JP5002934B2 - 固体酸化物型燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池に係り、特に燃料電池セルと、複数の燃料電池セルを内包した発電室と、前記発電室の下方に位置した燃料分散室を有する固体酸化物型燃料電池に関する発明である。
固体酸化物型燃料電池とは、異なった成分のセラミック材料を空気極、電解質および燃料極として積層して作られた燃料電池セルから成り、約700℃から1000℃で最も効率的に発電するタイプの燃料電池で、特に燃料電池セルの形状が円筒形のものを円筒形固体酸化物型燃料電池という。
従来の代表的な円筒形固体酸化物型燃料電池の一例を図11に示す。金属壁4の内部に複数の円筒形の燃料電池セル1を、封止端を下側に向けて収納し、最外周に位置する燃料電池セル1と金属壁4の間に絶縁壁3を配している。これら複数の燃料電池セル1は集電材2により電気的に接続され所定の電気容量を発揮する。燃料電池セル1の開口部付近には仕切り板7が取付けられおり、この仕切り板7より燃料電池セル1の封止端側を発電室8、燃料電池セル1開口側を燃焼室9としている。燃料供給管14により供給された燃料ガスは燃料電池セル1の下方に位置する燃料分散室11で効果的に分散されて燃料分散板16から発電室8に入り、上方の仕切り板7に向かって流れながら各燃料電池セル1の外表面に接触する。一方、空気は空気供給管15から空気分配器6に供給され、ここで効果的に分散され、燃料電池セル1の内側に挿入された導入管5を通じて空気が導入され燃料電池セル1の内表面に接触する。このように構成された固体酸化物型燃料電池を作動温度約700℃から1000℃まで昇温すると、燃料電池セル1の内側の空気極側から燃料電池セル1の外側の燃料極側にO2-イオンが移動して電気化学的反応が起こり、発電が行われる。発電の際に生成された水蒸気および未反応燃料ガスはある適正な圧力損失と通気機能を持った仕切り板7を通り抜けて燃焼室9に入り、ここで燃料電池セル1の内側で未反応の残空気と混合され、着火燃焼後排ガスダクト10から排出される。仕切り板7は適正な圧力損失を持つため、燃焼室9内のガスが発電室8に逆流するのを防いでいる。金属壁4の外周には断熱材17が配置され、発電室8内の温度を高温に維持できるようにするとともに、放熱によるエネルギーロスを防いでいる。
このような従来の固体酸化物型燃料電池の構成では、燃料電池セル1および導入管5、絶縁壁3、燃料分散板16はセラミック系材料、金属壁4および燃料供給管14・排ガスダクト10などの配管類と空気分配器6はインコネルまたはステンレス、ニッケルなどの耐熱金属材料、仕切り板7はアルミナ繊維などのセラミック系材料を使用することが一般的である。
固体酸化物型燃料電池の電圧は、燃料電池セル1に供給される燃料の質量流量の影響を強く受ける。燃料の質量流量が少なければ、電極における燃料の消費に対して補給が遅れることとなり、燃料の拡散にエネルギーが消費されるために電圧が下がる現象(=濃度過電圧)が生じる。
電圧が低下している状態は、燃料電池セル1に負担を掛けている状態であり、一般に燃料電池セルの劣化が進行しつつあることを表す。
よって固体酸化物型燃料電池では、燃料は全ての燃料電池セル1に同じ質量流量が供給されていることが望ましい。しかし実際は発電室8の外周に位置する金属壁4からの放熱による発電室8内の温度分布やセルの発熱量の個体差による温度分布が発生し、温度の高い所では熱膨張により燃料の密度が低下しており、相対的に温度の低いところよりも燃料の質量流量が少なくなる。また、構造上または施工上のバラツキに起因する燃料分散の偏りが起こりえる。そうなると供給される燃料の質量流量が少ない部分の燃料電池セル1の電圧が相対的に低下することとなり、その燃料電池セル1では劣化が早まり、最悪の場合は破損となる。一般に固体酸化物型燃料電池を運転する際は、燃料電池セル1の急激な劣化や破損を回避するため、最も電圧の低い燃料電池セル1に応じて全体の発電出力または発電効率を落とさざるを得ない。
