JP2017133129A - プレスポケット型キャリアテープ用原紙 - Google Patents
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Abstract
Description
中間層は原料パルプとして針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を含有する。中間層の原料パルプとしてのNBKP含有量の下限は、35質量%であり、40質量%が好ましく、40質量%超がより好ましく、45質量%がさらに好ましく、50質量%が特に好ましい。また、中間層の原料パルプとしてのNBKP含有量の上限は、例えば90質量%であってもよいが、70質量%が好ましく、65質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましく、55質量%が特に好ましい。中間層の原料パルプとしてのNBKP含有量が上記下限未満である場合、繊維長が長い原料パルプが不足し、湿度変化に伴い紙厚が変化しやすくなる。この場合、プレスポケット内壁に表出する中間層からの紙粉の発生を十分に抑制できないおそれや、紙厚変化により走行性等が低下するおそれがある。一方、中間層の原料パルプとしてのNBKP含有量が上記上限を超える場合、当該キャリアテープ用原紙の地合が悪く、紙粉や反りが発生しやすくなるおそれがある。これに対して、NBKP含有量を上記下限以上とすることで、NBKPは繊維間強度の強いパルプであるため、湿度変化に対する厚さ変化が低減する。ここで、当該キャリアテープが中間層を複数備える場合、「中間層」とは、各中間層を意味するものとする。
表層の原料パルプとしては、中間層の原料パルプとして例示したものを挙げることができる。特に、表層は、紙粉の発生防止、電子部品を収納する凹部や貫通孔形成の加工性、トップカバーテープとの接着性等、各種品質特性をバランスよく効率的に達成するために、LBKPとNBKPとを混合して用いることが好ましい。
裏層の原料パルプとしては、表層又は中層と同様のものを用いることができる。裏層は、ボトムカバーテープとの接着性等、各種品質特性等をバランスよく効率的に達成するために、LBKPとNBKPとを混合して用いることが好ましい。
当該キャリアテープ用原紙の平均厚さの下限としては、150μmが好ましく、250μmがより好ましい。また、当該キャリアテープ用原紙の平均厚さの上限としては、1500μmが好ましく、1000μmがより好ましい。当該キャリアテープ用原紙の平均厚さが上記下限未満である場合、キャリアテープとして十分な強度が確保できないおそれがある。一方、当該キャリアテープ用原紙の平均厚さが上記上限を超える場合、通常の加工機を用いてのキャリアテープの走行が困難となるおそれや電子部品の収納率が低下するおそれがある。なお、平均厚さはJIS−P8118:1998に準拠して測定される値である。
紙厚変化率(%)={(T80−T20)/T80}×100
当該キャリアテープ用原紙の製造方法は、原料スラリー調製工程と、この原料スラリー調製工程で得られる原料スラリーを用いてキャリアテープ用原紙を抄紙する抄紙工程とを備える。
本発明のキャリアテープ用原紙は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記表層又は裏層の外面に表面処理剤を塗工してもよい。このように表面処理剤を塗工することで、当該キャリアテープ用原紙とトップカバーテープやボトムカバーテープとの接着性が優れる。また、トップカバーテープ剥離時のキャリアテープ表面の毛羽立ちや紙粉の発生を抑止することができる。この表面処理剤の塗工液としては、カバーテープとの接着性の観点から、ポリビニルアルコール(PVA)等の水溶性高分子、スチレン−メタクリル酸樹脂等の表面サイズ剤及び離型剤を含有しているとよい。
キャリアテープ用原紙を所謂ヒートサイクルテストとして温度23℃、湿度80%の環境下で2時間保った後、平均厚さ(T80)を測定した。その後、そのキャリアテープ用原紙を温度23℃、湿度20%の環境下で2時間保った後、平均厚さ(T80)を測定した。これらの測定値を元に、下記式により紙厚変化率(紙厚減少率)を求めた。各平均厚さは、JIS−P8118:1998に準拠して測定した。
紙厚変化率(%)={(T80−T20)/T80}×100
JIS−P−8127:2010に準拠し、巻取梱包済みのキャリアテープ用原紙を開封した直後に、キャリアテープ用原紙の最外周から2周分を除去した残部の部位の水分含有量を測定した。
