JP2017122388A - 天井下地構造及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡素な構造でありながら耐震性を向上させるブレース取付構造及びブレース取付方法並びに天井下地構造を提供すること。
【解決手段】天井下地材2は、野縁に並行して配設される野縁補強材60と、ブレース91の他端9bを受け入れるブレース受入部73を有するブレース受材70を備える。野縁補強材60は、天井仕上材2を固定する固定面61と、この固定面61から立設しブレース受材70を受け入れるブレース受材受入部63を形成する一対の側面62を有する。ブレース受入部73は、野縁受4に直交しブレース91と対向する一対の第一面74と、形成面62と対向する第二面75とを備える。ブレース91は野縁方向Xに沿って設けられ、ブレース受入部73にハンガー7を嵌入させて第一面74にブレース91の他端9bを固定すると共に第二面75と側面62を固定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ブレース取付構造及びブレース取付方法並びに天井下地構造に関する。さらに詳しくは、天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材を備える天井下地構造において、一端が前記吊材の上部に取り付けられたブレースの他端を前記天井下地材に取り付けるブレース取付構造及びブレース取付方法並びに天井下地構造に関する。
従来、上述の如き天井下地構造として、例えば特許文献1(図7)に記載の如きものが知られている。この天井下地構造では、一端が吊材上部に取り付けられたブレースの他端が野縁受の上部に野縁長手方向に沿って配設した直交材に取り付けられ、ブレースが野縁長手方向に隣接する吊材間で略V字状に架け渡している。
しかし、このような構造では、図10(a)に示すように、野縁受4’上部の直交材101にブレース9’を固定するので、ブレース9’の取付位置P1が野縁受4’の位置P0よりも水平荷重Fの生じる天井仕上材2’の天井面Cから離隔する。そのため、ブレース9’にモーメントMが掛かりやすく、天井の揺れを十分に抑制することが困難となっていた。また、同図(b)に示すように、構造上、ハンガー7’との干渉を避けるために、ブレース9’の他端9’bを直交材101によりハンガー7’近傍に位置させなければならず、ブレース中心軸a0が吊材中心軸a1に対しずれてしまう。そのため、この軸のずれにより、ねじれが生じやすく、ブレースに水平荷重を効率よく負担させることが困難となっていた。
また、野縁受長手方向に隣接する吊材の間でブレースを略V字状に架け渡す場合、図11(a)に示すように、ブレース9’の取付位置P2と野縁受4’の位置P0とがほぼ同等となる。しかし、同図(b)に示すように、構造上、ブレース中心軸a0が野縁受4’の中心軸(水平荷重の中心)a2に対しずれてしまう。そのため、この軸のずれにより、ねじれが生じやすく、ブレースに水平荷重を効率よく負担させることが困難となっていた。しかも、野縁長手方向のブレース取付位置P1と野縁受長手方向のブレース取付位置P2が異なると、天井下地構造全体でねじれが生じやすくなり、水平荷重の伝達効率も低下し、耐震性が低下することとなっていた。
特開2013−79568号公報
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、簡素な構造でありながら耐震性を向上させることの可能なブレース取付構造及びブレース取付方法並びに天井下地構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るブレース取付構造の特徴は、天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材を備える天井下地構造において、一端が前記吊材の上部に取り付けられたブレースの他端を前記天井下地材に取り付ける構成において、前記天井下地材は、前記野縁に並行して配設される野縁補強材と、前記ブレースの前記他端を受け入れるブレース受入部を有するブレース受材を備え、前記野縁補強材は、前記天井仕上材を固定する固定面と、この固定面から立設し前記ブレース受材を受け入れるブレース受材受入部を形成する一対の側面を有し、前記ブレース受入部は、前記野縁受に直交し前記ブレースと対向する一対の第一面と、前記側面と対向する第二面とを備え、前記ブレースは、前記野縁の長手方向に沿って設けられ、前記ブレース受入部に前記ハンガーを嵌入させて前記第一面に前記ブレースの前記他端を固定すると共に前記第二面と前記側面を固定することにある。
