JP2017102258A - 液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】視認側から、第1の基板30と、液晶層20と、第2の基板40とをこの順に有する液晶表示装置であって、第1の基板30が、基材15と、配向保護層21とを具備し、第2の基板40が、基材14と、薄膜トランジスタ16と、表示電極19と、配向膜23とを具備し、配向保護層21が、液晶層20と接する面を有し、配向保護層21が、共有結合を介して互いに連結した配向性基および架橋構造を有し、飛行時間型二次イオン質量分析法で検出される配向性基に由来するフラグメントについて、配向保護層21の液晶層20に接する面におけるフラグメントの強度ELqと、配向保護層の基材側の面におけるフラグメントの強度ESubとが、所定の関係を満たし、架橋構造が、所定の構造式で表される、液晶表示装置。
【選択図】図1
Description
このような液晶表示装置は、液晶セルおよび液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板を有しており、また、液晶セルは、液晶層と液晶層を挟んで互いに対向して配置される2枚の基板とを有しており、この2枚の基板には、一般的に液晶層を構成する液晶を配向させるため配向膜が設けられている。
ここで、本発明者らは、視認側にカラーフィルターを設けた場合に保護層が不要となる配向膜、すなわち、保護層と配向膜との機能を有する配向保護層を設けることを検討した。
また、本発明者らは、このような配向保護層として、特許文献1に記載された配向膜を検討したところ、光配向性高分子組成物の配合剤によっては平坦性が劣る場合があり、また、液晶表示装置が高温高湿下に晒された場合には表示性能が劣る問題点があることを明らかとした。
そこで、本発明は、視認側にカラーフィルターを設けた場合であっても優れた平坦性を維持し、かつ、高温高湿下に晒された場合にも表示性能が良好な液晶表示装置およびその製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
第1の基板が、基材と、配向保護層とを具備し、
第2の基板が、基材と、薄膜トランジスタと、表示電極と、配向膜とを具備し、
配向保護層が、液晶層と接する面を有し、
配向保護層が、共有結合を介して互いに連結した配向性基および架橋構造を有し、
飛行時間型二次イオン質量分析法で検出される配向性基に由来するフラグメントについて、配向保護層の液晶層に接する面における配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度ELqと、配向保護層の基材側の面における配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度ESubとが、下記条件1または2を満たし、
架橋構造が、後述する式(A−1)〜(A−3)で表されるいずれかの構造を含む、液晶表示装置。
条件1:強度ELqが強度ESubの2倍〜20倍である。
条件2:強度ELqが有意に測定され、強度ESubが測定限界以下である。
[2] 強度ELqが、強度ESubの5倍〜20倍である、[1]に記載の液晶表示装置。
[3] 配向性基が、光配向性基を光反応させてなる基である、[1]または[2]に記載の液晶表示装置。
[4] 配向保護層の膜厚が1〜4μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[5] 液晶層を構成する液晶が、水平配向液晶である、[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[6] 配向性基に由来するフラグメントが、シンナメート基およびカルコン基からなる群から選択される少なくとも1種の光配向性基に由来するフラグメントである、[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶表示装置。
基材、薄膜トランジスタ、表示電極および配向膜を具備する第2の基板と、第1の基板とを張り合わせて液晶を封入し、第1の基板と第2の基板との間に液晶層を形成し、液晶表示装置を作製する第2工程と、を有する液晶表示装置の製造方法。
[8] 重合体Pが、配向性基を有する構成単位として下記s1に示される構成単位を含み、
重合体Pおよび重合体Aが、下記条件3または4を満たす、[7]に記載の液晶表示装置の製造方法。
s1:フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格および炭素数10〜30のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造を有する構成単位、ならびに、光配向性基を有する構成単位
条件3:重合体Pが、架橋性基を有する構成単位a2を含み、かつ、重合体Aが、酸基を有する構成単位a3を含む。
条件4:重合体Pが、酸基を有する構成単位a3を含み、かつ、重合体Aが、架橋性基を有する構成単位a2を含む。
[9] 架橋性基が、オキシラニル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、および、オキセタニル基からなる群から選択される少なくとも1種である、[8]に記載の液表示装置の製造方法。
[10] 重合体Pおよび重合体Aの合計質量に対する重合体Pの質量割合が10質量%未満である、[7]〜[9]のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。
[11] 配向保護層形成用組成物が、更に、分子量5000以下の架橋剤Bを含有する、[7]〜[10]のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。
[12] 架橋剤Bが、エポキシ基を有する架橋剤を含み、
架橋剤B、重合体Pおよび重合体Aの合計質量に対する架橋剤Bの質量割合が30質量%以下である、[11]に記載の液晶表示装置の製造方法。
[13] 配向性基が、光配向性基であり、
配向処理が、波長365nm以下の光を用いる光配向処理である、[7]〜[12]のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。
[14] 第1工程が、配向処理の前または後に、熱処理を施す工程を含む、[7]〜[13]のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」または「メタクリレート」を表す表記であり、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を表す表記であり、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」または「メタクリロイル」を表す表記である。
本発明の液晶表示装置は、視認側から、第1の基板と、液晶層と、第2の基板とをこの順に有する液晶表示装置であって、第1の基板が、基材と、配向保護層とを具備し、第2の基板が、基材と、薄膜トランジスタと、表示電極と、配向膜とを具備するものである。
また、本発明の液晶表示装置においては、配向保護層が、液晶層と接する面を有し、また、配向性基および後述する式(A−1)〜(A−3)で表されるいずれかの構造を含む架橋構造を有し、更に、配向性基および架橋構造が共有結合を介して互いに連結した構造を有している。
更に、本発明の液晶表示装置においては、飛行時間型二次イオン質量分析法(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry:TOF−SIMS)で検出される配向性基に由来するフラグメントについて、配向保護層の液晶層に接する面における配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度ELqと、配向保護層の基材側の面における配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度ESubとが、下記条件1または2を満たしている。
条件1:強度ELqが強度ESubの2倍〜20倍である。
条件2:強度ELqが有意に測定され、強度ESubが測定限界以下である。
本発明におけるTOF−SIMSによる測定は、以下に示すように測定する。
(1)配向保護層と配向保護層に隣接する隣接層とを剥離し、配向保護層の表面(液晶層に接している面をいう。以下、同様。)および配向保護層の裏面(基材または基材側の隣接層と接している面をいう。以下、同様。)を露出させることができる場合、下記(3)に示す装置および条件で、配向保護層の表面における配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度ELq、および、配向保護層の裏面における配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度ESubを測定する。
(2)配向保護層の表面および裏面を露出させることができない場合、配向保護層と隣接層とを有する積層体について、サイカス法(Surface and Interfacial Cutting Analysis System:SAICAS)を用いて、切削面が配向保護層の表面および裏面に至るように斜め方向に切削し、配向保護層の断面を露出させる。
露出させた断面について、配向保護層の表面から深さ(厚み)方向に10nmの領域を下記(3)に示す装置および条件で測定した配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度を強度ELqとし、配向保護層の裏面から深さ(厚み)方向に2000nmの領域を下記(3)に示す装置および条件で測定した配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度を強度ESubとする。
(3)以下の装置および条件で測定する。
・装置:TOF−SIMS IV(ION−TOF社製)
・一次イオン:Bi3+(ビーム直径2μm)
・測定範囲:一の方向およびその直交方向に各々256点ずつラスタースキャン
・極性:posi、nega
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、配向保護層が、配向性基および後述する式(A−1)〜(A−3)で表されるいずれかの構造を含む架橋構造を有し、また、配向性基および架橋構造が共有結合を介して互いに連結した構造を有し、更に、TOF−SIMS測定による強度ELqおよび強度ESubが上述した条件1または2を満たすことにより、配向性基が配向保護層の表面に偏在し、かつ、配向性基が配向保護層を構成するポリマーと強固に結合していると考えられる。
そのため、配向性基が配向保護層の裏面側にカラーフィルターを設けた場合であっても平坦性を損なわず、また、高温高湿下に晒された場合にも液晶層の配向を維持することができるため表示性能が良好になると考えられる。
図1に示す液晶表示装置10は、視認側から、第1の基板30と、液晶層20と、第2の基板40とがこの順に設けられている。
