JP2017112835A - 多能性幹細胞の凍結保存方法および凍結保存システム - Google Patents

多能性幹細胞の凍結保存方法および凍結保存システム Download PDF

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味 慎 一 五
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圭 祐 原
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下 直 希 西
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Abstract

【課題】多能性幹細胞の均質かつ簡便な凍結保存方法並びに凍結保存システムを提供すること。【解決手段】多能性幹細胞の凍結保存方法であって、(a)多能性幹細胞を単一細胞に解離させることと、(b)細胞を凍結して保存することと、(c)解凍後、多能性幹細胞に細胞集塊を形成させることとを含んでなる方法、および、多能性幹細胞の細胞集塊を製造する方法であって、(A)単一細胞化され、凍結された細胞を解凍することと、(B)解凍した細胞をウェルに播種してウェル中で細胞に1以上の細胞集塊を形成させることとを含んでなる方法。【選択図】図1

Description

本発明は、多能性幹細胞の凍結保存方法および凍結保存システムに関する。
多能性幹細胞は、接着培養によりコロニーを形成する。多能性幹細胞の凍結保存は、このコロニーを剥離して得られた細胞集塊を凍結保存するものである。多能性幹細胞の細胞集塊を凍結するための凍結保存液としては、様々なものが市販されている(例えば、特許文献1)。これらの凍結保存方法においては、ガラス化法と緩慢凍結法が主に用いられている。
しかしながら、ガラス化法により多能性幹細胞の細胞集塊を凍結するための凍結保存液は細胞毒性が強く、細胞を凍結保存液で懸濁した後には迅速に凍結させる必要があった。そのため、解凍後の細胞の回復の程度が一定せず、操作者の個人差が発生するばかりでなく、操作の機械化および細胞の大規模処理には適さなかった。また、緩慢凍結法では、フィーダーフリー条件で培養した細胞は、解凍後の生存率が極めて低いことが知られており、多能性幹細胞の凍結保存法としては適さないと考えられていた。
このように、ガラス化法と緩慢凍結法のいずれも凍結操作の機械化および細胞の大規模処理に適した方法ではない。また、機械化および細胞の大規模処理が可能な多能性幹細胞の凍結保存方法は報告されていない。
国際公開第2005/045007号パンフレット
本発明は、多能性幹細胞の均質かつ簡便な凍結保存方法および凍結保存システムを提供する。
本発明者らは、多能性幹細胞を単一細胞化して凍結させた場合には、解凍後、単一細胞化した細胞をそのまま接着培養系に移すと復帰してくる細胞が少ないことや、成長するコロニーの大きさにばらつきが生じることを見出した。そこで、解凍後、単一細胞化した細胞に細胞集塊を形成させてから接着培養系に移す試みを行った。細胞非接着性表面を持つウェルを用いて細胞集塊を形成させたところ、解凍した多能性幹細胞は、解凍直後にも関わらず細胞集塊を形成することを見出した。形成された細胞集塊は、未分化状態を維持しており、得られるコロニーの大きさのばらつきが少なく、その後の良好に培養することが可能であり、かつまた復帰してくる細胞が多いことも見出した。また、大きなウェルを用いて解凍した細胞に細胞集塊を形成させてから接着培養を行なうと、1ウェル中に複数の大きさの揃った細胞集塊が形成されることや、この細胞集塊を接着培養すると極めて効率良く細胞を増殖させることができ、かつ、得られるコロニーの大きさも揃っていることを見出した。本発明はこのような知見に基づいて行われたものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)多能性幹細胞の細胞集塊を製造する方法であって、
(A)単一細胞化され、かつ、凍結された多能性幹細胞を解凍することと、
(B)解凍した多能性幹細胞をウェルに播種してウェル中で多能性幹細胞に1以上の細胞集塊を形成させることと、
を含んでなる、方法。
(2)工程(B)において、細胞を細胞密度100〜20,000個/mmとなるようにウェルに播種することにより細胞集塊を形成させる、上記(1)に記載の方法。
(3)多能性幹細胞が、緩慢凍結法により凍結されたものである、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)工程(B)が、細胞集塊形成中にウェルを攪拌することを含んでなる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)多能性幹細胞が、ヒトES細胞またはヒトiPS細胞である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)ウェルが、錐形状、丸底、V底、U底、角取平面底または平面底のウェルである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)工程(B)のウェルが、丸底96穴型マイクロタイタープレートのウェルであり、1ウェル当りに播種する細胞数が5×10個〜1×10個であり、細胞がヒトiPS細胞である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)多能性幹細胞の凍結保存方法であって、
(a)多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させることと、
(b)細胞を凍結して保存することと、
(c)解凍後、多能性幹細胞に細胞集塊を形成させることと、
を含んでなる、方法。
(9)工程(c)において、細胞集塊をウェル中で複数形成させる、上記(8)に記載の方法。
(10)工程(c)において、細胞を細胞密度100〜20,000個/mmとなるようにウェルに播種することにより細胞集塊を形成させる、上記(9)に記載の方法。
(11)工程(b)において、細胞の凍結が緩慢凍結法により行なわれる、上記(9)または(10)に記載の方法。
(12)工程(c)が、細胞集塊形成中にウェルを攪拌することを含んでなる、上記(8)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)多能性幹細胞が、ヒトES細胞またはヒトiPS細胞である、上記(8)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)ウェルが、錐形状、丸底、V底、U底、角取平面底または平面底のウェルである、上記(8)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)工程(c)において、丸底96穴型マイクロタイタープレートのウェルであり、1ウェル当りに播種する細胞数が5×10個〜1×10個であり、細胞がヒトiPS細胞である、上記(8)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)工程(c)において、多能性幹細胞の細胞集塊の形成時間が、14日以下である、上記(8)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(17)多能性幹細胞の凍結保存システムであって、
多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させる解離手段と、
解離させた細胞を凍結保存液に混入させる混入手段と、
細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器に導入する導入手段と、
細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させるための凍結手段と、
凍結保存容器を凍結保存する凍結保存手段と、
凍結保存容器中で凍結した凍結保存液を解凍する解凍手段と、
解凍した細胞を細胞培養培地に混入させる混入手段と、
培地に混入させた細胞から細胞集塊を形成させる細胞集塊形成手段と
を備えた、凍結保存システム。
(18)凍結手段が、緩慢凍結により凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させるための凍結手段である、上記(17)に記載のシステム。
(19)前記細胞集塊形成手段が、錐形状、丸底、V底、U底、角取平面底または平面底のウェルを有する、上記(17)または(18)に記載のシステム。
(20)コンピュータに多能性幹細胞の凍結保存法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記録媒体であって、
多能性幹細胞の凍結保存法は、
多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させることと、
解離させた細胞を凍結保存液に混入させることと、
細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器に導入することと、
