によって燃焼器20から奪われる熱量は大きくなる。つまり、燃焼器20の温度はより低下することとなる。このため、本実施形態では、第2空気導入管50を通る冷却用空気の流量(第2ブロアBL2の回転数)を常に一定とするのではなく、燃料電池スタックCSにおける温度分布に応じて変化させている。
図3を参照しながら、低負荷モードにおいて制御装置CUにより行われる制御について説明する。制御装置CUは、燃料電池装置FCから出力されている電力(出力電力P)の大きさが予め設定された電力閾値を下回ると、低負荷モードに移行し、図3のフローチャートに示される処理を開始する。かかる処理は、低負荷モードの間、制御装置CUによって繰り返し実行される。
ステップS01では、下部セル温度センサTS3によって測定された燃料電池スタックCSの下端の温度(以下、「下部温度TCSH」と表記する)が、所定の目標温度TCSTを越えて上昇し過ぎているか否かが判定される。具体的には、下部温度TCSHが、目標温度TCSTに所定の許容誤差TEを加えた温度よりも更に高いか否かが判定される。下部温度TCSHが上昇し過ぎている場合(TCSH>TCST+TEの場合)には、ステップS02に移行する。
ステップS02に移行した時には、燃料電池スタックCSの下端の温度、すなわち、低負荷時において(燃焼器20からの伝熱により)最も高温となりやすい部分の温度が高くなり過ぎているということである。このため、燃焼器20から燃料電池スタックCSへの伝熱を抑制して、当該部分の温度を下げる必要がある。そこで、ステップS02では、制御装置CUは第2ブロアBL2の回転数を増加させることにより、第2空気導入管50を通る冷却用空気の流量を増加させる。冷却用空気によって燃焼器20から奪われる熱の量が増加し、燃焼器20から燃料電池スタックCSへの伝熱が抑制される結果、下部温度TCSHは低下して目標温度TCSTに近い温度となる。ステップS02の処理が完了すると、ステップS05に移行する。
ステップS01において、下部温度TCSHが上昇し過ぎていない場合(TCSH≦TCST+TEの場合)には、ステップS03に移行する。ステップS03では、下部温度TCSHが、目標温度TCSTを下回り低下し過ぎているか否かが判定される。具体的には、下部温度TCSHが、目標温度TCSTから許容誤差TEを差し引いた温度よりも更に低いか否かが判定される。下部温度TCSHが低下し過ぎている場合(TCSH<TCST−TEの場合)には、ステップS04に移行する。
ステップS04移行した時には、燃料電池スタックCSの下端の温度、すなわち、低負荷時において最も高温となりやすい部分の温度が低くなり過ぎているということである。このため、燃焼器20から燃料電池スタックCSへの伝熱を促進した方が望ましい。そこで、ステップS04では、制御装置CUは第2ブロアBL2の回転数を減少させることにより、第2空気導入管50を通る冷却用空気の流量を減少させる。冷却用空気によって燃焼器20から奪われる熱の量が減少し、燃焼器20から燃料電池スタックCSへの伝熱が促進される結果、下部温度TCSHは上昇して目標温度TCSTに近い温度となる。ステップS04の処理が完了すると、ステップS05に移行する。
ステップS03において、下部温度TCSHが低下し過ぎていない場合(TCSH≧TCST−TEの場合)には、制御装置CUは、第2ブロアBL2の回転数を変化させることなくステップS05に移行する。
ステップS05では、上部セル温度センサTS1によって測定された燃料電池スタックCSの上端の温度(以下、「上部温度TCSL」と表記する)が、目標温度TCSTを越えて上昇し過ぎているか否かが判定される。具体的には、上部温度TCSLが、目標温度TCSTに許容誤差TEを加えた温度よりも更に高いか否かが判定される。上部温度TCSLが上昇し過ぎている場合(TCSL>TCST+TEの場合)には、ステップS06に移行する。
ステップS06に移行した時には、燃料電池スタックCSの上端の温度、すなわち、低負荷時において最も低温となりやすい部分の温度が高くなり過ぎているということである。このため、燃料電池スタックCS全体を冷却する必要がある。そこで、ステップS06では、制御装置CUは第1ブロアBL1の回転数を増加させることにより、空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される発電用空気の流量を増加させる。発電用空気によって燃料電池スタックCSから奪われる熱の量が増加し、燃料電池スタックCSの温度が低下する。上部温度TCSLはこれにより低下して、目標温度TCSTに近い温度となる。ステップS06の処理が完了すると、制御装置CUは、図3に示される一連の処理を終了する。
