[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
<燃料電池モジュール>
図1,図2に示されるように、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1は、燃料電池セルスタック10と、容器20と、断熱層130と、断熱材140とを備える。
<燃料電池セルスタック>
燃料電池セルスタック10には、一例として、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が適用されている。この燃料電池セルスタック10は、一例として、鉛直方向に積層された複数の平板形のセル12と、マニホールド14と有している。各セル12は、燃料極、電解質層、空気極を有する。
各セル12の燃料極には、改質ガスが供給され、各セル12の空気極には、酸化剤空気が供給される。各セル12は、改質ガスと酸化剤空気との電気化学反応により発電すると共に、発電に伴い発熱する。
<容器>
容器20は、複数(九個)の管材21〜29により構成されている。この複数の管材21〜29は、いずれも横断面が真円形状である円筒状に形成され、伝熱性の高い金属で形成される。この複数の管材21〜29は、容器20の内側から外側に順に配置されている。
一番目の管材21は、燃料電池セルスタック10の上方から容器20の上端部に亘って設けられている。二番目の管材22及び三番目の管材23は、一番目の管材21の上部に対応する長さで形成されており、二番目の管材22は、一番目の管材21の外側から管材21の上部に接合されている。四番目の管材24は、容器20の高さ方向の中央部に設けられており、五番目の管材25及び六番目の管材26は、容器20の下端部から上端部に亘って設けられている。七番目の管材27、八番目の管材28、及び、九番目の管材29は、容器20の高さ方向の中央部から上端部に亘って設けられている。
六番目の管材26と七番目の管材27とは、水平方向に延びる連結部31を介して連結され、五番目の管材25と八番目の管材28とは、水平方向に延びる連結部32を介して連結されている。また、九番目の管材29の上端部は、水平方向に延びる連結部33を介して三番目の管材23の上端部に固定されている。
五番目の管材25の下端部は、底壁部34に固定されており、六番目の管材26の下端部は、底壁部35に固定されている。底壁部34には、燃料電池セルスタック10が載置されており、また、底壁部34と底壁部35とは、スペーサ36により固定されている。
この複数の管材21〜29によって構成される容器20は、機能別には、気化部40と、改質部60と、燃焼部90と、予熱部100(収容部)と、熱交換部110とを有する。
<気化部>
気化部40は、図2〜図4に示されるように、四重の伝熱壁41〜44(伝熱壁)によって構成されている。四重の伝熱壁41〜44のうち最も内側に位置する伝熱壁41は、一番目の管材21の上部と、二番目の管材22とによって構成され、四重の伝熱壁41〜44のうち内側から二番目の伝熱壁42は、三番目の管材23によって構成されている。また、四重の伝熱壁41〜44のうち内側から三番目の伝熱壁43は、五番目の管材25の上部によって構成され、四重の伝熱壁41〜44のうち最も外側の伝熱壁44は、六番目の管材26の上部によって構成されている。
この四重の伝熱壁41〜44によって構成された気化部40は、後述する改質部60の上方に改質部60と同軸上に設けられている。図3に示されるように、この気化部40を構成する四重の伝熱壁41〜44は、互いの間に隙間を有しており、この四重の伝熱壁41〜44の内側から外側には、断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤空気流路48が順に形成されている。
つまり、一番目の伝熱壁41の内側の空間は、断熱空間45として形成され、一番目の伝熱壁41と、二番目の伝熱壁42との間の隙間は、気化流路46として形成されている。また、二番目の伝熱壁42と、三番目の伝熱壁43との間の隙間は、燃焼排ガス流路47として形成され、三番目の伝熱壁43と、四番目の伝熱壁44との間の隙間は、酸化剤空気流路48として形成されている。図3において、断熱空間45は、空洞とされているが、この断熱空間45には、断熱材49が充填されても良い。
気化流路46の上端部には、容器20の径方向外側に延びる炭化水素燃料供給管50が接続されている。炭化水素燃料供給管50は、連結部31〜33の上方に位置する。気化流路46は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この気化流路46には、炭化水素燃料供給管50から供給された炭化水素燃料163が鉛直方向上側から下側に流れる。この炭化水素燃料供給管50から供給される炭化水素燃料163としては、原燃料に改質用水が混合されたものが使用される。この炭化水素燃料163に含まれる原燃料としては、例えば、都市ガスや、メタンガスなど水素を主成分とするガス等の炭化水素系ガス、又は、炭化水素系液体が使用される。
この気化流路46には、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材51が設けられており、この螺旋部材51により、気化流路46は、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
燃焼排ガス流路47の下端部は、後述する改質部60に形成された燃焼排ガス流路47を介して燃焼部90に形成された燃焼室94(図5参照)と連通されている。燃焼排ガス流路47は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路47には、燃焼部90から排出されると共に改質部60の燃焼排ガス流路47を通じて供給された燃焼排ガス168が鉛直方向下側から上側に流れる。
燃焼排ガス流路47の上端部には、この燃焼排ガス流路47の周方向に沿って環状に形成された整流板52が設けられている。この整流板52には、周方向に間隔を空けて複数のオリフィス53が形成されている。この複数のオリフィス53は、整流板52の板厚方向に貫通している。なお、この整流板52は、省かれても良い。
酸化剤空気流路48の上端部は、後述する熱交換部110に形成された酸化剤空気流路117と連通されている。この酸化剤空気流路48は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この酸化剤空気流路48には、熱交換部110の酸化剤空気流路117から供給された酸化剤空気166が鉛直方向上側から下側に流れる。
<改質部>
改質部60は、上述の気化部40の下方に設けられた四重の伝熱壁61〜64(伝熱壁)によって構成されている。四重の伝熱壁61〜64のうち最も内側に位置する伝熱壁61は、一番目の管材21の下部によって構成され、四重の伝熱壁61〜64のうち内側から二番目の伝熱壁62は、四番目の管材24によって構成されている。また、四重の伝熱壁61〜64のうち内側から三番目の伝熱壁63は、五番目の管材25における高さ方向の中央部によって構成され、四重の伝熱壁61〜64のうち最も外側の伝熱壁64は、六番目の管材26における高さ方向の中央部によって構成されている。
この四重の伝熱壁61〜64によって構成された改質部60は、後述する燃焼部90(図5参照)の上方に燃焼部90と同軸上に設けられている。この改質部60を構成する四重の伝熱壁61〜64は、互いの間に隙間を有している。そして、この四重の伝熱壁61〜64の内側から外側には、断熱空間45、燃焼排ガス流路47、改質流路67、及び、酸化剤空気流路48が順に形成されている。
つまり、一番目の伝熱壁61の内側の空間は、断熱空間45として形成され、一番目の伝熱壁61と、二番目の伝熱壁62との間の隙間は、燃焼排ガス流路47として形成されている。また、二番目の伝熱壁62と、三番目の伝熱壁63との間の隙間は、改質流路67として形成され、三番目の伝熱壁63と、四番目の伝熱壁64との間の隙間は、酸化剤空気流路48として形成されている。改質流路67と酸化剤空気流路48とは、三番目の伝熱壁63を介して隣接されている。
断熱空間45は、上述の気化部40の断熱空間45と連通している。図4において、断熱空間45は、空洞とされているが、この断熱空間45には、断熱材49が充填されても良い。燃焼排ガス流路47の下端部は、後述する燃焼部90に形成された燃焼室94(図5参照)と連通されている。燃焼排ガス流路47は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路47には、後述する燃焼部90から排出された燃焼排ガス168が鉛直方向下側から上側に流れる。
<混合部及び分散部>
改質部60の上端部には、鉛直方向上側に延長された混合部80が形成されている。この混合部80は、気化部40と改質部60との間、すなわち、より具体的には、改質部60の上側且つ気化部40の下端部の径方向外側に位置する。気化部40の下端部における周方向の一部からは、連結管81が径方向外側に延びている。連結管81は、混合部80における気化部40との接続部を構成しており、この連結管81の内側は、水平方向に貫通するオリフィス82として形成されている。連結管81(オリフィス82)は、気化流路46の径方向外側に位置しており、気化流路46の下端部と連通する。混合部80は、連結管81(オリフィス82)を一つのみ有する。混合部80には、オリフィス82に対する改質流路67側(径方向外側)に位置しオリフィス82と対向する対向壁部86が設けられている。