細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させることと、
凍結保存容器を凍結保存することと、
凍結保存容器中で凍結した凍結保存液を解凍することと、
解凍した細胞を細胞培養培地に混入させることと、
培地に混入させた細胞から細胞集塊を形成させることと
を含んでなる、記録媒体。
細胞集塊は、ピペット操作などにより容易に崩壊するため、技術者の技能により大きさや形状、濃度にばらつきが生じ、従って、凍結条件を均質に保つことは困難であると考えられる。しかし、本願発明では、単一細胞化させてから凍結させるため、凍結は均質に行われ得る。従って、本発明の方法は、継代培養の自動化に適している。本発明ではまた、単一細胞化して凍結解凍した細胞は、速やかに細胞集塊を形成させてから本培養をおこなうと、細胞集塊を形成させない場合と比べて生理的に良好な培養が実現される。
図1は、本発明の凍結方法の手順の概略を示す。 図2は、実施例1で細胞集塊を形成させるために用いたウェルの断面形状を示す。 図3は、ウェル中で形成された細胞集塊を示す。図3A〜Eはそれぞれ、細胞凍結保存液として、CryoStem(図3A)、mFreSR(図3B)、Synth−a−Freeze(図3C)、ATCC(図3D)およびMillipore(図3E)を用いて凍結させた多能性幹細胞の解凍後に形成された細胞集塊を示す。図3Fは、細胞集塊に含まれる細胞数と細胞集塊の直径との関係を示す図である。 図4は、細胞集塊を接着培養皿に播種後、10日目の細胞コロニーの様子を示す。 図5は、細胞集塊を接着培養皿に播種後、1〜6日目の細胞コロニーの成長の推移を示す。 図6は、得られた細胞コロニーが未分化マーカーを発現することを示す。 図7は、単一細胞化した多能性幹細胞をそのまま接着培養皿に播種後、2〜14日目の細胞コロニーの成長の推移を示す。 図8は、単一細胞化した多能性幹細胞をそのまま接着培養皿に播種して14日目のコロニー数および推定細胞数(図8A)並びにコロニーの顕微鏡画像(図8B)を示す。 図9は、解凍後の単一細胞化した多能性幹細胞にAggreWellを用いて細胞集塊を形成させた結果を示す。 図10は、解凍後の単一細胞化した多能性幹細胞にAggreWellを用いて細胞集塊を形成させ、その後接着培養皿に播種して12日目のコロニー数およびコロニー展開率(図10A)並びにコロニーの顕微鏡画像(図10B)を示す。 図11は、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標)96Mのウェルを用いて凍結後の単一細胞化した多能性幹細胞に細胞集塊を形成させた際の細胞集塊の形状の推移を示す。 図12は、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標)96Mのウェルに解凍した単一細胞化多能性幹細胞を播種して4日目に得られる細胞集塊を接着培養皿に播種して10日目のコロニー数および推定細胞数(図12A)並びにコロニーの顕微鏡画像(図12B)を示す。 図13は、単一細胞化して多能性幹細胞を凍結させた後、細胞集塊を形成させないで(条件1)、または細胞集塊を形成させてから(条件2および3)接着培養を開始した場合の、解凍後14日目の細胞の回収率の比較データを示す。 図14は、実施例2の細胞集塊の形成に対する、凍結保存用液の種類および攪拌の有無の影響を示す。 図15は、実施例2の細胞集塊の形成に対する、凍結保存用液の種類および攪拌の有無の影響を示すグラフである。 図16は、攪拌しながら細胞集塊を形成させると、形成される細胞集塊の大きさが増大することを示す。 図17は、細胞集塊形成(形成期間は4日間)の初期の遠心処理の有無および形成中の攪拌の有無が細胞の回収率に与える影響を示す。 図18は、図17の結果から得られたグラフである。 図19は、細胞集塊形成(形成期間は8日間)の初期の遠心処理の有無および形成中の攪拌の有無が細胞の回収率に与える影響を示す。 図20は、図19の結果から得られたグラフである。 図21は、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標)96Mの各ウェルに導入する細胞数が与える細胞集塊形成への影響を示す。凍結保存液は、CryoStemである。 図22は、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標)96Mの各ウェルに導入する細胞数が与える細胞集塊形成への影響を示す。凍結保存液は、mFreSRである。 図23は、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標)96Mの各ウェルに導入する細胞数の多能性幹細胞コロニー形成への影響を示す。 図24は、図23で形成されたコロニーサイズのヒストグラム(図24左)とそのサイズの平均値および標準偏差(図24右)を示す。 図25は、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標)96Mの各ウェルに導入する細胞数と接着培養開始後得られる細胞数との関係を示す。 図26は、凍結前の凍結保存液と細胞との接触時間が、解凍後の細胞による細胞集塊の形成に及ぼす影響を示す。 図27は、図26で得られた細胞集塊を接着培養皿に播種して8日後のコロニーの顕微鏡画像である。 図28は、細胞集塊を形成させて14日目の細胞集塊の顕微鏡画像を示し、図中の時間は、凍結前の凍結保存液と細胞との接触時間を示す。 図29は、凍結前の凍結保存液と細胞との接触時間が細胞の回復の程度に与える影響を示す。図29Aは、凍結保存液がCytoStemであるときの結果を示し、図29Bは、凍結保存液がmFreSRであるときの結果を示す。 図30は、従来凍結法と本発明の凍結法による凍結後の細胞の回復の程度を示す。 図31は、本発明の多能性幹細胞の凍結保存システムの概要を示す。
発明の具体的な説明
本発明では、簡便で、操作によるブレの少ない多能性幹細胞の凍結保存方法が提供される。
本発明の凍結保存の対象となる細胞は、多能性幹細胞である。本発明で用いられる多能性幹細胞としては、胚性幹細胞(ES細胞)、誘導性多能性幹細胞(iPS細胞または人工多能性幹細胞)、Muse細胞(Multilineage-differentiating Stress Enduring Cell)、胚性腫瘍細胞(EC細胞)または、胚性生殖幹細胞(EG細胞)などの多能性幹細胞が挙げられ、好ましくは、ES細胞またはiPS細胞である。本発明に用いる多能性幹細胞はまた、好ましくは、霊長類または齧歯類などの哺乳類の多能性幹細胞であり、より好ましくは、ヒトの多能性幹細胞である。本発明に用いる多能性幹細胞は、最も好ましくは、ヒトES細胞またはヒトiPS細胞である。
一般的に多能性幹細胞にとって単一細胞化は好ましいものではなく、従前の多くのプロトコルが多能性幹細胞を細胞塊の状態で凍結保存する手法を採用している。しかし、本発明によれば、単一細胞化して凍結解凍した細胞は、速やかに再び細胞集塊を形成させてから、細胞集塊を播種して本培養を行なうことにより、生理的にも回復の程度においても良好な凍結解凍が可能である。
従って、本発明の多能性幹細胞の凍結保存方法は、
(a)多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させることと、
(b)細胞を凍結して保存することと、
(c)解凍後、多能性幹細胞に細胞集塊を形成させることと、
を含んでなる。
以下、(a)、(b)および(c)について説明する。
(a)多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させること
本発明の多能性幹細胞の凍結保存方法では、多能性幹細胞の細胞塊は単一細胞に解離させてから凍結させる。より具体的には、工程(a)では、多能性幹細胞コロニーを剥離して得られる多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させる。
(細胞接着面からの細胞の剥離)
多能性幹細胞は、接着培養を行なうと、培養容器の接着表面上でコロニー状の細胞塊を形成する。本発明では、接着培養において、酵素的に、生理的にまたは物理的に細胞接着面から剥離させた多能性幹細胞を用いることができる。本発明では、多能性幹細胞を細胞接着面から剥離させる酵素としては、常法で用いられる酵素を用いることができ、例えば、トリプシン、ディスパーゼ、アキュターゼおよびコラゲナーゼなどの酵素を用いることができる。多能性幹細胞の細胞接着面からの剥離はまた、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの二価イオン(特にMg2+)のキレート剤など、細胞剥離作用を有する化学物質を用いて行ってもよく、これらを上記酵素と組み合わせて用いて行ってもよい。本発明ではまた、多能性幹細胞を細胞接着面から剥離させるために、細胞の接着表面に高周波振動などの振動を与えてもよく、および/または、セルスクレイパーを用いてもよい。本発明では更に、上記の生理学的な剥離法と物理的な剥離法を組み合わせて細胞を剥離してもよい。当業者であれば、細胞接着面からの多能性幹細胞の剥離は上記のような周知の剥離法を用いて適宜行うことができるであろう。