また、第1の基板30は、偏光フィルムが貼り付けられた基材15と、ブラックマトリックスを配置したRGBカラーフィルター22と、液晶層20と接する面を有する配向保護層21とが設けられている。
また、第2の基板40は、偏光フィルムが貼り付けられた基材14と薄膜トランジスタ16の素子とが配置されている。基材14上に形成された各素子には、硬化膜17中に形成されたコンタクトホール18を通して、表示電極を形成するITO透明電極19が配線されており、ITO透明電極19の上には、配向膜23が設けられている。
また、図1に示す液晶表示装置10は、背面にバックライトユニット12を有しており、バックライトの光源としては、特に限定されず公知の光源を用いることができる。例えば、白色LED(light emitting diode)、青色・赤色・緑色などの多色LED、蛍光灯(冷陰極管)、有機エレクトロルミネッセンスなどを挙げることができる。
また、液晶表示装置は、3D(立体視)型のものとしたり、タッチパネル型のものとしたりすることも可能である。更にフレキシブル型にすることも可能であり、特開2011−145686号公報の第2相間絶縁膜(48)や、特開2009−258758号公報の相間絶縁膜(520)として用いることができる。
本発明の液晶表示装置が有する第1の基板は、後述する液晶層よりも視認側に設けられる基板であり、基材と配向保護層とを具備する。なお、配向保護層は、後述する液晶層と接する面を有するため、第1の基板は、視認側から基材と配向保護層とをこの順に具備するものである。
また、本発明の液晶表示装置が視認側に任意のカラーフィルターを設ける場合には、第1の基板は、基材とカラーフィルターと配向保護層とをこの順に具備する。
上記基材としては、従来公知の液晶表示装置の液晶セルに用いられる透明基板を用いることができ、例えば、ガラス基板、石英基板、透明樹脂基板等を用いることができる。中でも、ガラス基板を用いるのが好ましい。
上記配向保護層は、上述した通り、後述する液晶層と接する面を有し、また、配向性基および後述する式(A−1)〜(A−3)で表されるいずれかの構造を含む架橋構造を有し、更に、配向性基および架橋構造が共有結合を介して互いに連結した構造を有している。
上記配向保護層が有する配向性基は、液晶性化合物を配向させる機能を有する官能基を配向させた基であれば特に限定されないが、本発明においては、配向保護層の形成時に表面に接触せず、面状悪化を防ぐことが可能となる理由から、光配向性基を光反応させてなる基であるのが好ましい。
また、光二量化反応によって配向性を付与する基としては、例えば、マレイミド誘導体、桂皮酸誘導体およびクマリン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の誘導体から導入される基などが挙げられ、具体的には、シンナメート基、カルコン基が好適に挙げられる。
なお、シンナメート基、および、カルコン基としては、例えば、以下の構造(下記式中、*はポリマー鎖への連結部位を表し、Rは水素原子または1価の有機基を表す)を導入することができ、また、*で表されるポリマー鎖への連結部位は、ポリマーの主鎖に直結していてもよいし、2価の連結基を介して結合していてもよい。Rが表す1価の有機基としては、アルキル基またはアリール基が好ましい。また、Rが表す1価の有機基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜7がより好ましい。
また、光の作用により分解する反応性基としては、具体的には、例えば、シクロブタン化合物の骨格からなる基などが好適に挙げられる。
上記配向保護層が有する架橋構造は、下記式(A−1)〜(A−3)で表されるいずれかの構造を含む架橋構造である。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
なお、下記式(A−1−1)、式(A−2−1)、式(A−3−1)中、*は結合位置を表し、下記式(A−3−1)中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
そのため、本発明においては、後述する架橋性基(例えば、エポキシ基、オキセタニル基など)を有する構成単位を含む重合体、および/または、後述する酸基(例えば、カルボキシル基など)を有する構成単位を含む重合体が、上記配向性基を有する構成単位を更に含んでいることが好ましい。
本発明の液晶表示装置が有する第1の基板は、上述した基材と配向保護層との間に、カラーフィルターを具備していてもよい。
上記カラーフィルターとしては特に限定されず、例えば、一般的に液晶表示装置のカラーフィルターとして公知のものを用いることができる。
このようなカラーフィルターは、通常、赤色、緑色及び青色の各色の透明着色パターンから構成され、それら各透明着色パターンは、着色剤が溶解又は分散、好ましくは顔料微粒子が分散された樹脂組成物から構成される。
なお、上記カラーフィルターの形成は、所定の色に着色したインキ組成物を調製して、着色パターン毎に印刷することによって行なってもよいが、所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって行なうのがより好ましい。
本発明の液晶表示装置が有する液晶層は、上述した第1の基板と後述する第2の基板とに挟持される液晶層である。
また、この液晶層は、上述した通り、上述した第1の基板が具備する配向保護層と接するように設けられる。
IPS方式の液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。即ち、IPS方式においては、液晶層を構成する液晶が水平配向液晶である。IPS方式は電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。
本発明の液晶表示装置が有する第2の基板は、上述した液晶層の第1の基板と反対側(バックライト側)に設けられる基板であり、基材と、薄膜トランジスタと、表示電極と、配向膜とを具備する。
第2の基板が具備する基材としては、上述した第1の基板と同様、従来公知の液晶表示装置の液晶セルに用いられる透明基板を用いることができ、例えば、ガラス基板、石英基板、透明樹脂基板等を用いることができる。中でも、ガラス基板を用いるのが好ましい。
第2の基板が具備する薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)としては、公知の液晶表示装置で使用されているものが適宜利用可能であり、その構成は、特に限定されるものではなく、トップゲート型であってもボトムゲート型であってもよい。
上記薄膜トランジスタの具体例としては、アモルファスシリコン−TFT、低温ポリシリコンーTFT、酸化物半導体TFT等が挙げられる。
第2の基板が具備する表示電極としては、公知の液晶表示装置で使用されているものが適宜利用可能であり、その構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化亜鉛アルミニウム(Aluminum doped Zinc Oxide:AZO)、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc oxide:IZO)等の透明な導電材料を用いることができる。
第2の基板が具備する配向膜としては、一般的にはポリマーを主成分とする、公知の液晶表示装置で使用されているものが適宜利用可能である、
配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。
本発明において利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましい。特に変性又は未変性のポリビニルアルコールが好ましい。
本発明に使用可能な配向膜については、例えば、国際公開第01/88574号の43頁24行〜49頁8行に記載された配向膜;特許第3907735号公報の段落[0071]〜[0095]に記載の変性ポリビニルアルコール;特開2012−155308号公報に記載された液晶配向剤により形成される液晶配向膜;等が挙げられる。
本発明の液晶表示装置の製造方法は、基材上に、配向性基を有する構成単位を含む重合体Pと、配向性基を有する構成単位を含まない重合体Aとを含有する配向保護層形成用組成物を用いて保護層を形成した後に、保護層に対して配向処理を施して配向保護層を形成し、第1の基板を作製する第1工程を有する。
また、本発明の液晶表示装置の製造方法は、基材、薄膜トランジスタ、表示電極および配向膜を具備する第2の基板と、第1の基板とを張り合わせて液晶を封入し、第1の基板と第2の基板との間に液晶層を形成し、液晶表示装置を作製する第2工程を有する。
第1工程は、基材上に、配向性基を有する構成単位を含む重合体Pと、配向性基を有する構成単位を含まない重合体Aとを含有する配向保護層形成用組成物を用いて保護層を形成した後に、保護層に対して配向処理を施して配向保護層を形成し、第1の基板を作製する工程である。
なお、第1工程における基材は、本発明の液晶表示装置の第1の基板が具備する基材と同様である。
上記配向保護層形成用組成物は、配向保護層の位相差を低くし、透明性を高め、配向保護層において上述した架橋構造が形成しやすくなる理由から、上記重合体Pが、上記配向性基を有する構成単位として下記s1に示される構成単位を含み、上記重合体Pおよび上記重合体Aが、下記条件3または4を満たしているのが好ましい。
s1:フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格および炭素数10〜30のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造を有する構成単位、ならびに、光配向性基を有する構成単位
条件3:重合体Pが、架橋性基を有する構成単位a2を含み、かつ、重合体Aが、酸基を有する構成単位a3を含む。
条件4:重合体Pが、酸基を有する構成単位a3を含み、かつ、重合体Aが、架橋性基を有する構成単位a2を含む。
上記重合体Pとしては、上述した通り、下記s1に示される構成単位(以下、「構成単位s1」ともいう。)を含む重合体が好ましく挙げられる。
s1:フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格および炭素数10〜30のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造(以下、「偏在性基」ともいう。)を有する構成単位、ならびに、光配向性基を有する構成単位
フッ素置換炭化水素基とは、少なくとも1つのフッ素原子により置換された炭化水素基であればよく、アルキル基またはアルキレン基(以下、本段落においては「アルキル基等」と略す。)における少なくとも1つの水素原子をフッ素原子に置換したアルキル基等が挙げられ、アルキル基等のすべての水素原子をフッ素原子に置換したアルキル基等がより好ましい。
一般式Iにおけるnは、1以上の整数を表し、1〜10の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1又は2であることが特に好ましい。
