JPWO2014115799A1 - 多能性幹細胞の継代培養方法 - Google Patents

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Abstract

[課題]本発明は、多能性幹細胞の簡便で均質な継代培養方法を提供することを目的とする。[解決手段]多能性幹細胞を継代する際に、培養して得られる細胞塊を単一細胞レベルにまで分散させ、その後、迅速に細胞集塊を形成させる、多能性幹細胞の継代培養方法。

Description

関連出願の参照
本願は、先行する日本国特許出願である特願2013−010161(出願日:2013年1月23日)の優先権の利益を享受するものであり、その開示内容全体は引用することにより本明細書の一部とされる。
本発明は、多能性幹細胞の継代培養方法に関する。より具体的には、本発明は、簡便かつ均質な多能性幹細胞の継代培養方法に関する。
接着培養では、細胞は、酵素処理またはセルスクレイパーなどを用いて培養容器の接着面から剥離し、新鮮な培地を含む培養容器に継代される。多能性幹細胞は、単一細胞にまで解離させると死滅してしまうことが知られており、継代の際には、細胞塊の状態で継代することが必須となっている。そのため、多能性幹細胞の継代においては、培養容器から細胞を剥離する際には、多能性幹細胞をコロニーとして剥離し、ピペッティング等で適当な大きさの細胞塊に砕き、その後に新しいディッシュに播種している。
しかしながら、このような方法には、ピペッティングの技術によって細胞塊の大きさが変化し、また、得られる細胞塊のサイズが均等にはなりにくいという問題がある。継代の際のピペッティング操作により細胞塊のサイズがばらつくと、継代後の培養において生じるコロニーのサイズにもばらつきが生じ、細胞の品質管理の観点では万全とは言い切れない。また、各コロニーのサイズにばらつきが生じていると、あるコロニーが継代すべき一定サイズに達したとしても、他のコロニーでは細胞が十分に増殖できていないという問題が起こりうる。そのため、培養中のコロニーサイズのばらつきは、細胞の生産効率の観点で悪影響を及ぼす。
多能性幹細胞を単一細胞化して播種する方法が知られているが、この方法は、単一の性質を有する多能性幹細胞をクローニングすることを目的とした方法であって、細胞増殖という観点からは効率が非常に悪い方法であるため、多能性幹細胞の継代培養には適した方法ではない(非特許文献1)。また、単一細胞化した多能性幹細胞を凝集させることで均一なサイズの胚様体(Embryonic Body)を形成させて分化誘導を効率化する方法が知られているが(非特許文献2)、そもそも、このような胚様体は多能性幹細胞の分化誘導を促進するために作製されるものである(非特許文献2および3)。多能性幹細胞は一度分化を開始すると多能性を失うと考えられており、未分化状態の維持を目的として、多能性幹細胞に胚様体を形成させることは考え得ない。
大量の多能性幹細胞の維持培養のためには、できるだけ簡便な手段で多能性幹細胞を効率的かつ均質に継代できる方法を確立する必要があるが、未分化状態を維持させたまま多能性幹細胞を均質に継代培養する方法は確立されていない。大量の多能性幹細胞の維持培養のためにはまた、全自動化に適した多能性幹細胞の継代培養の方法を確立する必要があるが、そのような方法も知られていない。
Watanabe, K., et. al., "A ROCK inhibitor permits survival of dissociated human embryonic stem cells", Nature biotechnology, (2007) 25: 681. Spelke D.P., et. al., "Methods for embryoid body formation: the microwell approach", Methods in Molecular Biology (2011) 690: 151-162. 島崎琢也、岡田洋平、吉崎崇仁および岡野栄之著、蛋白質核酸酵素、共立出版、2006年、第51巻、第13号、1854〜1861頁
本発明は、多能性幹細胞の維持培養のための効率的かつ均質な継代培養方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、多能性幹細胞を継代する際に、培養して得られる細胞塊を単一細胞レベルにまで分散させた場合であっても、その後、迅速に細胞塊を再形成させれば(すなわち、細胞集塊を形成させれば)単一細胞への分散による細胞の死滅を防ぐことができること、および、細胞集塊の形成方法を工夫することにより一定の大きさおよび形状を有する均質な細胞集塊が得られることを見出した。本発明者らはまた、得られた細胞集塊は、細胞が立体的に集合したものであったが、ディッシュに播種すると迅速にディッシュの細胞接着面に展開し、良好かつ均一に増殖すること、さらには、培養を続けると未分化の良好な多能性幹細胞コロニーを形成することを見出した。しかも、得られた細胞集塊は、良好な未分化状態を維持した状態で何継代にもわたり好適に維持培養することが可能であった。より詳細な解析の結果、本発明者らは、細胞集塊のサイズを調整することにより細胞の培養効率を容易に向上させることができることをさらに見出した。本発明者らはさらにまた、単一細胞レベルにまで分散させた細胞をサイズに基づいて分級することにより、継代する細胞中の未分化細胞の割合を向上させることができることも見出した。本発明者らはさらにまた、ウェル中で形成された細胞集塊は、当該ウェルを備えた容器を天地逆転させて培養容器の培養面に落下させることにより、培養容器中の特定の位置に播種(精密播種)することができることを見出した。本発明はこのような知見に基づく発明である。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)多能性幹細胞の継代培養方法であって、
(a)継代時に多能性幹細胞の細胞塊を分散させる工程と、
(b)分散させて得られた細胞をマイクロウェル中に播種する工程と、
(c)マイクロウェル中に播種された細胞から細胞集塊を形成させる工程と、
(d)得られた細胞集塊を培養容器の培養面に播種する工程
とを含んでなる、方法。
(2)工程(d)が、(d’)マイクロウェルを備えた容器を天地逆転させて細胞集塊を培養容器の培養面上に落下させる工程を含んでなる、上記(1)に記載の方法。
(3)工程(a)において細胞塊を1〜100個の細胞からなる細胞塊に解離させる、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)工程(a)において細胞塊を1〜10個の細胞からなる細胞塊に解離させる、上記(3)に記載の方法。
(5)工程(a)において細胞塊を単一細胞にまで解離させる、上記(4)に記載の方法。
(6)工程(b)において各マイクロウェルに播種される細胞の平均細胞数が、10〜3,500個である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)工程(b)において各マイクロウェルに播種される細胞の平均細胞数が、25〜870個である、上記(6)に記載の方法。
(8)工程(b)において各マイクロウェルに播種される細胞の平均細胞数が、40〜500個である、上記(7)に記載の方法。
(9)工程(b)において各マイクロウェルに播種される細胞数が、55〜220個である、上記(8)に記載の方法。
(10)工程(c)がマイクロウェル中で細胞を、細胞集塊を形成するために十分な時間静置することを含んでなる、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)工程(c)がマイクロウェル中で細胞を8〜24時間静置することを含んでなる、上記(10)に記載の方法。
(12)工程(c)がマイクロウェル中で細胞を8〜12時間静置することを含んでなる、上記(11)に記載の方法。
(13)工程(c)が遠心分離を用いることなく行われる、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)多能性幹細胞が、ヒト多能性幹細胞である、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)ヒト多能性幹細胞が、ヒトES細胞またはヒトiPS細胞である、上記(14)に記載の方法。
