JP6653870B2 - 耐震補強金具 - Google Patents

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Description

本発明は、主に、耐震性が求められる建物の天井下地に用いられ、野縁取付金具を介して組付けられた野縁受けと野縁との組付け構造を補強することで、両者の組付け剛性強度を高めて耐震強度を向上することのできる耐震補強金具に関する。
一般に、在来天井は、吊り部材(吊りボルト、吊りワイヤ等)を介して躯体天井部に支持される複数の野縁受け(チャンネル材)と、上方に開口した両側面部の上端内方に逆U字状溝を有し、野縁取付金具を介して野縁受けに支持される複数のチャンネル状の野縁と、野縁にビス止めされる天井パネルとによって構築される天井下地によって構成される。
かかる天井下地における野縁は、野縁取付金具に形成された逆U字状溝内に挿入される野縁支持受け部によって支持受けされた構成となっており、地震等の揺れを受けた際に、その振動負荷により、野縁支持受け部が逆U字状溝から離間して変形を生じたり、野縁が野縁受けや野縁取付金具よりも薄板材で形成され、これらに比して強度的に弱いものである場合には、逆U字状溝の部位に変形を生じるなどして、野縁受けと野縁との間にガタツキが生じ、野縁取付金具などが位置ズレしてしまい、その様な状態で更なる振動を受けると、ガタツキや位置ズレが増大されて、天井下地全体が歪んだり、天井パネルの脱落につながる惧れがある。
そこで、近年、この様な天井下地において、既設、新設を問わずその耐震性を向上するために、特許文献1や2に開示されたもののように、野縁取付金具全体を補強する野縁の耐震補強構造や、野縁支持受け部による野縁の支持受け構造を補強する耐震補強金具なるものが提案されている。
すなわち、特許文献1のものは、耐震強度の劣る指圧変形可能な薄板材で形成された既設のシングル固定タイプの野縁取付金具(5)に対して、その表面全体を覆うように密着重合することのできる指圧変形不能な厚板材にて形成された新たな野縁取付金具(6)を外嵌して野縁受け(4)に挟圧させ、野縁係止片(62)を、既設係止片(52)と共同して逆U字状溝(71)を隣接支持受けする構成によって耐震補強する構造となっている。
しかしながら、このものは、既設の野縁取付金具(5)自体の変形を規制し、野縁(7)を逆U字状溝(71)内で共同して支持受けできるものの、依然として逆U字状溝(71)に依存した支持受け構造を補強するものであるため、野縁(7)が薄板材であるが故に、傾動等を伴う振動負荷が加わった際に、支持受け部位となる逆U字状溝(71)の変形や、直交する交差角度ズレを生じ、ガタツキや位置ズレを生じる危惧があるだけでなく、挟込み固定タイプのものを含め、耐震強度を有する指圧変形不能な厚板材で形成された野縁取付金具が用いられた天井下地に採用することができないという問題がある。
一方、特許文献2のものは、特許文献1のような支持受け部位となる逆U字状溝(71)の振動負荷による変形を規制するために、野縁(7)に固定される野縁被嵌部(61)と、野縁(7)の逆U字状溝(71)間に介在され、野縁被嵌部(61)から内方に折曲されて、野縁支持受け部(52)の下面域を覆ってその振動を規制する傾動規制部(62)とを一体的に備えた耐震補強金具(6)を取り付けすることによって、野縁取付金具(5a)の支持受け部位に対する耐震強度を向上させる補強を行うことができるようにしている。
しかしながら、野縁支持受け部(52)の部位のみを野縁被嵌部(61)により野縁(7)に被嵌補強したものでは、特許文献1のものと同様に、逆U字状溝(71)に依存した支持受け構造を補強するものであるため、殊に、シングル固定タイプの野縁取付金具が用いられた天井下地においては、野縁(7)の長手方向への振り子状の傾動やねじれなどを伴う振動負荷が加わった際に、野縁(7)と野縁受け(4)の下面域との離間や、直交する交差角度ズレを生じてしてしまうだけでなく、野縁(7)が薄板材であるが故に、挟込み固定タイプのものを含め、野縁受け(4)下面の押圧負荷を受けて、補強されない当該部位の逆U字状溝(71)や両側面域に変形を生じる危惧がある。しかも、かかる耐震補強金具(6)を耐震強度の劣る指圧変形可能な薄板材で形成された野縁取付金具に採用することができないという問題がある。