一般式Iにおけるrは、0または1〜2の整数を表し、1又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
また、*で表されるポリマー鎖への連結部位は、上述した重合体A1−1など重合体の主鎖に直結していてもよいし、ポリオキシアルキレン基、アルキレン基、エステル基、ウレタン基、ヘテロ原子を含んでもよい環状アルキレン基、ポリ(カプロラクトン)、アミノ基、等の2価の連結基を介して結合していてもよい。ポリオキシアルキレン基を介して結合していることが好ましい。
一般式Iにおいて、Xが単結合である場合は、ポリマー主鎖と、R2が結合している炭素原子と、が直接連結していることを意味する。
また、Xが2価の連結基である場合には、その連結基としては、−O−、−S−、−N(R4)−、−CO−等が挙げられる。これらの中でも−O−がより好ましい。ここで、R4は、水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、好ましくは、水素原子、メチル基である。
なお、一般式IIにおいてR1で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
また、その他の具体例としては、特開2010−18728号公報段落番号〔0058〕〜〔0061〕に記載の化合物が挙げられる。これらのうちポリオキシアルキレン基にフッ素置換炭化水素基が結合した構造が好ましい。
シロキサン骨格とは、「−Si−O−Si−」を有していれば、特に制限はなく、ポリオキシアルキレン基を含むことが好ましい。
ここで、アルコキシシリル基としては、例えば、下記式(X)で表される基が好ましい。
本発明においては、R3〜R5のうち、2つがアルコキシ基及び1つがアルキル基である場合、又は、3つがアルコキシ基である場合が好ましい。中でも、3つがアルコキシ基である態様、すなわち、トリアルコキシシリル基であることがより好ましい。
また、y1は、1〜30の整数である。
上記構造式(A)中、X2は単結合、又は下記構造式(C)で表わされる2価の基である。
上記構造式(C)中、Q2は、上記構造式(A)におけるR7に結合する。
これらのうちポリオキシアルキレン基を介してシロキサン構造がポリマーに結合した構造が好ましい。
炭素数10〜30のアルキル基は、分岐構造または環状構造を含んでいてもよいが、直鎖構造の部分の炭素数が10〜30の範囲にあることが好ましく、全て直鎖構造であることがより好ましい。
また、アルキル基の炭素数は、10〜20であるのが好ましい。
また、上記一般式(a3−1)の構造を有するモノマーは、市販の化合物を用いることができるが、(a3−1)の構造を持たない市販のモノマーに対して(a3−1)に含まれる所望の構造を適宜導入して用いてもよい。市販のモノマーに(a3−1)の構造を導入する手法に限定はなく、公知の手法を適宜適用すればよい。
ここで、R4は、水素原子、又は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。アルキル基としては、直鎖構造であっても、分岐構造であってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、好ましくは、水素原子、メチル基である。
このような重合体は、一般式(U−a3−1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい形態のひとつである。
重合体Pは、上述した、フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格および炭素数10〜30のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造を有する構成単位とともに、光配向性基を有する構成単位を有する重合体である。
ここで、光配向性基は、上記配向性基において説明したものと同様である。
(一般式(III)中、R1は水素原子またはアルキル基を表す。Xはアリーレン基、−(C=O)−O−、または−(C=O)−NR−(Rは水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基を表す)を表す。Lは単結合または2価の連結基を表し、Pは光配向性基を表す。)
また、一般式(III)中、Lは、単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては−O−、−S−、アルキレン基、アリーレン基、またはこれらを複数組み合わせてなる基が好ましい。Lが表すアルキレン基としては直鎖、分岐、または環状構造であってもよいが、直鎖構造であることが好ましい。Lが表すアルキレン基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。また、Lが表すアリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基などが挙げられ、フェニレン基が好ましい。
一般式(III)中、Pは光配向性基を表し、その具体例としては、カルコン基、シンナメート基、スチルベニル基、マレイミド基、アゾベンジル基が好適に挙げられる。中でも、カルコン基、シンナメート基がより好ましい。また、Pが表す光配向性基は、光配向性を失わない限り、置換基を有していてもよい。具体的な置換基としては、例えば、ハロゲノ基、アルキル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基またはアリール基であることが好ましい。上記のアルキル基またはアリール基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜7がより好ましい。
ここで、上述した(a)および(b)の方法において利用可能な重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合及びアニオン重合などが挙げられる。
上記構成単位s1は、全重合体成分の構成単位に対し、0.01〜10モル%が好ましく、0.1〜10モル%がより好ましく、0.1〜5モル%が更に好ましく、0.1〜3モル%が特に好ましく、0.5〜3モル%が最も好ましい。
また、上記構成単位s1の中で、偏在性基を有する構成単位の含有量は、0.01〜3モル%が好ましく、0.1〜3モル%がより好ましく、0.5〜3モル%が更に好ましい。
また、上記構成単位s1の中で、光配向性基を有する構成単位の含有量は、0.01〜5モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、1〜3モル%が更に好ましい。
上記構成単位s1を有する重合体において、構成単位s1の含有量は、上記重合体の全構成単位に対し、20〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、20〜70モル%が更に好ましい。この場合において、偏在性基を有する構成単位の含有量は、1〜50モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましく、10〜20モル%が更に好ましい。また、光配向性基を有する構成単位の含有量は、1〜70モル%が好ましく、10〜60モル%がより好ましく、20〜50モル%が更に好ましい。
なお、本発明において、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本発明において「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
上記重合体Pとしては、例えば、上述した構成単位s1以外に、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1、架橋性基を有する構成単位a2、酸基を有する構成単位a3、これらの以外の構成単位a4を有していてもよい。
これらの構成単位のうち、上述した通り、配向保護層において上述した架橋構造を形成しやすい理由から、架橋性基を有する構成単位a2および/または酸基を有する構成単位a3を有しているのが好ましい。
構成単位a1は、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(以下、構成単位a1ともいう。)である。
本発明における「酸基が酸分解性基で保護された基」は、酸を触媒(または開始剤)として脱保護反応を起こし、酸基と再生された酸と分解された構造とを生じる基を意味する。
本発明における「酸基が酸分解性基で保護された基」は、酸基および酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。
酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基などが好ましく挙げられる。
また、酸分解性基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、エステル構造、テトラヒドロピラニルエステル基、または、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)や、酸により比較的分解し難い基(例えば、tert−ブチルエステル基等の第三級アルキル基、tert−ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)などが挙げられる。
以下、酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1と、酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2について、順にそれぞれ説明する。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1は、カルボキシル基を有する構成単位のカルボキシル基が、以下で詳細に説明する酸分解性基によって保護された保護カルボキシル基を有する構成単位である。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1に用いることができる上記カルボキシル基を有する構成単位としては、特に制限はなく公知の構成単位を用いることができる。例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1や、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位a1−1−2が挙げられる。
以下、上記カルボキシル基を有する構成単位として用いられるa1−1−1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位と、a1−1−2エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位について、それぞれ順に説明する。
上記分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1として本発明で用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、特開2014−238438号公報の段落0043に記載の化合物が挙げられる。
