JP2017067930A - 感光性樹脂組成物、導電パターンの製造方法、金属配線の製造方法、及び、ディスプレイ用部材の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、導電パターンの製造方法、金属配線の製造方法、及び、ディスプレイ用部材の製造方法 Download PDF

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孝太郎 岡部
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豪 安藤
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Abstract

【課題】高精細なパターンを形成でき、熱圧着時の密着性及び導通性に優れる感光性樹脂組成物、並びに、上記感光性樹脂組成物を用いた導電パターンの製造方法、金属配線の製造方法及びディスプレイ用部材の製造方法を提供すること。【解決手段】成分Aとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体を含有する重合体成分、成分Bとして、光酸発生剤、成分Zとして、樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子、及び、成分Cとして、有機溶剤、を含有し、下記I〜IIIの少なくとも1つを満たすことを特徴とする感光性樹脂組成物。I:上記重合体が架橋性基を有する構成単位a2を更に含むII:成分Aが架橋性基を有する構成単位a2を含む重合体を更に含有するIII:感光性樹脂組成物が、成分Dとして、分子量1,000以下の架橋剤を更に含有する【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、導電パターンの製造方法、金属配線の製造方法、及び、ディスプレイ用部材の製造方法に関する。
回路基板同士又は集積回路(IC)チップ等の電子部品と回路基板の接続とを電気的に接続する際には、接着剤に導電粒子を分散させた異方性導電フィルムが用いられている。すなわち、異方性導電フィルムを相対峙する電極間に配置して、加熱、加圧によって電極同士を接続後、加圧方向に導電性を持たせることによって、電気的接続を行うことができ、実用面では、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)のドライバICを実装するための接続材料として重要な役割を果たしている。
現在、LCDはノートPCやモニタ及びテレビ向けの大型パネルから、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム等のモバイル機器向けの中型又は小型パネルまで多様な用途に適用されているが、これらのLCDには異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)によるドライバICの実装が採用されている。LCDでのドライバIC実装は、ドライバICをTCP(Tape Carrier Package)化し、これをLCDパネルやプリント基板(PWB:Printed Wiring Board)に異方性導電フィルムによって電気的に接続することによって行われる。また、携帯電話等の中・小型LCDでは、ベアドライバICを異方性導電フィルムによって直接LCDへ実装するCOG(Chip on Glass)方式が採用されている。
LCDは、高精細化が進んでおり、LCDにおけるTCP接続やCOG接続では接続ピッチの微細化が要求されている。特に、COG接続ではICチップのバンプを接続電極としているため、TCP接続に比べて接続面積が小さくなることから、微小接続電極上に導通を確保するのに充分な数の導電粒子をいかに捕捉するかが高い接続信頼性を得る上で重要となっている。
従来の感光性樹脂組成物としては、特許文献1に記載されたものが知られている。
また、従来の異方性導電フィルムとしては、特許文献2又は3に記載されたものが知られている。
特開2013−210616号公報 特開平8−279371号公報 特開2010−260353号公報
本発明者らが詳細な検討を行ったところ、従来の異方性導電フィルムに用いる感光性樹脂組成物(感光性導電ペースト)では、LCDで使用される高圧水銀灯露光時において、近年の20μm以下の接続ピッチ要求に対しては、対応が困難であった。
また、LCD基板の狭額縁化により、偏光板などへの伝熱によるダメージや、COG接続部のバイメタル的変形がLCDに影響する問題も発生しており、従来200℃以上であった接続部の熱圧着温度は、近年は150℃以下へと低温化が進んでいる。
従来の異方性導電フィルムに用いる感光性樹脂組成物の場合、熱圧着時の密着性付与は処方中に含まれるラジカル重合を利用、すなわち、ネガ型の感光性樹脂組成物を用いたものが主であるが、このような態様であると、熱圧着温度の低下により、十分な密着性の付与が困難となりつつあることを本発明者らは見いだした。
本発明が解決しようとする課題は、高精細なパターンを形成でき、熱圧着時の密着性及び導通性に優れる感光性樹脂組成物、並びに、上記感光性樹脂組成物を用いた導電パターンの製造方法、金属配線の製造方法及びディスプレイ用部材の製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<10>、<12>又は<14>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<9>、<11>及び<13>と共に以下に記載する。
<1>成分Aとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体を含有する重合体成分、成分Bとして、光酸発生剤、成分Zとして、樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子、及び、成分Cとして、有機溶剤、を含有し、下記I〜IIIの少なくとも1つを満たすことを特徴とする感光性樹脂組成物、
I:上記重合体が架橋性基を有する構成単位a2を更に含む
II:成分Aが架橋性基を有する構成単位a2を含む重合体を更に含有する
III:感光性樹脂組成物が、成分Dとして、分子量1,000以下の架橋剤を更に含有する
<2>上記酸分解性基が、アセタールの形で保護された構造を有する基である、<1>に記載の感光性樹脂組成物、
<3>成分A’として、酸基を有する構成単位a1’を有する重合体を含有する重合体成分、成分B’として、キノンジアジド化合物、成分Zとして、樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子、及び、成分Cとして、有機溶剤、を含有し、下記I’及び/又はII’を満たすことを特徴とする感光性樹脂組成物、
I’:上記重合体が架橋性基を有する構成単位a2を更に含む
II’:感光性樹脂組成物が、成分Dとして、分子量1,000以下の架橋剤を更に含有する
<4>成分Xとして、マイクロカプセル型硬化剤を更に含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
<5>成分Zが、樹脂粒子表面をAg、Au、Pd、Ni、Al、Cu及びPtよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属で被覆した粒子である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
<6>上記架橋性基が、エポキシ基、オキセタニル基及び−NH−CH−O−Rで表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
なお、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す、
<7>成分Dが、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、分子内に2個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物、分子内に2個以上のアルコキシメチル基を有する化合物、及び、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物からなる群より選ばれる1種の化合物を含む、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
<8>成分Zの体積平均粒径が、1〜10μmである、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
<9>成分Zの含有量が、感光性樹脂組成物の全体積に対し、5.0〜30体積%である、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物、
<10><1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する工程、塗布された上記感光性樹脂組成物を露光する工程、及び、露光された上記感光性樹脂組成物を現像する工程を含む、導電パターンの製造方法、
<11>形成されたパターンにおける配線パターン同士の接続ピッチが、1〜20μmである、<10>に記載の導電パターンの製造方法、
<12><10>又は<11>に記載の導電パターンの製造方法により製造された導電パターンを熱圧着する工程を含む、金属配線の製造方法、
<13>上記熱圧着する工程の熱圧着温度が、150℃以下である、<12>に記載の金属配線の製造方法、
<14><12>又は<13>に記載の金属配線の製造方法により電極を形成する工程を含む、ディスプレイ用部材の製造方法。
本発明によれば、高精細なパターンを形成でき、熱圧着時の密着性及び導通性に優れる感光性樹脂組成物、並びに、上記感光性樹脂組成物を用いた導電パターンの製造方法、金属配線の製造方法及びディスプレイ用部材の製造方法を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において、数値範囲が「〜」のように表される場合、その数値範囲はその前後に記載される下限値及び上限値を含む範囲を意味する。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。
本明細書における化合物の表記に関し、「基(原子団)」における置換及び無置換の記載のない表記は、無置換の基と共に置換基を有する基をも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載される場合もある。
なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイル及びメタクリロイルを表す。
また、本発明において、「酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体を含有する重合体成分」等を、単に「成分A」等ともいう。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、好ましい態様の2以上の組み合わせは、より好ましい態様である。
(感光性樹脂組成物)
