JP5831354B2 - ゴム用配合剤、ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

ゴム用配合剤、ゴム組成物及びタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、加水分解性シリル基、チオエステル基及びカルボキシル基を同一分子内に含む有機ケイ素化合物を含むゴム用配合剤、該ゴム用配合剤を配合してなるゴム組成物並びに該ゴム組成物を用いたタイヤに関するものである。
含硫黄有機ケイ素化合物は、タイヤの製造に用いられるシリカ充填ゴム組成物に配合する成分として有用である。シリカ充填タイヤは、自動車用途で向上した性能、特に耐磨耗性、転がり抵抗及びウェットグリップ性に優れる。こういった性能向上は、タイヤの低燃費性向上と密接に関連しており、昨今盛んに研究されている。
低燃費性向上には、ゴム組成物のシリカ充填率を上げることが必須であるが、シリカ充填ゴム組成物は、タイヤの転がり抵抗を低減し、ウェットグリップ性を向上させるものの、未加硫粘度が高く、多段練り等を要し、作業性に問題がある。そのためシリカ等の無機充填剤を単に配合したゴム組成物においては、充填剤の分散が不足し、破壊強度及び耐磨耗性が大幅に低下するといった問題が生じる。そこで、無機充填剤のゴム中への分散性向上、並びに充填剤とゴムマトリックスの化学結合をさせるため、含硫黄有機ケイ素化合物が必須であった。
含硫黄有機ケイ素化合物としては、アルコキシシリル基とポリスルフィドシリル基を分子内に含む化合物、例えば、ビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィドやビス−トリエトキシシリルプロピルジスルフィド等が有効であることが知られている。
上記ポリスルフィド基を有する有機ケイ素化合物の他に、シリカの分散性に有利なチオエステル型の封鎖メルカプト基含有有機ケイ素化合物や、水素結合によるシリカとの親和性に有利な加水分解性シリル基部分にアミノアルコール化合物をエステル交換したタイプの含硫黄有機ケイ素化合物の応用も知られている。
しかしながら、上記のような含硫黄有機ケイ素化合物を使用しても所望の低燃費性を実現するタイヤ用ゴム組成物を得るには至っておらず、他にもスルフィド型の化合物と比較して高コストである他、製造法が複雑であることから生産性に問題があるなど種々課題が残されるものであった。
なお、本発明に関連する従来技術として、下記文献が挙げられる。
特公昭51−20208号公報 特表2004−525230号公報 特開2004−18511号公報 特開2005−8639号公報 特開2002−145890号公報 特開2008−150546号公報 特開2010−132604号公報 特許第4571125号公報 米国特許出願公開第2005/0245754号明細書 米国特許第6229036号明細書 米国特許第6414061号明細書
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、上記従来技術の問題を解決し、ゴム組成物の硬化物のヒステリシスロスを大幅に低下させる、加水分解性シリル基とチオエステル基とカルボキシル基を同一分子内に有する有機ケイ素化合物を含むゴム用配合剤、該ゴム用配合剤を配合してなるゴム組成物、並びに該ゴム組成物の硬化物を用いたタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、加水分解性シリル基及びメルカプト基を有する有機ケイ素化合物と、カルボン酸無水物との反応により、従来技術のような廃酸化合物の処理や塩の濾過を不要とする簡便且つ副生成物の少ないチオエステル基含有有機ケイ素化合物の新規製造方法を見出し、併せて加水分解性シリル基、チオエステル基及びカルボキシル基を同一分子内に有する有機ケイ素化合物を主成分とするゴム用配合剤を使用したゴム組成物が、所望の低燃費タイヤ特性を満足することを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記に示すゴム用配合剤、ゴム組成物及びタイヤを提供する。
〔1〕
記一般式(
Figure 0005831354

[式中、Bは直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、R 5 は独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R 6 は独立に酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数1〜20のアシル基であり、nは1〜3の整数、pは1〜10の整数である。Yはカルボキシル基と同一分子内又は他分子内の加水分解性シリル基とがエステル化反応により結合した下記一般式(6)
Figure 0005831354