従来の固体酸化物型燃料電池では燃料を均一に分散させる提案が出されている。例えば、発電室8の下方に位置する燃料分散室11に燃料分散材12としてセラミックボールを充填するあるいは多孔質を配備し、圧損により燃料を分散させている。(例えば、特許文献1参照)
この手段によれば、構造上または施工上のバラツキの多くを排除し、燃料分散室11の底面などから供給した燃料を効果的に分散させ、上方の燃料電池セル1に体積流量としてはほぼ均一に供給することができる。
しかしながら、燃料分散室11の外周面からの放熱のため、燃料分散室11内に温度分布が生じ、温度の高い所では熱膨張により燃料の密度が低下しており、体積流量としてはほぼ均一に燃料を分散させていても、温度の高い所では相対的に温度の低いところよりも燃料の質量流量が少なくなる。とりわけセルの発熱量の個体差、施工上のバラツキのように運転中の発電性能を確認することにより発見されるバラツキに対しては、発電状況に応じて柔軟に対応することができず、燃料の質量流量の偏りは解消されない。よって燃料の質量流量の少ない燃料電池セル1では、濃度過電圧が強まり電圧を低下させ、劣化が進行する。
また、温度分布に関しては、相対的に高温となる燃料電池セルの近傍に空気または燃料の流路を配置し、高温部の冷却および温度調整を可能とする提案がある。(例えば、特許文献2参照)
この手段によれば、相対的に高温となる燃料電池セル1を冷却し、発電室8全体として均一な温度状態を作ることができる。
しかしながら、燃料電池セル1間に冷却用の流路を設けることは、燃料電池セル1間ピッチを広げることとなり、固体酸化物型燃料電池の設置面積を広げることになる。
特開2000−58087号公報 特開2002−289250号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、燃料電池セル1に流れる燃料の質量流量を調整することであり、ひいてはは燃料電池セル1の劣化を防ぎ固体酸化物型燃料電池の高出力高効率運転を維持することである。
上記目的を達成するために本発明は、円筒形燃料電池セルと、前記円筒形燃料電池セルを複数配置した発電室と、前記発電室へ分散状態で燃料を供給する燃料分散室と、を備える固体酸化物型燃料電池において、前記燃料分散室に前記燃料分散室内の温度分布を調整する調整部を備えることを特徴とする固体酸化物型燃料電池を提供する。
本発明の好ましい態様においては、調整部が冷却のための熱交換部を有する。
本発明の好ましい態様においては、熱交換部へ送られる冷媒と、冷媒を熱交換部に送る駆動部とを備える。
本発明の好ましい態様においては、冷媒が空気である。
本発明の好ましい態様においては、冷媒が水である。
本発明の好ましい態様においては、熱交換部が発電室の対面にある燃料分散室の壁面に位置する。
本発明の好ましい態様においては、円筒形燃料電池セルの電圧を測定する測定部と、測定部での測定値と閾値を比較して調整部の運転を制御する制御部を備えている。
本発明によれば、燃料のバラツキに起因する前記燃料電池セルの劣化を防ぐとともに、電圧の低下した前記燃料電池セルに応じて燃料電池全体の性能を低下させる必要がなく、常に高い性能を維持することができる。
以下に図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明の第一の実施例を略示する円筒形固体酸化物型燃料電池の側面断面図であり、 図2は同例の燃料分散室部分の立体図である。
