JP2017126452A - 固体酸化物形燃料電池用の電極材料とその利用 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用の電極材料とその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】発電性能と様々な条件での接合性とが共に良好なSOFC用の空気極を形成することができる電極材料を提供すること。【解決手段】本発明により、固体酸化物形燃料電池の電極を形成するために用いる電極材料が提供される。この電極材料は、700℃で立方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第1の酸化物粉末と、700℃で菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第2の酸化物粉末と、を含んでいる。第1の酸化物粉末と第2の酸化物粉末との合計に占める第1の酸化物粉末の割合は、0質量%を超えて85質量%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用の電極材料とその利用に関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell,以下、単に「SOFC」という場合がある。)は、種々のタイプの燃料電池の中でも、発電効率が高い、環境への負荷が低い、そして、多様な燃料の使用が可能であるなどの利点を有している。SOFCの単セルは、本質的な構成として、酸素イオン伝導体からなる緻密な層状の固体電解質を基本とし、この固体電解質の一方の面に多孔質構造の空気極(カソード)が形成され、他方の面に多孔質構造の燃料極(アノード)が形成されている。なお、固体電解質と空気極との間には、両者の成分が高温で反応しないよう、反応防止層が設けられることもある。ここで、空気極が形成された側の固体電解質の表面には、空気等に代表されるO(酸素)含有ガスが供給され、燃料極が形成された側の固体電解質の表面には、H(水素)に代表される可燃性燃料ガスが供給される。そして一般的な動作においては、空気中のOガスが空気極で還元されてO2−アニオンとなり、固体電解質を通過して、燃料極においてHガス燃料を酸化するのに伴い電気エネルギーを発生させている。
このようなSOFCの一形態として、アノード支持型のSOFCが挙げられる。アノード支持型のSOFCの典型的な製造方法では、まず、導電性粉末、セラミック粒子および造孔材を含むスラリー状(ペースト状、インク状を包含する。以下同様。)の組成物をドクターブレード法等によって積層することで、比較的厚いアノード支持層用のグリーンシートとする。次いで、このアノード支持層用グリーンシートの上に、固体電解質用のグリーンシートと、必要に応じて反応防止層用のグリーンシートとを印刷または貼り合わせ等により順に形成し、共焼成することで、SOFCのハーフセルを得る。そして、空気極は、構成材用の焼成温度が異なるため、このハーフセルの反応防止層の表面に空気極用のグリーンシートを形成し、焼成することで作製するようにしている。これにより、アノード支持型のSOFCを製造することができる。
特開2014−107063号公報
しかしながら、空気極作製の際の焼成において、基体となるハーフセルは既に焼成されているため焼成収縮は殆ど生じない。したがって、空気極用のグリーンシートが焼成される際に空気極には引張応力が作用し、クラックが発生したり、ハーフセル(典型的には反応防止層または固体電解質層等であり得る。)との界面の接合強度が十分に得られないといった問題が起こり得た。また、SOFCの運転開始および停止に伴うヒートサイクルによって、空気極が剥離したり、空気極にクラックが発生したりする現象が見られ、発電性能が低下する原因となっていた。延いては、SOFCの長期に亘る信頼性が得られないという虞があった。
本発明は上記の従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば、発電性能と様々な条件での接合性とが共に良好なSOFC用の空気極を形成することができる電極材料を提供することである。また、本発明の他の目的は、かかる電極材料を用いてなる空気極と、さらにはかかる空気極を備えたSOFCとを提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明によって、SOFCの電極を形成するために用いることのできる電極材料が提供される。この電極材料は、700℃で立方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第1の酸化物粉末と、700℃で菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第2の酸化物粉末と、を含んでいる。そして、上記第1の酸化物粉末と上記第2の酸化物粉末との合計に占める上記第1の酸化物粉末の割合は、35質量%以上85質量%以下であることを特徴としている。
上記の空気極の剥離やクラック発生の問題は、従来から、主として空気極材料と固体電解質層(反応防止層であり得る。以下同じ。)との間の熱膨張係数の差によるものであると考えられていた(例えば、特許文献1参照)。本発明者は、温度変化を伴わない環境においても空気極の剥離やクラック発生の問題が生じ得ることに着目し、空気極を形成する材料の結晶構造がこれらの問題の原因であり得ると考えた。すなわち、高温(例えばSOFCの作動温度である700℃程度)でも対称性の高い立方晶系を維持する材料は、良好な発電性能を発現し得るものの、酸素分圧の影響で結晶構造が変化して固体電解質層などとの接合性に劣る。一方、例えば、高温では対称性に劣る斜方晶系などの結晶構造をとる材料は、更なる結晶構造の変化が生じ難いため接合性に優れるものの、発電性能は若干劣ってしまう。そこで、ここに開示される技術では、空気極材料としてのペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物粉末について、700℃で立方晶系となるものに対し、700℃で菱面体晶系となるものを組み合わせて用いるようにしている。かかる構成によると、環境雰囲気による結晶構造の変化が抑制されて、接合性が改善されるとともに、長期に亘って良好な発電性能を維持し得る空気極を形成することができる。
ここで開示される電極材料の好ましい一態様において、上記第1の酸化物粉末は、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)およびサマリウムストロンチウムコバルタイト(SSC)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴としている。これらの酸化物を第1の酸化物粉末として用いることで、より良好な発電性能を維持し得る空気極を形成することができる。
ここで開示される電極材料の好ましい一態様において、上記第2の酸化物粉末は、ランタンストロンチウム鉄コバルタイト(LSCF),ランタンストロンチウムフェライト(LSF)およびランタン鉄ニッケラート(LNF)からなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴としている。これらの酸化物を第2の酸化物粉末として用いることで、より良好な発電性能を維持し得る空気極を形成することができる。
