JP2017123804A - 作業車 - Google Patents

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Abstract

【課題】車体が目標移動経路から横方向に位置ずれし且つ車体の向きが目標方位と同じであるときに、迅速に目標移動経路に沿う走行状態に戻すことができるようにすることが望まれていた。【解決手段】車体が走行すべき目標移動経路を設定する経路設定部68と、車体の位置を検出する位置計測ユニット64と、車体の方位を検出する慣性計測ユニット66と、車体の検出位置が目標移動経路上の位置になるように、且つ、車体の検出方位が目標移動経路における目標方位になるように、操向モータ58を操作する走行制御部69とが備えられ、走行制御部69は、検出位置が目標移動経路から横方向にずれており、且つ、検出方位が目標方位と同じであるときは、目標方位を目標移動経路側に傾斜した傾斜目標方位に変更して操向操作手段を操作する位置ずれ修正処理を実行する。【選択図】図5

Description

本発明は、車体の位置を検出する位置検出手段と、車体の方位を検出する方位検出手段とを備えて、それら検出情報に基づいて車体が目標移動経路に沿って走行するように構成されている作業車に関する。
従来では、作業車の車体に、GPS等の衛星測位用ユニットと、方位検出手段の一例である慣性航法用ユニットとを備え、作業対象となる圃場において、車体が走行すべき目標移動経路が予め設定されており、衛星測位システムにより検出された車体の位置が目標移動経路に対応する目標位置になるように、且つ、検出方位が目標移動経路に対応する目標方位になるように操向制御するものがあり、目標方位は、常に、目標移動経路に対応する方位に設定されていた(例えば、特許文献1参照)。
説明を加えると、車体を操向制御する場合、衛星測位用ユニットにより得られた位置情報だけでは、車体が現在どの方向に進んでいるのか分からない。しかも、衛星測位用ユニットによる計測処理には時間がかかる場合があり、設定経路に沿って車体を移動案内される作業車に適用する場合においては、位置情報だけでは精度のよい作業車の操向制御は難しい。そこで、方位検出手段にて車体の現在の方位を検出して、位置情報と方位情報とに基づいて操向制御するようにしている。
特開2009−245002号公報
上記従来構成では、衛星測位用ユニットの検出情報と方位検出手段の検出情報に基づいて操向制御するにあたり、目標方位が、常に目標移動経路に沿う方位に設定されるので、次のような不利な面があった。
すなわち、上記従来構成では、制御手段は、車体の検出位置が目標移動経路上に位置し、且つ、検出方位が目標移動経路に沿う方位になるように操向操作手段を操作する。そうすると、例えば、車体が目標移動経路から横方向に位置ずれしているが、車体の向きが目標方位と同じであるような走行状態から位置の修正を行う場合、位置の修正を行うために車体の進行方向を変更すると、車体の方位は目標方位からずれていくので、目標方位からのずれに対応しようとして無駄な操作を行う場合がある。その結果、目標移動経路に沿う走行状態に戻すのに時間がかかるおそれがあった。
そこで、車体が目標移動経路から横方向に位置ずれし且つ車体の向きが目標方位と同じであるときに、迅速に目標移動経路に沿う走行状態に戻すことができるようにすることが望まれていた。
本発明に係る作動車の特徴構成は、
車体の進行方向を変更可能な操向操作手段と、
前記車体が走行すべき目標移動経路を設定する経路設定手段と、
前記車体の位置を検出する位置検出手段と、
前記車体の方位を検出する方位検出手段と、
前記位置検出手段にて検出される前記車体の検出位置が、前記目標移動経路上の位置になるように、且つ、前記方位検出手段にて検出される前記車体の検出方位が前記目標移動経路における目標方位になるように、前記操向操作手段を操作する自動操向制御を実行する制御手段とが備えられ、
前記制御手段は、
前記検出位置が前記目標移動経路から横方向にずれており、且つ、前記検出方位が前記目標方位と同じであるときは、前記目標方位を前記目標移動経路側に傾斜した傾斜目標方位に変更して前記操向操作手段を操作する位置ずれ修正処理を実行する点にある。
本発明によれば、制御手段は、自動操向制御を実行しているときに、位置検出手段にて検出される車体の検出位置が目標移動経路から横方向にずれているが、方位検出手段にて検出される車体の検出方位は目標移動経路における目標方位(以下、基準目標方位という)と同じであるときには、目標方位を目標移動経路側に傾斜した傾斜目標方位に変更して操向操作手段を操作する。すなわち、制御手段は、車体の検出位置が目標移動経路上の位置になるように、且つ、車体の検出方位が傾斜目標方位になるように、操向操作手段を操作する。
車体が、横方向の位置ずれを修正するために、目標移動経路側に傾斜した方向に向けて走行するとき、基準目標方位に沿った姿勢で且つ車体は位置ずれを小さくするように走行することになる。つまり、車体の方位は傾斜目標方位からずれることがないので、方位のずれに対応しようとして無駄な操作を行うことがない。
その結果、車体が目標移動経路から横方向に位置ずれし且つ車体の向きが基準目標方位と同じであるときに、無駄な操作が少なくなり、極力迅速に、目標移動経路に沿う走行状態に戻すことが可能となる。
本発明においては、
前記制御手段は、
前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記傾斜目標方位の前記目標方位に対する傾斜角を設定上限値以下に設定すると好適である。
本構成によれば、操向制御を実行するときに、目標方位が大きく変化し過ぎることがないので、車体が急旋回して姿勢が不安定になる等のおそれが少ないものになる。
本発明においては、
車速を検出する車速検出手段が備えられ、
前記制御手段は、
前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記車速が大きいほど前記操向操作手段が前記進行方向を変更するときの変更操作速度が小さいと好適である。
位置ずれを修正する場合、車速が大きいときに素早く操向操作すると、急激な姿勢変更動作になり、車体姿勢が不安定になるおそれがある。そこで、本構成では、位置ずれを修正するときは、車速が大きいほど操向操作手段が進行方向を変更するときの変更操作速度を小さくするようにした。その結果、車体の向き変更の動作が速く行われて車体姿勢が不安定になるおそれが少なく、滑らかに位置ずれ修正を行うことができる。
本発明においては、
車速を検出する車速検出手段が備えられ、
前記制御手段は、