改質流路67の入口(上端)は、混合部80及び連結管81を介して気化流路46と連通されている。改質流路67は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この改質流路67には、気化流路46から供給された炭化水素ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
この改質流路67の入口には、改質流路67の周方向に沿って環状に形成された仕切板83が設けられている。この仕切板83には、周方向に一定の間隔を空けて複数のオリフィス84が形成されている。この複数のオリフィス84は、仕切板83の板厚方向(鉛直方向)に貫通しており、改質流路67には、複数のオリフィス84を通じて炭化水素ガス164が流入する。この仕切板83は、鉛直方向に間隔を空けて複数設けられていても良い。
この改質流路67の入口の径方向外側には、酸化剤空気流路48が位置している。改質流路67には、炭化水素ガス164から改質ガス165を生成するための改質触媒層70が改質流路67の周方向及び軸方向の全長に亘って設けられている。改質触媒層70には、例えば、活性金属としてニッケル、ルテニウム、白金、ロジウム等の金属を担持した粒状触媒又はハニカム触媒等が用いられる。
酸化剤空気流路48の上端部は、上述の気化部40に形成された酸化剤空気流路48と連通されている。この酸化剤空気流路48は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この酸化剤空気流路48には、気化部40の酸化剤空気流路48から供給された酸化剤空気166が鉛直方向上側から下側に流れる。
<燃焼部>
図5に示されるように、燃焼部90は、上述の改質部60の下方に設けられており、周壁部91と、点火電極92と、隔壁部93とを有する。周壁部91は、上述の改質部60を構成する四重の伝熱壁61〜64のうち最も内側の伝熱壁61を除く残りの伝熱壁62〜64に一体に形成されている。
つまり、四重の伝熱壁61〜64のうち最も内側の伝熱壁61を除く残りの伝熱壁62〜64は、内側の伝熱壁61に対して下方に延びている。そして、この筒状部62〜64における下方に延びた延長部分は、燃焼部90の周壁部91として形成されている。この周壁部91を構成する三重の伝熱壁62〜64において、伝熱壁62と伝熱壁63との間には、改質部60の改質流路67が延長して形成されており、伝熱壁63と伝熱壁64との間には、改質部60の酸化剤空気流路48が延長して形成されている。
この周壁部91は、燃料電池セルスタック10の上方に位置すると共に、後述する燃料電池セルスタック10の周囲を囲う予熱部100と同軸上に設けられている。この周壁部91の内側は、燃焼室94として形成されており、この燃焼室94は、後述する予熱部100の内側空間104と、上述の改質部60の燃焼排ガス流路47とに連通されている。
周壁部91の内側には、テーパ部95が設けられている。このテーパ部95は、上述の改質部60を構成する四重の伝熱壁61〜64のうち最も内側の伝熱壁61の下端部に一体に形成されている。このテーパ部95は、改質部60の側から燃焼部90の側に突出すると共に、燃焼部90の側から改質部60の側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されている、
点火電極92は、テーパ部95の先端部(下端部)から燃焼室94内に突出されており、燃焼室94の中心部に配置されている。この点火電極92は、燃料電池セルスタック10の上方に燃料電池セルスタック10と離間して設けられている。上述の気化部40及び改質部60を構成する一番目の管材21の内側には、パイプ150が収容され、このパイプ150の内側には、点火電極92と接続され碍子で絶縁された導電部151が挿入されている。
隔壁部93は、周壁部91の内周面に沿って環状に形成されている。この隔壁部93は、点火電極92と燃料電池セルスタック10との間に開口する絞り孔96を有している。この絞り孔96には、燃料電池セルスタック10から排出されたスタック排ガス167が通過する。絞り孔96を通過したスタック排ガス167は、点火電極92とパイプ150等との間に形成されるスパークによって点火される。燃焼室94にて発生した燃焼排ガス168は、上方(燃料電池セルスタック10と反対側)に排出され、テーパ部95に沿って改質部60の燃焼排ガス流路47に流入する。
<予熱部>
予熱部100(収容部)は、上述の燃焼部90の下方に設けられた二重の伝熱壁101,102によって構成されている。二重の伝熱壁101,102のうち内側の伝熱壁101は、五番目の管材25の下部によって構成され、二重の伝熱壁101,102のうち外側の伝熱壁102は、六番目の管材26の下部によって構成されている。
この予熱部100は、燃料電池セルスタック10の周囲に設けられており、燃料電池セルスタック10を収容している。予熱部100の内側には、内側空間104が形成されており、予熱部100を構成する二重の伝熱壁101,102の間には、予熱流路105が形成されている。
この予熱流路105には、予熱部100の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材106が設けられており、この螺旋部材106により、予熱流路105は、予熱部100の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
この予熱流路105の上端部は、上述の改質部60の酸化剤空気流路48と連通され、予熱流路105の下端部は、図2に示される底壁部34と底壁部35との間に形成された導入路37を通じて燃料電池セルスタック10の酸化剤空気取入口15と連通されている。図5に示されるように、予熱流路105は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この予熱流路105には、改質部60の酸化剤空気流路48を通じて供給された酸化剤空気166が鉛直方向上側から下側に流れる。
また、予熱部100の内側には、上述の改質流路67と、燃料電池セルスタック10の改質ガス取入口16(図2参照)とを接続する改質ガス配管107が設けられている。上述の隔壁部93の外周部には、水平方向に延在する仕切板97が一体に形成されており、この仕切板97には、鉛直方向に貫通するオリフィス98が仕切板97の周方向に間隔を空けて複数形成されている。改質流路67と改質ガス配管107の内側とは、オリフィス98を通じて連通されている。
<熱交換部>
図3に示されるように、熱交換部110は、上述の改質部60及び気化部40の周囲に設けられた三重の伝熱壁111〜113によって構成されている。三重の伝熱壁111〜113における内側の伝熱壁111は、七番目の管材27によって構成され、三重の伝熱壁111〜113における中央の伝熱壁112は、八番目の管材28によって構成され、三重の伝熱壁111〜113における外側の伝熱壁113は、九番目の管材29によって構成されている。
この熱交換部110を構成する三重の伝熱壁111〜113は、互いの間に隙間を有している。そして、内側の伝熱壁111と中央の伝熱壁112との間には、酸化剤空気流路117が形成され、外側の伝熱壁113と中央の伝熱壁112との間には、燃焼排ガス流路118が形成されている。
酸化剤空気流路117には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材120が設けられており、この螺旋部材120により、酸化剤空気流路117は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。同様に、燃焼排ガス流路118には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材121が設けられており、この螺旋部材121により、燃焼排ガス流路118は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
酸化剤空気流路117の下端部には、容器20の径方向外側に延びる酸化剤空気供給管122(図2参照)が接続されている。連結部31と連結部32との間の隙間は、容器20の径方向に延びる連結流路38として形成されており、酸化剤空気流路117の上端部は、連結流路38を介して上述の気化部40に形成された酸化剤空気流路48と連通されている。酸化剤空気流路117は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この酸化剤空気流路117には、酸化剤空気供給管122(図2参照)から供給された酸化剤空気166が鉛直方向下側から上側に流れる。
また、連結部32と連結部33との間の隙間は、容器20の径方向に延びる連結流路39として形成されており、燃焼排ガス流路118の上端部は、連結流路39を介して上述の気化部40に形成された燃焼排ガス流路47と連通されている。この燃焼排ガス流路118の下端部には、容器20の径方向外側に延びるガス排出管123(図2参照)が接続されている。燃焼排ガス流路118は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路118には、気化部40の燃焼排ガス流路47から供給された燃焼排ガス168が鉛直方向上側から下側に流れる。
