以下、本発明の実施の形態の自動販売機の商品搬出装置を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、図14乃至図16に示した従来の商品搬出装置(以下、従来装置ともいう)と同一機能を有するものには同一の符号を付すこととし、商品搬出装置の正面および背面とは、商品収納通路に臨む面および商品収納通路とは反対側の面を指す。
(実施の形態1)
図1に示した商品収納ラック180は、図15に示した従来装置と同様に、平板状の薄板鋼板からなる左右一対のラック側板181,181、このラック側板181,181に上下方向に半ピッチずらして向かい合わせに架設した前後一対の湾曲状レールセグメント列182の間に画成された前後複数列(図1では2列)の蛇行状の商品収納通路(商品コラム)183,183A、前記それぞれの商品収納通路183,183Aの下端出口に配設された商品搬出装置10,10A(図1の(b)参照)、この商品搬出装置10,10Aと商品収納通路183,183Aを挟んで対向配置された出口調整板290(商品搬出装置10Aに対向する出口調整板はラック側板181に隠れて見えない)とを備えている。前記商品搬出装置10,10Aは、背中合わせに抱き合せた状態でラック側板181,181に架設されるピン部材P,P(図1の(b)参照)に装着されるものである。図1の(b)の19は、前記商品搬出装置10から引き出された配線Wを保護する配線ガイドであり、この配線ガイド19は後述するように商品搬出装置10,10Aに基板1に取付けられる。なお、図1の(b)では、本発明の主要構成部品である商品搬出装置10,10A、ピン部材P,P、配線ガイド19を理解し易くするため、他の構成部品を省略している。
商品搬出装置10は、図2に示すように、薄板鋼板製の薄い箱形になり、商品収納通路183の通路幅よりも小さい寸法の狭幅に形成された基板1を備えている。この基板1の正面側の矩形平面は商品収納通路183の一方の通路面を形成するである。基板1の背面側には後述する第1ストッパ部材2,第2ストッパ部材3,リンク機構4,モータ駆動ユニット7などが配設され、基板1の正面側には商品収納通路183に臨んで閉鎖板17が配設されている。この基板1は前記第1ストッパ部材2,第2ストッパ部材3,リンク機構4,モータ駆動ユニット7,売切検出スイッチ8(図3参照),閉鎖板17などを支持するものである。なお、前記商品搬出装置10と背中合わせに抱き合せて配設される他方の商品搬出装置10Aについての参照符号は、前記商品搬出装置10と同一のものには商品搬出装置10と同一の参照符号を付すとともにその参照符号のあとに「A」を付してその説明は割愛する。
前記基板1における矩形平板の下半領域には比較的大きな開口部11(図4参照)を設け、基板1の周縁には背面側に向けて延在する上下左右のフランジ1c,1d,1a,1bを形成して薄い箱形に形成されている。前記開口部11が第1ストッパ部材2,第2ストッパ部材3の配設位置として構成され、基板1の上半領域がモータ駆動ユニット7の配設位置として構成されている。基板1の左右フランジ1a,1b(図4参照)の上部には、ラック側板181,181に架設されたピン部材P,P(図1の(b)参照)と係合する係合部1a1,1b1を設けるとともに左右フランジ1a,1bの下部には下部側のピン部材Pと係合する半円状の係合溝1a2,1b2を設け、左フランジ1bの下部には下方に延在する指標1b3を設けている。また、基板1の上フランジ1cに上部側のピン部材Pに係合する係合部1c1を設ける一方、基板1の開口部11の下縁を形成する開口フランジ15に、下部側のピン部材Pに係合する下向きフック状の係合部151および後述する復帰ばね44の下端が係止される係止片152を設けている。また、基板1の下フランジ1dの左右端部には係合部1dd,1ddが背面側に突出する態様で形成されている。この係合部1dd,1ddの高さは、左右フランジ1a,1bの高さよりも短い寸法に定められている。
前記基板1の開口部11に臨んで軸受部12が設けられている。この軸受部12は、開口部11の左右方向の略中央部に位置している。前記軸受部12は、リンク機構4に支持された下部リンクピン5および上部リンクピン6の一端を支持するとともに第1ストッパ部材2,上ペダル部材3に関わる共通の回動軸20(後述)の中央域を支持するものである。下部リンクピン5および上部リンクピン6の他端は、基板1の開口部11の右縁に基板1の背面側に突出して形成された開口フランジ14により支持されている。回動軸20の両端は、前記開口部11の左縁に基板1の背面側に突出して形成された開口フランジ13と前記開口フランジ14により支持されている。なお、軸受部12と開口フランジ14とにおける上記下部リンクピン5および上部リンクピン6を支持する構成はほぼ対称の構成であるので、以下の説明では、軸受部12について説明した後に開口フランジ14に係る構成について説明する。
前記軸受部12は、基板1に形成された開口部11における上縁と下縁とに一体的に連結されるとともに基板1の平板面により背面側に浮き上がるように形成され、開口部11を左右に二等分している。この軸受部12は、基板1における開口部11を形成する際に、その開口部11を左右に分断するように基板1の板面の一部を残して基板1に一体に形成されたものであり、背面側への折り曲げにより上半部が横断面コ字状に形成され、下半部がコ字状の左方の脚片を除去した形状になる。前記軸受部12(右方の脚片)には、上下方向に延在する上下一対の長穴121,122を設けている。軸受部12の上下一対の長穴121,122のほぼ中間位置における正面側および背面側には円弧状に切り欠いた凹部(参照符号省略)が形成されている。これらの凹部のうち、正面側の凹部は回動軸20との干渉を避けるためのものであり、背面側の凹部は背中合わせに抱き合せて配設される他方の商品搬出装置10Aの回動軸20Aとの干渉を避けるためのものである。なお、上下一対の長穴121,122の穴周縁にはヘミング加工若しくはバーリング加工を施して回動軸との摩擦を低減するように構成されている。