前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記車速が大きいほど前記目標方位を前記目標移動経路側に傾斜させる傾斜角度が小さいと好適である。
位置ずれを修正する場合、車速が大きいときに素早く操向操作すると、急激な姿勢変更動作になり、車体姿勢が不安定になるおそれがある。そこで、本構成では、車速が大きいほど目標方位を目標移動経路側に傾斜させる傾斜角度が小さくなる。その結果、車体の向き変更量を少なくなり、車体姿勢が不安定になるおそれが少なく、滑らかに位置ずれ修正を行うことができる。
本発明においては、
前記制御手段は、
前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記検出位置が前記目標移動経路に相当する箇所に達するまで、前記傾斜目標方位をそのまま維持すると好適である。
本構成によれば、位置ずれ修正処理においては、一旦、目標方位を傾斜目標方位に変更したのちは、車体が目標移動経路に相当する位置に達するまで傾斜目標方位が維持される。その結果、車体の方位が傾斜目標方位に沿う状態で目標移動経路に相当する位置にまで移動するので、無駄な動きの少ない状態で迅速に位置ずれの修正を行うことができる。
本発明においては、
前記制御手段は、
前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記検出位置が前記目標移動経路に相当する箇所に近づくほど、前記傾斜目標方位の前記目標方位に対する傾斜が緩くなると好適である。
本構成によれば、位置ずれ修正処理においては、先ず最初に、基準目標方位に対する傾斜が急な傾斜目標方位に変更するが、車体が目標移動経路に相当する箇所に近づくほど、基準目標方位に対する傾斜が緩くなる状態で傾斜目標方位が変化することになる。
位置ずれ修正処理において、基準目標方位に対する傾斜が急な状態で操向操作が行われると迅速に車体を目標移動経路に相当する箇所に近づけることができる。しかし、このような基準目標方位に対する傾斜が急な状態のまま走行すると、目標移動経路に相当する箇所に達したのち、車体の方位を目標移動経路に沿う方位に戻すときに、戻し修正量が大きくなるので、再修正操作に時間がかかる不利がある。
そこで、位置ずれ修正処理を実行するときに、位置ずれ量が大きい初期の段階では、傾斜が急な傾斜目標方位に変更することで、迅速に車体を目標移動経路に相当する箇所に近づけることができる。そして、車体が目標移動経路に相当する箇所に近づくほど、基準目標方位に対する傾斜が緩い傾斜目標方位に変更する。その結果、目標移動経路に相当する箇所に達したときには、傾斜目標方位と目標移動経路に沿う方位との間の角度ずれが小さくなるので、戻し修正量が小さくなり、再修正操作を迅速に行える。
従って、極力、迅速に車体を目標移動経路に相当する箇所に近づけることができるものでありながら、目標移動経路に沿う方位に戻す再修正操作を無駄なく短時間で行うことができるものとなった。
本発明においては、
前記目標移動経路に相当する箇所は、前記目標移動経路に相当する位置の左右両側に横方向に所定幅の領域を有していると好適である。
位置ずれ修正処理において、車体の位置が目標移動経路に相当する位置に達するまで位置ずれ修正処理を実行する構成であれば、車体の位置が目標移動経路に相当する位置に達した後に、車体の方位を目標移動経路に沿う方位に戻すときに、戻し操作に遅れが生じて再修正操作に時間がかかる不利がある。そこで、本構成では、目標移動経路に相当する箇所が所定幅の領域を有するので、車体の位置が目標移動経路に相当する位置に達する少し前に車体の方位を目標移動経路に沿う方位に戻すことができ、応答遅れの少ない状態で再修正操作を行うことができる。
本発明においては、
前記車体は、前記目標移動経路に沿って走行しながら作業を行う直進走行と、前記目標移動経路の終端位置にて前記目標移動経路と平行な次回の目標移動経路に向けて旋回する旋回走行とを交互に繰り返して走行するものであり、
前記制御手段は、
前記車体が既作業領域側に位置ずれしている状態で、前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記車体が未作業領域側に位置ずれしている状態に比べて、前記目標移動経路側に大きく傾斜させて前記傾斜目標方位を設定すると好適である。
本構成によれば、車体が直進走行と旋回走行とを交互に繰り返すように走行し、直進走行中に作業を行う。そして、車体が既作業領域側に位置ずれしている状態で、位置ずれ修正処理を実行するときは、未作業領域側に位置ずれしている状態に比べて、傾斜目標方位における目標方位に対する傾斜を大きくする。
走行に伴って作物苗を圃場に植え付けるような作業を行う作業車であれば、既作業領域には、作物苗が既に植え付けられているから、車体は既作業領域内に侵入することは避ける必要がある。そこで、車体が既作業領域側に位置ずれしているときには、大きめに傾斜した方向に操向操作することで、できるだけ迅速に位置を修正して、車体が既作業領域内に侵入するのを回避させることができる。
本発明においては、
前記車体は、前記目標移動経路に沿って走行しながら作業を行う直進走行と、前記目標移動経路の終端位置にて前記目標移動経路と平行な次回の目標移動経路に向けて旋回する旋回走行とを交互に繰り返して走行するものであり、
前記制御手段は、
前記車体が未作業領域側に位置ずれしている状態で、前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記車体が既作業領域側に位置ずれしている状態に比べて、前記目標移動経路側に大きく傾斜させて前記傾斜目標方位を設定すると好適である。
本構成によれば、車体が直進走行と旋回走行とを交互に繰り返すように走行し、直進走行中に作業を行う。そして、車体が未作業領域側に位置ずれしている状態で、位置ずれ修正処理を実行するときは、既作業領域側に位置ずれしている状態に比べて、傾斜目標方位の基準目標方位に対する傾斜を大きくする。
走行に伴って植立している作物を刈り取るような作業を行う作業車であれば、未作業領域には、植立作物が存在するので、車体は未作業領域内に侵入することは避ける必要がある。そこで、車体が、未作業領域側に位置ずれしているときには、大きめに傾斜した方向に操向操作することで、できるだけ迅速に位置を修正して、車体が未作業領域内に侵入するのを回避させることができる。
本発明においては、
前記車体は、前記目標移動経路に沿って走行しながら作業を行う直進走行と、前記目標移動経路の終端位置にて前記目標移動経路と平行な次回の目標移動経路に向けて旋回する旋回走行とを交互に繰り返して走行するものであり、
前記制御手段は、