尚、本実施形態においては、発電用空気は吹出口111から吹き出されて、燃料電池スタックCSの下端部近傍に直接当たることとなる。このような態様に替えて、発電用空気が燃料電池スタックCSの上端部近傍(つまり、上部温度TCSLの測定箇所)に直接当たるような態様としてもよい。
ステップS05において、上部温度TCSLが上昇し過ぎていない場合(TCSL≦TCST+TEの場合)には、ステップS07に移行する。ステップS07では、上部温度TCSLが、目標温度TCSTを下回り低下し過ぎているか否かが判定される。具体的には、上部温度TCSLが、目標温度TCSTから許容誤差TEを差し引いた温度よりも更に低いか否かが判定される。上部温度TCSLが低下し過ぎている場合(TCSL<TCST−TEの場合)には、ステップS08に移行する。
ステップS08に移行した時には、燃料電池スタックCSの上端の温度、すなわち、低負荷時において最も低温となりやすい部分の温度が低くなり過ぎているということである。このため、燃料電池スタックCSに対する冷却を抑制する必要がある。そこで、ステップS08では、制御装置CUは第1ブロアBL1の回転数を減少させることにより、空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される発電用空気の量を減少させる。発電用空気によって燃料電池スタックCSから奪われる熱の量が減少し、燃料電池スタックCSの温度が上昇する。上部温度TCSLはこれにより上昇して、目標温度TCSTに近い温度となる。ステップS08の処理が完了すると、制御装置CUは、図3に示される一連の処理を終了する。
ステップS07において、上部温度TCSLが低下し過ぎていない場合(TCSL≧TCST−TEの場合)には、制御装置CUは、第1ブロアBL1の回転数を変化させることなく、図3に示される一連の処理を終了する。
以上のように、制御装置CUは、燃料電池スタックCSの温度(下部温度TCSH、上部温度TCSL)に基づいて第2ブロアBL2の回転数を調整する。これにより、燃焼器20から燃料電池スタックCSへの伝熱が調整され、燃料電池スタックCSにおける温度差が抑制される。更に、制御装置CUは、燃料電池スタックCSの温度(下部温度TCSH、上部温度TCSL)に基づいて第1ブロアBL1の回転数も調整する。これにより、燃料電池スタックCS全体の温度が適温に保たれる。
ところで、燃料電池セルの発電性能は、その温度によって変化することが知られている。つまり、取り出される電流が同じだと仮定すると、高温の場合には単セル電圧が高くなり、低温の場合には単セル電圧が低くなる。このため、燃料電池スタックCS全体から取り出される電流の大きさ毎に、単セル電圧と温度との関係が判っていれば、単セル電圧の測定値に基づいて当該単セルの温度を推定することができる。
そこで、上部電圧センサVS1の測定値に基づいて推定された温度(上部温度TCSLに相当)と、下部電圧センサVS2の測定値に基づいて推定された温度(下部温度TCSHに相当)とを用いても、図3に示された一連の処理を行うことが可能である。すなわち、制御装置CUが、燃料電池スタックCSに含まれる単セルの電圧(上部電圧センサVS1及び下部電圧センサVS2の測定値)に基づいて、第2ブロアBL2の回転数を調整するような態様とすることができる。同様に、制御装置CUが、上部電圧センサVS1及び下部電圧センサVS2の測定値に基づいて、第1ブロアBL1の回転数を調整するような態様とすることもできる。
本実施形態においては、燃料電池装置FCから外部の負荷に向けて出力されている電力(出力電力P)を制御装置CUが監視している。出力電力Pが所定の電力閾値を下回ると、低負荷モードに移行して、図3に示された処理が開始される。
このような態様に替えて、燃料電池スタックCSの温度に基づいて低負荷モードに移行するような構成としてもよい。つまり、例えば中部セル温度センサTS2によって測定される燃料電池スタックCSの代表温度を制御装置CUが監視しており、当該温度が所定の温度閾値を下回ると、図3に示された処理が開始されるような構成としてもよい。
本実施形態においては、発電用空気を第1空気導入管192に送り込むための第1ブロアBL1と、冷却用空気を第2空気導入管50に送り込むための第2ブロアBL2とがそれぞれ設けられている。このような態様に替えて、これらを一つのブロアに兼用させるような態様であってもよい。