他の側面でここに開示される技術が提供する固体酸化物形燃料電池の空気極は、700℃で立方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第1の酸化物相と、700℃で菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第2の酸化物相と、がほぼ均一に分散された多孔質体であることを特徴としている。このような構成によると、接合性が改善され、長期に亘って良好な発電性能を維持し得る空気極が実現される。
ここで開示される空気極の好ましい一態様において、上記第1の酸化物相は、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)およびサマリウムストロンチウムコバルタイト(SSC)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴としている。これらの酸化物により第1の酸化物相が構成されていることで、より良好な発電性能を維持し得る空気極が実現される。
ここで開示される空気極の好ましい一態様において、上記第2の酸化物相は、ランタンストロンチウム鉄コバルタイト(LSCF),ランタンストロンチウムフェライト(LSF)およびランタン鉄ニッケラート(LNF)からなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴としている。これらの酸化物により第2の酸化物相が構成されていることで、より良好な発電性能を維持し得る空気極が実現される。
さらに他の側面でここに開示される技術が提供する固体酸化物形燃料電池は、上記のいずれかの空気極と、燃料極と、上記空気極および上記燃料極との間に配置された固体電解質と、を含むことを特徴としている。上記の空気極は、良好な発電性能を示すと共に、固体電解質との接合性に優れたものであり得る。したがって、SOFCの製造から作動を含む様々な環境において良好な耐久性を備えたものとなり得る。これにより、良好な発電性能と、長期の信頼性(サイクル特性等)とを両立するSOFCが提供される。
本発明の一実施形態に係るアノード支持型のSOFCを模式的に示す断面図である。 ランタンストロンチウムコバルタイトの(a)室温と(b)700℃とにおける結晶構造を例示したモデル図である。 ランタンストロンチウムコバルタイトの(a)室温と(b)700℃とにおけるX線回折分析の結果を例示した図である。 一実施形態におけるランタンストロンチウムコバルタイトの700℃におけるX線回折分析の結果を例示した図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される電極材料は、本質的に、上記第1の酸化物粉末と、上記第2の酸化物粉末と、を含んでいる。この第1の酸化物粉末は、700℃で立方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有することにより特徴づけられる。また、第2の酸化物粉末は、700℃で菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有することにより特徴づけられる。これらの酸化物粉末以外の、他の構成成分の内容や組成等については、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の基準に照らして含有することができる。
ここに開示される技術において、ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物粉末は、一般式:ABO3‐δで示される結晶構造を有している。ここで、AおよびBは金属元素であり、典型的には、Aはアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類元素等であり得る。また、Bは3価以上のイオンになり得る遷移金属、典型金属および希土類元素等であり得る。
ここに開示されるペロブスカイト型酸化物においては、特に制限されるものではないが、このAサイトに、ストロンチウム(Sr)、サマリウム(Sm)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)からなる群から選択される1種または2種以上の元素Aeと共に、ランタノイド元素(Ln)から選択される1種または2種以上の元素Lnが含まれていることが好ましい。ランタノイド元素(Ln)は、原子番号57のランタン(La)から原子番号71のルテチウム(Lu)までの15種の元素とすることができる。このランタノイド元素としては、より具体的には、例えば、ランタン(La),サマリウム(Sm),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd)等の比較的イオン半径の大きな元素であることが好ましい。中でも、かかるランタノイド元素がLaおよび/またはSmであると、より安定した結晶構造を構成し得るために好ましい。
なお、Aサイトにランタノイド元素Lnと元素Aeとが含まれる場合、両者の合計に占める元素Aeの比は、特に制限されるものではないが、0.1以上0.9以下程度の範囲とするのが適当であり、好ましくは0.1以上0.5以下とすることができる。
また、ここに開示されるペロブスカイト型酸化物においては、特に制限されるものではないが、このBサイトに、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)および鉄(Fe)からなる群から選択される1種または2種以上が含まれているのが好ましい。なお、これらのペロブスカイト型酸化物は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、上記に例示した以外の元素が含まれていても良い。
このようにペロブスカイト型酸化物がBサイトに遷移金属元素を含むことで、かかる遷移金属イオンのd電子が被局在化するために高い電気伝導性を示し得る。また、Bサイトに遷移金属が含まれるため、周辺環境により遷移金属のイオンの価数が変化し得、例えば、高温の還元雰囲気下では酸素の量が減じて空孔(酸素欠陥)が形成され得る。また、AサイトおよびBサイトの金属のイオンの価数の和が意図的に+6からわずかに減少されることによっても酸素欠陥が導入され得る。このように酸素欠陥が導入されたペロブスカイト型酸化物は、酸素欠陥を介して酸素イオンが速やかに動く酸素イオン導電体ともなり得る。このようなペロブスカイト型酸化物を主体とする電極材料は、例えば、SOFCの電極材料(特に空気極材料)として有用な材料であり得る。
なお、上記式中のδは、かかるペロブスカイト型の酸化物における電荷中性条件を満たすように定まる値である。即ち、δは、ABO3‐δで表されるペロブスカイト型構造における酸素欠陥量を示すものと理解できる。このδは、ペロブスカイト型構造の一部を置換する原子の種類、置換割合の他、環境条件等により変動するため正確に表示することは困難である。このため、酸素原子数を決定する変数であるδは、典型的には1を超えない正の数(0≦δ<1)を採用し、(3−δ)と表示している。ただし、本明細書では、便宜上δを省略して記載する場合もあり、そのような場合においても異なる化合物を表すものではない。即ち、上記一般式中の(3−δ)は、本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
