JP2022104813A - リプログラミング因子を導入された細胞の培養方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リプログラミング因子を導入された細胞の効率的な培養方法が求められている。【解決手段】本開示によれば、リプログラミング因子を導入された細胞を培養することと、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収した細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することと、を含む、リプログラミング因子を導入された細胞の培養方法が提供される。また、リプログラミング因子を導入された細胞を培養することと、リプログラミング因子を導入された細胞を継代せずに、多能性幹細胞とは異なる体細胞に誘導すること、を含む、リプログラミング因子を導入された細胞の培養方法が提供される。【選択図】図1
Description
本発明は、細胞技術に関し、リプログラミング因子を導入された細胞の培養方法に関する。
人工多能性幹(iPS)細胞とは、二つの特徴的な能力を有する細胞である。一つは、体を構成するあらゆる細胞へと変化することができる能力である。もう一つは、半永久的な増殖能を有することである。iPS細胞はこの二つの能力を有するため、自己の体細胞からiPS細胞を作製し、目的の体細胞へ変化させることで、拒絶反応のない移植治療へと応用することができる。そのためiPS細胞は、再生医療の有力な技術になると考えられている(例えば、特許文献1から4及び非特許文献1、2参照。)。従来、細胞にリプログラミング因子を導入し、iPS細胞に誘導する際には、顕微鏡等で観察しながら、幹細胞様コロニーをピペットでピックアップして継代している。
Nature 448, 313-317
Nature Biotechnol 26(3): 313-315, 2008.
リプログラミング因子を導入された細胞の効率的な培養方法が求められている。本発明は、リプログラミング因子を導入された細胞の効率的な培養方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の態様によれば、リプログラミング因子を導入された細胞を培養することと、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収した細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することと、を含む、リプログラミング因子を導入された細胞の培養方法が提供される。回収された全ての細胞は、混じり合っていてもよい。
上記の方法において、継代することにおいて、細胞をクローニングしなくともよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞が形成する複数のコロニーを互いに分離することを含まなくともよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞が形成する単一のコロニーをクローニングすることを含まなくともよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞が形成するコロニーをピックアップすることを含まなくともよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞であって、培養器に付着している全ての細胞を回収し、回収した細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代してもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞を遺伝子発現状態で区別することなく継代してもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞をリプログラミングの程度で区別することなく継代してもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞を二次元培養で拡大培養することをさらに含んでもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞を三次元培養で拡大培養することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞から幹細胞を樹立することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞を凍結することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞を、内胚葉系、中胚葉系、及び外胚葉系から選択される少なくとも1つに分化させることをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞から胚様体、オルガノイド、及びスフィアから選択される少なくとも1つを形成することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞を多能性幹細胞とは異なる体細胞に誘導することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、体細胞に誘導する処理をした後、処理された細胞をクローニングすることをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞に遺伝子編集処理をすることをさらに含んでいてもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞が、血液細胞又は線維芽細胞由来であってもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入される細胞が、尿に含まれる細胞であってもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入される細胞が、膀胱上皮細胞であってもよい。
上記の方法が、尿からリプログラミング因子を導入される細胞を収集することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞が、複数のヒト又は複数の非ヒト動物由来であってもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞を閉鎖された培養器内で培養してもよい。
上記の方法において、継代時に、低濃度で播種してもよい。
上記の方法において、低濃度が、0.25×104cells/cm2以下であってもよい。
上記の方法において、低濃度が、播種した11個以上の細胞同士が接触しない濃度であってもよい。
上記の方法において、低濃度が、5%以下コンフルエントであってもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子がRNAであってもよい。
上記の方法において、細胞にリポフェクション法によりリプログラミング因子を導入してもよい。
上記の方法において、細胞にウイルスベクターを用いてリプログラミング因子を導入してもよい。
上記の方法において、ウイルスベクターがRNAウイルスベクターであってもよい。
上記の方法において、RNAウイルスベクターがセンダイウイルスベクターであってもよい。
また、本発明の態様によれば、リプログラミング因子を導入された細胞を培養することと、リプログラミング因子を導入された細胞を継代せずに、多能性幹細胞とは異なる体細胞に誘導すること、を含む、リプログラミング因子を導入された細胞の培養方法が提供される。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞を二次元培養で拡大培養することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞を三次元培養で拡大培養することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞を凍結することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞を、内胚葉系、中胚葉系、及び外胚葉系から選択される少なくとも1つに分化させることをさらに含んでいてもよい。
上記の方法が、リプログラミング因子を導入された細胞に遺伝子編集処理をすることをさらに含んでいてもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞が、血液細胞又は線維芽細胞由来であってもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞が、複数のヒト又は複数の非ヒト動物由来であってもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子を導入された細胞を閉鎖された培養器内で培養してもよい。
上記の方法において、リプログラミング因子がRNAであってもよい。
上記の方法において、細胞にリポフェクション法によりリプログラミング因子を導入してもよい。
上記の方法において、細胞にウイルスベクターを用いてリプログラミング因子を導入してもよい。
上記の方法において、ウイルスベクターがRNAウイルスベクターであってもよい。
上記の方法において、RNAウイルスベクターがセンダイウイルスベクターであってもよい。
本発明によれば、リプログラミング因子を導入された細胞の効率的な培養方法を提供可能である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお以下の示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部材の組み合わせ等を下記のものに特定するものではない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
実施形態に係るリプログラミング因子を導入された細胞の培養方法は、リプログラミング因子を導入された細胞を培養することと、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収した細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することと、を含む。リプログラミング因子を導入された細胞は、例えば、多能性幹細胞に誘導される。多能性幹細胞は、例えば、iPS細胞である。
リプログラミング因子を導入される細胞は特に限定されないが、例としては、繊維芽細胞、血液細胞、歯髄幹細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、口腔上皮細胞、及び体性幹前駆細胞等が挙げられる。リプログラミング因子を導入される細胞は、尿に含まれる細胞であってもよい。尿に含まれる細胞の例としては、膀胱上皮細胞が挙げられる。リプログラミング因子を導入される細胞は、ヒト由来であってもよいし、非ヒト動物由来であってもよい。リプログラミング因子を導入される細胞は、一人のヒト由来であってもよいし、複数人のヒト由来であってもよい。リプログラミング因子を導入される細胞は、一匹の非ヒト動物由来であってもよいし、複数匹の非ヒト動物由来であってもよい。
血液細胞は、血液から分離される。血液は、例えば末梢血及び臍帯血であるが、これらに限定されない。血液は、成年から採取されてもよいし、未成年から採取されてもよい。採血の際には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヘパリン、及び生物学的製剤基準血液保存液A液(ACD-A)液等の抗凝固剤を用いる。
血液細胞は、例えば、単核球細胞(Monocyte)、好中球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、及びリンパ球等の有核細胞であり、赤血球、顆粒球、及び血小板を含まない。血液細胞は、例えば血管内皮前駆細胞、血液幹・前駆細胞、T細胞、又はB細胞であってもよい。T細胞は、例えばαβT細胞である。
単核球細胞は、血液細胞の分離用媒体、及び遠心分離装置等を用いて、血液から分離される。血液細胞の分離用媒体としてFicoll(GEヘルスケア)を使用する場合の、単核球細胞の分離方法は、以下のとおりである。
低温では単核球細胞の分離精度が悪くなる傾向にあるため、遠心機を4℃から42℃好ましくは18℃に設定する。成年又は未成年のヒトから10μLから50mLの血液を採血し、血液が固まらないように血液にEDTAを含むキレート剤を加えて優しく混ぜる。また、ヒトリンパ球分離用の媒体(Ficoll-Paque PREMIUM、GEヘルスケアジャパン)を5mLずつ2本の15mLチューブに分注する。5mLの血液に対して5mLのPBSを加えて希釈し、チューブ中のヒトリンパ球分離用の媒体の上に5mLずつ重層する。この時、界面を乱さないように、希釈血液をチューブの管壁を伝わらせてゆっくりと媒体上に加える。
チューブ中の溶液を、10×gから1000×g、好ましくは400×gで、4℃から42℃好ましくは18℃で5分から2時間、好ましくは30分間遠心する。遠心後、チューブ中に白く濁った中間層が現れる。この白く濁った中間層は、単核球細胞を含んでいる。チューブ中の白く濁った中間層をピペットマンでゆっくりと回収し、新しい15mLチューブに移す。この際、下層は吸い取らないようにする。白く濁った中間層は、1本のチューブより1mL程度回収できる。2本分の中間層をまとめて1本のチューブに移す。
回収した単核球細胞に対し、1mLから48mL、好ましくは12mLのPBSを加えて、溶液をさらに10×gから1000×g、好ましくは200×g、4℃から42℃、好ましくは18℃で1分から60分、好ましくは10分間遠心する。その後、アスピレータを用いて溶液の上清を吸引して除去し、1mLから12mL、好ましくは3mLの既知組成無血清造血細胞培地(X-VIVO(登録商標)10、ロンザ)を加えて懸濁し、単核球細胞懸濁液を得る。そのうち10μLの単核球細胞懸濁液をトリパンブルーで染色して血球計算盤でカウントする。
採血管としてバキュテイナ(登録商標、BD)を使用する場合の、単核球細胞の分離方法は、以下のとおりである。
低温では単核球細胞の分離精度が悪くなる傾向にあるため、遠心機を4℃から42℃、好ましくは18℃に設定する。成年又は未成年のヒトから、採血管(バキュテイナ(登録商標)、BD)を用いて8mL採血し、転倒混和して抗凝固剤と混和する。その後、バランスを調整し、溶液を4℃から42℃、好ましくは18℃、100×gから3000×g、好ましくは1500×gから1800×gでスイングロータで1分から60分、好ましくは20分間遠心する。遠心後、血漿層である上層を取り除き、ピペッティングして単核球層とゲルに張り付いている血球を懸濁して懸濁液を得る。得られた懸濁液を、別の15mLチューブに移す。
15mLチューブの懸濁液に1mLから14mL、好ましくは12mLのPBSを加えて、懸濁液を4℃から42℃、好ましくは18℃、100×gから3000×g、好ましくは200×gで1分から60分、好ましくは5分間遠心する。遠心後、上清をアスピレータで除去する。また、溶血剤(PharmLyse(登録商標)、10倍濃度、BD)を滅菌水で1倍濃度に希釈する。15mLチューブ中のペレットをタッピングでほぐし、1mLから14mL、好ましくは1mLの溶血剤を加える。その後、室温で遮光し、1分間から60分間、好ましくは1分間溶液を静置する。