(16)工程(a)の後に、分化細胞を除去する工程(a’)をさらに含んでなる、上記(1)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(17)分化細胞を除去する工程(a’)が、分化細胞を分級することにより除去することを含んでなる、上記(16)に記載の方法。
(18)閾値(閾値は、20μm以上の値である)を超えた直径を有する細胞を分級により除去する、上記(17)に記載の方法。
(19)閾値(閾値は、23μm以上の値である)を超えた直径を有する細胞を分級により除去する、上記(18)に記載の方法。
(20)分化細胞を除去する工程(a’)が、細胞の表面マーカーの発現の有無に基づいて行われる、上記(16)に記載の方法。
(21)細胞の表面マーカーが、多能性幹細胞が細胞表面に発現する未分化マーカーである、上記(20)に記載の方法。
(22)未分化マーカーが、アルカリフォスファターゼ、SSEA−3、SSEA−4、TRA−1−60およびTRA−1−81からなる群から選択される1以上の未分化マーカーである、上記(21)に記載の方法。
(23)マイクロウェルを備えた面と培養面とを備えてなり、これら2つの面が向かい合うように配置された、閉鎖系培養容器。
(24)マイクロウェルが、その内周が底面に近づくほど小さくなる形状を有する、上記(23)に記載の閉鎖系培養容器。
(25)マイクロウェルが、丸底、V底、U底または角取平面底を有する、上記(24)に記載の閉鎖系培養容器。
(26)整列した複数のマイクロウェルを備えた、上記(23)〜(25)のいずれかに記載の閉鎖系培養容器。
(27)工程(d’)が、上記(23)〜(26)のいずれかに記載の閉鎖系培養容器を天地逆転させることにより行われる、上記(2)に記載の方法。
(28)上記(1)〜(22)および(27)のいずれかに記載の方法を実施するための多能性幹細胞の全自動継代培養システム。
本発明の方法は、簡便かつ迅速に、均質な多能性幹細胞の細胞集塊を得ることができ、それにより、安定的な多能性幹細胞の継代が可能となる点で有利である。本発明の方法はまた、マイクロウェルを備えた容器を天地逆転させて細胞集塊を培養容器に落下させることにより細胞集塊の播種位置を制御でき、例えば、細胞の均質な播種が可能となる点で有利である。本発明の方法はさらに、継代の際に分化細胞を除去することができるため、未分化細胞の割合を高めることが可能である点で有利である。また、本発明の多能性幹細胞の継代培養方法は、全自動化に適しており、全行程を自動化することが可能である。
図1は、単一細胞レベルにまで分散させたヒトiPS細胞を、AggreWell 800に播種した直後および1日後の細胞の状態(図1A)並びに得られた細胞集塊(図1B)を示す図である。 図2は、遠心分離を行ってまたは行わずに得られた細胞集塊の継代後の細胞の位相差顕微鏡像である。細胞集塊または細胞コロニーの色の濃い部分は細胞が多層になっている部分である。 図3は、得られた細胞集塊の継代後の成長曲線を示す図である。細胞の成長は、ディッシュ上の細胞が占める面積(mm)を測定することにより求めた。 図4は、継代後のコロニーの蛍光免疫染色像を示す図である。 図5は、AggreWell上での細胞集塊の形成過程を経時的に観察した位相差顕微鏡像である。 図6は、AggreWell上での静置時間とその後の細胞の増殖の位相差顕微鏡像を示す図である。図6では、AggreWellへの細胞の播種48時間後に位相差顕微鏡像を取得した。 図7は、AggreWell上での静置時間とその後の細胞の増殖の位相差顕微鏡像を示す図である。図7では、AggreWellへの細胞の播種168時間後に位相差顕微鏡像を取得した。 図8は、細胞集塊の形成条件を変えたときの播種7日後の細胞の状態を示す位相差顕微鏡像である。 図9は、細胞集塊の形成条件を変えたときの播種7日後の細胞の状態を示す位相差顕微鏡像である。 図10は、遠心分離を行って細胞集塊を形成させたときの、5継代目での細胞の状態を示す位相差顕微鏡像である。図10では、播種2日後〜7日後までの細胞集塊の展開の状況および増殖の状況が示されている。 図11は、細胞集塊の形成条件を変えたときのコロニーの生着率を示す図である。P1〜P5は、継代数を示す。具体的には、P1は1回目の継代後のデータを示し、P2〜P5はそれぞれ、2〜5回目の継代後のデータを示す。図中で数値が100%を超えるものが見られる理由は、継代時に細胞集塊が崩れることが原因と思われる。 図12は、細胞集塊の形成条件を変えたときの多層コロニーの割合を示す図である。 図13は、細胞集塊の形成条件を変えたときの細胞の回収率を示す図である。P1〜P5は、継代数を示す。 図14は、細胞集塊の形成条件を変えたときの細胞の死亡率を示す図である。P1〜P5は、継代数を示す。 図15は、細胞集塊1つあたりに含まれる細胞数と細胞集塊の直径との関係を示す図である。 図16は、細胞集塊1つあたりに含まれる細胞数と細胞集塊播種後の細胞の展開率との関係を示す図である。 図17は、細胞集塊1つあたりに含まれる細胞数と細胞集塊播種後の細胞の接着率との関係を示す図である。 図18は、10,000個の細胞を用いて均等なサイズの細胞集塊を得たときの、細胞集塊1つあたりに含まれる細胞数と得られる細胞集塊の個数の関係を示す図である。 図19は、細胞集塊1つあたりに含まれる細胞数と1継代あたりの細胞の増幅倍率との関係を示す図である。 図20は、細胞集塊1つあたりに含まれる細胞数と各細胞集塊に由来するコロニーが直径2mmに達するために必要な日数との関係を示す図である。 図21は、細胞集塊1つあたりに含まれる細胞数と1日あたりの細胞の増幅倍率との関係を示す図である。 図22は、細胞集塊1つあたりに含まれる細胞数と45.42日後の細胞の増幅倍率との関係を示す図である。 図23は、良好なiPS細胞コロニーから得られた細胞の直径と不良なiPS細胞コロニーから得られた細胞の直径との違いを示す図である。 図24は、培養容器の培養面に落下させた細胞集塊の培養面上での配置を示す図である。
発明の具体的な説明
本発明で用いられる多能性幹細胞としては、胚性幹細胞(ES細胞)、誘導性多能性幹細胞(iPS細胞または人工多能性幹細胞)、Muse細胞(Multilineage-differentiating Stress Enduring Cell)、胚性腫瘍細胞(EC細胞)または、胚性生殖幹細胞(EG細胞)などの多能性幹細胞が挙げられ、好ましくは、ES細胞またはiPS細胞である。本発明に用いる多能性幹細胞はまた、好ましくは、霊長類または齧歯類などの哺乳類の多能性幹細胞であり、より好ましくは、ヒトの多能性幹細胞である。本発明に用いる多能性幹細胞は、最も好ましくは、ヒトES細胞またはヒトiPS細胞である。
本発明の多能性幹細胞の継代培養方法は、
(a)継代時に多能性幹細胞の細胞塊を分散させる工程と、
(b)分散させて得られた細胞をマイクロウェル中に播種する工程と、
(c)遠心分離の手法を用いてまたは用いずにマイクロウェル中に播種された細胞から細胞集塊を形成させる工程と、
(d)得られた細胞集塊を培養容器の培養面に播種する工程
とを含んでなる。本発明の多能性幹細胞の継代培養は、接着培養系で行われる。本発明では、多能性幹細胞は良好な未分化状態を維持したまま維持培養することができる。
本発明の多能性幹細胞の継代培養方法により得られる細胞集塊は、細胞間に緩い結合を有している。従って、単一細胞化による細胞死を免れることができるが、本発明の方法により得られる細胞集塊はその細胞間の結合の緩さ故に継代後には培養容器の細胞接着面に迅速に展開し得る。本発明の方法により得られる細胞集塊はまた、マイクロウェルを備えた容器を天地逆転させて培養容器の培養面上に落下させることにより、培養容器中の制御された位置に播種(以下、「精密播種」ということがある)することができる。
以下、本発明の多能性幹細胞の継代培養方法の各工程を説明する。
(a)継代時に多能性幹細胞の細胞塊を分散させる工程
(細胞接着面からの細胞の剥離)