本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、成分Aとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体を含有する重合体成分、成分Bとして、光酸発生剤、成分Zとして、樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子、及び、成分Cとして、有機溶剤、を含有し、下記I〜IIIの少なくとも1つを満たすことを特徴とする。
I:上記重合体が架橋性基を有する構成単位a2を更に含む
II:成分Aが架橋性基を有する構成単位a2を含む重合体を更に含有する
III:感光性樹脂組成物が、成分Dとして、分子量1,000以下の架橋剤を更に含有する
本発明の感光性樹脂組成物における第2の実施態様は、成分A’として、酸基を有する構成単位a1’を有する重合体を含有する重合体成分、成分B’として、キノンジアジド化合物、成分Zとして、樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子、及び、成分Cとして、有機溶剤、を含有し、下記I’及び/又はII’を満たすことを特徴とする。
I’:上記重合体が架橋性基を有する構成単位a2を更に含む
II’:感光性樹脂組成物が、成分Dとして、分子量1,000以下の架橋剤を更に含有する
本発明において、単に「本発明の感光性樹脂組成物」又は「感光性樹脂組成物」という場合は、上記第1の実施態様及び上記第2の実施態様の両方に対するものであることはいうまでもない。
本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、上記I及び/又はIIを満たすことが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物における第2の実施態様は、上記I’を満たすことが好ましい。
本発明の詳細な機構は不明であるが、本発明者らが詳細な検討を行った結果、特定の架橋構造を有するポジ型感光性樹脂組成物と樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子とを組み合わせた場合に、高精細なパターンを形成でき、かつ熱圧着時の密着性及び導通性に優れる効果が発現することを見いだした。
以下、感光性樹脂組成物の各成分について順に説明する。
成分Z:樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子
本発明の感光性樹脂組成物は、成分Zとして、樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子を含有する。
本発明における成分Zは、樹脂粒子表面の少なくとも一部を金属で被覆した粒子であればよいが、樹脂粒子表面の面積のうち50%以上を金属で被覆した粒子であることが好ましく、樹脂粒子表面の80%以上を金属で被覆した粒子であることがより好ましく、樹脂粒子表面の90%以上を金属で被覆した粒子であることが更に好ましい。
成分Zにおける樹脂粒子の材質としては、樹脂であれば特に制限はないが、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、及び、ポリウレタン樹脂が好ましく挙げられ、ポリスチレン樹脂がより好ましく挙げられ、ポリスチレンが特に好ましく挙げられる。
また、上記樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
成分Zにおける被覆金属は、特に制限はなく、種々の金属、及び、これらの合金を用いることができる。具体例としては、Ag、Au、Pd、Ni、Al、Cu、Pt、Ag−Pd合金、Co及びCrなどが挙げられる。
成分Zは、樹脂粒子表面をAg、Au、Pd、Ni、Al、Cu及びPtよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属で被覆した粒子であることが好ましく、樹脂粒子表面をAg、Au、Ni及びCuよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属で被覆した粒子であることがより好ましく、樹脂粒子表面をCuで被覆した粒子であることが特に好ましい。
また、成分Zにおける被覆金属層は、1層のみでもよいし、2層以上形成されていてもよい。
例えば、金属で被覆した樹脂粒子の表面に更に、Sn、Au、及び/又は、はんだ等の表面層を形成することもできる。
成分Zにおける被覆金属層の厚さは、特に制限はないが、5〜500nmであることが好ましく、5〜200nmであることがより好ましく、5〜30nmであることが特に好ましい。
また、成分Zは、金属で被覆した樹脂粒子の表面が、絶縁層により更に被覆されていてもよい。
上記絶縁層としては、樹脂被覆層が好ましく挙げられ、また、樹脂被覆層の樹脂としては、上記樹脂粒子の材質で挙げたものを好適に用いることができる。
また、上記絶縁層の形成には、公知のコート剤を用いることができる。
成分Zの体積平均粒径は、基板の電極の最小の間隔よりも小さいことが必要であるが、電極の高さにばらつきがある場合、高さのばらつきよりも大きいことが好ましく、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、2〜8μmが更に好ましく、3〜7μmが特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、成分Zを1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、1種単独で使用することが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における成分Zの含有量は、感光性樹脂組成物の全体積に対し、1〜50体積%であることが好ましく、5.0〜30体積%であることがより好ましく、5.0〜15体積%であることが特に好ましい。
成分A:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体を含有する重合体成分
本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、成分Aとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体を含有する重合体成分を含有する。
また、本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、上記重合体が架橋性基を有する構成単位a2を更に含むか、又は、成分Aが架橋性基を有する構成単位a2を含む重合体を更に含有することが好ましい。
成分Aは、露光により生じる触媒量の酸性物質の作用により、その重合体成分に含まれる重合体中の酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1が脱保護反応を受け酸基となる。この酸基により、硬化反応が可能となる。
以下に構成単位a1の好ましい態様について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、更に、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を有する重合体以外の重合体を含んでいてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、成分Aとして、下記A1〜A5の少なくとも1つを満たす重合体成分を含有することが好ましい。
A1:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1、架橋性基を有する構成単位a2及び酸基を有する構成単位a3を有する重合体
A2:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1及び酸基を有する構成単位a3を有する重合体、並びに、架橋性基を有する構成単位a2及び酸基を有する構成単位a3を有する重合体
A3:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体、並びに、架橋性基を有する構成単位a2及び酸基を有する構成単位a3を有する重合体
A4:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1及び酸基を有する構成単位a3を有する重合体、並びに、架橋性基を有する構成単位a2を有する重合体
A5:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体、架橋性基を有する構成単位a2を有する重合体、及び、酸基を有する構成単位a3を有する重合体
成分Aが構成単位a2を有する重合体を含まない場合、本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、後述する成分Dを含有する。
成分Aは、A1〜A3の少なくとも1つを満たす重合体成分であることが好ましく、A1及び/又はA2を満たす重合体成分であることがより好ましい。
また、成分Aに含まれる全ての重合体がそれぞれ、酸基を有する構成単位a3を少なくとも有する重合体であることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、更に、これら以外の重合体を含んでいてもよい。本発明における成分Aは、特に述べない限り、上記A1〜A5の態様に加え、必要に応じて添加される他の重合体を含めたものを意味するものとする。なお、後述する架橋剤及び分散剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても、成分Aに含まないものとする。
成分Aは、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位を含む重合体であることがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
なお、「(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位」を「アクリル系構成単位」ともいう。また、「(メタ)アクリル酸」は、「メタクリル酸及び/又はアクリル酸」を意味するものとする。
<構成単位a1>
成分Aは、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を少なくとも有する重合体を含む。成分Aが構成単位a1を有する重合体を含むことにより、極めて高感度な化学増幅型の感光性樹脂組成物とすることができる。