(第1の酸化物粉末)
そして第1の酸化物粉末は、700℃において結晶構造が立方晶系に属するペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物からなることを特徴としている。立方晶は、結晶格子が4本の3回軸を有し、7つの結晶系の中で最も対称性が高い。単位胞の軸と角は、理想的には、a1=a2=a3=aかつα=β=γ=90°を満たす。このような立方晶系のペロブスカイト型酸化物では、酸素原子はBサイト原子と共にBO酸素八面体を構成し、頂点共有により三次元ネットワークを形成している。またAサイト原子は、BO酸素八面体のネットワークの空隙に充填された構造を有する。酸素原子Oは立方晶の各面心に位置している。
ここで、ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物は、酸素欠陥を介して酸素イオンが速やかに動くことから、良好な酸素イオン−電子混合導電性を示し得る。この混合導電性は、例えばメタン/空気等の高い酸素分圧差におかれた該酸化物において、酸素欠陥に基づく酸素イオンの移動と電子伝導が互いに逆方向に生じる現象である。この混合導電性は、酸素分圧差のみが駆動源となる点で、発電性能に優れる。しかしながら、700℃の高温環境で立方晶系を有する酸化物は、良好な酸素イオン−電子混合導電性を示し得る反面、例えば、SOFCの運転環境等により酸素分圧が変動した場合に、単位胞から酸素イオンが容易に離脱し得る。つまり、酸素分圧の変動により結晶構造が変化(相転移)し、酸素イオン−電子混合導電性が低下し得る。そして、この結晶構造の変化に伴い、体積変化を生じたり、界面状態に影響を与えたりし得る。したがって、酸素分圧の変動が生じ得るSOFCの空気極の電極材料として700℃で立方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物のみを用いるのは、相転移に基づく酸素イオン−電子混合導電性の低下や、界面の整合性に変化をもたらし得るために好ましくない。
(第2の酸化物)
かかる観点から、ここに開示される電極材料は、第2の酸化物粉末として、700℃で菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物の粉末を含むようにしている。ペロブスカイト型結晶構造において、BO酸素八面体の向きは、Bサイト原子との相互作用により容易に歪み、また、AサイトおよびBサイトの陽イオンの組み合わせや配合に応じて、極めて多様な構造相転移を示し得る。ここで、菱面体晶は、1つの3回軸(3回回転軸または3回回反軸)を有し、理想的には、a=b≠c、α=β=90°かつγ=120°(すなわち、三方晶であり得る。)を満たす。より特徴的には、a1=a2=a3=aかつα=β=γ≠90°を満たす菱面体格子を基本としたものであることが好ましい。この菱面体晶は、7つの結晶系の中で比較的対称性が低く、700℃の高温においても酸素離脱が起きにくい。また、結晶構造の変化に基づく界面状態の変化も生じ難い。したがって、この第2の酸化物粉末は、700℃において立方晶系の結晶構造を安定化させる、換言すると、上記の第1の酸化物粉末の特性を相補する役割を担う。
なお、菱面体晶系よりも対称性が低い結晶構造としては、六方晶系、斜方晶系、単斜晶系、三斜晶系等が知られている。これらの結晶系を有するペロブスカイト型の酸化物については、もともと対称性が低いことから、たとえ酸素分圧の低い環境におかれても酸素離脱が起きにくく体積変化も生じ難い。しかしながら、このようなペロブスカイト型の酸化物については、第2の酸化物粉末として用いた場合に酸素イオン−電子混合導電性が低く、SOFCの発電性能が著しく低下され得るために好ましくない。
また、立方晶系よりも対称性が低く菱面体晶系よりも対称性が高い結晶構造としては、正方晶系が知られている。正方晶系のペロブスカイト型酸化物は、立方晶系のペロブスカイト型酸化物より酸素イオン−電子混合導電性が低いものの、酸素分圧の低い環境下では酸素離脱が生じ易く、菱面体晶系のペロブスカイト型酸化物に比べて第1の酸化物粉末の構造安定性を高める機能が十分でないといえる。
以上のことから、ここに開示される技術において、第2の酸化物粉末が700℃で菱面体晶系の結晶構造を有することが欠かせない。
なお、本明細書において、第1の酸化物粉末が「立方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する」とは、当該酸化物粉末の主相が7つの結晶系のうち立方晶に属することを意味する。具体的には、当該酸化物粉末の70モル%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、例えば実質的に100モル%)が立方晶系に帰属されることを意味する。同様に、第2の酸化物粉末が「菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する」とは、当該酸化物粉末の70モル%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、例えば実質的に100モル%)が菱面体晶系に帰属されることを意味する。
また、ペロブスカイト型の結晶構造は、理想的には、常温で立方晶系の単位格子を有しており、立方晶の各頂点にAサイト元素が、体心にBサイト元素が、そしてBサイト元素を中心として、酸素が立方晶の各面心に配置している。そして、酸素とBサイト元素から成る酸素八面体の向きがAサイト元素との相互作用により容易に歪むことから、より対称性の低い結晶構造に変化していることが知られている。このようなペロブスカイト型酸化物は、環境温度によっても結晶構造が転移する。例えば、図2(a)および(b)に、AサイトにLaとSrとを含み、BサイトにCoを有するランタンストロンチウムコバルタイト((La,Sr)CoO;LSC)の結晶構造モデルを示した。図2(a)に示すように、LSCは室温では菱面体晶(R−3c)に属する構造を有するが、図2(b)に示すように、700℃においては立方晶(pm−3m)に相転移する。本出願においては、SOFCの運転温度の影響を考慮して、700℃における結晶構造について評価するようにしている。ペロブスカイト型酸化物の700℃における結晶構造は、当該酸化物を700℃の環境で、放射光を用いた分析X線回折(XRD)分析した結果から、7つの結晶系の何れに帰属されるのかを解析することにより把握することができる。XRD分析には、例えば、強度が12.4〜60eV程度のX線を用いることが好ましい。また、結晶構造解析は、例えば、リートベルト法に基づき実施することが好ましい。
本明細書における各酸化物の結晶構造は、下記の実施例に示すXRD分析に基づく解析結果を採用している。
(電極材料)
以上の第1の酸化物粉末と第2の酸化物粉末とを含むことで、ここに開示される電極材料が実現される。これらの粉末は、互いの結晶構造や特性を相補的に補い合うために、略均一に混合、分散されていることが好ましい。かかる分散の度合いは特に制限されない。例えば、ジェットミル、プラネタリーミル等の非媒体型分散機や、ボールミル等の媒体型分散機を用いた一般的な混合手法による混合で達成できる程度とすることができる。