上記構成によれば、野縁補強材は野縁に並行して配設され、ブレース受材を受け入れるブレース受材受入部を有する。そして、ブレースの他端は、ブレース受材のブレース受入部における野縁受に直交しブレースと対向する一対の第一面に固定される。よって、ブレース材の取付位置(天井面からの高さ)を野縁受と同等の高さとして、水平荷重の作用する天井仕上材(天井面)に近づけることでモーメントを抑制することができる。しかも、ブレース受入部にハンガーを嵌入させてブレース受入部の第一面にブレースの他端を固定すると共にブレース受入部の第二面と野縁補強材の側面とを固定するので、ブレース中心軸、吊材中心軸及び野縁補強材中心軸を一致させることができる。これにより、各部材及びこれら接合部分にねじれ等の変形が抑制され、各部材を介して水平荷重をブレースへ効率よく伝達することができる。従って、ブレースに水平荷重をより多く負担させることができ、天井下地構造の耐震性が向上する。
上記目的を達成するため、本発明に係るブレース取付構造の他の特徴は、天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材を備える天井下地構造において、一端が前記吊材の上部に取り付けられたブレースの他端を前記天井下地材に取り付ける構成において、前記天井下地材は、前記野縁受に並行して配設される野縁受補強材を備え、前記ブレースは、前記野縁受の長手方向に沿って設けられ、前記野縁受補強材を前記野縁受に対し前記吊材が位置する側に配置すると共に前記ブレースの前記他端を前記野縁受及び前記野縁受補強材で挟んで固定することにある。
上記構成によれば、野縁受補強材は野縁受に並行して配設されるので、ブレース材の取付位置を野縁受と同等の高さとして、水平荷重の作用する天井仕上材(天井面)に近づけることでモーメントを抑制することができる。また、野縁受補強材を野縁受に対し吊材が位置する側に配置すると共にブレースの他端を野縁受及び野縁受補強材で挟んで固定するので、野縁受と野縁受補強材とが一体となり、野縁長手方向に沿う水平荷重を一体で負担(伝達)することとなる。しかも、ブレース中心軸、吊材中心軸及び一体化された野縁受中心軸とを一致させることができる。これにより、各部材及びこれら接合部分にねじれ等の変形が抑制され、且つ各部材を介して水平荷重をブレースへ効率よく伝達することができる。従って、ブレースに水平荷重をより多く負担させることができ、天井下地構造の耐震性が向上する。
前記野縁補強材は、前記野縁受に固定されているとよい。これにより、野縁受との間での滑り現象を防止し、水平荷重をより効率よく野縁受を介してブレースへ伝達させることができる。
前記一対の側面の上端は、外方に向けて折り曲げられたリップ部を備えるとよい。これにより、野縁補強材のブレース受材受入部へのブレース受材の嵌入が容易となると共に野縁受への固定も容易となる。しかも、野縁受との接触部分が増大するので、荷重が掛かっても部材の姿勢(連結状態)が安定すると共に形状変形が抑制される。
少なくとも前記ブレースの前記他端に隣接する野縁と野縁受との交差部の連結金具は、前記野縁及び前記野縁受にビス止めされるとよい。これにより、当該部分近傍に位置する交差部における滑り現象を抑制し、ブレースに水平荷重をさらに効率よく伝達させることができる。しかも、少なくともブレースの他端に隣接する交差部分でビス止めを行うので、作業性もよい。
前記固定は、各面に直交する方向へのビス止めにより行われることが望ましい。これにより、各部材におけるせん断方向にビスを直交させて、各部材間の連結固定を強固とし、水平荷重の伝達効率をさらに向上させることができる。しかも、ビス止めであるので、作業性もよい。
上記目的を達成するため、本発明に係るブレース取付方法の特徴は、天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材を備える天井下地構造において、一端が前記吊材の上部に取り付けられたブレースの他端を前記天井下地材に取り付ける方法において、前記天井下地材は、前記野縁に並行して配設される野縁補強材と、前記ブレースの前記他端を受け入れるブレース受入部を有するブレース受材を備え、前記野縁補強材は、前記天井仕上材を固定する固定面と、この固定面から立設し前記ブレース受材を受け入れるブレース受材受入部を形成する一対の側面を有し、前記ブレース受入部は、前記野縁受に直交し前記ブレースと対向する一対の第一面と、前記側面と対向する第二面とを備え、前記ブレースを前記野縁の長手