JP6813821B2 - 天井下地用ナットの緩み止め金具、およびその取り付け方法 - Google Patents
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Description
かかる天井下地に採用される野縁受けハンガーは、垂下する吊りボルトの下端部に、ナット止め調整により上下位置調整可能に連結される側面視逆L字状の吊りボルト固定部と、野縁受けを上方から落とし込んで支持するようU字状の野縁受け支持部とが縦設して一体形成され、吊りボルトに対する吊りボルト固定部の上面固定片に穿設された吊りボルト挿通孔を挿通せしめて、その上下面を挟んで吊りボルトに螺入される一対の上下ナットにより締め付け固定されるようになっている(特許文献1の図5参照)。
そこで、特許文献1に開示されたような、緩み止めクリップ(25)を、連結片部(28)の上下に、上片部(26)と下片部(27)とが折曲された側面視コ字状に形成し、その上片部(26)と下片部(27)のそれぞれに、吊りボルトに嵌挿されるU字状の切欠き溝(26a、27a)を形成し、該切欠き溝(26a、27a)の内縁部に、吊りボルト(11)のネジ溝に嵌合可能な係止縁(29)を形成し、取付け板(17)の横方向から挿入することによって、上下ナット(20、19)の緩みを防止するようにしたナットの緩み止めクリップ(25)なるものが提案される。
一方、上下ナットの各吊りボルトへの締結位置は、上下ナットの上下面に対してネジ溝(ネジ山)の配置がそれぞれの個所において一定ではなく、また、上下ナットが図5に示されるような外周面(六角面)が一致した状態で固定されることは殆ど皆無であるという実状がある。
図1は、本発明の実施形態に係る天井下地の概略全体説明図である。この図に示す天井下地には、躯体天井部1から所定の間隔を存して垂下される複数の吊りボルト2と、これら吊りボルト2間に野縁受けハンガー5を介して吊りボルト2の下端部に支持される野縁受け3(天井下地材)と、躯体天井部1と野縁受け3との間で吊りボルト2に振れ止め固定金具41を介して水平状に架設される振れ止め4(天井下地材)と、野縁受け3に図示しない野縁取付金具を介して取り付けられる野縁(天井下地材)と、野縁にネジ固定される天井パネルが含まれている。
振れ止め4は、側方が開口する断面コ字状のチャンネル材からなり、吊りボルト2の間隔を維持するために複数の吊りボルト2間に水平状に架設される梁タイプとなっている。そして、振れ止め固定金具41を、吊りボルト2と振れ止め4とを同時に嵌装することで両者が組み付け固定される。
吊りボルト固定部51は、吊りボルト挿通孔51aが穿設された上面固定片511と、この上面固定片511から下方に折曲されて野縁受け支持部52に一体成形される垂下片512とを有して形成され、吊りボルト2の下端部を吊りボルト挿通孔51aに遊挿させ、上面固定片511を挟んで一対の上ナット21と下ナット22とによって締め付け固定される。なお、本実施態様に係る野縁受けハンガー5は板厚が約2mmのものを例示している。
これら図に示すように、緩み止め金具6は、板厚が約0.6mm程度の指圧変形可能な鉄製薄板材でプレス成型され、野縁受けハンガー5の上面固定片511の端面に対して非接触位置に対向配設される側面片61と、この側面片61の上下に、上下ナット21、22の上面と下面のそれぞれに面接される上面片62と下面片63とが折曲されて、全体が側面視コ字状のナット被嵌装着部6aが形成される。なお、上面片62における上ナット21の上面への面接とは、セット時に必ずしも面接している必要はなく、要は、指圧により面接可能であればよく、指圧変形不能な板材を用いる場合は、必要個所を指圧変形可能に形成すればよい。