なお、特に制限されるものではないが、第1の酸化物粉末の好ましい一態様として、例えば、具体的には、ランタンストロンチウムコバルタイト(LaSr1−xCoO3−δ;LSC)およびサマリウムストロンチウムコバルタイト(SmSr1−xCoO3−δ;SSC)等として示される組成のものが挙げられる。なお、第1の酸化物における式中のxは、典型的には0≦x≦1を満たし得るが、Aサイト元素およびBサイト元素の組み合わせにより変化し得る。例えば、0.1≦x≦0.9が好ましく、0.2≦x≦0.8がより好ましく、0.4≦x≦0.8が特に好ましい。
また、第2の酸化物粉末の好ましい一態様として、例えば、具体的には、ランタンストロンチウム鉄コバルタイト(LaSr1−xCoFe1−y3−δ;LSCF),ランタンストロンチウムフェライト(LaSr1−xFeO3−δ;LSF)、ランタン鉄ニッケラート(LaNiFe1−y3−δ;LNF)、およびランタンストロンチウムマンガナイト(LaSr1−xMnO3−δ;LSM)等として示される組成のものが挙げられる。なお、第2の酸化物における式中のx,yは、典型的には0≦x≦1,0≦y≦1を満たし得るが、各組成におけるAサイト元素およびBサイト元素の組み合わせにより変化し得る。例えば、LSCFについては、0.1≦x≦1が好ましく、0.2≦x≦1がより好ましく、また、0≦y≦0.8が好ましく、0≦y≦0.6がより好ましい。また例えば、LSFについては、0.1≦x≦1が好ましく、0.2≦x≦1がより好ましい。さらに、例えば、LNFについては、0.3≦y≦1が好ましく、0.5≦y≦1がより好ましい。例えば、LSMについては、0.3≦x≦1が好ましく、0.5≦x≦1がより好ましい。
なお、これらの酸化物粉末は、本発明の本質から逸脱しない限りにおいて、上記に例示されていない他の元素(例えば、少なくとも1種の遷移金属元素等)を含み得ることは、当業者であれば理解し得る。また、本明細書においては、上記に示したように、本技術分野における慣習に倣って、ペロブスカイト型酸化物の酸素(O)以外の構成元素の頭文字を表記することにより、例えば、La1−xSrCo1−yFe3−δを、単に、「LSCF」のように省略して表記する場合がある。そして特に、Aサイト元素およびBサイト元素の元素割合をそれぞれ明示するために、それらの元素比を付記して、例えば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83-δを、単に、「LSCF6428」のように省略して表記する場合がある。
以上の第1の酸化物粉末および第2の酸化物粉末の外形については特に限定されない。典型的には、粉末形態のものが扱いやすいことから好ましく用いられる。かかる粉末の形態は、代表的には、略球状であるが、いわゆる真球状のものに限られない。球状以外には、例えば、フレーク形状や破砕形状、造粒形状、不規則形状のものであっても良い。また、第1および第2の酸化物粉末の粒径(平均粒子径)についても特に制限されない。これら第1および第2の酸化物粉末の粒径は、各々の酸化物粉末の製造方法や、粒度調整の手法等により適宜調整することができる。これらの酸化物粉末の平均粒子径としては、例えば、20μm以下であるものが適当であり、好ましくは0.01μm以上10μm以下であり、より好ましくは0.3μm以上5μm以下であり、例えば2μm±1μmである。なお、ここでいう複合粒子の平均粒子径とは、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;以下、D50と略記する場合もある。)を意味する。
また、第1の酸化物粉末および第2の酸化物粉末の配合割合については厳密には限定されないものの、概ね第1の酸化物粉末の割合は、両者の総量に対して35質量%以上85質量%以下とすることを目安にすることができる。これら第一の酸化物粉末および第2の酸化物粉末の配合割合は、より好ましくは、各々の酸化物を混合して電極を形成した場合に、酸素イオン−電子混合導電性と結晶構造安定性とのバランスが所望の範囲となるように決定することができる。両者の総量に対する第1の酸化物粉末の割合は、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上が特に好ましい。また、両者の総量に対する第1の酸化物粉末の割合は、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が特に好ましい。
以上の電極材料は、上記の第1の酸化物粉末および第2の酸化物粉末をそのままで、あるいは焼結助剤、気孔形成材等の添加剤と共に、所望の形態に成形して焼成することで、目的の電極を作製することができる。かかる成形に際しては、例えば、粉末状の電極材料をそのまま成形してもよいし、あるいは、第1および第2の酸化物粉末を分散媒中に分散したペースト(インク、スラリーなどを包含する)の形態に調製して用いるようにしても良い。すなわち、ここに開示される電極材料は、実質的に電極を構成する成分以外の成分として、例えば、上記の第1および第2の酸化物粉末を分散し得る分散媒を含んでいても良い。
このような分散媒としては、ここに開示される第1および第2の酸化物粉末を良好に分散させ得るものであればよく、従来のこの種のペーストに用いられている各種の分散媒を特に制限なく使用することができる。典型的には、分散媒としては、ビヒクルと、粘度調整のための有機溶媒との混合物を考慮することができる。有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体(グリコールエーテル系溶剤)、トルエン、キシレン、ブチルカルビトール(BC)、ターピネオール等の高沸点有機溶剤の1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。また、ビヒクルは、有機バインダとして種々の樹脂成分を含むことができる。樹脂成分としては、ペーストを調製するのに良好な粘性および塗膜形成能(例えば、印刷性や、基板に対する付着性等を含む。)を付与し得るものであればよく、従来のこの種のペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ロジン樹脂等を主体とするものが挙げられる。このうち、特にエチルセルロース等のセルロース系高分子が含まれているのが好ましい。なお、分散媒には、分散剤や可塑剤等のこの種の分散媒に一般的に使用され得る任意の添加剤が含まれていても良い。
分散媒を含む電極材料における分散媒の割合は、当該電極材料の使用目的などに応じて適宜調整することができる。例えば、SOFCの電極およびその他の構成部材の形態や、その成形に採用する手法等に応じて、適宜調整することができる。具体的には、例えば、かかるペースト状の形態の電極材料は、印刷等の手法により上記のSOFCの構成部材を形成するのに好ましく用いることができる。より具体的には、スクリーン印刷やドクターブレード法等の手法により、SOFCの空気極用のグリーンシート(未焼成段階の成形体)を成形する場合を例にすると、この分散媒が、ペースト全体(すなわち、第1および第2の酸化物粉末と分散媒との合計)に占める割合は、5質量%以上60質量%以下程度とすることができ、好ましくは7質量%以上50質量%以下程度、より好ましくは10質量%以上40質量%以下程度である。また、ビヒクルに含まれる有機バインダは、例えば、ペースト全体の1質量%以上15質量%以下程度、好ましくは1質量%以上10質量%以下程度、より好ましくは1質量%以上7質量%以下程度の割合とすることが例示される。このような構成とすることで、例えば、粉末状の電極材料を均一な厚さの層状体(例えば、塗膜)として形成(塗布)し易く、取扱いが容易であり、さらにかかる成形体から溶媒を除去するのに長時間を要することがないために好適である。特に、薄層化が進められるSOFCの空気極のグリーンシートを好適に形成することができる。