方向に沿って設け、前記ブレース受入部に前記ハンガーを嵌入させて前記第一面と前記ブレースの前記他端を固定すると共に前記第二面と前記側面を固定することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係るブレース取付方法の他の特徴は、天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材を備える天井下地構造において、一端が前記吊材の上部に取り付けられたブレースの他端を前記天井下地材に取り付ける方法において、前記天井下地材は、前記野縁受に並行して配設される野縁受補強材を備え、前記ブレースを前記野縁受の長手方向に沿って設け、前記野縁受補強材を前記野縁受に対し前記吊材が位置する側に配置すると共に前記ブレースの前記他端を前記野縁受及び前記野縁受補強材で挟んで固定することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る天井下地構造の特徴は、天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材と、一端が前記吊材の上部に取り付けられ他端が前記天井下地材に取り付けられるブレースを備える構成において、前記天井下地材は、前記野縁に並行して配設される野縁補強材と、前記ブレースの前記他端を受け入れるブレース受入部を有するブレース受材と、前記野縁受に並行して配設される野縁受補強材を備え、前記野縁補強材は、前記天井仕上材を固定する固定面と、この固定面から立設し前記ブレース受材を受け入れるブレース受材受入部を形成する一対の側面を有し、前記ブレース受入部は、前記野縁受に直交し前記ブレースと対向する一対の第一面と、前記側面と対向する第二面とを備え、前記ブレースは、前記野縁の長手方向に沿って設けられる第一ブレースと、前記野縁受の長手方向に沿って設けられる第二ブレースを備え、前記ブレース受入部に前記ハンガーを嵌入させて前記第一面と前記第一ブレースの前記他端を固定すると共に前記第二面と前記側面を固定し、前記野縁受補強材を前記野縁受に対し前記吊材が位置する側に配置すると共に前記第二ブレースの前記他端を前記野縁受及び前記野縁受補強材で挟んで固定することにある。
上記構成によれば、野縁長手方向に沿う第一ブレースの取付位置と、野縁受長手方向に沿う第二ブレースの取付位置は、いずれも野縁受と同等の高さとして、天井仕上材(天井面)により近接させることでモーメントを抑制することができる。しかも、ブレース取付位置を統一しているので、天井下地構造全体に作用する水平方向のねじりモーメントや曲げモーメントを抑え、天井の揺れを抑制することができる。
上記本発明に係るブレース取付構造及びブレース取付方法並びに天井下地構造の特徴によれば、簡素な構造でありながら耐震性を向上させることが可能となった。
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
天井下地構造を示す斜視図である。 本発明に係るブレース取付構造の第一実施形態を示す斜視図である。 (a)は図2のX方向視図、(b)は図2のY方向視図である。 連結金具の取付状態を示す図である。 本発明に係るブレース取付構造の第二実施形態を示す斜視図である。 図5のX方向視図である。 実施例1の加圧試験結果を示すグラフである。 実施例2の加圧試験結果を示すグラフである。 ブレース受材の改変例の一例を示す図である。 従来の野縁長手方向におけるブレース取付構造の一例を模式的に示す図である。 従来の野縁受長手方向におけるブレース取付構造の一例を模式的に示す図である。
次に、適宜図面を参照しながら、本発明についてさらに詳しく説明する。
[天井下地構造]
本発明に係るブレース取付構造は、例えば図1に示す如き天井下地構造1に用いられる。この天井下地構造1は、大略、天井仕上材2が取り付けられる野縁3と、この野縁3に直交する野縁受4を有する天井下地材5と、野縁受4をハンガー7を介して吊り下げ支持する吊材6を備える。そして、一端9aが吊材6の上部(図示省略する天井スラブ側)に取り付けられたブレース9の他端9bは隣接する吊材6の天井下地材5に取り付けられ、一端9aが取り付けられた吊材6,6間で傾斜状(略V字状)に架け渡されている。
本実施形態において、天井仕上材2は、例えば2層構造を呈し、天井面として露出される第一仕上材21と、この第一仕上材21を接着固定する第二仕上材22とからなる。第二仕上材22は、鉛直方向Zに沿うビス23により後述の野縁3及び野縁補強材60に固定される。地震等により天井仕上材2に生じる水平荷重の方向に対しビス23を直交させることで、水平荷重Fを効率よく野縁3及び野縁補強材60に伝達する。