自動式紙伸縮計(熊谷理機工業株式会社のNo.2078−III)を用いて測定した。200×200mmのキャリアテープ用原紙を試験片として準備し、この試験片を測定器にセットし、温度23℃、湿度20%の環境下で1時間保ち、基準長を定めた。次に、湿度を80%とし、この環境下で3時間保った後、試験片の伸縮長を測定し、伸縮長/基準長を伸縮率とした。この測定を縦方向、横方向それぞれ5サンプル測定し平均することで、平均伸縮率を算出した。
超音波伝導式配向角計(野村商事株式会社の「SST−3000」)を用いて繊維配向角を測定した。
キャリアテープ用原紙を断裁機(押し切りカッターで手動にて断裁)で断裁した際における断裁断面の紙粉の発生を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:紙粉の発生が全く認められない。
○:紙粉の発生がやや認められる。
△:紙粉の発生が認められる。
×:紙粉の発生が著しい。
なお、キャリアテープ用原紙としては、湿潤環境、乾燥環境、及び湿潤と乾燥とが変化する環境下の3つの条件下に30日以上保管されたものを用いた。各環境の条件は以下の通りである。
湿潤環境:温度23℃、湿度80%の環境
乾燥環境:温度23℃、湿度20%の環境
湿潤と乾燥とが変化する環境:上記の湿潤環境と乾燥環境とが3時間毎に変化する環境
温度23℃、湿度80%の環境下でキャリアテープ用原紙をキャリアテープに加工後、8mm幅にスリットし、芯の直径が6cmのリールに100m巻き付けた際のキャリアテープの走行性を以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:走行性が非常に良好である。
○:走行性が良好であり電子部品取り出し作業も良好である。
△:走行性が不安定で電子部品取り出し作業に微少な影響がある。
×:走行性が悪く電子部品取り出し作業に重大なトラブルが発生する。
NBKP50質量%及びLBKP50質量%を含む原料パルプを叩解し、フリーネスを315mLに調整した。この原料パルプを用い、手抄きにより、坪量210.0g/m2(23℃、湿度50%)のキャリアテープ用原紙としての試験紙を得た。
原料パルプ(NBKP及びLBKP)の配合比及びフリーネスを表1に記載の通りに変更したこと以外は実施例1と同様にして、参考例2及び参考比較例1〜13の各試験紙を得た。
丸網抄紙機を用いた多層抄きにより、以下に詳述する表層、中間層及び裏層がこの順に積層された構造の基紙に下記塗工液を塗工し、その後、乾燥及びカレンダー処理を行って実施例1のキャリアテープ用原紙を得た。
樹脂としてスチレン・アクリル酸の共重合物(融点100℃、近代化学工業社の「ケイコートSA80S」)、及び水溶性高分子としてポリビニルアルコール(日本合成化学社の「ゴーセノールN300」)をそれぞれの固形分量が10:9となるように水に混合し、調製した塗工液を表面に3.8g/m2塗工した。なお、実施例において塗工量は固形分換算した値である。
表2〜表5に示すように、各種条件を変化させて実施例2〜26及び比較例1〜8のキャリアテープ用原紙を得た。なお、表2〜表5に示す条件以外は実施例1と同様とした。
Claims (4)
- 表層、少なくとも1層の中間層及び裏層を備えるプレスポケット型キャリアテープ用原紙であって、
上記中間層、又は上記中間層と裏層とが、原料パルプとして針葉樹晒クラフトパルプを35質量%以上含有する層であり、
上記原料パルプのフリーネスが300mL以上440mL以下であることを特徴とするプレスポケット型キャリアテープ用原紙。 - 上記原料パルプとして針葉樹晒クラフトパルプを35質量%以上含有する層が、原料パルプとしてさらに広葉樹晒クラフトパルプを30質量%以上65質量%以下含有する請求項1に記載のプレスポケット型キャリアテープ用原紙。
- 上記表層及び中間層がそれぞれ湿潤紙力剤及びサイズ剤を含有し、
上記表層における上記サイズ剤の上記湿潤紙力剤に対する質量比が0.07以上0.25以下であり、
上記中間層における上記サイズ剤の上記湿潤紙力剤に対する質量比が0.3以上1.02以下である請求項1又は請求項2に記載のプレスポケット型キャリアテープ用原紙。 - 温度23℃の環境下で湿度を80%から20%に変化させた際の紙厚変化率が0.4%以上2.5%以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のプレスポケット型キャリアテープ用原紙。
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