前記開口部11の右縁に形成された開口フランジ14には、前記軸受部12の上下一対の長穴121,122に対応する長穴141,142を設けている。また、前記開口フランジ14における上下一対の長穴141,142のほぼ中間位置には支軸穴16が設けられ、前記開口部11の左縁に形成された開口フランジ13には、前記開口フランジ14に設けた支軸穴16と同一線上に支軸穴15が設けられている。
前記開口フランジ13に設けた支軸穴15と前記開口フランジ14に設けた支軸穴16は、第1ストッパ部材2と第2ストッパ部材3に共通の回動軸20を支持するものである。また、前記軸受部12に設けた長穴122と前記開口部11の右縁に形成された開口フランジ14に設けた長穴142は、リンク機構4に支持された下部リンクピン5をそれぞれ上下方向にスライド移動可能に支持する一方、前記前記軸受部12に設けた長穴121と前記開口フランジ14に設けた長穴141は、リンク機構4に支持された上部リンクピン6をそれぞれ上下方向にスライド移動可能に支持するものである。なお、前記支軸穴15,16、長穴141,142の穴周縁はヘミング加工若しくはバーリング加工を施して下部リンクピン5,上部リンクピン6との摩擦を低減するように構成されている。
また、基板1の開口部11の上方位置には、切り起こしにより形成された軸受片111,112が形成されている。この軸受片111,112は、後述する閉鎖板17を軸支するものである。さらに、基板1の上半領域には後述するモータ駆動ユニット7を保持する穴1eが穿設されるとともに左フランジ1aの近傍に前記モータ駆動ユニット7の回り止め用の突部1fが設けられている。また、前記モータ駆動ユニット7の取付けのために上フランジ1cにはモータ駆動ユニット7の爪部70a,70a(図3参照)が係合する穴1g,1gが設けられている。
前記第1ストッパ部材2は、基板1の開口部11を閉塞する態様で回動軸20に回動可能に支持されている。第1ストッパ部材2は、回動軸20を中心として回動して、基板1(1A)の開口部11から商品収納通路183に突出する突出位置と、開口部11を閉塞する態様で商品収納通路183から退く退避位置との間に移動可能であり、退避位置に退避した際に基板1の開口部11を閉塞する。回動軸20には、図3に示した捻りコイルばね30が巻装してある。第1ストッパ部材2は、捻りコイルばね30の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、突出位置においてその表面(上面)が商品(販売商品)を保持する保持部として形成されている。
前記第1ストッパ部材2は、図5に示すように、平板状の保持部21の背面に2個の軸受部22を一体に形成した合成樹脂(たとえば、ポリアセタール)製になる。前記保持部21の基端側の左右両端には軸挿通穴251を有する左右一対の軸支部25が突出形成されるとともに左右一対の軸支部25の周縁部に売切れ突起26が突出形成されている。この軸支部25の軸挿通穴251は、回動軸20を挿通するためのものである。また、軸支部25は基板1の開口部11の左右両側に穿設した長穴101,102(図3参照)に差し込んだうえで軸挿通穴251に回動軸20を挿通させるように構成されている。
前記2個の軸受部22は、平板状の保持部21の左右方向の一方に片寄せて配設されている。この2個の軸受部22の左右方向の幅は、基板1の開口部11における軸受部12により二等分された開口(空間)幅よりも小さく当該空間を通過可能な寸法に定められ、保持部21の中央より左右のいずれか一方に片寄せて配設(図4では、開口部11における軸受部12と開口部11の開口フランジ14との間の開口(空間)に対応して配設)している。これは、2個の商品搬出装置を背中合わせに抱き合せた場合に、一方の商品搬出装置の第1ストッパ部材2と他方の商品搬出装置の第1ストッパ部材2が互いに干渉することがないようにするためである。2個の軸受部22の基端部側にはそれぞれ軸挿通穴221が設けられている。これらの軸挿通穴221は、回動軸20を挿通するためのものであり、保持部21の左右両端に形成した軸支部25の軸挿通穴251と同一軸線上に位置している。2個の軸受部22の基端部からは円弧状の係止突起23がそれぞれ突出して形成されている。また、2個の軸受部22の基端部からは円弧状のガイド突起24が形成されている。この円弧状のガイド突起24は、円弧状の係止突起23との間に、下部リンクピン5を案内する湾曲状のガイド溝241を形成するように構成されている。
前記第1ストッパ部材2の軸受部22における係止突起23の先端は、下降した下部リンクピン5と当接して第1ストッパ部材2を商品収納通路183に突出した突出位置にロックするものであり、下部リンクピン5が上昇すると前記ロックを解除して第1ストッパ部材2の退避位置へ向けての回動を許容するものである。この退避位置への移動の際に、下部リンクピン5が前記ガイド溝241に沿って摺動する。
第2ストッパ部材3は、図2に示すように基板1の開口部11の左右側縁に形成した開口フランジ13,14の間に介在してあり、回動軸20に回動可能に支持してある。第2ストッパ部材3は、回動軸20を中心として回動して、基板1の開口部11から商品収納通路183に突出する突出位置と、開口部11を閉塞する態様で商品収納通路183から退く退避位置との間に移動可能である。
前記第2ストッパ部材3は、図6に示すように合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなり、基端部側に形成された軸挿通穴310を備えた3個の軸支部31と、左右方向のいずれか一方に片寄せて配設(図6では左側に配設)されるとともに背面側に突出した2個のストッパ壁32と、先端側に形成されるとともに背面側に突出する2個の舌片390を有する商品の保持部33が一体成形されている。
前記軸支部31の軸挿通穴310は、回動軸20を挿通するためのものである。この軸挿通穴310を備えた3個の軸支部31は、第1ストッパ部材2における2個の軸受部22と位置をずらして分散して設けられている。
