本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、前記したように、ポリエステルセグメントおよび(メタ)アクリルセグメントを含有し、重合平均分子量が5000〜100万であるポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーを含有することを特徴とする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルまたはメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味する。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物には、ポリエステルセグメントおよび(メタ)アクリルセグメントを含有し、重合平均分子量が5000〜100万であるポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーが含有されている点に1つの大きな特徴がある。本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、前記構成要件を有することから、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性にも総合的に優れている。
ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーは、ポリエステルセグメントおよび(メタ)アクリルセグメントを含有する。
本発明のポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、ポリエステルセグメントを構成するポリエステルを有機溶剤中に溶解させるかまたは分散させた後、(メタ)アクリルセグメントを構成する(メタ)アクリル系モノマーと重合させることによって調製することができる。
本発明においては、ポリエステルの末端または側鎖に(メタ)アクリル系モノマーを結合させるために二重結合を導入した後、当該二重結合と(メタ)アクリル系モノマーとを重合させることにより、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーを調製することが好ましい。末端または側鎖に二重結合を有するポリエステルを調製する方法として、例えば、以下の(1)〜(5)の方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
(1)ポリエステルを調製する際に無水マレイン酸などのジカルボン酸およびグリセリンモノアリルエーテルなどの多価アルコールを用い、両者を反応させることにより、二重結合を有するポリエステルを調製する方法。
(2)ポリエステルが有する末端水酸基を2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどの(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートと反応させることにより、末端に二重結合を有するポリエステルを調製する方法。
(3)ポリエステルが有する末端カルボキシル基を(メタ)アクリル酸グリシジルと反応させることにより、末端に二重結合を有するポリエステルを調製する方法。
ポリエステルの末端にカルボキシル基を導入する方法として、例えば、多価アルコールとジカルボン酸との重縮合反応によってポリエステルを調製する際に、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの3個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸を用いる方法、ポリエステルの末端水酸基とコハク酸無水物、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水フタル酸、無水マレイン酸などの酸無水物基を有する化合物とを反応させ、末端水酸基の一部をカルボキシル基に変換することにより、末端に二重結合を有するポリエステルを調製する方法などが挙げられる。
(4)ポリエステルの末端水酸基とジイソシアネート化合物とを反応させることにより、ポリエステルの末端にイソシアネート基を導入した後、イソシアネート基が導入されたポリエステルと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの二重結合および水酸基を有する化合物とを反応させることにより、末端に二重結合を有するポリエステルを調製する方法。
(5)末端に水酸基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとを重合させる際に、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートなどの末端水酸基との反応性を有するラジカル重合性単量体を共存させてin situ(その場)でポリエステルの末端に二重結合を導入させるとともに重合させることにより、末端に二重結合を有するポリエステルを調製する方法。
前記方法のなかでは、ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルムとの密着性を高める観点から、前記(2)の方法が好ましい。
以下では前記(2)の方法、すなわち、ポリエステルが有する末端水酸基を2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどの(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートと反応させることにより、末端に二重結合を有するポリエステルを調製する方法を用いてポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーを調製する方法について説明するが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。
ポリエステルセグメントを構成するポリエステルは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応、多価カルボン酸エステルと多価アルコールとのエステル交換反応、エポキシ基含有化合物の開環重合反応などの方法によって調製することができる。前記方法のうちポリエステルを多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応によって調製する場合について説明する。
多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多価カルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多価カルボン酸のなかでは、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸およびイソフタル酸が好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよいが、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、テレフタル酸とイソフタル酸とを併用することが好ましい。この場合、テレフタル酸とイソフタル酸との比〔テレフタル酸/イソフタル酸(質量比)〕は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは30/70〜70/30、さらに好ましくは40/60〜60/40である。
なお、多価カルボン酸には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、例えば、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステルなどの多価カルボン酸エステルが含まれていてもよい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,9−ノナンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル=3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオナートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多価アルコールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多価アルコールのなかでは、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールがより好ましく、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよびグリセリンがさらに好ましく、エチレングリコールおよびネオペンチルグリコールがさらに一層好ましい。これらの多価アルコールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよいが、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを併用することが好ましい。エチレングリコールとネオペンチルグリコールとの比〔エチレングリコール/ネオペンチルグリコール(質量比)〕は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは10/90〜95/5、より好ましくは50/50〜80/20である。