前記車体が前記旋回走行を行ったのちに前記直進走行を開始した直後においては、所定の判別条件が成立までの間は、前記位置ずれ修正処理を実行しないと好適である。
本構成によれば、旋回走行したのちに直進走行を開始した直後は、走行状態が安定していない場合があり、車体が目標移動経路から横ずれしている場合もある。その結果、直進走行の開始直後には、すぐに車体が目標移動経路上を安定した状態で走行できるとは限らない。
そこで、本構成では、直進走行を開始した直後に所定の判別条件が成立までの間は、位置ずれ修正処理を実行しないので、不要な操向操作を回避させることができる。所定の判別条件としては、例えば、旋回してから設定時間が経過すること、設定距離走行すること、車体の方位が所定の方位に近づいたこと等、種々の条件が考えられる。要するに、走行状態が安定するための条件である。
本発明においては、
手動操作に基づいて前記車体の進行方向の変更を指令する手動操向操作具と、
前記手動操向操作具に対する手動操作が行われたことを検出する手動操作検出手段とが備えられ、
前記制御手段は、
前記手動操作検出手段にて手動操作が検出されると、前記自動操向制御において前記操向操作手段を操作するときの操作力を低減させると好適である。
本構成によれば、手動操作によっても操向操作手段を操作して車体の進行方向を変更することができる。そして、手動操作検出手段により手動操作が検出されると、制御手段は、自動操向制御において操向操作手段を操作するときの操作力を低減させる。
その結果、自動操向制御に優先して手動操作による操向操作手段を操作することが可能となり、例えば、障害物との接触のおそれがあるような場合に、自動操向制御に伴う操作ではなく、手動操作による操向操作により、障害物との接触を回避することが可能である。
本発明においては、
前記制御手段は、
前記手動操作検出手段にて手動操作が検出されると、前記操作力を低減させ、且つ、前記手動操作検出手段による手動操作が検出されなくなっても、前記操作力を低減させている状態を維持すると好適である。
本構成によれば、一旦、手動操作が検出されて、操向操作手段の操作力を低減させたのちは、手動操作されなくなってもその状態が支持されるので、手動操作が間欠的に繰り返し行われるような場合であれば、手動による操作が可能であり、使い勝手がよいものとなる。
本発明においては、
前記制御手段は、
前記手動操作検出手段にて手動操作が検出されると、前記操作力を低減させ、且つ、前記手動操作検出手段による手動操作が検出されなくなると、前記操作力を元の大きさに戻すと好適である。
本構成によれば、手動操作が検出されて、操向操作手段の操作力を低減させたのち、手動操作されなくなると、操向操作手段の操作力を元に戻すので、手動操作が1回だけ行われて、その後は手動操作を行わないような場合であれば、自動操向制御が引き続き行われるので、使い勝手がよいものとなる。
本発明においては、
手動操作に基づいて前記車体の進行方向の変更を指令する手動操向操作具と、
前記手動操向操作具に対する手動操作が行われたことを検出する手動操作検出手段とが備えられ、
前記制御手段は、
前記手動操向操作具による変更指令が設定時間以上継続して指令されると、前記自動操向制御を停止すると好適である。
本構成によれば、設定時間以上の長い時間にわたり手動操作が行われると、手動操作による操向操作を継続して行う意思があると判断して、自動操向制御を停止するのである。その結果、自動操向制御に伴う手動操作者の意思に反した方向への操作が無くなり、手動操作が行い易いものになる。
本発明においては、
手動操作に基づいて前記車体の進行方向の変更を指令する手動操向操作具と、
前記手動操向操作具に対する手動操作が行われたことを検出する手動操作検出手段とが備えられ、
前記制御手段は、
前記手動操作検出手段にて手動操作が検出されると、前記自動操向制御を停止するとともに、前記手動操向操作具による変更指令に対応する走行状態となるように、前記操向操作手段を操作するアシスト制御を実行する好適である。
本構成によれば、手動操作によっても操向操作手段を操作して車体の進行方向を変更することができる。そして、手動操作検出手段にて手動操作が検出されると、制御手段は、自動操向制御を停止してアシスト制御を実行する。すなわち、手動操向操作具による変更指令に対応する操向状態となるように、操向操作手段を操作する。
従って、手動操作による操向操作を行うとき、手動操作者が意図する方向へ操向操作手段を操作するので、手動操作を操作負担の少ない状態で楽に行うことができる。
本発明においては、
前記位置検出手段が、衛星からの電波を受信して前記車体の位置を検出する衛星測位用ユニットであると好適である。
本構成によれば、例えばGPS等の衛星測位用ユニットにより、衛星からの電波を受信して車体の位置を検出するので、地球上の絶対位置を計測することができる。従って、圃場内における作業車の位置を精度よく検出することができる。
田植機の全体側面図である。 田植機の全体平面図である。 田植機の正面図である。 操向ユニットを示す図である。 制御構成を示すブロック図である。 自動操向制御の動作を説明する田面全体での平面視の説明図である。 自動操向制御の動作を説明する田植機の平面視の説明図である。 自動操向制御の動作を説明する田植機の平面視の説明図である。 自動操向制御の動作を説明する田植機の平面視の説明図である。 自動操向制御の動作を説明する田植機の平面視の説明図である。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明の作業車の一例として乗用型の田植機を例に挙げて説明する。
図1〜図3に示すように、乗用型の田植機には、走行装置としての向き変更操作自在な左右一対の前車輪10と、向き固定の左右一対の後車輪11とを有する走行車体Cと、圃場に対する苗の植え付けが可能な作業装置としての苗植付装置Wとが備えられている。苗植付装置Wは、昇降用油圧シリンダ20の伸縮作動により昇降作動するリンク機構21を介して、走行車体Cの後端に昇降自在に連結されている。
図2に示す矢印Fが走行車体Cの機体前部側、矢印Bが走行車体Cの機体後部側、矢印Lが走行車体Cの機体左側、矢印Rが走行車体Cの機体右側を示している。
図1〜図3に示すように、走行車体Cの前部には、開閉式のボンネット12が備えられている。ボンネット12内には、エンジン13が備えられている。ボンネット12の先端位置には、圃場に描かれた指標ラインLN(図6参照)に沿って走行するための目安となる棒状のセンターマスコット14が備えられている。走行車体Cには、前後方向に沿って延びる枠状の機体フレーム15が備えられ、機体フレーム15の前部には支持支柱フレーム16が立設されている。