次に、15mLチューブに1mLから14mL、好ましくは12mLのPBSを加えて、4℃から42℃、好ましくは室温で、100×gから3000×g、好ましくは200×gで、1分から60分、好ましくは5分間遠心する。遠心後、上清をアスピレータで除去し、1mLから15mL、好ましくは3mLの既知組成無血清造血細胞培地(X-VIVO(登録商標)10、ロンザ)を加えて懸濁し、単核球細胞懸濁液を得る。そのうち10μLの単核球細胞懸濁液をトリパンブルーで染色して血球計算盤でカウントする。
血液から単核球細胞を分離する方法は、上記の方法に限られず、例えば、透析膜を使用して、血液から単核球を分離してもよい。また、全血単核球濃縮用ピュアセルセレクトシステム(登録商標、PALL)、血球細胞除去用浄化器(セルソーバE、登録商標、旭化成)、及び血小板製剤用白血球除去フィルター(セパセルPL、登録商標、PLX-5B-SCD、旭化成)等のフィルターも使用可能である。
単核球細胞は、赤血球を重力沈降又は遠心分離することにより有核細胞を分離することが可能な赤血球分離剤を用いて分離されてもよい。赤血球分離剤の例としては、HetaSep(登録商標、STEMCELL Technologies)及びHES40(NIPRO)が挙げられる。
また、単核球細胞としては、Cellular Technology Limited社から販売されているCTL-UP1や、Sanguine Biosciences社のPBMC-001等を使用してもよい。
あるいは、血液細胞としては、セルバンカー1、ステムセルバンカー GMPグレード、及びステムセルバンカー DMSOフリー GMPグレード(ゼノアック)等の細胞凍結保存液を用いて凍結保存された血液細胞を解凍して用いてもよい。
単核球細胞を解凍する際には、まず、15mLチューブに1mLから15mL、好ましくは8mLの既知組成無血清造血細胞培地(X-VIVO(登録商標)10、ロンザ)を入れておき、凍結した単核球細胞の入ったチューブを4℃から42℃、好ましくは37℃の温浴槽にいれて、単核球細胞を溶かし始める。その後、少し氷が残っている状態で、単核球細胞の入ったチューブを温浴槽から引きあげ、単核球細胞を既知組成無血清造血細胞培地の入ったチューブに移す。そのうち10μLの単核球細胞懸濁液をトリパンブルーで染色して血球計算盤でカウントする。
血液細胞は、細胞表面マーカーに基づいて分離されてもよい。血液幹・前駆細胞は、CD34が陽性である。T細胞は、CD3、CD4、CD8のいずれかが陽性である。B細胞は、CD10、CD19、CD20のいずれかが陽性である。マクロファージはCD11b、CD68、CD163のいずれかが陽性である。血液幹・前駆細胞、T細胞、又はB細胞は、例えば、自動磁気細胞分離装置及び免疫磁気ビーズを用いて、血液細胞から分離される。あるいは、予め分離された単核球細胞を用意してもよい。ただし、細胞表面マーカーに基づいて分離されていない血液細胞を用いてもよい。
CD34陽性細胞は、幹・前駆細胞であり、リプログラミングされやすい傾向にある。また、CD3陽性細胞であるT細胞を用いてiPS細胞を作製すると、T細胞由来のiPS細胞はTCRリコンビネーションの型を保持しているので、T細胞に効率的に分化誘導できる傾向にある。
CD34陽性細胞の分離方法は、以下のとおりである。
10mLの無血清培地(StemSpan H3000、STEMCELLTechnologies)に、10μLのIL-6(100μg/mL)、10μLのSCF(300μg/mL)、10μLのTPO(300μg/mL)、10μLのFLT3リガンド(300μg/mL)、及び10μLのIL-3(10μg/mL)を加えて血球培地(血液幹・前駆細胞培地)を調製する。
6ウェルプレートの1ウェルに1mLから6mL、好ましくは2mLの血球培地を入れる。また、培地の蒸発を防ぐために、他の5ウェルのそれぞれに1mLから6mL、好ましくは2mLのPBSを入れる。その後、6ウェルプレートを4℃から42℃、好ましくは37℃のインキュベーターに入れて温める。
20mLのPBSに対し、10μLから1mL、好ましくは80μLのEDTA(500mmol/L)及び10μLから1mL、好ましくは200μLのFBSを加えたカラムバッファを用意する。1×104から1×109個、好ましくは2×107個の単核球細胞を含有する単核球細胞懸濁液を15mLチューブに分注し、単核球細胞懸濁液を、4℃から42℃、好ましくは4℃、100×gから3000×g、好ましくは300×gで10分間遠心する。遠心後、上清を除き、単核球細胞を100μLから1mL、好ましくは300μLのカラムバッファで懸濁する。
15mLチューブ中の単核球細胞懸濁液に、10μLから1mL、好ましくは100μLのFcRブロッキング試薬(Miltenyi Biotec)及び10μLから1mL、好ましくは100μLのCD34マイクロビーズキット(Miltenyi Biotec)を加える。FcRブロッキング試薬は、マイクロビーズ標識の特異性を高めるために用いられる。その後、単核球細胞懸濁液を混和して、4℃から42℃、好ましくは4℃で1分から2時間、好ましくは30分間静置する。
次に、15mLチューブ中の単核球細胞懸濁液に1mLから15mL、好ましくは10mLのカラムバッファを加えて希釈し、4℃から42℃、好ましくは4℃、100×gから1000×g、好ましくは300×gで1分から2時間、好ましくは10分間遠心する。遠心後、15mLチューブ中の上清をアスピレータで除き、10μLから10mL、好ましくは500μLのカラムバッファを加えて再懸濁する。
自動磁気細胞分離装置用のカラム(MSカラム、Miltenyi Biotec)を自動磁気細胞分離装置(MiniMACS Separation Unit、Miltenyi Biotec)に取り付け、カラムに10μLから10mL、好ましくは500μLのカラムバッファを入れて洗浄する。次に、単核球細胞をカラムに入れる。さらに、カラムに10μLから10mL、好ましくは500μLのカラムバッファを入れて、カラムを1回から10回、好ましくは3回洗浄する。その後、カラムを自動磁気細胞分離装置から外し、15mLチューブに入れる。次に、カラムに10μLから10mL、好ましくは1000μLのカラムバッファを入れ、速やかにシリンジを押してCD34陽性細胞を15mLチューブに流出させる。
10μLのCD34陽性細胞懸濁液をトリパンブルーで染めて、細胞数を血球計算版でカウントする。また、15mLチューブ中のCD34陽性細胞懸濁液を、4℃から42℃、好ましくは4℃、100×gから1000×g、好ましくは300×gで1分から2時間、好ましくは10分間遠心する。遠心後、上清をアスピレータで除く。さらに、温めておいた血球培地でCD34陽性細胞を再懸濁し、CD34陽性細胞を培養プレートにまく。その後、4℃から42℃、好ましくは37℃、1%から20%、好ましくは5%CO2でCD34陽性細胞を6日間培養する。この間、培地交換はしなくてもよい。
CD34以外のマーカーで細胞を単離する方法は、CD34陽性細胞を単離する方法と同様である。
細胞に導入されるリプログラミング因子は、例えば、RNAである。RNAは、例えば、mRNAである。細胞に導入されるリプログラミング因子は、例えば、OCT3/4等のOCTのmRNA、SOX2等のSOXのmRNA、KLF4等のKLFのmRNA、及びc-MYC等のMYCのmRNAを含む。リプログラミング因子RNAとして、OCT3/4を改良したM3Oを使用してもよい。また、リプログラミング因子RNAは、LIN28A、FOXH1、LIN28B、GLIS1、p53-dominant negative、p53-P275S、L-MYC、NANOG、DPPA2、DPPA4、DPPA5、ZIC3、BCL-2、E-RAS、TPT1、SALL2、NAC1、DAX1、TERT、ZNF206、FOXD3、REX1、UTF1、KLF2、KLF5、ESRRB、miR-291-3p、miR-294、miR-295、NR5A1、NR5A2、TBX3、MBD3sh、TH2A、TH2B、及びP53DDからなる群から選択される少なくとも一つの因子のmRNAをさらに含んでいてもよい。これらのmRNAは、TriLinkから入手可能である。なお、ここでは遺伝子記号はヒトで記載しているが、大文字・小文字表記によって、種を制限することを意図するものではない。例えば、全て大文字表記していても、マウス又はラットの遺伝子を含むことを排除するものではない。ただし、実施例においては、実際に使用した生物種に則って、遺伝子記号を表記している。
p53は、ガン抑制タンパク質である。p53のドミナントネガティブ変異体は、体細胞に内在する野生型p53タンパク質と競合的に作用して、野生型p53タンパク質の機能を阻害し得る限り特に限定されない。p53のドミナントネガティブ変異体の例としては、マウスp53のDNA結合領域に位置する275位(ヒトの場合は278位)のプロリンをセリンに点変異させたp53P275S、マウスp53の14-301位(ヒトp53では11-304位に対応)のアミノ酸を欠失させたp53DD、マウスp53の58位(ヒトの場合は61位)のセリンをアラニンに点変異させたp53S58A、ヒトp53の135位(マウスの場合は132位)のシステインをチロシンに点変異させたp53C135Y、マウスp53の135位(ヒトの場合は138位)のアラニンをバリンに点変異させたp53A135V、マウスp53の172位(ヒトの場合は175位)のアルギニンをヒスチジンに点変異させたp53R172H、マウスp53の270位(ヒトの場合は273位)のアルギニンをヒスチジンに点変異させたp53R270H、及びマウスp53の278位(ヒトの場合は281位)のアスパラギン酸をアスパラギンに点変異させたp53D278Nが挙げられる。
mRNAは、プソイドウリジン(Ψ)又は5-メチルウリジン(5meU)で修飾されていてもよい。mRNAは、ポリアデニル化されていてもよい。
細胞に導入されるRNAは、例えば、1本鎖RNAであり、2本鎖RNAが実質的に除去されている。また、細胞に導入されるRNAは、短鎖RNA及び夾雑物等の不純物が実質的に除去されていることが好ましい。2本鎖RNAを実質的に除去するために、細胞に導入する1本鎖RNAを、精製及び/又は濃縮してもよい。細胞に導入する1本鎖RNAを精製する方法としては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いる精製方法が挙げられる。例えば、HPLCによって、2本鎖RNAが、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、あるいは90%以上除去される。あるいは、2本鎖RNAを実質的に除去するために、細胞に導入するRNAを、2本鎖RNAを分解するリボヌクレアーゼで処理してもよい。
細胞に導入されるRNAは、OCT3/4のRNAの完全長に直接接続されたMYODの転写活性化ドメイン(TAD)のRNAをさらに含んでいてもよい。
リプログラミング因子は、例えば、リポフェクション法により細胞に導入される。リポフェクション法とは、陰性荷電物質である核酸と、陽性荷電脂質と、の複合体を、電気的な相互作用により形成し、複合体をエンドサイトーシスや膜融合により細胞内に取り込ませる方法である。リポフェクション法は、細胞へのダメージが少なく、導入効率に優れており、操作が簡便であり、時間がかからない等の利点を有する。
リプログラミング因子は、例えば、RNAトランスフェクション試薬を用いて培養されている細胞に導入される。例えば、細胞が単核球である場合、血液から単核球を分離した直後に、単核球にRNAを導入してもよい。
RNAトランスフェクション試薬としては、Lipofectamine MessengerMAX(登録商標、Thermo Fisher SCIENTIFIC)が使用可能である。あるいは、RNAトランスフェクション試薬としては、例えば、Lipofectamine(登録商標)RNAiMAX(Thermo Fisher SCIENTIFIC)、Lipofectamine StemTransfection Reagent(Thermo Fisher SCIENTIFIC)、TransIT(Mirus)、mRNA-In(MTI-GlobalStem)、Stemfect RNA Transfection Kit (ReproCELL)、Jet Messenger (Polyplus)、Lipofectamin(登録商標)2000、Lipofectamin(登録商標)3000、NeonTransfection System(Thermo Fisher SCIENTIFIC)、Stemfect RNA transfection reagent(Stemfect)、NextFect(登録商標)RNA Transfection Reagent(BiooSientific)、Amaxa(登録商品)Human T cell Nucleofector(登録商品)kit(Lonza社、VAPA-1002)、Amaxa(登録商品)Human CD34 cell Nucleofector(登録商品)kit(Lonza社、VAPA-1003)、及びReproRNA(登録商標)トランスフェクション試薬(STEMCELL Technologies)等のリポフェクション試薬を利用してもよい。
あるいは、細胞には、例えば、ウイルスベクターを用いてリプログラミング因子を導入する。ウイルスベクターは、RNAウイルスベクターであってもよい。RNAウイルスベクターは、センダイウイルスベクターであってもよい。センダイウイルスベクターは、所定の温度以上でウイルス核酸の安定性が低下する温度感受性センダイウイルスベクターであってもよい。温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸は、所定の温度未満で安定である。ウイルス核酸は、ウイルスDNAであってもよいし、ウイルスRNAであってもよい。ウイルス核酸はウイルスゲノムであってもよい。ウイルス核酸の安定性の低下とは、ウイルス核酸が分解すること、及びウイルス核酸の複製又は増殖が抑制されることと、の少なくとも一方であってもよい。ウイルス核酸の安定性が低下すると、ウイルス核酸の増殖、ウイルス核酸の複製速度及び遺伝子発現レベルの少なくとも一方が低下する。所定の温度とは、例えば、36.5℃以上37.5℃以下、36.6℃以上37.4℃以下、36.7℃以上、37.3℃以下、36.8℃以上37.2℃以下、36.9℃以上37.1℃以下、あるいは37℃である。温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸の安定性、すなわち、増殖、複製速度及び遺伝子発現レベルの少なくとも一方は、所定の温度未満で高く、所定の温度以上で低くなる。例えば、温度感受性センダイウイルスベクターは、32℃で培養されている細胞における増殖速度又は遺伝子発現レベルと比較して、37℃で培養されている細胞における増殖速度又は遺伝子発現レベルが、1/2以下、1/3以下、1/5以下、1/10以下、あるいは1/20以下である。
