JP2017109985A - チオエステルニトロン化合物、その製造方法、変性剤組成物、変性ポリマー及びその製造方法 - Google Patents

チオエステルニトロン化合物、その製造方法、変性剤組成物、変性ポリマー及びその製造方法 Download PDF

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亮太 高橋
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寿江 秋山
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Abstract

【課題】変性ポリマーの生産性に優れるニトロン化合物、その製造方法、変性剤組成物、変性ポリマー及びその製造方法の提供。【解決手段】チオエステル基とニトロン結合とを有するチオエステルニトロン化合物(ただしチオエステルニトロン化合物は加水分解性シリル基又はシラノール基を有さない)及びその製造方法、上記チオエステルニトロン化合物と合成ゼオライトとを含有する変性剤組成物、並びに、チオエステルニトロン化合物による変性基を有する変性ポリマー及びその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明はチオエステルニトロン化合物、その製造方法、変性剤組成物、変性ポリマー及びその製造方法に関する。
従来、タイヤ等に用いられるゴム組成物に含まれるポリマーとして、各種のニトロンで変性された変性ポリマーが知られている(例えば特許文献1)。
特開2014−101400号公報
このようななか、特許文献1を参考にニトロン化合物でジエン系ゴムを変性したところ、変性する際の温度が低いと変性率が低い場合があることが明らかとなった。
また、従来のニトロン化合物で天然ゴムを変性することは困難であることが明らかとなった。
そこで、本発明は変性ポリマーの生産性に優れるニトロン化合物を提供することを目的とする。
また、本発明はニトロン化合物の製造方法、変性剤組成物、変性ポリマー及び変性ポリマーの製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、チオエステル基を有するチオエステルニトロン化合物によって所定の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
1. チオエステル基とニトロン結合とを有するチオエステルニトロン化合物。ただし前記チオエステルニトロン化合物は加水分解性シリル基又はシラノール基を有さない。
2. 下記式(I)で表される化合物である、上記1に記載のチオエステルニトロン化合物。
上記式(I)中、R11、R12はそれぞれ独立に炭化水素基であり、a1、a2、b1、b2はそれぞれ独立に0以上であり、a1+a2は1以上であり、b1+b2は0以上である。
3. 1分子中、前記ニトロン結合の数が1個である、上記1又は2に記載のチオエステルニトロン化合物。
4. 1分子中、前記チオエステル基の数が1個である、上記1〜3のいずれかに記載のチオエステルニトロン化合物。
5. 前記チオエステル基が、カルボキシ基とニトロン結合とを有するカルボキシニトロン化合物とチオールとによって形成される、上記1〜4のいずれかに記載のチオエステルニトロン化合物。
6.カルボキシ基とニトロン結合とを有するカルボキシニトロン化合物とチオールとを反応させることによって上記1〜5のいずれかに記載のチオエステルニトロン化合物を製造する、チオエステルニトロン化合物の製造方法。
7. 上記1〜5のいずれかに記載のチオエステルニトロン化合物と合成ゼオライトとを含有し、不飽和結合を有するポリマーを変性する、変性剤組成物。
8. 上記1〜5のいずれかに記載のチオエステルニトロン化合物による変性基を有する変性ポリマー。
9. 主鎖及び側鎖からなる群から選ばれる少なくとも1種に前記変性基を有し、前記主鎖の変性基が下記式(II)で表される基であり、前記側鎖の変性基が下記式(III)で表される基である、上記8に記載の変性ポリマー。
上記式(II)中、R21、R22はそれぞれ独立に炭化水素基であり、a21、a22、b21、b22はそれぞれ独立に0以上であり、a21+a22は1以上であり、b21+b22は0以上である。
上記式(III)中、R31、R32はそれぞれ独立に炭化水素基であり、a31、a32、b31、b32はそれぞれ独立に0以上であり、a31+a32は1以上であり、b31+b32は0以上である。
10. 主鎖が、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルブタジエンゴム及び天然ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記8又は9に記載の変性ポリマー。
11. 更に不飽和結合を有する、上記8〜10のいずれかに記載の変性ポリマー。
12. 前記変性基の含有量が、前記変性基と前記不飽和結合との合計量に対して、0.01〜2モル%である、上記11に記載の変性ポリマー。
13. 不飽和結合を有する原料ポリマーと上記1〜5のいずれか1項に記載のチオエステルニトロン化合物又は上記7に記載の変性剤組成物とを反応させることによって上記8〜12のいずれかに記載の変性ポリマーを製造する、変性ポリマーの製造方法。
本発明のチオエステルニトロン化合物は、変性ポリマーの生産性に優れる。
本発明によれば、チオエステルニトロン化合物の製造方法、変性剤組成物、変性ポリマー及びその製造方法を提供することができる。