本発明では、細胞塊は単一細胞にまで解離させることができる。細胞塊の解離は、細胞の培養面からの剥離と同時に行ってもよいし、細胞塊として剥離させた後に行ってもよい。
(細胞塊の解離)
培養面から剥離させた細胞塊は、酵素を用いてさらに処理することにより単一細胞レベルにまで分散させてもよい。細胞を単一細胞レベルにまで解離させるために用いることができる酵素としては、細胞−細胞間の結合を切断することのできる酵素や細胞−細胞外基質(ECM)間の結合を切断することのできる酵素を挙げることができ、これらの酵素は、当業者に周知である。細胞を単一細胞レベルにまで解離させるために用いることができる酵素としては、例えば、アキュターゼなどが挙げられる。接着面から剥離させた細胞が細胞塊の形状を保っている場合には、剥離させた細胞塊は、例えば、ピペッティングの水流により単一細胞レベルにまで解離させてから分散させることができる。酵素や水流を用いた細胞塊の解離は、自動化が可能であり、工程(a)は自動化が可能である。
細胞を単一細胞レベルにまで解離させ分散させている間は、分散させた細胞の懸濁液に、細胞を分散させたことによる細胞への悪影響(例えば、細胞死等)を抑制する化合物、例えば、Y−27632などのROCK阻害剤を添加することができる。
(b)細胞を凍結して保存すること
本発明の多能性幹細胞の凍結保存方法では、単一細胞の多能性幹細胞の凍結に適した周知の方法により凍結させることができる。以下、細胞の凍結によく用いられる緩慢冷却法について説明する。
緩慢冷却法とは、緩慢凍結法とも呼ばれ、5〜20%程度のジメチルスルホキシドやグリセロールなどの凍結保護剤を添加した凍結保存溶液に細胞を懸濁し、緩慢に冷却して(例えば、1℃/分の冷却)細胞を凍結する方法である。緩慢冷却法では、ゆっくりと冷却することにより細胞外の溶液中の水分が徐々に結晶化し、細胞外溶液の浸透圧が上昇する。すると、細胞内の水分が浸透圧の差により細胞外に流出する。このようにして細胞内の水分が脱水されて細胞が濃縮されると細胞内に氷の結晶が形成されにくくなり、ガラス化状態を生み出す。このガラス化状態では、細胞の破壊は起こらないため、一般的な細胞などの凍結手法として常用されている。緩慢冷却法は、通常はプログラムフリーザーなどを用いて行うことができるが、市販の細胞凍結保存液および市販の凍結容器(例えば、Mr. Frosty Freezing Container(商標)(Thermo Scientific社製))などを用いて行うこともできる。このように、工程(b)では、緩慢冷却法により細胞を凍結させることができる。
本発明では、凍結保存液としては、特に限定されないが、表1に記載の凍結保存液を用いることができる。一般に、凍結保存液は細胞に対し毒性を有するため、長時間細胞を浸漬した状態に置くことは好ましくないと考えられている。本発明でも、凍結保存液中での細胞の保持時間は短くすることが好ましいが、本発明では、凍結保存液中での細胞懸濁液を長時間(例えば、6時間以内、好ましくは2.5時間以内、より好ましくは1時間以内、さらに好ましくは30分以内、さらにより好ましくは15分以内、特に好ましくは2分以内)氷上で保持しても、細胞の生存率は維持されやすい。従来の多能性幹細胞で用いられてきたガラス化法で用いられるガラス化試薬では、凍結保存液中での細胞懸濁液の保持時間は15秒以内とすることが求められており、本発明の方法は、凍結保存液に細胞を混入させてから、または懸濁してから、凍結までの時間的猶予の点で大きな利点を有するものであり、例えば、細胞の大量処理や操作の機械化の際に極めて有利である。
細胞を凍結した後は、細胞を凍結保存することができる。凍結保存容器中の細胞の凍結保存は、冷凍室の温度を−80℃以下に維持できるディープフリーザー中か、あるいは、長期保存の観点からは、液体窒素中で行なわれる。
(c)解凍後、多能性幹細胞に細胞集塊を形成させること
本発明の多能性幹細胞の凍結保存方法では、解凍した多能性幹細胞に、細胞集塊を形成させてから接着培養を行う。
凍結した細胞は、常法を用いて解凍することができる。例えば、通常細胞を解凍する際に行うように、37℃の恒温槽に凍結した凍結保存容器を浸し、内部の凍結保存液が半分程度解凍したところで凍結保存容器の内容物を遠心管に移し、遠心分離した後に培地で溶液交換することができる。培地には、Y−27632などのROCK阻害剤を添加することができる。凍結保存液を培地で交換し、培地で懸濁した後に、細胞に細胞集塊を形成させることができる。
細胞集塊の形成は、得られた細胞をウェルに播種することにより行うことができる。単一細胞化された細胞は、培養液中では重力により自然と沈む。本発明では細胞がウェル底面に集積する限りその底面形状は限定されず、ウェルは平面底でもよい。しかし、傾斜を有するウェル(くぼみ)中に細胞を播種すると、ウェル中では細胞がウェルの傾斜を利用して効果的に集まる。その後、集まった細胞は、隣り合う細胞と細胞接着を形成して細胞集塊を形成する。従って、本発明では、ウェルは、細胞が沈んだときに集まる形状、例えば、その水平断面が底面(底部)に近づくほど小さくなる形状を有していることが好ましい。すなわち、ウェルは、底がすぼんだ形状を有していることが好ましく、例えば、錐形状、丸底、V底、U底および角取平面底(底面を有するが角が取れて底がすぼんだ形状となったもの)の形状を有していることが好ましい。また、各ウェルの上部開口部の形状は、加工の容易性やウェルを大量に配置できる形状を考慮して適宜選択することができるが、例えば、三角形、四角形若しくは六角形などの多角形の形状または円の形状を有することができる。
本発明者らは、細胞集塊を形成させてから培養を開始すると接着培養後に得られるコロニーの大きさの均一性が向上するが、細胞非接着性表面を備えた大きなウェルを有する96穴型マイクロタイタープレートのウェルに懸濁した単一の状態の細胞を播種すると、細胞が細胞集塊を極めて高効率に形成させることができることを見出した。しかも、驚くべきことに、大きなウェル中で得られる細胞集塊は、大きさの揃った1以上の細胞集塊であった。培養後の細胞を96穴型マイクロタイタープレートのウェルに導入すると一つの大きな細胞集塊を形成と予想されたにも関わらず(PrimeSurface(R)ヒトiPS細胞の凝集塊形成実験例、Ver1.2、住友ベークライト株式会社S−バイオ事業部編)、凍結解凍後の細胞では、複数の細胞集塊を形成することは驚くべきことであった。おそらく、死細胞が邪魔するために、一つの大きな細胞集塊を形成することができなかったことが原因であると思われる。形成された細胞集塊を接着培養に用いることを考慮すると、細胞集塊播種後の展開に要する時間が短く良好な培養が期待できる点で、大きさの揃った小さな細胞集塊が複数得られることは好ましいことであった。
このように、本発明者らは、凍結解凍した多能性幹細胞は、解凍後の細胞を仕切りのない1ウェル中で1以上の細胞集塊を形成させるように播種すると、細胞集塊を形成させることができることを本実施例で初めて示した。本明細書では、「仕切りのないウェル」とは、そのウェルの底面を仕切る壁や突起が存在しないこと、そのウェルの底面がなめらかであること、または、より小さなウェルがウェルの底面に刻まれていないことを意味する。
そして、仕切りのない1ウェル中で1以上の細胞集塊(例えば、複数の細胞集塊)を形成させるように播種する限り、例えば、細胞を細胞集塊の形成に必要な数だけウェルの底部に堆積させることにより、細胞集塊は自発的に形成される。ここで、得られる細胞集塊は、概ね100μm〜200μmであることから、1つの細胞集塊に含まれる細胞数に基づいて、ウェルの大きさおよび1ウェルに播種する細胞数は当業者であれば適宜決定できる。ここで、1つの細胞集塊に含まれる細胞数は、例えば、図3Fを参考にして求めることができる。ウェルの大きさおよび1ウェルに播種する細胞数は以下のガイドラインに沿って決定してもよい。播種した細胞数に対する細胞集塊に寄与した細胞数の比は、約0.1〜約0.4程度と見積もられ、本実施例の記載を参考にして決定することができる。
1ウェル中に細胞集塊が複数得られるという観点では、播種するウェルの底部または開口部の面積は、1mm以上であることが好ましい。例えば、播種するウェルの底部または開口部の面積は、1mm〜400mmとすることができる。ウェルの底部部又は開口部の面積は、5mm〜200mmとしてもよく、5mm〜100mmあるいは5mm〜50mmとしても好適に細胞集塊を形成させ得る。なお、底部を規定できない形状(例えば、錐形状)のウェルは、開口部の面積によりウェルの大きさを特定することができる。また、細胞が堆積する領域の面積によりウェルの大きさや形状を特定してもよい。現在販売されているマルチウェルプレートを流用するならば、384穴型マイクロタイタープレート、96穴型マイクロタイタープレート、48穴型マイクロタイタープレート、24穴型マイクロタイタープレートおよび12穴型マイクロタイタープレートのウェルを利用し得る。これらのマイクロタイタープレートは、各ウェルの底部または開口部の面積が5mm〜400mm程度である。市販のマルチウェルプレートを利用しない場合でもウェルあたり1mm〜400mm程度の底部または開口部の面積を有するウェルで細胞集塊を形成させることが好ましい。このようにすることで、細胞を播種するウェル数を減らすことが可能となり、ウェルへの細胞播種の手間を軽減でき、かつ解凍後の細胞の回収率も優れているという利点が生ずる。例えば、本発明では、容積が50μL〜500μLであり、ウェルの水平断面の面積は底部に近づくに従って減少し、かつ、丸底を有するウェルを好ましくは使用することができ、より好ましくは、さらに上部開口部と底部との中点に位置するウェルの水平断面の面積が上部開口部面積に対して40%〜100%であるウェルを使用することができる。本発明ではまた、容積が50μL〜500μLであり、ウェルの丸底部分の内面の曲率半径が1mm〜3mmであり、テーパ形状を有するウェル側壁の内面の稜線と、ウェル開口部の中心および底部の中心を通る直線(ここで、直線はウェルの水平断面に対する垂線である)との交差角が4度〜30度である、ウェルを使用することもできる(例えば、図2)。