本発明における「酸基が酸分解性基で保護された基」は、酸基及び酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。具体的な酸基としては、カルボキシル基、及び、フェノール性水酸基が好ましく挙げられる。また、酸基が酸分解性基で保護された基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、後述する式a1−10で表される基で保護されたエステル基、テトラヒドロピラニルエステル基、又は、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)や酸により比較的分解し難い基(例えば、tert−ブチルエステル基等の第三級アルキル基、tert−ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1は、カルボキシル基が酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位(「酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位」ともいう。)、又は、フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位(「酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位」ともいう。)であることが好ましい。
以下、酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1と、酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2について、順にそれぞれ説明する。
<<酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1>>
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1は、カルボキシル基を有する構成単位のカルボキシル基が、以下で詳細に説明する酸分解性基によって保護された保護カルボキシル基を有する構成単位である。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1に用いることができる上記カルボキシル基を有する構成単位としては、特に制限はなく公知の構成単位を用いることができる。例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1や、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位a1−1−2が挙げられる。
以下、上記カルボキシル基を有する構成単位として用いられるa1−1−1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位と、a1−1−2エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位について、それぞれ順に説明する。
<<<分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1>>>
上記分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1として本発明で用いられる不飽和カルボン酸としては以下に挙げるようなものが用いられる。すなわち、不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、けい皮酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸などが挙げられる。また、不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。また、カルボキシル基を有する構成単位を得るために用いられる不飽和多価カルボン酸は、その酸無水物であってもよい。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸は、多価カルボン酸のモノ(2−メタクリロイロキシアルキル)エステルであってもよく、例えば、コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)などが挙げられる。更に、不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。また、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等も用いることができる。
中でも、現像性の観点から、上記分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1を形成するためには、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、又は、不飽和多価カルボン酸の無水物等を用いることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸を用いることがより好ましい。
上記分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1は、1種単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。
<<<エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位a1−1−2>>>
エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位a1−1−2は、エチレン性不飽和基を有する構成単位中に存在する水酸基と酸無水物とを反応させて得られたモノマーに由来する単位であることが好ましい。
上記酸無水物としては、公知のものが使用でき、具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。これらの中では、現像性の観点から、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、又は、無水コハク酸が好ましい。
上記酸無水物の水酸基に対する反応率は、現像性の観点から、10〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%であることがより好ましい。
−構成単位a1−1に用いることができる酸分解性基−
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1に用いることができる上記酸分解性基としては上述の酸分解性基を用いることができる。
これらの酸分解性基の中でもカルボキシル基がアセタールの形で保護された保護カルボキシル基であることが、感光性樹脂組成物の基本物性、特に感度やパターン形状、コンタクトホールの形成性、感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から好ましい。更に酸分解性基の中でもカルボキシル基が下記式a1−10で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシル基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、カルボキシル基が下記式a1−10で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシル基である場合、保護カルボキシル基の全体としては、−(C=O)−O−CR101102(OR103)の構造となっている。
Figure 2017067930
式a1−10中、R101及びR102はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、ただし、R101とR102とが共に水素原子の場合を除く。R103は、アルキル基又はアリール基を表す。R101又はR102と、R103とが連結して環状エーテルを形成してもよい。
上記式a1−10中、R101〜R103はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、上記アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。ここで、R101及びR102の双方が水素原子を表すことはなく、R101及びR102の少なくとも一方はアルキル基又はアリール基を表す。
上記式a1−10において、R101、R102及びR103がアルキル基を表す場合、上記アルキル基は直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
上記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることが更に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
上記環状アルキル基としては、炭素数3〜12であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数4〜6であることが更に好ましい。上記環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基が例示できる。置換基としてハロゲン原子を有する場合、R101、R102、R103はハロアルキル基となり、置換基としてアリール基を有する場合、R101、R102、R103はアラルキル基となる。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、これらの中でも、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
また、上記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、α−メチルフェニル基、ナフチル基等が例示でき、アリール基で置換されたアルキル基全体、すなわち、アラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が例示できる。
上記アルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が更に好ましい。
また、上記アルキル基がシクロアルキル基である場合、上記シクロアルキル基は置換基として炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有していてもよく、アルキル基が直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である場合には、置換基として炭素数3〜12のシクロアルキル基を有していてもよい。
これらの置換基は、上記置換基で更に置換されていてもよい。
上記式a1−10において、R101、R102及びR103がアリール基を表す場合、上記アリール基は炭素数6〜12であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましい。上記アリール基は置換基を有していてもよく、上記置換基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく例示できる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が例示できる。
また、R101、R102及びR103は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができる。R101とR102、R101とR103又はR102とR103が結合した場合の環構造としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、テトラヒドロフラニル基、アダマンチル基及びテトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