中でも、現像性の観点から、上記構成単位a1−1−1を形成するためには、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−フタル酸、または不飽和多価カルボン酸の無水物等を用いることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸を用いることがより好ましい。
上記分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1は、1種単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。
エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位a1−1−2は、エチレン性不飽和基を有する構成単位中に存在する水酸基と酸無水物とを反応させて得られたモノマーに由来する単位であることが好ましい。
上記酸無水物としては、公知のものが使用でき、具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。これらの中では、現像性の観点から、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、又は、無水コハク酸が好ましい。
上記酸無水物の水酸基に対する反応率は、現像性の観点から、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%である。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1に用いることができる上記酸分解性基としては上述の酸分解性基を用いることができる。
これらの酸分解性基の中でもカルボキシル基がアセタールの形で保護された保護カルボキシル基であることが、樹脂組成物の基本物性、特に感度やパターン形状、コンタクトホールの形成性、樹脂組成物の保存安定性の観点から好ましい。更に酸分解性基の中でもカルボキシル基が下記式a1−10で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシル基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、カルボキシル基が下記式a1−10で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシル基である場合、保護カルボキシル基の全体としては、−(C=O)−O−CR101R102(OR103)の構造となっている。
上記直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることが更に好ましい。分岐鎖状としては、炭素数3〜6であることがより好ましく、炭素数3または4であることが更に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、これらの中でも、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
また、上記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、α−メチルフェニル基、ナフチル基等が例示でき、アリール基で置換されたアルキル基全体、すなわち、アラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が例示できる。
上記アルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が更に好ましい。
また、上記アルキル基がシクロアルキル基である場合、上記シクロアルキル基は置換基として炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有していてもよく、アルキル基が直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である場合には、置換基として炭素数3〜12のシクロアルキル基を有していてもよい。
これらの置換基は、上記置換基で更に置換されていてもよい。
R3は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、1〜6のアルキル基がより好ましい。
Xは、単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2としては、ヒドロキシスチレン系構成単位やノボラック系の樹脂における構成単位が挙げられる。
これらのうち、ヒドロキシスチレン、またはα−メチルヒドロキシスチレンに由来する構成単位が、感度の観点から好ましい。
また、フェノール性水酸基を有する構成単位として、特開2014−238438号公報の段落0065〜0073に記載の構成単位も、感度の観点から好ましい。
構成単位a2は、架橋性基を有する構成単位(以下、構成単位a2ともいう。)である。
上記架橋性基は、加熱処理で硬化反応を起こす基であれば特に限定はされない。
好ましい架橋性基を有する構成単位の態様としては、エポキシ基(例えば、オキシラニル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基など)、オキセタニル基、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基、エチレン性不飽和基、及び、ブロックイソシアネート基よりなる群から選ばれた少なくとも1つを含む構成単位が挙げられ、エポキシ基、オキセタニル基、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基、(メタ)アクリロイル基、及び、ブロックイソシアネート基よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む構成単位であることが好ましく、エポキシ基、オキセタニル基、及び、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む構成単位であることがより好ましい。
重合体成分A1は、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位a2−1を有する重合体を含有することが好ましい。なお、3員環の環状エーテル基はエポキシ基とも呼ばれ、4員環の環状エーテル基はオキセタニル基とも呼ばれる。
上記エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位a2−1は、1つの構成単位中にエポキシ基又はオキセタニル基を少なくとも1つ有していればよく、1つ以上のエポキシ基及び1つ以上オキセタニル基、2つ以上のエポキシ基、又は、2つ以上のオキセタニル基を有していてもよく、特に限定されないが、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1〜3つ有することが好ましく、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1又は2つ有することがより好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ有することが更に好ましい。
オキセタニル基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
上記エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位a2−1を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、メタクリル酸エステル構造を含有するモノマー、アクリル酸エステル構造を含有するモノマーであることが好ましい。
上記架橋性基を有する構成単位a2の他の例としては、エチレン性不飽和基を有する構成単位a2−2が挙げられる。上記エチレン性不飽和基を有する構成単位a2−2としては、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位が好ましく、末端にエチレン性不飽和基を有し、炭素数3〜16の側鎖を有する構成単位がより好ましい。
上記架橋性基を有する構成単位a2の他の例としては、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基を有する構成単位a2−3も好ましい。構成単位a2−3を有することで、緩やかな加熱処理で硬化反応を起こすことができ、諸特性に優れた硬化膜を得ることができる。ここで、Rは炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜9のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。また、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましい。構成単位a2−3は、下記式a2−30で表される基を有する構成単位であることがより好ましい。
R32の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、シクロヘキシル基、及び、n−ヘキシル基を挙げることができる。中でも、i−ブチル基、n−ブチル基、メチル基が好ましい。
構成単位a3は、酸基を有する構成単位(以下、構成単位a3ともいう。)である。
本発明における酸基とは、pKaが11より小さいプロトン解離性基を意味する。
本発明で用いられる酸基としては、カルボン酸基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、並びに、これらの酸基の酸無水物基、及び、これらの酸基を中和し塩構造とした基等が例示され、カルボン酸基及び/又はフェノール性水酸基が好ましい。上記塩としては、特に制限はないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び、有機アンモニウム塩が好ましく例示できる。
本発明で用いられる酸基を含む構成単位は、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位であることがより好ましい。例えば、特開2012−88459号公報の段落0021〜0023及び段落0029〜0044記載の化合物を用いることができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。中でも、p−ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸に由来する構成単位が好ましい。
酸基を有する構成単位a3として具体的には、上述した分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位a1−1−2、フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2−1が挙げられ、好ましい態様も同様である。