多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応は、化学量論的に進行することから、多価カルボン酸が有するカルボキシル基の総数と多価アルコールが有する水酸基の総数との比(カルボキシル基/水酸基)の値が0.5〜1.5であることが好ましく、0.8〜1.2であることがより好ましい。
多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させる際には、エステル化触媒を用いることができる。
エステル化触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウムなどの水酸化物;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素ストロンチウムなどの炭酸水素化合物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウムなどの炭酸塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸ストロンチウムなどの酢酸塩;水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素セシウムなどの水素化ホウ素化合物;ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸ストロンチウムなどのステアリン酸塩;フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素セシウムなどのフェニル化ホウ素化合物;安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウムなどの安息香酸塩;リン酸水素二リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二セシウムなどのリン酸水素化合物;フェニルリン酸二リチウム、フェニルリン酸二ナトリウム、フェニルリン酸二カリウム、フェニルリン酸二セシウムなどのフェニルリン酸化合物;ナトリウムアルコキシド、チタンアルコキシドなどの金属アルコキシド;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどのテトラアルコキシチタン;ジn−ブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジラウリルスズオキサイドなどのアルキル基の炭素数が4〜18のジアルキルスズオキサイドなどのジアルキルスズオキサイド;チタンアルコラ−ト、アルミニウムアルコラ−ト、マグネシウムアルコラ−トなどの金属アルコラ−トなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみ限定されるものではない。これらのエステル化触媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのなかでは、エステル化反応を促進させる観点から、ジn−ブチルスズオキサイドが好ましい。
エステル化触媒の量は、その種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量100質量部あたり、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.02〜3質量部である。
多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させる際の反応温度は、特に限定がないが、通常、室温〜300℃、好ましくは60〜280℃である。反応温度は、一定であってもよく、反応の途中で変化させてもよい。
多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させる際の雰囲気は、特に限定されず、空気であってもよく、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよく、あるいは酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスであってもよいが、多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応に悪影響を与えないようにする観点から、不活性ガスであることが好ましい。
多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させる際の反応時間は、反応温度などによって異なるので一概には決定することができないことから、エステル化反応の進行状況に応じて適宜設定することが好ましいが、通常、3〜10時間程度である。
多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させている間に水が副生する。副生した水は、多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応を効率よく進行させる観点から適宜除去することが好ましい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させる際には、必要により有機溶剤を用いてもよいが、有機溶剤を用いなくても当該エステル化反応を行なうことができる。
以上のようにして多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させることにより、ポリエステルを得ることができる。
前記ポリエステルの重量平均分子量は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは2000〜10万、より好ましくは3000〜8万、さらに好ましくは2万〜8万である。なお、前記ポリエステルの重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)の測定装置として、東ソー(株)製、品番:HLC−8320GPC、分離カラム:東ソー(株)製、品番:TSKgel Super Multipore HZ−M、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製〕に換算したときの値である。
前記ポリエステルの酸価は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜20mgKOH/g、より好ましくは0〜15mgKOH/g、さらに好ましくは0〜10mgKOH/gである。なお、前記ポリエステルの酸価は、前記ポリエステル0.5gをジオキサン45mLと蒸留水5mLとの混合溶媒に溶解させた溶液を0.1規定の水酸化カリウムのメタノール溶液で滴定することによって測定したときの値である。
また、前記ポリエステルの水酸基価は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜100mgKOH/g、より好ましくは0〜80mgKOH/g、さらに好ましくは0〜60mgKOH/gである。前記ポリエステルの水酸基価は、前記ポリエステル3gをピリジン50mLに溶解させ、得られた溶液に無水酢酸0.6mLを添加して加熱することによりアセチル化を行なった混合溶液を0.5規定の水酸化カリウムのメタノール溶液で滴定することによって測定したときの値である。
次に、例えば、前記ポリエステルと(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートとを有機溶剤の存在下で反応させることにより、前記ポリエステルに(メタ)アクリロイルオキシ基を導入させ、得られた(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとを反応させることにより、ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーを調製することができる。
前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートなどのアルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートのなかでは、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、アルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートが好ましく、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートがより好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系有機溶剤;n−ブチルアルコール、プロピレングリコールメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、エチルセロソルブなどのアルコール系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶剤;ジメチルホルムアミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記有機溶剤のなかでは、ポリエステルの溶解性を高める観点から、酢酸エチルおよびメチルエチルケトンが好ましい。前記有機溶剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。有機溶剤の量は、ポリエステルおよび(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートを十分に溶解させるとともに、両者を効率よく反応させることができる量であればよく、特に限定されないが、通常、ポリエステルおよび(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートの合計100質量部あたり、50〜500質量部程度であることが好ましい。