本発明では、接着培養において、生理学的にまたは物理的に細胞接着面から剥離させた多能性幹細胞を用いることができる。本発明では、多能性幹細胞を細胞接着面から剥離させる酵素としては、常法で用いられる酵素を用いることができ、例えば、トリプシン、ディスパーゼ、アキュターゼおよびコラゲナーゼなどの酵素を用いることができる。多能性幹細胞の細胞接着面からの剥離はまた、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの二価イオン(特にMg2+)のキレート剤など、細胞剥離作用を有する化学物質を用いて行ってもよく、これらを上記酵素と組み合わせて用いて行ってもよい。本発明ではまた、多能性幹細胞を細胞接着面から剥離させるために、細胞の接着表面に高周波振動などの振動を与えてもよく、および/または、セルスクレイパーを用いてもよい。本発明では更に、上記の生理学的な剥離法と物理的な剥離法を組み合わせて細胞を剥離してもよい。当業者であれば、細胞接着面からの多能性幹細胞の剥離は上記のような周知の剥離法を用いて適宜行うことができるであろう。
本発明では、細胞塊は単一細胞レベルにまで解離させることができる。細胞塊の解離は、細胞の培養面からの剥離と同時に行ってもよいし、細胞塊として剥離させた後に行ってもよい。
(細胞の分散)
接着面から剥離させた細胞が細胞塊の形状を保っている場合には、剥離させた細胞塊は、例えば、ピペッティングの水流により単一細胞レベルにまで解離させてから分散させることができる。本明細書では、「単一細胞レベルにまで分散させる」とは、細胞塊1つ当りに含まれる細胞数の平均が、1〜100個、好ましくは、1〜10個となるように細胞塊を解離させてから分散させることを意味し、完全に単一細胞にまで解離させてから分散させることを含むものとする。従って、本発明では、細胞塊は完全に単一細胞にまで解離させてから分散させてもよいし、大部分が単一細胞となるように解離させてから分散させてもよいし、大部分が1〜100個、好ましくは、1〜10個の細胞からなる細胞塊となるように解離させてから分散させてもよい。分散後の細胞塊が大きい場合は、細胞塊をマイクロウェルに播種する際に、それぞれのマイクロウェルに播種される細胞数にばらつきが生じやすくなるため、分散後の細胞塊は小さい方が好ましい。
また、培養面から剥離させた細胞塊は、酵素を用いてさらに処理することにより単一細胞レベルにまで分散させてもよい。細胞を単一細胞レベルにまで解離させるために用いることができる酵素としては、細胞−細胞間の結合を切断することのできる酵素や細胞−細胞外基質(ECM)間の結合を切断することのできる酵素を挙げることができ、これらの酵素は、当業者に周知である。酵素や水流を用いた細胞塊の解離は、自動化が可能であり、工程(a)は自動化が可能である。
細胞を単一細胞レベルにまで解離させ分散させた後は、分散させた細胞の懸濁液に、細胞を分散させたことによる細胞への悪影響(例えば、細胞死等)を抑制する化合物、例えば、Y−27632などのROCK阻害剤を添加することができる。
(b)分散させて得られた細胞をマイクロウェル中に播種する工程
本発明によれば、工程(a)で分散させて得られた細胞または細胞塊(以下、単に「細胞」ということがある)は、細胞集塊を形成させた後に継代するとその後良好に増殖させることができる。細胞集塊の形成は、得られた細胞をマイクロウェルに播種することにより行うことができる。工程(a)で分散させて得られた細胞は、培養液中では重力により自然と沈む。従って、傾斜を有するウェル(くぼみ)中に細胞を播種すると、ウェル中では細胞がウェルの傾斜を利用して集まる。その後、細胞は、隣り合う細胞と細胞接着を形成して細胞集塊を形成する。従って、本発明では、ウェルは、細胞が沈んだときに集まる形状、例えば、その内周が底面に近づくほど小さくなる形状を有していることが好ましい。すなわち、ウェルは、底がすぼんだ形状を有していることが好ましく、例えば、錐形状、丸底、V底、U底および角取平面底(底面を有するが角が取れて底がすぼんだ形状となったもの)の形状を有していることが好ましい。また、各ウェルの上部開口部の形状は、加工の容易性やウェルを大量に配置できる形状を考慮して適宜選択することができるが、例えば、三角形、四角形若しくは六角形などの多角形の形状または円の形状を有することができる。
本発明では、作製する細胞集塊は一定の大きさに揃っていることが好ましい。ここで、作製する細胞集塊の大きさは、各マイクロウェルに播種される細胞数により決定されるので、工程(b)では、各マイクロウェルに播種される細胞数は一定量に揃えられていることが好ましい。ここで、一定量とは、工程(b)で各マイクロウェルに播種される細胞数の平均が、例えば、10〜3,500個(すなわち、形成される細胞集塊の平均直径は35〜350μmである)、好ましくは、25〜870個(すなわち、形成される細胞集塊の平均直径は50〜200μmである)、より好ましくは、40〜500個(すなわち、形成される細胞集塊の平均直径は60〜160μmである)、さらに好ましくは、55〜220個(すなわち、形成される細胞集塊の平均直径は69〜115μmである)であることを意味する。工程(b)で各マイクロウェルに播種される細胞数を一定量に揃えるためには、細胞懸濁液中の細胞の濃度を調整した後に、懸濁液中で細胞を十分に懸濁してから播種すればよい。
通常の細胞培養プレートのウェルと区別するために、本明細書では、細胞集塊を形成させるためのウェルを「マイクロウェル」と呼ぶが、「マイクロウェル」は、一辺または直径1mm以上の上部開口部を有するウェルを除外することを意図する用語ではなく、「マイクロウェル」には、一辺または直径1mm以上の上部開口部を有するウェルが含まれる。マイクロウェルの上部開口部の大きさは、形成させる細胞集塊の大きさにより決定することができ、例えば、直径100μm〜3mm、直径200μm〜800μm、または直径400μm〜600μmの円と同等の面積を有する上部開口部を備えたウェルとすることができる。
また、細胞集塊を大量に取得可能とする観点では、マイクロウェルは、容器の底面に多数配置されていることが好ましく、マイクロウェルは隙間無く(隣り合うウェルの間に平坦な部分が存在しないように)またはウェル間の隙間を最小限とするように配置されていることが好ましい。容器底面のマイクロウェルの配置に関しては、精密播種に関する工程(d’)の項目においてさらに詳細に説明する。
さらに、形成させる細胞集塊の大きさを揃える観点からは、容器のマイクロウェルの形状は均一であることが好ましい。このようにすることで、細胞を比較的均一にマイクロウェル中に分散させることが容易となり、結果として均一な大きさの細胞集塊を形成させることが可能となる。従って、本発明では、工程(a)で分散させて得られた細胞は、均一な形状のマイクロウェルを底面に多数配置させたマルチウェルプレートを用いて作製することが好ましい。このようなマルチウェルプレートとしては、特に限定されないが、例えば、AggreWell(商標)(STEMCELL Technologies社製)が市販されている。 また、工程(b)は、後述される、本発明の閉鎖系培養容器を用い、そのマイクロウェルを備えた面上で行うこともできる。
本発明では、マイクロウェルの表面は、細胞に対して非接着性のコーティングを施しておくことができる。
マイクロウェルに播種する細胞の数は、適宜調整することができる。また、マイクロウェルへの細胞の播種は、細胞を十分に懸濁することにより均一に行うことができる。これらの操作は自動化が可能であるから、工程(b)において、一定量の細胞をマイクロウェルに播種する工程も全自動化が可能である。
(c)マイクロウェル中に播種された細胞から細胞集塊を形成させる工程
本発明によれば、マイクロウェル中に播種された細胞は、そのまま静置しておくことで重力によりマイクロウェルの底に集まり、細胞同士が接着し、細胞集塊を形成する。細胞は、マイクロウェルを有する容器を遠心分離の手法を用いて遠心することによってマイクロウェルの底に集めてもよい。
遠心分離の手法を用いる場合には、特に限定されないが、400g〜3000gで1分〜10分間の遠心分離を行うことができる。このようにすることで、細胞を効果的にマイクロウェルの底面に集めることができる。