図4には、このような態様の例(変形例)が示されている。この変形例では、空気供給源ASから下流側に空気を送り込む単一のブロアBLと、三方弁70とが備えられている。空気は、ブロアBLから三方弁70に送り込まれて、一部は三方弁70から第1空気導入管192に供給され、他部は三方弁70から第2空気導入管50に供給される。
また、制御装置CUが行う三方弁70の制御によって、第1空気導入管192に向かう空気の流量と、第2空気導入管50に向かう空気の流量と、の比率を変化させることが可能となっている。
このような構成の変形例において、制御装置CUにより行われる制御の例を、図5を参照しながら説明する。図5に示される一連の処理は、図3に示されるものと同様に、低負荷モードの間において制御装置CUにより繰り返し実行される。
ステップS11では、中部セル温度センサTS2によって測定された燃料電池スタックCSの中央部の温度(以下、「代表温度TCSR」と表記する)が、目標温度TCSTを越えて上昇し過ぎているか否かが判定される。具体的には、代表温度TCSRが、目標温度TCSTに許容誤差TEを加えた温度よりも更に高いか否かが判定される。代表温度TCSRが上昇し過ぎている場合(TCSR>TCST+TEの場合)には、ステップS12に移行する。
ステップS12に移行した時には、燃料電池スタックCS全体の温度が高くなり過ぎているということである。このため、燃料電池スタックCS全体の温度を下げる必要がある。そこで、ステップS12では、制御装置CUはブロアBLの回転数を増加させることにより、空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される発電用空気の流量、及び、第2空気導入管50を通る冷却用空気の流量の両方を増加させる。これにより、発電用空気によって燃料電池スタックCSから奪われる熱の量が増加し、燃料電池スタックCSの温度が低下する。また、燃焼器20の温度も低下する。その結果、代表温度TCSRは低下して目標温度TCSTに近い温度となる。ステップS12の処理が完了すると、ステップS15に移行する。
ステップS11において、代表温度TCSRが上昇し過ぎていない場合(TCSR≦TCST+TEの場合)には、ステップS13に移行する。ステップS13では、代表温度TCSRが、目標温度TCSTを下回り低下し過ぎているか否かが判定される。具体的には、代表温度TCSRが、目標温度TCSTから許容誤差TEを差し引いた温度よりも更に低いか否かが判定される。代表温度TCSRが低下し過ぎている場合(TCSR<TCST−TEの場合)には、ステップS14に移行する。
ステップS14移行した時には、燃料電池スタックCS全体の温度が低くなり過ぎているということである。このため、燃料電池スタックCS全体の温度を上げる必要がある。そこで、ステップS14では、制御装置CUはブロアBLの回転数を減少させることにより、空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される発電用空気の流量、及び、第2空気導入管50を通る冷却用空気の流量の両方を減少させる。発電用空気によって燃料電池スタックCSから奪われる熱の量が減少し、燃料電池スタックCSの温度が上昇する。また、燃焼器20の温度も上昇する。その結果、代表温度TCSRは上昇して目標温度TCSTに近い温度となる。ステップS14の処理が完了すると、ステップS15に移行する。
ステップS13において、代表温度TCSRが低下し過ぎていない場合(TCSR≧TCST−TEの場合)には、制御装置CUは、ブロアBLの回転数を変化させることなくステップS15に移行する。
ステップS15では、下部電圧センサVS2によって測定された電圧(以下、「下部電圧VCSH」と表記する)と、上部電圧センサVS1によって測定された電圧(以下、「上部電圧VCSL」と表記する)との差(以下、「上下電圧差」とも称する)が、大きくなり過ぎているか否かが判定される。具体的には、下部電圧VCSHが、上部電圧VCSLに所定の許容誤差VEを加えた電圧よりも更に高いか否かが判定される。上下電圧差が大きくなり過ぎている場合(VCSH>VCSL+VEの場合)には、ステップS16に移行する。
ステップS16に移行した時には、燃料電池スタックCSの下端の温度、すなわち、低負荷時において(燃焼器20からの伝熱により)最も高温となりやすい部分の温度が高くなり過ぎているということである。このため、燃焼器20から燃料電池スタックCSへの伝熱を抑制して、当該部分の温度を下げる必要がある。そこで、ステップS16では、制御装置CUは三方弁70の状態を変化させることにより、三方弁70から第2空気導入管50に向かう空気の流量の比率(燃焼器20側への空気の供給割合)を増加させる。第2空気導入管50を流れる冷却用空気の流量は増加し、空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される発電用空気の流量は減少する。その結果、燃料電池スタックCSにおける温度差が抑制され、上下電圧差は小さくなる。ステップS16の処理が完了すると、制御装置CUは、図5に示される一連の処理を終了する。