ポリエステルと(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートとの反応温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは20〜150℃、より好ましくは30〜100℃である。反応温度は、一定であってもよく、反応の途中で変化させてもよい。
ポリエステルと(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートとを反応させる際の雰囲気は、両者を効率よく反応させる観点から、例えば、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
ポリエステルと(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートとの反応時間は、反応温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜5時間程度である。
以上のようにして、前記ポリエステルと(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートと反応させることにより、前記ポリエステルに(メタ)アクリロイルオキシ基が導入された(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルを得ることができる。
次に、前記で得られた(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとを反応させることにより、ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーを得ることができる。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、オキソ基含有(メタ)アクリレート、フッ素原子含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート、カルボニル基含有(メタ)アクリレート、アジリジニル基含有(メタ)アクリレート、窒素原子含有(メタ)アクリレート、末端水酸基カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、末端カルボキシル基カプロラクトン変性(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系モノマーのなかでは、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましい。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系モノマーにおける(メタ)アクリル酸の含有率は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%である。
アルキル(メタ)アクリレートは、脂環構造を有するアルキル(メタ)アクリレートを含む概念のものである。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレートなどの脂環構造を有する基の炭素数が6〜18である脂環構造を有するアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレートのなかでは、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートおよびn−ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル系モノマーにおけるアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%である。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜18である水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
水酸基含有(メタ)アクリレートのなかでは、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜4である水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系モノマーにおける水酸基含有(メタ)アクリレートの含有率は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%である。
オキソ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどの(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
フッ素原子含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートなどのエステル基にフッ素原子を有するフッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシ(メタ)アクリレート、2−エチルへキシルカルビトール(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が7〜18のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カルボニル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アセトニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、オキソシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アジリジニル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
窒素原子含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリンのエチレンオキサイド付加(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル系モノマーには、本発明の目的を阻害しない範囲内で、例えば、スチレンなどの他のモノマーが適量で含まれていてもよい。
また、前記(メタ)アクリル系モノマーには、形成される被膜に紫外線吸収性などを付与するために、本発明の目的を阻害しない範囲内で紫外線安定性モノマー、紫外線吸収性モノマーなどが適量で含まれていてもよい。
紫外線安定性モノマーとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイル−1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
紫外線吸収性モノマーとしては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性モノマー、ベンゾフェノン系紫外線吸収性モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性モノマーとしては、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル]−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルアミノメチル−5’−tert−オクチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチル−3’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3’−tert−ブチルフェニル]−4−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ベンゾフェノン系紫外線吸収性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]プロポキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェノンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとの比〔(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル/(メタ)アクリル系モノマー(質量比)〕は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは1/99〜99/1、より好ましくは10/90〜50/50である。