前記第2ストッパ部材3の2個のストッパ壁32は、左右方向の一方に片寄せて配設(図6では左側に配設)され、第1ストッパ部材2における2個の軸受部22と位置をずらして分散して設けられている。この2個のストッパ壁32の左右方向の幅は、基板1の開口部11における軸受部12により二等分された開口(空間)幅よりも小さく当該空間を通過可能な寸法に定められ、図4では、基板1の開口部11における軸受部12と開口部11の開口フランジ14との間の開口(空間)を通過するように構成されている。これは、2個の商品搬出装置を背中合わせに抱き合せた場合に、一方の商品搬出装置の第2ストッパ部材3と他方の商品搬出装置の第2ストッパ部材3が互いに干渉することがないようにするためである。
前記2個のストッパ壁32は、基端部側に軸挿通穴320を有する凹状の摺動溝321と、この凹状の摺動溝321の溝壁に沿って形成されたストッパ面322を備えている。凹状の摺動溝321は、上部リンクピン6が摺動可能であり、第2ストッパ部材3が退避位置に退避した状態では上部リンクピン6を受容するように構成されている。前記ストッパ壁32のストッパ面322は、上部リンクピン6の上昇により上部リンクピン6が凹状の摺動溝321の溝壁に当接して第2ストッパ部材3が商品収納通路183に突出した際(上部リンクピン6が摺動溝321から抜け出した際)に上部リンクピン6と当接して第2ストッパ部材3を突出位置でロックするものである。
前記第1ストッパ部材2および第2ストッパ部材3を軸支する回動軸20の基板1への組付けは、第1ストッパ部材2および第2ストッパ部材3を基板1の開口部11の所定位置に配設する。次いで、基板1の右フランジ1bの外側から当該右フランジ1bに形成した丸穴1b6(図4参照)に回動軸20の先端を差し込む。そして、開口部11のフランジ14に形成した支軸穴16、開口部11の開口フランジ13に形成した支軸穴15の順に挿通させる。この場合、第1ストッパ部材2の設けた左右一対の軸支部25の軸挿通穴251,第1ストッパ部材2の軸受部22に設けた軸挿通穴221、第2ストッパ部材3の軸挿通穴310,320が開口フランジ13,14に形成した支軸穴15,16と一直線上に位置するように所定位置に配置されているので、第1ストッパ部材2と第2ストッパ部材3が回動軸20に軸支される。回動軸20の頭部には径外方向に張り出したストッパが設けられており、このストッパが開口フランジ14に当接するまで回動軸20は差し込まれる。なお、回動軸20は、基板1の右フランジ1bと開口フランジ14との間に装着される配線カバー9(図2,図3参照)に頭部が当接することにより抜け止めが施される。
前記リンク機構4は、後述するモータ駆動ユニット7により駆動され、第1ストッパ部材2を商品収納通路183に突出した突出位置と商品収納通路183から退避した退避位置とに移動させる下部リンクピン5と、第2ストッパ部材3を商品収納通路183に突出した突出位置と商品収納通路183から退避した退避位置とに移動させる上部リンクピン6とを支持する態様で基板1に組み込まれたものである。
前記リンク機構4は、図7に示すように、鋼板製のリンク部材40を備えている。リンク部材40は、短冊状の鋼板をコ字状に折り曲げて形成されている。リンク部材40のコ字状の一方の脚片の上端には、モータ駆動ユニット7のリンクレバー75に係合する係合片411を有する係合部41が形成されている。また、リンク部材40のコ字状両脚片の下端には、下部リンクピン5が貫通する係合穴420を有する支持部42が形成されている。さらに、リンク部材40の前記支持部42の上方には、上部リンクピン6が貫通する係合穴430を有する支持部43が形成されている。前記支持部42は、下部リンクピン5を支持してリンク部材40の上下動作に連動して当該下部リンクピン5を上下方向に移動させるものである。前記支持部43は、上部リンクピン6を支持してリンク部材40の上下動作に連動して当該上部リンクピン6を上下方向に移動させるものである。また、前記リンク部材40の下方には、図2に示した捻りコイルばねからなる復帰ばね44が配設されている。この復帰ばね44の一端(上端)は、リンク部材40の支持部42に支持された下部リンクピン5に係止され、復帰ばね44の他端(下端)は、開口部11の下縁を形成する開口フランジ15に設けた係止片152(図4参照)に係止されている。
前記下部リンクピン5および上部リンクピン6の基板1への組付けは、リンク部材40を基板1の開口部11の所定位置、すなわち、図4に示した基板1の開口部11における軸受部12と開口フランジ14との間の開口位置であって、開口部11の所定位置に配設された第1ストッパ部材2における2個の軸受部22および第2ストッパ部材3における2個のストッパ壁32の間に配設したうえで、下部リンクピン5および上部リンクピン6を基板1に装着する。この場合、下部リンクピン5,上部リンクピン6は、基板1のフランジ1bに穿孔した丸穴1b4,1b5の外側から開口フランジ14に形成した長穴141,142を介して軸受部12に形成した長穴121,122の順に挿通させる。そして、下部リンクピン5,上部リンクピン6に設けた頭部のストッパ51,61(図3参照)が基板1の開口フランジ14に当接するまで差し込むことにより、下部リンクピン5,上部リンクピン6がリンク部材40に形成した支持部42,43に支持された状態で基板1に組付けられる。なお、下部リンクピン5および上部リンクピン6は、基板1に装着される配線カバー9(図2,図3参照)により抜け止めが施される。
前記モータ駆動ユニット7は、商品選択ボタンの操作に基づく販売指令によりユニットケース70(図3参照)に内蔵したモータ71(図8参照)が正転若しくは逆転駆動され、このモータ71の回転によりリンクレバー75(75A)を介してリンク部材40(後述する他方の商品搬出装置10Aのリンク部材40A)を選択的に上昇させるものである。ユニットケース70はベース部材とカバー部材とからなり、その内部に、図8に示すような、モータ71,歯車伝達機構72,出力歯車73,キャリアスイッチ74,リンクレバー75(75A)などを内蔵している。このモータ駆動ユニット7は、ユニットケース70におけるベース部材の頭部に設けた爪片70a,70aを基板1のフランジ1cに形成した係止穴1gに係止する一方、ユニットケース70におけるベース部材の背面および上面後端に突出形成した複数の係止突起(不図示)を基板1の平板面に穿設した穴1eなどに嵌合させることにより基板1に組付けられる。