本発明によれば、遠心分離の手法を用いて細胞集塊を形成させると、細胞を密に凝集させることができると考えられるが、本発明では、必ずしも遠心分離の手法を用いる必要は無い。すなわち、マイクロウェルに単一細胞レベルまで分散させた細胞を播種した後、遠心分離の手法を用いることなく、例えば、マイクロウェル中で細胞を静置するだけでも数時間以内に多能性幹細胞に細胞集塊を形成させることができる。このように、本発明では、遠心分離の手法を用いることなく細胞集塊を形成させることができる。
本発明では、マイクロウェル中で静置することにより多能性幹細胞に細胞集塊を形成させることができる。静置時間は、多能性幹細胞が細胞集塊を形成させるために必要な時間以上であればよく、例えば、8時間以上である。細胞集塊の形成時間を短縮する観点では、静置時間は、例えば、8時間〜24時間、好ましくは8時間〜16時間、さらに好ましくは8時間〜12時間とすることができる。本発明の方法では、静置時間が短いほど細胞集塊中の細胞間の結合は緩いため、細胞集塊が壊れやすい一方、培養容器への播種後は細胞集塊が素早く展開するという利点がある。
本発明の工程(c)で作製する細胞集塊は、作製する細胞集塊は一定の大きさに揃っていることが好ましい。工程(b)に記載されるように、それぞれの細胞集塊に含まれる平均細胞数は、例えば、10〜3,500個(すなわち、細胞集塊の平均直径は35〜350μmである)、好ましくは、25〜870個(すなわち、細胞集塊の平均直径は50〜200μmである)、より好ましくは、40〜500個(すなわち、細胞集塊の平均直径は60〜160μmである)、さらに好ましくは、55〜220個(すなわち、細胞集塊の平均直径は69〜115μmである)であり、細胞集塊の平均直径は、マイクロウェルのサイズと播種する細胞数により適宜調整することができる。また、マイクロウェルは、作製したい細胞集塊のサイズより大きいサイズのものを選択することができる。
例えば、ヒトiPS細胞を用いて50μmの平均直径を有する細胞集塊を作製する場合には、1ウェル当り1200のマイクロウェル(例えば、マイクロウェルの大きさが400μm×400μm)が刻まれた24ウェルプレート(2cm/ウェル)に対して2.8×10個/ウェルの細胞を播種することができる。また、例えば、100μmの平均直径を有する細胞集塊を作製する場合には、1ウェル当り1200のマイクロウェルが刻まれた24ウェルプレート(2cm/ウェル)に対して1.8×10個/ウェルの細胞を播種することができる。また、例えば、200μmの平均直径を有する細胞集塊を作製する場合には、1ウェル当り300のマイクロウェル(例えば、マイクロウェルの大きさが800μm×800μm)が刻まれた24ウェルプレート(2cm/ウェル)に対して2.9×10個/ウェルの細胞を播種することができる。50μm、100μmおよび200μmの直径のヒトiPS細胞の細胞集塊にはそれぞれ、約23個、約151個および約981個の細胞が含まれる計算となる。当業者であれば、作製したい細胞集塊の直径に応じて必要な細胞数を計算し、所望のサイズの細胞集塊を得ることができるであろう。
マイクロウェルに播種された細胞は、遠心分離工程を行って、あるいは行わずに単に静置するだけで細胞集塊を形成する。従って、工程(c)は全自動化が可能である。
(d)得られた細胞集塊を培養容器の培養面に播種する工程
工程(c)によりマイクロウェルを備えた容器中で形成された細胞集塊は、その後、培養容器(すなわち、培養容器の培養面)に播種することができる。この工程(d)は、細胞集塊を回収し、培地に懸濁し、培養容器の培養面に播種することにより行うことができ、この工程(d)は、全自動化が可能である。播種された細胞集塊は、播種後速やかに展開し、その後、多能性を維持した状態で良好に培養することができる。細胞集塊を培養容器の培養面上に均一に播種する観点では、細胞集塊を含む細胞懸濁液は、十分に懸濁してから播種することが好ましい。
本発明の方法では、工程(d)において、細胞集塊の精密播種が可能である。具体的には、工程(d)において、工程(d’)マイクロウェルを備えた容器を天地逆転させて細胞集塊を培養容器の培養面上に落下させる工程を行うことにより、細胞集塊を培養容器の培養面に精密播種することができる。工程(d’)においてマイクロウェルを備えた容器を天地逆転させると、細胞集塊は、マイクロウェルからほぼ垂直に培養容器の培養面に落下するため、天地逆転させたマイクロウェルの配置と鏡映しの配置で培養面上に播種されることになる。ここで、マイクロウェルの配置をどのような配置で細胞集塊を落下させたいかに基づいて設計すれば(工程(b)で用いるマイクロウェルを備えた容器におけるマイクロウェルの配置の設計も同様)、制御された配置に細胞集塊を播種(精密播種)することができる。このように、本発明の方法では、工程(d)において工程(d’)を行うことにより、細胞集塊を培養容器の培養面に精密播種することができる。精密播種は、例えば、培養容器の培養面上に細胞集塊を均一に播種するために用いることができ、これにより、細胞は培養面上で均一に増殖し得る。
培養容器の培養面を効率的に利用する観点からは、マイクロウェルは、例えば、ハニカム状に配置されていることが好ましい(工程(b)で用いるマイクロウェルを備えた容器におけるマイクロウェルの配置も同様)。このようにすることで、多能性幹細胞により形成されるコロニー間の無駄な隙間を小さくすることができ、培養面の効率的な利用が可能となる。本明細書では、マイクロウェルがハニカム状に配置されるとは、所定の一方向に延びる複数のマイクロウェル列が形成され、各マイクロウェル列は前記一方向に連続して配置された複数のマイクロウェルを含み、あるマイクロウェル列に含まれるマイクロウェルは、隣接するマイクロウェル列に含まれるマイクロウェルに対して互い違いに配置されることを意味する。このように、本発明の方法では、工程(d)は、工程(d’)マイクロウェルを備えた容器を天地逆転させて細胞集塊を培養容器の培養面上に落下させる工程を含む工程とすることができる。重力による細胞集塊の沈降速度はそれほど速くないので、マイクロウェルと細胞集塊とが接着していない場合であっても、マイクロウェルを備えた容器を天地逆転させれば、比較的良好に細胞集塊を培養容器の培養面上で整列させることができる。細胞集塊がマイクロウェルに接着している場合には、マイクロウェルと細胞集塊との接着は、衝撃、液流および振動(例えば、低周波振動または高周波振動)等を用いて解離させることができる。
工程(d’)では、培養容器の天地逆転は、閉鎖系培養容器、例えば、マイクロウェルを備えた面と培養面とを備えてなり、これら2つの面が向かい合うように配置された閉鎖系培養容器を用いると容易に行うことができる。
従って、本発明では、マイクロウェル(好ましくは、整列した複数のマイクロウェル)を備えた面と培養面とを備えてなり、これら2つの面が向かい合うように配置された閉鎖系培養容器が提供される。このような閉鎖系培養容器を用いる際には、工程(a)により分散させた細胞のマイクロウェルへの播種(工程(b)に対応)は、例えば、十分に懸濁した細胞懸濁液を容器内に注入し、その後、マイクロウェルを備えた面を地側にして静置することにより行うことができる。また、その後の容器の天地逆転は、容器全体を天地逆転させればよい。
本発明によれば、工程(d’)も全自動化が可能である。工程の全自動化を容易にする観点では、上述のように、工程(d’)では本発明の閉鎖系培養容器を用いることが好ましい。
以上のように、本発明の多能性幹細胞の継代培養方法は、工程(a)〜(d)により行うことができる。上述のように、これらの工程はすべて自動化が可能である。
本発明によれば、本発明の多能性幹細胞の継代培養方法は、工程(a)と(b)との間に、(a’)分化細胞を除去する工程を含んでいてもよい。
(a’)分化細胞を除去する工程