(式中、波線は結合手を示し、R 5 ,R 6 ,B,pは上記と同じであり、mは0、1又は2である。)
で表される構造である。]
で示されるチオエステル基含有有機ケイ素化合物を含んでなるゴム用配合剤。
〔2〕
下記一般式(5a)
Figure 0005831354

[式中、Bは直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、R 5 は独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R 6 は独立に酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数1〜20のアシル基であり、nは1〜3の整数、pは1〜10の整数である。]
で示されるチオエステル基含有有機ケイ素化合物、及び下記一般式(5)
Figure 0005831354

[式中、Bは直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、R 5 は独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R 6 は独立に酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数1〜20のアシル基であり、nは1〜3の整数、pは1〜10の整数である。Yはカルボキシル基と同一分子内又は他分子内の加水分解性シリル基とがエステル化反応により結合した下記一般式(6)
Figure 0005831354

(式中、波線は結合手を示し、R 5 ,R 6 ,B,pは上記と同じであり、mは0、1又は2である。)
で表される構造である。]
で示されるチオエステル基含有有機ケイ素化合物を含んでなるゴム用配合剤。

更に、少なくとも1種の粉体(B)を含有してなり、前記チオエステル基含有有機ケイ素化合物(A)と少なくとも1種の粉体(B)との質量比が、(A)/(B)=70/30〜5/95の割合である〔1〕又は〔2〕記載のゴム用配合剤。

〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載のゴム用配合剤を配合してなるゴム組成物。

〕記載のゴム組成物の硬化物を用いたタイヤ。
本発明のチオエステル基含有有機ケイ素化合物の製造方法は、従来技術と比較し、反応に伴う副生成物が少なく、生産効率が高い。また、該製造方法により得られる加水分解性シリル基、チオエステル基及びカルボキシル基を同一分子内に有する有機ケイ素化合物は、従来のチオエステル基含有有機ケイ素化合物に比べ、カルボキシル基によるシリカとの相互作用並びにチオエステル基によるメルカプト保護効果によりシリカ近傍での反応性及び分散性の向上とゴム組成物加硫時の低スコーチ性を両立することが可能である。更にはカルボキシル基の一部が加水分解性シリル基と予めエステル化することにより、該シリル基が加水分解する際のVOC(揮発性有機化合物)が少なく、環境負荷も低減されうる。また、上記有機ケイ素化合物をゴム用配合剤として配合してなるゴム組成物を用いて製造されたタイヤは、ヒステリシスロスが低いものである。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明において「シランカップリング剤」は「有機ケイ素化合物」に含まれる。
本発明のチオエステル基含有有機ケイ素化合物の製造方法は、(a)メルカプト基及び加水分解性シリル基を有する有機ケイ素化合物と(b)カルボン酸無水物とを反応させることを特徴とする。本反応においては、従来技術のような廃酸化合物等の発生がないことから、相当する分離工程等を必要とせず、大幅な製造コストの低減が可能となる。
この場合、(a)成分としては、下記式(a)で示される有機ケイ素化合物が用いられ、(b)成分としては、下記式(b−1)又は(b−2)で示されるカルボン酸無水物が用いられる。
Figure 0005831354

(式中、R2は独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R3は独立に酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数1〜20のアシル基であり、Aは直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。)
Figure 0005831354

(式中、R’は炭素数1〜20、特に1〜10の一価炭化水素基、具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、アリール基、又はアラルキル基であり、Zは炭素数2〜20、特に2〜10の二価炭化水素基であり、具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニレン基、アリーレン基、又はアラルキレン基である。)
ここで、式(a)の有機ケイ素化合物と式(b−1)のカルボン酸無水物との反応により、下記式(1−1)
Figure 0005831354

で示されるチオエステル基含有有機ケイ素化合物、下記式(1−2)
Figure 0005831354

(式中、mは0,1又は2を示す。)
で示される化合物、又は上記式(1−1)と上記式(1−2)との混合物を得ることができる。
また、式(a)の有機ケイ素化合物と式(b−2)のカルボン酸無水物との反応により、下記式(1−3)
Figure 0005831354