図8に示したモータ駆動ユニット7のユニットケース70に内蔵したモータ71は、販売指令に応じて正転若しくは逆転する正逆回転可能な直流モータであり、ユニットケース70のベース部材に保持されている。
歯車伝達機構72は、ウオーム721aとウオームホイール721bからなるウオーム歯車721および中間歯車722を備えて構成されている。ウオーム歯車721のウオーム721aは、モータ71の出力軸に取り付けられている。ウオームホイール721bは、ウオーム721aに噛み合う第1ホイールと、中間歯車722に噛み合う第2ホイールとが上下方向に段違いに設けられている。中間歯車722は、前記ウオームホイール721bの第2ホイールと噛み合う第1中間歯車と、出力歯車73に噛み合う第2中間歯車とが上下方向に段違いに設けられている。ウオーム歯車721および中間歯車722は、ユニットケース70のベース部材とカバーカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
前記出力歯車73は、中間歯車722の第2中間歯車と噛み合うホイールとして形成され、その一方の板面(上面)にカムと突起731が形成され、他方の板面(背面)にキャリアスイッチ74を制御する押圧片(図8では見えない)が形成されている。カムと突起731は、出力歯車73の板面から離隔する方向に突出する態様で円弧状に形成されている。このカムと突起731は、その円弧状の長さがリンク部材40を上昇させた後に所定時間の間その状態を保持するのに十分な長さとなるように形成されている。キャリアスイッチ74を制御する押圧片は、カムと突起731の反対側の板面に位置して板面から離隔する方向に突出する態様で略V字状に形成されており、図8の(a)の状態でキャリアスイッチ74の接触子を押圧するように形成されている。この出力歯車73は、ユニットケース70のベース部材とカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
キャリアスイッチ74は、いわゆる押しボタンスイッチであり、接触子(不図示)を備えている。このキャリアスイッチ74は、出力歯車73よりも僅かに上方域にユニットケース70のベース部材に保持された状態で配設されている。このキャリアスイッチ74は、接触子が出力歯車73の押圧片に押圧されるとオン状態となる一方、出力歯車73の押圧片が離れて接触子が押圧されない場合にはオフ状態となるものであり、販売指令により駆動されたモータ71を、出力歯車73が一回転するように制御するためのものである。
リンクレバー75(75A)は樹脂成型品になり、基部751(751A)を貫通するユニットケース70のカバー部材に設けたレバー軸700(700A)に回転可能に軸支されている。リンクレバー75(75A)の先端部752(752A)は、ユニットケース70のベース部材とカバー部材を切り欠いて形成した開口(不図示)から外部に突出する態様で上方に湾曲したフック状を成している。リンクレバー75(75A)の基部751(751A)に設けられた係止片753(753A)は、基部751(751A)の後方側より後方に向けて延在する弾性変形可能な板状の弾性部材である。係止片753(753A)は、その自由端がカバー部材に設けた突出片(不図示)に当接することにより常態におけるリンクレバー75(75A)の待機姿勢を、図8の(a)に示す位置に決めている。
係る構成のモータ駆動ユニット7を備えた商品搬出装置は、本件出願人から特願2013−236105号(特開2015−95235号公報)として出願されている。このモータ駆動ユニット7を用いることにより背中合わせに抱き合せて用いられる2個の商品搬出装置の一方に駆動手段としてのモータ駆動ユニット7を組み込むことにより、他方の商品搬出装置から駆動手段を削除することができるものである。このモータ駆動ユニット7による商品搬出動作は、商品選択ボタンの操作に基づく販売指令によりモータ71を正転若しくは逆転駆動し、このモータ71の回転により歯車伝達機構72,出力歯車73を介してリンクレバー75(75A)を揺動させてリンク部材40(後述する他方の商品搬出装置10Aのリンク部材40A)を選択的に上昇させて第1ストッパ部材2(後述する他方の商品搬出装置10Aの第1ストッパ部材2A)および第2ストッパ部材3(後述する他方の商品搬出装置10Aの第2ストッパ部材3A)を商品収納通路183に交互に出没させるものである。
図3に示した売切検出スイッチ8は、基板1に装着される配線カバー9(図2,図3参照)に係止固定されたマイクロスイッチからなる。この売切検出スイッチ8(8A)は第1ストッパ部材2に設けた売切れ突起26にマイクロスイッチの接触子8aが当接するように配設され、第1ストッパ部材2が商品収納通路183に最大開度に突出した状態を検知するように構成されている。すなわち、第1ストッパ部材2は捻りコイルばね30の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、商品を保持していない状態で商品収納通路183に突出した際に最大開度となり、最大開度に突出した第1ストッパ部材2に商品が落下すると商品収納通路183から退避する方向に僅かに回動した後、第1ストッパ部材2の軸受部22における係止突起23の先端が、下降した下部リンクピン5と当接して第1ストッパ部材2を商品収納通路183に突出した突出位置にロックし、ロック状態における第1ストッパ部材2の開度が最大開度よりも小さくなるように構成されている。そこで、売切検出スイッチ8は、第1ストッパ部材2が最大開度に突出した際、第1ストッパ部材2に設けた売切れ突起26がマイクロスイッチの接触子8aに当接してオン状態となり、最大開度に突出した第1ストッパ部材2に商品が落下して当該第1ストッパ部材2が商品収納通路183から退避する方向に僅かに回動した後ロックされるまでの間に第1ストッパ部材2に設けた売切れ突起26がマイクロスイッチの接触子8aから離隔してオフ状態となるように構成されている。なお、売切検出スイッチ8からの信号を処理する制御部では、売切検出スイッチ8からのオン信号が所定時間継続した場合に「売切れ」として判断する処理が行われる。なお、図3に示した売切検出スイッチ8は、商品搬出装置10と背中合わせに抱き合せた状態で配設される他方の商品搬出装置10Aの第1ストッパ部材2Aの売切れ突起26A(図5参照)用の接触子8bを備えており、他方の商品搬出装置10Aの売切検出スイッチ8Aとしての機能を有するものである。