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルまたはメタクリロイルを表し、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを表す。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、成分が2種以上の物質を含む場合、上記成分の含有量とは、2種以上の物質の合計の含有量を指す。
本明細書において、変性ポリマーの生産性により優れることを「本発明の効果より優れる」という場合がある。
[チオエステルニトロン化合物]
本発明のチオエステルニトロン化合物(以下これを「本発明の化合物」とも称する。)は、チオエステル基とニトロン結合とを有するチオエステルニトロン化合物である。ただし本発明の化合物は加水分解性シリル基又はシラノール基を有さない。
(変性)
本発明の化合物は、不飽和結合を有するポリマーを変性(具体的にはチオエステル変性)することができる。つまり、本発明の化合物は、上記ポリマーにチオエステル基を導入することができる。
(不飽和結合を有するポリマーと本発明の化合物との反応)
本発明において、不飽和結合を有するポリマーと本発明の化合物とを反応させると、上記ポリマーが有する不飽和結合と本発明の化合物が有するニトロン結合とが反応することによって、上記ポリマーにチオエステル基を導入することができる。上記チオエステル基は本発明の化合物に由来する。
(変性基)
本発明において、上記不飽和結合と上記ニトロン結合との反応によって、不飽和結合を有するポリマーに例えば環構造(例えば、イソオキサゾリジン環のような5員環)を有する変性基を形成することができる。上記変性基は上記環構造の他にチオエステル基を有する。上記チオエステル基は本発明の化合物に由来する。
(変性ポリマー)
本発明において、本発明の変性ポリマーは本発明の化合物で形成される変性基(例えば、上記のような環構造及びチオエステル基を有する変性基)を有する。
本発明の化合物と不飽和結合を有するポリマーとを反応させることによって、本発明の変性ポリマーを得ることができる。
(不飽和結合)
本発明において、不飽和結合を有する原料ポリマー又は不飽和結合を更に有する変性ポリマーにおける不飽和結合は不飽和炭素炭素結合を意味する。不飽和結合としては、二重結合(C=C)、三重結合(C≡C)が挙げられ、二重結合が好ましい態様の1つとして挙げられる。二重結合としては−C=C−又は−C=Cが挙げられる。二重結合を構成する炭素原子はそれぞれ独立に水素原子又は置換基と結合することができる。上記炭素原子はそれぞれ水素原子と結合することが好ましい。
本発明の化合物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
従来、ジフェニルニトロンのようなニトロン結合以外の官能基を有さないニトロン化合物は変性率が低かった。
一方、ニトロン結合以外の官能基を更に有するニトロン化合物による変性率は低い場合があった。これは、上記官能基を更に有する従来のニトロン化合物は融点が高く、変性温度を高くしなければ上記ニトロン化合物が系内に溶融せず原料ポリマーと反応しにくいこと、また、変性温度を高くすることによって原料ポリマーがゲル化する場合があることが原因と考えられた。
これに対して本発明の化合物は変性ポリマーの生産性に優れた。これは、ニトロン化合物にチオエステル基を導入することによってニトロン化合物の融点を大幅に下げることができたためであると推測された。このため、従来と同じ程度の変性温度(170℃程度)において、本発明の化合物は従来のニトロン化合物よりも系内で溶解しやすく、原料ポリマーとの変性率が高くなったと考えられる。また、本発明の化合物を用いれば変性温度130℃の条件下で、170℃の条件下での変性と同様な変性率を得ることができることが検証された。
さらに、天然ゴムは従来のニトロン化合物では変性しにくかった。本発明においては天然ゴムと本発明の化合物とを反応させることによって、天然ゴムの変性を効率的に実現させることができた。
また、本発明の化合物は加水分解性シリル基又はシラノール基のような自己縮合官能基を含まないことによってゲル化が発生しないため、生産性に優れると考えられる。
このように、本発明の化合物は所定の官能基(チオエステル基)を有し、チオエステル基を有することよって本発明の化合物は融点が低くなるため、変性ポリマーの生産性(例えば、変性温度を低くしても変性率に優れる。天然ゴムを効率的に変性することができる。等)に優れると考えられる。
<チオエステル基>
本発明の化合物はチオエステル基を有する。チオエステル基は−CO−S−で表される基である。
チオエステル基はチオエステル基が有する硫黄原子において有機基(R)と結合することができる。
(R:有機基)
チオエステル基の硫黄原子に結合する有機基は特に制限されない。例えば、炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(直鎖状、分岐状、環状を含む。)、芳香族炭化水素基、又はこれらの組合せが挙げられる。炭化水素基は不飽和結合を有してもよい。炭化水素基の炭素数は1〜20とすることができる。
Rとしての炭化水素基は脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましい。脂肪族炭化水素基は飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