本発明の方法によれば、多能性幹細胞を単一細胞にまで分散させた場合であっても、細胞に細胞死等の有害事象の発生を抑制することができる。また、その後細胞集塊を形成させることにより効率的に細胞の継代が可能である。本発明では、多能性幹細胞を単一細胞にまで分散させる利点として、細胞1つ1つの性状に基づく分化細胞の分離除去が可能となる。工程(a’)は、分化細胞の分離除去に関する工程であり、多能性幹細胞を単一細胞にまで分散させることができるようになった本発明で初めて多能性幹細胞の継代培養に導入可能となった工程である。すなわち、工程(a’)は、工程(a)において多能性幹細胞を単一細胞にまで分散させることを前提とする工程である。
本発明者は、後述の実施例により、単一細胞にまで分離させた細胞は、そのサイズに基づいて、未分化細胞と分化を開始した細胞とを分級することができることを明らかにした。具体的には、ヒトiPS細胞では、未分化細胞は直径が17μmを中心に14〜20μm程度の大きさに分布したが、分化を開始した細胞は主に直径23μm以上に分布した。この知見に基づけば、工程(a)の後に、サイズに基づいて細胞を分級する工程(a’)を行えば、分化を開始した細胞が除去され、未分化な細胞の割合を高めて継代することが可能である。
本発明によれば、工程(a’)では、閾値(閾値は、20μm以上、好ましくは23μm以上の値である)を超えた直径を有する細胞を分級により除去することにより、未分化な細胞の割合を高めることができる。工程(a’)における分級の閾値は、好ましくは25μm以下の値であり、例えば、20μm、21μm、22μm、23μm、24μmまたは25μmとすることができ、より好ましくは23μm、24μmまたは25μmであり、さらに好ましくは23μmである。閾値を低く設定すれば、分化した細胞が混入する割合が低下するが同時に未分化細胞の回収率が低下する。また、閾値を高く設定すれば未分化細胞の回収率は向上するが分化した細胞の混入率も高まる。当業者であれば、細胞の回収率や混入率に基づいて、適宜閾値を設定することが可能である。
本発明では、工程(a’)における細胞の分級は、特に限定されないが、例えば、細胞分画フィルターまたはセルソーターを用いて行うことができる。細胞分画フィルターは、浮遊細胞系において細胞を分級するためによく用いられており、様々なサイズの細胞を分級することができる。このような細胞分画フィルターとしては、例えば、フィルコンS、サイズ20μm(アズワン社製、製品番号:2−7210−01)などのフィルターが市販されており、利用することができる。その他、細胞の分離フィルターを作製する方法(例えば、特開2001−178号公報など)が知られており、当業者であれば、細胞の分離フィルターを作製して細胞を分級することができる。また、細胞の分級は、セルソーターを用いても行うことが可能であり、当業者であれば、例えば、製造者のマニュアル等に基づいて細胞を分級することができる。
また、分化細胞の除去は、細胞の表面に発現するマーカー(表面マーカー)の発現の有無に基づいて行うこともできる。分化細胞の除去に用いることができる表面マーカーとしては、多能性幹細胞が発現する未分化マーカーが挙げられ、このような未分化マーカーとしては、例えば、アルカリフォスファターゼ、SSEA−3、SSEA−4、TRA−1−60およびTRA−1−81などの未分化マーカーが知られている。表面マーカーの発現の有無に基づく細胞の分離方法は周知であり、当業者であれば、分化細胞を適宜分離し、除去することができる。表面マーカーに基づく細胞の分離は、例えば、フローサイトメトリーなどの技術を用いて行うことができる。
分化細胞の分級やフローサイトメトリーは自動化が可能である。従って、工程(a’)は、自動化が可能である。
上述のように、本発明の方法では、工程(a)、工程(a’)、工程(b)、工程(c)、工程(d)および工程(d’)のすべての工程が自動化可能である。従って、本発明の方法は全自動化が可能である。
従って、本発明によれば、本発明の方法を実施するための多能性幹細胞の全自動継代培養システムが提供される。本発明の方法を実施するための多能性幹細胞の全自動継代培養システムは、多能性幹細胞を培養する手段(1);多能性幹細胞を培養面から剥離し、単一細胞レベルに分散させる手段(2);分散させた細胞をマルチマイクロウェルプレート上に播種する手段(ここで、播種後にマルチマイクロウェルプレートを遠心してもよい)(3);並びに、形成された細胞集塊を培養容器の培養表面に播種する手段(4)からなる群から選択される1以上の手段、好ましくはすべての手段を備える。ある特定の態様では、本発明の方法を実施するための多能性幹細胞の全自動継代培養システムは、本発明の閉鎖系培養容器を備え、手段(4)が、本発明の閉鎖系培養容器を天地逆転させる手段(5)により達成される。
なお、本発明の方法により継代培養した細胞は、通常の凍結保存プロトコルに従って凍結保存することができる。凍結した細胞は解凍後、例えば、工程(a)および工程(a)に続く工程(例えば、工程(a’)〜(d))を行うことができる。
本発明によればまた、工程(c)の後には、細胞集塊を凍結保存することができる。細胞集塊の凍結保存は、例えば、細胞集塊を遠心分離の手法を用いてペレットにした後に、通常の凍結保存プロトコルに従って行うことができる。凍結した細胞は解凍後、工程(a)および工程(a)に続く工程を行ってもよいし、あるいは、工程(c)および工程(c)に続く工程(例えば、工程(d))を行ってもよい。
分散させた細胞または細胞集塊の凍結は、細胞凍結用液に応じた凍結手法を用いることによって行うことができ、当業者であれば適宜凍結手法を選択することができる。
実施例1:ヒトiPS細胞の単一細胞化とその後の継代方法の検討
ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞は、継代の際に単一細胞にまでばらばらにすると細胞死が誘導される。また、胚様体様にすると細胞が分化を開始することが懸念される。本実施例では、単一細胞にまでばらばらにした後に、速やかに細胞集塊を形成させてから、継代を行った場合に細胞死や分化の問題が生じるか否かを検討した。
本実施例では、細胞としては、ヒトiPS細胞(公益財団法人 先端医療振興財団 細胞評価グループ 川真田研究室による樹立株)を用いた。培養は、フィーダーレスの条件で行った。培地は、ReproFF2培地(ReproCell社製、製品番号:RCHEMD006)にbFGF(和光純薬工業社製、製品番号:064−04541)最終濃度5ng/mLを添加した培地を用いた。また、培養容器としては、10mm細胞培養ディッシュ(BD社製、製品番号:REF353003)を用い、iPS細胞の培養容器への接着性を担保するため、製造業者の取扱説明書に記載の方法に従って、培養前に培養容器内をECMでコーティングした。ECMは、BDマトリゲル(BD社製、製品番号:356234)を用いた。
細胞は常法によりコンフルエントになるまで培養した。その後、継代のために培地を吸引除去し、10mLのリン酸緩衝生理食塩水(Life technologies社製、製品番号:14190)で細胞を1回洗浄した。その後、1mLのアキュターゼ溶液(Innovative cell technologies社製、製品番号:AT104)で37℃で5分間処理し、細胞をチューブに回収した。
遠心分離(440g、5分)により細胞を回収し、上清を吸引除去して細胞を1mLの培地に再懸濁し、培地にROCK阻害剤Y−27632(STEMGENT社製、製品番号:04−0012)を最終濃度10μMとなるように添加して細胞懸濁液を得た。その後、細胞は、単一細胞レベルになるまでピペッティングの水流により細胞塊を砕いた。細胞懸濁液中の細胞濃度を調整し、細胞懸濁液をAggreWell 800(STEMCELL Technologies社製)のウェルに注入した。その後、AggreWell 800の遠心分離(2000g、5分)を行い、または、行わないで、37℃で一晩培養して細胞集塊を形成させた。遠心を行った場合および行わなかった場合の播種直後および1日後の細胞の状態は、図1Aに示される通りであった。すなわち、遠心を行った場合には、播種直後から逆ピラミッド形状のウェルの底に細胞が集まっていたが(図1A−左上)、遠心を行わなかった場合には、細胞は集まっていなかった(図1A−右上)。しかし、1日経過すると遠心を行った場合(図1A−左下)も行わなかった場合(図1A−右下)も細胞はウェルの底に集まり細胞集塊を形成していた。また、得られた細胞集塊は、ほぼ均一なサイズを有していた(図1B)。