配線カバー9は合成樹脂製になり、売切検出スイッチ8(8A)を係止するとともに基板1の左右方向の一方(図2の場合には左側)に片寄せて配設され、モータ駆動ユニット7のモータ71,キャリアスイッチ74、売切検出スイッチ8(8A)の配線Wを保護するものである。この配線カバー9から引き出された配線Wは、後述する配線ガイド19に覆われて保護される。また、配線カバー9には、背面側に突出する位置決め突片91,92が立設されている。
閉鎖板17は、図1の(b)に示すように、前記第2ストッパ部材3の上方に位置し、退避位置に復帰している第2ストッパ部材3を商品収納通路183側から覆うように垂下している。この閉鎖板17は、第2ストッパ部材3の突出位置への移動に連動して商品収納通路183に進出し、第2ストッパ部材3の保持部33と次販売商品との間に介在して第2ストッパ部材3の保持部33と基板1との間の隙間を塞ぐものである。この閉鎖板17は、上部側の左右方向に中央部に設けたカール状の軸部171(図3参照)を基板1の開口部11の上方位置に切り起こしにより形成された軸受片111,112に係合させることより揺動自在に取付けられている。
前記商品搬出装置10と背中合わせに抱き合せて配設される商品搬出装置10Aの構成を図2に示す。この商品搬出装置10Aの構成は、商品搬出装置10からモータ駆動ユニット7を除去したものに相当し、商品搬出装置10を構成する基板1,第1ストッパ部材2,第2ストッパ部材3,下部リンク部材5および上部リンク部材6を支持するリンク機構4,売切検出スイッチ8,配線カバー9,閉鎖板17に対応して基板1A,第1ストッパ部材2A,第2ストッパ部材3A,下部リンク部材5Aおよび上部リンク部材6Aを支持するリンク機構4A,配線カバー9A,閉鎖板17Aを備えている。前記商品搬出装置10と商品搬出装置10Aとを背中合わせに抱き合せた際、商品搬出装置10の配線カバー9に背面側に突出して設けた位置決め突片91,92が、図2に示した商品搬出装置10Aの基板1Aの左フランジ1aと開口部11の開口フランジ13との間に嵌まり込む一方、商品搬出装置10Aの配線カバー9Aに背面側に突出して設けた位置決め突片91A,92Aが、商品搬出装置10の基板1の左フランジ1aと開口部11の開口フランジ13との間に嵌まり込むことにより左右方向へのずれを防止するように構成されている。
配線ガイド19は、商品搬出装置10から引き出された配線Wを覆う態様で配線Wを保護するとともに左右一対のラック側板181,181の間における商品搬出装置10,10Aの位置決めを行うものである。この配線ガイド19は可撓性を有する合成樹脂製になり、配線Wを収容する収納部190と開口端となる頸部191とを備えた横断面逆Ω状の横長に形成されている。配線ガイド19の長さは、商品収納ラック180を形成する左右一対のガイド側板181,181の間の幅(商品通路幅)よりも僅かに小さい幅の寸法に定められている。前記配線ガイド19の頸部191には係止部192が左右方向に分散して複数開口されている。係止部192の大きさは、基板1(1A)の下フランジ1dの左右端部に設けた係合部1dd,1dd(1Add,1Add:図2参照)よりも一回り大きく、係合部1dd,1dd(1Add,1Add)を受け入れることが可能な大きさに形成されている。前記係止部192の分散間隔(ピッチ間隔)は、基板1(1A)の下フランジ1dの左右端部に設けた係合部1dd,1dd(1Add,1Add)のピッチよりも小さく、かつ、基板1(1A)の係合部1dd,1dd(1Add,1Add)のピッチに対応して形成されている。つまり、配線ガイド19の右端の係止部192に基板1(1A)の右端の係合部1dd(1Add)を係合させた状態で配線ガイド19の右端の係止部192から左方向にn番目の係止部192に基板1(1A)の左端の係合部1dd(1Add)が係合し、配線ガイド19の右端の係止部192から2番目の係止部192に基板1(1A)の右端の係合部1dd(1Add)を係合させた際に配線ガイド19の右端の係止部192から左方向に(n+1)番目の係止部192に基板1(1A)の左端の係合部1dd(1Add)が係合し、基板1(1A)の右端の係合部1dd(1Add)を配線ガイド19の右端から一つずつ順次左側の係止部192に係合するように移動させた際、基板1(1A)の左端の係合部1dd(1Add)が配線ガイド19のn番目の係止部192から一つずつ順次左側の係止部192に係合する態様で複数の係止部192が分散して配設されている。
この配線ガイド19は、商品搬出装置10,10Aを商品収納ラック180に装着した状態で商品搬出装置10,10Aの下部に着脱自在に取付けられるものでありので、商品搬出装置10,10Aの商品収納ラック180への取付けについて説明した後に配線ガイド19の取付けについて説明する。
前記商品搬出装置10は、ラック側板181,181に架設された上下のピン部材P,Pに取付けることにより商品収納ラック180に装着される。すなわち、上部側のピン部材Pの下方から商品搬出装置10の基板1を接近させて基板1の左右フランジ1a,1bの上部に形成した係合部1a1,1b1と、基板1の上フランジ1cに形成した上向きフック状の係合部1c1の鉛直部との間に上部側のピン部材Pを挟み込むように商品搬出装置10を持ち上げる。商品搬出装置10の持ち上げによりフック状の係合部1c1の水平部が上部側のピン部材Pに当接すると基板1の左右フランジ1a,1bの下部に形成した半円状の係合溝1a2,1b2および基板1の開口部11の下縁を形成する開口フランジ15に形成した下向きフック状の係合部151が下部側のピン部材Pよりも上方に位置しているので、上部側のピン部材Pを支点として基板1を後方側に回動させて前記下向きフック状の係合部151を下部側のピン部材Pを乗り越えさせた上で基板1を下方にスライドさせて前記係合溝1a2,1b2と下向きフック状の係合部151との間に下部側のピン部材Pを挟み込んだ状態で下部側のピン部材Pに係止させる。この場合、基板1の左右フランジ1a,1bの上部に形成した係合部1a1,1b1と、基板1の上フランジ1cに形成した上向きフック状の係合部1c1の鉛直部の寸法が、上部側のピン部材Pを挟み込んだ状態で基板1を下方にスライドさせて下部側のピン部材Pに基板1の左右フランジ1a,1bの下部に形成した係合溝1a2,1b2と前記下向きフック状の係合部151を係止させた際にも上部側のピン部材Pとの係合が外れない長さに定められているので、前記係合部1a1,1b1と上向きフック状の係合部1c1とが上部側のピン部材Pから外れることはない。このようにして商品搬出装置10が上下のピン部材P,Pに係止された状態で取付けられる。