なお、ペースト状に調製するに際し、第1および第2の酸化物粉末と分散媒との混合には、例えば、公知の三本ロールミル等を用いることができる。ペースト状の電極材料は、所望の用途に応じて適切な粘度に調整することにより、塗布または印刷等の形態で電極材料を所望の位置に所望の形態にて簡便に供給することが可能となる。例えば、極精密に寸法が管理されたSOFCの空気極や、複雑な形状の部位を有するインターコネクタ等の用途の成形体を簡便かつ好適に成形することができる。なお、ここに開示される電極材料でSOFCの空気極を形成する場合、空気極の全体をかかる電極材料で構成しても良いし、その一部のみ(例えば、空気極のうち、電解質層又は反応防止層と接する表面を含む一部)をここに開示される空気材料で構成するようにしても良い。ここに開示される電極材料は、粉末状のものを所定の形態に造粒したり、圧縮成形したりする等して成形体(例えば、所望の粒径の造粒体や、所望の形状のペレット)として用いることもできる。
上記のようにして準備した電極材料の成形体は、従来のこの種の構成部材と同様に焼成することができる。この場合の焼成温度は、例えば1000℃〜1400℃程度とすることができる。ただし、かかる焼成を、他の構成部材の焼成と同時に行う場合等には、焼成温度を適宜変更することができる。これによって、例えば、SOFCの空気極や集電体等の、所望のSOFCの構成部材を作製することができる。
このようにして形成される空気極は、典型的には、第1の酸化物粉末と第2の酸化物粉末とが焼結された多孔質体であり得る。したがって、この多孔質体は、第1の酸化物粉末に由来する第1の酸化物相と、第2の酸化物粉末に由来する第2の酸化物相とがほぼ均一に分散されたものであり得る。ここで、第1の酸化物相は、700℃で立方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有し、第2の酸化物相は、700℃で菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する。したがって、この空気極は、例えば700℃程度の温度域において高い酸素イオン−電子混合導電性を示し得る。そしてさらに、結晶構造が安定化されており、例えば固体電解質層(あるいは反応防止層)等のとの界面における接合性が改善されてもいる。したがって、この空気極材料を備えるSOFCは、700℃程度の高温において、電極(空気極)/電解質/気相(酸素含有ガス)が接する三相界面が長期に亘って安定化され、高い発電性能を維持し得るために好ましい。すなわち、このような空気極を備えるSOFCは、高性能で長期耐久性(信頼性)に優れたものであり得る
また、SOFCの単セル同士を接続する集電体は、SOFCの燃料極と空気極とを仕切る隔壁としての役目も併せ持っていることから、高い電気導電性に加え、高温での酸化性雰囲気および還元性雰囲気の両方に対して耐性を備えていることが求められる。ここに開示される電極材料は、酸素分圧が変化する環境においても結晶構造が安定化されて良好な混合導電性を示し得ることから、このようなSOFCの集電体用の材料としても好ましく用いることができる。さらには、この集電体と、空気極とを接合するための接合材料としても好ましく用いることができる。なお、本明細書でいう集電体とは、SOFCにおいては、インターコネクタ、セパレータなどとも呼ばれる構成部材を包含し得る。
(SOFC)
図1は、好適な一実施形態としてのSOFC10を備えた発電システムの一部を模式的に示した断面構成図である。この図1を参照しながら、ここに開示される電極材料や、空気極20、およびこの空気極20を備えるSOFC10について、より詳細に説明する。なお、この図は模式的に描かれており、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を厳密に反映するものではない。
ここに開示される技術により提供されるSOFC10は、本質的には、燃料極(アノード)40と固体電解質30と空気極(カソード)20とを備えている。この図に示されたSOFC10は、アノード支持型のSOFCであり、支持体となる円筒型の燃料極40の表面の少なくとも一部に(膜状の)固体電解質30が形成され、この固体電解質30の表面上に薄板状あるいはシート状の空気極(カソード)20が積層された構造を有している。この例では図示されていないが、空気極20と固体電解質30との間に、両者の反応を防止する反応防止層が備えられていてもよい。
なお、SOFC10は、アノード支持型に限定されることなく、例えば基体を空気極(カソード支持型)、固体電解質(固体電解質支持型)等とすることができる。また、SOFC10の形態は、この図に例示された円筒型に限定されることなく、従来公知の平板型(Planar)や、一体積層型(MOLB型)、縦縞円筒型(Tubular)、あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒型(Flat tubular)等の種々の形態であってよい。また、ここに開示される電極材料を用いた電極(典型的には空気極20)は、形状やサイズは特に限定されない。
そして、燃料極40は、その端部42と燃料ガスを供給するガス管60の接合面とが、接続部材50によって接合され、気体が流出又は流入しないように気密に封止されている。燃料ガスとしては、典型的には、水素(H)または炭化水素(例えばメタン;CH)が使用される。また、空気極20は、酸素(O)を含む気体(典型的には空気)に曝されるよう、典型的には外気に露出した構造となるよう構成されている。
このようなSOFC10においては、空気極20の一方の表面に酸素を供給して酸素濃度の勾配を与えると、空気極20において酸素含有ガス(典型的には空気)中の酸素が、酸素イオン(O2−)となる。この酸素イオンは、空気極20から固体電解質30を介して燃料極40に供給される。そして該燃料極40において、燃料ガスと反応して水(HO)を生成し、外部負荷に電子を放出することにより、発電が行われる。
ここで、SOFC10を構成する燃料極40は多孔質構造を有している。燃料極40の形状は、SOFC10に供給される燃料ガスに接触できるように構成されていればよく、上述したSOFCの形状に応じて適宜選択し得る。図1に示す構成のSOFC10は、いわゆるアノード支持型であるため、比較的厚く形成された薄板状あるいはシート状の燃料極40がSOFC10の支持体として形成されている。なお、図示しないが、燃料極40部分を、アノード支持体部分と燃料極(アノード)とに分けて形成するようにしても良い。上記支持体としての燃料極40の厚み(全体)は、取扱い性、耐久性、熱膨張率等を考慮して設定することが好ましい。典型的には0.1mm〜10mm程度であり、好ましくは0.5mm〜5mm程度であるが、かかる厚みに限定されるものではない。