中でも、酸基を有する構成単位a3としては、メタクリル酸、アクリル酸及びp−ヒドロキシスチレンよりなる群から選ばれた化合物由来の構成単位(下記式a3−1〜式a3−3のいずれかで表される構成単位)であることが好ましく、メタクリル酸由来の構成単位(下記式a3−1で表される構成単位)又はアクリル酸由来の構成単位(下記式a3−2で表される構成単位)であることがより好ましく、メタクリル酸由来の構成単位(下記式a3−1で表される構成単位)であることが更に好ましい。
上述した構成単位s1、構成単位a1、構成単位a2および構成単位a3以外の構成単位a4となるモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物類、マレイミド化合物類、不飽和芳香族化合物を挙げることができる。
その他の構成単位a4を形成するモノマーは、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記重合体Aとしては、例えば、上述した構成単位s1を含まず、上述した構成単位a1〜構成単位a4のいずれか1つ以上を含む重合体が挙げられ、なかでも、上述した通り、配向保護層において上述した架橋構造を形成しやすい理由から、架橋性基を有する構成単位a2および/または酸基を有する構成単位a3を有する重合体であるのが好ましい。
上述した重合体Pおよび重合体Aの分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、好ましくは1,000〜200,000、より好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは10,000〜20,000の範囲である。上記の数値の範囲内であると、諸特性が良好である。数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwとの比(分散度、Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.5〜3.5がより好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量や数平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することが好ましい。本発明におけるゲル浸透クロマトグラフィ法による測定は、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super HZ M−H、TSK gel Super HZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いることが好ましい。
上述した重合体Pおよび重合体Aの合成法についても、様々な方法が知られているが、一例を挙げると、上述した各構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
本発明においては、視認側にカラーフィルターを設けた場合の平坦性が向上し、高温高湿下に晒された後の表示性能もより良好となる理由から、上記配向保護層は、分子量5000以下の架橋剤Bを含有しているのが好ましい。
架橋剤Bとしては、熱によって架橋反応が起こるものであれば制限なく使用できる。
例えば、以下に述べる分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、ブロックイソシアネート化合物(保護されたイソシアナト基を有する化合物)、アルコキシメチル基含有化合物、又は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合(エチレン性不飽和基)よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、ブロックイソシアネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。
以下に、本発明において好ましく使用される架橋剤Bについて説明する。
架橋剤Bとして、例えば、多官能の小員環環状エーテル化合物が挙げられる。
すなわち、1分子内に、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を2個以上有する化合物であることを意味する。
これらは市販品として入手できる。例えば、デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−411、EX−421、EX−313、EX−314、EX−321、EX−211、EX−212、EX−810、EX−811、EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L、DLC−201、DLC−203、DLC−204、DLC−205、DLC−206、DLC−301、DLC−402(以上ナガセケムテックス(株)製)、セロキサイド2021P、2081、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177((株)ダイセル製)、などが挙げられる。
これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤Bとして、ブロックイソシアネート系化合物も好ましく採用できる。
ブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート基が化学的に保護されたブロックイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限はないが、硬化性の観点から、1分子内に2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物であることが好ましい。
なお、本発明におけるブロックイソシアネート基とは、熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であり、例えば、ブロック剤とイソシアネート基とを反応させイソシアネート基を保護した基が好ましく例示できる。また、上記ブロックイソシアネート基は、90℃〜250℃の熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であることが好ましい。
また、ブロックイソシアネート化合物としては、その骨格は特に限定されるものではなく、1分子中にイソシアネート基を2個有するものであればどのようなものでもよく、脂肪族、脂環族又は芳香族のポリイソシアネートであってよいが、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化1,3−キシリレンジイソシアネート、水素化1,4−キシリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物及びこれらの化合物から派生するプレポリマー型の骨格の化合物を好適に用いることができる。これらの中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が特に好ましい。
上記ブロックイソシアネート化合物のブロック構造を形成するブロック剤としては、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール系化合物、イミド系化合物等を挙げることができる。これらの中でも、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物から選ばれるブロック剤が特に好ましい。
上記ラクタム化合物としてはε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等が例示できる。
上記フェノール化合物としては、フェノール、ナフトール、クレゾール、キシレノール、ハロゲン置換フェノール等が例示できる。
上記アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が例示できる。
上記アミン化合物としては、1級アミン及び2級アミンが挙げられ、芳香族アミン、脂肪族アミン、脂環族アミンいずれでもよく、アニリン、ジフェニルアミン、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が例示できる。
上記活性メチレン化合物としては、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル等が例示できる。上記ピラゾール化合物としては、ピラゾール、メチルピラゾール、ジメチルピラゾール等が例示できる。
上記メルカプタン化合物としては、アルキルメルカプタン、アリールメルカプタン等が例示できる。
アルコキシメチル基含有化合物としては、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリル及びアルコキシメチル化尿素等が好ましい。これらは、それぞれメチロール化メラミン、メチロール化ベンゾグアナミン、メチロール化グリコールウリル、又は、メチロール化尿素のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができるが、アウトガスの発生量の観点から、メトキシメチル基が特に好ましい。
これらの化合物のうち、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリルが好ましい化合物として挙げられ、透明性の観点から、アルコキシメチル化グリコールウリルが特に好ましい。
アルコキシメチル基含有架橋剤もその分子量が、1,000以下である化合物を硬化性組成物に使用する。
これらアルコキシメチル基含有化合物は、市販品として入手可能であり、例えば、サイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300(以上、三井サイアナミッド製)、ニカラックMX−750、−032、−706、−708、−40、−31、−270、−280、−290、ニカラックMS−11、ニカラックMW−30HM、−100LM、−390、(以上、(株)三和ケミカル製)などを好ましく使用することができる。
また、架橋剤Bを含有する場合の含有量は、架橋剤B、重合体Pおよび重合体Aの合計質量に対して30質量%以下であるのが好ましく、10〜30質量%であるのがより好ましい。
上記保護層形成用組成物は、上述した重合体以外に、有機溶剤を含有するのが好ましい。
有機溶剤としては、公知の有機溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ブチレングリコールジアセテート類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコール類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。これらの有機溶剤の具体例としては、特開2009−098616号公報の段落0062を参照できる。
本発明に用いることができる有機溶剤は、1種単独、又は、2種以上を併用することができる。沸点の異なる溶剤を併用することも好ましい。