特開2012−102504号公報 特開2013−044205号公報
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、野縁を、その逆U字状溝内に挿入される野縁支持受け部によって支持受けすることで、野縁取付金具を介して野縁受けに組付けされた構造を補強するものでありながら、当該野縁支持受け部による野縁の支持受け構造を利用し、かつ、当該野縁取付金具自体やその支持受け構造に依存しない独立一体化した組付け構成をもって、野縁の周辺域を含め、縁受けと野縁との組付け剛性強度を高め、シングル固定タイプや挟込み固定タイプ、指圧変形が可能・不能などの如何にかかわらず、種々の野縁取付金具が用いられた天井下地に採用することでき、しかも、地震等の揺れにより、前後左右等に傾動する振動負荷を受けた際に、野縁受け等他の部材よりも薄板にて形成される野縁自体のねじれや変形を防止して、両者間の密着状態を好適に保持し、野縁固定金具への振動負荷による影響を減少または回避することができ、野縁受けと野縁との間のガタツキや位置ズレを防止し、直角度を維持することのできる耐震補強金具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の耐震補強金具は、吊り部材を介して躯体天井部に開口側を側方に向けて支持される複数の野縁受けと、開口側を上方に向けてその両側面の上端が内方に折曲された逆U字状溝を有する複数の野縁とを、野縁受けに取り付けられる野縁受け取付け部と、その垂下部の両端側に、前記逆U字状溝内に挿入させて野縁を支持受けする野縁支持受け部とを有する野縁取付金具を介して組付けられた天井下地において、前記野縁取付金具による野縁受けと野縁の組付け構造を補強する耐震補強金具であって、該耐震補強金具は、前記野縁受け取付け部に対向被覆するよう形成された野縁受け被覆部と、該野縁受け被覆部の両側に延出されて野縁受けに側方から外嵌される側面視コ字状に形成された一対の野縁受け嵌装固定部と、該野縁受け嵌装固定部の下面片にL字状に折曲形成されて、野縁の両側面にそれぞれ面接嵌挿される一対の野縁嵌挿固定部とを一体的に備えると共に、該野縁嵌挿固定部を、野縁受け嵌装固定部を野縁受けに外嵌させた際に、その先端側が野縁受けの下面域を通過する長さ幅をもって延出形成せしめ、前記野縁受け嵌装固定部と野縁嵌挿固定部は、それぞれ野縁受けに外嵌させ、野縁に嵌挿させた状態で、野縁受け嵌装固定部を野縁受けの側面にネジ固定し、かつ、野縁嵌挿固定部を、その基端側部位と野縁受けの下面域よりも外方に位置する先端側部位の2個所で、野縁の側面にネジ固定するよう構成してあることを特徴とするものである。
本発明は、上記のように構成したことにより、野縁を、その逆U字状溝内に挿入される野縁支持受け部によって支持受けすることで、野縁取付金具を介して野縁受けに組付けされた構造を補強するものでありながら、当該野縁支持受け部による野縁の支持受け構造を利用し、かつ、当該野縁取付金具自体やその支持受け構造に依存することなく、野縁受け嵌装固定部を野縁取付金具の両側面で、野縁嵌挿固定部を野縁受けの厚さ幅よりも外方位置となる2個所で、交差配設された野縁受けと野縁に対して、それぞれ直接ネジ固定による独立一体化した組付けが行えるだけでなく、L字状に形成された野縁受け嵌装固定部の下面片が野縁受けの下面域を確りと密着させて受け止め支持した状態でネジ固定され、L字状に折曲された野縁嵌挿固定部の先端側が、当該下面域を通過する長さ幅をもって野縁の側面にオーバーラップした状態で、野縁受けのネジ固定部を中心に、野縁の2個所のネジ固定部を結ぶ三角形状のハ字状に末広がりする3点部位で確りとネジ固定され、振動負荷応力を分散して、離間や圧接応力を受け易い側を強固に密着させた状態で、野縁受けと野縁との組付け剛性強度を高めることができ、しかも、当該下面域周辺となる野縁の開口側とその側面域全体が耐震補強された状態で、両者の組付け剛性強度を高めることができる。