Rとしての炭化水素基の炭素数は20以下が好ましく、5〜15がより好ましい。
Rとしての炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。
本発明の化合物は1分子中にチオエステル基を1〜4個有することができる。本発明の化合物1分子中のチオエステル基の数は本発明の効果により優れるという観点から1個が好ましい。
<ニトロン結合>
本発明の化合物はニトロン結合を有する。ニトロン結合は下記式(1)で表される基である。
式(1)中、*は結合位置を表す。
なお、本発明において、ニトロン結合は下記式で表される場合がある。*は結合位置を表す。
本発明の化合物は1分子中にニトロン結合を1〜3個有することができる。本発明の化合物1分子中のニトロン結合の数は本発明の効果により優れるという観点から1個が好ましい。
(チオエステル基とニトロン結合とを介する有機基)
チオエステル基とニトロン結合とは有機基を介して結合することができる。
有機基は特に制限されない。例えば、ヘテロ原子を有してもよい、炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基は上記と同様である。なかでも、芳香族炭化水素基が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
有機基が有してもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン等が挙げられる。ヘテロ原子は別のヘテロ原子、炭素原子又は水素原子と結合して官能基を構成してもよい。このような官能基としては、例えば、カルボキシ基が挙げられる。
本発明の化合物は上記官能基を有さないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明の化合物が更に上記官能基を有する場合、官能基の数は、チオエステルニトロン化合物1分子中、1〜6個とすることができる。
本発明の化合物としては、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
式(I)中、R11、R12はそれぞれ独立に炭化水素基である。R11、R12としての炭化水素基は上記Rと同様である。
a1、a2、b1、b2はそれぞれ独立に0以上である。
a1、a2はそれぞれ独立に3以下が好ましい。
a1+a2は1以上であり、4以下とすることができ、1が好ましい。
a1が1であり、a2が0であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
b1、b2はそれぞれ独立に6以下とすることができ、1以下が好ましい。b1、b2が同時に0であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
b1+b2は0以上であり、6以下とすることができ、0が好ましい。
チオエステルニトロン化合物としては、具体的には例えば、下記式(IV)で表される化合物が挙げられる。
(IV)
本発明の化合物は、加水分解性シリル基又はシラノール基を有さない。
本発明の化合物は、加水分解性シリル基又はシラノール基のような自己縮合官能基を有さないことによって、原料ポリマーを変性する際、ゲル化を抑制することができ、生産性に優れる。
(加水分解性シリル基)
加水分解性シリル基は、ケイ素原子に加水分解性基が結合した基である。
加水分解性基としては、例えば、−OR51で表される基が挙げられる。R51は炭化水素基である。炭化水素基はチオエステル基が有するRと同様である。−OR51としては例えば、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基;フェニノキシ基が挙げられる。
加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシシリル基、フェノキシシリル基が挙げられる。
1個の加水分解性シリル基が有する加水分解性基は1〜3個とできる。
1個の加水分解性シリル基が有する加水分解性基が1〜2個である場合、上記ケイ素原子に結合する、加水分解性基以外の基は特に制限されない。例えば、炭化水素基が挙げられる。
(シラノール基)
シラノール基は、ケイ素原子にヒドロキシ基が結合した基である。
1個のシラノール基が有するヒドロキシ基は1〜3個とできる。
1個のシラノール基が有するヒドロキシ基が1〜2個である場合、上記ケイ素原子に結合する、ヒドロキシ基以外の基は特に制限されない。例えば、炭化水素基が挙げられる。
本発明の化合物の融点は80〜230℃が好ましい。チオエステルニトロン化合物の融点はJIS 0064−1992(目視による融点測定方法)に準じて測定することができる。
本発明の化合物は、不飽和結合を有するポリマーを変性することができる。
本発明の化合物が有するチオエステル基は、カルボキシ基とニトロン結合とを有するカルボキシニトロン化合物とチオールとによって形成されることが好ましい態様の1つとして挙げられる。カルボキシニトロン化合物、チオールについては後述する。
[チオエステルニトロン化合物の製造方法]
本発明のチオエステルニトロン化合物の製造方法は、カルボキシ基とニトロン結合とを有するカルボキシニトロン化合物とチオールとを反応させることによって、本発明のチオエステルニトロン化合物を製造する、チオエステルニトロン化合物の製造方法である。
<カルボキシニトロン化合物>
