JP5133551B2 - 燃料電池発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池を複数集合した発電モジュールを具備する燃料電池発電システムに係り、特に固体酸化物形燃料電池を備えたものに好適な燃料電池発電システムに関する。
燃料電池は、電解質を挟んで一方の側にアノード(燃料極)を備え、他方の側にカソード(酸化剤極)を備え、アノード側に供給された燃料とカソード側に供給された酸化剤を、電解質を介して電気化学反応(電池反応)させることによって発電する発電装置である。酸化剤には通常、空気が用いられることから、カソードは空気極とも称される。1つの燃料電池により得られる電圧は1V程度であるが、燃料電池を複数結合することにより高出力を得ることが可能であり、実際の発電システムでは複数の燃料電池を備えた発電モジュールが形成される。燃料電池の種類の一つである固体酸化物形燃料電池は発電効率が高いだけでなく、700〜1000℃の高温で運転されるため、燃料電池内部で燃料の改質反応が行え、多様な燃料を用いることができる。また、燃料電池の外部で燃料の改質を行うことなく燃料を直接利用することができるため、構造がシンプルになり、他の燃料電池に比べ、コスト低減の可能性を持つ。加えて、高温の排熱を用いて様々なボトミングサイクルを組み合わせることができ、用途に合わせたシステムを形成しやすい。
作動温度が高いことは上記の利点がある一方で、温度分布が生じやすいという不利な点もある。発電状態において、発電モジュールは内部抵抗による発熱により温度維持されているが、発電モジュールの中央部に比べ端部は、放熱のため温度が低くなる。燃料電池の温度が低すぎる場合には、電気化学反応の過電圧が大きくなり、発電効率の低下につながる。また、燃料電池の温度が高すぎる場合には、燃料電池および構成部材の劣化が生じやすくなる。そのため、発電モジュールを適切な温度域に保つと共に、モジュールの温度分布を低減することが重要である。
発電モジュール内の温度分布は燃料電池へ供給される燃料および空気の温度に影響を与える。燃料および空気が発電モジュール内の複数の燃料電池に同一の流速で供給された場合には、高温となる中央部の燃料電池に供給された燃料および空気のモル流量は端部に比べて小さくなり、燃料利用率および空気利用率の局所上昇による電圧低下、または電流密度低下の原因となる。
発電モジュールの温度分布を低減する方法としては、発電モジュール中央部に低温の空気や燃料を流通させることが知られている(例えば、特許文献1参照)
特開2002−289250号公報(要約)
発電モジュールの温度分布を低減するために、発電モジュール中央部に低温の空気や燃料を流通させることは有効な方法であるが、温度分布の均一化の点から見ると不十分である。発電モジュール内に温度分布があると、燃料電池に供給される燃料および空気のモル流量の不均一が発生し、発電効率が低下する。
本発明の目的は、発電モジュール内に温度分布がある状態においても、燃料電池に供給される燃料および空気のモル流量を均一にすることができるようにした燃料電池発電システムを提供することにある。
本発明は、電解質を介して一方の側にアノードを有し他方の側にカソードを有する燃料電池を複数備えた発電モジュールを具備し、前記燃料電池のアノード面に燃料を供給する燃料流路を有し、カソード面に酸化剤を供給する酸化剤流路を有する燃料電池発電システムにおいて、前記燃料流路と前記酸化剤流路の少なくとも一方の流路断面積を、前記発電モジュールの端部に比べて中央部の方で大きくしたことを特徴とする。
本発明は、円筒形の燃料電池が複数個電気的に接続されてバンドルが形成され、前記バンドルが複数個集合して集電板によって電気的に接続されて発電モジュールが形成され、前記燃料電池の円筒外側及び円筒内部が燃料又は酸化剤のガス流路になっている燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池の円筒外側に形成されたガス流路の断面積が、前記発電モジュールの端部に比べて中央部の方が大きいことを特徴とする。
本発明は、前記した構成のバンドルを一つの列として複数のバンドルが並列に並べられて発電モジュールが形成され、バンドル同士が電気絶縁板によって仕切られ、前記燃料電池の円筒外側及び円筒内部が燃料又は酸化剤のガス流路になっている燃料電池発電システムにおいて、前記バンドルは端部に比べて中央部の方が燃料電池の円筒外側に形成されたガス流路の断面積が大きくなっており、かつ、発電モジュールの中央の列に位置するバンドルの中央部の前記断面積が最も大きくなっていることを特徴とする。
本発明によれば、発電モジュールの中央部をガスが流れやすくなり、ガス流速も速くなる。その結果、発電モジュール内に温度分布がある状態においても、燃料電池に供給されるガスのモル流量を均一化することができる。また、ガス流速が均一な場合でも、中央部の燃料電池に供給されるガスの体積流量は流路断面積比に応じて大きくなり、その結果、発電モジュール内に温度分布がある状態においても、ガスのモル流量を均一化することができる。
本発明は、燃料電池のアノードに燃料を供給するガス流路とカソードに空気を供給するガス流路のうち、少なくとも一方の断面積を、発電モジュール端部と比較して、高温となるモジュール中央部において大きくしたものである。