図1および図2に示すように、金属壁4の内部に複数の円筒形の燃料電池セル1を、封止端を下側に向けて収納し、最外周に位置する燃料電池セル1と金属壁4の間に絶縁壁3を配している。図1に示す燃料電池には、燃料電池セル1が横方向に6列、縦方向に6列配置され、発電室の中央部に収納されている。これら複数の燃料電池セル1が集電材2により電気的に接続され所定の電気容量を発揮する。集電材2には予め必要とされる箇所に電圧測定線13が接続されており金属壁4の外部に取り出されている。燃料電池セル1の開口部付近には適正なガス導通穴または気孔率を持つ仕切り板7が取付けられおり、この仕切り板7より燃料電池セル1の封止端側を発電室8、燃料電池セル1開口側を燃焼室9としている。燃料電池セル1の下方には適正寸法のガス導通孔が明いた燃料分散板16が取付けられており、この燃料分散板16より下側を燃料分散室11としている。燃料分散室11には燃料供給管14が接続されており、燃料分散室内には必要に応じてアルミナボールや多孔質材料などの燃料分散材12が充填されている。発電室8の対面に位置する燃料分散室11壁面である底面には熱交換部24として所定の箇所・個数の分散室熱交換ボックス18が取付けられている。分散室熱交換ボックス18には冷媒管22が複数接続されており、少なくとも1本は冷媒駆動部23と接続され冷媒供給管となり、残りの冷媒管22が冷媒排出管となっている。これら熱交換部24と冷媒管22と冷媒駆動部23により調整部25が構成されている。冷媒駆動部23は、冷媒が空気のような気体の場合は、一般にファンやブロアーが使われ、冷媒が水のような液体の場合は一般にポンプが用いら入れる。燃焼室9には排ガスダクト10と繋がっており、燃焼室9内には空気分配器6が収められており、この空気分配器6に繋がった空気供給管15が金属壁4の外に伸びている。また、空気分配器6からは燃料電池セル1と同本数の導入管5が接続されており、導入管5は燃料電池セル1の内部を通って燃料電池セル1の下方に向けて吐出口を設けられている。金属壁4の外周には断熱材17が配置され発電室8内の温度を高温に維持できるようにするとともに、放熱によるエネルギーロスを防いでいる。
このように構成された固体酸化物型燃料電池を運転する際は、燃料ガスを燃料供給管14から供給し、燃料分散室11で効果的に分散されて燃料分散板16から発電室8に入り、上方の仕切り板7に向かって流れながら各燃料電池セル1の外表面に接触する。一方、空気は空気供給管15から空気分配器6に供給され、ここで効果的に分散され、導入管5を通じて空気が燃料電池セル1の内表面に接触する。燃料電池セル1が作動温度である約700℃から1000℃にまで昇温されると、燃料電池セル1の内側の空気極側から燃料電池セル1の外側の燃料極側にO2-イオンが移動して電気化学的反応が起こり、発電が行われる。発電の際に生成された水蒸気および未反応燃料ガスはある適正な圧力損失と通気機能を持った仕切り板7を通り抜けて燃焼室9に入り、ここで燃料電池セル1の内側で未反応の残空気と混合され、着火燃焼後排ガスダクト10から排出される。仕切り板7は適正な圧力損失を持つため、燃焼室9内のガスが発電室8に逆流するのを防いでいる。
固体酸化物型燃料電池の運転中は、金属壁4からの放熱による発電室8内や燃料分散室11内の温度分布やセルの発熱量の個体差による温度分布が発生し、温度の高い所では熱膨張により燃料の密度が低下している。そのため温度の高い所では相対的に温度の低いところよりも燃料の質量流量が少なくなりそこに位置する燃料電池セル1の電位が低下してしまう。
ここで燃料の質量流量が少なくなっている場所の真下に位置する調整部25により燃料分散室11内の熱を部分的に奪うこととする。つまり、図1の例では分散室熱交換ボックス18に、冷媒駆動部23から冷媒管22に冷媒となる流体を流し、冷媒が熱交換部24である分散室熱交換ボックス18を介して効果的に燃料分散室11内の熱を部分的に奪う。そうすることで、燃料分散室11内の冷却された部分では燃料の密度が相対的に大きくなるため、そこから上方に流れる燃料の質量流量を意図的に多くすることができ、そこに位置する燃料電池セル1の電位を上昇させることができる。