(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとを反応させる際には、有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系有機溶剤;n−ブチルアルコール、プロピレングリコールメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、エチルセロソルブなどのアルコール系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶剤;ジメチルホルムアミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記有機溶剤のなかでは、貯蔵安定性を向上させる観点から、酢酸エチルおよびメチルエチルケトンが好ましい。前記有機溶剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。有機溶剤の量は、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルおよび(メタ)アクリル系モノマーを十分に溶解させるとともに、両者を効率よく反応させることができる量であればよく、特に限定されないが、通常、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルおよび(メタ)アクリル系モノマーの合計100質量部あたり50〜500質量部程度であることが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとを反応させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジtert−ブチルパーオキサイドなどのラジカル重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。重合開始剤の量は、特に限定されないが、(メタ)アクリル系モノマー100質量部あたり、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。重合開始剤の添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとの反応を促進させる観点から、(メタ)アクリル系モノマーを反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
また、ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーの分子量を調整するために、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーの合計100質量部あたりの連鎖移動剤の量は、0質量部以上であるが、ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量を適切に調整する観点から、0.01〜10質量部程度であることが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとを反応させる際の雰囲気は、特に限定されないが、反応効率を高める観点から、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとを反応させる際の温度は、特に限定されないが、通常、好ましくは50〜140℃、より好ましくは60〜100℃である。反応温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとの反応時間は、特に限定されず、反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2〜12時間程度である。
以上のようにして(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルと(メタ)アクリル系モノマーとを反応させることにより、ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーを得ることができる。
ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるポリエステルセグメントとアクリルセグメントとの比〔ポリエステルセグメント/アクリルセグメント(質量比)〕は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは1/99〜99/1、より好ましくは10/90〜50/50である。
ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーの重合平均分子量は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、5000〜100万、好ましくは2万〜50万、より好ましくは3万〜30万、さらに好ましくは5万〜10万である。
なお、ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーの重合平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)の測定装置として、東ソー(株)製、品番:HLC−8320GPC、分離カラム:東ソー(株)製、品番:TSKgel Super Multipore HZ−M、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製〕に換算したときの値である。
ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアクリルセグメントの酸価は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜60mgKOH/g、より好ましくは0〜20mgKOH/g、より一層好ましくは0〜15mgKOH/g、さらに好ましくは0〜10mgKOH/g、さらに一層好ましくは0〜5mgKOH/gである。ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアクリルセグメントの酸価は、式:
[アクリルセグメントの酸価(mgKOH/g)]
={〔ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーの原料として用いられる(メタ)アクリル系単量体におけるカルボキシル基を有するモノマーの含有率(質量%)×0.01〕÷(カルボキシル基を有するモノマーの分子量)}
×56100
に基づいて求められる値である。
また、ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアクリルセグメントの水酸基価は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜200mgKOH/g、より好ましくは0〜150mgKOH/g、さらに好ましくは0〜120mgKOH/gである。ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアクリルセグメントの水酸基価は、式:
[アクリルセグメントの水酸価(mgKOH/g)]
={〔ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーの原料として用いられる(メタ)アクリル系単量体における水酸基を有するモノマーの含有率(質量%)×0.01〕÷(水酸基を有するモノマーの分子量)}
×56100
に基づいて求められる値である。
ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアクリルセグメントのガラス転移温度は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5〜150℃、さらに好ましくは10〜80℃である。
ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアクリルセグメントのガラス転移温度は、当該ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーの原料として用いられる(メタ)アクリル系モノマーに含まれているモノマーからなるホモポリマーのガラス転移温度(Tg)(絶対温度:K)とモノマーの質量分率から、式:
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・+Wn/Tgn
〔式中、Tgは、求めようとしているポリマーのガラス転移温度(K)、W1、W2、W3・・・・Wnは、それぞれ各モノマーの質量分率、Tg1、Tg2、Tg3・・・・Tgnは、それぞれ各モノマーの質量分率に対応するモノマーからなるホモポリマーのガラス転移温度(K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求めることができる。
本発明においては、ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアクリルセグメントのガラス転移温度は、前記フォックス(Fox)の式に基づいて求められたガラス転移温度を意味する。
なお、特殊モノマー、多官能モノマーなどのようにガラス転移温度が不明のモノマーについては、ガラス転移温度が判明しているモノマーのみを用いてポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアクリルセグメントのガラス転移温度が求められる。
ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアクリルセグメントのガラス転移温度を考慮して、アクリルセグメントの原料として用いられる(メタ)アクリル系モノマーの組成を決定することができる。
ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、メチルメタクリレートのホモポリマーでは105℃、n−ブチルアクリレートのホモポリマーでは−56℃、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーでは55℃、メタクリル酸のホモポリマーでは130℃である。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、ポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーを含有するものである。本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物には、前記で得られたポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーの反応溶液をそのままの状態で用いることができる。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物には、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、多官能イソシアネート化合物を含有させることが好ましい。
多官能イソシアネート化合物は、複数のイソシアネート基を有するが、当該イソシアネート基の数は、好ましくは2〜4個、より好ましくは2個または3個である。
多官能イソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基を2個以上有する芳香族ポリイソシアネート、イソシアネート基を2個以上有する脂肪族ポリイソシアネート、イソシアネート基を2個以上有する脂環族ポリイソシアネート、それらの混合物、それらを変性させることによって得られる変性ポリイソシアネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
多官能イソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、水添メチレンジフェニルジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、それらの混合物、それらの変性体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記変性体としては、ポリオールとの反応生成物であるプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体などが挙げられる。これらのポリイソシアネート系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能イソシアネート化合物は、例えば、東ソー(株)製、商品名:コロネートL、コロネートL−55E、コロネートHX、コロネートHL、コロネートHL−S、コロネート2234(コロネートは登録商標);住友バイエルウレタン(株)(現バイエルA.G.社)製、商品名:デスモジュールN3400(デスモジュールは登録商標);旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:デュラネートD−201、デュラネートTSE−100、デュラネートTSS−100、デュラネート24A−100、デュラネートE−405−80T(デュラネートは登録商標);三井化学ポリウレタン(株)製、商品名:タケネートD−110N、タケネートD−120N、タケネートM−631N(タケネートは登録商標);三井化学(株)製、商品名:MTERT−オレスターNP1200(オレスターは登録商標)などとして商業的に容易に入手することができる。これらの多官能イソシアネート化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
多官能イソシアネート化合物のNCO基とポリエステルセグメント含有(メタ)アクリル系ポリマーのOH基(水酸基)との比(NCO基/OH基:当量比)は、基材に易接着処理が施されていなくても当該基材に対する密着性に優れ、透明性、貯蔵安定性および形成された被膜の耐カール性に優れたコーティング用樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0.8/1〜1.2/1、より好ましくは0.9/1〜1.15/1、さらに好ましくは0.95/1〜1.1/1である。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、例えば、有機溶剤で所定の不揮発分含量となるように希釈することにより、容易に調製することができる。有機溶剤としては、前述した有機溶剤と同様のものを例示することができる。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物における不揮発分含量は、生産性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
なお、有機溶剤系コーティング用樹脂組成物における不揮発分含量は、有機溶剤系コーティング用樹脂組成物1gを秤量し、熱風乾燥機で150℃の温度で15分間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔有機溶剤系コーティング用樹脂組成物における不揮発分含量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔有機溶剤系コーティング用樹脂組成物1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物には、必要により、例えば、添加剤などが本発明の目的を阻害しない範囲内で含まれていてもよい。
添加剤としては、例えば、分散剤、消泡剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、発泡剤、湿潤剤、ブロッキング防止剤、防腐剤、重合禁止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、シランカップリング剤、難燃剤、レベリング剤、可塑剤、染料、顔料、酸化防止剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なることから、当該添加剤の種類に応じて適宜調整することが好ましい。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、種々の基材に適用することができる。基材を構成する材質としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、セロファン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、ABS樹脂、ノリル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、ガラス、スレート、モルタルなどの無機系材料、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛などの金属およびそれらの合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、ポリエステルなどの樹脂からなる基材に対し、優れた密着性を発現する。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。これらの樹脂からなる基材は、単層のみで構成されていてもよく、複数の樹脂層が積層された積層構造を有していてもよい。樹脂からなる基材の代表例として、樹脂フィルムなどが挙げられる。好適な樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルムなどが挙げられる。樹脂フィルムの厚さは、その用途などによって異なるので一概には決定することができないので、その用途に応じて適宜決定することが好ましい。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物を樹脂フィルムなどの基材に塗布する方法としては、例えば、スプレーコーティング法、刷毛塗り法、カーテンフローコート法、グラビアコート法、ロールコート法、スピンコート法、バーコート法、静電塗装法などをはじめ、基材を本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物中に浸漬する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物を樹脂フィルムなどの基材に塗布した後、形成された被膜を硬化させるために適宜加熱してもよい。加熱温度および加熱時間は、本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物の組成や樹脂フィルムなどの基材の耐熱温度などによって異なるので一概には決定することができないことから、当該耐熱温度などを考慮して適宜決定することが好ましい。
本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、従来のように基材に被膜を強固に接着させるための易接着処理を施さなくても基材表面に被膜を強固に接着させることができることから、基材表面に効率よく被膜を形成されることができる。さらに、本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、透明性および貯蔵安定性に優れ、さらに形成された被膜の耐カール性にも優れていることから、例えば、各種記録材料、ICカード、ICタグなどをはじめ、薬品や食品などの包装材、太陽電池用バックシート、マーキングフィルム、感光性樹脂板、粘着シート、色素増感型太陽電池、偏光板保護用樹脂フィルム、反射用樹脂フィルム、反射防止用樹脂フィルム、光拡散フィルムなどの光学樹脂フィルム、ガラス飛散防止樹脂フィルム、化粧シート、窓用樹脂フィルムなどの建築材料用樹脂フィルム、表示材料、電飾看板などの屋内外のオーバーレイ用樹脂フィルム、シュリンクフィルムなどに好適に使用することができ、なかでも光学樹脂フィルム用に好適に使用することができる。さらに、本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、粘着剤、接着剤に使用することが期待される。