帯状固定片65は、立上り片64に対してハ字状に任意角度をもって拡開折曲されており、上面側嵌挿溝621と下面側嵌挿溝631を、吊りボルト固定部51の前面側(上面固定片511の先端側)から吊りボルト2に嵌挿してセットした際に、垂下片512の両端部に非接触状態で、その両側から突出する長さ幅を有し、この垂下片512から突出する帯状固定片65、65同士を、垂下片512の後面側にそれぞれ指圧力をもって折曲重合させて、ナット被嵌装着部6aを吊りボルト固定部51に抜け止め固定できるようになっている。なお、折曲重合した際には、上面固定片511の両側に接触する幅をもって形成しても良い。
つまり、ナット被嵌装着部6aは、帯状固定片65を含め、上面側嵌挿溝621と下面側嵌挿溝631を吊りボルト2に嵌挿してセットした際に、吊りボルト固定部51と上下ナット21、22の外周面と非接触でセットできるようになっており、下ナット22の下面から露出するネジ溝2aに対し、下面側嵌挿溝631の両溝側縁が、側面片61と垂下片512とが平行となる垂直方向への係合がきつめである場合に、挿入開始時に係合可能な角度位置で挿入を開始させるようにセットし、その係合状態をセット窓66を介して確認し、首振り動作させながら、下面側嵌挿溝631を溝底縁側に押し込み操作することによって、挿入完了時に側面片61を垂下片512と平行に位置させれば、噛み込み状態で係合セットすることができるようになっている。
つまり、この図6(B)のセット状態では、左側下面片63aと右側下面片63bが共に下ナット22の下面から離間して密着されない状態でセットされるので、地震等の揺れを受けると、下ナット22が緩んで係合位置まで下がり、同時に上ナット21も上面片62の均等な圧接作用により同様に下降して、当該係合位置で、上面片62と下面片63とが上下ナット21、22の上下面に面接され、両者の下げ止まりがなされ、それ以上の緩みが規制される。要するに、天井下地において図6(B)のセット態様が存在しても、その下がり幅は約半ネジピッチ分に満たないので、天井下地全体に及ぼす影響が極めて軽微であり無視することができ、上下ナット21、22の当初の締結状態を維持することができる。
しかも、このセット状態から、垂下片512の後面側にそれぞれ帯状固定片65、65同士を折曲重合させた引き寄せ状態で、強固に抜け止め固定することができるだけでなく、板厚や大きさなどの形状の異なる種々の野縁受けハンガーが用いられた天井下地であっても採用することができ、地震等の振動を受けても、ネジ溝2aに係合した固定状態を確実に維持して、上下ナット21、22のガタツキや締結の位置ズレなどの発生を防止した状態で緩みを規制することができ、吊りボルト2への野縁受けハンガー5のナット止め状態を長期に亘って好適に維持し、良好な吊持状態を恒久的に保持することができる。
つまり、ナット被嵌装着部6aは、上面固定片511の先端と上下ナット21、22の外周面に対して非接触状態でセットできるので、挿入開始位置から溝底縁側に至るまで、所定角度範囲における首振り操作が可能となり、吊りボルト2の下ナット22の下面から最も近接して露出するネジ溝2aに対して、下面側嵌挿溝631の両溝側縁が係合可能な最適な角度位置を選択して、当該係合位置を基点として首振り動作を行いながら押し込み係合させて挿入完了することができ、係合がきつめである場合であっても、噛み込み状態で係合セットすることができる。しかも、取付け後に振動を受けても、ナット被嵌装着部6aが上下ナット21、22の外周面に影響を与えたり何ら作用することが無く、当初の締結状態を好適に維持することができる。