また、構造上または施工上のバラツキに起因する燃料分散の偏りに対しても同様に、燃料の質量流量が少なくなっている場所の真下に位置する分散室熱交換ボックス18に流体を供給し、燃料分散室11内の熱を部分的に奪うことでそこから上方に流れる燃料の質量流量を意図的に多くすることができる。
熱交換部24に流す流体としては、空気を使うことが有効である。空気であれば、外気から常に十分な量を調達することができ、素材自体のコストが掛からない。また、燃料電池セル1に供給する空気を熱交換部24に送られる冷媒として利用後、予熱された状態で燃料電池セル1に供給すれば、燃料分散室11から回収した熱を有効に活用でき、固体酸化物型燃料電池の総合効率を高めることができる。
熱交換部24に流す流体として、水を使うことも有効である。水は体積当りの熱容量が大きいため、非常に少ない流量で冷却効果を得ることが出来る。これにより、熱交換部24をより小型化することができ、冷媒管22の配管径も小さくすることが出来る。また固体酸化物型燃料電池が燃料として都市ガスのような炭化水素系燃料を使用するシステムの場合は、改質用の水蒸気が必要となり、多くの場合水を気化させるために蒸気発生器を備えている。そこで、改質用水蒸気に用いる水を熱交換部24に送られる冷媒として利用後、予熱された状態で蒸気発生器に供給すれば、燃料分散室11から回収した熱を有効に活用でき、固体酸化物型燃料電池の総合効率を高めることができる。
尚ここで言う総合効率とは、投入した燃料熱量に対する、発電電力と利用される熱エネルギーの合計値の比率である。
燃料の質量流量に偏りが生じる最も大きな要因は、金属壁4からの放熱による発電室8内や燃料分散室11内の温度分布である。これに関しては、平面的に中央部の温度が相対的に高温となる。よって熱交換部24は燃料分散室11の平面的な中央部に配置することが有効である。ここで言う中央部への配置とは図3で示すように、燃料分散室11の底面を均等に16分割した際、斜線で示した分割範囲を燃料分散室中央部26とし、その他の分割範囲を燃料分散室周囲部27とすると、燃料分散室周囲部27における熱交換部24の伝熱面積より燃料分散室中央部26における熱交換部24の伝熱面積の方が大きくなっている状況を表している。
発電室8または燃料分散室11の構造に起因する燃料の分散の偏りが生じる場合はその状況に応じて最適な位置に熱交換部24は配置される。
施工上のバラツキに起因するような予め予測できない燃料分散の偏りに対応する場合は燃料分散室11の複数箇所に熱交換部24を設けてかつ、燃料分散の偏りを検出する手段を設け、燃料分散の偏りの検出結果に応じて必要箇所の熱交換部24に冷媒を流すことで効果を得ることが出来る。
熱交換部24への冷媒の流量制御に関しては、金属壁4からの放熱による発電室8内や燃料分散室11内の温度分布に起因する燃料の質量流量の分布のように予測の立てられる要因に対しては、発電出力や燃料電池セル1に供給する燃料および空気の供給量などのパラメーターに応じて予め最適な冷媒供給量を設定しておくことができる。こうすることで非常に簡単な回路で燃料分散室11の温度分布を制御し、燃料電池セル1に供給する燃料の質量流量を最適にすることができる。
より精度良く燃料電池セル1に供給する燃料の質量流量を最適に制御する方法としては、燃料の質量流量が少なくなっている部分の燃料電池セル1は電圧が低下することを利用し、燃料電池セル1の電圧低下を観測し、その場所・電圧値に応じて冷媒の供給位置・流量を制御する方法がある。例えば、予め複数ある燃料電池セル1のうち部分的な電位を計測できるよう電圧測定線13を設置しておき、固体酸化物型燃料電池の運転中の観測された電圧値に応じて該当する箇所の熱交換部24に供給する冷媒の流量をフィードバック制御し、常に燃料電池セル1の電圧分布を均一にすることができる。フィードバック制御においては、予め電圧閾値を設定しておき、燃料電池セル1の電圧が閾値を下回った場合に、冷媒の供給流量を一定量増加させる方法や、予め電圧閾値を複数段階的に設定しておき、燃料電池セル1の電圧がこれら閾値を下回った場合に、冷媒の供給流量を電圧閾値の段階に応じた一定量を増加させる方法や、燃料電池セル1の電圧が予め設定された電圧閾値を下回った時は、電圧閾値からの電圧値の低下幅に応じて予め設定した関数式に従い冷媒の流量を増加させる方法が使える。