導入する細胞数は、細胞密度から計算することができる。細胞は、例えば、細胞密度が細胞が堆積する領域の面積に対して、100〜20,000個/mm、100〜10,000個/mm、1,000〜7,500個/mm、または3,000〜6,000個/mmとなるようにウェルに播種することができる。このようにすることで、96穴型マイクロタイタープレートで形成されたのと同様に他のサイズのウェル中でも複数の細胞集塊が形成されると期待される。
従って、導入する細胞数は、ウェルの大きさにも依るが、通常の細胞培養用の96穴型マイクロタイタープレートの場合(開口部面積:約33mm)には、1ウェルあたり1×10細胞〜5×10細胞程度とすることができ、好ましくは5×10細胞〜1×10細胞程度とすることができる。視認性や回収率の観点では、導入する細胞数は、96穴型マイクロタイタープレートのウェルあたり、好ましくは1×10〜2×10細胞とすることができる。
本発明では、細胞集塊は、条件にもよるが通常4〜6日ほどで形成される。本発明では、細胞集塊が形成されたら、速やかに細胞集塊を接着培養系に移行させる、すなわち、細胞集塊を播種して細胞の接着培養を開始することができる。本発明では、細胞集塊形成8日後に接着系培養を開始しても細胞は良好に増殖したが、細胞集塊形成後4日後に接着系培養を開始した方が細胞の回収率が高かったことから、細胞集塊形成に必要な期間は好ましくは3日以上、より好ましくは4〜10日程度、さらに好ましくは4〜6日程度である。
本発明では、細胞集塊形成中は、常法により、培地を例えば48時間毎に交換することができる。培地は、例えば、1/3量ずつ交換することができる。
本発明では、細胞集塊の形成は、遠心処理を伴ってもよいし、伴わなくてもよい。遠心処理は、細胞集塊をウェルの底部に集めるには効果的であり、細胞集塊の形成を促進すると考えられるが、遠心処理をしなくても細胞の回復率は高い。本発明では、細胞集塊は、細胞が他の細胞と接触する機会を増やすことを目的としてウェルを攪拌しながら形成させてもよいし、ウェルを攪拌せずに静置することによって行ってもよい。ウェルを時折攪拌しながら細胞集塊を形成させると、細胞集塊の形成が促進され、形成される細胞集塊の大きさが大きくなり、また細胞の回復率が向上するという利点がある。本発明では、細胞集塊は、遠心処理を行わずに、かつ時折攪拌しながら形成させることができる。本発明では、攪拌は、細胞集塊を崩さないように丁寧に行なうことが望まれる。攪拌は、12時間〜48時間に1回の割合で行うことができる。
本発明の多能性幹細胞の凍結保存方法は、
(d)細胞集塊を接着培養すること
をさらに含んでいてもよい。
本発明者らは、解凍した細胞を、仕切りのない1ウェル中で1以上の細胞集塊を形成させるように播種すると、細胞集塊を形成させることができるということを本実施例で初めて示した。すなわち、本発明により、凍結解凍後の多能性幹細胞から細胞集塊を作ることが初めて可能になった。また、得られた細胞集塊を接着培養したところ、良好な未分化状態を維持していた。これにより、解凍後の細胞に細胞集塊を形成させ、その後、継代培養するという、新しい凍結解凍方法および継代培養方法の途が切り拓かれたといえる。
そして、仕切りのない1ウェル中で1以上の細胞集塊(例えば、1つまたは複数の細胞集塊)を形成させるように播種する限り、細胞集塊は自発的に形成される。ここで、得られる細胞集塊は、概ね100μm〜200μmであることから、1つの細胞集塊に含まれる細胞数に基づいて、1ウェル中で1以上の細胞集塊(例えば、1つまたは複数の細胞集塊)を形成させるために必要なウェルの大きさおよび1ウェルに播種する細胞数は、当業者であれば適宜決定できる。
従って、本発明によれば、多能性幹細胞の細胞集塊を製造する方法であって、
(A)単一細胞化され、かつ、凍結された細胞を解凍することと、
(B)解凍した細胞をウェルに播種してウェル中で細胞に1以上の細胞集塊を形成させることと、
を含んでなる方法が提供される。
工程(A)の単一細胞化され、凍結された細胞は、例えば、本発明の多能性幹細胞の凍結保存方法の工程(a)および工程(b)により得ることができる。細胞凍結物は、凍結状態で遠隔地に輸送することができる。従って、本発明では、単一細胞化され凍結された細胞を含む細胞凍結物を入手して、解凍してもよい。
工程(A)における、細胞の解凍は、例えば、本発明の多能性幹細胞の凍結保存方法の工程(c)に記載した解凍方法により行なうことができる。
工程(B)は、例えば、本発明の多能性幹細胞の凍結保存方法の工程(c)に記載した通りに、解凍した細胞をウェルに播種してウェル中で細胞に1以上の細胞集塊を形成させることができる。当業者であれば、ウェル中で細胞に1以上の細胞集塊を形成させるために必要な細胞数や播種するウェルの大きさおよび形状を適宜決定することができるであろう。その際には、本発明の多能性幹細胞の凍結保存方法の工程(c)に記載した導入細胞数および細胞密度の記載を参考にしてもよい。具体的には以下の通りである。
細胞集塊が複数得られるという観点では、播種するウェルの底面積は、上記工程(c)に記載した通りの面積を有することが好ましい。
導入する細胞数は、例えば、ウェル中の細胞密度が上記工程(c)に記載した通りの細胞密度となるように決定することができる。
導入する細胞数は、例えば、96穴型マイクロタイタープレートの場合には、上記工程(c)に記載した通りの細胞数とすることができる。
本発明の多能性幹細胞の細胞集塊を製造する方法によって製造された細胞集塊は、細胞の培養に用いることができる。
本発明によれば、多能性幹細胞の凍結保存システムが提供される。以下、図31により本発明の多能性幹細胞の凍結保存システム100を説明する。
本発明の多能性幹細胞の凍結保存システム100は、多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させるための解離手段10と、解離させた細胞を凍結保存液に混入させる混入手段20と、細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器に導入する導入手段30と、細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させる凍結手段40と、凍結保存容器を凍結保存する凍結保存手段50と、凍結保存容器中で凍結した凍結保存液を解凍する解凍手段60と、解凍した細胞から細胞集塊を形成させる細胞集塊形成手段70とを備えている。
多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させるための解離手段10は、本発明の凍結方法の工程(a)を実施する手段である。解離手段10は、例えば、上記工程(a)で用いられる酵素液(例えば、アキュターゼ酵素溶液)を細胞と接触させる手段10a(図示せず)と、その後、水流により細胞を単一細胞にまで解離させる手段10b(図示せず)とすることができる。解離手段10は、さらに遠心分離機10cを備えていてもよく、細胞を解離させた後は、遠心分離機10c(図示せず)により、細胞をペレット化して上清を廃棄してもよい。
本発明の凍結方法の工程(b)は、解離させた細胞を凍結保存液に混入させる混入手段20、細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器に導入する導入手段30、細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させる凍結手段40、および凍結保存容器を凍結保存する凍結保存手段50により行なわれる。
解離させた細胞を凍結保存液に混入させる混入手段20は、解離させた細胞に凍結保存液を加え、攪拌することにより細胞を凍結保存液中に混入させる。
細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器に導入する導入手段30は、凍結保存容器に細胞を混入させた凍結保存液を注入する。
細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させる凍結手段40は、多能性幹細胞の凍結法として周知手段を用いることができるが、例えば、緩慢冷却法により細胞を凍結させるための凍結手段とすることができる。緩慢冷却法により細胞を凍結させるための凍結手段は、例えば、プログラムフリーザーやMr. Frosty Freezing Container(商標)などの細胞の緩慢冷却のために設計された容器など、毎分0.1℃〜2℃の速度で温度を、例えば−80℃まで低下させることのできる手段などの細胞の冷却手段40a(図示せず)とすることができる。