燃料極40を構成する材料としては、従来からSOFCに用いられている材料の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)その他の白金族元素、コバルト(Co)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)等からなる金属および/またはこれらの金属元素のうちの1種類以上から構成される金属酸化物が挙げられる。具体例として、Ni、Co、Ru等の白金族元素からなる、金属や金属酸化物が挙げられる。例えば、Niは他の金属に比べて安価であり、且つ水素等の燃料ガスとの反応性が十分に大きいことから特に好適な金属種である。また、これらの金属や金属酸化物を混合した複合物を用いることもできる。さらに、例えば、上記燃料極構成材料(金属や金属酸化物)と、後述する固体電解質構成材料との複合物を用いることもできる。具体的には、例えばニッケル(Ni)またはルテニウム(Ru)と、安定化ジルコニア(例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)等)とのサーメットが好適例として挙げられる。この場合、特に限定するものではないが、例えば上記燃料極構成材料と後述する固体電解質構成材料との混合比率(質量比)が、およそ90:10〜40:60(より好ましくは、およそ80:20〜45:55)の範囲にあることが好適である。
ここで開示されるSOFC10を構成する固体電解質30は緻密構造を有している。固体電解質30は、上記燃料極40の上に積層されており、燃料極40の形状に応じてその形状を適宜変更することができる。また、固体電解質30の膜厚は、固体電解質層の緻密性が維持される程度に厚くする一方、SOFCとして好ましい酸素イオン伝導度を供し得る程度に薄くなるよう、両者をバランスさせて厚さ寸法を設定することが好ましい。固体電解質30の厚みは、典型的には0.1μm〜50μm程度であり、好ましくは1μm〜40μm程度であり、より好ましくは5μm〜20μm程度であるが、このような膜厚に限定されるものではない。
固体電解質30を構成する材料としては、従来からSOFCに用いられているこの種の材料の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、高い酸素イオン伝導性を有する化合物が好ましく用いることができ、具体的には、例えば、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、マグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、カルシウム(Ca)、ガドリニウム(Gd)、サマリウム(Sm)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)等のうちから選択される元素を含む酸化物であることが好ましい。具体的には、結晶構造を安定化させる目的の安定化剤(例えば、イットリア(Y)、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb)、エルビア(Er))をドープしたジルコニア(ZrO)や、安定化剤(例えば、ガドリニア(Gd)、ランタニア(La)、サマリア(Sm)、イットリア(Y))をドープしたセリウム酸化物(CeO)が、好適例として挙げられる。例えば、イットリウム(Y)の酸化物(例えば、イットリア(Y))をドープしたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)や、スカンジウム(Sc)の酸化物(例えばスカンジア(Sc))をドープしたスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)等を好ましく用いることができる。
ここで開示されるSOFCを構成する空気極(カソード)20は、上記燃料極40と同様に多孔質構造を有している。空気極20は、上記固体電解質30の上に積層されており、固体電解質30の形状に応じてその形状を適宜変更することができる。空気極20の厚みは、典型的には1μm〜200μm程度であり、好ましくは5μm〜100μm程度、より好ましくは10μm〜100μmであるが、かかる厚みに限定されるものではない。空気極20は、ここで開示されるいずれかの電極材料により好適に作製することができる。
この電極材料により構成される空気極では、酸素イオン−電子混合導電性と結晶構造安定性が両立されているため、このような空気極を備えたSOFCは、製造時に空気極が剥離・破損したり、繰り返しのヒートサイクルで空気極が剥離・破損したりすることが抑制され得る。すなわち、優れた酸素イオン−電子混合導電性と接合性とを両立するものであり得る。したがって、このようにして構成されるSOFCは、長期の使用に際しても、高い発電性能(例えば、作動温度700℃で、0.35W/cm以上の電力密度)を発揮し得る。なお、電力密度の測定条件については、後述する実施例において詳細に述べる。
また、特に図示していないが、複数のSOFC(単セル)10を接続した形態のセルスタックにおいては、隣接するセル同士を集電体により連結している。この集電体は、SOFCの燃料極40と空気極20とを仕切る隔壁としての役目も併せ持っていることから、高い電気導電性に加え、高温での酸化性雰囲気および還元性雰囲気の両方に対して耐性を備えていることが求められる。このようなSOFC10の集電体用の材料としても、ここに開示される電極材料を好ましく用いることができる。さらには、この集電体と、空気極とを気密に接合するための接合材料(接合ペースト)としても好ましく用いることができる。
以下、本発明に関する幾つかの試験例を説明するが、本発明をこれら試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
(試験例1)
[電極材料の用意]
下記の表1に示す組成を有するペロブスカイト型酸化物を固相法により調製した。具体的には、出発原料としてLa,SrCO,Sm(CO,Co,Fe,NiOおよびTiOを用い、これらを化学量論比で湿式混合した後、大気雰囲気中、1100℃〜1400℃で焼成し、得られた焼成物を、ボールミルを用いて粉砕し、粒度を調整(平均粒子径0.1μm〜5.0μm)することで、目的の組成のペロブスカイト型酸化物を用意した。なお、原料粉末には、いずれも純度99.9%以上の高純度試薬を用い、不純物の混入は極力回避するようにした。以下、ペロブスカイト型酸化物の組成は、表1に示した略号を使用して示す場合がある。
[結晶構造の同定]
用意したペロブスカイト型酸化物の700℃における結晶構造を確認した。具体的には、先ず、Spring−8のビームラインBL19B2において、各ペロブスカイト型酸化物の粉末X線回折分析を行った。分析条件は、試料室を700℃の大気雰囲気に設定し、X線の入射エネルギー31keV、波長0.4Åとし、検出器にはシンチレーションカウンターを用いた。また、結晶構造解析には、リートベルト解析プログラムRIETAN−FP用いた。解析には、結晶構造モデルを以下のように仮定し、リートベルト法に基づきカーブフィッティングすることで、700℃における各ペロブスカイト型酸化物の結晶構造を同定した。その結果を、表1に併せて示した。なお、参考のために、表1中でLSC(後述の例1に相当)として示したペロブスカイト型酸化物について得られたX線回折パターンを図4に示した。