で示される化合物、下記式(1−4)
Figure 0005831354

で示される化合物、又は式(1−3)と式(1−4)との混合物を得ることができる。なお、上記式(1−4)の末端COOHは更に同様のエステル反応が生じることがあり、また上記式(1−3)、(1−4)の各末端COOHが同一分子内又は他の分子のOR3と反応して架橋を形成してもよい。
[(a)メルカプト基及び加水分解性シリル基を有する有機ケイ素化合物]
(a)メルカプト基及び加水分解性シリル基を有する有機ケイ素化合物(以下、メルカプト基含有シランカップリング剤ともいう)は、一般に、メルカプト基含有シランカップリング剤として公知のものであれば特に制限されないが、具体的には、α−メルカプトメチルトリメトキシシラン、α−メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、α−メルカプトメチルジメチルメトキシシラン、α−メルカプトメチルトリエトキシシラン、α−メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、α−メルカプトメチルジメチルエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。市販品等で入手の簡便さと、加水分解時に発生するVOC(揮発性有機化合物)の毒性の観点から、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメチルエトキシシランが好ましく、より好ましくはγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランである。
[(b)カルボン酸無水物]
(b)カルボン酸無水物は、カルボン酸無水物構造を有する化合物であれば特に制限されず、試薬等で入手可能なものの具体例としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、カプロン酸無水物、カプリル酸無水物、ラウリン酸無水物、ステアリン酸無水物、シュウ酸無水物、マロン酸無水物、コハク酸無水物等の飽和脂肪族カルボン酸無水物や、アリルコハク酸無水物、マレイン酸無水物、オレイン酸無水物、リノレン酸無水物、リノール酸無水物といった不飽和脂肪族カルボン酸無水物、安息香酸無水物、フタル酸無水物、イソフタル酸無水物、テレフタル酸無水物といった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、ここに例示されたものに限らない。
[反応比]
本発明のチオエステル基含有有機ケイ素化合物の製造方法において、(a)メルカプト基及び加水分解性シリル基を有する有機ケイ素化合物と、(b)カルボン酸無水物との配合比は、反応性、生産性の点から、メルカプト基1molに対し、カルボン酸無水物基を0.7〜2.0mol、特に0.9〜1.5molの範囲で反応させることが好ましい。メルカプト基及び加水分解性シリル基を有する有機ケイ素化合物の配合量が少なすぎるとカルボン酸無水物が残存してしまうことがあり、ゴム用配合剤として使用する時にカルボン酸無水物由来の弊害が生じるおそれがある。一方、メルカプト基及び加水分解性シリル基を有する有機ケイ素化合物の配合量が多すぎると、ゴム用配合剤として使用した場合スコーチが生じやすくなるおそれがある。
[(c)反応触媒]
本発明のチオエステル基含有有機ケイ素化合物の製造方法は、必要に応じて(c)反応触媒を使用してもよい。反応触媒は一般に使用されるルイス塩基化合物でよく、好ましくは第3級アミン化合物や、ピリジン並びにその誘導体である。その中でもジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)が触媒活性の点より好ましい。
触媒の使用量は、メルカプト基含有シランカップリング剤1molに対して0.00001〜1molであることが好ましく、より好ましくは0.0001〜0.01molである。触媒の使用量が多すぎると効果が飽和し、非経済的であり、少なすぎると触媒効果が不足し、反応速度が遅く、生産性が低下するおそれがある。
[溶媒]
本発明のチオエステル基含有有機ケイ素化合物の製造方法は、必要に応じて溶媒を使用してもよい。溶媒は原料であるメルカプト基含有シランカップリング剤及びカルボン酸無水物と非反応性であれば特に限定されないが、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
[反応温度]
本発明において、(a)成分と(b)成分との反応温度は、好ましくは20〜150℃であり、より好ましくは30〜130℃、更に好ましくは40〜110℃の範囲である。反応温度が低すぎると、反応速度が遅く、生産性が低下するおそれがあり、高すぎるとその分の反応速度向上は確認されないため非経済的である。
[反応時間]
本発明において、(a)成分と(b)成分との反応時間は、反応が終了していれば特に限定されないが、好ましくは10分〜24時間、より好ましくは1〜10時間程度である。
上記メルカプト基と酸無水物基の反応により、チオエステル結合が形成され、従来技術のような廃酸化合物の処理を必要としないチオエステル基含有有機ケイ素化合物の製造方法が達成される。
本発明の製造方法により得られる化合物は、下記一般式(1)で示されるものである。
Figure 0005831354