なお、上記式a1−10において、R101及びR102のいずれか一方が、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
上記式a1−10で表される保護カルボキシル基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、特開2011−221494号公報の段落0037〜0040に記載の合成方法などで合成することができる。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1の第1の好ましい態様は、下記式で表される構成単位である。
Figure 2017067930
式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR1及びR2のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R3は、アルキル基又はアリール基を表し、R1又はR2と、R3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R4は、水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
1及びR2がアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。R1及びR2がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
3は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
Xは、単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1の第2の好ましい態様は、下記式で表される構成単位である。
Figure 2017067930
式中、R121は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、L1はカルボニル基又はフェニレン基を表し、R122〜R128はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
121は水素原子又はメチル基が好ましい。
1はカルボニル基が好ましい。
122〜R128は、水素原子が好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、Rは水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2017067930
<<酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2>>
上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2は、フェノール性水酸基を有する構成単位が、以下で詳細に説明する酸分解性基によって保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位である。
<<<フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2−1>>>
上記フェノール性水酸基を有する構成単位としては、ヒドロキシスチレン系構成単位やノボラック系の樹脂における構成単位が挙げられるが、これらの中では、ヒドロキシスチレン又はα−メチルヒドロキシスチレンに由来する構成単位が、感度の観点から好ましい。また、フェノール性水酸基を有する構成単位として、下記式a1−20で表される構成単位も、感度の観点から好ましい。
Figure 2017067930
式a1−20中、R220は水素原子又はメチル基を表し、R221は単結合又は2価の連結基を表し、R222はハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、aは1〜5の整数を表し、bは0〜4の整数を表し、a+bは5以下である。なお、R222が2以上存在する場合、これらのR222は相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
上記式a1−20中、R220は水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
また、R221は単結合又は2価の連結基を表す。単結合である場合には、感度を向上させることができ、更に硬化膜の透明性を向上させることができるので好ましい。R221の2価の連結基としてはアルキレン基が例示でき、R221がアルキレン基である具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。中でも、R221が単結合、メチレン基、又は、エチレン基であることが好ましい。また、上記2価の連結基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。また、aは1〜5の整数を表すが、本発明の効果の観点や、製造が容易であるという点から、aは1又は2であることが好ましく、aが1であることがより好ましい。
また、ベンゼン環における水酸基の結合位置は、R221と結合している炭素原子を基準(1位)としたとき、4位に結合していることが好ましい。
222はそれぞれ独立に、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。中でも製造が容易であるという点から、塩素原子、臭素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
また、bは0又は1〜4の整数を表す。
−構成単位a1−2に用いることができる酸分解性基−
上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2に用いることができる上記酸分解性基としては、上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1に用いることができる上記酸分解性基と同様に、公知のものを使用でき、特に限定されない。酸分解性基の中でもアセタールで保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位であることが、感光性樹脂組成物の基本物性、特に感度やパターン形状、感光性樹脂組成物の保存安定性、コンタクトホールの形成性の観点から好ましい。更に、酸分解性基の中でもフェノール性水酸基が上記式a1−10で表されるアセタールの形で保護された保護フェノール性水酸基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、フェノール性水酸基が上記式a1−10で表されるアセタールの形で保護された保護フェノール性水酸基である場合、保護フェノール性水酸基の全体としては、−Ar−O−CR101102(OR103)の構造となっている。なお、Arはアリーレン基を表す。
フェノール性水酸基のアセタールエステル構造の好ましい例は、R101=R102=R103=メチル基の組み合わせやR101=R102=メチル基でR103=ベンジル基の組み合わせ、R101=水素原子、R102=メチル基及びR103=エチル基の組み合わせ、R101=水素原子、R102及びR103が結合して5員環又は6員環を形成する組み合わせが例示できる。
また、フェノール性水酸基がアセタールの形で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、特開2011−215590号公報の段落0042に記載のものなどが挙げられる。
これらの中で、4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの1−アルコキシアルキル保護体、4−ヒドロキシフェニルメタクリレートのテトラヒドロピラニル保護体が透明性の観点から好ましい。
フェノール性水酸基のアセタール保護基の具体例としては、1−アルコキシアルキル基が挙げられ、例えば、1−エトキシエチル基、1−メトキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチル基、1−ベンジルオキシエチル基などを挙げることができ、これらは1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、フェノール性水酸基を有する化合物を酸触媒の存在下でビニルエーテルと反応させることにより合成することができる。上記の合成はフェノール性水酸基を有するモノマーをその他のモノマーと予め共重合させておき、その後に酸触媒の存在下でビニルエーテルと反応させてもよい。
上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2017067930
−構成単位a1の好ましい態様−
上記構成単位a1を有する重合体が、実質的に、構成単位a2を有しない場合、構成単位a1は、上記構成単位a1を有する重合体中、20〜100モル%が好ましく、30〜90モル%がより好ましい。
上記構成単位a1を有する重合体が、下記構成単位a2を有する場合、単構成単位a1は、上記構成単位a1と構成単位a2とを有する重合体中、感度の観点から3〜70モル%が好ましく、10〜60モル%がより好ましい。また、特に上記構成単位a1が、カルボキシル基がアセタールの形で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位である場合、20〜50モル%が好ましい。
なお、本発明において、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、当該「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本発明において当該「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1は、上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2に比べると、現像が速いという特徴がある。よって、速く現像したい場合には酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位a1−1が好ましい。逆に現像を遅くしたい場合には酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2を用いることが好ましい。
<架橋性基を有する構成単位a2>