本発明は、固体酸化物形燃料電池を備えた発電システムに特に適している。以下、固体酸化物形燃料電池を備えた発電システムを例にとって詳細に説明する。なお、固体酸化物形燃料電池では、固体電解質にイットリア安定化ジルコニア等のセラミックが用いられ、その固体電解質の形状により円筒形と平板形に大別されるが、本発明はどちらの形状においても適応可能である。以下では、円筒形、特に円筒縦縞形の燃料電池を例にとって説明する。
袋管形の固体酸化物形燃料電池を複数備えた発電モジュールの水平断面図を図1に示す。図1に示す燃料電池1は、袋管形をした電解質の内表面にカソード、外表面にアノードを備えたものであるが、カソードとアノードの位置が逆転した場合においても本発明は適用可能である。
燃料電池1同士を集電材2により電気的に接続することで燃料電池集合体であるバンドル3が形成されている。バンドル3同士は集電板6により電気的に接続されており、電流は端部の集電板6aから取り出される。
燃料電池の外側の空間は燃料流路4、内側の空間は空気流路5として利用され、燃料電池1の軸方向と平行に流れる。また、燃料と空気は平行に流れる。電池容器9は燃料をシールして漏れ出しを防止している。
並列に並べられたバンドル3同士の間、バンドル3と電池容器9の間、集電板6と電池容器9の間には電気絶縁板8が挿入され、電気的に絶縁されている。本実施例では、バンドル3が並列に3列配置されている。また、中央列の電気絶縁板8間の距離が、端部の列の電気絶縁板8間距離よりも大きくなっている。
また、燃料流路4の断面積を調整するため、流路断面積調整部材7が、並列に並べられたバンドル3同士の間に挿入された電気絶縁板8の両面に配置されている。本実施例では、流路断面積調整部材7として、中央部の厚さが薄く端部の厚さが大きい板が用いられている。
流路断面積調整部材7を電気絶縁板8の両面に配置したことで、各バンドルは中央部分ほど燃料流路4が広くなっている。また、3列に並んだモジュールのうちでは、中央の列にあるバンドルの中央部分の燃料流路が最も広くなっている。
図1に示した発電モジュールのように、複数の燃料電池を電気的に接続して形成されたバンドルを1つの列として、複数のバンドルを並列に並べたものでは、発電モジュールの端部に位置するバンドルにも温度分布が生じる。つまり、バンドルの中央部に比べて端部の方は、周囲に壁が多く存在し、放熱が生じ易い。バンドルごとに、中央部のガス流路断面積が端部のガス流路断面積よりも大きくなるようにしておくことで、温度分布があってもガスのモル流量を均一化することができる。
流路断面積調整部材7の材料は、電気絶縁性でガス流動抵抗の大きい材料、例えばアルミナやシリカが望ましい。アルミナやシリカの緻密体、多孔体、あるいは繊維成形体などで流路断面積調整部材を形成することができる。
本実施例では、流路断面積調整部材7を配置したことで、各バンドルの中央部分ほどバンドル3を囲む電気絶縁板8間の距離が長くなっており、燃料流路4が広くなっている。また、並列に3列に並べられたバンドル3同士のうち、中央の列の電気絶縁板7間距離を他の列よりも大きくしたことで、発電モジュール中央部分の燃料流路が最も広くなっている。このため、燃料電池1と集電材2と集電板6および流路断面積調整部材7によって囲まれた領域である燃料流路4の水平断面積は、発電モジュールの中央部ほど広くなっており、燃料が流れやすい。
流路断面積調整部材7の厚さ分布および電気絶縁板間の距離分布は、発生する温度分布を考慮して各燃料電池に供給される燃料モル流量が均一になるように決定される。これにより各燃料電池における燃料利用率を均一にすることができ、局所燃料利用率上昇による電圧低下を防止できる。また、燃料利用率分布が小さいため、平均燃料利用率を高めることができ、発電効率を向上することができる。
また、本実施例では発電モジュール中央部へのガス流量が増えるため、中央部が冷却され、温度分布が低減する。
本発明は、発電モジュールの中央部における燃料又は酸化剤のガス流路断面積を、発電モジュールの端部におけるガス流路断面積よりも大きくするものであるが、ここで、発電モジュールの中央部とはモジュールの中心部にある1個の燃料電池をさすのではなく、モジュール中心部分に位置する複数の燃料電池をさしている。図1に示す構造の発電モジュールで言えば、3列に並んだバンドルのうち、中央列のバンドルの中央部に位置する6個の燃料電池をモジュール中央部の燃料電池と位置づけることができる。本発明は、このモジュール中央部に位置する6個の燃料電池の燃料流路又は酸化剤流路の断面積を、他の部分よりも大きくすることにある。
本実施例は、図1の構成を有する燃料電池発電システムにおいて、電気絶縁板に流路断面積調整部材としての役割を兼ねさせて、流路断面積調整部材を省略したものである。
本実施例による発電モジュールの水平断面図を図2に示す。電気絶縁板8の厚さを一定にするのではなく、バンドル端部の方の厚さが大きく、バンドル中央部の方の厚さが小さくなるようにしている。本実施例により、部品点数が減り、構造が簡略化する。
本実施例による発電モジュールの水平断面図を図3に示す。本実施例では、バンドル3の中央部における燃料電池間の距離を端部の燃料電池に比べて大きくしている。また、中央の列のバンドルにおける中央部の燃料電池間距離を、他の列における中央部の燃料電池間距離よりも大きくしている。これにより、発電モジュールの中央部の燃料流路が広くなり、燃料が流れ易くなる。