得られた細胞集塊は、できるだけ壊さないようにピペットで回収し、6ウェルプレートに播種した(300個の細胞集塊/ウェル)。播種後の細胞の成長を位相差顕微鏡にて観察すると、遠心分離を行った場合でも行わなかった場合でも、細胞集塊は良好に展開し、その後も細胞は良好に成長した(図2)。
本実施例で得られた細胞集塊は人工的に集積させた立体構造を有することから、通常の継代培養とは状況が大きく異なるが、本実施例では、意外にもこのように作製した多層の細胞集塊であっても培養をすると自然に展開し、その後、通常の培養で見られる多能性幹細胞のコロニーを形成し好適に培養を行うことが可能であった。
細胞集塊の形成の際に遠心を行わなかった場合には、遠心を行った場合よりも細胞の展開が早かった(図2、播種2日後)。このように、iPS細胞の継代培養においては、遠心分離を行わない方がよい結果となり得ることが示唆された。
さらに詳細に解析するために、6ウェルプレートに播種してからの細胞の成長を成長曲線により比較したが、細胞の成長速度に関しては両者に大きな違いは見られなかった(図3)。
その後、継続して培養した細胞が未分化状態を保っていることを確認するために、6ウェルプレートに播種して5日後に細胞を回収し、パラホルムアルデヒドで固定してから蛍光免疫染色を行った。核染色は、1μg/mLのDAPIを含むリン酸緩衝生理食塩水で細胞を15分ほどインキュベートして行った。蛍光免疫染色は、Nanogの発現を確認するために抗体として抗Nanog抗体(ReproCell社製、製品番号:RCAB0003P)を用い、Oct3/4は、抗Oct3/4抗体(Santa Cruz Biotechnology社製、製品番号:sc−5279)を用いて常法に従って免疫染色した。明視野画像は、位相差顕微鏡(オリンパス社製、製品番号:IX−81)を用いて取得した。
その結果、すべての未分化マーカーが良好に発現していることが明らかとなった(図4)。
これらの結果から、細胞を単一細胞レベルまでばらばらにくずして培養した場合でも、その後、細胞集塊を形成させることにより細胞死を起こすことがないこと、細胞集塊は迅速に(〜1日)形成すること、得られた細胞集塊からは良好な多能性幹細胞コロニーが得られ、また、未分化状態で培養できることが示された。
実施例2:細胞集塊の形成時間の検討
実施例1では、AggreWellを用いて細胞集塊を形成させたが、形成させる時間は24時間としていた。本実施例では、細胞集塊を形成させるための最適な時間の検討を行った。
まず、実施例1と同じ方法で細胞懸濁液を得た。得られた細胞懸濁液をAggreWellのウェルに注入し、その後の細胞集塊の形成を経時的にモニターした(図5)。その結果、細胞懸濁液注入後に遠心分離を行った場合でも行わなかった場合でも細胞は約10時間で塊の形状に変化が見られなくなった。おそらく、形状に変化が見られなくなった理由としては、細胞間に結合が形成されたことが考えられる。
そこで、AggreWellのウェルに細胞懸濁液を注入後、8時間、10時間、12時間および24時間静置し、順次、ウェルから細胞集塊を回収して6ウェルプレートに細胞塊を壊さないように播種した。注入48時間後に、直径が1mm以上のコロニーの数をカウントした。その結果、静置時間が短い方がコロニー数が大きいことが分かった(図6)。このことから静置時間を短くすることで細胞集塊のコロニーへの展開が早くなることが示唆された。
次に、AggreWellのウェルへの細胞懸濁液の注入の168時間(7日)後に再び播種した細胞の様子を観察したが、いずれも良好に展開し成長していた。そこで、直径が1mmに満たないコロニーの数をカウントすると、静置時間が8時間の場合は、10時間以上静置する場合と比較して、直径1mm以下のコロニー数が多いことが明らかとなった(図7)。その原因は、静置時間が短いと細胞集塊の集合が弱く、6ウェルプレートに播種する際に細胞集塊がくずれてしまうからであると考えられる。
また、AggreWellのウェルへの細胞懸濁液の注入の168時間(7日)後の細胞数をそれぞれカウントした。すると、細胞数は静置時間が8時間のときに特に多かったが、10時間以上の場合はそれほど大きく変わらなかった(図7)。
このことから、AggreWellのウェル中での静置時間は8時間〜12時間あれば十分であることが明らかとなった。
実施例3−1:適切な細胞集塊サイズの検討
本実施例では、継代培養における最適な細胞集塊サイズを検討した。
まず、実施例1と同じ方法で細胞懸濁液を得た。細胞集塊を形成させるために、細胞集塊の形成条件を表1の通りに設定し、AggreWellのウェルに細胞懸濁液を注入した。
※1 AggreWell 800では、ウェルの底面に、800μm×800μmの逆ピラミッド状のマイクロウェルが1ウェル当り300個刻まれている。
※2 AggreWell 400では、ウェルの底面に、400μm×400μmの逆ピラミッド状のマイクロウェルが1ウェル当り1,200個刻まれている。
表1の条件で細胞をAggreWellに注入した。遠心分離は、条件1〜3のいずれでも2000g、5分の条件で行った。AggreWellで24時間静置して細胞集塊を形成させた後に、6ウェルプレートに細胞集塊を崩さないように播種した。プレートがコンフルエントになるか、コロニーの直径が1mmに達した段階で、表1の条件で継代を繰り返し、5継代目の播種7日後にコロニーを位相差顕微鏡で観察した。すると、いずれの条件であっても継代に成功したが(図8)、条件1ではコロニー数が明らかに少なかった(図8−左上)。また、継代中のコロニーを観察すると、播種7日後になると細胞集塊サイズが大きいもの(100μmおよび200μm)ではコロニー内の細胞が多層化しやすい傾向が見られた(図9)。なお、試験例4は3継代目、それ以外は4継代目でコロニーを確認した。
5継代目の継代2日後〜7日後までのコロニーの展開を経時的に観察した。すると、条件5では、細胞集塊は素早く展開してコロニーを形成したが、試験例6の条件では、コロニーが展開しきることなく、細胞が多層化した部分を残したまま継代すべき直径まで成長した(図10)。
通常の多能性幹細胞の培養では、細胞塊はほぼ単層の状態で継代が行われる。しかし、本実施例の方法では、AggreWellを用いて多層の細胞集塊を形成し、播種した。実施例1〜3によれば、多くの条件で細胞集塊は培養中に展開し、単層化した。
各条件による継代後のコロニーの生着率を調べた。生着率(%)は、下記式:
を用いて、継代3日後にディッシュ上のコロニー数をカウントし、播種した細胞集塊数で割って算出した。
すると、細胞の生着率は細胞集塊サイズが大きい条件で良い傾向を示した(図11)。生着率はまた、AggreWellでの遠心分離は行わない条件で良い傾向を示した(図11)。
次に、細胞が多層になっているコロニーの割合を各条件で比較した。すると、細胞集塊サイズが大きい条件3および6では、多層コロニーの割合が多く、小さい条件1および4では、多層コロニーの割合は少なかった(図12)。なお、多層コロニーは、目視でコロニーの面積の半分以上が多層となっているものを多層コロニーとしてカウントした。また、カウントは継代4回後に行った。
各条件による継代後の細胞の成長曲線を比較したが、いずれの条件でも成長曲線に大きな差異は見られなかった(データ示さず)。
また、各条件による継代後の細胞の回収率(%)を調べた。細胞の回収率(%)は、下記式:
を用いて、細胞数の比を取ることにより算出した。細胞の継代は、コロニーサイズが直径1mmを超えたとき、またはディッシュがコンフルエントになったときとしたため、継代間の培養日数は条件毎にばらつきを示した(表2)。
しかしながら、いずれの場合でも、通常のディッシュ培養(300〜400%を示す)と同等かそれ以上の回収率を示した(図13)。
さらに各条件による継代後の細胞の死亡率を比較した。細胞のカウントは継代2日後に行った。細胞の死亡率(%)は、下記式:
を用いて算出した。すると、細胞の死亡率は、条件1でやや低い傾向を示したが、条件による大きな違いは認められなかった(図14)。なお、死亡率の数値が100%以上になるのは、細胞が増殖しているからであると考えられる。