有機溶剤を含有する場合の含有量は、塗布に適した粘度に調整するという観点から、組成物の全固形分100質量部あたり、100〜3,000質量部であることが好ましく、200〜2,000質量部であることがより好ましく、250〜1,000質量部であることが更に好ましい。
組成物の固形分濃度としては、3〜50質量%が好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
上記保護層形成用組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤がより好ましい。
第1の態様に用いることができる界面活性剤としては、例えば、市販品である、メガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781、同F781−F、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(DIC(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105,7000,950,7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(三菱マテリアル電子化成(株)製)、フタージェント250(ネオス(株)製)が挙げられる。また、上記以外にも、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA製)等の各シリーズを挙げることができる。
界面活性剤は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
上記保護層形成用組成物は、密着改良剤を含有してもよい。
密着改良剤としてはアルコキシシラン化合物などが挙げられる。
アルコキシシラン化合物は、基材となる無機物、例えば、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコン化合物、金、銅、モリブデン、チタン、アルミニウム等の金属と絶縁膜との密着性を向上させる化合物であることが好ましい。
密着改良剤の具体例としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
密着改良剤の含有量は、組成物の全固形成分100質量部に対し、0.001〜15質量部であることが好ましく、0.005〜10質量部であることがより好ましい。密着改良剤は、1種類のみ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。2種類以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
上記保護層形成用組成物は、感光剤を含有してもよい。
感光剤としては、例えば、光酸発生剤、キノンジアジド化合物、光ラジカル開始剤などが挙げられる。
基材上に保護層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、基材上に上記保護層形成用組成物を塗布する方法が挙げられる。
保護層形成用組成物を基材上に塗布する方法は特に限定されず、具体的には、例えば、印刷法(例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、インプリント法など)、スピンコーティング法、スリットコーティング法、スリットアンドスピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。
本発明においては、上述した塗布の後であって、後述する配向処理工程の前に、保護層形成用組成物に含まれる任意の溶媒を皮膜から除去する溶媒除去工程を有していてもよい。
溶媒除去工程は、溶媒の種類や量により処理条件が異なるが、例えば、溶媒としてNMPを用いた場合には、80〜150℃程度で、0.5〜3分程度、加熱する工程であるのが好ましく、90〜120℃程度で、0.5〜2分程度、加熱する工程であるのがより好ましい。
配向処理としては、例えば、ラビング処理法、光配向処理、磁気配向等の非接触型の配向法等が挙げられる。
本発明においては、配向性基が光配向性基である場合、配向処理は、波長365nm以下の光を用いる光配向処理であるのが好ましい。
光配向処理は、波長365nm以下の光を用いること以外は特に限定されないが、偏光した紫外線を用いることが均一な配向を得る上で好ましい。この場合、偏光した紫外線を照射する方法は特に限定されない。なお、偏光としては特に制限はなく、例えば、直線偏光、円偏光、楕円偏光などが挙げられ、中でも、直線偏光が好ましい。
このような光源から得た紫外線に対して、干渉フィルタや色フィルタなどを用いることで、照射する波長範囲を制限することができる。また、これらの光源からの光に対して、偏光フィルタや偏光プリズムを用いることで、直線偏光を得ることができる。
本発明においては、薄膜トランジスタの信頼性を高める観点から、第1工程が、上記配向処理の前または後に熱処理を施す工程であるのが好ましい。
また、熱処理は、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を用いて行うことが好ましい。また、熱処理を窒素雰囲気下で行うことにより、透明性をより向上させることもできる。
第2工程は、基材、薄膜トランジスタ、表示電極および配向膜を具備する第2の基板と、第1の基板とを張り合わせて液晶を封入し、第1の基板と第2の基板との間に液晶層を形成し、液晶表示装置を作製する工程を有する。
なお、第2工程における第2の基板は、本発明の液晶表示装置の第2の基板と同様であり、その作製方法は特に限定されない。
trans−4−ヒドロキシケイ皮酸メチル(東京化成工業(株)製、12.5g、0.07mol)とトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製、7.79g、0.07mol)をテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略す。)100mLに溶解させておき、0℃に冷却した後に、メタクリル酸クロリド(東京化成工業(株)製、7.33g、0.07mol)を徐々に滴下した。
次いで、白濁した反応系に対して、水500gを入れ、1時間撹拌した後に、ろ過し、光配向性基としてシンナメート基を有するモノマーa−1を14g得た。構造をNMRにて確認した。
4−ヒドロキシ−3−メトキシけい皮酸エチル(東京化成工業(株)製、22.2g、0.1mol)をジメチルアセトアミド150mLに溶解させておき、炭酸カリウム(和光純薬工業(株)製、30g、0.22mol)を加え、90℃に温度を上げた。
次いで、4−クロロブタノール(和光純薬工業(株)製、21.6g、0.2mol)を滴下し、3時間撹拌した。
その後、反応溶液を水1Lに注ぎ、2NHClで中和した後に、酢酸エチル700mLで抽出し、飽和食塩水で洗い、濃縮を行った。
次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分取し、中間体化合物を23g得た。
その中間体化合物15g(0.05mol)とトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製、5.6g、0.056mol)とをTHF100mLに溶解させ、0℃に冷却した。
次いで、メタクリル酸クロリド(東京化成工業(株)製、5.8g、0.056mol)を滴下し、3時間撹拌した後、反応溶液を水500gに注ぎ、酢酸エチルで抽出した後、濃縮した。
次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分取し、光配向性基としてシンナメート基を有するモノマーa−2を20g得た。
ハイドロキノン(和光純薬工業(株)製、63.8g、0.58mol)をジメチルアセトアミド500mLに溶解させておき、炭酸カリウム(和光純薬工業(株)製、40g、0.29mol)を加え、90℃に温度を上げた。
次いで、メタクリル酸4−クロロブチル(和光純薬工業(株)製、25.6g、0.145mol)を滴下し、3時間撹拌した。
その後、反応溶液を水1Lへ注ぎ、2NHClで中和後、酢酸エチル700mLで抽出し、飽和食塩水で洗い、濃縮を行った。粗結晶を取り出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分取し、中間体化合物18gを得た。
その中間体化合物18gとトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製、7.79g、0.07mol)とをTHF100mLに溶解させ、0℃に冷却した。
次いで、シンナモイルクロリド(東京化成工業(株)製、13.1g、0.07mol)を滴下し、3時間撹拌した後、反応溶液を水500gにあけ、酢酸エチルで抽出した後、濃縮した。
次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分取し、光配向性基としてカルコン基を有するモノマーa−3を22g得た。
Macromolecules 2004,Vol.37,#7,p.2572と同様にして、光配向性基としてアゾ基を有するモノマーa−4を合成した。
Jounal of Polymer Science,Part A:Polymer Chemistry,2010,Vol.48,#19,4323と同様にして、光配向性基としてクマリン基を有するモノマーa−5を合成した。
メタクリル酸(和光純薬工業(株)製、86g、1mol)を15℃に冷却しておき、カンファースルホン酸(東京化成工業(株)製、4.6g、0.02mol)添加した。
次いで、反応溶液に、2−ジヒドロフラン(川研ファインケミカル(株)製、71g、1mol、1.0当量)を滴下した。
1時間撹拌した後に、飽和炭酸水素ナトリウム(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出した。
次いで、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、不溶物を濾過後40℃以下で減圧濃縮し、さらに残渣の黄色油状物を減圧蒸留することにより、モノマーe−1として、沸点(bp.)54〜56℃/3.5mmHg留分のメタクリル酸テトラヒドロ−2H−フラン−2−イルを無色油状物として125g得た(収率80%)。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(以下、「HS−EDM」と略す。)22gを、窒素気流下、70℃に加熱撹拌した。合成したモノマーa−1(11.1g、45mol%)、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(以下、「HFIP」と略す。)(東京化成工業(株)製、3.5g、15mol%)、メタクリル酸(以下、「MAA」と略す。)(和光純薬工業(株)製、1.7g、20mol%)、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」と略す。)(和光純薬工業(株)製、2.8g、20mol%)、ラジカル重合開始剤(V−65、和光純薬工業(株)製)497mg(2mol%)、および、PGMEA(30g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下が終了してから、さらに70℃で4時間反応させることにより、構成単位s1を有する重合体P1のPGMEA溶液(固形分濃度:27%)を得た。