凍結保存容器を凍結保存する凍結保存手段50は、例えば、凍結細胞が導入された凍結保存容器を凍結状態で保存できる冷凍室50aおよびその冷却手段50bとすることができる。凍結保存手段50は、冷凍室50aに凍結保存容器を搬入し、冷凍室50aから所望の凍結保存容器を取り出すための室内搬送手段50cおよび室内搬送手段の駆動機構50dを有していてもよい。
凍結保存容器中で凍結した凍結保存液を解凍する解凍手段60は、例えば、37℃の恒温槽やヒートブロックなどの加熱手段60aとすることができる。解凍手段60はまた、細胞のペレットを形成するための遠心分離ユニット、および、凍結保存液を除去して細胞培地を添加する溶液交換ユニットなどの、細胞凍結保存液を培地に交換する培地交換手段60bを備えていてもよい。
解凍した細胞から細胞集塊を形成させる細胞集塊形成手段70は、本発明の凍結方法の工程(c)を実施する手段である。細胞集塊形成手段70は、例えば、細胞を計数する細胞カウンター70aと、ウェルに細胞を播種する細胞播種手段70bと、上記工程(c)で用いられるウェル70cとすることができる。ウェル70cおよびウェル中に播種された細胞は、細胞培養用のインキュベータ70d(図示せず)中でインキュベートされる。細胞集塊形成手段70は、ウェルを攪拌する攪拌手段70e(図示せず)を備えていてもよい。ウェルに播種された細胞は、自発的に細胞集塊を形成する。細胞集塊を形成させるための細胞数やウェル形状は、上述した通りである。撹拌手段70eとしては、例えば、特に限定されないが、電動で溶液の吸入および排出が可能な電動ピペッターが挙げられる。
本発明の多能性幹細胞の凍結保存システムは、細胞の搬入口1と搬出口2とを備える。培養が完了した細胞を搬入口1から凍結保存システム内に搬入し、凍結保存した後に、解凍して細胞集塊を形成させたら搬出口2から搬出して接着培養系に細胞を移すことができる。図31中の矢印は、システム内における細胞の搬送手段15を示す。
本発明の多能性幹細胞の凍結保存システムは、制御部100Aを有していてもよく、好ましくは多能性幹細胞の単一細胞化から凍結、保存および解凍までの一連の工程を全自動で行うように制御部100Aにより制御されている。この場合、多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させるための解離手段10と、解離させた細胞を凍結保存液に混入させる混入手段20と、細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器に導入する導入手段30と、細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させる凍結手段40と、凍結保存容器を凍結保存する凍結保存手段50と、凍結保存容器中で凍結した凍結保存液を解凍する解凍手段60と、解凍した細胞から細胞集塊を形成させる細胞集塊形成手段70とからなる群から選択される少なくとも1つの手段、好ましくは少なくとも凍結保存手段50には、ID情報取得部(図示せず)が設置されている。ID情報取得部は、培養が完了した細胞を含む凍結保存容器に付されたバーコード等のID情報を読み取り、このID情報を制御部100Aに送る。次に制御部100Aは、凍結保存容器からID情報を得て、それぞれの凍結保存容器を識別して管理することができる。この場合、ID情報取得部としては、バーコードを読み取るバーコードリーダーを用いることができる。ID情報としては、凍結保存容器の識別情報の他に、保存されている細胞の種類、HLAタイピング、培養条件、継代数および/または評価・検査履歴が保存されていてもよい。
制御部100Aは、特に、冷凍室50a中で各凍結保存容器を識別して管理している。制御部100Aには、所望の凍結保存容器のID情報を入力することが可能であり、制御部100AがID情報を受け取ると、搬送手段の駆動機構50dにより、搬送手段50cを駆動させて凍結保存手段50から当該凍結保存容器を取り出すことが可能である。
制御部100Aは、ハードウェアとして例えば、汎用コンピュータと、ソフトウェアとして当該コンピュータを動作させるためのプログラムとにより実現することができる。ソフトウェアは、コンピュータに固定的に設けられたハードディスクドライブ等の記録媒体に格納されるか、あるいは、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の着脱可能にコンピュータにセットされる記録媒体に格納される。図31では、このような記録媒体が参照符号100Bで示されている。プロセッサ100Cは、必要に応じて図示しないユーザーインターフェースからの指示等に基づいて所定の処理レシピを記録媒体100Bから呼び出して実行させ、これによって制御部100Aの制御下で多能性幹細胞の凍結保存システムの各手段が動作して所定の処理が行なわれる。例えば、制御部100Aは、下記に説明する本発明の多能性幹細胞の凍結保存システムの動作を実現するように、ソフトウェアにより上記の各機能部、例えば、解離手段10に備わる酵素を細胞と接触させる手段10aおよび細胞塊を単一細胞にまで解離させる手段10b、搬送手段15、混入手段20、導入手段30、凍結手段40に備わる細胞の冷却手段40a、凍結保存手段50に備わる冷却手段50bおよび室内搬送手段の駆動機構50d、解凍手段60に備わる加熱手段60aおよび培地交換手段60b、並びに、細胞集塊形成手段70に備わる細胞播種手段70bが駆動制御され得る。制御部100Aは、細胞カウンター70aからの情報に基づいて、ウェルに播種する細胞数が既定値に達した場合には、細胞播種手段70bによる細胞の播種を停止させてもよい。
本発明の多能性幹細胞の凍結保存システムの動作の一例を図31に基づき説明する。
多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させるための解離手段10に、多能性幹細胞が導入される。解離手段10では、多能性幹細胞から形成される細胞集塊を単一細胞にまで解離する。細胞集塊の単一細胞への解離は、細胞接着を解離させる酵素(例えば、アキュターゼ酵素溶液)を細胞と接触させる手段10aにより、細胞集塊における細胞間接着を弱め、その後、水流等により細胞塊を単一細胞にまで解離させる手段10bにより、細胞を単一細胞にまで解離させることができる。その後、単一細胞にまで解離させた細胞は、解離させた細胞を凍結保存液に混入させる混入手段20により、凍結保存液中に混入され、その後、細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器に導入する導入手段30により、凍結保存容器に導入される。凍結保存容器は、その後、搬送手段15により細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させる凍結手段40に搬送される。
細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させる凍結手段40に搬送された凍結保存容器は、細胞の冷却手段40aにより、凍結される。凍結された凍結保存容器は、好ましくは液体窒素中に浸された状態で、搬送手段15により凍結保存容器を凍結保存する凍結保存手段50へ搬送される。
凍結保存手段50に搬送された凍結保存容器は、必要に応じてID情報取得部によりそのID情報が読み取られ、その後、冷凍室に凍結保存容器を搬入し、冷凍室から凍結保存容器を取り出すための搬送手段50cにより、冷凍室50aに搬送されて保存される。保存された凍結保存容器を取り出す際には、搬送手段50cにより、所望の凍結保存容器が冷凍室から取り出される。取り出しの際には、制御部100Aに入力されたID情報に基づいて所望の凍結保存容器を取り出してもよい。取り出された凍結保存容器は、好ましくは液体窒素中に浸された状態で、搬送手段15により凍結保存容器中で凍結した凍結保存液を解凍する解凍手段60へ搬送される。
解凍手段60に搬送された凍結保存容器は、37℃の恒温槽やヒートブロックなどの加熱手段60aにより加熱されて凍結保存容器中の細胞懸濁液が解凍される。凍結保存容器中の細胞懸濁液が半解凍されたら、細胞凍結保存液を培地に交換する手段60bおよび培地を懸濁する懸濁手段60cにより、できるだけ完全に凍結保存液を培地に交換して懸濁する。培地を懸濁する懸濁手段60cは、細胞集塊を単一細胞レベルにまで解離させるまで培地を懸濁することができる。培地を懸濁する懸濁手段60cの例としては電動ピペッターなどが挙げられる。懸濁された細胞は、搬送手段15により解凍した細胞から細胞集塊を形成させる細胞集塊形成手段70に搬送される。
細胞集塊形成手段70に搬送された細胞は、細胞を播種する手段70bによりウェル70cに播種される。播種の際には、細胞カウンター70aにより播種する細胞数が調整される。播種する細胞数は、ウェル70cの大きさにより適宜設定される。ウェル70cおよびウェル中に播種された細胞は、細胞培養用のインキュベータ70d(図示せず)中でインキュベートされ、播種された細胞は、ウェル70c中で自発的に細胞集塊を形成する。細胞集塊を形成させる際には、細胞集塊をより大きく成長させるために、ウェル70cは、ウェルを攪拌する攪拌手段70e(図示せず)により攪拌してもよい。形成された細胞集塊は、細胞集塊を形成させる手段70から搬出口2を介して搬出され、その後、培養に用いることができる。