本発明のチオエステルニトロン化合物の製造方法に使用されるカルボキシニトロン化合物は、カルボキシ基(−COOH)とニトロン結合とを有する化合物である。
カルボキシ基とニトロン結合とは有機基を介して結合することができる。
有機基は特に制限されない。例えば、上述の、チオエステル基とニトロン結合とを介する有機基と同様である。
カルボキシニトロン化合物としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
式(3)中、mおよびnはそれぞれ独立に0以上である。mおよびnはそれぞれ独立に4以下とすることができ、2以下が好ましい。
mとnとの合計は1以上である。mとnとの合計は10以下とすることができ、4以下が好ましく、1がより好ましい。
カルボキシニトロン化合物としては、具体的には例えば、下記式(3−1)〜式(3−6)で表される化合物が挙げられる。

<チオール>
本発明のチオエステルニトロン化合物の製造方法に使用されるチオールは、メルカプト基を有する化合物である。
メルカプト基が結合する基は特に制限されない。例えば、有機基が挙げられる。上記有機基は、上述のチオエステル基の硫黄原子に結合できるRと同様である。
1分子のチオールが有するメルカプト基の数は特に制限されない。チオール1分子が有するメルカプト基の数は1個であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
チオールとしては、例えば、例えば、メタンチオール、エタンチオール、ブタンチオール、ヘキサンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオールのようなアルキルチオールが挙げられる。
カルボキシニトロン化合物とチオールとの使用量は、カルボキシニトロン化合物が有するカルボキシ基に対する、チオールが有するメルカプト基のモル比(SH/COOH)が0.2〜1.2となる量とすることができる。
カルボキシニトロン化合物とチオールとの反応には、例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンのような触媒を更に用いることが好ましい態様の1つとして挙げられる。触媒の使用量は特に制限されない。
上記温度は、0〜30℃とすることができる。
また、上記反応は溶媒中で行うことができる。溶媒は上記反応に不活性であれば特に制限されない。例えば、ジクロロメタンのような有機溶媒を用いることができる。
カルボキシニトロン化合物とチオールとの反応には、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなカルボジイミドを更に用いることが好ましい態様の1つとして挙げられる。カルボキシニトロン化合物とカルボジイミドがカップリング反応してエステルを形成し、上記エステルとチオールとが反応してチオエステルニトロン化合物を生成することができる。
カルボジイミドの使用量は、カルボキシニトロン化合物が有するカルボキシ基1モルに対して、0.8〜1.5モルとすることができる。
反応が完了した後、精製によって本発明のチオエステルニトロン化合物を得ることができる。精製の方法は特に制限されない。
(本発明の化合物を適用することができる原料ポリマー)
本発明の化合物を適用することができる、不飽和結合(例えば二重結合)を有するポリマー(原料ポリマー)は特に制限されない。
不飽和結合を有する原料ポリマーとしては、例えば、ジエン系ゴムが挙げられる。その具体例としては例えば、天然ゴム(NR)(NRは脱タンパクされた天然ゴムを含む。)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム(例えばスチレンブタジエンゴム(SBR))、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。
なかでも、ブタジエンゴム、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム、天然ゴムが好ましい。
[変性剤組成物]
本発明の変性剤組成物は、本発明の化合物と合成ゼオライトとを含有し、不飽和結合を有するポリマーを変性する、変性剤組成物である。
本発明の変性剤組成物は、本発明の化合物を含有するため、不飽和結合を有するポリマーを変性することができる。なお、上記不飽和結合を有するポリマーは上記原料ポリマーと同義である。
本発明の化合物又は本発明の変性剤組成物を適用する原料ポリマーは、不純物を含有する場合がある。原料ポリマーが天然ゴムである場合、天然ゴムに含有される不純物としては例えばタンパク質が挙げられる。本発明者らは、上記のような不純物が本発明の化合物を分解し、これによって、変性ポリマーの生産性を低下させる場合があることを知見した。
このような問題に対し、本発明者らは、本発明の変性剤組成物が合成ゼオライトを含有することによって、合成ゼオライトが原料ポリマーに含有される不純物を吸着することを見出した。このように、原料ポリマーに含有される不純物を合成ゼオライトで不活性化し、本発明の化合物が不純物によって分解されることを抑制することによって、本発明の化合物の反応効率を高くし、変性ポリマーをより効率的に生産できるようになったと推測される。
<チオエステルニトロン化合物>
本発明の変性剤組成物に含有されるチオエステルニトロン化合物は本発明の化合物であれば特に制限されない。
<合成ゼオライト>
本発明の変性剤組成物に含有される合成ゼオライトは、特に制限されない。