(式中、R1は置換基を有してもよい一価炭化水素基であり、該置換基はカルボキシル基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸エステル基から選択される少なくとも1種であり、R2は独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R3は独立に酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数1〜20のアシル基であり、Aは直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、nは1〜3、好ましくは2又は3である。R4は二価炭化水素基であり、mは0,1又は2、好ましくは1又は2である。kは0〜10の整数、好ましくは0又は1、特に好ましくは0である。)
上記構造において、R1の置換基がカルボキシル基である場合、該カルボキシル基と同一分子内あるいは他分子内の加水分解性シリル基との間でエステル化反応(脱R3OH)が生じる可能性がある。この場合、末端OH基において、更に同様のエステル化反応(脱R3OH)が生じることもあり、同一分子内又は他分子のOR3と反応して架橋を形成してもよい。
上記式において、Aは直鎖状、分岐状又は環状の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の二価炭化水素基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基などの二価脂肪族炭化水素基(特にアルキレン基)、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などの二価芳香族炭化水素基(特にアリーレン基)が挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。特に好ましくは、Aは炭素数2〜6のアルキレン基である。
1は好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の置換基を有してもよい一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘプチル基、オクチル基、オクタデシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ビニル基、アリル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、ベンジル基等のアラルキル基などや、そのC−H部分にカルボキシル基、カルボン酸金属塩基、好ましくは炭素数1〜20のカルボン酸エステル基から選択される少なくとも1種の置換基が導入された基が挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。なお、置換基として、具体的には、COOH基などが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。特に好ましくは、R1は炭素数1〜10のアルキル基である。
2は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。特に好ましくは、R2は炭素数1〜3のアルキル基である。
また、R3は酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜20のアシル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、プロペニル基、フェニル基、アセチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基等のアルキルオキシアルキル基などが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。特に好ましくは、R3は炭素数1〜3のアルキル基である。
4として、具体的には、上記R1の一価炭化水素基より水素原子が1個脱離した2価炭化水素基である。特に好ましくは、R4は炭素数1〜10のアルキレン基である。
本発明の製造方法で得られた有機ケイ素化合物は、以下の構造(官能基)(i)〜(iii)を同一分子内に含有するものであることが好ましい。
(i)加水分解性シリル基
(ii)チオエステル構造
(iii)カルボキシル基又はそのアルカリ金属塩基
上記(i)〜(iii)の一連の構造を有する有機ケイ素化合物としては、下記一般式(3)で表されるものが例示できる。
Figure 0005831354

(式中、A’は直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、Bは直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、R5は独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R6は独立に酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜20のアシル基であり、Xは水素原子又はナトリウム、カリウム等のアルカリ金属であり、nは上記と同じである。)
上記構造において、X=Hである(即ち、カルボキシル基を有する)場合、カルボキシル基と同一分子内あるいは他分子内の加水分解性シリル基との間でエステル化反応(脱R6OH)が生じる可能性があり、それにより得られる構造は、下記一般式(4)で示すことができる。
Figure 0005831354

(式中、R5,R6,A’,B,mは上記と同じであり、波線は結合手である。なお、式(4)の末端カルボキシル基が更に同様のエステル化反応(脱R6OH)を生じる場合もあり、また同一分子内又は他分子のOR6と反応して架橋を形成してもよい。)
上記エステル化反応により得られる生成物は、シリカ充填用ゴム用配合剤として使用するに当たっては物性へ悪影響を与えない他、配合の際シリカ反応時に生成されるR6OH成分が予め除去されていることとなるため、結果としてはゴム組成物のVOC(揮発性有機化合物)の低減化に寄与するため好ましい。
上記構造について、より具体的には、下記一般式(5)
Figure 0005831354

(式中、R5,R6,B,nは上記と同じであり、pは1〜10、好ましくは2〜8の整数である。)
で表されるチオエステル基含有有機ケイ素化合物、及び/又は上記式(5)で表される化合物において、カルボキシル基と同一分子内又は他分子内の加水分解性シリル基とがエステル化反応により結合して、下記一般式(6)
Figure 0005831354