<断熱層>
図2に示されるように、改質部60及び気化部40と、熱交換部110とは、容器20の径方向に離間しており、この改質部60及び気化部40と熱交換部110との間には、円筒状の断熱層130が介在されている。この断熱層130は、気化部40及び改質部60を外側から覆っている。
<断熱材>
断熱材140は、円筒状の本体部141と、円盤状の上部142及び下部143とを有し、容器20を覆っている。つまり、本体部141は、容器20の周囲に設けられており、容器20を外側から覆っている。上部142は、本体部141を鉛直方向上側から覆うと共に、容器20の上部の周囲に設けられている。上部142は、鉛直方向上側から固定部材144により固定されている。下部143は、容器20及び本体部141を鉛直方向下側から覆っている。この断熱材140の表面は、被覆シート145によって覆われている。
<燃料電池モジュールの動作>
次に、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1の動作について説明する。
図2に示される炭化水素燃料供給管50を通じて図3に示される気化流路46に炭化水素燃料163(原燃料及び改質用水が混合されたもの)が供給されると、この炭化水素燃料163は、螺旋状に形成された気化流路46を鉛直方向上側から下側へ流れる。このとき、気化部40では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。気化流路46に隣接する燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス168が流れると、気化流路46を流れる炭化水素燃料163と燃焼排ガス168との間で熱交換される。そして、気化流路46では、炭化水素燃料163が気化されて炭化水素ガス164(図4参照)が生成される。
図4に示されるように、気化流路46で気化された炭化水素ガス164は、連結管81の内側に形成されたオリフィス82を通り、改質部60の上方に形成された混合部80の内側空間85に流入する。このとき、気化流路46で気化された炭化水素ガス164は、連結管81の内側のオリフィス82を通過する際に流速が高められて噴流となり、混合部80における径方向外側の対向壁部86に衝突する。そして、炭化水素ガス164が対向壁部86に衝突することにより乱流が生じ、炭化水素ガス164に含まれる炭化水素系ガス及び水蒸気が混合される。
このようにして混合された炭化水素ガス164は、対向壁部86に衝突することにより径方向外側から鉛直方向下側に向きを変え、改質流路67の入口に形成された複数のオリフィス84を通じて改質流路67に流入する。複数のオリフィス84は、改質流路67の周方向に一定の間隔を空けて並んでいるので、この複数のオリフィス84を通過することで、改質流路67には、炭化水素ガス164が周方向に分散して流入する。
また、このとき、改質部60では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。改質流路67に隣接する燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス168が流れると、改質流路67を流れる炭化水素ガス164と燃焼排ガス168との間で熱交換される。そして、改質流路67では、燃焼排ガス168の熱を利用して改質触媒層70により炭化水素ガス164から改質ガス165が生成される。
改質流路67にて生成された改質ガス165は、図5に示されるように、仕切板97に形成されたオリフィス98を通過し、改質ガス配管107の内側に流入する。そして、この改質ガス165は、改質ガス配管107を通じて燃料電池セルスタック10の改質ガス取入口16(図2参照)に供給される。
一方、このとき、図3に示される熱交換部110では、酸化剤空気供給管122(図2参照)を通じて酸化剤空気流路117に酸化剤空気166が供給される。この酸化剤空気166は、螺旋状に形成された酸化剤空気流路117を鉛直方向下側から上側に流れる。このとき、熱交換部110では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路118を鉛直方向上側から下側に流れる。この燃焼排ガス168は、図2に示されるガス排出管123を通じて燃料電池モジュールM1の外部に排出される。
図3に示されるように、酸化剤空気流路117に隣接する燃焼排ガス流路118に燃焼排ガス168が流れると、酸化剤空気流路117を流れる酸化剤空気166と燃焼排ガス168との間で熱交換される。そして、燃料電池モジュールM1の外部へ排出される燃焼排ガス168の温度が低下され、燃料電池モジュールM1の外部への放熱が抑制される。一方、酸化剤空気166は、燃焼排ガス168の熱を吸収し、予熱される。この熱交換部110にて予熱された酸化剤空気166は、連結流路38を通じて気化部40の酸化剤空気流路48に流入し、その後、気化部40の酸化剤空気流路48及び改質部60の酸化剤空気流路48(図4,図5参照)を鉛直方向上側から下側に流れる。
図4に示される気化部40では、上述の通り、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。酸化剤空気流路48に隣接する燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス168が流れると、酸化剤空気流路48を流れる酸化剤空気166と燃焼排ガス168との間で熱交換され、酸化剤空気166がさらに予熱される。
同様に、改質部60では、燃焼部90(図5参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。改質流路67を挟んだ酸化剤空気流路48と反対側の燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス168が流れると、酸化剤空気流路48を流れる酸化剤空気166と燃焼排ガス168とが改質流路67(改質触媒層70)を介して熱交換し、このことによっても、酸化剤空気166が予熱される。
このように酸化剤空気流路48を流れることで予熱された酸化剤空気166は、図5に示される予熱流路105に流入し、この螺旋状に形成された予熱流路105を鉛直方向上側から下側に流れる。この予熱流路105を流れる酸化剤空気166は、燃料電池セルスタック10の熱によってさらに予熱される。そして、この予熱流路105にて予熱された酸化剤空気166は、燃料電池セルスタック10の酸化剤空気取入口15(図2参照)に供給される。
以上のようにして、図2に示される燃料電池セルスタック10の改質ガス取入口16に改質ガスが供給されると共に、燃料電池セルスタック10の酸化剤空気取入口15に酸化剤空気が供給されると、燃料電池セルスタック10では、各セル12において、酸化剤空気と改質ガスとの電気化学反応により発電する。また、各セル12は、発電に伴い発熱する。
図5に示されるように、燃料電池セルスタック10からは、燃料極排ガス及び空気極排ガスを含むスタック排ガス167が排出される。この燃料電池セルスタック10から排出されたスタック排ガス167は、隔壁部93に形成された絞り孔96を通じて燃焼部90の内側に形成された燃焼室94に流入する。このとき、燃料極排ガス及び空気極排ガスを含むスタック排ガス167は、絞り孔96を通過することで混合される。
この燃焼室94に流入したスタック排ガス167には、各セル12において未反応の水素及び酸素が含まれており、この水素を含むスタック排ガス167は、点火電極92とパイプ150等との間に形成されるスパークによって点火される。点火電極92は、燃料電池セルスタック10と鉛直方向に離間しているため、スタック排ガス167は、燃料電池セルスタック10から離れた位置で燃焼される。
そして、このようにして燃焼室94においてスタック排ガス167が燃焼されると、燃焼室94にて燃焼排ガス168が発生する。この燃焼室94にて発生した燃焼排ガス168は、上方(燃料電池セルスタック10と反対側)に排出され、テーパ部95に沿って改質部60の燃焼排ガス流路47に流入する。また、この燃焼部90から排出され改質部60の燃焼排ガス流路47に流入した燃焼排ガス168は、上述の通り、改質部60の燃焼排ガス流路47、気化部40の燃焼排ガス流路47(図4参照)、連結流路39及び熱交換部110の燃焼排ガス流路118(図3参照)を流れた後、図2に示されるガス排出管123を通じて燃料電池モジュールM1の外部に排出される。
<燃料電池システムSの全体構成>
次に、上述の燃料電池モジュールM1を用いた燃料電池システムSについて説明する。
図6には、上述の燃料電池モジュールM1を用いた燃料電池システムSの全体構成が示されている。この図6では、燃料電池モジュールM1が模式的に示されている。また、図6では、燃料電池モジュールM1において燃料電池セルスタック10、気化部40、及び、改質部60以外の構成要素(図1,図2に示される燃焼部90、予熱部100、熱交換部110等)の図示が省略されている。
この図6に示されるように、燃料電池システムSは、燃料電池モジュールM1に加えて、入口温度検出部170、出口温度検出部172、原燃料送出部174、水ポンプ176(水量調節部)、空気ブロワ178(空気量調節部)、A/D変換器180,182、及び、制御部184を備える。