成分Aは、架橋性基を有する構成単位a2を有する重合体を含有することが好ましい。上記架橋性基は、加熱処理で硬化反応を起こす基であれば特に限定はされない。好ましい架橋性基を有する構成単位の態様としては、エポキシ基、オキセタニル基、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基、エチレン性不飽和基、及び、ブロックイソシアネート基よりなる群から選ばれた少なくとも1つを含む構成単位が挙げられ、エポキシ基、オキセタニル基、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基、(メタ)アクリロイル基、及び、ブロックイソシアネート基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、エポキシ基、オキセタニル基、及び、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。その中でも、上記成分Aが、エポキシ基及びオキセタニル基のうち少なくとも1つを含む構成単位を含むことがより好ましい。より詳細には、以下のものが挙げられる。
<<エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位a2−1>>
成分Aは、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位a2−1を有する重合体を含有することが好ましい。3員環の環状エーテル基はエポキシ基とも呼ばれ、4員環の環状エーテル基はオキセタニル基とも呼ばれる。
上記エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位a2−1は、1つの構成単位中にエポキシ基又はオキセタニル基を少なくとも1つ有していればよく、1つ以上のエポキシ基及び1つ以上オキセタニル基、2つ以上のエポキシ基、又は、2つ以上のオキセタニル基を有していてもよく、特に限定されないが、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1〜3つ有することが好ましく、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1又は2つ有することがより好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ有することが更に好ましい。
エポキシ基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、α−エチルアクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、特許第4168443号公報の段落0031〜0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物などが挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
オキセタニル基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
上記エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位a2−1を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、メタクリル酸エステル構造を含有するモノマー、アクリル酸エステル構造を含有するモノマーであることが好ましい。
これらの中でも好ましいものは、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、及び、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルである。これらの構成単位は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位a2−1の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2017067930
<<エチレン性不飽和基を有する構成単位a2−2>>
上記架橋性基を有する構成単位a2の1つとして、エチレン性不飽和基を有する構成単位a2−2が挙げられる。上記エチレン性不飽和基を有する構成単位a2−2としては、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位が好ましく、末端にエチレン性不飽和基を有し、炭素数3〜16の側鎖を有する構成単位がより好ましい。
その他、エチレン性不飽和基を有する構成単位a2−2については、特開2011−215580号公報の段落0072〜0090の記載、及び、特開2008−256974号公報の段落0013〜0031の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<<−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基を有する構成単位a2−3>>
本発明で用いる共重合体は、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基を有する構成単位a2−3も好ましい。構成単位a2−3を有することで、緩やかな加熱処理で硬化反応を起こすことができ、諸特性に優れた硬化膜を得ることができる。ここで、Rは炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜9のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。また、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましい。構成単位a2−3は、下記式a2−30で表される基を有する構成単位であることがより好ましい。
Figure 2017067930
式a2−30中、R31は水素原子又はメチル基を表し、R32は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
32は、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。また、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基のいずれであってもよいが、好ましくは、直鎖又は分岐のアルキル基である。
32の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、シクロヘキシル基、及び、n−ヘキシル基を挙げることができる。中でも、i−ブチル基、n−ブチル基、メチル基が好ましい。
−構成単位a2の好ましい態様−
上記構成単位a2を有する重合体が、実質的に、構成単位a1を有しない場合、構成単位a2は、上記構成単位a2を有する重合体中、5〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましい。
上記構成単位a2を有する重合体が、上記構成単位a1を有する場合、構成単位a2の含有量は、構成単位a1と構成単位a2を有する重合体中、1〜70モル%が好ましく、3〜60モル%がより好ましい。
本発明では、更に、いずれの態様にかかわらず、成分Aの全構成単位中、構成単位a2を0〜70モル%含有することが好ましく、0〜50モル%含有することがより好ましい。
<酸基を有する構成単位a3>
成分Aは、酸基を有する構成単位a3を有する重合体を含有することが好ましい。
成分Aが酸基を有することにより、アルカリ性の現像液に溶けやすくなり、現像性が良くなるだけでなく、感度に優れ、更に現像後の密着性にも優れる。
本発明における酸基とは、pKaが11より小さいプロトン解離性基を意味する。酸基は、通常、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を含む構成単位として、重合体に組み込まれる。このような酸基を含む構成単位を重合体中に含めることにより、アルカリ性の現像液に対して溶けやすくなる傾向にある。
本発明で用いられる酸基としては、カルボキシル基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、並びに、これらの酸基の酸無水物基、及び、これらの酸基を中和し塩構造とした基等が例示され、カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基が好ましい。上記塩としては、特に制限はないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び、有機アンモニウム塩が好ましく例示できる。
本発明で用いられる酸基を含む構成単位は、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位であることがより好ましい。例えば、特開2012−88459号公報の段落0021〜0023及び段落0029〜0044記載の化合物を用いることができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。中でも、p−ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸に由来する構成単位が好ましい。
酸基を有する構成単位a3としては、感度の観点から、カルボキシル基を有する構成単位、又は、フェノール性水酸基を有する構成単位が好ましく、カルボキシル基を有する構成単位がより好ましい。
酸基を有する構成単位a3として具体的には、上述した分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位a1−1−1、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位a1−1−2、フェノール性水酸基を有する構成単位a1−2−1が挙げられ、好ましい態様も同様である。
中でも、酸基を有する構成単位a3としては、メタクリル酸、アクリル酸及びp−ヒドロキシスチレンよりなる群から選ばれた化合物由来の構成単位(下記式a3−1〜式a3−3のいずれかで表される構成単位)であることが好ましく、メタクリル酸由来の構成単位(下記式a3−1で表される構成単位)又はアクリル酸由来の構成単位(下記式a3−2で表される構成単位)であることがより好ましく、メタクリル酸由来の構成単位(下記式a3−1で表される構成単位)であることが更に好ましい。
Figure 2017067930
−構成単位a3の好ましい態様−
酸基を含む構成単位は、全重合体成分の構成単位に対し、1〜80モル%が好ましく、1〜50モル%がより好ましく、5〜40モル%が更に好ましく、5〜30モル%が特に好ましく、5〜20モル%が最も好ましい。
上記構成単位a3を有する重合体が、構成単位a1及び構成単位a2を有する場合、構成単位a3の含有量は、上記重合体の全構成単位に対し、1〜30モル%が好ましく、3〜20モル%がより好ましく、5〜15モル%が更に好ましい。
上記構成単位a3を有する重合体が、構成単位a1又は構成単位a2のいずれかしか有しない場合、構成単位a3の含有量は、上記重合体の全構成単位に対し、1〜50モル%が好ましく、5〜45モル%がより好ましく、10〜40モル%が更に好ましい。
<その他の構成単位a4>