ステップS15において、上下電圧差が大きくなり過ぎていない場合(VCSH≦VCSL+VEの場合)には、ステップS17に移行する。ステップS17では、下部電圧VCSHが上部電圧VCSLを下回っているか否かが判定される。下部電圧VCSHが上部電圧VCSLを下回っている場合(VCSH<VCSLの場合)には、ステップS18に移行する。
ステップS18に移行した時には、燃料電池スタックCSの下端の温度、すなわち、低負荷時において最も高温となりやすい部分の温度が、他の部分よりも低下しているということである。この場合、燃焼器20が冷却され過ぎてしまっている可能性がある。
そこで、ステップS18では、制御装置CUは三方弁70の状態を変化させることにより、三方弁70から第2空気導入管50に向かう空気の流量の比率(燃焼器20側への空気の供給割合)を減少させる。第2空気導入管50を流れる冷却用空気の流量は減少し、空気加熱流路40から燃料電池スタックCSに供給される発電用空気の流量は増加する。その結果、燃料電池スタックCSにおける温度差が抑制され、上下電圧差は小さくなる。ステップS18の処理が完了すると、制御装置CUは、図5に示される一連の処理を終了する。
ステップS17において、下部電圧VCSHが上部電圧VCSLを下回っていない場合(VCSH≧VCSLの場合)には、制御装置CUは、三方弁70の状態を変化させることなく、図5に示される一連の処理を終了する。
以上のように、この変形例では、ブロアBLを一つしか有さない構成でありながら、燃料電池スタックCSにおける温度差を抑制するような制御を行うことが可能となっている。
続いて、図6を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る燃料電池装置FCaについて説明する。燃料電池装置FCaは、第2空気導入管50aの形状及びベースプレートBPaの形状において、燃料電池装置FCと異なっている。燃料電池装置FCaの他の構成においては、燃料電池装置FCと概ね同一であるので、その説明を省略する。
第2空気導入管50aは、全体が直線状に形成されており、その中心軸を鉛直方向に沿わせた状態で配置されている。第2空気導入管50aの上端は、ベースプレートBPaの下端に接続されている。
ベースプレートBPaの内部には、空間HIPが形成されている。空間HIPは、上面視において燃焼器20の全体を包含するような領域に形成された空間である。燃料電池スタックCSから排出された残余燃料及び残余空気は、この空間HIPを経由して燃焼器20に供給される。
また、空間HIPは、第2空気導入管50aの内部と繋がっている。このため、第2ブロアBL2から空気が供給されると、当該空気は空間HIPに流入し、その後、残余燃料及び残余空気と共に燃焼器20に供給される。
低負荷モードとなり、燃料電池スタックCSの下端部の温度が上昇した場合には、第2空気導入管50aから空間HIPに空気が供給される。このとき、供給される空気は低温であるから、ベースプレートBPaのうち空間HIPを区画する部分の温度が低下する。その結果、燃焼器20からの熱は、ベースプレートBPaの低温部分に吸収されるので、その上方にある燃料電池スタックCSには殆ど伝達されない。つまり、燃焼器20自体は高温のままなのであるが、燃焼器20から燃料電池スタックCSへの伝熱は、空間HIPに供給される空気によって妨げられるのである。
このような空間HIPは、燃料電池スタックCSと燃焼器20との間に形成された断熱流路ともいうことができる。本実施形態においても、図3を参照しながら説明した制御と同一の制御によって、燃料電池スタックCSにおける温度差を低減することができる。
続いて、図7を参照しながら、本発明の第3実施形態に係る燃料電池装置FCbについて説明する。燃料電池装置FCbは、第2空気導入管50bの形状、ベースプレートBPbの形状、スタックアダプタADbの形状、及び燃料電池スタックCSの周囲に加熱配管60が配置されている点において、燃料電池装置FCと異なっている。燃料電池装置FCbの他の構成においては、燃料電池装置FCと概ね同一であるので、その説明を省略する。