野縁3は、図1,4に示すように、天井仕上材2がビス23を介して取付固定されるウェブ31と、ウェブ31の両端から立ち上がる一対のフランジ32,32を有する。フランジ32の上端には、外方に向けて略直角に折り曲げられたリップ部33が形成されている。これにより、野縁受4との接触面積が増大し、その摩擦力によって位置ずれを抑制する。
野縁受4は、図1,2,4に示すように、鉛直方向Zに平行となるウェブ41と、ウェブ41の両端からウェブ41に略直交して突出する上下一対のフランジ42a,42bを有する。野縁受4は、野縁3のリップ部33上に野縁長手方向Xに直交するように配設され、連結金具50,50’により野縁3と連結固定される。この連結金具50,50’は、図4に示すように、一対の板状部材51,51で野縁3の一対のリップ部33,33と野縁受4の下フランジ42aとを挟み込み、ボルト52及び/又はビス53により固定する。これにより、野縁3と野縁受4とを強固に連結して滑りを防止する。
天井下地材5は、図1に示すように、大略、野縁3に並行して配設される野縁補強材60と、ブレース9の他端9bを受け入れるブレース受入部73を有するブレース受材70と、野縁受4に並行して配設される野縁受補強材80をさらに備える。
ハンガー7は、図1,2,5に示すように、吊材6に直交する連結部7aの下に第一縦部7bが垂下し、水平な底部を経て第二縦部7cが垂直に立設されている。第二縦部7cの先端には係止部7dが形成され、第一、第二縦部7b,7cの間に挿入された野縁受4が係止部7dと係合し、脱落を抑制する。さらに、ボルト等の連結具7eによって、野縁受4とハンガー7は、より強固に連結固定され、野縁受4の滑りを抑制する。
また、本実施形態においてブレース9は中空の角柱状を呈し、野縁3の長手方向Xに沿って設けられる第一ブレース91と、野縁受4の長手方向Yに沿って設けられる第二ブレース92とを備える。
[ブレース取付構造10A]
ここで、本発明に係るブレース連結構造の第一実施形態について、さらに詳しく説明する。本実施形態は、図2に示す如き野縁方向Xに沿って傾斜状に架け渡され第一ブレース91の取付構造に関する。ブレース連結構造10Aは、図1〜3に示すように、大略、野縁補強材60と、第一ブレース91の他端91bを受け入れるブレース受入部73を有するブレース受材70とを有する。
野縁補強材60は、図2,3に示すように、天井仕上材2が固定される固定面61としてのウェブと、この固定面61の両端から立設する一対の側面62,62としてのフランジを有する。固定面61及び一対の側面62,62が、ブレース受材受入部63を形成する。一対の側面62,62の幅(内面間の距離)は、ブレース受材70の幅(外面間の距離)とほぼ等しい。また、側面62の上端には、外方に向けて略直角に折り曲げられたリップ部64が形成されている。これにより、野縁受4との接触面積が増大し、荷重が掛かっても部材の姿勢(連結状態)が安定すると共に形状変形が抑制される。
本実施形態では、図2,3に示すように、第二仕上材22と固定面61とがビス23により固定される。また、リップ部64はビス65により野縁受4の下フランジ42aに固定される。これにより、ブレース受材70及び第一ブレース91を野縁受4に対し直交配置させることができる。しかも、野縁補強材60と野縁受4とを強固に連結して滑りを防止する。
ブレース受材70は、図2,3に示すように、断面略コの字状のチャンネル材であり、固定面61に対向するウェブ71と、このウェブ71の両端から立設する一対の側面72,72としてのフランジを有する。これらウェブ71及び一対の側面72,72が、ブレース受入部73を形成する。ブレース受入部73は、野縁受4に直交し第一ブレース91の側面と対向する一対の第一面74,74と、野縁補強材60の側面62と対向する一対の第二面75,75を備える。本実施形態において、第一、第二面74,75は、同一平面上に位置し側面72を構成する。
図2,3に示すように、ブレース受材70の一対の側面72,72の幅(内面間の距離)は、第一ブレース91の幅(外面間の距離)とほぼ等しい。また、ブレース受材70の一対の側面72,72の幅は、ハンガー7の第一、第二縦部7b、7cの幅ともほぼ等しい。よって、ブレース受入部73にハンガー7及び第一ブレース91をそれぞれ嵌入させ、それぞれ対向する面をビス76,77で固定止めすることで、水平荷重Fを野縁補強材60からブレース受材70を介して第一ブレース91まで効率よく伝達させることができる。しかも、野縁補強材60の中心軸(野縁方向Xに沿う水平荷重の中心)、第一ブレース91の中心軸及び吊材6の中心軸は、軸A1上で一致する。従って、軸ずれによる各部材のねじれ等の変形を防止でき、天井下地構造1全体の耐震性が向上する。しかも、第一ブレース91の端部9bの取付位置Pは、野縁受4とほぼ同高さとなり、天井面Cに近づけることでモーメントの発生をも抑制できるので、さらに耐震性が向上する。