一方、商品搬出装置10Aの上下のピン部材P,Pへの取付けは、上下のピン部材P,Pに係止された商品搬出装置10の背後側から商品搬出装置10Aを水平状態に保持した状態で、基板1Aの上端を上部側のピン部材Pに接近させて、基板1Aの左右フランジ1Aa,1Abの上部に形成した係合部1Aa1,1Ab1と、基板1Aの上フランジ1Acに形成した上向きフック状の係合部1Ac1の鉛直部との間に上部側のピン部材Pを挟み込む。次いで、上部側のピン部材Pを支点として基板1Aを前方側に回動させて前記下向きフック状の係合部151Aを下部側のピン部材Pを乗り越えさせた上で基板1Aを下方にスライドさせて前記係合溝1Aa2,1Ab2と下向きフック状の係合部151Aとの間に下部側のピン部材Pを挟み込む。これにより、商品搬出装置10Aが商品搬出装置10に背中合わせに抱き合せた状態で上下のピン部材P,Pに取付けられる。この場合、両者の配線カバー9、9Aに背面側に突出して形成された位置決め突片91,92(91A,92A)が、相手側の基板1,1Aの左フランジ1a,1Aaと開口部11,11Aの開口フランジ13,13Aとの間に嵌まり込んで左右へのずれが防止され、基板1,1Aの左右フランジ1a,1b、1Aa,1Abの先端同士が当接する態様で商品収納ラック180に装着される。この場合、上下のピン部材P,Pに取付けられた商品搬出装置10,10Aは、上下のピン部材P,Pに支持された状態で左右方向にスライド移動可能であり、商品収納ラック180に収納される商品を第1ストッパ部材2,2Aにより保持するのに最適な位置、例えば、商品容器の形状が円筒形の場合には第1ストッパ部材2,2Aにより商品の中央部を保持する位置に移動させることができる。
斯様な態様で背中合わせに抱き合せて商品収納ラック180に装着された商品搬出装置10,10Aの下部に配線ガイド19が図10に示すように取付けられる。なお、図10の(b)は(a)から一方の商品搬出装置10を除去して他方の商品搬出装置10Aの基板1Aの係合部1Addと配線ガイド19の係止部192との係合状態を示すものであり、図10の(b)では基板1Aに配設される第1ストッパ部材2Aなどの機構部品も取り外している。
さて、商品搬出装置10,10Aを背中合わせに抱き合せて取付けた際、基板1,1Aの下フランジ1d、1Adの左右端部に形成した係合部1dd,1dd、1Add,1Addが対峙するとともに係合部1dd,1dd、1Add,1Addの高さ寸法が基板1,1Aの左右フランジ1a,1b、1Aa,1Abよりも短い寸法に定められていることから、図10の(c)に示すように、対峙する係合部1dd,1ddと係合部1Add,1Addとの間には隙間が生じており、この隙間に配線ガイド19の頸部191を挿入する。この場合、頸部191の幅(開口幅)は、前記隙間の寸法よりも長い(広い)寸法に定められているので、頸部191の開口幅を狭める態様で配線ガイド19(収納部190)を内側に撓ませるように外力を加えたうえで当該頸部191を前記隙間に挿入する。前記隙間に頸部191を挿入した状態で配線ガイド19(収納部190)に加えた外力を解除すると配線ガイド19(収納部190)の復元力により頸部191が外側に広がる。この場合、基板1,1Aの下フランジ1d、1Adの左右端部に形成した係合部1dd,1dd、1Add,1Addが頸部191に形成した係止部192に対向している場合には当該係合部1dd,1dd、1Add,1Addが頸部191の係止部192に嵌合して係止され、前記係合部1dd,1dd、1Add,1Addが頸部191に形成した係止部192から左右方向にずれている場合には基板1,1Aを左右方向にスライドさせて前記該係合部1dd,1dd、1Add,1Addを頸部191の係止部192に嵌合させて係止させる。これにより、商品収納通路183の通路幅よりも小さい寸法の狭幅に形成された基板1を備え商品搬出装置10,10Aが左右方向にスライド移動するのを規制することが可能となる。
ここで、前記配線ガイド19は左右一対のラック側板181,181の間の幅、すなわち、商品収納通路183の通路幅に略一致する長さを有し、図10の(a)では商品搬出装置10,10Aを商品収納通路183の右端側に寄せて設置固定した状態を示しているが、前記商品搬出装置10,10Aを商品収納通路183の中央部,左端側に設置した場合には前記配線ガイド19の頸部191に左右方向に分散して複数形成された係止部192のうちの中央部,左端側の係止部192に基板1の係合部1dd,1dd、基板1Aの係合部1Add,1Addをそれぞれ嵌合させればよい。したがって、商品搬出装置10,10Aの基板1,1Aの幅が前記通路幅よりも小さい寸法の狭幅に形成されている場合にも、商品収納通路183の通路幅に略一致する長さを有する配線ガイド19の頸部191に左右方向に分散して複数形成された任意の係止部192に前記基板1の係合部1dd,1ddおよび基板1Aの係合部1Add,1Addをそれぞれ嵌合させることにより商品搬出装置10,10Aを商品収納通路183の通路幅に対して任意の位置に設置固定することが可能となる。