センダイウイルスは、N遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F/HN遺伝子、及びL遺伝子をコードする。HNタンパク質は、センダイウイルスが細胞に付着する際に細胞表面のシアル酸を認識してウイルス粒子を細胞に繋留させる。Fタンパク質は、細胞外のプロテアーゼにより切断活性化されて、繋留されているセンダイウイルスのエンベロープと標的細胞の細胞膜の融合を触媒して感染を成立させる。Lタンパク質は、その修飾タンパク質であるPタンパク質とともに、感染後に細胞質でウイルス核酸の複製と複製された多コピーの核酸からの転写を触媒する。
センダイウイルスベクターにおいてF遺伝子を欠失させることにより、遺伝子導入細胞から感染可能なウイルス粒子が産生されることを抑制することが可能である。また、L遺伝子及びP遺伝子の少なくとも一方に変異を導入することにより、センダイウイルスベクターを温度感受性にすることが可能である。
センダイウイルスの温度感受性(TS)変異の例としては、TS7(Lタンパク質のY942H/L1361C/L1558I変異)、TS12(Pタンパク質のD433A/R434A/K437A変異)、TS13(Pタンパク質のD433A/R434A/K437A変異及びLタンパク質のL1558I変異)、TS14(Pタンパク質のD433A/R434A/K437A変異及びLタンパク質のL1361C変異)、TS15(Pタンパク質のD433A/R434A/K437A変異及びLタンパク質のL1361C/L1558I変異)等が挙げられる。
センダイウイルスベクターは、例えば、Mタンパク質にG69E、T116A、及びA183Sの変異を有し、HNタンパク質にA262T、G264R、及びK461Gの変異を有し、Pタンパク質にL511F変異を有し、Lタンパク質にN1197S及びK1795E変異を有するF遺伝子欠失(ΔF)型センダイウイルスベクターであって、上記のTS7、TS12、TS13、TS14、又はTS15の変異を導入したセンダイウイルスベクターである。ただし、センダイウイルスベクターの温度感受性変異は、これらに限定されない。
センダイウイルスベクターは、例えば、SeV(PM)/TSΔF、SeV18+/TSΔF、又はSeV(HNL)/TSΔFであって、上記のTS7、TS12、TS13、TS14、又はTS15の変異を導入したセンダイウイルスベクターである。ただし、センダイウイルスベクターの温度感受性変異は、これらに限定されない。
細胞に導入されるセンダイウイルスベクターは、温度感受性センダイウイルスベクターと温度非感受性センダイウイルスベクターとの組み合わせであってもよい。あるいは、細胞に導入されるセンダイウイルスベクターは、温度感受性センダイウイルスベクターのみであり、温度非感受性センダイウイルスベクターを含まなくともよい。例えば、細胞に導入されるセンダイウイルスベクターは、TS7、TS12、TS13、TS14、又はTS15の変異を導入した温度感受性センダイウイルスベクターのみであり、温度非感受性センダイウイルスベクターを含まなくともよい。例えば、細胞に導入されるセンダイウイルスベクターは、TS7、TS12、TS13、TS14、又はTS15の変異を導入した温度感受性センダイウイルスベクターと同じ以上温度感受性を有するセンダイウイルスベクターのみであり、温度非感受性センダイウイルスベクターを含まなくともよい。例えば、細胞に導入されるセンダイウイルスベクターは、TS7、TS12、TS13、TS14、又はTS15の変異を導入した温度感受性センダイウイルスベクターと同じ以上温度感受性を有するセンダイウイルスベクターのみであり、TS7、TS12、TS13、TS14、又はTS15の変異を導入した温度感受性センダイウイルスベクターより温度感受性が低いセンダイウイルスベクターを含まなくともよい。
細胞に導入されるセンダイウイルスベクターは、任意のリプログラミング因子を搭載する。細胞に導入されるセンダイウイルスベクターは、例えば、KLFのmRNA、OCTのmRNA、及びSOXのmRNAをこの順序で含み、MYCのmRNAを含まない温度感受性センダイウイルスベクターと、MYCのmRNAを含み、KLFのmRNA、OCTのmRNA、及びSOXのmRNAを含まない温度感受性センダイウイルスベクターと、の組み合わせである。ただし、センダイウイルスベクターに搭載するリプログラム因子の数、組み合わせ、及び順序は任意であり、特に限定されない。
細胞に導入されるセンダイウイルスベクターは、KLFのmRNAを含み、OCTのmRNA及びSOXのmRNAを含まないセンダイウイルスベクターを含んでいてもよい。KLFのmRNAを含み、OCTのmRNA及びSOXのmRNAを含まないセンダイウイルスベクターは、温度感受性センダイウイルスベクターであってもよいし、温度非感受性センダイウイルスベクターであってもよい。ただし、本発明者らの知見によれば、温度非感受性センダイウイルスベクターを導入しないほうが、センダイウイルスベクターを導入された細胞から早期にセンダイウイルスベクターが消滅する。
KLFのmRNA、OCTのmRNA、及びSOXのmRNAを含む温度感受性センダイウイルスベクターは、例えば、Mタンパク質にG69E、T116A、及びA183Sの変異を有し、HNタンパク質にA262T、G264R、及びK461Gの変異を有し、Pタンパク質にL511F変異を有し、Lタンパク質にN1197S及びK1795E変異を有するF遺伝子欠失型センダイウイルスベクターであって、上記のTS7、TS12、TS13、TS14、又はTS15の変異を有するセンダイウイルスベクターである。温度感受性変異は、例えばTS7又はTS12、あるいはTS12である。
KLFのmRNA、OCTのmRNA、及びSOXのmRNAを含む温度感受性センダイウイルスベクターは、例えば、SeV(PM)KOS/TS7ΔF又はSeV(PM)KOS/TS12ΔFであり、あるいはSeV(PM)KOS/TS12ΔFである。
MYCのmRNAを含む温度感受性センダイウイルスベクターは、例えば、Mタンパク質にG69E、T116A、及びA183Sの変異を有し、HNタンパク質にA262T、G264R、及びK461Gの変異を有し、Pタンパク質にL511F変異を有し、Lタンパク質にN1197S及びK1795E変異を有するF遺伝子欠失型センダイウイルスべクターであって、上記のTS7、TS12、TS13、TS14、又はTS15の変異を有するセンダイウイルスベクターである。温度感受性変異は、例えばTS15である。
MYCのmRNAを含む温度感受性センダイウイルスベクターは、例えば、SeV(HNL)MYC/TS12ΔF、SeV(HNL)MYC/TS13ΔF、又はSeV(HNL)MYC/TS15ΔFであり、あるいはSeV(HNL)MYC/TS15ΔFである。
KLFのmRNAを含み、OCTのmRNA及びSOXのmRNAを含まないセンダイウイルスベクターは、例えば、Mタンパク質にG69E、T116A、及びA183Sの変異を有し、HNタンパク質にA262T、G264R、及びK461Gの変異を有し、Pタンパク質にL511F変異を有し、Lタンパク質にN1197S及びK1795E変異を有するF遺伝子欠失型センダイウイルスベクターである。KLFのmRNAを含み、OCTのmRNA及びSOXのmRNAを含まないセンダイウイルスベクターは、例えば、上記のTS7、TS12、TS13、TS14、又はTS15の変異を導入したセンダイウイルスベクターより温度感受性が弱く、所定の温度以上でもKLF遺伝子を発現可能である。
KLFのmRNAを含み、OCTのmRNA及びSOXのmRNAを含まないセンダイウイルスベクターは、例えば、SeV18+KLF4/TSΔFである。
複数種類のセンダイウイルスベクターを細胞に導入する際には、例えば、複数種類のセンダイウイルスベクターを同時に細胞に導入する。あるいは、ある種類のセンダイウイルスベクターを細胞に導入してから、48時間以内、36時間以内、24時間以内、18時間以内、12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内、3時間以内、2時間以内、あるいは1時間以内に、全ての種類のセンダイウイルスベクターを細胞に導入することが好ましい。
細胞を感染させる際のセンダイウイルスベクターの感染多重度(MOI)は、例えば、0.1以上、0.3以上、0.5以上、1.0以上、2.0以上、3.0以上、4.0以上、又は5.0以上である。また、MOIは、例えば、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、又は5以下である。
細胞をセンダイウイルスベクターに感染させる際の温度は、温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸の安定性が低下する所定の温度未満、つまり、温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸が安定である温度であってもよいし、所定の温度以上であってもよい。センダイウイルスベクターが温度感受性センダイウイルスベクターのみであり、温度非感受性センダイウイルスベクターを含まない場合、細胞をセンダイウイルスベクターに感染させる際の温度は、温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸の安定性が低下する所定の温度より低い温度、つまり、温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸が安定である温度であることが好ましい。
リプログラミング因子を導入される細胞は、接着培養されていてもよいし、浮遊培養されていてもよい。
リプログラミング因子を導入される体細胞は、Matrigel(Corning)、CELLstart(登録商標、ThermoFisher)、Laminin511(iMatrix-511、nippi)、ファイブロネクチン、及びビトロチン等の基底膜マトリックスを用いて、フィーダーフリーで培養されていてもよい。
リプログラミング因子を導入される細胞が培養される培地としては、例えば、Primate ES Cell Medium(ReproCELL)等のヒトES/iPS培地等の幹細胞培地を使用可能である。
ただし、幹細胞培地は、これに限定されず、種々の幹細胞培地が使用可能である。例えばPrimate ES Cell Medium、Reprostem、ReproFF、ReproFF2、ReproXF(Reprocell)、mTeSR1、TeSR2、TeSRE8、ReproTeSR(STEMCELL Technologies)、PluriSTEM(登録商標)Human ES/iPS Medium(Merck)、NutriStem (登録商標)XF/FF Culture Medium for Human iPS and ES Cells、Pluriton reprogramming medium(Stemgent)、PluriSTEM(登録商標)、Stemfit AK02N、Stemfit AK03(Ajinomoto)、ESC-Sure(登録商標)serum and feeder free medium for hESC/iPS(Applied StemCell)、L7(登録商標)hPSC Culture System (LONZA)、及びPluriQ(MTI-GlobalStem)等を利用してもよい。幹細胞培地は、例えば、ディッシュ、ウェル、又はチューブ等の培養器に入れられる。
細胞を浮遊培養あるいは三次元培養する場合、例えば、ゲル培地が使用される。ゲル培地は、例えば、幹細胞培地にジェランガムを終濃度が0.001質量%から0.5質量%、0.005質量%から0.1質量%、あるいは0.01質量%から0.05質量%となるよう添加することにより調製される。
ゲル培地は、ジェランガム、ヒアルロン酸、ラムザンガム、ダイユータンガム、キサンタンガム、カラギーナン、フコイダン、ペクチン、ペクチン酸、ペクチニン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ヘパリチン硫酸、ケラト硫酸、コンドロイチン硫酸、デルタマン硫酸、ラムナン硫酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種の高分子化合物を含んでいてもよい。また、ゲル培地は、メチルセルロースを含んでいてもよい。メチルセルロースを含むことにより、細胞同士の凝集がより抑制される。
あるいは、ゲル培地は、poly(glycerol monomethacrylate) (PGMA)、poly(2-hydroxypropyl methacrylate) (PHPMA)、Poly (N-isopropylacrylamide) (PNIPAM)、amine terminated、carboxylic acid terminated、maleimide terminated、N-hydroxysuccinimide (NHS) ester terminated、triethoxysilane terminated、Poly (N-isopropylacrylamide-co-acrylamide)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-acrylic acid)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-butylacrylate)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-methacrylic acid)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-methacrylic acid-co-octadecyl acrylate)、及びN-Isopropylacrylamideから選択される少なくの温度感受性ゲルを含んでいてもよい。
ゲル培地は、例えば、basic fibroblast growth factor(bFGF)等の成長因子を含んでいてもよいし、含まなくともよい。あるいは、ゲル培地は、bFGF等の成長因子を、400μg/L以下、40μg/L以下、あるいは10μg/L以下の低濃度で含んでいてもよい。
また、ゲル培地は、TGF-βを含んでいてもよいし、含まないか、TGF-βを600μg/L以下、300μg/L以下、あるいは100μg/L以下の低濃度で含んでいてもよい。
ゲル培地は、撹拌されなくともよい。また、ゲル培地は、フィーダー細胞を含まなくともよい。
ゲル培地は、カドヘリン、ラミニン、フィブロネクチン、及びビトロネクチンからなる群から選択される少なくとも1種の物質を含んでいてもよい。
細胞をセンダイウイルスベクターに感染させた後、少なくとも2日、あるいは2日以上10日以下、温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸の安定性が低下する所定の温度より低い温度、つまり、温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸が安定である温度で細胞を培養してもよい。その後、所定の温度以上で細胞を培養してもよい。所定の温度以上で細胞を培養する間、例えば2日に1回、培地を交換してもよい。