図1及び図2に示すように、苗植付装置Wには、4個の伝動ケース22、各伝動ケース22の後部の左側部及び右側部に回転自在に支持された合計8個の回転ケース23、各回転ケース23の両端部に備えられた一対のロータリ式の植付アーム24、圃場の田面を整地する複数の整地フロート25、植え付け用のマット状苗が載置される苗載せ台26、圃場の田面に指標ラインLN(図6参照)を形成するためのマーカ装置33等が備えられている。
このように構成された苗植付装置Wは、苗載せ台26を左右に往復横送り駆動しながら、伝動ケース22から伝達される動力により各回転ケース23を回転駆動して、苗載せ台26の下部から各植付アーム24により交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付けるようになっている。従って、苗植付装置Wは、8個の回転ケース23に備えられた植付アーム24により苗を植え付ける8条植え型式に構成されている。マーカ装置33は、詳述はしないが、苗植付装置Wの左右側部に備えられ、圃場の田面に接地して走行車体Cの走行に伴い、次回の作業行程に対応する田面に指標ラインLNを形成する作用姿勢、及び、圃場の田面から上方に離れた格納姿勢に操作自在に構成されている。マーカ装置33の姿勢切り換えは図示しない電動モータにより行われる。
図1〜図3に示すように、走行車体Cにおけるボンネット12の左右側部には、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能な複数(例えば4つ)の通常予備苗台28、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能な1つのレール式予備苗台29が備えられている。走行車体Cにおけるボンネット12の左右側部には、各通常予備苗台28とレール式予備苗台29とを支持する左右一対の予備苗フレーム30が備えられ、左右の予備苗フレーム30の上部同士が連結フレーム31にて連結されている。
図1〜図3に示すように、走行車体Cの中央部には、各種の運転操作が行われる運転部40が備えられている。運転部40には、運転者が着座可能な運転座席41、操縦塔42、前車輪10の手動の操向操作用のステアリングホイールにより構成される手動操向操作具としての操向ハンドル43、前後進の切り換え操作や走行速度を変更操作が可能な主変速レバー44、操作レバー45等が備えられている。運転座席41は、走行車体Cの中央部に備えられている。操縦塔42に、操向ハンドル43、主変速レバー44、操作レバー45等が操作自在に備えられている。運転部40の足元部位には、搭乗ステップ46が設けられている。搭乗ステップ46の左右の外側位置には、補助ステップ47が設けられている。搭乗ステップ46はボンネット12の左右両側にも延びている。
図1〜図3に示すように、操作レバー45は、操向ハンドル43の下側の右横側に備えられている。詳細は図示はしないが、操作レバー45は、中央の中立位置から、上昇位置、下降位置、右マーカ位置、左マーカ位置の夫々に十字方向に移動操作自在に構成され、中立位置に付勢されている。
操作レバー45を上昇位置に操作すると、苗植付装置に対する伝動が遮断されて、苗植付装置Wが上昇し、左右のマーカ装置33(図1参照)が格納姿勢に操作される。操作レバー45を下降位置に操作すると、苗植付装置Wが下降して田面に接地して停止した状態となる。この下降状態で操作レバー45を右マーカ位置に操作すると、右のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。操作レバー45を左マーカ位置に操作すると、左のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。
運転者は、苗植え付け作業を開始するときは、操作レバー45を操作して苗植付装置Wを下降させるとともに、苗植付装置Wに対する伝動が開始されて苗植付け作業を開始する。そして、苗植え付け作業を停止するときは、操作レバー45を操作して苗植付装置Wを上昇させるとともに、苗植付装置Wに対する伝動が遮断する。
運転部40の操縦塔42の上部には、液晶表示器を用いて種々の情報を表示可能な表示装置48が備えられている。又、後述する自動操向制御に用いる始点設定スイッチ49Aが表示装置48の右側に位置し、終点設定スイッチ49Bが表示装置48の左側に位置する状態で備えられてる。
主変速レバー44の握り部には、押し操作式の自動操向スイッチ50が備えられている。自動操向スイッチ50は、自動復帰型に設けられ、押し操作する毎に自動操向制御の入り切りの切り換えを指令する。自動操向スイッチ50は、主変速レバー44の握り部を手で握った状態で、例えば、親指で押すことができる位置に配置されている。
図4に示すように、走行車体Cには、左右の前車輪10を操向可能な操向ユニットUが備えられている。操向ユニットUには、操向ハンドル43に連動連結されるステアリング操作軸54、ステアリング操作軸54の回動に伴って揺動するピットマンアーム55、ピットマンアーム55に連動連結される左右の連繋機構56、操向モータ58、ステアリング操作軸54に操向モータ58を連動連結するギヤ機構57等が備えられている。
ステアリング操作軸54は、ピットマンアーム55及び左右の連繋機構56を介して、左右の前車輪10にそれぞれ連動連結されている。ステアリング操作軸54の下端部に、ロータリエンコーダからなる操向角センサ60が備えられ、ステアリング操作軸54の回転量は操向角センサ60により検出されるようになっている。ステアリング操作軸54の途中部には、操向ハンドル43に掛かるトルクを検出する手動操作検出手段としてのトルクセンサ61が備えられている。例えば、操向モータ58が所定の方向に回動させているときに、その回動方向とは反対方向に向けて手動操作にて操向ハンドル43が操作されると、トルクセンサ61にてそのことを検出することができる。
操向ユニットUの自動操向を行う場合には、操向モータ58を駆動して、操向モータ58の駆動力によりステアリング操作軸54を回動操作し、前車輪10の操向角度を変更するようになっている。従って、操向モータ58が操向操作手段に対応する。自動操向を行わない場合には、操向ユニットUは、操向ハンドル43の手動操作により回動操作することができる。
次に、自動操向制御を行うための構成について説明する。
走行車体に、衛星からの電波を受信して車体の位置を検出する衛星測位用システム(GNSS:Global Navigation Satelite System)の一例として、周知の技術であるGPS(Global Positioning System)を利用して車体の位置を検出する位置検出手段が備えられている。