このように様々な条件で多能性幹細胞の良好な培養が可能であったが、形成させる細胞集塊の大きさや細胞集塊の形成条件の違いにより、その後の培養に差が生じることが分かった。すなわち、細胞集塊が大きいと細胞集塊が展開するのに時間がかかること、これにより、細胞塊が次の継代時期までに展開しきらないこと、細胞集塊を形成する際に遠心分離の手法を用いると細胞集塊が強固となり細胞集塊は壊れ難くなるが展開に時間がかかること、細胞集塊が小さいと細胞の回収率は高まるがコロニーの成長に時間がかかること、細胞集塊の形成に遠心分離の手法を用いない場合には細胞集塊の形成時間を短縮すると細胞集塊が柔らかくなり細胞集塊は崩れやすくなるが展開は早くなることなどが明らかとなった。
また、いずれの条件を選んで継代を行った場合でも、成長するコロニーの大きさは比較的揃っていた(図8)。このことは、本発明の方法が、培養させる細胞の品質の安定性や培養の効率性の観点で優れていることを意味する。
実施例3−2:適切な細胞集塊サイズの検討
実施例3−1では、形成させる細胞集塊のサイズにより、その後の培養が影響を受けることを示唆する結果が得られた。本実施例では、適切な細胞集塊サイズをより詳細に検討した。
まず、実施例1に記載の方法に従って細胞懸濁液を得た。その後、細胞懸濁液中の細胞濃度を適宜調整して細胞集塊を形成させ、細胞集塊の直径(y)と細胞集塊1個あたりの平均細胞数(χ)との関連を調べた。
細胞集塊の直径は、ウェル中で細胞を24時間静置して細胞集塊を形成させ、培養容器の培養表面に播種した直後に測定した。測定は、光学顕微鏡を用いて行い、細胞集塊の直径は、細胞集塊の顕微鏡画像から計算される細胞集塊の面積をまず求めて、細胞集塊が球形であるとの仮定の下で算出した。
すると、細胞集塊の直径(y)は、細胞集塊1個あたりの細胞数(χ)とは、下記式に示される関係を有する(R=0.96)ことが分かった(図15)。
本実施例では、1つの細胞集塊あたりの平均細胞数が11〜3,415個となるように細胞濃度を調整したが(図15)、いずれの場合でも良好に細胞集塊を形成させることができた。
実施例3−1では、細胞集塊のサイズが大きいと培養面での展開に時間がかかり、例えば、細胞集塊のサイズによっては継代8日後においても展開しきらない場合があることが示された。そこで、細胞集塊の継代後の展開と細胞集塊のサイズとの関係を詳細に調べた。
その結果、形成する細胞集塊あたりの平均細胞数が867個(直径195μmに相当)の場合には、継代後6〜8日目においてほぼ100%の細胞集塊が展開する様子が観察された(図16)。一方で、細胞集塊あたりの平均細胞数が1,209個(直径216μmに相当)またはそれ以上の場合には、完全には展開しきらなかった(図16)。このことから、展開性の観点では、1つの細胞集塊あたりの平均細胞数は、1,209個(直径216μmに相当)以下であることが好ましく、867個(直径195μmに相当)以下であることがより好ましいことが明らかとなった。
さらに、細胞増幅率を高める観点で、細胞集塊サイズを最適化するための指針を得ることを目的として、細胞集塊を培養面に播種した後の、培養面への接着率と細胞集塊サイズとの関係を詳細に調べた。すると、1つの細胞集塊あたりの細胞数が増えるほど(細胞集塊のサイズが大きくなるほど)培養面への接着率は上昇することが明らかとなった(図17)。得られた結果を回帰分析したところ、細胞集塊の培養面への接着率(y)は、1つの細胞集塊あたりの平均細胞数(χ)とは、下記式で近似される関係を有することが分かった(図17)。
すなわち、細胞集塊あたりの平均細胞数が約28個(直径約51.6μmに相当)以下の場合には接着率が極めて低くなることが明らかとなった。従って、接着性の観点からは、理論上は、細胞集塊あたりの平均細胞数が約28個(直径約51.6μmに相当)以上となるように調整することが好ましいといえる。但し、生着率のばらつきが大きいため、特に生着率の低い領域(例えば、平均細胞数が28個付近(すなわち、直径50μm付近に相当))では、近似誤差が相対的に大きくなると考えられ、平均細胞数が28個(すなわち、直径50μm)以下の細胞集塊で培養ができないことを意味するものではない。
本発明者らはさらに、細胞増幅倍率の観点から最適な細胞集塊のサイズを検討した。まず、継代に用いる細胞数が一定であるとした場合の、細胞集塊あたりの平均細胞数と得られる細胞集塊の個数の関係は図18のようになる。そして、得られた細胞集塊の接着率の結果(図17)と図18の結果から、次の継代までの細胞の増幅倍率(1回の継代あたりの細胞増幅倍率)を算出した。具体的には、継代のタイミングは、細胞集塊が展開して形成されるコロニーのサイズが直径2mmに達したときとし、コロニーの単位面積当りの細胞数は、4000個/mmとする。すなわち、コロニーあたりの細胞数が12,566個に達した時点で継代を行うものとする。そして、細胞集塊のサイズと細胞集塊の個数と接着率との関係(図17および18)を考慮して、継代後の次の継代までの細胞の増幅倍率を算出した。すると、1つの細胞集塊あたりの細胞数が76個であるときに細胞の増幅倍率が最大となる凸形状のグラフが描かれた(図19)。また、細胞集塊のサイズと次の継代までの日数を調べたところ、図20のような関係があることが分かった。ここからさらに、一日あたりの細胞の増幅倍率を算出した。すると、1つの細胞集塊あたりの細胞数が96個であるときに増幅倍率が最大となる凸形状のグラフが描かれた(図21)。そして、図21で細胞増幅倍率が最大となる条件で、細胞が5×10倍になるまでの日数を算出すると、理論上45.42日必要であることが分かる。そこで、さらに、細胞集塊サイズと45.42日後の細胞増幅倍率との関係を調べた(図22)。すると、1つの細胞集塊あたりの細胞数が42〜496個である場合に、細胞増幅倍率の最大値の1/10以上の増幅倍率が期待できることが分かった。また、1つの細胞集塊あたりの細胞数が55〜217個である場合に、細胞増幅倍率の最大値の1/2以上の増幅倍率が期待できることが分かった。
これらのことから、形成させる細胞集塊のサイズを調整することで、細胞の培養効率が格段に向上することが明らかとなり、また、細胞集塊のサイズを最適化するための指針が得られた。
一般的な培養方法では、播種する際の細胞集塊のサイズは不均一である。それに対して、本発明の方法では、細胞集塊のサイズは、各マイクロウェルに播種する細胞数を調整することにより容易に一定の大きさに調整することができ、また、得られる細胞集塊各々の大きさを一定に揃えることができる。そのため、本発明の方法では、多能性幹細胞の増殖効率を容易に高めることができることが明らかである。
実施例4:培養容器の培養面への細胞集塊の播種方法の検討
上記実施例では、マイクロウェル中で形成された細胞集塊は、ピペットで回収することにより新しい培養容器に継代したが、細胞集塊を壊さないために時間をかけた慎重なピペッティング操作が求められた。そこで、本実施例では、より簡便な細胞集塊の播種法を検討した。
ここで発明者らは、マイクロウェルを有する面と培養面とを備え、これら2つの面が対向して配置された閉鎖系培養容器を用いることを検討した。この閉鎖系培養容器のマイクロウェルを有する面は、角取平面底形状で上部開口部が1000μm×1000μmの四角形形状のマイクロウェルが碁盤状に整列したものとした。また、培養面は、BDマトリゲル(商標)によりコーティングしたものとした。
次に、実施例1に記載の方法により、単一細胞にまで分散させたiPS細胞の細胞懸濁液を得た。得られた細胞懸濁液を上述の閉鎖系培養容器に注入し、マイクロウェルを有する面を下にして37℃、5%CO雰囲気下で24時間静置した。光学顕微鏡を用いて細胞集塊が形成されたのを確認した後に、培養面が下になるよう閉鎖系培養容器を天地逆転させると、細胞集塊はマイクロウェル内から垂直に培養面に落下した。図23は、培養面に落下した細胞集塊の配置を示す図である。図23に示されるように、細胞集塊は培養面上で規則正しく整列した。これらの細胞集塊の配置は、用いたマイクロウェルの配置パターンを反映しており、図23の細胞集塊の間隔は、本実施例で用いた閉鎖系培養容器のマイクロウェルのピッチ(1000μm)と一致した。