入口温度検出部170は、改質流路67の入口部(改質流路67の入口側の部分)での炭化水素ガス164の温度を検出するためのものであり、改質流路67の入口部に対応して設けられている。この入口温度検出部170は、改質流路67内に設けられていても良く、また、改質流路67と接する伝熱壁に設けられていても良い。この入口温度検出部170は、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度に応じたアナログ信号を出力する。この入口温度検出部170には、A/D変換器180を介して制御部184が接続されている。
出口温度検出部172は、改質流路67の出口部(改質流路67の出口側の部分)での改質ガス165の温度を検出するためのものであり、改質流路67の出口部に対応して設けられている。この出口温度検出部172は、改質流路67内に設けられていても良く、また、改質流路67と接する伝熱壁に設けられていても良い。この出口温度検出部172は、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度に応じたアナログ信号を出力する。この出口温度検出部172には、A/D変換器182を介して制御部184が接続されている。
燃料電池モジュールM1に設けられた炭化水素燃料供給管50の入口側は、原燃料供給管186及び改質用水供給管188に分岐されており、原燃料送出部174は、原燃料供給管186に接続され、水ポンプ176は、改質用水供給管188に接続されている。原燃料送出部174は、原燃料161を供給するためのものである。原燃料161として気体燃料が用いられた場合、原燃料送出部174には、ブロワが用いられ、原燃料161として液体燃料が用いられた場合、原燃料送出部174には、ポンプが用いられる。原燃料161の流量は、原燃料送出部174の回転数が変更されることにより調節される。水ポンプ176は、改質用水162を供給するためのものであり、改質用水162の量は、水ポンプ176の回転数が変更されることにより調節される。
空気ブロワ178は、酸化剤空気供給管122に接続されている。この空気ブロワ178は、酸化剤空気供給管122を介して酸化剤空気流路48に酸化剤空気166を供給する。酸化剤空気流路48における酸化剤空気166の流量は、空気ブロワ178の回転数が変更されることにより調節される。
制御部184は、例えば電子回路等によって構成されており、入口温度検出部170及び出口温度検出部172からA/D変換器180,182を通じて出力された信号等に基づいて、上述の空気ブロワ178、ガスブロワ、及び、水ポンプ176を制御する。
<燃料電池システムSの動作>
次に、上述の燃料電池システムSの動作について説明する。
図7には、燃料電池モジュールM1の起動時における制御部184の動作の流れが示されており、図8には、燃料電池モジュールM1の発電時における制御部184の動作の流れが示されている。なお、以下の説明において、燃料電池システムSの構成については、図6を参照し、制御部184の処理を示すステップ番号及びその内容については、図7,図8を参照することにする。
燃料電池モジュールM1の起動時に、制御部184は、空気ブロワ178及び水ポンプ176を制御し、燃料電池モジュールM1の起動時の条件における酸化剤空気166の流量及び改質用水162の量に調節する(ステップS1)。なお、図7において特に示されないが、制御部184は、原燃料161の量についても燃料電池モジュールM1の起動時の条件に合うように調節する。
原燃料送出部174、空気ブロワ178、及び、水ポンプ176が作動すると、燃料電池モジュールM1に原燃料161、改質用水162、及び、酸化剤空気166が供給される。原燃料供給管186を通じて供給された原燃料161、及び、改質用水供給管188を通じて供給された改質用水162は、原燃料供給管186及び改質用水供給管188の接続部で混合され、炭化水素燃料163とされる。この炭化水素燃料163は、炭化水素燃料供給管50を通じて気化流路46に供給される。
気化流路46に供給された炭化水素燃料163は、上述の燃料電池モジュールM1の動作において説明した通り、燃焼排ガス168から供給される熱により気化され、これにより、炭化水素ガス164が生成される。この気化流路46にて生成された炭化水素ガス164は、改質流路67に供給される。
改質流路67では、改質触媒層70の作用により燃焼排ガス168からの熱を利用して炭化水素ガス164が水蒸気改質されて改質ガス165が生成される。この改質ガス165は、燃料電池セルスタック10に供給される。また、空気ブロワ178から供給された酸化剤空気166は、気化部40及び改質部60の酸化剤空気流路48を通じて燃料電池セルスタック10に供給される。
燃料電池セルスタック10に改質ガス165及び酸化剤空気166が供給されると、燃料電池セルスタック10が発電する。また、燃料電池セルスタック10から排出されたスタック排ガスが燃焼されることにより生じた燃焼排ガス168は、気化部40及び改質部60の燃焼排ガス流路47を通じて燃料電池モジュールM1の外部に排出される。
上述のように改質流路67に炭化水素ガス164が供給されると、入口温度検出部170は、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度に応じたアナログ信号を出力する。この入口温度検出部170から出力されたアナログ信号は、A/D変換器180でA/D変換され、このA/D変換で変換されたデジタル信号は、制御部184に入力される。A/D変換で変換されたデジタル信号が制御部184に入力されることにより、制御部184において、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が検知される(ステップS2)。
そして、制御部184は、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が所定温度よりも高いか否かを判断する(ステップS3)。この場合の所定温度は、炭化水素ガス164の熱分解反応を起こさない温度(上限温度)とされる。炭化水素ガス164が例えばメタンガスである場合、熱分解反応は、「CH4(g)=C(s) + 2H2(g)」で示される。
ここで、制御部184が、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が所定温度よりも高いと判断した場合(ステップS3:YES)、制御部184は、モードA,モードB,モードCのいずれかを選択する(ステップS4)。
このステップS4において、モードAは、空気ブロワ178の回転数を増加させて酸化剤空気166の流量を増加させるモードである。また、モードBは、空気ブロワ178の回転数を増加させて酸化剤空気166の流量を増加させると共に、水ポンプ176の回転数を増加させて改質用水162の量を微増させるモードである。また、モードCは、空気ブロワ178の回転数を増加させて酸化剤空気166の流量を増加させると共に、水ポンプ176の回転数を増加させて改質用水162の量を増加させるモードである。
制御部184は、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度と所定温度との差に応じてモードA,モードB,モードCを適宜選択し、例えば、差が小さい場合にはモードAを選択し、差が中程度である場合にはモードBを選択し、差が大きい場合にはモードCを選択する。
モードAが選択され、空気ブロワ178の回転数を増加されると、改質部60に形成された酸化剤空気流路48における酸化剤空気166の流量が増加される。改質部60において改質流路67と酸化剤空気流路48とは伝熱壁を介して隣接されているので、酸化剤空気166の流量が増加されると、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が増加され、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が低下する。
また、モードB,Cが選択された場合には、酸化剤空気166の流量が増加されることに加えて、炭化水素燃料163に含まれる改質用水162の量が微増又は増加される。従って、モードB,Cが選択された場合には、炭化水素ガス164中の水蒸気量が増加する分、改質流路67の入口部で気化流路46では気化熱が増えることにより炭化水素ガス164の温度が下がり、改質流路67では水蒸気の顕熱により熱が奪われるため、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度がより大きく低下される。
制御部184は、上述のステップS4の処理を実行した後、ステップS2の処理に戻る。制御部184は、ステップS3において、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が所定温度以下と判断するまで、上述のステップS2〜ステップS4の処理を繰り返し実行する。
このようにして、ステップS2〜ステップS4の処理が繰り返し実行されると、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が徐々に低下し、やがて改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が所定温度以下となる。
なお、炭化水素ガス164が高温であれば、改質反応がより進行するため、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度は、熱分解反応が起こらない範囲で高温であることが望ましい。