本発明において、成分Aは、上記構成単位a1〜構成単位a3に加えて、これら以外の他の構成単位a4を有していてもよい。これらの構成単位は、上記A1〜A5の少なくとも1つを満たす重合体成分が含んでいてもよい。また、上記A1〜A5の少なくとも1つを満たす重合体成分とは別に、構成単位a1〜構成単位a3を含まずに他の構成単位a4を有する重合体成分を有していてもよい。上記A1〜A5の少なくとも1つを満たす重合体成分とは別に、構成単位a1〜構成単位a3を有さずに他の構成単位a4を有する重合体成分を含む場合、他の構成単位a4を有する重合体成分の配合量は、全重合体成分中、60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
その他の構成単位a4となるモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物類、マレイミド化合物類、不飽和芳香族化合物を挙げることができる。
その他の構成単位a4を形成するモノマーは、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
その他の構成単位a4は、具体的には、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどによる構成単位を挙げることができる。この他、特開2004−264623号公報の段落0021〜0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、その他の構成単位a4としては、スチレン類、又は、脂肪族環式骨格を有するモノマー由来の構成単位が、電気特性の観点で好ましい。具体的にはスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更にまた、その他の構成単位a4としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位が、密着性の観点で好ましい。具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル等が挙げられ、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。重合体を構成する全構成単位中、上記の構成単位a4の含有率は、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、40モル%以下が更に好ましい。下限値としては、0モル%でもよいが、例えば、1モル%以上とすることが好ましく、5モル%以上とすることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の諸特性が良好となる。
本発明では、構成単位a3と構成単位a4のみを有する重合体を含んでいてもよい。
このような重合体としては、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂が好ましい。例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等が挙げられ、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。実質的に含まないとは重合体中の重量割合が1質量%以下であることをいう。
例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
その他にも、特開平7−207211号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−140144号公報、特開平11−174224号公報、特開2000−56118号公報、特開2003−233179号公報、特開2009−52020号公報等に記載の公知の高分子化合物を使用することができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
これらの重合体は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
これらの重合体として、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC−3000、ARUFON UC−3510、ARUFON UC−3900、ARUFON UC−3910、ARUFON UC−3920、ARUFON UC−3080(以上、東亞合成(株)製)、JONCRYL 690、JONCRYL 678、JONCRYL 67、JONCRYL 586(以上、BASF社製)等を用いることもできる。
−成分Aにおける重合体の分子量−
成分Aにおける重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましく、10,000〜20,000が更に好ましい。上記の数値の範囲内であると、諸特性が良好である。数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwとの比(分散度、Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.5〜3.5がより好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量や数平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することが好ましい。本発明におけるゲル浸透クロマトグラフィ法による測定は、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super HZ M−H、TSK gel Super HZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いることが好ましい。
−成分Aにおける重合体の製造方法−
また、成分Aにおける重合体の合成法についても、様々な方法が知られているが、一例を挙げると、少なくとも上記構成単位a1〜構成単位a3を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様において、感光性樹脂組成物中における成分Aの含有量は、感光性樹脂組成物の成分Z以外の全固形分に対して、20〜95質量%であることが好ましく、50〜95質量%であることがより好ましく、55〜95質量%であることが更に好ましい。含有量がこの範囲であると、硬化性の良好な有機膜が得られる。
なお、感光性樹脂組成物の全固形分とは、有機溶剤を除いた全成分のことであり、感光性樹脂組成物の成分Z以外の全固形分とは、成分Z及び有機溶剤を除いた全成分のことである。
成分B:光酸発生剤
本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、成分Bとして、光酸発生剤を含有する。
本発明で使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造に制限されるものではない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。本発明で使用される光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤が最も好ましい。
光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、スルホニウム塩やヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、感度の観点から、オキシムスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物及びオニウム塩化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することが好ましく、オキシムスルホネート化合物を用いることがより好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トリクロロメチル−s−トリアジン類、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、第四級アンモニウム塩類、及び、ジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0083〜0088に記載の化合物が例示できる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記式B1で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物が好ましく例示できる。
Figure 2017067930
式B1中、R21は、アルキル基又はアリール基を表し、波線部分は他の基との結合箇所を表す。
いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。許容される置換基は以下に説明する。
21のアルキル基としては、炭素数1〜10の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6〜11のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は、シクロアルキル基(7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)で置換されてもよい。
21のアリール基としては、炭素数6〜11のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されてもよい。
上記式B1で表されるオキシムスルホネート構造を含有する上記化合物は、特開2014−238438号公報の段落0108〜0133に記載のオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様において、成分Bは、感光性樹脂組成物中の成分Z以外の全固形分100質量部に対して、0.1〜10質量部使用することが好ましく、0.5〜5質量部使用することがより好ましい。
また、成分Bは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
成分A’:酸基を有する構成単位a1’を有する重合体を含有する重合体成分
本発明の感光性樹脂組成物における第2の実施態様は、成分A’として、酸基を有する構成単位a1’を有する重合体を含有する重合体成分を含有する。
成分A’は、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1の代わりに、酸基を有する構成単位a1’を有することを必須とする点、及び、後述する点以外については、成分Aと同様であり、好ましい態様も同様である。
成分A’が含有する重合体は、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよいが、そのいずれの重合体も酸基を有する構成単位a1’を有することが好ましい。
また、酸基を有する構成単位a1’を有する重合体は、架橋性基を有する構成単位a2を含有することが好ましい。
また、成分A’は、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体を含まないことが好ましい。
<酸基を有する構成単位a1’>
ここで、酸基を有する構成単位a1’は、上述した成分Aにおける、酸基を有する構成単位a3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