ここで、ブレース連結構造10Aに隣接する野縁3と野縁受4との交差部においては、連結金具50’を用いる。図4に示すように、この連結金具50’は、一対の板状部材51,51をボルト52のみではなく、ビス53’によっても固定する。これにより、野縁3と野縁受4とをより強固に連結固定し、第一ブレース91への水平荷重の伝達効率をさらに向上させる。なお、本実施形態では、例えばブレース連結構造10AにX及びY方向で隣接する交差部において、連結金具50’を用いている。
[ブレース取付構造10B]
次に、本発明に係るブレース連結構造の第二実施形態について、さらに詳しく説明する。第二実施形態は、図5に示す如き野縁受方向Yに沿って設けられる第二ブレース92の取付構造に関する。なお、以下の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を付してある。
ブレース連結構造10Bは、図1,5,6に示すように、野縁受補強材80を有する。野縁受補強材80は、野縁受4と同様の構成であり、鉛直方向Zに平行となるウェブ81と、ウェブ81の両端からウェブ81に略直交して突出する上下一対のフランジ82a,82bを有する。
ここで、吊材6は、図5,6に示すように、ハンガー7によって野縁受4のウェブ41の裏面41b側に位置する。そこで、野縁受補強材80を野縁受4の裏面41b側に配置して、第二ブレース92を野縁受4のウェブ41及び野縁受補強材80のウェブ81で挟んでビス83により固定する。これにより、図6に示すように、野縁受4及び野縁受補強材80は、ビス83により一体となり、その長手方向Yに沿って水平荷重が伝達される。また、第二ブレース92は野縁受4と野縁受補強材80の間に位置する。よって、一体化された野縁受480の中心軸(野縁受方向Yに沿う水平荷重の中心)と第二ブレース92の中心軸は、軸A2上で一致する。しかも、吊材6は野縁受4及び野縁受補強材80の間に位置するので、吊材6の中心軸A3は、軸A2に極めて近接する。従って、軸ずれによる各部材のねじれ等の変形を防止でき、且つ水平荷重Fを一体化された野縁受480により効率よく第二ブレース92まで伝達させることができるので、天井下地構造1全体の耐震性が向上する。しかも、第二ブレース92の端部9bの取付位置Pは、野縁受4とほぼ同高さとなり、天井面Cに近づけることでモーメントの発生をも抑制できるので、さらに耐震性が向上する。
第二実施形態においても、図1に示すように、ブレース連結構造10Bに隣接する交差部において、連結金具50’を用い、第二ブレース92への水平荷重の伝達効率をさらに向上させる。なお、本実施形態では、例えば第二ブレース92の上部9aが固定された吊材6,6の間の交差部において、連結金具50’を用いている。
[実施例1]
ここで、発明者らは、上記各実施形態の有効性を評価するために、以下の実験(実施例1,2)を行った。実施例1では、天井下地材2(石膏ボード(厚さ12.5mm)及び岩綿吸音板(厚さ9mm))を取り付けた天井下地材5を吊材6で吊り下げ支持した天井下地構造(JIS−19型、1800mm×3600mm、天井懐1200mm)に上記ブレース連結構造10Aを設けた試験体において、その天井下地材2の一方の縁部を野縁方向Xへジャッキ等で加圧し、天井下地材2の他方の縁部及び第一ブレース91が架け渡された一方の野縁受4に掛かる荷重(N)をひずみゲージ式変換機により測定した。また、野縁方向Xへの変位量を測定した。比較例1は、上記天井下地構造に図10に示す如くブレースを設けた試験体で同様に試験を行った。その結果を図7に示す。
図7に示すように、加圧荷重6000Nにおいて、実施例1のブレース変位量は3.16mm、天井面変位量は5.52mmとなり、その差(変位差)は1.34mmであった。また、加圧荷重9000Nにおいて、実施例1のブレース変位量は6.46mm、天井面変位量は10.94mmとなり、変位差は4.48mmであった。他方、比較例1ではいずれも測定不能であった。よって、比較例1に比べ格段に変位量を低減できることが分かる。また、天井懐の1/100に相当する変位量12mmを生じる荷重は、比較例1に比べ格段に向上している。しかも、加圧荷重6000N〜9000Nの範囲において、実施例1では、荷重と変位との関係がほぼ一定の勾配となっており、当該範囲において弾性変形が可能であることが判明した。このように、上記第一実施形態の構成によって、天井下地構造の耐震性が格段に向上することが裏付けられた。