具体的には、位置検出手段として、地球の上空を周回する複数のGPS衛星から発信される電波を受信するアンテナ62付きの受信装置63を有する位置計測ユニット64(衛星測位用ユニットの一例)が、測位を行う対象(走行車体C)に備えられ、受信する電波の情報に基づいて受信装置63すなわち位置計測ユニット64の位置を計測することができる。
図1〜図3に示すように、位置計測ユニット64は、走行車体Cの前部に位置する状態で、板状の支持プレート65を介して連結フレーム31に取り付けられている。図3に示すように、連結フレーム31は、位置計測ユニット64が予備苗フレーム30の上端部よりも上方に位置する使用状態S1と、使用状態S1に対して上下反転し、受信装置63が予備苗フレーム30の上端部よりも下方に位置する格納状態S2と、に状態変更可能となっている。説明を加えると、連結フレーム31は、連結ブラケット32を介して、機体横方向に沿う横軸心X周りに回動可能に、且つ、使用状態S1と格納状態S2の各状態で位置固定可能に、左右の予備苗フレーム30に支持されている。
図1及び図3に示すように、連結フレーム31を使用状態S1にすることにより、受信装置63が、連結フレーム31と予備苗フレーム30とにより、高い箇所に支持されるものとなる。受信装置63に電波障害が生じるおそれが少なく、受信装置63の電波の受信感度を高めることができる。
走行車体Cに、位置計測ユニット64の他に、走行車体Cの方位を検出する方位検出手段として,ジャイロセンサ66A等を有する慣性計測ユニット66が備えられている。図示はしないが、慣性計測ユニット66は、例えば、運転座席41の後側下方位置であって走行車体Cの横幅方向中央の低い位置に設けられている。慣性計測ユニット66は、走行車体Cの旋回角度の角速度を検出可能であり、角速度を積分することで車体の方位変化角を求めることができる。従って、慣性計測ユニット66により計測される計測情報には走行車体Cの方位情報が含まれている。詳述はしないが、慣性計測ユニット66は、走行車体Cの旋回角度の角速度の他、走行車体Cの左右傾斜角度、走行車体Cの前後傾斜角度の角速度等も計測可能である。
図5に示すように、走行車体Cには、操向モータ58の制御を行う制御装置67が備えられている。制御装置67は、走行車体Cが走行すべき目標移動経路を設定する経路設定部68と、位置計測ユニット64にて計測される走行車体Cの位置情報と、慣性計測ユニット66にて計測される走行車体Cの方位情報とに基づいて、走行車体Cが目標移動経路に沿って走行するように、操向モータ58を制御する操向制御部69とを備えている。具体的には、制御装置67は、マイクロコンピュータを備えており、経路設定部68と操向制御部69とが制御プログラムにて構成されている。
図5に示すように、自動操向制御に用いる目標移動経路をティーチング処理によって設定するための設定スイッチ49が備えられている。設定スイッチ49には、始点位置を設定する始点設定スイッチ49Aと、終点位置を設定する終点設定スイッチ49Bとがあり、上述したように、始点設定スイッチ49Aは表示装置48の右側に備えられ、終点設定スイッチ49Bは表示装置48の左側に備えられている。
図5に示すように、制御装置67には、位置計測ユニット64、慣性計測ユニット66、自動操向スイッチ50、始点設定スイッチ49A、終点設定スイッチ49B、操向角センサ60、トルクセンサ61、車速センサ70等の情報が入力されている。車速センサ70は、詳述はしないが、例えば、後車輪11に対する伝動機構中の伝動軸の回転速度により車速を検出する。
経路設定部68は、始点設定スイッチ49A及び終点設定スイッチ49Bの操作に基づくティーチング処理によって、自動操向すべき目標経路に対応するティーチング経路を設定するとともに、実作業するときに、ティーチング経路の始端部にて自動モードが指令されると、その位置におけるティーチング経路と平行な目標移動経路LMを設定するように構成されている。
操向制御部69は、自動入りモードが設定されているとき、位置計測ユニット64にて検出される走行車体Cの検出位置(自機位置)NMが、目標移動経路LM上の位置になるように、且つ、慣性計測ユニット66にて検出される走行車体Cの検出方位(自機方位)が目標移動経路LMにおける目標方位になるように、操向モータ58を操作する自動操向制御を実行する。すなわち、走行車体Cの自動操向制御中に、走行車体Cの自機位置NMと目標移動経路LMとの横方向の位置偏差(位置ずれ量)ΔP(図7参照)と、走行車体Cの自機方位NAと目標方位TAとの角度偏差とを求め、それらの偏差が小さくなるように、操向モータ58を制御する。
操向制御部は、自動操向制御を実行しているときに、自機位置NMが目標移動経路LMから横方向にずれており、且つ、自機方位NAが目標方位TAと同じであるときは、制御目標となる目標方位を目標移動経路側に傾斜した傾斜目標方位KAに変更して操向モータ58を操作する位置ずれ修正処理を実行する。
位置ずれ修正処理を実行するときに、自機位置NMが目標移動経路LMに相当する箇所から大きく離れていれば、傾斜目標方位KAの目標方位TAに対する傾斜を大側に設定し、自機位置NMが目標移動経路LMに相当する箇所に近づくほど、傾斜目標方位KAの目標方位に対する傾斜を緩くする。また、操向制御部69は、車速が低速であれば、傾斜目標方位KAの目標方位TAに対する傾斜を大側に設定し、車速が高速であるほど傾斜目標方位KAの目標方位TAに対する傾斜を緩くするようになっている。
但し、傾斜目標方位KAの目標方位に対する傾斜角αには上限があり、車速が極低速であったり、位置ずれ量ΔPが大きくなっていても、傾斜角αは設定上限値以下の値に設定される。傾斜角αが大き過ぎると、走行車体Cが急旋回して走行状態が不安定になるおそれがあるからである。
さらに、操向制御部69は、位置ずれ修正処理を実行するときは、車速が大きいほど操向モータ58が進行方向を変更するときの変更操作速度を小さくする。従って、車速が低速であれば、変更操作速度が大きめに設定され、車速が大きいほど変更操作速度を小さくする。
次に、矩形状の水田にて苗の植え付け作業を行う場合における制御装置67の動作について説明する。
図6に示すように、田植機は、水田において、目標移動経路LMに沿って走行しながら苗植付け作業を行う直進走行と、目標移動経路LMの終端位置にて目標移動経路LMと平行な次回の目標移動経路LMに向けて旋回する旋回走行とを交互に繰り返して走行する。そして、操向制御部69は、原則として、苗植付け作業を行う直進走行中に自動操向制御を実行し、直進走行以外の移動走行には、自動操向制御を実行しないようになっている。