(式中、波線は結合手を示し、R5,R6,B,m,pは上記と同じである。なお、式(6)の末端カルボキシル基が更に同様のエステル化反応を生じる場合があり、また同一分子内又は他分子のOR6と反応して架橋を形成してもよい。)
で表される構造を分子内及び/又は分子間に有するチオエステル基及びカルボキシル基含有有機ケイ素化合物の分子内及び/又は分子間エステル交換体化合物が挙げられる。
上記式において、A’は直鎖状、分岐状又は環状の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜18の二価炭化水素基であり、上述したAで例示したものと同様のものが挙げられる。より好ましくは、A’は炭素数2〜6のアルキレン基である。
Bは直鎖状、分岐状又は環状の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜18の二価炭化水素基であり、二価炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基などが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。より好ましくは、Bは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜8のアルケニレン基、フェニレン基である。
5は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。より好ましくは、R5は炭素数1〜3のアルキル基である。
また、R6は酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基やアルコキシアルキル基、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜20のアシル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、プロペニル基、フェニル基、アセチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基等のアルキルオキシアルキル基などが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。より好ましくは、R6は炭素数1〜3のアルキル基である。
本発明のゴム用配合剤は、上記チオエステル基含有有機ケイ素化合物(A)を含んでなるものである。また、本発明の上記チオエステル基含有有機ケイ素化合物(A)を予め少なくとも1種の粉体(B)と混合したものをゴム用配合剤として使用することも可能である。粉体(B)としては、各種ゴム組成物でフィラーとして用いるカーボンブラック、タルク、炭酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム等が挙げられる。補強性の観点からシリカ及び水酸化アルミニウムが好ましく、シリカが特に好ましい。
粉体(B)の配合量は、成分(A)/(B)の質量比で70/30〜5/95、更に好ましくは60/40〜10/90の割合である。粉体(B)の量が少なすぎるとゴム用配合剤が液状となり、ゴム混練機への仕込みが困難となる場合がある。粉体(B)の量が多すぎるとゴム用配合剤の有効量に対し、全体量が多くなってしまい輸送費用が高くなる場合がある。
本発明のゴム用配合剤は、本発明の目的を損なわない範囲で脂肪酸、脂肪酸塩、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシアルキレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体等の有機ポリマーやゴムと混合されたものでもよく、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合してもよく、その形態として液体状でも固体状でもよく、更に有機溶媒に希釈したものでもよく、またエマルジョン化したものでもよい。
本発明のゴム用配合剤は、シリカ配合のゴム組成物に対して好適に用いられる。
この場合、上記ゴム用配合剤の添加量は、ゴム組成物に配合されるフィラー(上記粉体(B)を含む全フィラー)100質量部に対して本発明の有機ケイ素化合物を好ましくは0.2〜30質量部、特に好ましくは1〜20質量部添加するのが望ましい。有機ケイ素化合物の添加量が少なすぎると所望のゴム物性が得られないおそれがある。逆に多すぎると添加量に対して効果が飽和し、非経済的である。
ここで、本発明にかかるゴム用配合剤を用いるゴム組成物に主成分として配合されるゴムとしては、従来から各種ゴム組成物に一般的に配合されている任意のゴム、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムやエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR,EPDM)などを単独又は任意のブレンドとして使用することができる。また、配合されるフィラーとしては、シリカ、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。ここで、上記粉体(B)を含む全フィラーの配合量は、上記ゴム100質量部に対し20〜2,000質量部、特に40〜1,000質量部であることが好ましい。
本発明にかかるゴム用配合剤を用いるゴム組成物には、前述した必須成分に加えて、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができる。これら添加剤の配合量も本発明の目的に反しない限り従来の一般的な配合量とすることができる。
なお、これらのゴム組成物において、本発明の有機ケイ素化合物は、公知のシランカップリング剤の代わりをなすことも可能であるが、更に他のシランカップリング剤の添加は任意であり、従来からシリカ充填剤と併用される任意のシランカップリング剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよく、それらの典型例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド、ビス−トリエトキシシリルプロピルジスルフィド等を挙げることができる。
本発明のゴム用配合剤を配合してなるゴム組成物は、一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。なお、加硫は通常の公知の条件でよい。
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いて製造することを特徴とし、上記のゴム組成物の硬化物がトレッドに用いられていることが好ましい。本発明のタイヤは、転がり抵抗が大幅に低減されていることに加え、耐磨耗性も大幅に向上している。なお、本発明のタイヤは、従来公知の構造で特に限定はなく、通常の方法で製造できる。また、本発明のタイヤが空気入りのタイヤの場合、タイヤ内に充填する気体として通常のあるいは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記例中、部は質量部を示し、粘度、比重、屈折率は、25℃において測定した値である。また、GCはガスクロマトグラフィー、NMRは核磁気共鳴分光法の略である。粘度は毛細管式動粘度計による25℃における測定に基づく。
参考例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、無水酢酸102.1g(1.0mol)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.0g(0.01mol)、トルエン300gを納め、オイルバスにて70℃に加熱した。その中にγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製KBE−803)243.2g(1.0mol)を滴下し、その後70℃にて2時間加熱撹拌した。GC測定により原料のメルカプトシランピークが完全に消失し、代わりにチオエステル化したピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後反応溶液を減圧溜去し、トルエンを除去することで収量310.7gの無色透明液体を得た。得られた反応生成物は粘度2.7mm2/s、比重1.026、屈折率1.477であり、1H NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(7)、(8)に示す反応混合物であった。混合割合は、NMRにより、モル比として(7):(8)=85:15であった。
Figure 0005831354