細胞をセンダイウイルスベクターに感染させた後、少なくとも2日、あるいは2日以上10日以下、例えば、4.0℃以上、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25℃以上、30℃以上、31.0℃以上、32.0℃以上、33.0℃以上、33.1℃以上、33.2℃以上、33.3℃以上、33.4℃以上、33.5℃以上、33.6℃以上、33.7℃以上、33.8℃以上、あるいは33.9℃以上であり、37.0℃未満、36.9℃未満、36.8℃未満、36.7℃未満、36.6℃未満、36.5℃未満、36.0℃以下、35.0℃以下、あるいは34.0℃以下の温度で細胞を培養してもよい。その後、温度を上昇させ、36.5℃以上、36.6℃以上、36.7℃以上、36.8℃以上、36.9℃以上、あるいは37.0℃以上であり、40.0℃以下、39.0℃以下、あるいは38.0℃以下の温度で細胞を培養してもよい。温度は1回で上げてもよいし、段階的に上げてもよい。温度を上昇させた後、細胞を培養する間、例えば2日に1回、培地を交換してもよい。
細胞をセンダイウイルスベクターに感染させた後、幹細胞様のコロニーが現れ始めるまで、温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸の安定性が低下する所定の温度未満、つまり、温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸が安定である温度で細胞を培養してもよい。幹細胞様のコロニーが現れ始めた後、所定の温度以上で細胞を培養してもよい。所定の温度以上で細胞を培養する間、例えば2日に1回、培地を交換してもよい。
細胞をセンダイウイルスベクターに感染させた後、幹細胞様のコロニーが現れ始めるまで、例えば、4.0℃以上、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25℃以上、30℃以上、31.0℃以上、32.0℃以上、33.0℃以上、33.1℃以上、33.2℃以上、33.3℃以上、33.4℃以上、33.5℃以上、33.6℃以上、33.7℃以上、33.8℃以上、あるいは33.9℃以上であり、37.0℃未満、36.9℃未満、36.8℃未満、36.7℃未満、36.6℃未満、36.5℃未満、36.0℃以下、35.0℃以下、あるいは34.0℃以下の温度で細胞を培養してもよい。幹細胞様のコロニーが現れ始めた後、温度を上昇させ、36.5℃以上、36.6℃以上、36.7℃以上、36.8℃以上、36.9℃以上、あるいは37.0℃以上であり、40.0℃以下、39.0℃以下、あるいは38.0℃以下の温度で細胞を培養してもよい。温度は1回で上げてもよいし、段階的に上げてもよい。温度を上昇させた後、細胞を培養する間、例えば2日に1回、培地を交換してもよい。
細胞にリプログラミング因子を導入し、細胞を培養した後、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種する継代を少なくとも1回実行する。その後、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することを、複数回実施してもよい。幹細胞が樹立するまで、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収した混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代してもよい。なお、回収した混じり合った細胞の全てを培地に播種してもよい。
ここで、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代するとは、例えば、リプログラミング因子を導入された細胞を、遺伝子発現状態で区別することなく継代することをいう。例えば、継代時に、リプログラミング因子を導入された細胞を、遺伝子発現状態で区別することなく、同じ培養器に播種してもよい。あるいは、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代するとは、例えば、リプログラミング因子を導入された細胞を、リプログラミングの程度で区別することなく継代することをいう。例えば、継代時に、リプログラミング因子を導入された細胞を、リプログラミングの程度で区別することなく、同じ培養器に播種してもよい。
あるいは、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代するとは、例えば、リプログラミング因子を導入された細胞を、形態で区別することなく継代することをいう。例えば、継代時に、リプログラミング因子を導入された細胞を、形態で区別することなく、同じ培養器に播種してもよい。あるいは、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代するとは、例えば、リプログラミング因子を導入された細胞を、大きさ区別することなく継代することをいう。例えば、継代時に、リプログラミング因子を導入された細胞を、大きさ区別することなく、同じ培養器に播種してもよい。
またあるいは、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代するとは、リプログラミング因子を導入された細胞をクローニングすることなく継代することをいう。例えば、クローニングすることなく継代する場合、リプログラミング因子を導入された細胞が形成するコロニーをピックアップしなくともよい。例えば、クローニングすることなく継代する場合、リプログラミング因子を導入された細胞が形成する複数のコロニーを互いに分離しなくともよい。例えば、継代時に、複数の異なるコロニーを形成した細胞同士を混合して、同じ培養器に播種してもよい。また、例えば、クローニングすることなく継代する場合、リプログラミング因子を導入された細胞が形成する単一のコロニーをクローニングしなくともよい。例えば、継代時に、コロニーどうしを混合して、同じ培養器に播種してもよい。
例えば、リプログラミング因子を導入された細胞が接着培養されている場合、接着培養されている全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代してもよい。例えば、継代時に、培養器から全ての細胞を剥離し、剥離して混じり合った細胞の少なくとも一部を同じ培養器に播種してもよい。例えば、剥離液で培養器から全ての細胞を剥がし、剥がして混じり合った細胞全体を継代してもよい。例えば、コロニーを形成していない細胞を継代してもよい。リプログラミング因子を導入された細胞が浮遊培養されている場合、浮遊培養されている細胞全体を継代してもよい。
リプログラミング因子を導入された細胞を継代する際、細胞は低濃度で培地あるいは培養器に播種される。ここで、低濃度とは、例えば、1cell/cm2以上であり、0.25×104cells/cm2以下、1.25×103cells/cm2以下、0.25×103cells/cm2以下、0.25×102cells/cm2以下、あるいは0.25×101cells/cm2以下である。あるいは、低濃度とは、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、あるいは2個以下の細胞同士が接触可能であり、11個以上の細胞同士が接触しない濃度である。なお、10個以下の細胞同士が接触した細胞塊が複数あってもよい。あるいは、細胞容器底面全体が細胞で覆われた状態を100%コンフルエントとして、低濃度とは、5%以下コンフルエント、4%以下コンフルエント、3%以下コンフルエント、2%以下コンフルエント、1%以下コンフルエント、0.5%以下コンフルエント、0.1%以下コンフルエント、0.05%以下コンフルエント、あるいは0.01%以下コンフルエントである。またあるいは、低濃度とは、例えば、播種された細胞においてシングルセル同士が接触しない濃度である。例えば、ウェルプレートのウェルに、シングルセルを播種してもよい。ウェルプレートは、12ウェルプレートや96ウェルプレートであってもよい。本発明者らの知見によれば、リプログラミング因子を導入された細胞を継代する際、低濃度で細胞を培地に播種することにより、細胞から誘導される多能性幹細胞におけるセンダイウイルスの残存を抑制することが可能である。誘導される多能性幹細胞において、センダイウイルスが残存する細胞の割合は、例えば4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下あるいは0%である。
温度感受性センダイウイルスベクターを用いた場合、継代後、温度感受性センダイウイルスベクターのウイルス核酸の安定性が低下する所定の温度以上で細胞を培養してよい。継代後、例えば、36.5℃以上38.0℃未満の温度で細胞を培養する。継代後、例えば、細胞間接着が開始するまで36.5℃以上38.0℃未満の温度で細胞を培養し、細胞間接着が開始した後、細胞間接着が開始するまでより高い温度、例えば、37.5℃以上であり、42.0℃以下、41.5℃以下、41.0℃以下、40.5℃以下、あるいは40.0℃以下の温度で細胞を培養してもよい。継代後、細胞間接着が開始する前から、37.5℃以上であり、42.0℃以下、41.5℃以下、41.0℃以下、40.5℃以下、あるいは40.0℃以下の温度で細胞を培養してもよい。
リプログラミング因子を導入された細胞は、閉鎖された培養器内で培養され、継代されてもよい。閉鎖された培養器は、例えば、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしない。また、リプログラミング因子を導入された細胞を二次元培養で拡大培養してもよいし、三次元培養で拡大培養してもよい。
リプログラミング因子を導入された細胞が多能性幹細胞に誘導され、多能性幹細胞が樹立された後、接着培養されている細胞全体を、多能性幹細胞として凍結保存してもよい。例えば、剥離液で培養器から剥がれた細胞全体を多能性幹細胞として凍結保存してもよい。また、リプログラミング因子を導入された細胞が多能性幹細胞に誘導された後、浮遊培養されている細胞全体を、多能性幹細胞として凍結保存してもよい。
誘導された多能性幹細胞は、ES細胞に類似する肩平なコロニーを形成し、アルカリホスファターゼを発現し得る。誘導された多能性幹細胞は、未分化細胞マー力一であるNanog、OCT4、及びSOX2等を発現し得る。誘導された多能性幹細胞は、TERTを発現し得る。誘導された多能性幹細胞は、テ口メラーゼ活性を示し得る。
また、細胞が多能性幹細胞に誘導されたか否かは、フローサイトメータで、未分化であることを示す細胞表面マーカーであるTRA-1-60、TRA-1-81、SSEA-1、及びSSEA5から選択される少なくとも一つの表面マーカーが陽性であるか否かを分析することにより行ってもよい。TRA-1-60は、iPS/ES細胞に特異的な抗原である。iPS細胞はTRA-1-60陽性画分からのみできることから、TRA-1-60陽性細胞はiPS細胞の種と考えられる。
誘導された多能性幹細胞を、多能性幹細胞の状態とは異なる状態の体細胞に誘導してもよい。体細胞の例としては、神経細胞、網膜上皮細胞、肝細胞、β細胞、腎細胞、歯髄幹細胞、間葉系幹細胞、体性幹前駆細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、口腔上皮細胞、軟骨細胞、筋細胞、血管細胞、上皮細胞、心筋細胞、血液細胞、及び免疫細胞が挙げられる。血液細胞の例としては、赤芽球、赤血球、巨核球、及び血小板が挙げられる。免疫細胞の例としては、単球、好中球、好酸球、好塩基球、B細胞、T細胞、NK細胞、及びNKT細胞が挙げられる。誘導された幹細胞を、内胚葉系、中胚葉系、又は外胚葉系に分化させてもよい。幹細胞に、胚様体、オルガノイド、及びスフィアを形成させてもよい。
細胞を神経系細胞に誘導する因子の例としては、ASCLファミリー、DLXファミリー、MYTファミリー、NeuroDファミリー、SOXファミリー、及びNGNファミリーが挙げられる。ASCLファミリーの例としては、ASCL1が挙げられる。DLXファミリーの例としては、DLX2が挙げられる。MYTファミリーの例としては、MYT1Lが挙げられる。NGNファミリーの例としては、NGN2が挙げられる。神経系細胞の例としては、神経細胞、神経幹細胞及び神経前駆細胞が挙げられる。神経細胞の例としては、抑制性神経細胞、興奮性神経細胞及びドーパミン産生神経細胞、大脳神経、介在性神経、及び視神経が挙げられる。あるいは、神経系細胞は、運動神経細胞、オリゴデンドロサイト前駆細胞、アストロサイト、及びオリゴデンロドサイト等であってもよい。
細胞を心筋細胞に誘導する因子の例としては、GATAファミリー、MEFファミリー、TBXファミリー、MYOCDファミリー、MESPファミリー、及びmiR-133ファミリーが挙げられる。GATAファミリーの例としては、GATA4Aが挙げられる。MEFファミリーの例としては、MEF2Cが挙げられる。TBXファミリーの例としては、TBX5が挙げられる。MESPファミリーの例としては、MESP1が挙げられる。
なお、本開示において、誘導とは、リプログラミング、初期化、形質転換、分化転換(Transdifferentiation or Lineage reprogramming)、分化誘導及び細胞の運命変更(Cell fate reprogramming)等を指す。
樹立した多能性幹細胞を、多能性幹細胞とは異なる体細胞に誘導する処理をした後、誘導処理された細胞をクローニングしてもよい。
樹立した多能性幹細胞に遺伝子編集処理をした後、遺伝子編集処理された細胞をクローニングしてもよい。
なお、リプログラミング因子を導入された細胞を全く継代せずに、リプログラミング因子を導入された細胞を、多能性幹細胞とは異なる体細胞に誘導してもよい。細胞へのリプログラミング因子の導入方法は、上述の通りである。例えば、リプログラミング因子を導入された細胞を全く継代せずに、リプログラミング因子を導入された細胞に分化誘導因子を導入して、リプログラミング因子を導入された細胞を、多能性幹細胞とは異なる体細胞に誘導してもよい。あるいは、リプログラミング因子を導入された細胞を全く継代せずに、リプログラミング因子を導入された細胞にホルモン又は化学物質を与えて、リプログラミング因子を導入された細胞を、多能性幹細胞とは異なる体細胞に誘導してもよい。この場合、リプログラミング因子を導入された細胞は、クローニングされずに、体細胞に誘導される。誘導される体細胞は上述のとおりである。
(実施例1、比較例1)
ラミニン511をコートしたディッシュを、多能性幹細胞誘導用のディッシュとした。また、ヒト末梢血単核球細胞を血液培地に懸濁し、血球計算版を用いて単核球細胞の数を測定して、血液培地における単核球細胞数を調整した。その後、単核球細胞を、37℃で1日間から7日間、多能性幹細胞誘導用のディッシュ上で二次元培養した。
ラミニン511をコートしたディッシュを、多能性幹細胞誘導用のディッシュとした。また、ヒト末梢血単核球細胞を血液培地に懸濁し、血球計算版を用いて単核球細胞の数を測定して、血液培地における単核球細胞数を調整した。その後、単核球細胞を、37℃で1日間から7日間、多能性幹細胞誘導用のディッシュ上で二次元培養した。
二次元培養されている単核球細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを34℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。途中から、温度を37℃、38℃に段階的に上げた。