電圧測定線13の設置に関しては、放熱に起因する燃料の質量流量の分布のように燃料電池セル1の電圧低下の予測が立てられる箇所、例えば発電室8を平面的に見た時の中央部には電圧測定線13を設置する必要がある。この予め燃料電池セル1の電圧低下の予測が立てられる箇所にのみ電圧測定線13を設置することとすれば、燃料電池セル1に供給する燃料の質量流量を最適にすることが低コストで効果的に実現できる。あるいは予め複数ある燃料電池セル1の数本単位で分割して各所の電圧が計測できるよう電圧測定線13を設置しておけば、固体酸化物燃料電池全体を漏れなく観測することができ、放熱に起因する燃料の質量流量の分布のように予測の立てられる要因に対してだけでなく、燃料電池セル1の個体差や施工上のバラつきのように予測の立てられない要因に対しても、燃料電池セル1の電圧低下を観測でき、該当する箇所の熱交換部24に供給する冷媒の流量を制御することで燃料電池セル1に供給する燃料の質量流量を最適にすることができ、燃料電池セル1の劣化を防ぐとともに電圧の低下した前記燃料電池セルに応じて燃料電池全体の性能を低下させる必要がなく、常に高い性能を維持することができる。
本発明の第一の実施例に挙げた構成で、熱交換部24として分散室熱交換ボックス18を燃料分散室11の底面の中央部に設け、ここに流す流体として空気を用いた時の実験結果を図7から図10に示す。
分散室熱交換ボックス18への空気供給流量が80NL/minの時、図7に示すように燃料分散室11の端部よりも中央部の温度が8℃高く、この時図8に示すように端部に位置する燃料電池セル1の電圧より中央に位置する燃料電池セル1の電圧が55mV低かった。よって、中央部に位置する燃料電池セル1は端部に位置する燃料電池セル1よりも劣化の進行が早まっていると考えられる。そこで、分散室熱交換ボックス18への空気供給量を100NL/minに増加させると、図9に示すように燃料分散室11の温度を逆に端部よりも中央部の温度が4℃低くすることができ、これにより図10に示すように端部に位置する燃料電池セル1の電圧より中央に位置する燃料電池セル1の電圧が23mV低い状態にまで差を縮めることができ、中央に位置する燃料電池セル1の劣化を抑えることができた。
図4は本発明の第二の実施例を略示する円筒形固体酸化物型燃料電池の側面断面図である。
図4に示すように、熱交換部24は分散室熱交換ボックス18と燃料分散室11の内部に設置された熱交換フィン19で構成することができる。こうすることにより、分散室熱交換ボックス18の燃料分散室11底面への単位貼付け面積当りの伝熱面積が飛躍的に増加するため、少ない流量の冷媒で効率よく燃料分散室11内の温度を調整することができる。
図5は本発明の第三の実施例を略示する円筒形固体酸化物型燃料電池の側面断面図である。
図5に示すように、熱交換部24は、冷媒管22を直接燃料分散室11内に貫流させ熱交換パイプ19とすることができる。こうすることにより、燃料分散室11内の燃料の分散流路をほとんど妨げずに、直接燃料分散室11の内部まで熱交換することができるため、少ない流量の冷媒で効率よく燃料分散室11内の温度を調整することができる。
図6は本発明の第四の実施例を略示する円筒形固体酸化物型燃料電池の側面断面図である。
図6では、発電室8の対面に位置する燃料分散室11壁面である底面に冷却ファン21を設けている。こうすることにより、冷媒となる流体を供給する配管が不要となり、コンパクトにすることができる。