制御部184は、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が所定温度以下と判断した場合(ステップS3:NO)には、続いて、燃料電池モジュールM1の運転条件や入口温度検出部170から出力された信号等に基づいて、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が継続的に低下するか否かを判断する(ステップS5)。
ここで、制御部184は、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が継続的に低下すると判断した場合(ステップS5:YES)、モードa,モードb,モードcのいずれかを選択する(ステップS6)。
このステップS6において、モードaは、空気ブロワ178の回転数を微減させて酸化剤空気166の流量を微減させるモードである。また、モードbは、空気ブロワ178の回転数を微減させて酸化剤空気166の流量を微減させると共に、水ポンプ176の回転数を極微減させて改質用水162の量を極微減させるモードである。また、モードcは、空気ブロワ178の回転数を微減させて酸化剤空気166の流量を微減させると共に、水ポンプ176の回転数を微減させて改質用水162の量を微減させるモードである。
制御部184は、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度の低下の割合に応じてモードa,モードb,モードcを適宜選択し、例えば、低下の割合が小さい場合にはモードaを選択し、低下の割合が中程度である場合にはモードbを選択し、低下の割合が大きい場合にはモードcを選択する。このように、ステップS6においてモードa,モードb,モードcが選択されて実行されると、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱が抑制され、また、水の顕熱により熱が奪われるため、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度の継続的な低下が抑制される。
制御部184は、上述のステップS6の処理を実行した後、ステップS2の処理に戻る。制御部184は、ステップS5において、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が継続的に低下しないと判断するまで、上述のステップS2,S3,S5,S6の処理を繰り返し実行する。
このようにして、上述のステップS2,S3,S5,S6の処理が繰り返し実行されると、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が徐々に減少し、やがて改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が一定に保たれるようになる。改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が一定に保たれるようになると、制御部184は、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が継続的に低下しないと判断し(ステップS5:NO)、酸化剤空気166の流量と改質用水162の量が一定に保持されるように、空気ブロワ178及び水ポンプ176の回転数を一定に保持する(ステップS7)。
そして、制御部184は、燃料電池モジュールM1の起動時に、上述の図7に示されるステップS2〜ステップS7の処理を繰り返し実行する。
一方、燃料電池モジュールM1が発電状態になると、制御部184は、空気ブロワ178及び水ポンプ176を制御し、燃料電池モジュールM1の発電時の条件における酸化剤空気166の流量及び改質用水162の量に調節する(ステップS11)。そして、制御部184は、図8に示されるステップS12〜ステップS17の処理を繰り返し実行する。このステップS12〜ステップS17の処理は、上述のステップS2〜ステップS7の処理と同様である。
このように、燃料電池システムSでは、燃料電池モジュールM1の起動時及び発電時に、空気ブロワ178、又は、空気ブロワ178及び水ポンプ176の両方が制御されることにより、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が調整される。そして、炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が調整されることにより、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が該炭化水素ガス164の熱分解反応を起こさない温度以下とされる。
なお、以上は、制御部184が改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度の検出結果にのみ基づいて動作する例であるが、燃料電池モジュールM1の発電時に、制御部184は、以下に示すように、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度の検出結果に加えて、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度の検出結果に基づいて動作しても良い。
図9には、燃料電池モジュールM1の発電時における制御部184の動作の変形例が示されている。なお、以下の説明において、燃料電池システムSの構成については、図6を参照し、制御部184の処理を示すステップ番号及びその内容については、図9を参照することにする。
この制御部184の動作の変形例において、図9に示されるステップS21の処理は、上述の図8に示されるステップS11の処理と同様である。また、図9に示されるステップS22〜ステップS24の処理は、上述の図7に示されるステップS2〜ステップS4の処理(図8に示されるステップS12〜ステップS14の処理)と同様である。
上述の図7に示されるステップS2〜ステップS4の処理が繰り返し実行されるのと同様に、ステップS22〜ステップS24の処理が繰り返し実行されると、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が徐々に低下する。
制御部184は、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が所定温度以下と判断した場合(ステップS23:NO)には、出口温度検出部172から出力された信号に基づいて、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が所定温度よりも低いか否かを判断する(ステップS25)。この場合の所定温度は、改質ガス165の温度が低いことにより燃料電池セルスタック10の発電性能低下が起こらない温度(下限温度)とされる。仮にこの所定温度よりも改質ガス165の温度が低下した場合には、燃料電池セルスタック10の燃料極において改質反応が起こり、燃料電池セルスタック10の燃料上流側の温度が低下し、発電性能が低下する。
ここで、制御部184は、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が所定温度よりも低いと判断した場合(ステップS25:YES)、モードa,モードb,モードcのいずれかを選択する(ステップS26)。このモードa,モードb,モードcは、図7に示されるステップS6及び図8に示されるステップS16におけるモードa,モードb,モードcと同様である。
すなわち、モードaは、空気ブロワ178の回転数を微減させて酸化剤空気166の流量を微減させるモードである。また、モードbは、空気ブロワ178の回転数を微減させて酸化剤空気166の流量を微減させると共に、水ポンプ176の回転数を極微減させて改質用水162の量を極微減させるモードである。また、モードcは、空気ブロワ178の回転数を微減させて酸化剤空気166の流量を微減させると共に、水ポンプ176の回転数を微減させて改質用水162の量を微減させるモードである。
制御部184は、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度と所定温度との差に応じてモードa,モードb,モードcを適宜選択し、例えば、差が小さい場合にはモードaを選択し、差が中程度である場合にはモードbを選択し、差が大きい場合にはモードcを選択する。
制御部184は、上述のステップS26の処理を実行した後、ステップS22の処理に戻る。制御部184は、ステップS25において、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が所定温度以上と判断するまで、上述のステップS22,S23,S25,S26の処理を繰り返し実行する。
このようにして、上述のステップS22,S23,S25,S26の処理が繰り返し実行されると、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が徐々に減少し、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が徐々に上昇する。そして、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が徐々に上昇すると、やがて改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が所定温度以上となる。