その結果、シングル固定タイプや挟込み固定タイプ、指圧変形が可能・不能などの如何にかかわらず、種々の野縁取付金具が用いられた既設、新設の天井下地に採用することができると共に、地震等の揺れにより、前後左右等に傾動する振動負荷を受けた際に、三者が密着一体化された状態でねじれや傾動を受け止めて、これらが有機的に一体となった共同剛性力によって、野縁受け等他の部材よりも薄板にて形成される野縁自体のねじれや変形を防止して、逆U字状溝に集中した野縁受けへの上動圧接や離間するような振動負荷を、野縁嵌挿固定部で確りと受け止めて分散することができ、野縁取付金具への負荷影響が減少または回避され、両者間の密着状態を好適に保持し、直交する交差角度ズレを規制して直角度を維持することができ、野縁受けと野縁との間のガタツキや位置ズレを防止して、天井下地全体の耐震性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る天井下地を示す概略全体説明面図である。 野縁取付金具の取付け状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る耐震補強金具であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。 本発明の実施形態に係る耐震補強金具の斜視図である。 耐震補強部材を野縁取付金具により組付けられた野縁受けと野縁に取り付けした状態を示す正面図である。 耐震補強部材の野縁取付金具により組付けられた野縁受けと野縁への取付け状態を示し、(A)は野縁受けの側面側に配設した一部破断側面図、(B)は野縁受けの開口側に配設した側面図である。
以下、本発明の実施の形態を好適な実施の形態として例示する耐震補強金具を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る天井下地の概略全体説明図である。この図に示す天井下地には、躯体天井部1から所定の間隔を存して垂下される複数の吊りボルト2と、これら吊りボルト2間に野縁受けハンガー31を介して吊りボルト2の下端部に支持される野縁受け3(天井下地材)と、躯体天井部1と野縁受け3との間で吊りボルト2に振れ止め固定金具41を介して水平状に架設される振れ止め4(天井下地材)と、野縁受け3に挟込み固定タイプの野縁取付金具6を介して取り付けられる野縁5と、野縁取付金具6と併用されて野縁受け3と野縁5をそれぞれ一体化して組付け固定される耐震補強金具7と、野縁5にネジ固定される天井パネル8が含まれている。
野縁受け3は、板厚規格が約1.2mmまたは1.6mmの厚板材で形成された側方が開口する断面コ字状のチャンネル材またはC字状のリップ溝型材からなり、天井部に所定の間隔を存して並列状に割り付けされ、野縁受けハンガー31によって支持されると共に、吊りボルト2の先端部に取付けされる野縁受けハンガー31の位置変更によって、上下位置が調整される。このとき、野縁受け3は、図示しない躯体壁部に当接しない短めの長さに予め加工され、その両端部が野縁受け固定金具を介して躯体壁部に固定される。
野縁5は、その板厚規格が約0.5mmの薄板材によって、上方に開口した両側部の上端を内方に折曲させて逆U字状溝5aを形成したチャンネル材、または、リップ片を有するC字状のリップ溝型厚板材であり、野縁受け3と直交するように、天井部に所定の間隔を存して並列状に割り付けされる。野縁5としては、幅寸法が異なるダブル野縁やシングル野縁があり、それぞれに適合した形状の野縁取付金具6を介して野縁受け3に対して、その下面部に逆U字状溝5aが圧着した状態で支持される。なお、ダブル野縁とシングル野縁のそれぞれに高さ幅の異なる19形(19mm)と25形(25mm)とがあり、本実施例で示す野縁5は、シングル野縁の19形である。そして、天井部に割り付けられた野縁5間に天井パネル8を渡し、これをネジ止めすることにより、天井下地が構成される。
振れ止め固定金具41は、中央の吊りボルト2への吊りボルト固定部と、その両側に振れ止め4への被嵌固定部を有して側面視略コ字状に形成されている。