なお、本発明の有機溶剤系コーティング用樹脂組成物を樹脂フィルムなどの基材の表面に塗布し、乾燥させた後の被膜の厚さは、特に限定がなく、当該樹脂フィルムなどの用途に応じて適宜決定することが好ましいが、通常、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上であり、樹脂フィルムなどの基材との密着強度を高める観点から、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
調製例1
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置および不活性ガスの導入口を有するステンレス製の反応器内にネオペンチルグリコール208部(質量部、以下同じ)、エチレングリコール273部、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル=3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオナート200部を仕込み、反応器の内容物を撹拌しながら160℃まで昇温させて溶融させた。
次に、前記反応器内にイソフタル酸1328部およびジn−ブチルスズオキサイド1.5部を仕込んだ後、分留装置の頂部の温度が100℃を超えないようにしながら、生成する縮合水を窒素ガスで前記反応装置から除去し、反応器の内容物を3時間かけて徐々に230℃にまで昇温させることにより、エステル化反応を行なった。
縮合水の生成量が理論量の90%以上に到達した後、前記反応器内の内容物を180℃に冷却し、前記反応器内にテレフタル酸1328部および5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム1076部を仕込み、前記と同様にして分留装置の頂部の温度が100℃を超えないようにしながら、生成する縮合水を窒素ガスで前記反応装置から除去し、反応器の内容物を3時間かけて徐々に230℃まで再び昇温させ、その温度でエステル化反応を6時間行なうことにより、酸価が1.5mgKOH/gであり、水酸基価が9mgKOH/gであり、重量平均分子量が25000であるポリエステル(A1)を得た。
調製例2
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置および不活性ガスの導入口を有するステンレス製の反応器内にネオペンチルグリコール1554部、エチレングリコール273部およびグリセリン243部を仕込み、反応器の内容物を撹拌しながら160℃まで昇温させて溶融させた。
次に、前記反応器内にイソフタル酸1660部およびジn−ブチルスズオキサイド1.5部を仕込み、分留装置の頂部の温度が100℃を超えないようにしながら、生成する縮合水を窒素ガスで前記反応装置から除去し、反応器の内容物を3時間かけて徐々に230℃にまで昇温させることにより、エステル化反応を行なった。
縮合水の生成量が理論量の90%以上に到達した後、前記反応器内の内容物を180℃に冷却し、前記反応器内にテレフタル酸1660部を仕込み、前記と同様にして分留装置の頂部の温度が100℃を超えないようにしながら、生成する縮合水を窒素ガスで前記反応装置から除去し、反応器の内容物を3時間かけて徐々に230℃まで再び昇温させ、その温度でエステル化反応を6時間行なうことにより、酸価が4.2mgKOH/gであり、水酸基価が55.2mgKOH/gであり、重量平均分子量が5000であるポリエステル(A2)を得た。
調製例3
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置および不活性ガスの導入口を有するステンレス製の反応器内にネオペンチルグリコール1969部およびグリセリン194部を仕込み、反応器の内容物を撹拌しながら160℃まで昇温させて溶融させた。
次に、前記反応器内にイソフタル酸1660部およびジn−ブチルスズオキサイド1.5部を仕込み、分留装置の頂部の温度が100℃を超えないようにしながら、生成する縮合水を窒素ガスで前記反応装置から除去し、反応器の内容物を3時間かけて徐々に230℃にまで昇温させることにより、エステル化反応を行なった。
縮合水の生成量が理論量の90%以上に到達した後、前記反応器内の内容物を180℃に冷却し、前記反応器内にイソフタル酸1660部を仕込み、前記と同様にして分留装置の頂部の温度が100℃を超えないようにしながら、生成する縮合水を窒素ガスで前記反応装置から除去し、反応器の内容物を3時間かけて徐々に230℃まで再び昇温させ、その温度でエステル化反応を6時間行なうことにより、酸価が8.3mgKOH/gであり、水酸基価が39.6mgKOH/gであり、重量平均分子量が6000であるポリエステル(A3)を得た。
製造例1
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に調製例2で得られたポリエステル(A2)50g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート2gおよび酢酸エチル100gを仕込み、フラスコの内容物を50℃に昇温させて2時間熟成させ、当該ポリエステル(A2)の末端にメタクリロイル基を導入した。
その後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら約80℃で還流させ、メチルメタクリレート71.4g、n−ブチルアクリレート28.6gおよび重合開始剤としてtert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、さらにフラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%となるように酢酸エチルをフラスコ内に添加することにより、酸価が0mgKOH/g、水酸基価が0mgKOH/g、ガラス転移温度が40℃であるアクリルセグメントを有し、重量平均分子量が53000であるポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B1)を得た。
製造例2
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に調製例1で得られたポリエステル(A1)12g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.1gおよび酢酸エチル100gを仕込み、フラスコの内容物を50℃に昇温させて2時間熟成させ、当該ポリエステル(A1)の末端にメタクリロイル基を導入した。
その後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら約80℃で還流させ、メチルメタクリレート78.1g、n−ブチルアクリレート13.3g、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.3g、メタクリル酸0.3gおよび重合開始剤としてtert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、さらにフラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%となるように酢酸エチルをフラスコ内に添加することにより、酸価が2mgKOH/g、水酸基価が40mgKOH/g、ガラス転移温度が60℃であるアクリルセグメントを有し、重量平均分子量が57000であるポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B2)を得た。
製造例3
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に調製例1で得られたポリエステル(A1)12g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.1gおよび酢酸エチル100gを仕込み、フラスコの内容物を50℃に昇温させて2時間熟成させ、当該ポリエステル(A1)の末端にメタクリロイル基を導入させた。
その後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら約80℃で還流させ、メチルメタクリレート75.9g、n−ブチルアクリレート13.5g、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.3g、メタクリル酸2.3gおよび重合開始剤としてtert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、さらにフラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%となるように酢酸エチルをフラスコ内に添加することにより、酸価が15mgKOH/g、水酸基価が40mgKOH/g、ガラス転移温度が60℃であるアクリルセグメントを有し、重量平均分子量が56000であるポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B3)を得た。