インフェクションから8日後、幹細胞様の細胞塊が生じた。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。インフェクションから14日後、ディッシュに細胞剥離剤であるトリプルセレクトを添加し、室温で1分静置してから、細胞を含む溶液を吸引し、細胞を含む溶液を37℃で5分から10分インキュベートした。その後、iPS細胞培地を添加し、細胞を含むiPS細胞培地を15mLチューブに回収した。血球計算版を用いて細胞数を測定し、細胞を含む溶液の濃度を調整し、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種して1回目の継代をした。実施例1では、1回目の継代の際、ウェルプレートから全ての細胞を剥離させ、剥離して混じり合った細胞を、区別なく次のウェルプレートに播種した。これに対し、比較例1では、1回目の継代の際、コロニーピックして、クローニングした。なお、実施例1及び比較例1ともに、継代の際、11個以上の細胞同士が接触しないよう、細胞を播種した。
次に、ウェルディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を二次元培養した。細胞が分裂し始めてから、培養温度を38℃に上げた。その後、実施例1及び比較例1ともに、細胞が60%から80%コンフルエントになるごとに全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代した。2回目以降の継代時も、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種した。この際も、11個以上の細胞同士が接触しなかった。
図1に示すように、抗センダイウイルス抗体を用いて継代を1回のみ行った細胞を染色し、実施例1に係る細胞に残存するセンダイウイルスをフローサイトメーターで評価したところ、細胞内のセンダイウイルスは消滅していた。図2に示すように、PCRによっても、実施例1に係る細胞に残存するセンダイウイルスは検出されなかった。従来のように、11個以上の細胞同士が接着する高い濃度で細胞を播種した場合は、細胞にセンダイウイルスが残存していた。得らえたTRA1-60陽性細胞の免疫染色写真を図3に示す。
また、細胞内のセンダイウイルスが消滅してから5日後に形成されたコロニー数を数えた。さらに、コロニー数を播種した細胞数で割り、クローナルエフィシエンシーを算出した。3回試験した結果を図4に示す。培地にmTeSR Plusを用いて1回目の継代時に全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代した場合、クローナルエフィシエンシーは約5%から約8%であり、ばらつきが小さかった。培地にmTeSR Plusを用いて1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングした場合、クローナルエフィシエンシーは1%未満になるときと、約6%になるときがあり、クローナルエフィシエンシーにばらつきがあった。培地にStemFitを用いて1回目の継代時に全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代した場合、クローナルエフィシエンシーは約10%から約15%であり、ばらつきが小さかった。培地にStemFitを用いて1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングした場合、クローナルエフィシエンシーは1%未満になるときと、約16%になるときがあり、クローナルエフィシエンシーにばらつきがあった。
したがって、1回目の継代時にリプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することにより、クローナルエフィシエンシーが高くなり、かつ安定することが示された。
(実施例2、比較例2)
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、解離した。次に、約1×105個の細胞を、STEM-CELLBANKER(登録商標、タカラ)を用いて凍結保存した。その後、凍結細胞を融解させ、約1×104個の細胞をウェルに播種し、細胞を培養して増殖させた。播種から7日後の細胞数とコロニー数を計測した。3回試験した結果を図5と図6に示す。
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、解離した。次に、約1×105個の細胞を、STEM-CELLBANKER(登録商標、タカラ)を用いて凍結保存した。その後、凍結細胞を融解させ、約1×104個の細胞をウェルに播種し、細胞を培養して増殖させた。播種から7日後の細胞数とコロニー数を計測した。3回試験した結果を図5と図6に示す。
図5に示すように、1回目の継代時に全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代すると、凍結及び融解後の7日間培養した細胞数が約10×104個から約15×104個であり、ばらつきが小さかった。一方、1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングされた細胞は、凍結及び融解後の7日間培養した細胞数が約0.4×104個から約15×104個であり、ばらつきが大きかった。したがって、1回目の継代時にリプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することにより、凍結及び融解後の細胞の増殖率が高くなり、かつ安定することが示された。
図6に示すように、1回目の継代時に全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代すると、凍結及び融解後の7日間培養した細胞のコロニー数が約500個から約800個であり、ばらつきが小さかった。一方、1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングされた細胞は、凍結及び融解後の7日間培養した細胞のコロニー数が約30から約600であり、ばらつきが大きかった。したがって、1回目の継代時にリプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することにより、凍結及び融解後の細胞のコロニー形成率が高くなり、かつ安定することが示された。
(実施例3、比較例3)
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、2.5×105個の細胞をゲル培地に懸濁し、細胞を三次元培養して、細胞にクランプを形成させた。ゲル培地に細胞を播種してから13日後のクランプ数と細胞数を計測した。実施例1で得た細胞を2回、比較例1で得た細胞を4回試験した結果を図7に示す。
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、2.5×105個の細胞をゲル培地に懸濁し、細胞を三次元培養して、細胞にクランプを形成させた。ゲル培地に細胞を播種してから13日後のクランプ数と細胞数を計測した。実施例1で得た細胞を2回、比較例1で得た細胞を4回試験した結果を図7に示す。
1回目の継代時に全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代すると、細胞は三次元培養されて3000個前後のクランプを形成し、試験ごとによるばらつきが小さかった。また、1回目の継代時に全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代すると、細胞は、三次元培養されて約2000×102個になり、試験ごとによるばらつきが小さかった。一方、1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングされた細胞は、約7000個のクランプを形成した試験もあったが、死滅してほぼクランプを形成しない試験もあり、試験ごとによるばらつきがおおきかった。また、1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングされた細胞は、三次元培養されて約5000×102個になる試験もあったが、死滅してほぼ0個になる試験もあり、試験ごとによるばらつきがおおきかった。
したがって、1回目の継代時にリプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することにより、その後の三次元培養における細胞の増殖率及びクランプ形成能が高くなり、かつ安定することが示された。
(実施例4、比較例4)
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、心筋細胞分化誘導キット(PSC Cardiomyocyte Differentiation Kit、Gibco、登録商標)を用いて、iPS細胞様の細胞を心筋細胞に分化させた。
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、心筋細胞分化誘導キット(PSC Cardiomyocyte Differentiation Kit、Gibco、登録商標)を用いて、iPS細胞様の細胞を心筋細胞に分化させた。
具体的には、基底膜マトリックス(コーニング マトリゲル、登録商標)で底面を処理した12ウェルプレートに、iPS細胞様の細胞を約2×104個から約6×104個播種し、培地にmTeSR1を用いて細胞を培養した。iPS細胞様の細胞を播種してから2日後、Cardiomyocyte Differentiation Medium Aで培地交換を行った。その2日後、Cardiomyocyte Differentiation Medium Bで培地交換を行った。その2日後、Cardiomyocyte Maintenance Mediumで培地交換を行った。その後、2日おきに、Cardiomyocyte Maintenance Mediumで培地交換を行いながら、iPS細胞様の細胞を播種してから22日目まで細胞を培養した。
その結果、図8に示すように、心筋細胞に分化誘導される前に、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代時に全て回収され、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代された細胞は、全ての試験において22日目に拍動を示した。一方、心筋細胞に分化誘導される前に、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングされた細胞は、半分以下の試験においてのみ22日目に拍動を示した。
また、FACSで、心筋細胞のマーカーである心筋トロポニンT(cTnT)の陽性率を検査したところ、図9に示すように、心筋細胞に分化誘導される前に、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代時に全て回収され、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代された細胞は、cTnTの陽性率が約20%前後であり、安定していた。一方、心筋細胞に分化誘導される前に、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングされた細胞は、cTnTの陽性率が約1%から約37%とばらつきが大きかった。
したがって、1回目の継代時にリプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代し、幹細胞を樹立することにより、その後の心筋細胞のような体細胞への分化誘導能が高くなり、かつ安定することが示された。
(実施例5、比較例5)
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、1.5×105個の細胞を細胞塊形成に適した大きさの丸底型ボトムを有する細胞培養プレート(クラレ、RB 500 400 NA 6)に播種して培養した。
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、1.5×105個の細胞を細胞塊形成に適した大きさの丸底型ボトムを有する細胞培養プレート(クラレ、RB 500 400 NA 6)に播種して培養した。
培地は、TGF-β1アクチビン受容体様キナーゼ(ALK)のALK-4、-5、-7の選択的阻害剤(500nmol/L、A-83-01、Stemgent)及びBMP Type I レセプター(ALK2、ALK3)の膜透過性の阻害剤(100nmol/L、LDN193189、Stemgent)を添加した8GMK培地(8% KnockOut Serum Replacement (Life Technologies)、1%非必須アミノ酸(NEAA、Life Technologies)、1%ピルビン酸ナトリウム(Sigma)、100nmol/L 2-メルカプトエタノール(2-ME、Life Technologies)を用いた。上記阻害剤の存在下で培養された多能性幹細胞は、神経前駆細胞に分化誘導されることが知られている。
細胞を播種して5日後、8日後、及び11日後に培地交換を行った。14日後、細胞塊数を計測したところ、図10に示すように、神経前駆細胞に分化誘導される前に、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代時に全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代された細胞は、約25個から約55個のニューロスフィアを形成し、ばらつきが小さかった。一方、神経前駆細胞に分化誘導される前に、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングされた細胞は、約10個から約80個の細胞塊を形成し、ばらつきが大きかった。
また、14日後の細胞をチューブに回収して遠心を行い、細胞解離剤(TrypLE Select、ThermoFisher、登録商標)で細胞塊をシングルセルに分解し、細胞数を計測後、神経細胞接着分子(N-CAM)のポリシアル化分子を検出する抗体であるPSA-NCAM抗体を利用して、細胞を免疫染色し、フローサイトメトリーでPSA-NCAMの陽性率を解析した。その結果、図10に示すように、神経前駆細胞に分化誘導される前に、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代時に全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代された細胞は、PSA-NCAMの陽性率が約25%から約30%であり、ばらつきが小さかった。一方、神経前駆細胞に分化誘導される前に、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングされた細胞は、PSA-NCAMの陽性率が約5%から約15%であり、ばらつきが大きかった。
したがって、1回目の継代時に、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代し、幹細胞を樹立することにより、その後の神経細胞のような体細胞への分化誘導能が高くなり、かつ安定することが示された。