振れ止め4は、側方が開口する断面コ字状のチャンネル材からなり、吊りボルト2の間隔を維持するために複数の吊りボルト2間に水平状に架設される梁タイプとなっている。そして、振れ止め固定金具41を、吊りボルト2と振れ止め4とを同時に被嵌することで両者が組付け固定される。
野縁取付金具6としては、図2に示す板厚が0.6mmの板材によりプレス成型される指圧変形可能な薄板材で形成されるシングル固定タイプと、板厚が約1.2〜1.6mmの板材によりプレス成型される指圧変形不能な厚板材にて形成され、主に耐震性が求められる天井下地に使用される挟込み固定タイプ(特許文献2の図5参照)、またはシングル固定タイプ(特許文献1の図6参照)のものがあり、天井下地の仕様に応じて適宜選択して野縁受け3に取り付けられる。
本実施例で示す野縁取付金具6は、図2に示す指圧変形可能な薄板材で形成されるシングル固定タイプであり、野縁受け3の上面で折曲固定される上固定片62と、野縁受け3の側面に面当てされる中央に補強リブを有する野縁受け取付け部61と、その下方に野縁5の開口内に延出された垂下部61aの両端側に、逆U字状溝5a内に挿入させて野縁5を支持受けする野縁支持受け部63とを備えて一体成形される。
次に、本発明の実施態様に係る耐震補強金具について、図3、図4を参照して詳細に説明する。図3の(A)は耐震補強金具の平面図、(B)は同じく正面図、(C)は右側面図であり、図4は耐震補強金具の斜視図である。
これら図に示すように、耐震補強金具7は、板厚が1.2〜1.6mmの厚板材でプレス成型され、野縁受け取付け部61に対向被覆するよう形成された野縁受け被覆部71と、該野縁受け被覆部71の両側に延出されて野縁受け3に側方から外嵌される側面視コ字状に形成された一対の野縁受け嵌装固定部72、72と、この野縁受け嵌装固定部72、72の下面片723にL字状に折曲形成されて、野縁5の両側面にそれぞれ面接嵌挿される一対の野縁嵌挿固定部73、73とを一体的に備える。
野縁受け被覆部71は、野縁受け取付け部61に被覆した際に、非接触状態で対向離間するよう、野縁取付金具6の横幅よりも広幅で、野縁受け3の縦幅よりも幅狭な板体の両端を円弧状に湾曲折曲させた、平面視凹状(倒伏〔状)に形成されており、その中央部には、野縁受け取付け部61が野縁受け3の側面にネジ固定されている場合に、ネジ頭が当接しないように縦長小判状のバカ孔71aが穿設されている。バカ孔71aの上方に形成された円弧面は、バカ孔71aの孔径の大きさ(形状)に付随して補強用に形成される。つまり、野縁受け被覆部71の野縁受け3の側面と離間する凹状幅は、種々の野縁取付金具6の形状の違いによって、野縁受け3に取着された野縁受け取付け部61の膨出幅が異なっていても、野縁受け嵌装固定部72を野縁受け3の側面に面当て被嵌した際に、非接触状態で被覆できるようになっている。
野縁受け嵌装固定部72は、野縁受け被覆部71の表面から面落ちするよう、その円弧端から延出形成され、野縁受け取付け部61との接触を回避するよう、その両側となる野縁受け3の側面に直接面当てされてネジ固定される野縁受け固定片721と、その上端にL字状に折曲形成されて野縁受け3の上面に係止される上面片722と、下端にL字状に折曲形成されて野縁受け3の下面を支持受け状に係止する下面片723とを有して、側面視コ字状に一体形成される。上面片722は、野縁受け3の上面幅(厚さ幅)よりも短めの幅(長くても良い)をもって形成されており、下面片723は、その先端側を、野縁受け3の下面域を通過する長さ幅をもって延出形成されている。また、野縁受け固定片721の略中央の野縁5寄りにネジ孔72aが穿設されている。