本実施例によれば、バンドル3における燃料電池1と集電材2に囲まれた燃料流路を流れる燃料と、燃料電池と流路断面積調整部材7の間の燃料流路を流れる燃料との流量の差を低減できる。
本実施例による発電モジュールの水平断面図を図4に示す。本実施例では、中央の列の電気絶縁板8間距離を他の列の電気絶縁板間距離に比べて大きくすると共に、中央列に配置する流路断面積調整部材7と他の列に配置する流路断面積調整部材7の厚さを変えて、ンドルごとに流路断面積を調整している。また、流路断面積調整部材には一定の厚みの板を使用して、これを所定の箇所に配置するようにしている。本実施例の構成にすることで、流路断面積調整部材7として一定厚みの板を使用できるようになり、板の加工が容易になる。また、流路断面積調整部材7とバンドルが平行になり、バンドルの位置決めが容易になる。
本実施例による発電モジュールの側面断面図を図5に示す。空気12は空気導入管10により燃料電池底部まで送られた後、上方に向かって流れる。燃料11は底部から上方に向かって流れる。電池反応後の燃料および空気は燃料電池上部の空間で混合され、排気ガス13として排出される。本実施例では、高温となる中央のバンドルにおける軸方向中央部の燃料流路断面積が大きくなるようにしている。これにより、中央のバンドルの軸方向中央部では、周囲のバンドルから燃料が流れ込むようになり、軸方向の温度分布がある状態においても燃料モル流量を均一に保つことができる。
第一の実施例による燃料電池発電モジュールの構成図である。 第二の実施例による燃料電池発電モジュールの構成図である。 第三の実施例による燃料電池発電モジュールの構成図である。 第四の実施例による燃料電池発電モジュール構成図である。 第五の実施例による燃料電池発電モジュールの構成図である。
符号の説明
1…燃料電池、2…集電材、3…バンドル、4…燃料流路、5…空気流路、6…集電板、7…流路断面積調整部材、8…電気絶縁板、9…電池容器、10…空気導入管、11…燃料、12…空気、13…排気ガス。

Claims (8)

  1. 円筒形の燃料電池が複数個電気的に接続されてバンドルが形成され、前記バンドルが複数個集合して集電板によって電気的に接続されて発電モジュールが形成され、前記燃料電池の円筒外側及び円筒内部が燃料又は酸化剤のガス流路になっている燃料電池発電システムにおいて、前記発電モジュールが前記バンドルを一つの列として複数の列を並列に並べたものであり、前記バンドル同士は電気絶縁板によって相互に仕切られ、前記発電モジュールの平断面における中央部の前記バンドルの円筒形燃料電池の軸方向中央部の前記円筒形燃料電池のガス流路の横断面積が、前記軸方向の中央部において最大で、上下端部方向に順次小さくなっていることを特徴とする燃料電池発電システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池発電システムにおいて、前記発電モジュールの前記燃料電池の円筒外側のガス流路の前記燃料電池の円筒の軸に対して水平方向における横断面積が、前記発電モジュールの平断面における中央列の中央部において最大で、端部方向に小さくなっていることを特徴とする燃料電池発電システム。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池の周囲に流路断面積調整部材を設け、該流路断面積調整部材によって、ガス流路の横断面積を変えることを特徴とする燃料電池発電システム。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池が固体酸化物形燃料電池であることを特徴とする燃料電池発電システム。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃料電池発電システムにおいて、前記バンドルの端部より中央部の方が前記燃料電池の円筒外側のガス流路断面積が大きくなるように、前記流路断面積調整部材が設置されていることを特徴とする燃料電池発電システム。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の燃料電池発電システムにおいて、前記発電モジュールの端部より中央部の方が、前記バンドルの燃料電池間の距離が大きくなっていることを特徴とする燃料電池発電システム。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の燃料電池発電システムにおいて、前記発電モジュールの端部に位置する前記バンドルに比べて中央部に位置する前記バンドルの方が、前記バンドル同士の距離が大きくなっていることを特徴とする燃料電池発電システム。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の燃料電池発電システムにおいて、前記電気絶縁板の厚さが端部で厚く中央部で薄くなるように変化しており、それによって、ガス流路の横断面積を変えることを特徴とする燃料電池発電システム。
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