(実施例6、比較例6)
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、細胞を非接着ディッシュに1×105個播種して培養した。培地は、bFGFを添加していないヒトES細胞培地を用いた。また、2日に1度、培地交換を行った。播種してから9日後、形成された胚様体(EB)をジェラチンコートされた6ウェルプレートに再播種した。その後、2日に一度培地交換を行い、再播種してから24日目にトリプシン処理をして細胞を回収した。回収した細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、SOX1抗体、OTC2抗体、HAND1抗体、及びSOX17抗体のそれぞれを用いて細胞を染色し、染色された細胞をフローサイトメーターを用いて解析した。なお、SOX1及びOTX2は外胚葉のマーカーであり、HAND1は中胚葉のマーカーであり、SOX17は内胚葉のマーカーである。
実施例1及び比較例1と同様に継代培養して得られたiPS細胞様の細胞を剥離し、細胞を非接着ディッシュに1×105個播種して培養した。培地は、bFGFを添加していないヒトES細胞培地を用いた。また、2日に1度、培地交換を行った。播種してから9日後、形成された胚様体(EB)をジェラチンコートされた6ウェルプレートに再播種した。その後、2日に一度培地交換を行い、再播種してから24日目にトリプシン処理をして細胞を回収した。回収した細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、SOX1抗体、OTC2抗体、HAND1抗体、及びSOX17抗体のそれぞれを用いて細胞を染色し、染色された細胞をフローサイトメーターを用いて解析した。なお、SOX1及びOTX2は外胚葉のマーカーであり、HAND1は中胚葉のマーカーであり、SOX17は内胚葉のマーカーである。
その結果、図11及び図12に示すように、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代時に全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代された細胞は、各マーカーの陽性率のばらつきが小さかった。一方、リプログラミング因子を導入された後、1回目の継代の際にコロニーピックしてクローニングされた細胞は、各マーカーの陽性率のばらつきが大きかった。したがって、1回目の継代時に、リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することにより、その後の内胚葉、中胚葉、及び外胚葉への分化能が高くなり、かつ安定することが示された。
(参考実施例1)
二次元培養されている繊維芽細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV18+hKLF4/TSΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを34℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。インフェクションから14日までに、培養温度を37℃、38℃に段階的に上げた。
二次元培養されている繊維芽細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV18+hKLF4/TSΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを34℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。インフェクションから14日までに、培養温度を37℃、38℃に段階的に上げた。
インフェクションから10日後、幹細胞様の細胞塊が生じた。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。インフェクションから14日後、ディッシュに細胞剥離剤であるトリプルセレクトを添加し細胞を含む溶液を37℃で5分から10分インキュベートした。その後、iPS細胞培地を添加し、細胞を含むiPS細胞培地を15mLチューブに回収した。血球計算版を用いて細胞数を測定し、細胞を含む溶液の濃度を調整し、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種して1回目の継代をした。この際、11個以上の細胞同士が接触しなかった。次に、ウェルディッシュをインキュベーターに収容して、細胞を二次元培養した。細胞が分裂し始めてから、培養温度を38℃にした。その後、細胞が60%から80%コンフルエントになるごとに細胞を継代した。2回目以降の継代時も、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種した。この際も、11個以上の細胞同士が接触しなかった。
図13に示すように、抗センダイウイルス抗体を用いて継代を1回のみ行った細胞を染色し、細胞に残存するセンダイウイルスをフローサイトメーターで評価したところ、細胞内のセンダイウイルスはほぼ消滅していた。得られたTRA1-60陽性細胞の写真を図14に示す。
(参考実施例2)
二次元培養されている単核球細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV18+hKLF4/TSΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。
二次元培養されている単核球細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV18+hKLF4/TSΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。
インフェクションから8日後、幹細胞様の細胞塊が生じた。インフェクションから14日後、ディッシュに細胞剥離剤であるトリプルセレクトを添加し、室温で1分静置してから、細胞を含む溶液を吸引し、細胞を含む溶液を37℃で5分から10分インキュベートした。その後、iPS細胞培地を添加し、細胞を含むiPS細胞培地を15mLチューブに回収した。細胞を含む溶液の濃度を調整し、11個以上の細胞同士が接着するよう、濃度が0.25×104cells/cm2より高くとなるように細胞をウェルプレートに播種して1回目の継代をした。次に、ウェルディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を二次元培養した。細胞が分裂し始めてから、培養温度を38℃に上げた。その後、細胞が60%から80%コンフルエントになるごとに細胞を継代した。継代2回目から継代5回目も、11個以上の細胞同士が接着するよう、濃度が0.25×104cells/cm2より高くとなるように細胞をウェルプレートに播種した。継代6回目以降は、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種した。この際、11個以上の細胞同士が接触しなかった。
図15に示すように、抗センダイウイルス抗体を用いて細胞を染色し、細胞に残存するセンダイウイルスをフローサイトメーターで評価したところ、6回目の継代の前までは、細胞内にセンダイウイルスが残存していた。しかし、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種した継代6回目以降は、細胞内のセンダイウイルスは急激に消滅した。
(参考実施例3)
センダイウイルスベクターキットであるCytoTune-iPS2.0(登録商標、IDファーマ)を用意した。CytoTune-iPS2.0は、リプログラミング因子としてKLF4遺伝子、OCT3/4遺伝子、及びSOX2遺伝子を搭載する温度感受性センダイウイルスベクターであるSeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、リプログラミング因子としてKLF4を搭載する温度感受性センダイウイルスベクターであるSeV18+hKLF4/TSΔFと、リプログラミング因子としてc-MYCを搭載する温度感受性センダイウイルスベクターであるSeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、を含む。
センダイウイルスベクターキットであるCytoTune-iPS2.0(登録商標、IDファーマ)を用意した。CytoTune-iPS2.0は、リプログラミング因子としてKLF4遺伝子、OCT3/4遺伝子、及びSOX2遺伝子を搭載する温度感受性センダイウイルスベクターであるSeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、リプログラミング因子としてKLF4を搭載する温度感受性センダイウイルスベクターであるSeV18+hKLF4/TSΔFと、リプログラミング因子としてc-MYCを搭載する温度感受性センダイウイルスベクターであるSeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、を含む。
単核球細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV18+hKLF4/TSΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地(mTeSR Plus(STEMCELL Technologies)又はStemFit(味の素))に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。
インフェクションから8日後、幹細胞様の細胞塊が生じた。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。インフェクションから14日後、ディッシュに細胞剥離剤であるトリプルセレクトを添加し、室温で1分静置してから、細胞を含む溶液を吸引し、細胞を含む溶液を37℃で5分から10分インキュベートした。その後、iPS細胞培地を添加し、細胞を含むiPS細胞培地を15mLチューブに回収した。血球計算版を用いて細胞数を測定し、細胞を含む溶液の濃度を調整し、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種して1回目の継代をした。この際、11個以上の細胞同士が接触しなかった。
次に、ウェルディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を二次元培養した。その後、細胞が60%から80%コンフルエントになるごとに細胞を継代した。2回目以降の継代時も、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種した。この際も、11個以上の細胞同士が接触しなかった。
図16に示すように、抗センダイウイルス抗体を用いて細胞を染色し、細胞に残存するセンダイウイルスをフローサイトメーターで評価したところ、継代8回目で、細胞内のセンダイウイルスはほぼ消滅した。
(参考実施例4)
二次元培養されている単核球細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを34℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。途中から、温度を38℃に上げた。
二次元培養されている単核球細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを34℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。途中から、温度を38℃に上げた。
インフェクションから8日後、幹細胞様の細胞塊が生じた。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。インフェクションから15日後、ディッシュに細胞剥離剤であるトリプルセレクトを添加し、室温で1分静置してから、細胞を含む溶液を吸引し、細胞を含む溶液を37℃で5分から10分インキュベートした。その後、iPS細胞培地を添加し、細胞を含むiPS細胞培地を15mLチューブに回収した。血球計算版を用いて細胞数を測定し、細胞を含む溶液の濃度を調整し、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種して1回目の継代をした。この際、11個以上の細胞同士が接触しなかった。次に、ウェルディッシュを38℃のインキュベーターに収容して、細胞を二次元培養した。その後、細胞が60%から80%コンフルエントになるごとに細胞を継代した。2回目以降の継代時も、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種した。この際も、11個以上の細胞同士が接触しなかった。
抗センダイウイルス抗体を用いて、インフェクションから15日目、継代をする前の細胞を染色し、細胞に残存するセンダイウイルスをフローサイトメーターで評価した結果を図17に示す。また、インフェクションから15日目の細胞の写真を図18に示す。抗センダイウイルス抗体を用いて、継代を1回した後の細胞を染色し、細胞に残存するセンダイウイルスをフローサイトメーターで評価した結果を図19に示す。図19に示すように、継代1回目で、細胞内のセンダイウイルスはほぼ消滅した。継代1回目の細胞の写真を図20に示す。
(参考実施例5)
ポリマー含有血液培地中で三次元培養されている単核球細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV18+hKLF4/TSΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、ポリマー含有血液培地をポリマー含有iPS細胞培地に交換した。その後、ポリマー含有iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。
ポリマー含有血液培地中で三次元培養されている単核球細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV18+hKLF4/TSΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、ポリマー含有血液培地をポリマー含有iPS細胞培地に交換した。その後、ポリマー含有iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。
インフェクションから14日後、幹細胞様の細胞塊が生じた。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となった。なお、得られたTRA1-60陽性細胞の一部を培養器に播種して二次元培養したところ、iPS細胞様のコロニーが形成された。また、メッシュを使って細胞塊を回収し、回収された細胞に細胞剥離剤であるトリプルセレクトを添加し、室温で5分静置してから、細胞を含む溶液を吸引し、細胞を含む溶液を37℃で5分から10分インキュベートした。その後、iPS細胞培地を添加し、細胞を含むiPS細胞培地を15mLチューブに回収した。血球計算版を用いて細胞数を測定し、細胞を含む溶液の濃度を調整し、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種して1回目の継代をした。この際、11個以上の細胞同士が接触しなかった。次に、ウェルディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を二次元培養した。その後、細胞が60%から80%コンフルエントになるごとに細胞を継代した。2回目以降の継代時も、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種した。この際も、11個以上の細胞同士が接触しなかった。途中で温度を38℃に上げた。