実施例1:多能性幹細胞の凍結解凍と丸底ウェルを用いた細胞集塊形成
本実施例では、単一細胞化して緩慢冷却により細胞を凍結し、その後、解凍した多能性幹細胞に細胞集塊を形成させた。凍結解凍と細胞集塊形成の手順の概要を図1に示す。
多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞(公益財団法人 先端医療振興財団 細胞評価グループ 川真田研究室による樹立株)を用いた。培養培地は、ReproFF2培地(ReproCell社製、製品番号:RCHEMD006)を用いた。
ヒトiPS細胞の単一細胞化
ヒトiPS細胞を6穴プレート(BD Falcon社製、製品番号:353046)に播種し、培養6日目まで(すなわち、対数増殖期に達するまで)培養した。目視により異常のあるiPS細胞コロニーをアスピレータで吸引除去し、その後、培地すべてをアスピレータで除去した。ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(Life Technologies社製、製品番号:14190)で各ウェルを洗浄してから、予め37℃に温めておいたAccutase溶液(Innovative Cell Technologies社製、製品番号:AT104)を200μLずつ各ウェルに添加した。インキュベータ(37℃、5%CO)内で5分間インキュベートした後に、Accutase溶液をアスピレータで吸引除去し、ReproFF2培地(500μLのY27632(和光純薬社製、製品番号:257-00511)および5mLのペニシリン−ストレプトマイシン(ナカライテスク社製、製品番号:09367-34)を500mLの培地に添加して作製した)1mLを添加した。セルスクレイパーを用いて接着表面からiPS細胞を剥離させ、得られた細胞懸濁液をピペッティングして細胞を単一細胞の状態にまで解離させた。
細胞の凍結保存
細胞の凍結保存は以下のように行った。iPS細胞の懸濁液を遠心分離(2,500G、5分間)して上清を廃棄し、再び、Y27632を添加したReproFF2培地に懸濁して細胞を計数した。細胞計数後、2×10細胞の細胞懸濁液を採取して1.5mLチューブに分注し、遠心分離(2,500G、5分間)して上清を廃棄した。iPS細胞を氷冷した凍結保存液で懸濁し、細胞懸濁液を凍結保存容器に移して、再び、氷上で保持した。すべての凍結保存容器が揃ったら、凍結保存容器をCryo1℃Freezing Container(Thermo Scientific社製、製品番号:5100-001)に入れた後に、−80℃の冷凍庫で凍結保存した。凍結保存液は、表1の各種凍結保存液を用いた。凍結保存液の使用量や保存法は、各凍結保存液の製造者マニュアルに基づいて決定した。
翌朝、Cryo1℃Freezing Containerから凍結保存容器を取り出して液体窒素保存容器内に移動して凍結保存した。
細胞の融解と培地への懸濁
凍結した凍結保存容器を軽く揺すりながら37℃の恒温槽に浸して凍結保存液を半解凍した。その後、保存液の全量を15mLの遠心管に移した。5倍量のY27632を添加したReproFF2培地を添加して攪拌した。遠心分離(2,500G、5分間)して上清を廃棄した。新たに、Y27632を添加したReproFF2培地を800μL添加して、軽くピペッティングをした。
細胞集塊の形成
細胞集塊は、AggreWell(商標)または96穴型マイクロタイタープレートを用いて形成させた。96穴型マイクロタイタープレートとしては、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96M(製品番号:MS-9096M)を用いた。96穴型マイクロタイタープレートの各ウェルの断面は、図2のような丸底形状であった。住友ベークライト社によれば、このウェルにヒトiPS細胞を播種すると、1つの大きな細胞集塊を形成するとされている(PrimeSurface(R)ヒトiPS細胞の凝集塊形成実験例、Ver1.2、住友ベークライト株式会社S−バイオ事業部編)。
96穴型マイクロタイタープレートに150μLずつ8ウェルに解凍したiPS細胞懸濁液を分注して、インキュベータ(37℃、5%CO)内で静置した。48時間毎に50μLの培地を除去し、50μLのY27632を添加したReproFF2培地を添加した。12日目まで培養すると、各ウェル内で細胞集塊が形成された(図3A〜E)。なお、各細胞集塊に含まれる細胞数と細胞集塊の直径との関係は、図3Fに示される通りであると見積もられた。
住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96Mでは、培養中のヒトiPS細胞を播種すると1つの大きな細胞集塊が得られるとされている。しかし、凍結解凍後のヒトiPS細胞は、1以上の小さな細胞集塊(約50μm〜200μm)を形成した(図3)。そして、多くのウェルでは複数の細胞集塊が形成された。また、表1のいずれの凍結保存液を用いた場合でも比較的良好に細胞集塊が形成された。
一方、AggreWell(商標)を用いて製造者マニュアルに従って細胞集塊を形成させた場合には、図9に示すように通常の継代時と比較して凍結解凍後のiPS細胞は、細胞集塊が形成され難かった。図は、細胞集塊形成開始48時間後の細胞集塊の状況を示すが、培養中の細胞では、細胞がウェルの底に凝集して細胞集塊が形成されているのに対して(図9A)、凍結解凍後の細胞では、細胞が凝集しにくく、細胞集塊の形成が困難である(図9B)。
細胞集塊の播種
住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96Mによる細胞集塊形成開始4日後の細胞集塊を6穴プレートに播種すると、図4に示すように、凍結保存液には依らずに細胞は良好に増殖した。凍結融解7日後の細胞の増加率は、凍結解凍後、培養を再開して7日目の細胞数を凍結時の細胞数で割って得た。すると、凍結保存液に依らず増加率は600%を超えた。
播種後のコロニーの成長を観察した。すると、いずれの凍結保存液を用いて凍結した細胞も良好な成長を示した(図5)。また、凍結解凍後のコロニーの分化状態を確認するため、常法により、各コロニーにおけるアルカリホスファターゼ、Oct3/4およびNanogの発現を確認した(図6)。すると、いずれの未分化マーカーも良好に発現しており、細胞は良好な未分化状態にあることが示された。
多能性幹細胞は、細胞集塊を形成すると制御されない分化を開始する恐れがあった。多能性幹細胞の分化実験の前段階として細胞集塊を形成させるために用いられる、AggreWellでさえも、ヒトの細胞集塊の形成は24時間とされている。そして、通常の継代培養や凍結保存時に、3日間または4日間以上にわたり細胞集塊を形成させることができるとは考えられていなかった。しかし、本実施例により人工的に形成させた細胞集塊では、12日間の長期にわたり細胞集塊を形成させ続けた場合であっても、凍結解凍後の多能性幹細胞は未分化状態を良好に保つことが明らかとなった。
上記の方法で解凍した多能性幹細胞に細胞集塊を形成させずにそのまま、6穴プレートに播種した場合のコロニーの成長を図7に示す。細胞集塊を形成させずに播種した場合でもいくつかの細胞がコロニーを形成する様子が観察された(図7)。しかし、播種した数に対してコロニーの数は非常に少なかった(0.068%、図8A)。また、培養14日目に観察したところ、形成されたコロニーは比較的小さいものが多かった(図8B)。凍結融解7日後の増加率(すなわち、凍結前の細胞数に対する、解凍後7日目の時点での細胞数の比)は、約420%であった。しかし、この条件では、接着培養中の各コロニーの大きさのばらつきが大きく、継代培養の自動化に適した条件とは言えなかった。
上記の方法で解凍した多能性幹細胞をAggreWell(商標)に播種して細胞集塊を形成させた場合の細胞集塊の形成状態を図9に示す。この条件では、解凍後の細胞は細胞集塊を形成しにくい性質を持ち、形成したとしてもすぐに崩壊する傾向が見られた。また、AggreWell(商標)に播種して2日後の細胞を6穴プレートに播種して、播種後12日目に観察したところ、比較的大きさの揃ったコロニーが形成された。しかし、形成されるコロニー数は少なく(図10A)、形成されたコロニーは比較的小さかった(図10B)。凍結融解7日後の増加率(すなわち、凍結前の細胞数に対する、解凍後7日目の時点での細胞数の比)は、約1.5%であった。
住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96Mでは、ウェルが大きく、培養中のヒトiPS細胞を播種すると1つのウェルに対して1つの大きな細胞集塊が得られるとされている。しかし、上記の通り、凍結解凍後のiPS細胞は、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96Mの1つのウェルに対して1以上の小さな細胞集塊を形成した。この結果は、凍結解凍後は死細胞が混入しており、これが細胞集塊の形成を阻害していることを示唆する。死細胞が混入しているために、細胞集塊が一つにまとまりきれず、大きなウェルを用いた時には、1以上の細胞集塊が形成され、小さいウェルを用いた時には細胞集塊の形成が抑制される結果になってしまうと考えられた。