なお、商品搬出装置10,10Aの基板1,1Aにおける左フランジ1a,1Aaの下部に設けた指標1b3,1Ab3は、商品収納ラック180を本体キャビネット100の庫内に収設した状態で本体キャビネット100の前方(商品収納ラック180の下方)から覗くことにより商品搬出装置10,10Aの設置位置を確認できるようにしたものである。これにより、商品収納ラック180に収納する商品を入れ替えて商品搬出装置10,10Aの位置を変更する際にも、商品収納ラック180を本体キャビネット100から取り外すことなく、商品搬出装置10,10Aを最適な位置に変更することができる。この場合、配線ガイド19は、一旦取り外したうえで再び装着すればよい。配線ガイド19の取り外しは、配線ガイド19(収納部190)を内側に撓ませて頸部191に形成した係止部192と、基板1,1Aの下フランジ1d、1Adの左右端部に形成した係合部1dd,1dd、1Add,1Addとの係合を解除すればよい。
前述したように本発明の実施の形態1に係る自動販売機の商品搬出装置によれば、商品収納通路183に商品を横倒し姿勢で整列して収納する商品収納ラック180に搭載された自動販売機の商品搬出装置10(10A)であって、前記商品搬出装置10(10A)は、商品収納通路183の通路幅よりも小さい寸法の狭幅に形成され、かつ、商品収納通路183に通じる開口部11(11A)を有する基板1(1A)と、販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路183に突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路183から退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板1(1A)に回動自在に軸支された第1ストッパ部材2(2A)と、販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路183に突出する突出位置と前記商品収納通路から退避する退避位置にとの間を移動可能なように当該基板1(1A)に回動自在に軸支された第2ストッパ部材3(3A)と、前記第1ストッパ部材2(2A)および第2ストッパ部材3(3A)を駆動する駆動手段(モータ駆動ユニット7)有し、第1ストッパ部材2(2A)を退避位置に退避させて販売商品を払い出す一方、第2ストッパ部材3(3A)を退避位置から突出位置に移動させて次販売商品を保持する商品搬出装置10(10A)を備え、当該商品搬出装置10(10A)を商品収納ラック180にピン部材P,Pを介して装着してなり、商品搬出装置10(10A)の下部に沿って引き回される前記駆動手段(モータ駆動ユニット7)の配線Wを保護する配線ガイド19を有してなる自動販売機の商品搬出装置において、前記商品搬出装置10(10A)の装備品(配線ガイド19)により商品搬出装置10(10A)を位置決めしてなることにより、コストの上昇を招くことなく商品搬出装置10(10A)を所定位置に位置決めことができるという利点を有する。
(実施の形態2)
図11乃至図13は、本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品搬出装置の要部を示し、図11は本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品搬出装置の要部を示し、商品収納ラックと背中合わせに抱き合わせた状態の商品搬出装置の分解斜視図であり、図12は図11の下部側のピン部材の斜視図であり、図13は背中合わせに抱き合わせた商品搬出装置と下部側のピン部材との係合状態を示す要部斜視図である。図11乃至図13において、図1乃至図10に示した実施の形態1に係る自動販売機の商品搬出装置と同一のものには同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図11に示した実施の形態2に係る自動販売機の商品搬出装置10が実施の形態1に係る自動販売機の商品搬出装置と相違する点は、商品搬出装置10,10Aを取付けるために左右一対のラック側板181,181に架設された上下のピン部材P,Pのうちの下部側のピン部材P0であり、その他の構成は同一である。前記下部側のピン部材P0が実施の形態1の上下のピン部材P,Pと相違する点は、実施の形態1の上下のピン部材P,Pが丸棒からなるものであるのに対し、下部側のピン部材P0がリング状の溝からなる係止部Paを左右方向に複数分散して備えている点である。前記係止部Paの大きさ(溝幅)は、基板1(1A)の左右フランジ1a,1b(1Aa,1Ab)の板厚よりも一回り大きく、左右フランジ1a,1b(1Aa,1Ab)の下部に形成した半円状の係合溝1a2,1b2(1Aa2,1Ab2)の縁部を受け入れることが可能な大きさに形成されている。前記係止部Paの分散間隔(ピッチ間隔)は、基板1(1A)の左右フランジ1a,1b(1Aa,1Ab)のピッチよりも小さく、かつ、基板1(1A)の左右フランジ1a,1b(1Aa,1Ab)のピッチに対応して形成されている。つまり、ピン部材P0の右端の係止部Paに基板1(1A)の右フランジ1b(左フランジ1Aa)の下部に形成した半円状の係合溝1b2(1Aa2)を係合させた状態でピン部材P0の右端の係止部Paから左方向にn番目の係止部Paに基板1(1A)の左フランジ1a(右フランジ1Ab)の下部に形成した半円状の係合溝1a2(1Ab2)の縁部が係合し、ピン部材P0の右端の係止部Paから左側に2番目の係止部Paに基板1(1A)の右フランジ1b(左フランジ1Aa)の下部に形成した半円状の係合溝1b2(1Aa2)の縁部を係合させた際にピン部材P0,P0の右端の係止部Paから(n+1)番目の係止部Paに基板1(1A)の左フランジ1a(右フランジ1Ab)の下部に形成した半円状の係合溝1a2(1Ab2)の縁部が係合し、基板1(1A)の右フランジ1b(左フランジ1Aa)をピン部材P0の右端の係止部Paから一つずつ左側の係止部Paに係合するように移動させた際、基板1(1A)の左フランジ1a(右フランジ1Ab)がピン部材P0のn番目の係止部Paから一つずつ左側の係止部Paに係合する態様で複数の係止部Paが分散して配設されている。