合成ゼオライトの具体例としては、例えば、Na2O・Al23・2SiO2・sH2O(2≦s≦7)、Na2O・Al22・3SiO2・sH2O(2≦s≦7)、CaO・Al22・3SiO2・sH2O(2≦s≦7)のようなアルミノケイ酸塩が挙げられる。
合成ゼオライトは粉末であることが好ましい。
合成ゼオライトの平均粒子径は10μm以下が好ましい。
本発明において、合成ゼオライトの平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて体積基準の粒度分布を測定して求めることができる、累積50%における粒子径(50%体積累積径)をいう。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、堀場製作所製のLA−500(商品名)に準ずる装置が挙げられる。
合成ゼオライトはその製造方法について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。合成ゼオライトはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の化合物に対する合成ゼオライトの質量比(合成ゼオライト/本発明の化合物)は1.5〜30が好ましく、2〜15がより好ましく、3〜10が更に好ましい。
本発明の変性剤組成物は、更に、添加剤を含有することができる。添加剤としては例えば、本発明の化合物以外の変性剤、合成ゼオライト以外の無機物が挙げられる。上記添加剤の含有量は本発明の変性剤組成物全量に対して、0〜1質量%とすることができる。
また、本発明の変性剤組成物は、本発明の化合物と合成ゼオライトとだけを含有するものとすることができる。
本発明の変性剤組成物はその製造方法について特に制限されない。例えば、本発明の化合物と、合成ゼオライトと、必要に応じて使用することができる添加剤とを混合することによって製造することができる。
本発明の変性剤組成物を適用することができる原料ポリマーは不飽和結合を有するものであれば特に制限されない。例えば、上記と同様のものが挙げられる。なかでも天然ゴムが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明の変性剤組成物を適用することができる原料ポリマーは、合成ゼオライトが原料ポリマーに含まれる不純物(例えば、天然ゴムに由来するタンパク質)を除去することができるという観点から、不純物として例えばタンパク質を含んでもよい天然ゴムが好ましい態様の1つとして挙げられる。
[変性ポリマー]
本発明の変性ポリマーは、本発明のチオエステルニトロン化合物(本発明の化合物)による変性基を有する変性ポリマーである。
<変性基>
本発明の変性ポリマーは、本発明の化合物による変性基を有する。上記変性基は、環構造(例えばイソオキサゾリジン環のような5員環)及びチオエステル基を有する。
本発明の変性ポリマーは、主鎖及び側鎖からなる群から選ばれる少なくとも1種に変性基を有することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また、本発明の変性ポリマーの主鎖の少なくとも一部又は側鎖の少なくとも一部が変性基を有することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
主鎖が有する変性基としては、例えば、下記式(II)で表される基が挙げられる。
側鎖が有する変性基としては、例えば、下記式(III)で表される基が挙げられる。
式(II)中、R21、R22はそれぞれ独立に炭化水素基であり、a21、a22、b21、b22はそれぞれ独立に0以上であり、a21+a22は1以上であり、b21+b22は0以上である。
式(II)の、R21、R22、a21、a22、b21、b22、a21+a22、b21+b22は、それぞれ、式(I)の、R11、R12、a1、a2、b1、b2、a1+a2、b1+b2と同様である。
式(III)中、R31、R32はそれぞれ独立に炭化水素基であり、a31、a32、b31、b32はそれぞれ独立に0以上であり、a31+a32は1以上であり、b31+b32は0以上である。
式(III)の、R31、R32、a31、a32、b31、b32、a31+a32、b31+b32は、それぞれ、式(I)の、R11、R12、a1、a2、b1、b2、a1+a2、b1+b2と同様である。
(変性ポリマーの主鎖)
本発明の変性ポリマーの主鎖(主鎖骨格)は、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム及び天然ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の変性ポリマーは、更に不飽和結合(例えば、二重結合)を有することが好ましい。上記不飽和結合は主鎖及び側鎖うちのいずれにあってもよい。
(変性基の含有量:変性率)
変性基の含有量(変性率)は、本発明の変性ポリマーが有する、変性基と不飽和結合(例えば、二重結合)との合計量に対して、0.01〜2モル%であることが好ましく、0.05〜1.5モル%がより好ましい。
変性ポリマーの主鎖が天然ゴムである場合、変性基の含有量は、変性ポリマーが有する、変性基と不飽和結合(例えば、二重結合)との合計量に対して、0.01〜2モル%であることが好ましく、0.03〜1.5モル%がより好ましく、0.05〜1.5モル%が更に好ましい。
変性ポリマーの主鎖が天然ゴム以外である場合、変性基の含有量は、変性ポリマーが有する、変性基と不飽和結合(例えば、二重結合)との合計量に対して、0.01〜2モル%であることが好ましく、0.05〜1.5モル%がより好ましく、0.1〜1.5モル%が更に好ましい。