ところが、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96Mのウェルで細胞集塊を形成させたところ、予想に反して細胞集塊は複数得られ、得られた1以上の細胞集塊は、いずれもほぼ同じ大きさであり、ウェル毎の大きさの違いも少なく、大きさの点で安定していた。しかも、このウェルを用いて細胞集塊を形成させてから、6穴プレートに播種すると、播種された細胞集塊が崩壊することなく培養面に接着し、その後、速やかに展開してコロニーを形成した。接着系で培養を再開してから10日後の細胞数は図12Aに示され、そのときのコロニーの状態は図12Bに示される。細胞集塊を形成させてから播種した場合には、播種直後から大きなコロニーが形成される傾向がある。凍結融解7日後の増加率(すなわち、凍結前の細胞数に対する、解凍後7日目の時点での細胞数の比)は、約710%であった。1以上の細胞集塊を1ウェル中で形成させることができる大きなウェルを用いると、細胞集塊の作製効率が向上することが示唆される。なお、ウェルに播種した細胞のうち細胞集塊を形成した細胞の割合は、約30〜40%と見積もられた。上記見積もりは、1継代で細胞数が20倍に増加すると仮定して行なった。
上記結果は図13にまとめられている。
実施例2:細胞集塊の形成条件
本実施例では、多能性幹細胞に細胞集塊を形成させるときの形成条件を調べた。
細胞は、実施例1で凍結解凍したヒトiPS細胞を用いた。また、細胞集塊を形成させるため、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96Mのウェルを用いた。
細胞集塊を形成させるときには、重力での自然落下を利用して細胞をウェルの底に集める方法(「静置」)と遠心分離処理を施して細胞をウェルの底に集める方法(「遠心」)が可能である。また、ウェルを攪拌せずに静置して細胞集塊を形成させる方法(「攪拌あり」または「攪拌○」)とウェルを時々攪拌(振とう)して細胞集塊を形成させる方法(「攪拌無し」または「攪拌×」)が可能である。攪拌は、細胞をウェルの底部に集めるために行い、形成された細胞集塊にできるだけ損傷が加わらないように行なった。
まず、静置攪拌ありまたは静置攪拌無しの条件下で細胞集塊の形成を観察した。すると、図14に示されるように、細胞をウェルに播種してから4日目、8日目および12日目のいずれにおいても、静置攪拌ありの条件では、数は少ないが細胞集塊が大きい傾向が観察された(図14A、BおよびC)。
上記条件にて4日目に細胞集塊を6穴プレートに播種して10日後(すなわち、解凍後14日目)の細胞の増加率を集計した。すると、凍結保存液に依らず、細胞集塊を静置攪拌無しの条件で形成させたときに細胞の増加率が向上する傾向が見られた(図15)。形成される細胞集塊の大きさの観点およびウェル中での細胞集塊の視認性の観点では、静置攪拌条件が好ましいことが分かる(図14および図16)。
実施例3:細胞集塊形成に要する時間
本実施例では、多能性幹細胞に細胞集塊を形成させるために要する時間を検討した。
細胞は、実施例1で凍結解凍したヒトiPS細胞を用いた。また、細胞集塊を形成させるため、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96Mのウェルを用いた。
細胞をウェルに分注してインキュベータ(37℃、5%CO)内で静置した。静置4日後または8日後に細胞集塊を回収し、細胞集塊を6穴プレートに播種した。解凍14日目での細胞の増加率を算出した。本実施例では、遠心処理は、2,000g、5分の条件で行った。攪拌は、12時間おきに細胞集塊を破壊しないようマイルドに行った。
すると、静置4日後に6穴プレートに播種した場合には、遠心処理ありの条件で細胞集塊を形成させた群や静置攪拌ありの条件で細胞集塊を形成させた群よりも、静置攪拌無しの条件において細胞集塊を形成させた群で高い回収率を得た(図17)。細胞の回収率をグラフにすると図18の通りであった。
また、静置8日後に6穴プレートに播種した場合には、遠心処理ありの条件で細胞集塊を形成させた群や静置攪拌ありの条件で細胞集塊を形成させた群よりも、静置攪拌無しの条件において細胞集塊を形成させた群で高い回収率を得た(図19)。細胞の回収率をグラフにすると図20の通りであった。
そして、静置4日後に6穴プレートに播種した群と静置8日後に6穴プレートに播種した群とを比較すると、静置4日後に6穴プレートに播種した群でより高い細胞の増加が見られた。
さらに静置8日後に6穴プレートに播種した群は、静置12日後に6穴プレートに播種した群よりも高い増加率を示した(データ示さず)。
このことから、細胞の回収率を高める観点では、細胞集塊形成後は、細胞集塊を速やかに接着培養系に移すことが好ましいと考えられた。
実施例4:細胞集塊の形成の際にウェルに導入する細胞数
本実施例では、細胞集塊の形成の際に、各ウェルに導入する細胞数を検討した。
細胞は、実施例1で凍結解凍したヒトiPS細胞を用いた。また、細胞集塊を形成させるため、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96Mのウェルを用いた。
播種する細胞数は、1ウェルあたり1×10細胞(細胞密度:約15,000個/mm)、5×10細胞(細胞密度:約7,000個/mm)、2×10細胞(細胞密度:約6,000個/mm)、1×10細胞(細胞密度:約3,000個/mm)または5×10細胞(細胞密度:約1,500個/mm)とした。ここで、細胞密度は、顕微鏡でウェルの上方からウェル内部を観察した際に細胞が積み重なった部分の面積で播種した細胞数を割って求めた値である。播種2日後、4日後または6日後の細胞集塊の形成を観察した。
すると、いずれの細胞数条件においても播種4日後および6日後では明確に細胞集塊の形成が観察された(図21)。図21は、凍結保存液としてCryoStemを用いたが、mFreSRを用いた場合でも、播種4日後および6日後では明確に細胞集塊の形成が観察された(図22)。このように、約1,500個/mm〜約15,000個/mmのいずれの細胞密度で細胞を播種した場合でも、ウェル中で良好に細胞集塊を形成させることができた。細胞集塊を形成させるに必要な数の細胞を、上記のいずれの細胞密度で播種しても、安定的かつ容易に細胞集塊を形成させられることが明らかとなった。
それぞれの細胞集塊をより詳細に観察すると、播種する細胞数が1ウェルあたり5×10細胞の場合、形成される細胞集塊がやや小さい傾向が見られた(図21および22)。また、播種する細胞数が1ウェルあたり1×10〜2×10細胞の場合に細胞集塊の視認性が高かった(図21および22)。このため、細胞集塊に一般的な丸底ウェルを有する96穴型マイクロタイタープレートを使用する場合には、播種する細胞数は、1ウェルあたり1×10細胞以上であることが好ましく、1ウェルあたり1×10〜2×10細胞であるとより好ましかった。
上記のように形成された細胞集塊それぞれを6穴プレートに播種して2日後におけるコロニーを観察した。すると、播種する細胞数が1ウェルあたり5×10細胞の場合、形成されるコロニーがやや小さい傾向が見られた(図23)。形成されるコロニーの直径を集計すると、播種する細胞数が1ウェルあたり1×10細胞〜1×10細胞の場合には、ほとんど同等の大きさであったのに対して、播種する細胞数が1ウェルあたり5×10細胞の場合には、コロニーの直径がその他よりも小さい傾向が見られた(図24)。
上記の場合において、6穴プレートに播種して2日後における細胞数を計数した。すると、1ウェルあたり1×10〜2×10細胞のときに細胞数が多い傾向が見られた(図25)。本手法を用いることで、1ウェルあたりに導入する細胞が広い範囲で任意に採り得ることが確認された。単一細胞同士が接触する機会を増やして細胞集塊の形成を促進させるためには、播種する細胞数(細胞密度)は一定値以上であることが好ましく、細胞が密集することによる悪影響を防ぐ観点およびウェルの視認性を向上させる観点では、播種する細胞数(細胞密度)は一定値以下であることが好ましい。例えば、細胞集塊形成時に1ウェルに導入する細胞は任意に設定し得るが、1×10〜2×10細胞(細胞密度:約3,000個/mm〜約6,000個/mm)とすると、上記条件を満たし、ウェル中の個々の細胞集塊の視認性の観点でも優れていた。
実施例5:凍結保存液の細胞に対する影響
本実施例では、凍結保存液が細胞に対して与える影響を調べた。
実施例1に記載の凍結保存条件で、凍結保存液をCryoStemにし、iPS細胞を凍結保存液に懸濁後、氷上で0分、15分、30分、1時間、2.5時間または6時間静置して、その後、実施例1に記載の方法で凍結解凍し、細胞集塊を形成させた。すると、いずれの条件でも細胞集塊の形成が確認できたが、6時間静置したものでは細胞集塊数が少なかった(図26)。