本発明における燃料電池は、燃料電池セルが一列に配列されたものであっても良いが、好ましくは燃料電池セルが縦方向及び横方向に複数列配列されたものであるほうが良い。同一本数のセルで燃料電池を作製した場合には、後者のほうが燃料電池の外表面積を小さくすることができ、放熱による温度低下を小さくできるからである。
本発明の第一の実施例を略示する円筒形固体酸化物型燃料電池の側面断面図である。 同例を略示する燃料分散室部分の立体図である。 同例を略示する燃料分散室部底面の平面図である。 本発明の第二の実施例を略示する円筒形固体酸化物型燃料電池の側面断面図である。 本発明の第三の実施例を略示する円筒形固体酸化物型燃料電池の側面断面図である。 本発明の第四の実施例を略示する円筒形固体酸化物型燃料電池の側面断面図である。 本発明の第一の実施例における冷媒空気流量が80NL/minの時の実験結果を表す燃料分散室温度-燃料分散室配置のグラフである。 本発明の第一の実施例における冷媒空気流量が80NL/minの時の実験結果を表す電圧-燃料分散室配置のグラフである。 本発明の第一の実施例における冷媒空気流量が100NL/minの時の実験結果を表す燃料分散室温度-燃料分散室配置のグラフである。 本発明の第一の実施例における冷媒空気流量が100NL/minの時の実験結果を表す電圧-燃料分散室配置のグラフである。 従来の固体酸化物型燃料電池システムを示す側面断面図である。
符号の説明
1…燃料電池セル
2…集電材
3…絶縁壁
4…金属壁
5…導入管
6…空気分配器
7…仕切り板
8…発電室
9…燃焼室
10…排ガスダクト
11…燃料分散室
12…燃料分散材
13…電圧計測線
14…燃料供給管
15…空気供給管
16…燃料分散板
17…断熱材
18…分散室熱交換ボックス
19…熱交換フィン
20…分散室熱交換パイプ
21…冷却ファン
22…冷媒管
23…冷媒駆動部
24…熱交換部
25…調整部
26…燃料分散室中央部
27…燃料分散室周囲部

Claims (7)

  1. 円筒形燃料電池セルと、
    前記円筒形燃料電池セルを複数配置した発電室と、
    複数のガス導入孔が形成された燃料分散板を介して前記発電室に隣接して設けられ、前記ガス導入孔を通じて前記発電室へ分散状態で燃料を供給する燃料分散室と、
    を備える固体酸化物型燃料電池において、
    前記燃料分散室に
    前記燃料分散板の中央部を通過して前記発電室に供給される燃料ガスを、前記燃料分散板の中央部以外を通過して前記発電室に供給される燃料ガスよりも冷却することにより、前記燃料分散室内の温度分布を調整する調整部を備えることを特徴とする固体酸化物型燃料電池。
  2. 前記調整部が冷却のための熱交換部を有することを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
  3. 前記熱交換部へ送られる冷媒と、前記冷媒を前記熱交換部に送る駆動部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池。
  4. 前記冷媒が空気であることを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池。
  5. 前記冷媒が水であることを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池。
  6. 前記熱交換部が前記発電室の対面にある前記燃料分散室の壁面に位置することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  7. 前記円筒形燃料電池セルの電圧を測定する測定部と、前記測定部での測定値と閾値を比較して前記調整部の運転を制御する制御部を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の固体酸化物型燃料電池。
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