したがって、上面片62は、上ナット21と離間する幅内で各種野縁受けハンガー5の板厚の違いを吸収し、上面固定片511と上下ナット21、22との高さ幅の調整片としての機能するだけでなく、指圧による傾斜角も当該高さ幅に応じて適宜に行うことができ、この傾斜する上面片62の先端を上ナット21の上面に面接させて下方に力を加えて圧接させた状態で、下面片63を下ナット22の下面に挿入すると、上面片62との挟持力で密着させた状態で仮セットすることができ、挿入を開始することができる。つまり、上面片62は、下面片63を下ナット22の下面に密着セットさせる案内片として機能することができる。
2 ボルト
2a ネジ溝
21 上ナット
22 下ナット
3 野縁受け
4 振れ止め
41 振れ止め固定金具
5 野縁受けハンガー
51 ボルト固定部
511 上面固定片
51a ボルト挿通孔
512 垂下片
52 野縁受け支持部
6 緩み止め金具
6a ナット被嵌装着部
61 側面片
62 上面片
621 上面側嵌挿溝
63 下面片
631 下面側嵌挿溝
63a 左側下面片
63b 右側下面片
64 立上り片
65 帯状固定片
66 セット窓
Claims (9)
- 躯体天井部から所定の間隔を存して垂下される複数の吊りボルトに、側面視逆L字状の吊りボルト固定部の上面固定片に穿設された吊りボルト挿通孔を挿通せしめて、その上下面を挟んで吊りボルトに螺入される一対の上下ナットにより締め付け固定される野縁受けハンガーを介して野縁受けが架設される天井下地において、
前記上下ナットの緩みを規制する緩み止め金具であって、
該緩み止め金具は、前記上面固定片の先端と非接触位置に対向配設される側面片の上下に、前記上ナットの上面に面接可能な上面片と、前記下ナットの下面に面接される下面片とが折曲形成された側面視コ字状のナット被嵌装着部と、前記上面片と下面片のそれぞれに、前記上面固定片の先端側から吊りボルトに嵌挿されるよう平面視U字状に形成された上面側嵌挿溝と下面側嵌挿溝を有すると共に、
前記上面側嵌挿溝を、吊りボルトに外嵌される被嵌溝として形成し、前記下面側嵌挿溝を、その内周縁が吊りボルトのネジ溝に係合可能な係合溝として形成せしめる一方、
前記ナット被嵌装着部には、その両側に前記下面側嵌挿溝を挟んで、前記上面固定片に非接触で対向配置され、前記下面片よりも外方に延出される一対の帯状固定片を形成せしめ、
該帯状固定片は、前記上面側嵌挿溝と下面側嵌挿溝を吊りボルトに嵌挿したセット状態で、前記上面固定片に垂下折曲された垂下片の両側から突出する長さ幅を有し、
当該垂下片から突出する帯状固定片同士を、垂下片の後面側にそれぞれ指圧により折曲重合せしめて、前記ナット被嵌装着部を吊りボルト固定部に抜け止め固定すべく構成してあることを特徴とする天井下地用ナットの緩み止め金具。 - 請求項1において、前記下面側嵌挿溝は、何れか一方の側の下面片が下ナットの下面と密着した状態で、当該密着した内周縁側の溝側縁が吊りボルトのネジ溝に係合可能に構成されていることを特徴とする天井下地用ナットの緩み止め金具。
- 請求項1または2において、前記ナット被嵌装着部は、前記上面側嵌挿溝と下面側嵌挿溝を吊りボルトに嵌挿セットする際に、該吊りボルトの下ナットの下面から最も近接して露出するネジ溝に対して、下面側嵌挿溝の両溝側縁が係合可能な角度方向でセット可能に構成されると共に、該下面側嵌挿溝を、当該セットした挿入開始位置から溝底縁側に至るまで、首振り動作させながら押し込み操作可能に構成されていることを特徴とする天井下地用ナットの緩み止め金具。
- 請求項1乃至3の何れかにおいて、前記上面片は、前記上ナットの上面から離間する位置に配設され、前記上面側嵌挿溝を吊りボルトに嵌挿セットする際に、前記下面片との間で上下ナットを弾圧挟持可能に予め下方に指圧により傾斜せしめ、かつ、上ナットの上面に圧接せしめた状態から、その弾発力に抗して前記ナット被嵌装着部を下方に押し下げ操作することで、前記下面片を下ナットの下面に密着した状態で、前記下面側嵌挿溝を吊りボルトのネジ溝に挿入案内可能に構成されていることを特徴とする天井下地用ナットの緩み止め金具。