製造例4
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に調製例1で得られたポリエステル(A1)12g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.1gおよび酢酸エチル100gを仕込み、フラスコの内容物を50℃に昇温させて2時間熟成させ、当該ポリエステル(A1)の末端にメタクリロイル基を導入させた。
その後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら約80℃で還流させ、メチルアクリレート75.0g、n−ブチルアクリレート13.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.3g、メタクリル酸3.1gおよび重合開始剤としてtert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、さらにフラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%となるように酢酸エチルをフラスコ内に添加することにより、酸価が20mgKOH/g、水酸基価が40mgKOH/g、ガラス転移温度が60℃であるアクリルセグメントを有し、重量平均分子量が55000であるポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B4)を得た。
製造例5
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に調製例1で得られたポリエステル(A1)12g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.1gおよび酢酸エチル100gを仕込み、フラスコの内容物を50℃に昇温させて2時間熟成させ、当該ポリエステル(A1)の末端にメタクリロイル基を導入させた。
その後、フラスコ内に、窒素ガスを導入しながら、約80℃で還流させ、メチルメタクリレート73.6g、n−ブチルアクリレート5.4g、2−ヒドロキシエチルアクリレート20.7g、メタクリル酸0.3gおよび重合開始剤としてtert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、さらにフラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%となるように酢酸エチルをフラスコ内に添加することにより、酸価が2mgKOH/g、水酸基価が100mgKOH/g、ガラス転移温度が60℃であるアクリルセグメントを有し、重量平均分子量が58000であるポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B5)を得た。
製造例6
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に調製例1で得られたポリエステル(A1)12g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.1gおよび酢酸エチル100gを仕込み、フラスコの内容物を50℃に昇温させて2時間熟成させ、当該ポリエステル(A1)の末端にメタクリロイル基を導入させた。
その後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら、約80℃で還流させ、メチルメタクリレート72.9g、n−ブチルアクリレート4.1g、2−ヒドロキシエチルアクリレート22.7g、メタクリル酸0.3gおよび重合開始剤としてtert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、さらにフラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%となるように酢酸エチルをフラスコ内に添加することにより、酸価が2mgKOH/g、水酸基価が110mgKOH/g、ガラス転移温度が60℃であるアクリルセグメントを有し、重量平均分子量が60000であるポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B6)を得た。
製造例7
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に調製例2で得られたポリエステル(A2)50g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート2gおよび酢酸エチル100gを仕込み、フラスコの内容物を50℃に昇温させて2時間熟成させ、当該ポリエステルの末端にメタクリロイル基を導入させた。
その後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら約80℃で還流させ、メチルメタクリレート65.9g、n−ブチルアクリレート34.1gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、さらにフラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%となるように酢酸エチルをフラスコ内に添加することにより、酸価が0mgKOH/g、水酸基価が0mgKOH/g、ガラス転移温度が30℃であるアクリルセグメントを有し、重量平均分子量が52000であるポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B7)を得た。
製造例8
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に調製例3で得られたポリエステル(A3)12g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート1gおよび酢酸エチル100gを仕込み、フラスコの内容物を50℃に昇温させて2時間熟成させ、当該ポリエステル(A3)の末端にメタクリロイル基を導入させた。
その後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら約80℃で還流させ、メチルメタクリレート78.1g、n−ブチルアクリレート13.3g、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.3g、メタクリル酸0.3gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、さらにフラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%となるように酢酸エチルをフラスコ内に添加することにより、酸価が2mgKOH/g、水酸基価が40mgKOH/g、ガラス転移温度が60℃であるアクリルセグメントを有し、重量平均分子量が58000であるポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B8)を得た。
比較製造例1
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に酢酸エチル100gを仕込み、窒素ガスを導入しながら、約80℃で還流させ、メチルメタクリレート71.4g、n−ブチルアクリレート28.6gおよび重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、フラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、アクリル系ポリマーの不揮発分含量が50.0質量%となるように酢酸エチルをフラスコ内に添加することにより、重量平均分子量が50000であるアクリル系ポリマー(B9)を得た。
比較製造例2
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた500mL容のフラスコ内に調製例1で得られたポリエステル(A1)12g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.1gおよび酢酸エチル100gを仕込み、フラスコの内容物を50℃に昇温させて2時間熟成させ、当該ポリエステル(A1)の末端にメタクリロイル基を導入させた。
その後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら約80℃で還流させ、メチルメタクリレート70.0g、n−ブチルアクリレート14.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.3g、メタクリル酸7.7gおよび重合開始剤としてtert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート4gを2時間かけてフラスコ内に連続滴下し、さらにフラスコの内容物を80℃で3時間加熱した。
次に、イソプロピルアルコール50gをフラスコ内に徐々に滴下し、トリエチルアミン10gをフラスコ内に滴下することによってフラスコの内容物を中和させた後、脱イオン水をフラスコ内に添加した。引き続いて、フラスコ内を35Paに減圧し、フラスコの内温を約68℃に調整して酢酸エチルおよびイソプロピルアルコールを留出させた。フラスコの内容物のpHをトリエチルアミンで7〜8に調整し、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマーの不揮発分含量が40.0質量%となるように脱イオン水をフラスコ内に添加することにより、酸価が50mgKOH/g、水酸基価が40mgKOH/g、ガラス転移温度が60℃であるアクリルセグメントを有し、重量平均分子量が45000であるポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B10)を含有する水性分散体を得た。