立方晶ペロブスカイト(空間群:Pm-3m)
正方晶ペロブスカイト(空間群:P4mm)
菱面体晶ペロブスカイト(空間群:R3m)
斜方晶ペロブスカイト(空間群:Bmm2)
単斜晶ペロブスカイト(空間群:Cm、Pbnm)
六方晶ペロブスカイト(空間群:P63/mmc)
なお、表1には、参考のため、各ペロブスカイト型酸化物について、上記と同様の条件で室温において測定したXRD分析結果に基づき解析した結晶構造も併せて示した。室温の結晶構造に沿えた空間群は、下記の700℃の場合と同じ晶系であっても異なる空間群に属する場合について示したものである。また、各ペロブスカイト型酸化物の結晶相はいずれも単相であった。
参考のために、図3(a)および(b)に、LSCについて室温と700℃とで測定した広角X線回折強度プロファイル(2θ=5〜40°)をそれぞれ示した。また、回折強度プロファイルの下方には、検出された回折強度ピークの位置と、リートベルト法に基づきフィッティングを行ったときの実測値とシミュレーション結果との誤差とを示した。このLSCように、本試験例では、全てのペロブスカイト型酸化物について精度よく結晶構造の確認が行えた。
[評価用のSOFCセルの作製]
上記で用意したペロブスカイト型酸化物を第1の酸化物または第2の酸化物として用い、下記の表2に示す組み合わせで混合することで、例1〜14のSOFCの空気極用材料を用意した。また、例1〜3は第1の酸化物を単独で、例4〜14は、第1の酸化物と第2の酸化物とは、質量比で、70:30の割合で混合して用いた。なお、例4は、第2の酸化物として、セリア(CeO)に10モル%のガドリニウムをドープしたガドリニウムドープセリア(GDC)を用いた。このGDCは、700℃における結晶構造が立方晶である。次いで、これらの電極材料を用い、以下の手順で、評価用のSOFCセルを作製した。
すなわち、まず、酸化ニッケル(NiO,平均粒子径0.5μm)粉末と、8%イットリア安定化ジルコニア(8%YSZ,平均粒子径0.5μm)粉末とを、60:40の質量比で混合することで、燃料極支持体用材料を用意した。そして、この燃料極支持体用材料と、気孔形成材(炭素成分)、有機バインダ(ポリビニルブチラール;PVB)、可塑剤および溶媒(キシレン)とを、順に58:5:8.5:4.5:24の質量比で混練することにより、ペースト状の燃料極支持体形成用組成物を調製した。次いで、この燃料極支持体形成用組成物をキャリアシート上にドクターブレード法によりシート状に塗布し、乾燥させて、厚みが0.5〜1mmの燃料極支持体グリーンシートを形成した。
次に、上記と同じ、酸化ニッケル粉末と、8%YSZ粉末と、溶媒(α−テルピネオール;TE)およびバインダ(エチルセルロース;EC)とを、48:32:18:2の質量比で混合することで、燃料極形成用組成物を調製した。次いで、この燃料極形成用組成物を上記燃料極支持体グリーンシート上にスクリーン印刷法により供給し、乾燥させて、厚みが約10μmの燃料極グリーンシートを形成した。
固体電解質材料として、上記と同じ8%YSZ粉末と、バインダ(EC)と、溶媒(TE)とを、65:4:31の質量比で混練することにより、ペースト状の固体電解質層形成用組成物を調製した。これを上記燃料極グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、厚みが約10μmの固体電解質層グリーンシートを形成した。
また、反応防止層材料として、平均粒子径0.5μmの10%ガドリニウムドープセリア(10GDC)粉末と、バインダ(EC)と、溶媒(TE)とを、65:4:31の質量比で混練することにより、ペースト状の反応防止層用組成物を調製した。これを上記固体電解質層グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、厚みが約5μmの反応防止層グリーンシートを形成した。
このようにして用意した積層グリーンシートを、1350℃で共焼成することで、SOFCのハーフセルを得た。なお、ハーフセルの形状は、直径20mmの円板形とした。
次いで、空気極材料として、上記で用意した例1〜14の電極材料を用い、空気極形成用組成物を調製した。すなわち、各電極材料と、バインダ(EC)と、溶媒(TE)とを、80:3:17の質量比で混練することにより、ペースト状の空気極形成用組成物を得た。これを上記で用意したSOFCのハーフセルの上にスクリーン印刷法によって円形シート状に供給することで、空気極層グリーンシートを形成した。次いで、これを1100℃で焼成して空気極を焼成し、例1〜14の評価用のSOFCを得た。なお、空気極の寸法は、直径10mm、厚み約30μmとした。
そして、このように得られた評価用のSOFCについて、焼成時接合性,テープ剥離試験,ヒートサイクル時接合性,高温O2分圧変化時接合性,発電性能および劣化率について、以下に示す手順で評価した。
[焼成時接合性]
例1〜14のSOFCの製造において、ハーフセルに形成した空気極層グリーンシートを焼き付けたときの、空気極の接合性を目視で評価した。具体的には、目視で焼成後に空気極がハーフセルから剥離しているのを確認できた場合を「×」、一部剥離していた場合を「△」、剥離なしの場合を「○」、剥離なしでさらにマイクロクラックの発生が認められない場合を「◎」とした。その結果を、表2に示した。
[テープ剥離試験]
例1〜14のSOFCの空気極の接着性を、接着テープを用いた剥離試験により評価した。具体的には、JIS Z0237に準じて、空気極の表面に接着テープ(粘着力2.2N/mm)を貼り付け、180°の方向に引きはがすことで、空気極の剥離の有無を確認した。結果は、反応防止層と空気極との界面で全面剥離した場合を「×」、部分剥離した場合を「△」、剥離が認められなかった場合を「○」、接着テープに付着物および変色がなかった場合を「◎」として、表2に示した。
[ヒートサイクル時接合性]
上記例1〜14のSOFCを、200℃〜700℃の間を200℃/hで加熱および冷却するヒートサイクルを10回繰り返した後、空気極の接合性を評価した。具体的には、外観を目視で観察し、クラックや剥離の発生の有無を調べた。結果は、目視でクラックや剥離の発生が認められた場合を「有」、認められなかった場合を「無」として、表2に示した。なお、「−」は、ヒートサイクル前に空気極の剥離が目視で確認できたため、試験を実施しなかったことを示す。
[高温O分圧変化時接合性]
例1〜14のSOFCを、4%の水素を含む窒素(N)を導入した700℃の空気雰囲気中に1時間静置したのち、室温の大気雰囲気に戻し、空気極の接合性を評価した。具体的には、焼成後に空気極がハーフセルから剥離していた場合を「×」、一部剥離していた場合を「△」、剥離なしの場合を「○」、剥離なしでさらにマイクロクラックの発生が認められない場合を「◎」とした。その結果を、表2に示した。
[発電性能]
例1〜14のSOFCを下記の条件で運転させた際の電力密度を測定し、出力密度(W/cm)を発電性能として、表2の「発電性能」の欄に示した。なお、同欄の「−」は、空気極の剥離が目視で確認できたため、試験を実施しなかったことを示す。
燃料極供給ガス:水素ガス(50ml/min)
空気極供給ガス:空気(100ml/min)
運転温度:700℃
[劣化率]