なお、改質ガス165が低温であれば、燃料電池セルスタック10における材料の高温劣化を抑制できるため、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度は、燃料電池セルスタック10の発電性能低下を起こさない範囲で低温であることが望ましい。このステップS22〜ステップS26の処理には、燃料電池セルスタック10の発電性能を上げる目的で改質流路67の出口部での改質ガス165の温度を上昇させる場合も含まれる。
制御部184は、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が所定温度以上と判断した場合(ステップS25:NO)には、酸化剤空気166の流量と改質用水162の量が一定に保持されるように、空気ブロワ178及び水ポンプ176の回転数を一定に保持する(ステップS27)。
そして、制御部184は、燃料電池モジュールM1の発電時に、上述の図9に示されるステップS22〜ステップS27の処理を繰り返し実行する。
このように、空気ブロワ178、又は、空気ブロワ178及び水ポンプ176の両方が制御されることにより、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が調整され、これにより、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が、該温度が低いことにより燃料電池セルスタック10の発電性能低下が起こらない温度以上とされても良い。
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
以上詳述したように、本発明の第一実施形態によれば、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が入口温度検出部170によって検出され、この入口温度検出部170の検出結果に基づいて空気ブロワ178が制御される。また、空気ブロワ178が制御されると、酸化剤空気流路48を流れる酸化剤空気166の流量が調節され、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が調節される。
そして、このようにして炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が調節されることにより、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度が該炭化水素ガス164の熱分解反応を起こさない温度以下とされる。これにより、改質流路67に供給される炭化水素ガス164の熱分解を抑制できるので、改質部60に設けられた改質触媒層70における炭素析出を抑制することができる。
しかも、炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量を調節するために、改質流路67に供給される炭化水素ガス164中の水蒸気量を調節するのではなく、酸化剤空気流路48を流れる酸化剤空気166の流量を調節する。従って、改質流路67に供給される炭化水素ガス164中の水蒸気量を増加させないことにより、気化流路46において改質用水162を気化させるための気化熱の増大を抑制できるので、燃料電池システムS(燃料電池モジュールM1)における熱効率の低下を抑制することができる。
また、改質流路67に供給される炭化水素ガス164中の水蒸気量を増加させないことにより、炭化水素ガス164の組成(スチームカーボン比)が変わることを抑制することができるので、燃料電池セルスタック10における発電効率が低下することを抑制することができる。
また、図7のステップS4及び図8のステップ14において、モードB,モードCが選択された場合には、炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量を調節するために、空気ブロワ178に加えて水ポンプ176の回転数が制御される。そして、これにより、酸化剤空気流路48を流れる酸化剤空気166の流量が調節されることに加え、気化流路46に供給される炭化水素燃料163に含まれる改質用水162の量が調節される。従って、改質用水162の量を調節する分、酸化剤空気166の流量のみを調節する場合に比して、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度をより迅速且つ大幅に調節することができる。
また、図9のステップS21〜ステップS27の処理が実行された場合には、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が出口温度検出部172によって検出され、この出口温度検出部172の検出結果に基づいて空気ブロワ178が制御される。また、空気ブロワ178が制御されると、酸化剤空気流路48を流れる酸化剤空気166の流量が調節され、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が調節される。
そして、このようにして炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が調節されることにより、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度が、該温度が低いことにより燃料電池セルスタック10の発電性能低下が起こらない温度以上とされる。これにより、改質ガス165の改質率を確保できるので、燃料電池セルスタック10の発電性能を維持することができる。
また、燃料電池モジュールM1では、改質触媒層70が設けられ熱伝達率の高い改質流路67と、酸化剤空気流路48とが伝熱壁63(図4参照)を介して隣接されている。従って、例えば、酸化剤空気流路48が気化流路46と伝熱壁を介して隣接される場合に比して、炭化水素ガス164から酸化剤空気166への熱交換効率を向上させることができる。
しかも、燃料電池モジュールM1において、改質流路67と酸化剤空気流路48とは、流れの向きが同じであるので、炭化水素ガス164と酸化剤空気166との間で、入口から出口に向かって、低温から高温の温度勾配をつけて熱交換させることができる。
また、燃料電池システムSに用いられた燃料電池モジュールM1では、予熱部100、燃焼部90の周壁部91、改質部60、及び、気化部40が、互いに同軸上に設けられており、この予熱部100、燃焼部90の周壁部91、改質部60、及び、気化部40によって燃料電池モジュールM1の容器20が構成されている。従って、燃料電池モジュールM1が径方向に拡がることを抑制できるので、燃料電池モジュールM1を径方向に小型化することができる。
また、改質部60及び気化部40は、それぞれ四重の円筒状又は楕円筒状の伝熱壁によって構成されている。従って、改質部60及び気化部40における構造を簡素化できると共に、改質部60及び気化部40の組立が容易になるので、燃料電池モジュールM1を低コスト化することができる。
ここで、以下の表1には、上述の原燃料161、酸化剤空気166、及び、改質用水162を変更させた場合における、改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度、及び、改質流路67の出口部での改質ガス165の温度を測定した結果が示されている。この表1には、酸化剤空気166のみを増加させて改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度を下げる場合と、改質用水162を増加させると共に酸化剤空気166を減少させて改質流路67の入口部での炭化水素ガス164の温度を下げる場合について測定した結果が示されている。
※1 改質流路の入口部での炭化水素ガスの温度が、所定温度範囲で高温の場合
※2 改質流路の入口部での炭化水素ガスの温度が、所定温度範囲で低温の場合
表1より、酸化剤空気のみを増加させることで改質流路の入口部での炭化水素ガスの温度を低下させることが可能である。また、改質用水を増加させると、酸化剤空気を減少させても、改質流路の入口部での炭化水素ガスの温度が著しく低下する。ただし、改質用水の流量の変更は、燃料電池セルスタックの発電性能への影響が懸念される。
次に、本発明の第一実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態において、燃料電池セルスタック10には、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が適用されているが、その他の形式の燃料電池が適用されても良い。また、燃料電池セルスタック10のセルの形状も、平板形、円筒形、円筒平板形など、どのような形状でも良い。
また、上記実施形態において、気化部40、改質部60、燃焼部90、予熱部100、及び、熱交換部110は、モジュール化されているが、モジュール化されずに独立して設けられていても良い。