なお、本発明において、変性率は、変性ポリマーが有する変性基と不飽和結合(例えば二重結合)との合計量に対する上記変性基の含有量(モル%)を意味する。変性率を、変性ポリマーの変性率、または、上記のように変性基の含有量と称する場合がある。
[変性ポリマーの製造方法]
本発明の変性ポリマーの製造方法は、不飽和結合を有する原料ポリマーと本発明のチオエステルニトロン化合物又は本発明の変性剤組成物とを反応させることによって、本発明の変性ポリマーを製造する、変性ポリマーの製造方法である。本発明の変性ポリマーの製造方法において使用される、本発明の化合物又は本発明の変性剤組成物を「変性剤等」と称する場合がある。また本発明の変性剤組成物に含有されるチオエステルニトロン化合物は本発明の化合物と同義である。
<原料ポリマー>
本発明の変性ポリマーの製造方法に使用される原料ポリマーは不飽和結合(例えば二重結合)を有する重合体であれば特に制限されない。例えば、ジエン系ゴムが挙げられる。
なかでも、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム及び天然ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
原料ポリマーの重量平均分子量は特に制限されない。
原料ポリマーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(チオエステルニトロン化合物)
本発明の変性ポリマーの製造方法に使用されるチオエステルニトロン化合物は本発明のチオエステルニトロン化合物(本発明の化合物)であれば特に制限されない。
チオエステルニトロン化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
チオエステルニトロン化合物の使用量は、原料ポリマー100質量部に対して、0.1〜5.0質量部であることが好ましく、1.0〜3.0質量部がより好ましい。
(変性剤組成物)
本発明の変性ポリマーの製造方法に使用することができる変性剤組成物は本発明の変性剤組成物であれば特に制限されない。
変性剤組成物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
変性剤組成物の使用量は、原料ポリマー100質量部に対して、0.5〜25質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が更に好ましい。
上記反応によって、原料ポリマーが有する不飽和結合(例えば二重結合)はチオエステルニトロン化合物で変性される。上記不飽和結合(例えば二重結合)とチオエステルニトロン化合物とによって、変性基を形成することができる。
原料ポリマーが有する不飽和結合(例えば二重結合)のうちの0.01〜2モル%がチオエステルニトロン化合物で変性されることが好ましく、0.05〜1.5モル%がより好ましい。
原料ポリマーが天然ゴムである場合、原料ポリマーが有する不飽和結合(例えば二重結合)のうちの0.01〜2モル%がチオエステルニトロン化合物で変性されることが好ましく、0.03〜1.5モル%がより好ましく、0.05〜1.5モル%が更に好ましい。
原料ポリマーが天然ゴム以外である場合、原料ポリマーが有する不飽和結合(例えば二重結合)のうちの0.01〜2モル%がチオエステルニトロン化合物で変性されることが好ましく、0.05〜1.5モル%がより好ましく、0.1〜1.0モル%が更に好ましい。
原料ポリマーが有する不飽和結合が例えば−CH=CH−である場合、上記不飽和結合はチオエステルニトロン化合物が有するニトロン結合と下記式(4)で表される反応をすることができる。
原料ポリマーが有する不飽和結合が例えば−CH=CH2である場合、上記不飽和結合はチオエステルニトロン化合物が有するニトロン結合と下記式(5)で表される反応をすることができる。
原料ポリマーと上記変性剤等を混合して加熱することによって、原料ポリマーが有する不飽和結合(例えば二重結合)を変性し、本発明の変性ポリマーを製造することができる。原料ポリマーが有する不飽和結合と本発明の変性剤との反応によって、チオエステル基を有する変性基を形成することができる。
変性する際の温度(変性温度)は、通常、130〜200℃とすることができ、150℃以上が好ましい。
原料ポリマーがスチレンブタジエンゴムである場合、変性温度は160〜170℃が好ましい。
原料ポリマーが天然ゴムである場合、変性温度は170℃以下が好ましい。
本発明の変性ポリマーは未反応のチオエステルニトロン化合物を含んでもよい。
本発明の変性ポリマーの用途は特に制限されない。例えば、ゴム組成物に使用することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
(カルボキシニトロン化合物の合成)
2Lナスフラスコに、40℃に温めたメタノール(900mL)を入れ、ここに、下記式(3)で表されるテレフタルアルデヒド酸(30.0g)を加えて溶かした。この溶液に、下記式(2)で表されるフェニルヒドロキシアミン(21.8g)をメタノール(100mL)に溶かしたものを加え、室温で19時間撹拌した。撹拌終了後、メタノールからの再結晶により、下記式(4)で表されるカルボキシニトロン化合物(N−フェニル−α−(4−カルボキシフェニル)ニトロン)を得た(41.7g)。収率は86%であった。
<チオエステルニトロン化合物の製造>