- 請求項1乃至4の何れかにおいて、前記上面側嵌挿溝は、吊りボルトのネジ溝と非係合状態で外嵌されるよう、その軸径よりも広幅で、かつ、上方に所定の高さ幅をもって立上り折曲されて形成されていることを特徴とする天井下地用ナットの緩み止め金具。
- 請求項1乃至5の何れかにおいて、前記側面片には、吊りボルトに嵌挿セットする際に、前記下ナットの下面から露出する吊りボルトのネジ溝に対して、前記下面側嵌挿溝の係合状態を確認して係合セット可能なセット窓が穿設されていることを特徴とする天井下地用ナットの緩み止め金具。
- 請求項1乃至6の何れかにおいて、前記帯状固定片は、前記下面片の両側に、前記下ナットの外周面と非接触に立上り折曲形成された一対の立上り片からそれぞれ延出形成され、前記立上り片と連なる下面片から突出する基端側をく字状に折曲形成せしめて、それぞれその先端側がハ字状に拡開されていることを特徴とする天井下地用ナットの緩み止め金具。
- 請求項1乃至7の何れかにおいて、前記下面片は、吊りボルトに嵌挿したセット状態で、前記下面側嵌挿溝の内周縁が、吊りボルトのネジ溝の捲線勾配に沿って係合するよう予め傾斜状に形成されていることを特徴とする天井下地用ナットの緩み止め金具。
- 躯体天井部から所定の間隔を存して垂下される複数の吊りボルトに、側面視逆L字状の吊りボルト固定部の上面固定片に穿設された吊りボルト挿通孔を挿通せしめて、その上下面を挟んで吊りボルトに螺入される一対の上下ナットにより締め付け固定される野縁受けハンガーを介して野縁受けが架設される天井下地において、
前記上下ナットを緩み止め金具を用いて緩みを規制するにあたり、
該緩み止め金具は、前記上面固定片の先端と非接触位置に対向配設される側面片の上下に、前記上ナットの上面から離間する位置に配設される上面片と、前記下ナットの下面に面接される下面片とが折曲形成された側面視コ字状のナット被嵌装着部と、前記上面片と下面片のそれぞれに、前記上面固定片の先端側から吊りボルトに嵌挿されるよう平面視U字状に形成された上面側嵌挿溝と下面側嵌挿溝とを有すると共に、
前記上面側嵌挿溝は、吊りボルトにそのネジ溝と非係合状態で外嵌される被嵌溝として形成する一方、前記下面側嵌挿溝を、その内周縁が吊りボルトのネジ溝に係合可能な係合溝として形成し、
前記下面片には、その両側に前記下面側嵌挿溝に対向して、前記下ナットの外周面と前記上面固定片に非接触で対向配置され、前記下面片よりも外方に延出されて、前記上面固定片に垂下折曲された垂下片の両側から突出する長さ幅を有する一対の帯状固定片が形成されており、
前記ナット被嵌装着部を、前記上面側嵌挿溝と下面側嵌挿溝を吊りボルトに嵌挿セットする際に、前記下面片との間で上下ナットを弾圧挟持可能に予め下方に指圧により傾斜せしめておき、
この傾斜した上面片を、上ナットの上面に圧接させて、その弾発力に抗して前記ナット被嵌装着部を下方に押し下げ操作して、前記下面片を下ナットの下面に密着させた後、
該吊りボルトの前記下ナットの下面から最も近接して露出するネジ溝に対して、前記下面側嵌挿溝の両溝側縁が係合可能な角度位置となるようにナット被嵌装着部をセットし、
当該セット状態から首振り動作させながら、前記下面側嵌挿溝を溝底縁側に押し込み操作することによって、前記側面片を前記上面固定片と平行に位置させて、
しかる後に、前記垂下片から突出する帯状固定片同士を、垂下片の後面側にそれぞれ折曲重合せしめて、前記ナット被嵌装着部を吊りボルト固定部に抜け止め固定することを特徴とする天井下地用ナットの緩み止め金具の取り付け方法。
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