抗センダイウイルス抗体を用いて、継代を2回した細胞を染色し、細胞に残存するセンダイウイルスをフローサイトメーターで評価したところ、図21に示すように、細胞内のセンダイウイルスはほぼ消滅した。継代を2回した細胞の写真を図22に示す。
(参考実施例6)
二次元培養されている線維芽細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを34℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。
二次元培養されている線維芽細胞に、SeV(PM)hKOS/TS12ΔFと、SeV(HNL)hC-Myc/TS15ΔFと、をMOIが5になるよう添加し、多能性幹細胞誘導用のディッシュを34℃のインキュベーターに収容して、細胞を培養した。インフェクションから2日後、血液培地をiPS細胞培地に交換した。その後、iPS細胞培地を用いて培地交換を2日に1回行った。
インフェクションから8日後、幹細胞様の細胞塊が生じた。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。インフェクションから14日後、ディッシュに細胞剥離剤であるトリプルセレクトを添加し、室温で1分静置してから、細胞を含む溶液を吸引し、細胞を含む溶液を37℃で5分から10分インキュベートした。その後、iPS細胞培地を添加し、細胞を含むiPS細胞培地を15mLチューブに回収した。血球計算版を用いて細胞数を測定し、細胞を含む溶液の濃度を調整し、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種して1回目の継代をした。この際、11個以上の細胞同士が接触しなかった。その後、ウェルディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を二次元培養した。その後、細胞が60%から80%コンフルエントになるごとに細胞を継代した。2回目以降の継代時も、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種した。この際も、11個以上の細胞同士が接触しなかった。
図23に示すように、抗センダイウイルス抗体を用いて細胞を染色し、細胞に残存するセンダイウイルスをフローサイトメーターで評価したところ、1回目の継代の後、細胞内のセンダイウイルスは消滅していた。図24に示すように、PCRによっても、細胞に残存するセンダイウイルスは検出されなかった。得られたTRA1-60陽性細胞の写真を図25に示す。
(実施例7、比較例7)
10%FBSを含むDMEMを線維芽細胞用培地として用意した。ヒトの成人由来の線維芽細胞用培地に、線維芽細胞を懸濁して、線維芽細胞懸濁液を得た。
10%FBSを含むDMEMを線維芽細胞用培地として用意した。ヒトの成人由来の線維芽細胞用培地に、線維芽細胞を懸濁して、線維芽細胞懸濁液を得た。
6ウェルディッシュの1ウェルに対して、1.5mLのPBSと4.8μLのカイコ由来ラミニン(iMatrix-511 silk、ニッピ)の混合液を加え、37℃のインキュベーター中にディッシュを1時間置いた。次に、アスピレータを用いてPBSとラミニンの混合液をウェルから除去し、1ウェルに1.5mLの線維芽細胞懸濁液を加えた。1ウェルにおける線維芽細胞の数は、0.5×105から2.0×105個であった。その後、37℃のインキュベーター中で線維芽細胞を1日間培養した。
次に、培地を幹細胞誘導培地に交換した。交換した培地の量も1.5mLであった。
チューブAとチューブBを用意し、チューブA中の125μLのPBSにOCT4のmRNA、SOX2のmRNA、KLF4のmRNA、及びC-MYCのmRNAの混合物(100ng/μL)を0.1μLから100μL加えた。これらのRNAは、HPLCで濃縮精製されていた。チューブB中の125μLのPBSに0.1μLから100μLのリポフェクション試薬を加えた。次に、チューブA中の溶液とチューブB中の溶液を混合し、混合液を10分間室温で放置し、全量の混合液を1ウェル中の培地に加えた。その後、37℃のインキュベーター中にディッシュを1日間置いて、細胞にRNAをトランスフェクトした。以後、同様の手順によるRNAトランスフェクションを11回繰り返した。
11回目のRNAトランスフェクションの翌日、細胞を含む溶液の濃度を調整し、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をラミニンでコートされたウェルプレートに播種して1回目の継代をした。実施例7では、1回目の継代の際、ウェルプレートから剥離させた細胞全てを回収し、回収して混じり合った細胞の少なくとも一部を、区別なく次のウェルプレートに播種した。これに対し、比較例7では、1回目の継代の際、コロニーピックしてクローニングした。なお、実施例7及び比較例7ともに、継代の際、11個以上の細胞同士が接触しなかいよう、細胞を播種した。次に、ウェルディッシュを37℃のインキュベーターに収容して、細胞を二次元培養した。その後、細胞が60%から80%コンフルエントになったときに細胞を1回のみ継代した。2回目以降の継代時も、濃度が0.25×104cells/cm2以下となるよう細胞をウェルプレートに播種した。この際、11個以上の細胞同士が接触しなかった。
図26に示すように、1回目の継代から1日目で、リプログラミング因子が細胞からほぼ消滅し、1回目の継代から2日目で、リプログラミング因子が細胞から完全に消滅した。インフェクションから10日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。TRA1-60陽性細胞の免疫染色写真を図27に示す。
実施例7に係る方法で樹立された幹細胞は、実施例1と同様に、クローナルエフィシエンシーのばらつきが小さかった。実施例7に係る方法で樹立された幹細胞は、実施例2と同様に、増殖率及びコロニー形成能が安定していた。実施例7に係る方法で樹立された幹細胞は、実施例3と同様に、三次元培養後のクランプ数と細胞数にばらつきが小さかった。実施例7に係る方法で樹立された幹細胞は、実施例4と同様に、心筋細胞への分化誘導能が安定していた。実施例7に係る方法で樹立された幹細胞は、実施例5と同様に、神経前駆細胞への分化誘導能が安定していた。実施例7に係る方法で樹立された幹細胞は、実施例6と同様に、内胚葉、中胚葉、及び外胚葉への分化能が安定していた。
比較例7に係る方法で樹立された幹細胞は、比較例1と同様に、クローナルエフィシエンシーのばらつきが大きかった。比較例7に係る方法で樹立された幹細胞は、比較例2と同様に、増殖率及びコロニー形成能のばらつきが大きかった。比較例7に係る方法で樹立された幹細胞は、比較例3と同様に、三次元培養後のクランプ数と細胞数にばらつきが大きかった。比較例7に係る方法で樹立された幹細胞は、比較例4と同様に、心筋細胞への分化誘導能が安定していなかった。比較例7に係る方法で樹立された幹細胞は、比較例5と同様に、神経前駆細胞への分化誘導能が安定していなかった。比較例7に係る方法で樹立された幹細胞は、比較例6と同様に、内胚葉、中胚葉、及び外胚葉への分化能が安定していなかった。
(実施例8)
実施例1と同様に、単核球細胞にリプログラミング因子を導入した。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。その後、細胞を一度も継代していない段階で、MOIが20になるよう、Ngn2-Puro mRNAを発現させることができるセンダイウイルスにiPS細胞様の細胞を感染させた。センダイウイルス感染後2日目に、ウェル内の培地を、2μg/mLの濃度でピューロマイシンを含む神経誘導培地(N3培地)に置換し、未感染の細胞を死滅させた。N3培地は、500mLのDMEMF12に、10mLのB27と、5mLのN2と、濃度が6.25mg/mLの1.6mLのインスリンを加えて調製した。
実施例1と同様に、単核球細胞にリプログラミング因子を導入した。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。その後、細胞を一度も継代していない段階で、MOIが20になるよう、Ngn2-Puro mRNAを発現させることができるセンダイウイルスにiPS細胞様の細胞を感染させた。センダイウイルス感染後2日目に、ウェル内の培地を、2μg/mLの濃度でピューロマイシンを含む神経誘導培地(N3培地)に置換し、未感染の細胞を死滅させた。N3培地は、500mLのDMEMF12に、10mLのB27と、5mLのN2と、濃度が6.25mg/mLの1.6mLのインスリンを加えて調製した。
センダイウイルス感染後14日目の細胞の顕微鏡写真を図28に示す。図28に示すように、センダイウイルス感染後、細胞が神経系細胞に誘導されていることが、形態的に確認された。
(実施例9)
実施例1と同様に、単核球細胞にリプログラミング因子を導入した。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。その後、細胞を一度も継代していない段階で、iPS細胞様の細胞を免疫不全マウス精巣に移植した。数週間後、マウスからテラトーマを摘出し、摘出したテラトーマから組織切片を作製して、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色して、顕微鏡観察した。結果を図29に示す。組織切片中に、分泌組織様構造、神経管様構造、腸管様構造、及び軟骨、骨様構造が観察された。
実施例1と同様に、単核球細胞にリプログラミング因子を導入した。インフェクションから14日目にほぼ全ての細胞がTRA1-60陽性細胞となり、iPS細胞様の形態を示した。その後、細胞を一度も継代していない段階で、iPS細胞様の細胞を免疫不全マウス精巣に移植した。数週間後、マウスからテラトーマを摘出し、摘出したテラトーマから組織切片を作製して、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色して、顕微鏡観察した。結果を図29に示す。組織切片中に、分泌組織様構造、神経管様構造、腸管様構造、及び軟骨、骨様構造が観察された。
(実施例10)
チンパンジー由来の繊維芽細胞を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、チンパンジー由来の繊維芽細胞にmRNAを導入した。その結果、図30に示すようにiPS細胞様のコロニー形成が認められた。維持培養された細胞をOct3/4に対する抗体で免疫染色したところ、図31(a)に示すように、細胞はOct3/4陽性を示した。また、維持培養された細胞をNanogに対する抗体で免疫染色したところ、図31(b)に示すように、細胞はNanog陽性を示した。また、図32に示すように、誘導細胞がTRA-1-60陽性であることを確認した。
チンパンジー由来の繊維芽細胞を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、チンパンジー由来の繊維芽細胞にmRNAを導入した。その結果、図30に示すようにiPS細胞様のコロニー形成が認められた。維持培養された細胞をOct3/4に対する抗体で免疫染色したところ、図31(a)に示すように、細胞はOct3/4陽性を示した。また、維持培養された細胞をNanogに対する抗体で免疫染色したところ、図31(b)に示すように、細胞はNanog陽性を示した。また、図32に示すように、誘導細胞がTRA-1-60陽性であることを確認した。
樹立されたチンパンジー由来の幹細胞を、心筋細胞へ分化誘導した。得られた心筋細胞の写真を図33に示す。
また、樹立されたチンパンジー由来の幹細胞を、神経細胞へ分化誘導した。得られた心筋細胞の写真を図34に示す。神経細胞は、Munch13陽性及びvGlut陽性であることが確認された。
(実施例11)
健常者の尿を300mL採取し、50mLファルコンチューブに6本ずつ尿を分注して、400Gで5分間、チューブを遠心した。遠心後、チューブから上清を除き、30mLのPBSをチューブに入れ、400Gで5分間、チューブを遠心した。遠心後、チューブから上清を除き、30mLのプライマリー培地をチューブに入れ、400Gで5分間、チューブを遠心した。プライマリー培地は、DMEM/Ham’s F12(Gibco、11320-033)に、ウシ胎仔血清(Gibco、10437028、終濃度10%)、SingleQuots Kit CC-4127 REGM(Lonza、1000分の1量)、及びAntibiotic-Antimycotic(Gibco、15240062、100分の1量)を添加して調製した。遠心後、チューブから上清を除き、1mLのプライマリー培地で細胞を懸濁し、ジェラチンコートした24ウェルプレートの1ウェルに細胞を播種し、37℃のインキュベーターで細胞をインキュベートした。細胞播種後2日間はプライマリー培地を300μLウェルに添加し、3日目以降からは上皮細胞用培地を用いて培地交換した。上皮細胞用培地は、腎上皮細胞基本培地(Lonza)にSingleQuots Kit CC-4127 REGM (Lonza)を添加して調製した。6日間拡大培養した後の細胞の顕微鏡画像を図35に示す。播種から7日目に細胞を1回目の継代をし、さらに細胞を拡大培養し、1回目の継代から7日目に細胞を2回目の継代をした。2回目の継代から6日目の細胞の顕微鏡画像を図36に示す。
健常者の尿を300mL採取し、50mLファルコンチューブに6本ずつ尿を分注して、400Gで5分間、チューブを遠心した。遠心後、チューブから上清を除き、30mLのPBSをチューブに入れ、400Gで5分間、チューブを遠心した。遠心後、チューブから上清を除き、30mLのプライマリー培地をチューブに入れ、400Gで5分間、チューブを遠心した。プライマリー培地は、DMEM/Ham’s F12(Gibco、11320-033)に、ウシ胎仔血清(Gibco、10437028、終濃度10%)、SingleQuots Kit CC-4127 REGM(Lonza、1000分の1量)、及びAntibiotic-Antimycotic(Gibco、15240062、100分の1量)を添加して調製した。遠心後、チューブから上清を除き、1mLのプライマリー培地で細胞を懸濁し、ジェラチンコートした24ウェルプレートの1ウェルに細胞を播種し、37℃のインキュベーターで細胞をインキュベートした。細胞播種後2日間はプライマリー培地を300μLウェルに添加し、3日目以降からは上皮細胞用培地を用いて培地交換した。上皮細胞用培地は、腎上皮細胞基本培地(Lonza)にSingleQuots Kit CC-4127 REGM (Lonza)を添加して調製した。6日間拡大培養した後の細胞の顕微鏡画像を図35に示す。播種から7日目に細胞を1回目の継代をし、さらに細胞を拡大培養し、1回目の継代から7日目に細胞を2回目の継代をした。2回目の継代から6日目の細胞の顕微鏡画像を図36に示す。