かかる構成の上下のピン部材P,P0を左右一対のラック側板181,181に架設した状態で、当該上下のピン部材P,P0に商品搬出装置10,10Aが実施の形態1と同様に取付けられる。上下のピン部材P,P0に商品搬出装置10,10Aを取付けた状態では、下部側のピン部材P0に商品搬出装置10,10Aの荷重がかかり、商品搬出装置10,10Aの基板1,1Aの左右フランジ1a,1b、1Aa,1Abの下部に形成した半円状の係合溝1a2,1b2、1Aa2,1Ab2の縁部が下部側のピン部材P0の対応する係止部Paの溝に嵌合する。この状態を図12に示し、図12では、商品搬出装置10の基板1の右フランジ1bの下部に形成した半円状の係合溝1b2の縁部および商品搬出装置10Aの基板1Aの左フランジ1Aaの下部に形成した半円状の係合溝1Aa2の縁部が下部側のピン部材P0の対応する係止部Paに嵌合した状態が見えている。このように、下部側のピン部材P0の対応する係止部Paに、商品搬出装置10,10Aの基板1,1Aの左右フランジ1a,1b,1Aa,1Abの下部に形成した半円状の係合溝1a2,1b2,1Aa2,1Ab2を嵌合させて係止することにより、商品搬出装置10,10Aの位置決めを行うことが可能となる。
ここで、前記ピン部材P0は左右一対のラック側板181,181に架設されて商品収納通路183の通路幅に略一致する長さを有し、図13では商品搬出装置10,10Aを商品収納通路183の右端側に寄せて設置固定した状態を示しているが、前記商品搬出装置10,10Aを商品収納通路183の中央部,左端側に設置(図13の状態から商品搬出装置10,10Aを移動させて設置する際には商品搬出装置10,10Aを上方に持ち上げてピン部材P0の係止部Paとの係合を外した状態で移動させて設置)した場合には前記ピン部材P0に左右方向に分散して複数形成された係止部Paのうちの中央部,左端側の係止部Paに基板1,1Aの左右フランジ1a,1b、1Aa,1Abの下部に形成した半円状の係合溝1a2,1b2、1Aa2,1Ab2をそれぞれ嵌合させればよい。したがって、商品搬出装置10,10Aの基板1,1Aの幅が前記通路幅よりも小さい寸法の狭幅に形成されている場合にも、商品収納通路183の通路幅に略一致する長さを有するピン部材P0に左右方向に分散して複数形成された任意の係止部Paに前記基板11Aの左右フランジ1a,1b、1Aa,1Abの下部に形成した半円状の係合溝1a2,1b2、1Aa2,1Ab2をそれぞれ嵌合させることにより商品搬出装置10,10Aを商品収納通路183の通路幅に対して任意の位置に設置固定することが可能となる。
なお、この実施の形態2では、商品搬出装置10,10Aの荷重がかかる下部側のピン部材P0にリング状の溝からなる係止部Paを設けたものについて説明したが、これはサーペンタイン式商品収納ラック180に搭載される商品搬出装置10,10Aの場合であり、例えば、前後方向に傾斜した商品収納棚を備えたスラント式の商品収納ラックに商品搬出装置10,10Aを搭載する場合には、上部側のピン部材Pにもリング状の溝からなる係止部Paを設けることができるものである。また、ピン部材P0に設けた係止部Paは、リング状の溝に限らず、2重のリング状突起とし、2重のリング状突起の間に商品搬出装置10,10Aの基板1(1A)の係合溝1a2,1b2、1Aa2,1Ab2を係合させることもできるものである。さらに、実施の形態1の配線ガイド19を用いてダブルで商品搬出装置10,10Aの位置決めを行うものを示しているが、いずれか一方のみで商品搬出装置10,10Aの位置決めを行うことができるものであり、ピン部材P0により商品搬出装置10,10Aの位置決めを行う際には配線ガイドとしては従来のものを援用することができるものである。
前述したように本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品搬出装置によれば、商品収納通路183に商品を横倒し姿勢で整列して収納する商品収納ラック180に搭載された自動販売機の商品搬出装置10(10A)であって、前記商品搬出装置10(10A)は、商品収納通路183の通路幅よりも小さい寸法の狭幅に形成され、かつ、商品収納通路183に通じる開口部11(11A)を有する基板1(1A)と、販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路183に突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路183から退避する退避位置との間を移動可能なように当該基板1(1A)に回動自在に軸支された第1ストッパ部材2(2A)と、販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路183に突出する突出位置と前記商品収納通路から退避する退避位置にとの間を移動可能なように当該基板1(1A)に回動自在に軸支された第2ストッパ部材3(3A)と、前記第1ストッパ部材2(2A)および第2ストッパ部材3(3A)を駆動する駆動手段(モータ駆動ユニット7)有し、第1ストッパ部材2(2A)を退避位置に退避させて販売商品を払い出す一方、第2ストッパ部材3(3A)を退避位置から突出位置に移動させて次販売商品を保持する商品搬出装置10(10A)を備え、当該商品搬出装置10(10A)を商品収納ラック180にピン部材P,Pを介して装着してなり、商品搬出装置10(10A)の下部に沿って引き回される前記駆動手段(モータ駆動ユニット7)の配線Wを保護する配線ガイド19を有してなる自動販売機の商品搬出装置において、前記商品搬出装置10(10A)の装備品(ピン部材P0)により商品搬出装置10(10A)を位置決めしてなることにより、コストの上昇を招くことなく商品搬出装置10(10A)を所定位置に位置決めことができるという利点を有する。
なお、前述した実施の形態1,2においては、サーペンタイン式商品収納ラック180に搭載される商品搬出装置10(10A)について説明したが、当該商品搬出装置10(10A)はスラント式の商品収納ラックにも搭載できるものである。また、商品搬出装置10の駆動手段としてモータ駆動ユニット7を用いたものについて説明したが、背中合わせに抱き合せて用いられる2個の商品搬出装置のそれぞれに駆動手段(ソレノイド)を備えたものでもよいものである。したがって、本発明は実施の形態の構成に限定されるものではない。