第2空気導入管50bは、第1鉛直部51bと、螺旋部52bと、第2鉛直部53bとを有している。第1鉛直部51bの形状は、第1実施形態における鉛直部51の形状と等しい。また、螺旋部52bの形状は、第1実施形態における螺旋部52の形状と等しい。
第2鉛直部53bは、第2空気導入管50bのうち最も上方側(下流側)の部分である。第2鉛直部53bは、その中心軸を鉛直方向に沿わせた状態で配置されている。第2鉛直部53bは、螺旋部52bの上端からベースプレートBPbに向かって延びており、その上端はベースプレートBPbの下面に接続されている。
加熱配管60は、ステンレス鋼によって形成された断面が円形の配管である。図7に示されるように、加熱配管60は、鉛直上昇部61と、螺旋部62と、鉛直下降部63とを有している。
鉛直上昇部61は、スタックアダプタADbの上面から鉛直上方に向かって延びるように形成されている部分である。螺旋部62は、鉛直上昇部61の上端から更に上方側に向かって伸びる部分である。螺旋部62は全体が螺旋状となっており、燃料電池スタックCSの周囲を取り囲んでいる。ただし、螺旋部62と燃料電池スタックCSとは互いに接触しておらず、両者の間には略一定の隙間が形成されている。
鉛直上昇部61の長さは比較的短くなっているので、螺旋部62の下端は燃料電池スタックCSの下端部近傍に配置されている。また、螺旋部62の上端は、燃料電池スタックCSの上端よりも僅かに低い位置に配置されている。
鉛直下降部63は、螺旋部62の上端から鉛直下方に向かって延びるように形成されている部分である。螺旋部62は、その下端がスタックアダプタADbの上面に接続されている。
第2空気導入管50b(第2鉛直部53b)の内部と加熱配管60(鉛直上昇部61)の内部とは、ベースプレートBPb内に形成された空気流路(不図示)及びスタックアダプタADb内に形成された空気流路(不図示)を介して接続されている。
また、加熱配管60(鉛直下降部63)の内部と燃焼器20の内部とは、ベースプレートBPb内に形成された空気流路(不図示)及びスタックアダプタADb内に形成された空気流路(不図示)を介して接続されている。
このため、第2ブロアBL2から第2空気導入管50bに空気が送られると、当該空気は、第1鉛直部51b、螺旋部52b、第2鉛直部53b、鉛直上昇部61、螺旋部62、鉛直下降部63を順に通って、燃焼器20に供給される。その後、燃焼器20の内部において(燃料電池スタックCSからの)残余空気の流れに合流し、残余空気と共に燃焼器20の下端から下方に向けて噴出され、燃焼に供される。
低負荷モードとなり、燃料電池スタックCSの下端部の温度が上昇した場合には、第2空気導入管50bから空気が供給される。この空気は、燃焼器20の周囲に配置された螺旋部52bを通る際に加熱されて、その温度を上昇させる。その後、高温となったまま加熱配管60を通る。
このとき(低負荷モードの実行時)、燃料電池スタックCSの温度は通常の発電時に比べて低温になっているので、加熱配管60の螺旋部62を通る空気の温度は、燃料電池スタックCSの温度よりも高くなっている。このため、高温の螺旋部62からの輻射熱(高温の空気の熱ともいえる)が燃料電池スタックCSに到達し、これにより燃料電池スタックCSが加熱される。
このように、本実施形態においては、第2ブロアBL2から送り込まれる空気によって燃焼器20の温度が低下するのみならず、燃焼器20の熱の一部が燃料電池スタックCSに伝達されることとなる。その結果、燃料電池スタックCSにおける温度差が更に抑制される。
尚、本実施形態の変形例として、以下のような態様としてもよい。例えば、第2空気導入管50bの全体を直線状とし、螺旋部52bを有さないような態様とした上で、加熱配管60の螺旋部62が燃料電池スタックCSの下方側部分の周囲にのみ配置されているような態様としてもよい。
このような変形例においては、第2空気導入管50bを通る空気が燃焼器20によってほとんど加熱されないので、加熱配管60には低温の空気が流れる。その結果、加熱配管60により燃料電池スタックCSから輻射熱が奪われ、燃料電池スタックCSの温度が低下する。ただし、加熱配管60の螺旋部62は燃料電池スタックCSの下方側部分の周囲にのみ配置されているので、当該部分のみ温度が低下することとなる。すなわち、燃料電池スタックCSのうち最も高温になりやすい部分のみが、螺旋部62を通る低温の空気によって冷却される。これにより、燃料電池スタックCSにおける温度差を抑制することができる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。