(実施例12)
ラミニン511をコートしたディッシュを、多能性幹細胞誘導用のディッシュとした。多能性幹細胞誘導用のディッシュに、実施例11で用意した尿由来の細胞を1×104個から1×105個播種し、37℃でインキュベートした。培地は上皮細胞用培地を用いた。翌日、トランスフェクション試薬と緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするRNAとの混合物を培地に添加し、当該培地を用いて培地交換を行い、37℃でインキュベートした。その翌日の細胞の顕微鏡画像を図37に示す。GFPの発現が認められたことから、尿由来の細胞にトランスフェクションを行えることが示された。
ラミニン511をコートしたディッシュを、多能性幹細胞誘導用のディッシュとした。多能性幹細胞誘導用のディッシュに、実施例11で用意した尿由来の細胞を1×104個から1×105個播種し、37℃でインキュベートした。培地は上皮細胞用培地を用いた。翌日、トランスフェクション試薬と緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするRNAとの混合物を培地に添加し、当該培地を用いて培地交換を行い、37℃でインキュベートした。その翌日の細胞の顕微鏡画像を図37に示す。GFPの発現が認められたことから、尿由来の細胞にトランスフェクションを行えることが示された。
(実施例13)
ラミニン511をコートしたディッシュを、多能性幹細胞誘導用のディッシュとした。多能性幹細胞誘導用のディッシュに、実施例11で用意した尿由来の細胞を1×104個から1×105個播種し、37℃でインキュベートした。培地は上皮細胞用培地を用いた。翌日、チューブAとチューブBを用意し、チューブA中の125μLのPBSにM3OのmRNA、SOX2のmRNA、KLF4のmRNA、C-MYCのmRNA、及びLIN28のmRNAの混合物(100ng/μL)を0.1μLから102μL加えた。これらのRNAは、プソイドウリジン(Ψ)で修飾されていた。また、これらのRNAは、HPLCで実質的に1本鎖RNAに濃縮精製されていた。RNAの260nmと280nmの吸光度の比(A260/A280)は、1.71から2.1であり、タンパク質が実質的に混入していないことが確認された。また、抗2本鎖RNA抗体J2を用いてドットブロット分析したところ、2本鎖RNAは90%以上除去されていた。チューブB中の125μLのPBSに0.1μLから100μLのリポフェクション試薬を加えた。次に、チューブA中の溶液とチューブB中の溶液を混合し、混合液を10分間室温で放置し、全量の混合液を、B18R等を利用せずトランスフェクション用培地に添加し、当該トランスフェクション用培地を用いて培地交換を行い、37℃でインキュベートした。トランスフェクションは10日間、1日に1回行った。細胞播種後、1、5、7、14日目に観察を行った。図38に示すように、日が進むにつれてES細胞様に細胞の形態が変化したことが認められた。
ラミニン511をコートしたディッシュを、多能性幹細胞誘導用のディッシュとした。多能性幹細胞誘導用のディッシュに、実施例11で用意した尿由来の細胞を1×104個から1×105個播種し、37℃でインキュベートした。培地は上皮細胞用培地を用いた。翌日、チューブAとチューブBを用意し、チューブA中の125μLのPBSにM3OのmRNA、SOX2のmRNA、KLF4のmRNA、C-MYCのmRNA、及びLIN28のmRNAの混合物(100ng/μL)を0.1μLから102μL加えた。これらのRNAは、プソイドウリジン(Ψ)で修飾されていた。また、これらのRNAは、HPLCで実質的に1本鎖RNAに濃縮精製されていた。RNAの260nmと280nmの吸光度の比(A260/A280)は、1.71から2.1であり、タンパク質が実質的に混入していないことが確認された。また、抗2本鎖RNA抗体J2を用いてドットブロット分析したところ、2本鎖RNAは90%以上除去されていた。チューブB中の125μLのPBSに0.1μLから100μLのリポフェクション試薬を加えた。次に、チューブA中の溶液とチューブB中の溶液を混合し、混合液を10分間室温で放置し、全量の混合液を、B18R等を利用せずトランスフェクション用培地に添加し、当該トランスフェクション用培地を用いて培地交換を行い、37℃でインキュベートした。トランスフェクションは10日間、1日に1回行った。細胞播種後、1、5、7、14日目に観察を行った。図38に示すように、日が進むにつれてES細胞様に細胞の形態が変化したことが認められた。
(実施例14)
実施例13と同様に、尿由来の細胞にトランスフェクションを10日間行った。細胞を播種して11日目から幹細胞用培地(StemFit、味の素)で細胞を培養し、14日目に全ての細胞をディッシュから剥がし、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代した。継代の際には、コロニーをピックアップせず、ディッシュ上の細胞全体を回収し、1×102個から1×105個の細胞をディッシュに播種した。継代してから6日目の細胞の顕微鏡画像を図39に示す。ES細胞様の細胞が確認された。
実施例13と同様に、尿由来の細胞にトランスフェクションを10日間行った。細胞を播種して11日目から幹細胞用培地(StemFit、味の素)で細胞を培養し、14日目に全ての細胞をディッシュから剥がし、回収して混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代した。継代の際には、コロニーをピックアップせず、ディッシュ上の細胞全体を回収し、1×102個から1×105個の細胞をディッシュに播種した。継代してから6日目の細胞の顕微鏡画像を図39に示す。ES細胞様の細胞が確認された。
(実施例15)
実施例13と同様に、尿由来の細胞にトランスフェクションを10日間行った。細胞を播種して11日目から幹細胞用培地(StemFit、味の素)で細胞を培養し、14日目に細胞をディッシュから剥がし、一部の細胞をフローサイトメトリーで分析したところ、図40(a)に示すように、TRA-1-60陽性であることが確認された。また、14日目にディッシュから剥がされた細胞を継代し、7日後にフローサイトメトリーで分析したところ、図40(b)に示すように、TRA-1-60陽性であることが確認された。
実施例13と同様に、尿由来の細胞にトランスフェクションを10日間行った。細胞を播種して11日目から幹細胞用培地(StemFit、味の素)で細胞を培養し、14日目に細胞をディッシュから剥がし、一部の細胞をフローサイトメトリーで分析したところ、図40(a)に示すように、TRA-1-60陽性であることが確認された。また、14日目にディッシュから剥がされた細胞を継代し、7日後にフローサイトメトリーで分析したところ、図40(b)に示すように、TRA-1-60陽性であることが確認された。
(実施例16)
実施例13と同様に、尿由来の細胞にトランスフェクションを10日間行った。細胞を播種して11日目から幹細胞用培地(StemFit、味の素)で細胞を培養し、14日目に全ての細胞をディッシュから剥がし、剥がして混じり合った細胞の一部を播種して継代した。継代後の培地にはStemFit(登録商標)を用いた。継代してから7日後、細胞を固定し、抗OCT3/4抗体及び抗NANOG抗体を用いて、細胞を染色した。また、Hoechst(登録商標)による核の化学染色も行った。その結果、図41に示すように、多能性幹細胞の特異的マーカーであるOCT3/4及びNANOGの発現が細胞核で確認された。したがって、尿由来の細胞から、RNAを利用して多能性幹細胞を誘導できることが示された。なお、図41(d)は、抗OCT3/4抗体を用いて染色した細胞の写真と、抗NANOG抗体を用いて染色した細胞の写真と、Hoechst(登録商標)を用いて染色した細胞の写真と、を合成した写真である。
実施例13と同様に、尿由来の細胞にトランスフェクションを10日間行った。細胞を播種して11日目から幹細胞用培地(StemFit、味の素)で細胞を培養し、14日目に全ての細胞をディッシュから剥がし、剥がして混じり合った細胞の一部を播種して継代した。継代後の培地にはStemFit(登録商標)を用いた。継代してから7日後、細胞を固定し、抗OCT3/4抗体及び抗NANOG抗体を用いて、細胞を染色した。また、Hoechst(登録商標)による核の化学染色も行った。その結果、図41に示すように、多能性幹細胞の特異的マーカーであるOCT3/4及びNANOGの発現が細胞核で確認された。したがって、尿由来の細胞から、RNAを利用して多能性幹細胞を誘導できることが示された。なお、図41(d)は、抗OCT3/4抗体を用いて染色した細胞の写真と、抗NANOG抗体を用いて染色した細胞の写真と、Hoechst(登録商標)を用いて染色した細胞の写真と、を合成した写真である。
(実施例17)
実施例13と同様に、尿由来の細胞にトランスフェクションを10日間行った。細胞を播種して11日目から幹細胞用培地(StemFit、味の素)で細胞を培養し、14日目にトリプルセレクトを用いて全ての細胞をディッシュから剥がし、剥がして混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代した。継代後の培地にはStemFit(登録商標)を用いた。継代してから7日後、細胞を固定し、抗LIN28抗体を用いて、細胞を染色した。また、Hoechst(登録商標)による核の化学染色も行った。その結果、図42に示すように、多能性幹細胞の特異的マーカーであるLIN28の発現が細胞核で確認された。したがって、尿由来の細胞から、RNAを利用して多能性幹細胞を誘導できることが示された。なお、図42(d)は、抗LIN28抗体を用いて染色した細胞の写真と、Hoechst(登録商標)を用いて染色した細胞の写真と、を合成した写真である。
実施例13と同様に、尿由来の細胞にトランスフェクションを10日間行った。細胞を播種して11日目から幹細胞用培地(StemFit、味の素)で細胞を培養し、14日目にトリプルセレクトを用いて全ての細胞をディッシュから剥がし、剥がして混じり合った細胞の一部を培地に播種して継代した。継代後の培地にはStemFit(登録商標)を用いた。継代してから7日後、細胞を固定し、抗LIN28抗体を用いて、細胞を染色した。また、Hoechst(登録商標)による核の化学染色も行った。その結果、図42に示すように、多能性幹細胞の特異的マーカーであるLIN28の発現が細胞核で確認された。したがって、尿由来の細胞から、RNAを利用して多能性幹細胞を誘導できることが示された。なお、図42(d)は、抗LIN28抗体を用いて染色した細胞の写真と、Hoechst(登録商標)を用いて染色した細胞の写真と、を合成した写真である。
Claims (23)
- リプログラミング因子を導入された細胞を培養することと、
前記リプログラミング因子を導入された全ての細胞を回収し、回収した細胞の少なくとも一部を培地に播種して継代することと、
を含む、リプログラミング因子を導入された細胞の培養方法。 - 前記継代することにおいて、細胞をクローニングしない、請求項1に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞が形成する複数のコロニーを互いに分離することを含まない、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞が形成する単一のコロニーをクローニングすることを含まない、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞であって、培養器に付着している全ての細胞を回収し、回収した細胞の少なくとも一部を培地に播種する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞を遺伝子発現状態で区別することなく継代する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞をリプログラミングの程度で区別することなく継代する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞を凍結することをさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞を、内胚葉系、中胚葉系、及び外胚葉系から選択される少なくとも1つに分化させることをさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞から胚様体、オルガノイド、及びスフィアから選択される少なくとも1つを形成することをさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞を多能性幹細胞とは異なる体細胞に誘導することをさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記体細胞に誘導する処理をした後、前記処理された細胞をクローニングすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞に遺伝子編集処理をすることをさらに含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞が、血液細胞又は線維芽細胞由来である、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入される細胞が、尿に含まれる細胞である、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入される細胞が、膀胱上皮細胞である、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
- 尿から前記リプログラミング因子を導入される細胞を収集することをさらに含む、請求項15又は16に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞が、複数のヒト又は複数の非ヒト動物由来である、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞を閉鎖された培養器内で培養する、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
- リプログラミング因子を導入された細胞を培養することと、
前記リプログラミング因子を導入された細胞を継代せずに、多能性幹細胞とは異なる体細胞に誘導すること、
を含む、リプログラミング因子を導入された細胞の培養方法。 - 前記リプログラミング因子を導入された細胞を凍結することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞を、内胚葉系、中胚葉系、及び外胚葉系から選択される少なくとも1つに誘導することをさらに含む、請求項20又は21に記載の方法。
- 前記リプログラミング因子を導入された細胞を閉鎖された培養器内で培養する、請求項20から22のいずれか1項に記載の方法。
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