また、例えば、気化部40及び改質部60がモジュール化されずに独立して設けられる場合に、気化部40及び改質部60のいずれか一方から酸化剤空気流路48が省かれても良い。すなわち、燃料電池システムSにおいて、酸化剤空気流路48は、気化流路46及び改質流路67のいずれか一方のみと伝熱壁を介して隣接されていても良い。そして、酸化剤空気流路48が気化流路46及び改質流路67のいずれか一方のみと伝熱壁を介して隣接されることにより、気化流路46の出口部及び改質流路67の入口部のいずれか一方のみにおいて炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が調節されても良い。
また、上記実施形態において、気化部40は、四重の伝熱壁41〜44の内側から外側に順に、断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤空気流路48を有するが、四重の伝熱壁41〜44の内側から外側に順に、断熱空間45、燃焼排ガス流路47、気化流路46、及び、酸化剤空気流路48を有しても良い。
また、このように四重の伝熱壁41〜44の内側から外側に順に、断熱空間45、燃焼排ガス流路47、気化流路46、及び、酸化剤空気流路48が形成されることにより、気化流路46及び改質流路67の両方と酸化剤空気流路48とが伝熱壁を介して隣接されていても良い。そして、これにより、気化流路46の出口部及び改質流路67の入口部の両方において炭化水素ガス164から酸化剤空気166への伝熱量が調節されても良い。
なお、気化流路46の出口部及び改質流路67の入口部の両方において炭化水素ガス164と酸化剤空気166との間で熱交換させる場合、気化流路46の伝熱面積を過剰にしてしまうと、燃料電池モジュールM1の運転状態によっては、気化流路46の温度が下がりすぎて気化が不安定になることが懸念される。従って、気化流路46については気化の安定性が損なわれない程度に温度を下げて、改質流路67の入口部でも炭化水素ガス164と酸化剤空気166との間で熱交換させることでさらに炭化水素ガス164の温度を下げることが望ましい。
また、上記実施形態では、「酸化剤空気流路における酸化剤空気の流量を調節する空気量調節部」の一例として、回転数を変更可能な空気ブロワ178が用いられているが、例えば流量調整弁等のその他の調節機構が用いられても良い。
また、上記実施形態では、「気化流路に供給される炭化水素燃料に含まれる改質用水の量を調節する水量調節部」の一例として、回転数を変更可能な水ポンプ176が用いられているが、例えば流量調整弁等のその他の調節機構が用いられても良い。
また、上記実施形態において、燃焼部90の周壁部91、予熱部100、改質部60、気化部40、及び、熱交換部110等を構成する複数の伝熱壁は、いずれも横断面が真円形状である円筒状に形成されている。しかしながら、これらの伝熱壁は、いずれも横断面が楕円形状である楕円筒状に形成されていても良い。
また、予熱部100、燃焼部90の周壁部91、改質部60、気化部40、及び、熱交換部110等を構成する複数の伝熱壁は、円筒状に形成されたものと、楕円筒状に形成されたものの両方を含んでいても良い。
また、熱交換部110は、内側の伝熱壁111と中央の伝熱壁112との間に酸化剤空気流路117を有し、外側の伝熱壁113と中央の伝熱壁112との間に燃焼排ガス流路118を有する。しかしながら、熱交換部110は、内側の伝熱壁111と中央の伝熱壁112との間に燃焼排ガス流路118を有し、外側の伝熱壁113と中央の伝熱壁112との間に酸化剤空気流路117を有するように構造が変更されても良い。
また、燃料電池モジュールM1は、熱交換部110を備えるが、この熱交換部110は、省かれても良い。また、熱交換部110が省かれると共に、気化部40から酸化剤空気流路48が省かれても良い。
また、熱交換部110は、気化部40及び改質部60の径方向外側に設けられているが、気化部40の上方に気化部40と同軸上に設けられても良い。
また、予熱部100は、二重の伝熱壁101,102によって構成されているが、三重の伝熱壁によって構成されても良い。そして、予熱部100を構成する三重の伝熱壁の間に、酸化剤空気166が流れる予熱流路105と、改質流路67と連通し改質ガス165が流れる改質ガス流路とが形成されても良い。
また、予熱部100の代わりに燃料電池セルスタック10を単に収容する収容部(流路を有しない収容部)が設けられても良い。また、予熱部100の代わりに収容部が設けられる場合、改質流路67及び酸化剤空気流路48と燃料電池セルスタック10とは、配管等により接続されても良い。
なお、上記複数の変形例のうち組み合わせ可能な変形例は、適宜組み合わされて実施されても良い。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
上述の燃料電池システムSには、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1の代わりに、図10に示される第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2が用いられても良い。この第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2は、上述の第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1に対し、次のように構造が変更されている。
すなわち、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2において、容器20は、上述の第一実施形態よりも二つ少ない七個の管材21〜27により構成されている。一番目の管材21及び二番目の管材22は、燃料電池セルスタック10の上方から容器20の上端部に亘って設けられており、三番目の管材23及び四番目の管材24は、容器20の高さ方向の中央部から上端部に亘って設けられている。
図11に示されるように、一番目の管材21から四番目の管材24の上部には、鉛直方向上側に向かうに従って縮径する縮径部221〜224がそれぞれ形成されている。この複数の縮径部221〜224のうち、二番目から四番目の管材22〜24に形成された縮径部222〜224の上方には、円筒状の接続部225〜227がそれぞれ形成されている。
一番目の管材21に形成された縮径部221の上端部、及び、二番目の管材22に設けられた接続部225の上端部は、パイプ150の上部にそれぞれ固定されている。また、三番目の管材23に設けられた接続部226の上端部は、二番目の管材22に設けられた接続部225の上端部に固定され、四番目の管材24に設けられた接続部227の上端部は、三番目の管材23に設けられた接続部226の上端部に固定されている。また、この接続部225〜227のうち、三番目の管材23及び四番目の管材24に設けられた接続部226,227には、蛇腹状のベローズ228,229がそれぞれ形成されている。
図10に示されるように、五番目の管材25及び六番目の管材26は、三番目の管材23及び四番目の管材24の下方から容器20の下端部に亘って設けられており、七番目の管材27は、二番目の管材22の下方で燃料電池セルスタック10と五番目の管材25のとの間に設けられている。二番目の管材22の下端部は、七番目の管材27の上端部に固定され、五番目の管材25の下端部、六番目の管材26の下端部、及び、七番目の管材27の下端部は、容器20の下壁部を構成するマニホールド14に固定されている。
熱交換部110は、気化部40の上方に気化部40と同軸上に設けられており、容器20の上部に設けられた四重の伝熱壁111〜114によって構成されている。四重の伝熱壁111〜114のうち最も内側に位置する伝熱壁111は、一番目の管材21の上部によって構成され、四重の伝熱壁111〜114のうち内側から二番目の伝熱壁112は、二番目の管材22の上部によって構成されている。また、四重の伝熱壁111〜114のうち内側から三番目の伝熱壁113は、三番目の管材23の上部によって構成され、四重の伝熱壁111〜114のうち最も外側に位置する伝熱壁114は、四番目の管材24の上部によって構成されている。
図11に示されるように、この熱交換部110を構成する四重の伝熱壁111〜114は、互いの間に隙間を有しており、この四重の伝熱壁111〜114の内側から外側には、断熱空間45、燃焼排ガス流路118、原燃料流路116、及び、酸化剤空気流路117が順に形成されている。
つまり、一番目の伝熱壁111の内側の空間は、断熱空間45として形成され、一番目の伝熱壁111と、二番目の伝熱壁112との間の隙間は、燃焼排ガス流路118として形成されている。また、二番目の伝熱壁112と、三番目の伝熱壁113との間の隙間は、原燃料流路116として形成され、三番目の伝熱壁113と、四番目の伝熱壁114との間の隙間は、酸化剤空気流路117として形成されている。
燃焼排ガス流路118の上端部は、パイプ150と接続部225との間に形成された接続流路231と連通され、この接続流路231の上端部には、容器20の径方向外側に延びるガス排出管123が接続されている。燃焼排ガス流路118は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路118には、気化部40の燃焼排ガス流路47(図12参照)から供給された燃焼排ガス168が鉛直方向下側から上側に流れる。
原燃料流路116の上端部は、接続部225と接続部226との間に形成された接続流路232と連通され、この接続流路232の上端部には、容器20の径方向外側に延びる炭化水素燃料供給管50が接続されている。原燃料流路116は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この原燃料流路116には、炭化水素燃料供給管50から接続流路232を通じて供給された炭化水素燃料163が鉛直方向上側から下側に流れる。原燃料流路116の下端部は、気化流路46(図12参照)と連通されている。