実施例1
製造例1で得られたポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B1)100部を容器内に入れ、酢酸エチルで不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
実施例2
製造例2で得られたポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B2)100部あたりポリイソシアネート硬化剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕6部の割合で、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B2)およびポリイソシアネート硬化剤を容器内に入れ、酢酸エチルで不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
実施例3
製造例3で得られたポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B3)100部あたりポリイソシアネート硬化剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕6部の割合で、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B3)およびポリイソシアネート硬化剤を容器内に入れ、酢酸エチルで不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
実施例4
製造例4で得られたポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B4)100部あたりポリイソシアネート硬化剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕6部の割合で、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B4)およびポリイソシアネート硬化剤を容器内に入れ、酢酸エチルで不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
実施例5
製造例5で得られたポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B5)100部あたりポリイソシアネート硬化剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕15部の割合で、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B5)およびポリイソシアネート硬化剤を容器内に入れ、酢酸エチルで不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
実施例6
製造例6で得られたポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B6)100部あたりポリイソシアネート硬化剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕16部の割合で、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B6)およびポリイソシアネート硬化剤を容器内に入れ、酢酸エチルで不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
実施例7
製造例7で得られたポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B7)100部を容器内に入れ、酢酸エチルで不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
実施例8
製造例8で得られたポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B8)100部あたりポリイソシアネート硬化剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕6部の割合で、ポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B8)およびポリイソシアネート硬化剤を容器内に入れ、酢酸エチルで不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
比較例1
比較製造例1で得られたアクリル系ポリマー(B9)100部、調製例1で得られたポリエステル(A1)10部およびポリイソシアネート硬化剤〔住化バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールN3200〕6部を容器内に入れ、酢酸エチルで不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
比較例2
比較製造例2で得られたポリエステルセグメント含有アクリル系ポリマー(B10)を含有する水性分散体100部に脱イオン水を添加し、不揮発分含量が20質量%となるように希釈することにより、コーティング用樹脂組成物を得た。
実験例
基材として易接着処理が施されていないポリエチレンテレフタレート製フィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラ−(登録商標)T60、厚さ:25μm〕を縦:20cm、横:20cmの大きさに裁断することにより、試験用フィルム(以下、PETフィルムという)を作製した。
次に、各実施例または各比較例で得られたコーティング用樹脂組成物をPETフィルムの表面にバーコーターで塗布し、熱風乾燥機にて100℃で30秒間乾燥させることにより、乾燥後の膜厚が約5μmである被膜が形成された積層体を得た。
前記で得られた積層体を用い、コーティング用樹脂組成物の物性として、密着性、透明性および耐カール性を以下の方法に基づいて調べた。
また、各実施例または各比較例で得られたコーティング用樹脂組成物において、ポリイソシアネート硬化剤が使用されていないコーティング用樹脂組成物の物性として、貯蔵安定性を以下の方法に基づいて調べた。それらの結果を表1に示す。
〔密着性〕
前記で得られた積層体を用い、JIS K5400(1990)8.5.2(碁盤目テープ法)に準拠し、初期状態における積層体の密着性試験、および60℃で相対湿度90%の雰囲気中で1000時間、1500時間または2000時間放置した後の積層体の密着性試験を行なった後、各積層体の被膜外観を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて密着性を評価した。
(評価基準)
20点:異常なし
10点:PETフィルムと被膜間で剥離が僅かに認められる。
0点:PETフィルムと被膜間で完全に剥離が認められる。
〔透明性〕
前記で得られた積層体を用い、JIS K7105に準拠し、濁度計〔日本電色工業(株)製、品番:NDH300A〕を用いてPETフィルムの透明性および積層体の透明性をそれぞれ測定し、積層体の初期状態におけるPETフィルムと積層体とのヘイズの差、および60℃で相対湿度90%の雰囲気中で1000時間後または2000時間放置した後のPETフィルムと積層体とのヘイズの差を調べ、以下の評価基準に基づいて透明性を評価した。
(評価基準)
20点:ヘイズの差が0.5%未満
10点:ヘイズの差が0.5%以上1%未満
5点:ヘイズの差が1%以上2%未満
0点:ヘイズの差が2%以上
〔耐カール性〕
100℃の温度で30秒間乾燥させた直後の積層体を縦10cm、横3cmの長方形状に切り出し、得られた試験片の被膜面を上向きにして水平台上に試験片を置き、23℃で相対湿度65%の雰囲気中で3時間放置した後、試験片の4カ所の隅角部と水平台との距離(浮き上がり距離)を測定し、以下の評価基準に基づいて耐カール性を評価した。
(評価基準)
20点:4カ所の隅角部の浮き上がり距離の合計が2mm未満
10点:4カ所の隅角部の浮き上がり距離の合計が2mm以上5mm未満
0点:4カ所の隅角部の浮き上がり距離の合計が5mm以上
〔貯蔵安定性〕
各実施例または各比較例で得られたコーティング用樹脂組成物にポリイソシアネート硬化剤を含有させずに、酢酸エチルで不揮発分含量を20質量%に調整したコーティング用樹脂組成物を23℃の空気中で24時間静置した後、その外観を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて貯蔵安定性を評価した。
(評価基準)
20点:分離および沈殿が認められない。
0点:分離または沈殿が認められる。
〔総合評価〕
各試験項目における評価得点を合計することにより、総合得点を求めた。なお、評価得点が0点である評価項目を1つでも有するコーティング用樹脂組成物は、不合格である。
表1に示された結果から、各実施例で得られた有機溶剤系コーティング用樹脂組成物は、いずれも、各比較例で得られたコーティング用樹脂組成物と対比して、密着性、透明性、耐カール性および貯蔵安定性に総合的に優れていることがわかる。