野縁嵌挿固定部73は、その先端側が延出形成された下面片723から、野縁5の側面に面接されるようにL字状に折曲形成されており、基端側が野縁受け3の側面よりも外方、つまり、野縁受け3の下面幅(厚さ幅)よりも外方に延出形成されている。野縁嵌挿固定部73の先端側と基端側端部の延出部位に、それぞれ野縁受け3の下面域(厚さ幅)よりも外方に位置する2個所にネジ孔73a、73bが穿設されている。そして、野縁嵌挿固定部73、73は、野縁5の両側面にオーバーラップ(重合)された状態で嵌挿固定され、野縁受け3に組付けられた野縁5の側面周辺域を補強できるようになっている。また、特に、先端側ネジ孔73aの穿設位置は、野縁受け3と野縁5とが振動負荷による離間応力を受け易い側であることから、野縁受け固定片721のネジ孔72aから充分に離間した、野縁受け3の厚さ幅の2倍強の長さ位置となっており、それぞれをネジ固定した際に離間方向への応力を確りと受け止めて、両者を一体化された状態で密着傾動が行なわれるよう組付け固定され、離間や開きを規制して耐震剛性強度を高めることが可能な配置構成となっている。
さて、上記のように構成した耐震補強金具7を用いて、野縁取付金具6により組付けられた野縁受け3と野縁5の組付け構造を補強する取り付け手順について、図5、図6を参照して詳細に説明する。図5は野縁受け3と野縁5に取り付けした状態を示す正面図、図6の(A)は耐震補強金具7を野縁受け3の側面側に配設した一部破断側面図、(B)は野縁受け3の開口側に配設した側面図である。これら図に示すように、本発明の実施態様に係る耐震補強金具7を取り付けするには、新設、既設を問わず、野縁受け3と野縁5とが野縁取付金具6を介して組付けられた天井下地において、先ず、耐震補強金具7(野縁受け被覆部71)を傾斜状態で、野縁受け取付け部61の部位となる野縁受け3の側方、即ち、野縁受け3の側面側または開口側に配置させ、上面片722、722の先端を野縁受け3の上面に当接セットさせる。
この傾斜セット状態から、野縁嵌挿固定部73、73を野縁5の両側面に挿入させ、回転させながら、野縁受け固定片721、721を野縁受け3の側面側(または開口側)に、下面片723、723を野縁受け3の下面にスライド当接させれば、野縁嵌挿固定部73、73もスライド嵌挿されてセット状態とすることができる。次いで、ドリルタッピングビス等のネジ9を用いて、野縁受け固定片721をネジ孔72aを介して野縁受け3の側面にそれぞれネジ固定した後、野縁嵌挿固定部73をネジ孔73a、73bの2個所で、野縁5の両側面にそれぞれネジ固定すれば取付け作業が完了する。
なお、耐震補強金具7を野縁受け3の開口側に取り付けする場合には、通しネジ9a(ドリルビスや締結ボルト)を用い、野縁受け3の側面に挿通してネジ固定すれば良く、この側面へのネジ固定と野縁支持受け部63との共同作用により、野縁受け3の下面と逆U字状溝5aとの振動による離間をより強固に規制することができる。
この様にネジ固定して取り付けすると、野縁受け3と野縁5とが、野縁取付金具6自体やその支持受け構造に依存することなく、野縁受け3の下面と逆U字状溝5aの上面とが密着した状態で、それぞれが野縁受け嵌装固定部72と野縁嵌挿固定部73とによって、独立一体化された新たな組付け構造をもって組付けすることができる。殊に、ネジ孔72aのネジ固定部位の野縁受け固定片721を中心に、ハ字状に末広がりして野縁受け3の下面幅(厚さ幅)よりも外方に位置する2個所のネジ孔73aと73bのネジ固定部位が三角形状に3点配置され、振動負荷応力を分散して、組付け剛性強度が向上された耐震構造を得ることができ、野縁受け3の下面が下面片723に密着支持受けされた状態で、かつ、L字状に折曲形成された野縁嵌挿固定部73が、野縁受け3の下面域周辺となる野縁5の開口側とその側面域全体が耐震補強された状態で、両者間に互いに圧接するような振動負荷が直接的に加わることが規制され、野縁5自体の剛性強度が高められ、直交する交差角度ズレすることなく密着状態と直角度が維持され、三者が密着一体化された状態で揺れの共同化が図られ、ねじれや傾動を受け止めて、これらが有機的に一体となった共同剛性力によって、野縁受け3と野縁5との間の離間やガタツキ、位置ズレ等を防止るとができる。