例1〜14のSOFCを、上記の発電性能の評価と同じ条件で100時間連続運転した前後でのセルの電圧の変化を測定し、下記式に基づき電圧劣化率を算出して、表2の「劣化率」の欄に示した。なお、同欄の「−」は、空気極の剥離が目視で確認できたため、試験を実施しなかったことを示す。また、セル電圧の測定に際しては、SOFCの連続運転の開始直後のセル電圧を「運転開始直後の電圧」とし、さらに100時間後のセル電圧を「100時間後の電圧」とした。
電圧劣化率(%)=(運転開始直後の電圧−100時間後の電圧)÷運転開始直後の電圧×100
[評価]
例1〜3は、LSC,LSCF6428およびSSCを単独で用いて空気極を作成したものである。これらのSOFCの空気極は、焼成時、テープ剥離試験後、ヒートサイクル時、高温酸素分圧変化時のいずれにおいても反応防止層との接合性があまり良好ではなかった。例3のSOFCについては焼成により空気極が剥離してしまうことが確認できた。また、焼成後の空気極の剥離がなかった例1〜2のSOFCであっても空気極の接合性は良好ではなく、その結果、発電性能は0.33W/cm以下と低く、劣化率は0.21%以上と高くなってしまうことがわかった。
例4〜14は、2種以上の酸化物を用いて空気極を作成したものである。LSCとGDCとを用いた例4では、SOFCの発電性能が0.37W/cmとやや低く、劣化率も0.21%と高めの値となってしまうことが確認された。立方晶と菱面体晶のペロブスカイト型酸化物を混合した電極材料を用いた例7〜9、13のSOFCについては、空気極と反応防止層との接合性が良好で、0.40W/cm以上の高い発電性能を実現するとともに、劣化率も0.20%以下と低いことがわかった。この場合、立方晶のペロブスカイト型酸化物はその組成は特定ものに限定されず、LSC,SSC等であってよいことがわかる。また、菱面体晶のペロブスカイト型酸化物もその組成は特定ものに限定されず、LSF,LSN,LSCF等であってよいことがわかる。なお、例11のSOFCは、立方晶と菱面体晶のペロブスカイト型酸化物を混合した電極材料を用いて空気極を作製したが、立方晶のペロブスカイト型酸化物の割合が少なかったため、劣化率は低く抑えられていたものの発電性能が0.37W/cmとやや低く、十分ではなかった。しかしながら、他の結晶系のペロブスカイト型酸化物を組み合わせた場合、結合性が良好であっても発電性能が0.35W/cm以下と低いLSCFしか得られないことが確認できた。
(試験例2)
[電極材料の用意]
試験例1で用意したペロブスカイト型酸化物を、下記の表3に示す配合で混合し、例15〜24のSOFCの空気極用材料を用意した。すなわち、例15〜21は、試験例1の例7における第1の酸化物と第2の酸化物の配合を変化させたものであり、例22〜24は試験例1の例9における第1の酸化物と第2の酸化物の配合を変化させたものである。次いで、これらの電極材料を用い、試験例1と同様に評価用のSOFCセルを作製して各種特性を評価した。その結果を、下記表3に示した。
例17〜18に示すように、立方晶の第1の酸化物と菱面体晶の第2の酸化物とを混合し、第1の酸化物の割合を、30質量%を超えて90質量%未満として空気極材料を用意することで、空気極の良好な接合性と、SOFCの発電性能の向上および劣化率の抑制とを、いずれも満足できることがわかった。立方晶の第1の酸化物と菱面体晶の第2の酸化物との合計に占める第1位の酸化物の割合は、例えば、35質量%〜85質量%程度とするのが好ましいといえる。
また、同様のことが、例9、22〜24に示すように、組成の異なる他の菱面体晶の第2の酸化物を使用したときにも確認することができた。この酸化物系の場合、立方晶の第1の酸化物と菱面体晶の第2の酸化物との合計に占める第1位の酸化物の割合は、例えば、35質量%〜85質量%程度、特に40質量%〜80質量%において良好な特性が得られることが確認された。
以上のことから、ここに開示される電極材料を用いてSOFCの空気極を形成することで、空気極の剥がれやクラックの発生が抑制されて、長期に亘って発電性能に優れたSOFCを製造できることが確認された。なお、かかる電極材料は、SOFCの空気極を構成するのに好適なのはもちろんのこと、例えば、この空気極とインターコネクタとの間に配設される集電体や、インターコネクタ自体を構成するのにも、好ましく用いることができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 固体酸化物形燃料電池(SOFC)
20 空気極(カソード)
30 固体電解質
40 燃料極(アノード)
50 接続部材
60 ガス管

Claims (7)

  1. 固体酸化物形燃料電池の電極を形成するために用いる電極材料であって、
    700℃で立方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第1の酸化物粉末と、
    700℃で菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第2の酸化物粉末と、を含み、
    前記第1の酸化物粉末と前記第2の酸化物粉末との合計に占める前記第1の酸化物粉末の割合は、35質量%以上85質量%以下である、電極材料。
  2. 前記第1の酸化物粉末は、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)およびサマリウムストロンチウムコバルタイト(SSC)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電極材料。
  3. 前記第2の酸化物粉末は、ランタンストロンチウム鉄コバルタイト(LSCF),ランタンストロンチウムフェライト(LSF)およびランタン鉄ニッケラート(LNF)からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の電極材料。
  4. 700℃で立方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第1の酸化物相と、
    700℃で菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する第2の酸化物相と、が均一に分散された多孔質体である、固体酸化物形燃料電池の空気極。
  5. 前記第1の酸化物相は、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)およびサマリウムストロンチウムコバルタイト(SSC)のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の空気極。
  6. 前記第2の酸化物相は、ランタンストロンチウム鉄コバルタイト(LSCF),ランタンストロンチウムフェライト(LSF)およびランタン鉄ニッケラート(LNF)からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項4または5に記載の空気極。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の空気極と、燃料極と、前記空気極および前記燃料極との間に配置された固体電解質と、を含む固体酸化物形燃料電池。
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