[実施例2]
また、実施例2では、上記天井下地構造に上記ブレース連結構造10Bを設けた試験体において、天井下地材2の一方の縁部を野縁受方向Yへジャッキ等で加圧し、同様の測定を行った。比較例2は、上記天井下地構造に図11に示す如くブレースを設けた試験体で同様に試験を行った。その結果を図8に示す。
図8に示すように、加圧荷重6000Nにおいて、実施例2のブレース変位量は4.50mm、天井面変位量は6.00mmとなり、その差(変位差)は1.5mmであった。他方、比較例2における変位差は実施例2よりも大きくなった。また、加圧荷重9000Nにおいて、実施例2のブレース変位量は6.72mm、天井面変位量は9.66mmとなり、変位差は2.94mmであった。他方、比較例2では測定不能であった。よって、比較例2に比べ格段に変位量を低減できることが分かる。また、天井懐の1/100に相当する変位量12mmを生じる荷重は、比較例2に比べ格段に向上している。しかも、加圧荷重6000N〜9000Nの範囲において、実施例2では、荷重と変位との関係がほぼ一定の勾配となっており、当該範囲において弾性変形が可能であることが判明した。このように、上記第二実施形態の構成によっても、天井下地構造の耐震性が格段に向上することが裏付けられた。
最後に、本願発明のさらに他の実施形態の可能性に言及する。
上記第一実施形態において、ブレース受材70として断面略コの字状のチャンネル材を用い、野縁受4に直交し第一ブレース91の側面と対向する第一面74と、野縁補強材60の側面62と対向する第二面75とを同一平面(フランジ72)に形成した。しかし、ブレース受材70の形状は、これに限られるものではない。例えば、図9に示すように、第一面74’と第二面75’とを略平行に異なる平面上に形成しても構わない。ブレース受材70の形状(幅)は第一ブレース91、ハンガー7及び野縁受補強材60の形状(幅)に応じて適宜変更可能であり、各部材が互いに対向する面でそれぞれ固定(ビス止め)される形状であれば、特に限定されるものではない。
上記各実施形態において、ブレース連結構造10A,10Bに隣接する野縁3と野縁受4の交差部において、ビス53を用いる連結金具50’にて固定した。しかし、他の交差部においても連結金具50’を用いてもよいが、施工性の点で上記各実施形態が優れている。また、上記各実施形態における連結金具50’による固定箇所は、あくまで一例に過ぎず、上記に限定されるものではない。
また、上記各実施形態において、外方に向けて略直角に折り曲げられたリップ部33を設けた野縁3を用いて天井下地材5を構成した。しかし、野縁3は、上述の如き形状に限られるものではなく、例えば図10(b)に示す如き、内方に向けて屈曲されたリップ部を形成した野縁3’を用いることも可能である。
1:天井下地構造、2:天井仕上材、3:野縁(シングル野縁)、3W:野縁(ダブル野縁)、4:野縁受、5:天井下地材、6:吊材、7:ハンガー、7a:連結部、7b:第一縦部、7c:第二縦部、7d:係止部、7e:連結具、9:ブレース、9a:一端、9b:他端、10A,10B:ブレース取付構造、21:第一仕上材、22:第二仕上材、23:ビス、31:ウェブ、32:フランジ、33:リップ部、41:ウェブ、41b:裏面、42a:下フランジ、42b:上フランジ、50,50’:連結金具、51:板状部材、52:ボルト、53:ビス、60:野縁補強材、61:ウェブ(固定面)、62:フランジ(側面)、63:ブレース受材受入部、64:リップ部、65:ビス、70,70’:ブレース受材、71:ウェブ、72:フランジ(側面)、73:ブレース受材受入部、74,74’:第一面、75,75’:第二面、76:ビス、77:ビス、79:リップ部、80:野縁受補強材、81:ウェブ、82a:下フランジ、82b:上フランジ、83:ビス、91:第一ブレース、92:第二ブレース、101:直交材、480:一体化された野縁受、A1,A2:軸、A3:吊材中心軸、C:天井面、F:水平荷重、M:モーメント、P:取付位置、X:野縁長手方向、Y:野縁受長手方向、Z:鉛直方向