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、いま、既設や新設施工が行われた躯体天井部1に対して、野縁取付金具6により組付けられた野縁受け3と野縁5の組付け構造を、耐震補強金具7によって耐震補強するのであるが、本発明にかかる耐震補強金具7は、野縁受け取付け部61に対向被覆するよう形成された野縁受け被覆部71と、該野縁受け被覆部71の両側に延出されて野縁受け3に側方から外嵌される側面視コ字状に形成された一対の野縁受け嵌装固定部72、72と、この野縁受け嵌装固定部72の下面片にL字状に折曲形成されて、野縁5の両側面にそれぞれ面接嵌挿される一対の野縁嵌挿固定部73、73とを一体的に備えると共に、野縁嵌挿固定部73を、野縁受け嵌装固定部72を野縁受け3に外嵌させた際に、その先端側が野縁受け3の下面域を通過する長さ幅をもって延出形成せしめ、野縁受け嵌装固定部72と野縁嵌挿固定部73は、それぞれ野縁受け3に外嵌させ、野縁5に嵌挿させた状態で、野縁受け嵌装固定部72を野縁受け3の側面にネジ固定し、かつ、野縁嵌挿固定部73を、その基端側部位と野縁受け3の下面域よりも外方に位置する先端側部位の2個所で、野縁5の側面にネジ固定するよう構成されている。
この様に構成すると、野縁5を、その逆U字状溝5a内に挿入される野縁支持受け部63によって支持受けすることで、野縁取付金具6を介して野縁受け3に組付けされた構造を補強するものでありながら、当該野縁支持受け部63による野縁の支持受け構造を利用し、かつ、当該野縁取付金具6自体やその支持受け構造に依存することなく、野縁受け嵌装固定部72を野縁取付金具6の両側面で、野縁嵌挿固定部73を野縁受け3の厚さ幅よりも外方位置となる2個所で、交差配設された野縁受け3と野縁5に対して、それぞれ直接ネジ固定による独立一体化した組付けが行えるだけでなく、野縁受け嵌装固定部72の下面片723が野縁受け3の下面域を確りと密着させて受け止め支持した状態でネジ固定され、L字状に折曲された野縁嵌挿固定部73の先端側が、当該下面域を通過する長さ幅をもって野縁5の側面にオーバーラップした状態で、野縁受け3のネジ固定部(ネジ孔72a)を中心に、野縁5の2個所のネジ固定部(ネジ孔73aと73b)を結ぶ三角形状のハ字状に末広がりする3点部位で確りとネジ固定され、振動負荷応力を分散して、離間や圧接応力を受け易い側を強固に密着させた状態で、野縁受け3と野縁5との組付け剛性強度を高めることができ、しかも、当該下面域周辺となる野縁5の開口側(逆U字状溝5a)とその側面域全体を耐震補強することができる。
その結果、シングル固定タイプや挟込み固定タイプ、指圧変形が可能・不能などのタイプの如何にかかわらず、種々の野縁取付金具6が用いられた既設、新設の天井下地に採用することができると共に、地震等の揺れにより、前後左右等に傾動する振動負荷を受けた際に、三者が密着一体化された状態でねじれや傾動を受け止めて、これらが有機的に一体となった共同剛性力によって、野縁受け3等他の部材よりも薄板にて形成される野縁5自体のねじれや変形を防止して、逆U字状溝に集中した野縁受け3への上動圧接や離間するような振動負荷を、野縁嵌挿固定部73で確りと受け止めて分散することができ、野縁取付金具6への負荷影響が減少または回避され、両者間の密着状態を強固に維持し、直交する交差角度ズレを規制して直角度を維持することができ、野縁受け3と野縁5との間のガタツキや位置ズレを防止して、天井下地全体の耐震性を向上させることができる。
また、野縁受け嵌装固定部72の下面片723の先端側は、野縁受け3の下面域を通過する長さ幅をもって延出され、野縁嵌挿固定部73は、当該下面片723に折曲形成されてされているので、下面片723と野縁嵌挿固定部73がL字状に折曲形成された補強構造となって、野縁受け3の下面が下面片723に密着支持受けされ、かつ、野縁嵌挿固定部73が、野縁受け3の下面域周辺となる野縁5の開口側とその側面域全体が耐震補強され、これらが有機的に三位一体となった密着組付け状態による共同剛性力をもって、ねじれや傾動が一体化された状態で振動負荷を受け止めて、野縁受け3と野縁5との間に互いに圧接するような振動負荷が直接的に加わることが規制されると共に、直交する交差角度ズレを規制して、両者間の離間やガタツキ、位置ズレ等を防止し、直角度の恒久的な維持を図ることができる。