その後、形成された細胞集塊を6穴プレートに播種して8日間培養した。すると、凍結保存液に懸濁して6時間放置した細胞は、形成されるコロニーが小さいことが分かった(図27)。細胞集塊の形成をより詳しくみるために、住友ベークライト社製PrimeSurface(商標) 96Mのウェルに細胞を播種して14日目の細胞集塊を観察した。すると、凍結保存液中で0〜2.5時間放置してから凍結した群では、細胞集塊の形成の程度に大きな差は見られなかったが、6時間放置してから凍結した群では、細胞集塊の形成効率が低下していた(図28)。凍結保存液をmFreSRに変えて行った場合には、6時間放置してから凍結した群でも細胞集塊は十分に形成され、14日目での増加率もそれほど低下しなかった(図29B)。また、追加実験において、凍結保存液に懸濁して2分後に凍結工程に持ち込んだ細胞は、いずれの凍結保存液を用いた場合でも極めて良好な増加率(500%以上)を示した。従来のクランプ凍結では、ガラス化凍結が必要とされており、ガラス化凍結の場合は、凍結保存液の毒性が高く、凍結まで15秒以内程度で完了させなければいけないとされていることを考えれば、本発明の方法は、操作の時間的余裕が大きく、操作の安定性、機械化および多量化の面で大きな優位性があると考えられる。
比較例1:凍結方法の比較
本発明の方法は、細胞を単一細胞に解離させてから凍結し、その後再び細胞集塊(クランプ)を形成させてから培養する。本比較例では、通常のクランプ凍結と本発明の凍結との比較を行った。
本比較例では、凍結しない対照(図30)に対する実験群のコロニー数の比として回復率を定義した。すなわち、回復率は、
(回復率)=(解凍後のコロニー数)÷(解凍しなかった際のコロニー数)
で計算した。
従来のクランプ凍結法では、凍結保存液としてStemCellKeepとReproCellでは高い回復率を示した一方で、それ以外の凍結保存液を用いた場合では、ほとんど回復しなかった(データ示さず)。一方、本発明の凍結保存方法により、実施例1に記載の通りに凍結保存して細胞集塊を形成させた場合には、従来のクランプ凍結よりも約2倍高い回復率が見られた(図30)。
このことから、本発明の凍結保存方法は、クランプをそのまま凍結する従来のクランプ凍結よりも、凍結後の細胞の回復がよいことが示された。
以上の結果から、本発明の凍結保存方法は、従来のクランプ凍結法よりも、以下の点で有利であることが示された。すなわち、本発明の凍結保存方法は、毒性の低い試薬を使用可能であり、単一細胞化することにより細胞毎の凍結条件の差が小さく、すなわち、凍結バイアル間での凍結状態の差が小さく、さらに凍結後は細胞集塊を形成させてから接着培養することにより、細胞の復帰が良好であるという利点を有する。
単一細胞化してから凍結する本発明の手法は、手技を全自動化する上で有利である。従来は、できるだけ細胞集塊を壊さずに均一な細胞集塊を得て凍結することが求められ、これを達成することは困難であり、かつ、とても高度な技術的が必要とされた。しかし、単一細胞化工程は、酵素処理や水流による物理的処理により容易に達成可能であり、かつ、凍結解凍後の細胞集塊形成も本発明の条件に従って一定の条件を設定しておけば、容易に達成可能である。すなわち、本発明によれば、細胞の安定かつ均質な細胞の凍結解凍が可能となるばかりでなく、この工程の機械化が可能となる。しかも、本発明の凍結保存方法は、解凍後の細胞の回復率が従来と比較して良好である。

Claims (20)

  1. 多能性幹細胞の細胞集塊を製造する方法であって、
    (A)単一細胞化され、かつ、凍結された多能性幹細胞を解凍することと、
    (B)解凍した多能性幹細胞をウェルに播種してウェル中で多能性幹細胞に1以上の細胞集塊を形成させることと、
    を含んでなる、方法。
  2. 工程(B)において、細胞を細胞密度100〜20,000個/mmとなるようにウェルに播種することにより細胞集塊を形成させる、請求項1に記載の方法。
  3. 多能性幹細胞が、緩慢凍結法により凍結されたものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程(B)が、細胞集塊形成中にウェルを攪拌することを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 多能性幹細胞が、ヒトES細胞またはヒトiPS細胞である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ウェルが、錐形状、丸底、V底、U底、角取平面底または平面底のウェルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程(B)のウェルが、丸底96穴型マイクロタイタープレートのウェルであり、1ウェル当りに播種する細胞数が5×10個〜1×10個であり、細胞がヒトiPS細胞である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 多能性幹細胞の凍結保存方法であって、
    (a)多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させることと、
    (b)細胞を凍結して保存することと、
    (c)解凍後、多能性幹細胞に細胞集塊を形成させることと、
    を含んでなる、方法。
  9. 工程(c)において、細胞集塊をウェル中で複数形成させる、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(c)において、細胞を細胞密度100〜20,000個/mmとなるようにウェルに播種することにより細胞集塊を形成させる、請求項9に記載の方法。
  11. 工程(b)において、細胞の凍結が緩慢凍結法により行なわれる、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 工程(c)が、細胞集塊形成中にウェルを攪拌することを含んでなる、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 多能性幹細胞が、ヒトES細胞またはヒトiPS細胞である、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ウェルが、錐形状、丸底、V底、U底、角取平面底または平面底のウェルである、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 工程(c)において、丸底96穴型マイクロタイタープレートのウェルであり、1ウェル当りに播種する細胞数が5×10個〜1×10個であり、細胞がヒトiPS細胞である、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 工程(c)において、多能性幹細胞の細胞集塊の形成時間が、14日以下である、請求項8〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 多能性幹細胞の凍結保存システムであって、
    多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させる解離手段と、
    解離させた細胞を凍結保存液に混入させる混入手段と、
    細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器に導入する導入手段と、
    細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させるための凍結手段と、
    凍結保存容器を凍結保存する凍結保存手段と、
    凍結保存容器中で凍結した凍結保存液を解凍する解凍手段と、
    解凍した細胞を細胞培養培地に混入させる混入手段と、
    培地に混入させた細胞から細胞集塊を形成させる細胞集塊形成手段と
    を備えた、凍結保存システム。
  18. 凍結手段が、緩慢凍結により凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させるための凍結手段である、請求項17に記載のシステム。
  19. 前記細胞集塊形成手段が、錐形状、丸底、V底、U底、角取平面底または平面底のウェルを有する、請求項17または18に記載のシステム。
  20. コンピュータに多能性幹細胞の凍結保存法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記録媒体であって、
    多能性幹細胞の凍結保存法は、
    多能性幹細胞の細胞塊を単一細胞に解離させることと、
    解離させた細胞を凍結保存液に混入させることと、
    細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器に導入することと、
    細胞を混入させた凍結保存液を凍結保存容器中で凍結させることと、
    凍結保存容器を凍結保存することと、
    凍結保存容器中で凍結した凍結保存液を解凍することと、
    解凍した細胞を細胞培養培地に混入させることと、
    培地に混入させた細胞から細胞集塊を形成させることと
    を含んでなる、記録媒体。
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