まず、走行車体Cを圃場内の畦際の始点位置Q1に位置させ、始点設定スイッチ49Aを操作する。このとき、制御装置67は自動切りモードに設定されている。そして、運転者が手動操縦しながら、始点位置Q1から側部側の畦際の直線形状に沿って非作業状態で走行車体Cを直進走行させ、反対側の畦際近くの終点位置Q2まで移動させてから終点設定スイッチ49Bを操作する。これにより、ティーチング処理が実行される。つまり、始点位置Q1において受信装置63により取得された位置情報と、終点位置Q2において受信装置63により取得された位置情報とから、始点位置Q1と終点位置Q2とを結ぶティーチング経路が設定される。このティーチング経路に沿う方向が基準となる目標方位TA(以下、ティーチング方位という)として設定される。
次に、運転者が手動で操向ハンドル43を操作して、走行車体Cを旋回させる。このとき、制御装置67は、自機方位NAが反転することにより、走行車体Cの旋回が行われたことを判別できる。
操向制御部69は、旋回が行われたことを判別すると、走行車体Cの旋回が終了したのち所定の判別条件が成立するまでは、自動操向スイッチ50の操作入力を受け付けない制御牽制状態に設定される。所定の判別条件は、走行車体Cの旋回が終了してから一定時間が経過すること、及び、自機方位NAとティーチング方位TAとのズレ角度が所定範囲内となることである。制御牽制状態に設定されている間は、自動操向スイッチ50が操作されても、自動操向制御は開始されない。そのとき、運転者は、センターマスコット14の先端部を見る目線の先に、田面に形成された指標ラインLNが合致するように、操向ハンドルを手動操作して走行車体Cの位置合わせを行うことができる。
図5中の所定の位置Q3にて制御牽制状態が解除されると、自動操向スイッチ50の操作入力が受け付けられるので、運転者が自動操向スイッチ50を操作すると自動入りモードに切り換えられ、操向制御部69は、その地点から自動操向制御を開始する。このとき、運転者は操作レバー45を操作して苗植付装置Wを下降させて苗植え付け作業を実行する。
自動操向制御が開始されると、位置計測ユニット64により自機位置NMの情報を求め、慣性計測ユニット66にて自機方位NAを求める。このとき、図7に示すように、データ処理の基準となる自機位置NMは、位置計測ユニット64の実際の設置位置ではなく、慣性計測ユニット66の近傍位置に設定されている。そして、現在の自機位置NMや自機方位NAが、目標移動経路LM、ティーチング方位TAと合致するように操向モータ58を操作して操向制御される。これにより、走行車体Cが、目標移動経路LMに沿って正確に走行するものとなる。運転者は操向ハンドル43から手を離した状態となっている。但し、車速は手動操作にて調節される。
操向制御部69が自動操向制御を実行しながら直進走行しているときに、図7に示すように、検出される自機位置が目標移動経路から横方向にずれており、且つ、検出方位がティーチング方位TAと同じであるときは、操向制御部69は、目標方位をティーチング方位TAから目標移動経路側に設定傾斜角αだけ傾斜した傾斜目標方位KAに変更して操向モータ58を操作する位置ずれ修正処理を実行する。
つまり、図8に示すように、位置ずれ修正処理においては、自動操向制御するときの目標方位として、ティーチング方位TAではなく、ティーチング方位TAから目標移動経路側に設定傾斜角αだけ傾斜した傾斜目標方位KAに変更して自動操向制御を実行する。従って、この位置ずれ修正処理を実行しているときは、方位偏差が小さい状態で斜め方向に走行するので迅速に位置偏差ΔPを小さくすることができる。
このとき、自機位置NMが目標移動経路LMに相当する箇所から離れているほど、設定傾斜角αを大側に設定し、自機位置NMが目標移動経路LMに相当する箇所に近づくほど、設定傾斜角αを緩くする。また、車速が低速であれば、設定傾斜角αを大側に設定し、車速が高速であるほど設定傾斜角を緩くするようになっている。但し、設定傾斜角αには上限値を設定してあり、車速がどのように低速であっても、位置ずれが大きくても、設定傾斜角αが設定上限値を越えることはない。
ところで、上述した目標移動経路LMに相当する箇所というのは、目標移動経路LMに相当する位置の左右両側に横方向に所定幅の領域を有している。すなわち、位置偏差に対する制御不感帯が設定されており、位置偏差が零ではなく不感帯内に入ると、位置ずれ修正処理が終了する。つまり、目標方位が、傾斜目標方位ではなく、本来のティーチング方位TAに沿う方向に設定される。
このように傾斜目標方位KAの目標方位に対する傾斜の大きさは、走行車体Cの位置ずれ量ΔPの大きさ及び車速の大きさにより変化するが、傾斜の大きさ、走行車体Cの位置ずれ量ΔP、車速の夫々についての相関関係は、予め実験により求めてマップデータとして設定したり、演算式等で定めることができる。そして、車速が一定であれば、位置ずれ量ΔPが小さくなるほど、言い換えると、走行車体Cの自機位置NMが目標移動経路LMに相当する箇所に近づくほど、設定傾斜角αは小さくなる。
自動操向制御を実行しながら直進走行しているときに、図9に示すように、走行車体Cが既作業領域Z1側に位置ずれしている状態で、位置ずれ修正処理を実行するときは、操向制御部69は、図10に示すように、走行車体Cが未作業領域Z2側に位置ずれしている状態に比べて、設定傾斜角αを大きめに設定するようになっている。つまり、走行車体Cが既作業領域Z1側に位置ずれしていれば、ティーチング方位TAから傾斜させる設定傾斜角αを大きめに設定して位置ずれ修正処理を実行する。すなわち、既作業領域Z1にて苗が既に植えられているので、この既植苗を走行車体Cが踏み荒らさないように、迅速に目標移動経路LMに向けて位置を修正させるようにしている。
操向制御部69は、自動操向制御を実行しているときに、操向モータ58の操作に反して、運転者が手動で操向ハンドル43を操作したことがトルクセンサ61の検出情報に基づいて判別された場合、言い換えると、操向ハンドル43による変更指令が指令された場合には、その手動操作を許容する程度に、自動操向制御において操向モータ58を操作するときの操作力を低減させる。
このように手動操作による操向ハンドル43の操作が検出され、操向モータ58の操作力を低減させると、その後は、手動操作が行われなくなった後も、操向モータ58の操作力を低減させた状態を維持するようになっている。この状態は、自動操向スイッチ50が操作されて、自動切りモードに切り換わったのち、再度、自動入りモードに切り換わるまで維持される。