本発明は、天井下地構造及びその施工方法に関する。さらに詳しくは、天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材と、一端が前記吊材の上部に取り付けられ他端が前記天井下地材に取り付けられるブレースを備える天井下地構造及びその施工方法に関する。
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、簡素な構造でありながら耐震性を向上させることの可能な天井下地構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る天井下地構造の特徴は、天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材と、一端が前記吊材の上部に取り付けられ他端が前記天井下地材に取り付けられるブレースを備える構成において、前記ブレースは、前記野縁の長手方向に沿って設けられる第一ブレースと、前記野縁受の長手方向に沿って設けられる第二ブレースを備え、前記天井下地材は、前記野縁に並行し且つ前記第一ブレースの他端が取り付けられるブレース受材と、前記野縁受に並行し且つ前記第二ブレースの他端が取り付けられる野縁受補強材とをさらに有し、前記第一ブレースの他端及び前記第二ブレースの他端の取付位置の前記天井仕上材からの高さを統一するように前記ブレース受材及び前記野縁受補強材が前記野縁受に連結されていることにある。
対をなす前記第一ブレースが、前記野縁の長手方向に沿って吊材の間でV字状に掛け渡されてあり、前記天井下地材は、前記天井仕上材上で前記野縁に並行して配設される野縁補強材をさらに有し、前記野縁補強材の中心軸は、前記野縁の長手方向において、前記対をなす第一ブレースの各々の中心軸と略一致するとよい。係る場合、前記野縁補強材の中心軸は、前記野縁の長手方向において、前記対をなす第一ブレースの各々の一端が取り付けられる各吊材の中心軸とも略一致するとよい。
前記野縁補強材は、前記天井仕上材を固定する固定面と、この固定面から立設し前記ブレース受材を受け入れるブレース受材受入部を形成する一対の側面を有し、前記ブレース受入部は、前記野縁受と略同一高さで直交し前記第一ブレースと対向する一対の第一面と、前記側面と対向する第二面とを備え、前記ブレース受入部に前記ハンガーを嵌入させて前記第一面に前記第一ブレースの他端を固定すると共に前記第二面と前記側面とを固定することで、前記第一ブレースの他端の取付位置の前記天井仕上材からの高さを前記野縁受の前記天井仕上材からの高さと同等にしてあるとよい。
また、対をなす前記第二ブレースが、前記野縁受の長手方向に沿って吊材の間でV字状に掛け渡されてあり、前記対をなす第二ブレースの各々の中心軸は、前記野縁受の長手方向において、前記対をなす第二ブレースの各々の一端が取り付けられる各吊材の中心軸と略一致してもよい。
上記目的を達するため、本発明に係る天井下地構造の施工方法の特徴は、天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材と、一端が前記吊材の上部に取り付けられ他端が前記天井下地材に取り付けられるブレースを備える天井下地構造の施工方法において、前記ブレースは、前記野縁の長手方向に沿って設けられる第一ブレースと、前記野縁受の長手方向に沿って設けられる第二ブレースを備え、前記天井下地材は、前記野縁に並行し且つ前記第一ブレースの他端が取り付けられるブレース受材と、前記野縁受に並行し且つ前記第二ブレースの他端が取り付けられる野縁受補強材とをさらに有し、前記第一ブレースの他端及び前記第二ブレースの他端の取付位置の前記天井仕上材からの高さを統一するように前記ブレース受材及び前記野縁受補強材を前記野縁受に連結することにある。
上記本発明に係る天井下地構造及びその施工方法の特徴によれば、簡素な構造でありながら耐震性を向上させることが可能となった。

Claims (9)

  1. 天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材を備える天井下地構造において、一端が前記吊材の上部に取り付けられたブレースの他端を前記天井下地材に取り付けるブレース取付構造であって、
    前記天井下地材は、前記野縁に並行して配設される野縁補強材と、前記ブレースの前記他端を受け入れるブレース受入部を有するブレース受材を備え、
    前記野縁補強材は、前記天井仕上材を固定する固定面と、この固定面から立設し前記ブレース受材を受け入れるブレース受材受入部を形成する一対の側面を有し、
    前記ブレース受入部は、前記野縁受に直交し前記ブレースと対向する一対の第一面と、前記側面と対向する第二面とを備え、