まず、200mLのナスフラスコ内で、上記のとおり合成されたカルボキシニトロン化合物12g、ジメチルアミノピリジン(東京化成社製)0.72g及び1−ドデカンチオール(東京化成社製)11gをCH2Cl2(関東化学社製)120mLに溶かし混合液とした。
次に、上記混合液を攪拌しながら、上記混合液にジシクロヘキシルカルボジイミド(関東化学社製)13.2gを少量ずつ5分かけて加えた。その後、常温で3日間攪拌してN−フェニル−α−(4−カルボキシフェニル)ニトロンと1−ドデカンチオールとを反応させた。
反応完了後、反応液をシリカゲルでろ過して、ろ過によって得られた固体を酢酸エチルで洗浄し、最後に溶媒を留去して、目的のチオエステルニトロン化合物(ニトロンチオエステル。下記式(IV)で表される化合物。)を得た(15g、収率70%)。
(IV)
式(IV)で表される化合物の1H−NMR(nuclear magnetic resonance)の化学シフトは以下のとおりであった。
δ(ppm)(溶媒CDCl3、400MHz、標準物質TMS:テトラメチルシラン):8.45(2H, d)、8.09(2H, d)、8.00(1H, s)、7.80(2H, m)、7.52(1H, m)、3.15(2H, t)、1.78(2H, m)、1.27(18H, m)、0.87(3H, t)
式(IV)で表される化合物の融点は92℃であった。
<比較ニトロン化合物1(ジフェニルニトロン)の合成>
300mLナスフラスコに、下記式(6)で表されるベンズアルデヒド(42.45g)およびエタノール(10mL)を入れ、ここに、下記式(5)で表されるフェニルヒドロキシアミン(43.65g)をエタノール(70mL)に溶かしたものを加え、室温で22時間撹拌した。撹拌終了後、エタノールからの再結晶により、下記式(7)で表されるジフェニルニトロンを白色の結晶として得た(65.40g)。ジフェニルニトロンの融点は114℃であった。
<変性ポリマーの製造>
下記各表において、各表に示す各成分を同表に示す組成(質量部)で用いて、これらをミキサーで混合し、同表に示す変性温度、変性時間で反応させて、各変性ポリマーを製造した。
なお、下記各表において使用されたチオエステルニトロン化合物と比較ニトロン化合物とのモル数は同じである。
<評価>
上記のとおり製造された各変性ポリマーについて以下の評価を行った。結果を各表に示す。
・変性ポリマーの変性率(モル%)
実施例で得られた各変性ポリマーの変性率は、具体的には以下のとおり求めた。すなわち、原料ポリマー及び変性ポリマーの1H−NMR(nuclear magnetic resonance spectroscopy)を測定した(溶媒CDCl3、400MHz、標準物質TMS:テトラメチルシラン)。
上記測定により、本発明の化合物又は比較ニトロン化合物2について、8.08ppm付近(カルボニル基に隣接する2つのプロトンに帰属する)のピーク面積を測定し、その結果から変性ポリマーの変性率を求めた。上記のとおり求められた変性率を各表において「変性率」として示す。
比較例で得られた、比較ニトロン化合物1による各変性ポリマーの変性率について、本出願人は以前、変性ポリマーの変性率(単位:モル%)とTg(ガラス転移温度)の変化率との間に比例関係が成り立つことを見出した。本明細書においてはこの知見に基いて、下記式から、比較例で得られた、比較ニトロン化合物1による各変性ポリマーの変性率(単位:モル%)を求めた。
変性率=ΔTg/3.6
ΔTg=(比較例で得られた、比較ニトロン化合物1による各変性ポリマーのTg)−(未変性ポリマーのTg)
なお、示唆操作熱量測定(DSC)装置(METTLER TOLEDO社製 DSC823e)を用いて、昇温速度10℃/分で−130℃から40℃まで加熱して、比較ニトロン化合物1による各変性ポリマー、又は、未変性ポリマー(原料ポリマー)のガラス転移温度(単位:℃)を測定した。
・ニトロン反応率(モル%)
ニトロン反応率(ニトロン化合物の反応効率)は、原料ポリマーと反応させたニトロン化合物に対する、変性ポリマーに導入されたニトロン化合物のモル%である。
第1表及び第2表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・原料ポリマー1(SBR):溶液重合によって製造されたスチレンブタジエンゴム。商品名E581、旭化成ケミカルズ社製。正味のSBR100質量部に対する油展量37.5質量部。重量平均分子量1,200,000。
・原料ポリマー2(BR):ブタジエンゴム。商品名UBEPOL VCR412、宇部興産社製。重量平均分子量850,000。
・原料ポリマー3(NR);天然ゴム。PT.NUSIRA(SAD)社製。タンパク質が除去されていない。
・原料ポリマー4(脱タンパクNR);タンパク質が除去された天然ゴム。商品名Pureprene、The Malaysian Rubber Board(MRB)社製
・チオエステルニトロン化合物:上記のとおり製造したチオエステルニトロン化合物。融点92℃
・比較ニトロン化合物1(DNP):上記のとおり製造したジフェニルニトロン。ジフェニルニトロンはニトロン結合以外に官能基を有さない。融点114℃
・比較ニトロン化合物2:上記のとおり製造した上記式(4)で表されるカルボキシニトロン化合物。チオエステル基を有さない。上記カルボキシニトロン化合物は240℃以上で分解した。
・合成ゼオライト1:商品名モレキュラーシーブ5A、巴工業社製、平均粒子径10μm以下、Na2O・Al23・2SiO2・sH2O(2≦s≦7)