但し、操向ハンドルによる変更指令が設定時間(例えば、十数秒〜数十秒間)以上にわたって長く継続して指令されると、自動操向制御を停止して自動切りモードに切り換わるようになっている。このように手動操縦を優先することで、例えば、障害物との衝突を避けたり、制御が適正に行われないときに軌道修正することが可能になっている。自動入りモードへの復帰は自動操向スイッチの押し操作により行うことができる。
走行車体Cが直進走行経路の終端位置Q4(図6参照)に至ると、運転者が自動操向スイッチ50を操作して、操向制御部69を自動切りモードに切り換える。このとき、操作レバー45を操作して、苗植付装置Wに対する伝動を遮断させて、苗植付装置Wを上昇させる。その後、運転者が手動で操向ハンドル43を操作して、次回の直進走行経路に向けて走行車体Cを旋回させる。以後、前回の直進走行経路と同様に、旋回後に判別条件が成立したのちに、自動操向スイッチ50が操作されると自動操向制御を開始する。自動操向制御を実行しながら走行車体Cが直進走行する。そして、上述したような旋回走行と直進走行とを繰り返す。
操向制御部69は、自動切りモードが設定されているときは、操向ハンドル43による変更指令に対応する走行状態となるように、操向モータ58を操作するアシスト制御を実行する。このアシスト制御では、トルクセンサ61と操向角センサ60の検出情報に基づいて、操向制御部69が操向ハンドル43が操作されたこと、及び、その操作方向を検出すると、その操作方向と同一方向に向けて操向モータ58を作動させるのである。手動操作が停止されると、操向モータ58の作動も停止する。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、操向制御部69が、位置ずれ修正処理を実行するときに、自機位置NMが目標移動経路LMに相当する箇所から大きく離れていれば、傾斜目標方位KAの目標方位TAに対する傾斜を大側に設定し、自機位置NMが目標移動経路LMに相当する箇所に近づくほど、傾斜目標方位KAの目標方位に対する傾斜を緩くするようにしたが、この構成に代えて、次のように構成してもよい。
すなわち、操向制御部が、位置ずれ修正処理を実行するときは、自機位置(検出位置)NMが目標移動経路LMに相当する箇所に達するまで、傾斜目標方位をそのまま維持するようにしてもよい。目標移動経路LMに相当する箇所というのは、目標移動経路に相当する位置の左右両側に横方向に所定幅の領域(不感帯)を有している。つまり、自機位置(検出位置)NMが、目標移動経路に相当する位置に対して設定された不感帯の端部に達すると、位置ずれ修正処理を終了する。このことにより、制御の遅れが少なく、車体の方位を目標移動経路に沿う方位に修正することができる。
(2)上記実施形態では、操向制御部69は、自動操向制御を実行しているときに、操向ハンドル43による変更指令が指令された場合には、その手動操作を許容する程度に、自動操向制御において操向モータ58を操作するときの操作力を低減させるようにしたが、この構成に代えて、次のように構成してもよい。
すなわち、操向制御部69は、自動操向制御を実行しているときに、操向ハンドル43による変更指令が指令された場合には、直ちに、自動操向制御を停止し、その後は、運転者が操向ハンドル43を操作する操作力に、操向モータ58による操向ハンドル43の操作に応じた補助力を付与してステアリング操作軸54を回動操作し、前車輪10の操向角度を変更するアシスト制御を実行するようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、操向制御部は、走行車体が既作業領域Z1側に位置ずれしている状態で、位置ずれ修正処理を実行するときは、走行車体が未作業領域Z2側に位置ずれしている状態に比べて、設定傾斜角αを大きい値に設定するようにしたが、この構成に代えて、次のように構成してもよい。
すなわち、操向制御部69は、走行車体Cが未作業領域Z2側に位置ずれしている状態で、位置ずれ修正処理を実行するときは、走行車体Cが既作業領域Z1側に位置ずれしている状態に比べて、設定傾斜角αを大きい値に設定するようにしてもよい。
この構成は、例えば、コンバイン等のように、走行に伴って植立している作物を刈り取るような作業を行う作業車であれば、好適に用いることができる。
(4)上記実施形態では、走行車体が旋回走行を行ったのちに、位置ずれ修正処理を許容するための判別条件が、走行車体Cの旋回が終了してから一定時間が経過すること、及び、自機方位NAとティーチング方位TAとのズレ角度が所定範囲内となることであったが、この構成に代えて、判別条件としては、次のように条件にしてもよい。又、これに限らず、要するに、車体の向きが安定したことを判別できるものであればよい。
(4−1)旋回が終了してから設定距離走行すること。
(4−2)旋回が終了してから設定時間が経過すること。
(4−3)自機方位NAとティーチング方位TAとのズレ角度が所定範囲内となること。
(4−4)上記(4−1)と(4−3)の両方を満たすこと。
(4−5)上記(4−1)、(4−2)、(4−3)の全てを満たすこと。
(5)上記実施形態では、作業装置として、苗植付装置Wが備えられているものが例示されているが、これに限られない。例えば、作業装置として、苗植付装置Wに加えて、施肥装置や薬剤散布装置等が備えられていてもよい。
(6)上記実施形態では、位置検出手段としての衛星測位用ユニットとして、GPSを用いるようにしたが、ガリレオ等の他の型式の衛星測位用ユニットでもよい。又、衛星測位ユニットに代えて、例えば、地上側にレーザー光を投光して車体の位置を計測するような光学式の計測装置を備えるような他の計測システムを用いてもよい。
本発明は、作業装置として苗植付装置を備える上記乗用型の田植機以外にも、例えば、作業装置として播種装置を備える植播系水田作業車である乗用型の直播機、作業装置としてプラウ等を備えるトラクタ、若しくは、作業装置として刈取部等を備えるコンバイン等の農作業車、または、作業装置としてバケット等を備える建設作業車等の種々の作業車に利用できる。
43 手動操向操作具(操向ハンドル)
58 操向操作手段(操向モータ)
61 手動操作検出手段(トルクセンサ)
64 位置検出手段(位置計測ユニット)
66 方位検出手段(慣性計測ユニット)
68 経路設定手段(経路設定部)
69 制御手段(操向制御部)
70 車速検出手段(車速センサ)
C 車体
KA 傾斜目標方位
LM 目標移動経路
NA 検出方位(自機方位)
NM 検出位置(自機位置)
TA 目標方位(ティーチング方位)
Z1 既作業領域
Z2 未作業領域
α 傾斜角

Claims (16)

  1. 車体の進行方向を変更可能な操向操作手段と、
    前記車体が走行すべき目標移動経路を設定する経路設定手段と、