    前記ブレースは、前記野縁の長手方向に沿って設けられ、
    前記ブレース受入部に前記ハンガーを嵌入させて前記第一面に前記ブレースの前記他端を固定すると共に前記第二面と前記側面を固定するブレース取付構造。
  2. 天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材を備える天井下地構造において、一端が前記吊材の上部に取り付けられたブレースの他端を前記天井下地材に取り付けるブレース取付構造であって、
    前記天井下地材は、前記野縁受に並行して配設される野縁受補強材を備え、
    前記ブレースは、前記野縁受の長手方向に沿って設けられ、
    前記野縁受補強材を前記野縁受に対し前記吊材が位置する側に配置すると共に前記ブレースの前記他端を前記野縁受及び前記野縁受補強材で挟んで固定するブレース取付構造。
  3. 前記野縁補強材は、前記野縁受に固定されている請求項1記載のブレース取付構造。
  4. 前記一対の側面の上端は、外方に向けて折り曲げられたリップ部を備える請求項1又は3記載のブレース取付構造。
  5. 少なくとも前記ブレースの前記他端に隣接する野縁と野縁受との交差部の連結金具は、前記野縁及び前記野縁受にビス止めされる請求項1〜4のいずれかに記載のブレース取付構造。
  6. 前記固定は、各面に直交する方向へのビス止めにより行われる請求項1〜5のいずれかに記載のブレース取付構造。
  7. 天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材を備える天井下地構造において、一端が前記吊材の上部に取り付けられたブレースの他端を前記天井下地材に取り付けるブレース取付方法であって、
    前記天井下地材は、前記野縁に並行して配設される野縁補強材と、前記ブレースの前記他端を受け入れるブレース受入部を有するブレース受材を備え、
    前記野縁補強材は、前記天井仕上材を固定する固定面と、この固定面から立設し前記ブレース受材を受け入れるブレース受材受入部を形成する一対の側面を有し、
    前記ブレース受入部は、前記野縁受に直交し前記ブレースと対向する一対の第一面と、前記側面と対向する第二面とを備え、
    前記ブレースを前記野縁の長手方向に沿って設け、
    前記ブレース受入部に前記ハンガーを嵌入させて前記第一面と前記ブレースの前記他端を固定すると共に前記第二面と前記側面を固定するブレース取付方法。
  8. 天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材を備える天井下地構造において、一端が前記吊材の上部に取り付けられたブレースの他端を前記天井下地材に取り付けるブレース取付方法であって、
    前記天井下地材は、前記野縁受に並行して配設される野縁受補強材を備え、
    前記ブレースを前記野縁受の長手方向に沿って設け、
    前記野縁受補強材を前記野縁受に対し前記吊材が位置する側に配置すると共に前記ブレースの前記他端を前記野縁受及び前記野縁受補強材で挟んで固定するブレース取付方法。
  9. 天井仕上材が取り付けられる野縁とこの野縁に直交する野縁受を有する天井下地材と、前記野縁受をハンガーを介して吊り下げ支持する吊材と、一端が前記吊材の上部に取り付けられ他端が前記天井下地材に取り付けられるブレースを備える天井下地構造であって、
    前記天井下地材は、前記野縁に並行して配設される野縁補強材と、前記ブレースの前記他端を受け入れるブレース受入部を有するブレース受材と、前記野縁受に並行して配設される野縁受補強材を備え、
    前記野縁補強材は、前記天井仕上材を固定する固定面と、この固定面から立設し前記ブレース受材を受け入れるブレース受材受入部を形成する一対の側面を有し、
    前記ブレース受入部は、前記野縁受に直交し前記ブレースと対向する一対の第一面と、前記側面と対向する第二面とを備え、
    前記ブレースは、前記野縁の長手方向に沿って設けられる第一ブレースと、前記野縁受の長手方向に沿って設けられる第二ブレースを備え、
    前記ブレース受入部に前記ハンガーを嵌入させて前記第一面と前記第一ブレースの前記他端を固定すると共に前記第二面と前記側面を固定し、
    前記野縁受補強材を前記野縁受に対し前記吊材が位置する側に配置すると共に前記第二ブレースの前記他端を前記野縁受及び前記野縁受補強材で挟んで固定する天井下地構造。
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