(式中、Etはエチル基を示す。以下同じ。)
参考例2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、オクタン酸無水物270.4g(1.0mol)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.0g(0.01mol)、トルエン300gを納め、オイルバスにて70℃に加熱した。その中にγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製KBE−803)243.2g(1.0mol)を滴下し、その後70℃にて2時間加熱撹拌した。GC測定により原料のメルカプトシランピークが完全に消失し、代わりにチオエステル化したピークが生成したことを確認し、反応終了とした。その後反応溶液を減圧溜去し、トルエンを除去することで収量416.1gの黄色透明液体を得た。得られた反応生成物は粘度250.7mm2/s、比重1.031、屈折率1.484であり、1H NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(9)、(10)に示す反応混合物であった。混合割合は、NMRにより、モル比として(9):(10)=90:10であった。
Figure 0005831354
[実施例
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、無水コハク酸100.1g(1.0mol)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.0g(0.01mol)、トルエン300gを納め、オイルバスにて70℃に加熱した。その中にγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製KBE−803)243.2g(1.0mol)を滴下し、その後70℃にて2時間加熱撹拌した。GC測定により原料のメルカプトシランピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。その後反応溶液を減圧溜去し、トルエンを除去することで収量326.2gの無色透明液体を得た。得られた反応生成物は粘度232mm2/s、比重1.029、屈折率1.483であり、1H NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(11)、(12)に示す反応混合物であった。混合割合は、NMRにより、モル比として(11):(12)=75:25であった。
Figure 0005831354
[実施例
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、アリル無水コハク酸140.1g(1.0mol)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.0g(0.01mol)、トルエン300gを納め、オイルバスにて70℃に加熱した。その中にγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製KBE−803)243.2g(1.0mol)を滴下し、その後70℃にて2時間加熱撹拌した。GC測定により原料のメルカプトシランピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。その後反応溶液を減圧溜去し、トルエンを除去することで収量364.1gの淡黄色透明液体を得た。得られた反応生成物は粘度181mm2/s、比重1.039、屈折率1.453であり、1H NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(13)、(14)に示す反応混合物であった。混合割合は、NMRにより、モル比として(13):(14)=80:20であった。
Figure 0005831354
[実施例
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、無水フタル酸148.1g(1.0mol)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.0g(0.01mol)、トルエン300gを納め、オイルバスにて70℃に加熱した。その中にγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製KBE−803)243.2g(1.0mol)を滴下し、その後70℃にて2時間加熱撹拌した。GC測定により原料のメルカプトシランピークが完全に消失したことを確認し、反応終了とした。その後反応溶液を減圧溜去し、トルエンを除去することで収量371.7gの黄色透明液体を得た。得られた反応生成物は粘度881mm2/s、比重1.040、屈折率1.493であり、1H NMRスペクトルにより反応生成物は下記化学構造式(15)、(16)に示す反応混合物であった。混合割合は、NMRにより、モル比として(15):(16)=95:5であった。
Figure 0005831354
[実施例6、参考例3,4、比較例1〜3]
油展エマルジョン重合SBR(JSR社製#1712)110部、NR(一般的なRSS#3グレード)20部、カーボンブラック(一般的なN234グレード)20部、シリカ(日本シリカ工業社製ニプシルAQ)50部、実施例1〜5のチオエステル基含有有機ケイ素化合物又は下記に示す比較化合物A〜C6.5部、ステアリン酸1部、老化防止剤6C(大内新興化学工業社製ノクラック6C)1部を配合してマスターバッチを調製した。これに亜鉛華3.0部、加硫促進剤DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)0.5部、加硫促進剤NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)1.0部、硫黄1.5部を加えて混練し、ゴム組成物を得た。
次に、ゴム組成物の未加硫又は165℃×30分の条件で加硫した場合の加硫物性を下記の方法で測定した。結果を表1,2に示す。
〔未加硫物性〕
(1)ムーニー粘度
JIS K 6300に準拠し、余熱1分、測定4分、温度130℃にて測定し、比較例1を100として指数で表した。指数の値が小さいほど、ムーニー粘度が低く、加工性に優れている。
〔加硫物性〕
(2)動的粘弾性
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、引張の動歪5%、周波数15Hz、60℃の条件にて測定した。なお、試験片は厚さ0.2cm、幅0.5cmのシートを用い、使用挟み間距離2cmとして初期荷重を160gとした。tanδの値は比較例1を100として指数で表した。指数値が小さいほどヒステリシスロスが小さく低発熱性である。
(3)耐磨耗性
JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン型磨耗試験機を用いて室温、スリップ率25%の条件で試験を行い、比較例1の磨耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きいほど、磨耗量が少なく耐磨耗性に優れることを示す。
〔比較化合物A〕
Figure 0005831354