    前記車体の位置を検出する位置検出手段と、
    前記車体の方位を検出する方位検出手段と、
    前記位置検出手段にて検出される前記車体の検出位置が、前記目標移動経路上の位置になるように、且つ、前記方位検出手段にて検出される前記車体の検出方位が前記目標移動経路における目標方位になるように、前記操向操作手段を操作する自動操向制御を実行する制御手段とが備えられ、
    前記制御手段は、
    前記検出位置が前記目標移動経路から横方向にずれており、且つ、前記検出方位が前記目標方位と同じであるときは、前記目標方位を前記目標移動経路側に傾斜した傾斜目標方位に変更して前記操向操作手段を操作する位置ずれ修正処理を実行する作業車。
  2. 前記制御手段は、
    前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記傾斜目標方位の前記目標方位に対する傾斜角を設定上限値以下に設定する請求項1に記載の作業車。
  3. 車速を検出する車速検出手段が備えられ、
    前記制御手段は、
    前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記車速が大きいほど前記操向操作手段が前記進行方向を変更するときの変更操作速度が小さい請求項1又は2に記載の作業車。
  4. 車速を検出する車速検出手段が備えられ、
    前記制御手段は、
    前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記車速が大きいほど前記目標方位を前記目標移動経路側に傾斜させる傾斜角度が小さい請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車。
  5. 前記制御手段は、
    前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記検出位置が前記目標移動経路に相当する箇所に達するまで、前記傾斜目標方位をそのまま維持する請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車。
  6. 前記制御手段は、
    前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記検出位置が前記目標移動経路に相当する箇所に近づくほど、前記傾斜目標方位の前記目標方位に対する傾斜を緩くする請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車。
  7. 前記目標移動経路に相当する箇所は、前記目標移動経路に相当する位置の左右両側に横方向に所定幅の領域を有している請求項5又は6に記載の作業車。
  8. 前記車体は、前記目標移動経路に沿って走行しながら作業を行う直進走行と、前記目標移動経路の終端位置にて前記目標移動経路と平行な次回の目標移動経路に向けて旋回する旋回走行とを交互に繰り返して走行するものであり、
    前記制御手段は、
    前記車体が既作業領域側に位置ずれしている状態で、前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記車体が未作業領域側に位置ずれしている状態に比べて、前記目標移動経路側に大きく傾斜させて前記傾斜目標方位を設定する請求項1〜7のいずれか1項に記載の作業車。
  9. 前記車体は、前記目標移動経路に沿って走行しながら作業を行う直進走行と、前記目標移動経路の終端位置にて前記目標移動経路と平行な次回の目標移動経路に向けて旋回する旋回走行とを交互に繰り返して走行するものであり、
    前記制御手段は、
    前記車体が未作業領域側に位置ずれしている状態で、前記位置ずれ修正処理を実行するときは、前記車体が既作業領域側に位置ずれしている状態に比べて、前記目標移動経路側に大きく傾斜させて前記傾斜目標方位を設定する請求項1〜7のいずれか1項に記載の作業車。
  10. 前記車体は、前記目標移動経路に沿って走行しながら作業を行う直進走行と、前記目標移動経路の終端位置にて前記目標移動経路と平行な次回の目標移動経路に向けて旋回する旋回走行とを交互に繰り返して走行するものであり、
    前記制御手段は、
    前記車体が前記旋回走行を行ったのちに前記直進走行を開始した直後においては、所定の判別条件が成立までの間は、前記位置ずれ修正処理を実行しない請求項1〜9のいずれか1項に記載の作業車。
  11. 手動操作に基づいて前記車体の進行方向の変更を指令する手動操向操作具と、
    前記手動操向操作具に対する手動操作が行われたことを検出する手動操作検出手段とが備えられ、
    前記制御手段は、
    前記手動操作検出手段にて手動操作が検出されると、前記自動操向制御において前記操向操作手段を操作するときの操作力を低減させる請求項1〜10のいずれか1項に記載の作業車。
  12. 前記制御手段は、
    前記手動操作検出手段にて手動操作が検出されると、前記操作力を低減させ、且つ、前記手動操作検出手段による手動操作が検出されなくなっても、前記操作力を低減させている状態を維持する請求項11に記載の作業車。
  13. 前記制御手段は、
    前記手動操作検出手段にて手動操作が検出されると、前記操作力を低減させ、且つ、前記手動操作検出手段による手動操作が検出されなくなると、前記操作力を元の大きさに戻す請求項11に記載の作業車。
  14. 手動操作に基づいて前記車体の進行方向の変更を指令する手動操向操作具と、
    前記手動操向操作具に対する手動操作が行われたことを検出する手動操作検出手段とが備えられ、
    前記制御手段は、
    前記手動操向操作具による変更指令が設定時間以上継続して指令されると、前記自動操向制御を停止する請求項1〜13のいずれか1項に記載の作業車。
  15. 手動操作に基づいて前記車体の進行方向の変更を指令する手動操向操作具と、
    前記手動操向操作具に対する手動操作が行われたことを検出する手動操作検出手段とが備えられ、
    前記制御手段は、
    前記手動操作検出手段にて手動操作が検出されると、前記自動操向制御を停止するとともに、前記手動操向操作具による変更指令に対応する走行状態となるように、前記操向操作手段を操作するアシスト制御を実行する請求項1〜10のいずれか1項に記載の作業車。
  16. 前記位置検出手段が、衛星からの電波を受信して前記車体の位置を検出する衛星測位用ユニットである請求項1〜15のいずれか1項に記載の作業車。
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