第1表に示す結果から明らかなように、天然ゴム以外のジエン系ゴムの変性において本発明の化合物以外のニトロン化合物を使用する場合(比較例1、2)、変性温度が170℃から130℃に下がると、これに伴って、変性率、ニトロン反応率が大きく低下した。比較例4、5も同様の結果であった。
これに対して、天然ゴム以外のジエン系ゴムの変性において本発明の化合物を使用する実施例1、2は高い変性率を維持することができ、変性ポリマーの生産性に優れた。
また、実施例1、2を比較すると、実施例2は実施例1よりも変性温度が低いものの、実施例2の変性率、ニトロン反応率は実施例1とほぼ同等であった。
次に、天然ゴムの変性において本発明の化合物以外の比較ニトロン化合物1又は2を使用する比較例3、6は変性率が低かった。
これに対して、天然ゴムの変性において本発明の化合物を使用する実施例3、4及び第2表の実施例5〜8(なお第2表の実施例3は第1表の実施例3と同じである。)は天然ゴムを効率的に変性することができ、変性ポリマーの生産性に優れた。
第1表において実施例3、4を比較すると、実施例4は実施例3よりも変性温度が低くとも、天然ゴムをより効率的に変性することができ、変性ポリマーの生産性により優れた。
以上のとおり、本発明の化合物は変性ポリマーの生産性に優れる。
また、第2表に示す結果から明らかなように、合成ゼオライトがない条件において、脱タンパクされた天然ゴムを本発明の化合物で変性する実施例5は、脱タンパクされていない天然ゴムを変性する実施例3よりも変性ポリマーの生産性により優れた。
このことは、原料ポリマーに含有されるタンパク質のような不純物によって本発明の化合物が分解される可能性を示唆すると考えられた。
これに対して、本発明の変性剤組成物を使用する場合(実施例6〜8)、合成ゼオライトを使用しない実施例3よりも変性ポリマーの生産性により優れた。
このように、本発明の変性剤組成物を使用することによって、変性ポリマー(特に原料ポリマーが天然ゴムである場合)の生産性により優れた。

Claims (13)

  1. チオエステル基とニトロン結合とを有するチオエステルニトロン化合物。ただし請求項1のチオエステルニトロン化合物は加水分解性シリル基又はシラノール基を有さない。
  2. 下記式(I)で表される化合物である、請求項1に記載のチオエステルニトロン化合物。
    上記式(I)中、R11、R12はそれぞれ独立に炭化水素基であり、a1、a2、b1、b2はそれぞれ独立に0以上であり、a1+a2は1以上であり、b1+b2は0以上である。
  3. 1分子中、前記ニトロン結合の数が1個である、請求項1又は2に記載のチオエステルニトロン化合物。
  4. 1分子中、前記チオエステル基の数が1個である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のチオエステルニトロン化合物。
  5. 前記チオエステル基が、カルボキシ基とニトロン結合とを有するカルボキシニトロン化合物とチオールとによって形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のチオエステルニトロン化合物。
  6. カルボキシ基とニトロン結合とを有するカルボキシニトロン化合物とチオールとを反応させることによって請求項1〜5のいずれか1項に記載のチオエステルニトロン化合物を製造する、チオエステルニトロン化合物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のチオエステルニトロン化合物と合成ゼオライトとを含有し、不飽和結合を有するポリマーを変性する、変性剤組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のチオエステルニトロン化合物による変性基を有する変性ポリマー。
  9. 主鎖及び側鎖からなる群から選ばれる少なくとも1種に前記変性基を有し、前記主鎖の変性基が下記式(II)で表される基であり、前記側鎖の変性基が下記式(III)で表される基である、請求項8に記載の変性ポリマー。
    上記式(II)中、R21、R22はそれぞれ独立に炭化水素基であり、a21、a22、b21、b22はそれぞれ独立に0以上であり、a21+a22は1以上であり、b21+b22は0以上である。
    上記式(III)中、R31、R32はそれぞれ独立に炭化水素基であり、a31、a32、b31、b32はそれぞれ独立に0以上であり、a31+a32は1以上であり、b31+b32は0以上である。
  10. 主鎖が、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルブタジエンゴム及び天然ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8又は9に記載の変性ポリマー。
  11. 更に不飽和結合を有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の変性ポリマー。
  12. 前記変性基の含有量が、前記変性基と前記不飽和結合との合計量に対して、0.01〜2モル%である、請求項11に記載の変性ポリマー。
  13. 不飽和結合を有する原料ポリマーと請求項1〜5のいずれか1項に記載のチオエステルニトロン化合物又は請求項7に記載の変性剤組成物とを反応させることによって請求項8〜12のいずれか1項に記載の変性ポリマーを製造する、変性ポリマーの製造方法。
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