モノマー、開始剤および溶媒の種類を、下記第1表に従って変更した以外は、重合体P1と同様の方法で、重合体P2〜P11を合成した。なお、下記第1表の各単量体成分の欄に記載した数値は、単量体成分の総量に対するそれぞれの単量体の使用量(mol%)である。また、重合開始剤の欄に記載した数値は、単量体成分の総量を100mol%とした場合の、mol%である。また、実施例で用いている略語は、以下の通りである。
<略語>
・HFIP:ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
・6FM:トリフルオロエチルメタクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
・KBM−503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
・C18MA:オクタデカンメタクリレート(東京化成工業(株)製)
・MAA:メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)
・MMA:メタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)
・St:スチレン(和光純薬工業(株)製)
・AA:アクリル酸(和光純薬工業(株)製)
・GMA:グリシジルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
・OXE−30:(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
・サイクロマーM100:(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレート(ダイセル化学工業(株)製)
・DCPM:ジシクロペンタニルメタクリレート(ファンクリルFA−513M、日立化成(株)製)
・NBMA:N−ブトキシメチルアクリルアミド(三菱レイヨン(株)製)
・V−601:ラジカル重合開始剤(和光純薬工業(株)製)
・V−65:ラジカル重合開始剤(和光純薬工業(株)製)
・PGMEA:メトキシプロピレングリコールアセテート((株)ダイセル製)
・HS−EDM:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(東邦化学工業(株)製)
<重合体P12の合成>
特開2013−177561号公報の[0161]段落(調製例1)に記載された光配向性ポリマー(A−1)と同様の方法で、重合体P12を合成した。
<重合体P13の合成>
WO2010/150748の[0084]段落(合成例1)に記載された特定共重合体P1と同様の方法で、重合体P13を合成した。
<酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1および架橋性基を有する構成単位a2を含む重合体A−1の合成>
HS−EDM(82部)を窒素気流下、90℃に加熱撹拌した。
次いで、モノマーe−1として合成したメタクリル酸テトラヒドロ−2H−フラン−2−イル(43部(全単量体成分中の40.5mol%に相当))、OXE−30(48部(全単量体成分中の37.5mol%に相当))、MAA(6部(全単量体成分中の9.5mol%に相当))、ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、11部(全単量体成分中の12.5mol%に相当))、ラジカル重合開始剤V−601(4.3部)、および、PGMEA(82部)の混合溶液を2時間かけて滴下し、さらに2時間90℃で反応させることにより、重合体A−1の溶液(固形分濃度:40%)を得た。
なお、得られた重合体A−1のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量は、15,000であった。
PGMEA(238g)を窒素気流下、90℃に加熱撹拌した。
次いで、モノマーe−1として合成したメタクリル酸テトラヒドロ−2H−フラン−2−イル(240g(全単量体成分中の61.1mol%に相当))、MAA(50.4g(全単量体成分中の17.6mol%に相当))、MMA(27.9g(全単量体成分中の21.3mol%に相当))、ラジカル重合開始剤V−601(14.7g)、および、PGMEA(238g)の混合溶液を2時間かけて滴下し、さらに2時間90℃で反応させ、冷却後にPGMEA(42g)を追加することにより、重合体A−2の溶液(固形分濃度:38%)を得た。
得られた重合体A−2のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量は、15,000であった。
HS−EDM(145g)を窒素気流下、70℃に加熱撹拌した。
次いで、GMA(144.7g(67.9mol%))、MAA(16.7g(12.9mol%))、St(28.1g(18.0mol%))、DCPM(3.87g(1.17mol%)、ラジカル重合開始剤V−65(20.8g(5.6mol%モノマー量換算))、および、HS−EDM(145g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。
滴下が終了してから、70℃で4時間反応させることにより、重合体A−3のPGMEA溶液(固形分濃度:35%)を得た。
PGMEA(268部)を窒素気流下、90℃に加熱撹拌した。
次いで、モノマーe−1として合成したメタクリル酸テトラヒドロ−2H−フラン−2−イル(143.4部(全単量体成分中の40.1mol%に相当))、サイクロマーM100(168.4部(全単量体成分中の37.5mol%に相当))、MAA(19.5部(全単量体成分中の9.9mol%に相当))、ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、37.2部(全単量体成分中の12.5mol%に相当))、ラジカル重合開始剤V−601(5.5部)、および、PGMEA(268部)の混合溶液を2時間かけて滴下し、さらに2時間90℃で反応させることにより、重合体A−4の溶液(固形分濃度:40%)を得た。
なお、得られた重合体A−4のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量は、16,000であった。
フラスコ内を窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル9.0gを溶解したジエチレングリコールジメチルエーテル溶液を459.0g仕込んだ。
次いで、St(22.5g)、MAA(45.0g)、DCPM(67.5g)、および、GMA(90.0g)を仕込んだ後、ゆるやかに撹拌を始めた。
次いで、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持した後、90℃で1時間加熱させて重合を終結させた。
その後、反応生成溶液を多量の水に滴下し反応物を凝固させた。この凝固物を水洗後、THF(200g)に再溶解し、多量の水で再度、凝固させた。
この再溶解および凝固の操作を計3回行った後、得られた凝固物を60℃で48時間減圧乾燥し、重合体A−5を得た。その後、固形分濃度が25質量%になるようにジエチレングリコールを用いて重合体A−5溶液とした。
特開2013−177561号公報の[0165]段落(調製例5)に記載された非配向性ポリマー(E−1)と同様の方法で、重合体A−6を合成した。
架橋剤Bとして、以下に示すものを使用した。
<B−1>
分子量5,000以下の架橋剤B−1として、多官能エポキシ化合物(オグソールEG、大阪ガス(株)製)を用いた。
<B−2>
分子量5,000以下の架橋剤B−2として、多官能エポキシ化合物(EX−321L、ナガセケムテックス(株)製)を用いた。
<B−3>
分子量5,000以下の架橋剤B−3として、多官能エポキシ化合物(JER57S65、ジャパンエポキシレジン(株)製)を用いた。
<F−554>
界面活性剤として、パーフルオロアルキル基含有ノニオン界面活性剤(F−554、DIC(株)製)を使用した。
<KBM−403>
密着改良剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403、信越化学工業(株)製)を使用した。
下記第2表に示す各成分を溶剤(PGMEA)に固形分濃度が18質量%となるまで溶解混合し、口径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して、各実施例および比較例の樹脂組成物を調製した。なお、表中の添加量は各成分の固形分での添加量を表し、単位は質量部である。
得られた樹脂組成物を、ガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃のホットプレート上で1分間予備乾燥させた後、230℃のクリーンオーブン中で60分間焼成し、3μmのオーバーコート層の硬化膜を形成した。
形成した硬化膜を表面・界面切削装置(DN−20S型、ダイプラ・ウィンテス社製)により斜め切削を行い、断面を露出させた。
露出させた断面について、上述した測定装置および条件により、配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度ELq、および、強度ESubを測定し、これらの強度比(強度ELq/強度ESub)を測定し、以下の基準で評価した。結果を下記第2表に示す。なお、同様の試験を、後述する表示装置を作製した後に配向保護層に対して行ったが、結果は同様であった。
A:強度比が10倍以上または強度Esubが測定限界以下
B:強度比が8倍以上〜10倍未満
C:強度比が5倍以上〜8倍未満
D:強度比が2倍以上〜5倍未満
E:強度比が2倍未満
F:フラグメントピークなし
<配向性>
無アルカリガラス基板上に、調製した各樹脂組成物をスピンコーター(スピンナー)により塗布した後、100℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。
次いで、得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて露光量1000J/m2として放射線照射を行い次いで、オーブン中で230℃の硬化温度および30分間の硬化時間でポストベークすることにより保護層を形成した。
形成した保護層に対して紫外線偏光露光装置(HC−2150PUFM、ランテクニカルサービス(株)製)を用いて、偏向光を750mJ/cm2を照射し光配向処理を施し、配向保護層を形成した。
その後、水平配向液晶を塗布し、配向状態を偏光顕微鏡で倍率20倍にて観察した。場所を変え、5つの視野(約1平方μm)にて観察し、以下の基準にて評価した。結果を下記第3表に示す。