このことから、マイクロウェル中の細胞集塊は、マイクロウェルの配置パターンを維持したまま、培養容器の培養面に落下させることが可能であることが明らかとなった。マイクロウェルの配置を変えることにより、細胞集塊の播種位置は自在に制御し得るものと考えられる。また、播種および播種位置の制御は、容器を天地逆転させるという、非常に容易な操作により行うことができることが明らかとなった。
実施例1〜3によれば、多能性幹細胞は単一細胞にまで分散させても、その後すぐに細胞集塊を形成させることにより、未分化状態を維持させたまま良好に培養することが可能であった。また、細胞懸濁液を複数のマイクロウェルが配置された面を有する培養容器に播種することにより、簡便に均一なサイズの細胞集塊を形成させることができた。さらに、細胞集塊は、培養容器への播種後速やかに展開し、細胞は良好に増殖した。形成させた細胞集塊のサイズは均一であったため、細胞集塊の展開速度およびその後の増殖速度も均一であった。また、細胞集塊のサイズが均一であることにより、継代培養の効率が上昇し、細胞の品質管理も容易なものとなった。また、実施例4によれば、マイクロウェル中の細胞集塊は、簡便な操作により培養容器の培養面に播種することができた。播種した細胞集塊の配置パターンは、マイクロウェルの配置パターンを反映しており、簡便な操作により細胞集塊の精密播種が可能であることが示された。このように、本発明の方法により、均一な細胞集塊の形成や細胞集塊の均一な播種などが極めて単純な機械的操作により可能となった。本発明の方法は、これにより多能性幹細胞の品質維持を容易なものとするのみならず、多能性幹細胞の継代培養の全自動化への途を切り拓くものであると言える。
実施例5:サイズに基づく細胞の分級
上記実施例により、多能性幹細胞が、単一細胞レベルに解離させた場合でも迅速に細胞集塊を形成させることにより、その後良好に培養することができることが分かった。本実施例では、単一細胞化できる本発明の利点を活かして、サイズに基づく細胞の分級の可能性を評価した。
目視で未分化(すなわち、良好)と判断されたiPS細胞コロニーと、コロニーの一部で分化を開始した(すなわち、不良)と判断されたiPS細胞コロニーそれぞれをピペットを用いて単離し、次いで、酵素を用いて単細胞に分散させ、その後、顕微鏡観察を行ない、単細胞の大きさの分布を確認した。その結果、良好と判定されたiPS細胞コロニーから得られた細胞は17μmを中心に14〜20μm程度の大きさを有し、それぞれの細胞の大きさが揃っている傾向を示すのに対し、不良と判断されたiPS細胞コロニーから得られた細胞からは、22μm以上または23μm以上の大きさを有する細胞の存在が確認された(図24)。この22μm以上または23μm以上の大きさを有する細胞は、良好なコロニーから得られる細胞との対比からコロニー内で分化を開始した細胞であると予想され、位相差顕微鏡の観察から、分化し、多能性を失った細胞であると評価された。この結果から、分級操作によって、分化を開始して多能性を失った細胞(分化細胞)を除去することができる可能性が示された。なお、分化細胞の除去は、フローサイトメトリーによっても実施することが可能である。
多能性幹細胞の品質維持は、多能性幹細胞の継代培養における重要な課題である。本発明では、単一細胞にまで分散させた多能性幹細胞中の分化細胞は、単純な機械的操作により除去することができる。従って、本発明は、継代培養における分化細胞の除去の自動化の途を切り拓くものであると言える。

Claims (28)

  1. 多能性幹細胞の継代培養方法であって、
    (a)継代時に多能性幹細胞の細胞塊を分散させる工程と、
    (b)分散させて得られた細胞をマイクロウェル中に播種する工程と、
    (c)マイクロウェル中に播種された細胞から細胞集塊を形成させる工程と、
    (d)得られた細胞集塊を培養容器の培養面に播種する工程
    とを含んでなる、方法。
  2. 工程(d)が、(d’)マイクロウェルを備えた容器を天地逆転させて細胞集塊を培養容器の培養面上に落下させる工程を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)において細胞塊を1〜100個の細胞からなる細胞塊に解離させる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程(a)において細胞塊を1〜10個の細胞からなる細胞塊に解離させる、請求項3に記載の方法。
  5. 工程(a)において細胞塊を単一細胞にまで解離させる、請求項4に記載の方法。
  6. 工程(b)において各マイクロウェルに播種される細胞の平均細胞数が、10〜3,500個である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程(b)において各マイクロウェルに播種される細胞の平均細胞数が、25〜870個である、請求項6に記載の方法。
  8. 工程(b)において各マイクロウェルに播種される細胞の平均細胞数が、40〜500個である、請求項7に記載の方法。
  9. 工程(b)において各マイクロウェルに播種される細胞数が、55〜220個である、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(c)がマイクロウェル中で細胞を、細胞集塊を形成するために十分な時間静置することを含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 工程(c)がマイクロウェル中で細胞を8〜24時間静置することを含んでなる、請求項10に記載の方法。
  12. 工程(c)がマイクロウェル中で細胞を8〜12時間静置することを含んでなる、請求項11に記載の方法。
  13. 工程(c)が遠心分離を用いることなく行われる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 多能性幹細胞が、ヒト多能性幹細胞である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. ヒト多能性幹細胞が、ヒトES細胞またはヒトiPS細胞である、請求項14に記載の方法。
  16. 工程(a)の後に、分化細胞を除去する工程(a’)をさらに含んでなる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 分化細胞を除去する工程(a’)が、分化細胞を分級することにより除去することを含んでなる、請求項16に記載の方法。
  18. 閾値(閾値は、20μm以上の値である)を超えた直径を有する細胞を分級により除去する、請求項17に記載の方法。
  19. 閾値(閾値は、23μm以上の値である)を超えた直径を有する細胞を分級により除去する、請求項18に記載の方法。
  20. 分化細胞を除去する工程(a’)が、細胞の表面マーカーの発現の有無に基づいて行われる、請求項16に記載の方法。
  21. 細胞の表面マーカーが、多能性幹細胞が細胞表面に発現する未分化マーカーである、請求項20に記載の方法。
  22. 未分化マーカーが、アルカリフォスファターゼ、SSEA−3、SSEA−4、TRA−1−60およびTRA−1−81からなる群から選択される1以上の未分化マーカーである、請求項21に記載の方法。
  23. マイクロウェルを備えた面と培養面とを備えてなり、これら2つの面が向かい合うように配置された、閉鎖系培養容器。
  24. マイクロウェルが、その内周が底面に近づくほど小さくなる形状を有する、請求項23に記載の閉鎖系培養容器。
  25. マイクロウェルが、丸底、V底、U底または角取平面底を有する、請求項24に記載の閉鎖系培養容器。
  26. 整列した複数のマイクロウェルを備えた、請求項23〜25のいずれか一項に記載の閉鎖系培養容器。
  27. 工程(d’)が、請求項23〜26のいずれか一項に記載の閉鎖系培養容器を天地逆転させることにより行われる、請求項2に記載の方法。
  28. 請求項1〜22および27のいずれか一項に記載の方法を実施するための多能性幹細胞の全自動継代培養システム。
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