また、野縁嵌挿固定部73は、その基端側が野縁受け3の側面よりも外方に延出形成され、該基端側の延出部位と先端側の延出部位とを、それぞれ野縁受け3の下面域よりも外方に位置するネジ孔73aと73bの2個所で、野縁5の側面にネジ固定されているので、ネジ孔72aのネジ固定部位の野縁受け固定片721を中心に、ハ字状に末広がりして野縁受け3の下面幅(厚さ幅)よりも外方に位置する2個所のネジ孔73aと73bのネジ固定部位が三角形状に3点配置され、振動負荷応力を分散して、組付け剛性強度が向上された耐震構造を得ることができる。
また、野縁受け被覆部71は、野縁受け取付け部61と離間して非接触状態で対向被覆するよう平面視略凹状に形成されているので、野縁受け被覆部71の野縁受け3の側面と離間する凹状幅は、種々の野縁取付金具6の形状の違いによって、野縁受け3に取着された野縁受け取付け部61の膨出幅が異なっていても、野縁受け嵌装固定部72を野縁受け3の側面に面当て被嵌した際に、非接触状態で被覆することができるだけでなく、野縁受け嵌装固定部72、72を野縁受け3に精度良く密着固定することができ、野縁取付金具6自体やその支持受け構造に依存しない新たな組付け構成をもって、野縁受け3と野縁5とを耐震補強することができる。
1 躯体天井部
吊りボルト
3 野縁受け
31 野縁受けハンガー
4 振れ止め
41 振れ止め固定金具
5 野縁
5a 逆U字状溝
6 野縁取付金具
61 野縁受け取付け部
61a 垂下部
62 上固定片
63 野縁支持受け部
7 耐震補強金具
71 野縁受け被覆部
71a バカ孔
72 野縁受け嵌装固定部
721 野縁受け固定片
72a ネジ孔
722 上面片
723 下面片
73 野縁嵌挿固定部
73a ネジ孔
73b ネジ孔
8 天井パネル
9 ネジ
9a 通しネジ

Claims (4)

  1. 吊り部材を介して躯体天井部に開口側を側方に向けて支持される複数の野縁受けと、開口側を上方に向けてその両側面の上端が内方に折曲された逆U字状溝を有する複数の野縁とを、野縁受けに取り付けられる野縁受け取付け部と、その垂下部の両端側に、前記逆U字状溝内に挿入させて野縁を支持受けする野縁支持受け部とを有する野縁取付金具を介して組付けられた天井下地において、
    前記野縁取付金具による野縁受けと野縁の組付け構造を補強する耐震補強金具であって、
    該耐震補強金具は、前記野縁受け取付け部に対向被覆するよう形成された野縁受け被覆部と、該野縁受け被覆部の両側に延出されて野縁受けに側方から外嵌される側面視コ字状に形成された一対の野縁受け嵌装固定部と、該野縁受け嵌装固定部の下面片にL字状に折曲形成されて、野縁の両側面にそれぞれ面接嵌挿される一対の野縁嵌挿固定部とを一体的に備えると共に、
    該野縁嵌挿固定部を、野縁受け嵌装固定部を野縁受けに外嵌させた際に、その先端側が野縁受けの下面域を通過する長さ幅をもって延出形成せしめ、
    前記野縁受け嵌装固定部と野縁嵌挿固定部は、それぞれ野縁受けに外嵌させ、野縁に嵌挿させた状態で、野縁受け嵌装固定部を野縁受けの側面にネジ固定し、かつ、野縁嵌挿固定部を、その基端側部位と野縁受けの下面域よりも外方に位置する先端側部位の2個所で、野縁の側面にネジ固定するよう構成してあることを特徴とする耐震補強金具。
  2. 請求項1において、前記野縁受け嵌装固定部の下面片の先端側は、野縁受けの下面域を通過する長さ幅をもって延出され、前記野縁嵌挿固定部は、当該下面片に折曲形成されていることを特徴とする耐震補強金具。
  3. 請求項1または2において、前記野縁嵌挿固定部は、その基端側が野縁受けの側面よりも外方に延出形成され、該基端側の延出部位と前記先端側の延出部位とを、それぞれ野縁受けの下面域よりも外方に位置する2個所で、野縁の側面にネジ固定されていることを特徴とする耐震補強金具。
  4. 請求項1乃至3の何れかにおいて、前記野縁受け被覆部は、前記野縁受け取付け部と離間して非接触状態で対向被覆するよう平面視略凹状に形成されていることを特徴とする耐震補強金具。
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