A:問題なし。
B:濃淡が認められるが、実用上問題がないレベル。
C:欠陥あり、輝点が観察される。
D:全く配向しない。
無アルカリガラス基板上に、調製した各樹脂組成物をスピンコーターにより塗布した後、100℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。
次いで、得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて露光量1000J/m2として放射線照射を行い次いで、オーブン中で230℃の硬化温度および30分間の硬化時間でポストベークすることにより保護層を形成した。
この保護層に対して位相差測定装置KOBRA−WFD(王子計測機器株式会社社製)を用いて複屈折を評価した。結果を第3表に示す。なお、複屈折は表示の角度ズレに起因するため、30nmを超えなければ実用上問題がないが、低い数値が好ましい。
高さ1μm、幅10μmのL/Sパターン(L/S幅の比が1:1)を作成し、その上から樹脂組成物をスピンコーターで塗布し、90℃/120秒でプリベーク後、オーブンにて230℃/30分で熱硬化させ、2μmの硬化膜を得た。
得られた硬化膜の平坦性を下記式で定義し、算出した。結果を下記第3表に示す。なお、平坦性は、数値が100に近いほど平坦化能力が高く、実用上は70%以上が求められる。
平坦性(%)=(1−Δd/H)×100
ここで、上記式中、Δdは、L/Sパターン上部の硬化膜の膜厚と硬化膜の膜厚(2μm)の差分(μm)を意味し、Hは、下地のL/Sパターンの膜厚(μm)を意味する。
(1)アレイ基板の製造
国際公開(WO)2009/025386号パンフレットの実施例42の記載に従って、アレイ基板上にコンタクトホールの形成された絶縁膜を形成した。
次いで、絶縁膜が形成された基板に対し、スパッタリング法を用いて、絶縁膜の上にITOからなる透明導電層を形成した。次に、フォトリソグラフィ法を利用して透明導電層をエッチングして、絶縁膜上に共通電極を形成した。
その後、スパッタリング法を用いて、SiNの絶縁層を形成した。次にフォトリソグラフィ法を利用してSiN層をエッチングして、共通電極の形成された基板の表面にパターニングされたSiNの絶縁膜を形成した。
次に、スパッタリング法を用いて、層間絶縁膜の上に、ITOからなる透明導電層を形成した。次いで、フォトリソグラフィ法を利用してこの透明導電層をエッチングし、無機絶縁膜の上に櫛歯形状の画素電極を形成した。
以上のようにして、本実施例のアレイ基板を製造した。得られた本実施例のアレイ基板では、絶縁膜の所望の位置に所望のサイズのコンタクトホールが形成されており、画素電極と能動素子のソース−ドレイン電極との電気的な接続が実現されていた。
アレイ基板の透明電極の上に、光配向性基を有する感放射線性重合体を含む液晶配向剤として、国際公開(WO)2009/025386号パンフレットの実施例6に記載の液晶配向剤A−1をスピンナにより塗布する。次いで、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、内部を窒素置換したオーブンにて、180℃で1時間加熱して膜厚80nmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線200J/m2を、基板表面に垂直な方向に対して40°傾いた方向から照射し、液晶配向膜を有するアレイ基板を製造した。
まず、公知の方法により製造されたカラーフィルター基板を準備した。このカラーフィルター基板は、透明基板上に、赤色、緑色および青色の3色の微小な着色パターンと、ブラックマトリクスとが格子状に配置されている。次に、カラーフィルター基板の着色パターンとブラックマトリクスの上に、上記第2表に示す実施例1〜24および比較例1〜6の樹脂組成物を用いて塗膜を形成し、90℃/120秒でプリベークした後、オーブンにて230℃/30分で熱硬化させ、保護膜を作製した。次いで、保護膜に対して、紫外線偏光露光装置(HC−2150PUFM、ランテクニカルサービス(株)製)を用いて、偏向光を750mJ/cm2を照射する光配向処理を施し、2μmの配向保護膜を形成し、対向基板を製造した。
得られた配向保護膜付き対向基板と、アレイ基板とによって、液晶層を挟持してカラー液晶表示素子を製造した。液晶層としては、ネマチック液晶からなり、基板面に平行に配向するものを用いた。これらの液晶表示素子について表示特性と信頼性を評価した。
液晶表示素子を温度60℃/湿度90%のオーブンに1週間静置し、再び駆動させる評価を行った。結果を下記第3表に示す。
A:全く表示不良が起こらなかったもの
B:画素の1%以上〜10%未満に表示不良が生じたが、実用上は問題がないもの。
C:画素の10%以上に表示不良が生じたもの
D:製造直後にも表示できなかったもの
また、比較例3および4では、配向保護層の配向性基に由来するフラグメントの強度ELqが強度ESubの2倍以上であったが、共有結合を介して互いに連結した配向性基および架橋構造を有していないため、高温高湿下に晒され後の表示特性が劣ることが分かった(比較例3〜4)。
更に、配向性基を偏在させるための偏在性基を有していない重合体を用いた場合は、形成される配向保護層の配向性基に由来するフラグメントの強度ELqが強度ESubの2倍未満となり、作製直後の液晶表示素子であっても表示特性が劣ることが分かった(比較例5〜6)。
特に、実施例1と実施例24との対比から、分子量5000以下の架橋剤Bを配合すると、平坦性が向上し、また、表示性能もより良好となることが分かった。
12:バックライトユニット
14,15:基材
16:薄膜トランジスタ
17:硬化膜
18:コンタクトホール
19:ITO透明電極
20:液晶層
21:配向保護層
22:カラーフィルター
23:配向膜
30:第1の基板
40:第2の基板
Claims (14)
- 視認側から、第1の基板と、液晶層と、第2の基板とをこの順に有する液晶表示装置であって、
前記第1の基板が、基材と、配向保護層とを具備し、
前記第2の基板が、基材と、薄膜トランジスタと、表示電極と、配向膜とを具備し、
前記配向保護層が、前記液晶層と接する面を有し、
前記配向保護層が、共有結合を介して互いに連結した配向性基および架橋構造を有し、
飛行時間型二次イオン質量分析法で検出される前記配向性基に由来するフラグメントについて、前記配向保護層の前記液晶層に接する面における前記配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度ELqと、前記配向保護層の前記基材側の面における前記配向性基に由来するフラグメントの質量分析の強度ESubとが、下記条件1または2を満たし、
前記架橋構造が、下記式(A−1)〜(A−3)で表されるいずれかの構造を含む、液晶表示装置。
条件1:強度ELqが強度ESubの2倍〜20倍である。
条件2:強度ELqが有意に測定され、強度ESubが測定限界以下である。
ここで、前記式(A−1)〜(A−3)中、*は結合位置を表し、前記式(A−3)中、R1は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。 - 前記強度ELqが、前記強度ESubの5倍〜20倍である、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記配向性基が、光配向性基を光反応させてなる基である、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
- 前記配向保護層の膜厚が1〜4μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶層を構成する液晶が、水平配向液晶である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記配向性基に由来するフラグメントが、シンナメート基およびカルコン基からなる群から選択される少なくとも1種の光配向性基に由来するフラグメントである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 基材上に、配向性基を有する構成単位を含む重合体Pと、配向性基を有する構成単位を含まない重合体Aとを含有する配向保護層形成用組成物を用いて保護層を形成した後に、前記保護層に対して配向処理を施して配向保護層を形成し、第1の基板を作製する第1工程と、
基材、薄膜トランジスタ、表示電極および配向膜を具備する第2の基板と、前記第1の基板とを張り合わせて液晶を封入し、前記第1の基板と前記第2の基板との間に液晶層を形成し、液晶表示装置を作製する第2工程と、を有する液晶表示装置の製造方法。 - 前記重合体Pが、前記配向性基を有する構成単位として下記s1に示される構成単位を含み、
前記重合体Pおよび前記重合体Aが、下記条件3または4を満たす、請求項7に記載の液晶表示装置の製造方法。
s1:フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格および炭素数10〜30のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造を有する構成単位、ならびに、光配向性基を有する構成単位
条件3:前記重合体Pが、架橋性基を有する構成単位a2を含み、かつ、前記重合体Aが、酸基を有する構成単位a3を含む。
条件4:前記重合体Pが、酸基を有する構成単位a3を含み、かつ、前記重合体Aが、架橋性基を有する構成単位a2を含む。 - 前記架橋性基が、オキシラニル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、および、オキセタニル基からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の液表示装置の製造方法。
- 前記重合体Pおよび前記重合体Aの合計質量に対する前記重合体Pの質量割合が10質量%未満である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記配向保護層形成用組成物が、更に、分子量5000以下の架橋剤Bを含有する、請求項7〜10のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記架橋剤Bが、エポキシ基を有する架橋剤を含み、
前記架橋剤B、前記重合体Pおよび前記重合体Aの合計質量に対する前記架橋剤Bの質量割合が30質量%以下である、請求項11に記載の液晶表示装置の製造方法。 - 前記配向性基が、光配向性基であり、
前記配向処理が、波長365nm以下の光を用いる光配向処理である、請求項7〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。 - 前記第1工程が、前記配向処理の前または後に、熱処理を施す工程を含む、請求項7〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
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