酸化剤空気流路117の上端部は、接続部226と接続部227との間に形成された接続流路233と連通されている。この接続流路233の上端部には、容器20の径方向外側に延びる酸化剤空気供給管122が接続されており、酸化剤空気流路117の下端部は、気化部40に形成された酸化剤空気流路48(図12参照)と連通されている。酸化剤空気流路117は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この酸化剤空気流路117には、酸化剤空気供給管122から接続流路233を通じて供給された酸化剤空気166が鉛直方向上側から下側に流れる。
原燃料流路116には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材119が設けられており、この螺旋部材119により、原燃料流路116は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。同様に、酸化剤空気流路117には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材120が設けられており、この螺旋部材120により、酸化剤空気流路117は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。同様に、燃焼排ガス流路118には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材121が設けられており、この螺旋部材121により、燃焼排ガス流路118は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
図10に示されるように、気化部40は、四重の伝熱壁41〜44によって構成されている。四重の伝熱壁41〜44のうち最も内側に位置する伝熱壁41は、一番目の管材21の高さ方向の中央部によって構成され、四重の伝熱壁41〜44のうち内側から二番目の伝熱壁42は、二番目の管材22の高さ方向の中央部によって構成されている。また、四重の伝熱壁41〜44のうち内側から三番目の伝熱壁43は、三番目の管材23の下部によって構成され、四重の伝熱壁41〜44のうち最も外側に位置する伝熱壁44は、四番目の管材24の下部によって構成されている。
図12に示されるように、この気化部40を構成する四重の伝熱壁41〜44は、互いの間に隙間を有しており、この四重の伝熱壁41〜44の内側から外側には、断熱空間45、燃焼排ガス流路47、気化流路46、及び、酸化剤空気流路48が順に形成されている。
気化流路46、酸化剤空気流路48、及び、燃焼排ガス流路47には、螺旋部材119,120,121が設けられており、この螺旋部材119,120,121により、気化流路46、酸化剤空気流路48、及び、燃焼排ガス流路47は、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
図10に示されるように、改質部60は、四重の伝熱壁61〜64によって構成されている。四重の伝熱壁61〜64のうち最も内側に位置する伝熱壁61は、一番目の管材21の下部によって構成され、四重の伝熱壁61〜64のうち内側から二番目の伝熱壁62は、二番目の管材22の下部によって構成されている。また、四重の伝熱壁61〜64のうち内側から三番目の伝熱壁63は、五番目の管材25の上部によって構成され、四重の伝熱壁61〜64のうち最も外側に位置する伝熱壁64は、六番目の管材26の上部によって構成されている。
図12に示されるように、改質部60を構成する四重の伝熱壁61〜64は、互いの間に隙間を有しており、この四重の伝熱壁61〜64の内側から外側には、断熱空間45、燃焼排ガス流路47、改質流路67、及び、酸化剤空気流路48が順に形成されている。
改質流路67の入口(上端)には、改質部60の周方向に沿って環状に形成された一対の仕切板234が設けられている。この一対の仕切板234は、鉛直方向に並んでいる。各仕切板234には、周方向に一定の間隔を空けて複数のオリフィス235が形成されている。オリフィス235は、仕切板234の板厚方向(鉛直方向)に貫通しており、改質流路67には、複数のオリフィス235を通じて炭化水素ガス164が流入する。
一対の仕切板234の外周部は、改質部60を構成する四重の伝熱壁61〜64のうち内側から三番目の伝熱壁63と僅かな隙間を有して離間されている。なお、一対の仕切板234の内周部が、改質部60を構成する四重の伝熱壁61〜64のうち内側から二番目の伝熱壁62と僅かな隙間を有して離間されていても良い。
複数のオリフィス235は、改質流路67の周方向に一定の間隔を空けて並んでいるので、この複数のオリフィス235を通過することで、改質流路67には、原改質ガスが分散して流入する。なお、仕切板234は、一枚でも良い。
図10に示されるように、予熱部100は、三重の伝熱壁101〜103によって構成されている。三重の伝熱壁101〜103における内側の伝熱壁101は、七番目の管材27によって構成され、三重の伝熱壁101〜103における中央の伝熱壁102は、五番目の管材25の下部によって構成され、三重の伝熱壁101〜103における外側の伝熱壁103は、六番目の管材26の下部によって構成されている。
図13に示されるように、この熱交換部110を構成する三重の伝熱壁101〜103は、互いの間に隙間を有している。そして、内側の伝熱壁101と中央の伝熱壁102との間には、改質ガス流路108が形成され、外側の伝熱壁103と中央の伝熱壁102との間には、予熱流路105が形成されている。改質ガス流路108の上端部は、改質流路67と連通されている。
また、改質ガス流路108の下端部は、マニホールド14(図10参照)に形成された流路を通じて燃料電池セルスタック10の改質ガス取入口と連通され、予熱流路105の下端部は、マニホールド14(図10参照)に形成された流路を通じて燃料電池セルスタック10の酸化剤空気取入口と連通されている。
この第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2は、上記以外は、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1と同様の構造であり、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1と同様に動作する。また、第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2が上述の燃料電池システムSに適用された場合においても、燃料電池システムSは、第一実施形態に係る燃料電池モジュールM1が適用された場合と同様に動作する。
ただし、この第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2では、改質流路67に加えて、気化流路46も酸化剤空気流路48と伝熱壁43を介して隣接されている。従って、この第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2が上述の燃料電池システムSに適用された場合には、空気ブロワ178が制御されて酸化剤空気流路48を流れる酸化剤空気166の流量が調節されることにより、気化流路46の出口部から改質流路67の入口部に亘って炭化水素ガス164から酸化剤空気166へ伝熱される。
なお、この第二実施形態に係る燃料電池モジュールM2のように、熱交換部110が気化部40の上方に設けられていると、一番目から四番目の管材21〜24を容器20の上側へ直線状に延長することにより、この一番目から四番目の管材21〜24の上部で熱交換部110を構成することができる。これにより、容器20の製造が容易になると共に容器20を構成する管材の数を減らすことができるので、コストダウンすることができる。
また、熱交換部110が気化部40の上方に気化部40と同軸上に設けられているので、この燃料電池モジュールM2によれば、径方向により一層小型化することができる。
また、図11に示されるように、熱交換部110では、燃焼排ガス流路118と並んで原燃料流路116が形成されているので、原燃料流路116を流れる炭化水素燃料163を、燃焼排ガス流路118を流れる燃焼排ガス168との間で熱交換させることができ、これにより、炭化水素燃料163を予熱することができる。
また、熱交換部110の内側には、断熱空間45が形成されている。従って、熱交換部110については、径方向の厚さを薄くすることで、容積に対して伝熱面積を大きく確保することができる。これにより、熱交換部110を径方向及び軸方向に小型化することができる。
また、三番目の管材23及び四番目の管材24に設けられた接続部226,227にベローズ228,229がそれぞれ形成されているので、一番目から四番目の管材21〜24に温度差による熱膨張差が生じても、ベローズ228,229が伸縮することにより熱膨張差に伴う応力を吸収して緩和することができる。
以上、本発明の第一及び第二実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。