〔比較化合物B〕
Figure 0005831354

〔比較化合物C〕
Figure 0005831354
Figure 0005831354
Figure 0005831354

Claims (5)

  1. 記一般式(
    Figure 0005831354

    [式中、Bは直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、R 5 は独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R 6 は独立に酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数1〜20のアシル基であり、nは1〜3の整数、pは1〜10の整数である。Yはカルボキシル基と同一分子内又は他分子内の加水分解性シリル基とがエステル化反応により結合した下記一般式(6)
    Figure 0005831354

    (式中、波線は結合手を示し、R 5 ,R 6 ,B,pは上記と同じであり、mは0、1又は2である。)
    で表される構造である。]
    で示されるチオエステル基含有有機ケイ素化合物を含んでなるゴム用配合剤。
  2. 下記一般式(5a)
    Figure 0005831354

    [式中、Bは直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、R 5 は独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R 6 は独立に酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数1〜20のアシル基であり、nは1〜3の整数、pは1〜10の整数である。]
    で示されるチオエステル基含有有機ケイ素化合物、及び下記一般式(5)
    Figure 0005831354

    [式中、Bは直鎖状、分岐状又は環状の二価炭化水素基であり、R 5 は独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、R 6 は独立に酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数1〜20のアシル基であり、nは1〜3の整数、pは1〜10の整数である。Yはカルボキシル基と同一分子内又は他分子内の加水分解性シリル基とがエステル化反応により結合した下記一般式(6)
    Figure 0005831354

    (式中、波線は結合手を示し、R 5 ,R 6 ,B,pは上記と同じであり、mは0、1又は2である。)
    で表される構造である。]
    で示されるチオエステル基含有有機ケイ素化合物を含んでなるゴム用配合剤。
  3. 更に、少なくとも1種の粉体(B)を含有してなり、前記チオエステル基含有有機ケイ素化合物(A)と少なくとも1種の粉体(B)との質量比が、(A)/(B)=70/30〜5/95の割合である請求項1又は2記載のゴム用配合剤。
  4. 請求項1,2又は3記載のゴム用配合剤を配合してなるゴム組成物。
  5. 請求項記載のゴム組成物の硬化物を用いたタイヤ。
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