成分A’における酸基を有する構成単位a1’を有する重合体の全構成単位中、構成単位a1’が3〜70モル%含有されていることが好ましく、5〜60モル%含有されていることがより好ましく、10〜50モル%含有されていることが更に好ましい。構成単位a1’の使用割合を上記範囲とすることで、成分A’における重合体のアルカリ水溶液に対する溶解性を最適化すると共に、感度に優れる感光性樹脂組成物が得られる。
成分A’における酸基を有する構成単位a1’を有する重合体の全構成単位中、構成単位a2が0〜70モル%含有されていることが好ましく、0〜50モル%含有されていることがより好ましい。構成単位a2の使用割合を上記範囲とすることで、諸特性に優れる硬化膜を形成できる。
本発明の感光性樹脂組成物における第2の実施態様において、感光性樹脂組成物の成分Z以外の固形分1gあたりの、成分A’及び/又は成分Dに含まれる架橋性基量の合計量は、0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下であり、0.2mmol/g以上2.5mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。
ここで、架橋性基とは、成分A’及び成分Dに含まれる、熱によって架橋反応が起こる基をいう。
成分A’における酸基を有する構成単位a1’を有する重合体の全構成単位中、その他の構成単位a4が1〜90モル%含有されていることが好ましく、5〜80モル%含有されていることがより好ましく、7〜60モル%含有されていることが更に好ましい。構成単位a4の使用割合を上記範囲とすることで、諸特性に優れる硬化膜を形成できる。
−成分A’における重合体の分子量−
成分A’における重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、好ましくは1,000〜200,000、より好ましくは2,000〜50,000の範囲である。上記の数値の範囲内であると、諸特性が良好である。
数平均分子量と重量平均分子量の比(分散度)は1.0〜5.0が好ましく1.5〜3.5がより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における第2の実施態様において、感光性樹脂組成物中における成分A’の含有量は、感光性樹脂組成物の成分Z以外の全固形分に対して、20〜95質量%であることが好ましく、50〜93質量%であることがより好ましく、55〜90質量%であることが更に好ましい。含有量がこの範囲であると、硬化性の良好な有機膜が得られる。
成分B’:キノンジアジド化合物
本発明の感光性樹脂組成物における第2の実施態様は、成分B’として、キノンジアジド化合物を含有する。
上記キノンジアジド化合物としては、活性光線の照射によりカルボン酸を発生する1,2−キノンジアジド化合物を用いることができる。1,2−キノンジアジド化合物としては、フェノール性化合物又はアルコール性化合物(以下、「母核」と称する。)と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物を用いることができる。これらの化合物の具体例としては、例えば、特開2012−088459公報の段落0075〜0078の記載を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
フェノール性化合物又はアルコール性化合物(母核)と、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合反応においては、フェノール性化合物又はアルコール性化合物中のOH基数に対して、好ましくは30〜85モル%、より好ましくは50〜70モル%に相当する1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドを用いることができる。縮合反応は、公知の方法によって実施することができる。
また、1,2−キノンジアジド化合物としては、上記例示した母核のエステル結合をアミド結合に変更した1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミド類、例えば2,3,4−トリアミノベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸アミド等も好適に使用される。また、4,4’−{1−{4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル}エチリデン}ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(2.44モル)との縮合物などを用いてもよい。
これらのキノンジアジド化合物は、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物の第2の実施態様におけるキノンジアジド化合物の含有量は、感光性樹脂組成物中の成分Z以外の全固形分100質量部に対し、1〜50質量部が好ましく、2〜40質量部がより好ましく、10〜25質量部が更に好ましい。キノンジアジド化合物の配合量を上記範囲とすることで、現像液となるアルカリ水溶液に対する活性光線の照射部分と未照射部分との溶解度の差が大きく、パターニング性能が良好となり、また得られる硬化膜の耐溶剤性が良好となる。
成分C:溶剤
本発明の感光性樹脂組成物は、成分Cとして、溶剤を含有する。
本発明の感光性樹脂組成物における第1の実施態様は、必須成分である成分A、成分B及び成分Zと、後述の任意成分とを、成分A及び成分Bが溶解する有機溶剤を使用して、これらの成分が溶解又は分散した液として感光性樹脂組成物を調製することが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における第2の実施態様は、必須成分である成分A’、成分B’及び成分Zと、後述の任意成分とを、成分A’及び成分B’が溶解する有機溶剤を使用して、これらの成分が溶解又は分散した液として感光性樹脂組成物を調製することが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物の感光性樹脂組成物は、成分Z以外の成分を溶解又は分散した液を調製した後、成分Zを添加し、感光性樹脂組成物を調製することが好ましい。
成分Cとしては、公知の有機溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ブチレングリコールジアセテート類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコール類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。これらの有機溶剤の具体例としては、特開2009−098616号公報の段落0062を参照できる。
好ましい具体例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、メトキシプロピルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコールが挙げられる。
有機溶剤の沸点は、塗布性の観点から100℃〜300℃が好ましく、120℃〜250℃がより好ましい。
本発明に用いることができる溶剤は、1種単独、又は、2種以上を併用することができる。沸点の異なる溶剤を併用することも好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における溶剤の含有量は、塗布に適した粘度に調整するという観点から、感光性樹脂組成物の成分Z以外の全固形分100質量部あたり、100〜3,000質量部であることが好ましく、200〜2,000質量部であることがより好ましく、250〜1,000質量部であることが更に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物の固形分濃度としては、3〜50質量%が好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
成分D:分子量1,000以下の架橋剤
本発明の感光性樹脂組成物は、成分Dとして、分子量1,000以下の架橋剤を含むことが好ましい。
上記架橋剤としては、熱によって架橋反応が起こるものであれば制限なく使用できる(ただし、成分A、及び、後述するアルコキシシリル基含有架橋剤は除かれる。)。例えば、以下に述べる分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、分子内に2個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物(保護されたイソシアナト基を有する化合物)、分子内に2個以上のアルコキシメチル基を有する化合物、及び、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、及び、分子内に2個以上のブロックイソシアネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における成分Dの含有量は、感光性樹脂組成物の成分Zを除く全固形分100質量部に対し、0〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
上記架橋剤は、複数種を併用することもでき、その場合は架橋剤を全て合算した全含有量により添加量を計算する。
以下に、本発明において好ましく使用される上記架橋剤について説明する。
−分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物−
分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物としては、多官能の3及び/又は4員環環状エーテル化合物が挙げられる。すなわち、1分子内に、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を2個以上有する化合物であることを意味する。この化合物の分子量は、分子量1,000以下である。この低分子の架橋剤に、分子量1,000を超え5,000未満のオリゴマー、又は、分子量が5,000以上の高分子の架橋剤を少量併用してもよい。
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の具体例としては、脂肪族エポキシ化合物等を挙げることができる。
これらは市販品として入手できる。例えば、デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−411、EX−421、EX−313、EX−314、EX−321、EX−211、EX−212、EX−810、EX−811、EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L、DLC−201、DLC−203、DLC−204、DLC−205、DLC−206、DLC−301、DLC−402(以上、ナガセケムテックス(株)製)、セロキサイド2021P、2081、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177(以上、(株)ダイセル製)などが挙げられる。
これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、分子内に2個以上のオキセタニル基を含む化合物は、単独で又は分子内に2個以上のエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
−分子内に2個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物−
本発明の感光性樹脂組成物は、成分Dとして、分子内に2個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物(単に、「ブロックイソシアネート化合物」ともいう。)も好ましく採用できる。ブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート基が化学的に保護されたブロックイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限はない。ブロックイソシアネート化合物もその分子量が、1,000以下である化合物を架橋剤として使用する。
なお、本発明におけるブロックイソシアネート基とは、熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であり、例えば、ブロック剤とイソシアネート基とを反応させイソシアネート基を保護した基が好ましく例示できる。また、上記ブロックイソシアネート基は、90℃〜250℃の熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であることが好ましい。
また、ブロックイソシアネート化合物としては、その骨格は特に限定されるものではなく、1分子中にイソシアネート基を2個有するものであればどのようなものでもよく、脂肪族、脂環族又は芳香族のポリイソシアネートであってよいが、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化1,3−キシリレンジイソシアネート、水素化1,4−キシリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物及びこれらの化合物から派生するプレポリマー型の骨格の化合物を好適に用いることができる。これらの中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が特に好ましい。
上記ブロックイソシアネート化合物の母構造としては、ビウレット型、イソシアヌレート型、アダクト型、2官能プレポリマー型等を挙げることができる。
上記ブロックイソシアネート化合物のブロック構造を形成するブロック剤としては、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール系化合物、イミド系化合物等を挙げることができる。これらの中でも、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物から選ばれるブロック剤が特に好ましい。
上記オキシム化合物としては、オキシム、及び、ケトオキシムが挙げられ、具体的には、アセトキシム、ホルムアルドキシム、シクロヘキサンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、及び、ベンゾフェノンオキシム等が例示できる。
上記ラクタム化合物としてはε−カプロラクタム、及び、γ−ブチロラクタム等が例示できる。
上記フェノール化合物としては、フェノール、ナフトール、クレゾール、キシレノール、及び、ハロゲン置換フェノール等が例示できる。
上記アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、及び、乳酸アルキル等が例示できる。
上記アミン化合物としては、第一級アミン及び第二級アミンが挙げられ、芳香族アミン、脂肪族アミン、脂環族アミンのいずれでもよく、アニリン、ジフェニルアミン、エチレンイミン、及び、ポリエチレンイミン等が例示できる。
上記活性メチレン化合物としては、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、及び、アセト酢酸メチル等が例示できる。上記ピラゾール化合物としては、ピラゾール、メチルピラゾール、及び、ジメチルピラゾール等が例示できる。
上記メルカプタン化合物としては、アルキルメルカプタン、及び、アリールメルカプタン等が例示できる。
本発明に使用できるブロックイソシアネート化合物は、市販品として入手可能であり、例えば、コロネートAPステーブルM、コロネート2503、2515、2507、2513、2555、ミリオネートMS−50(以上、日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートB−830、B−815N、B−820NSU、B−842N、B−846N、B−870N、B−874N、B−882N(以上、三井化学(株)製)、デュラネート17B−60PX、17B−60P、TPA−B80X、TPA−B80E、MF−B60X、MF−B60B、MF−K60X、MF−K60B、E402−B80B、SBN−70D、SBB−70P、K6000(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)、デスモジュールBL1100、BL1265 MPA/X、BL3575/1、BL3272MPA、BL3370MPA、BL3475BA/SN、BL5375MPA、VPLS2078/2、BL4265SN、PL340、PL350、スミジュールBL3175(以上、住化バイエルウレタン(株)製)等を好ましく使用することができる。
−分子内に2個以上のアルコキシメチル基を有する化合物−
分子内に2個以上のアルコキシメチル基を有する化合物としては、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリル及びアルコキシメチル化尿素等が好ましい。これらは、それぞれメチロール化メラミン、メチロール化ベンゾグアナミン、メチロール化グリコールウリル、又は、メチロール化尿素のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができるが、アウトガスの発生量の観点から、メトキシメチル基が特に好ましい。
これらの化合物のうち、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリルが好ましい化合物として挙げられ、透明性の観点から、アルコキシメチル化グリコールウリルが特に好ましい。
アルコキシメチル基含有架橋剤もその分子量が、1,000以下である化合物を感光性樹脂組成物に使用する。
これら分子内に2個以上のアルコキシメチル基を有する化合物は、市販品として入手可能であり、例えば、サイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300(以上、三井サイアナミッド(株)製)、ニカラックMX−750、−032、−706、−708、−40、−31、−270、−280、−290、ニカラックMS−11、ニカラックMW−30HM、−100LM、−390、(以上、(株)三和ケミカル製)などを好ましく使用することができる。
<少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物>
少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物を好適に用いることができる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレートなどが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートなどが挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を加える場合には、後述の熱ラジカル発生剤を添加することが好ましい。
感光性樹脂組成物の成分Z以外の固形分1gあたりの、成分A及び/又は成分Dに含まれる架橋性基量の合計量は、0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下であり、0.2mmol/g以上2.5mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。
ここで、架橋性基とは、成分A及び成分Dに含まれる、熱によって架橋反応が起こる基をいう。
成分X:マイクロカプセル型硬化剤
本発明の感光性樹脂組成物は、成分Xとして、マイクロカプセル型硬化剤を更に含有することが好ましい。上記態様であると、感光性樹脂組成物の経時安定性に優れると共に、熱圧着時の密着性より優れ、得られる硬化膜の強度に優れる。
本発明におけるマイクロカプセル型硬化剤とは、硬化剤を核(コア)とし、高分子化合物やシクロデキストリンなどの化合物により被膜(シェル)を形成したものである。
上記マイクロカプセル型硬化剤におけるシェルの材質としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、及び、シクロデキストリン等が好ましく挙げられる。
上記マイクロカプセル型硬化剤に含まれる硬化剤としては、硬化剤自体が架橋反応等の硬化反応をする化合物(硬化触媒)であっても、架橋反応を促進する化合物であってもよい。
上記硬化剤としては、硬化触媒が好ましく、アミン化合物がより好ましく、イミダゾール化合物が更に好ましい。
マイクロカプセル型硬化剤の体積平均粒径としては、特に制限はないが、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
マイクロカプセル型硬化剤の市販品としては、ノバキュアHX3941HP、ノバキュアHXA3042HP、ノバキュアHXA3922HP、ノバキュアHXA3792、ノバキュアHX3748、ノバキュアHX3721、ノバキュアHX3722、ノバキュアHX3088、ノバキュアHX3741、ノバキュアHX3742、ノバキュアHX3613(いずれも旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)などが好ましく用いられる。
成分Xは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
本発明の感光性樹脂組成物中における成分Xの含有量は、感光性樹脂組成物の成分Z以外の全固形分100質量部に対し、0.5〜15質量部であることが好ましく、1〜100質量部であることがより好ましい。
成分E:増感剤
本発明の感光性樹脂組成物は、光酸発生剤やキノンジアジド化合物との組み合わせにおいて、その分解を促進させるために、増感剤を含有することが好ましい。
増感剤は、活性光線又は放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nmの波長域のいずれかに吸収波長を有する化合物を挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン,3,7−ジメトキシアントラセン、9,10−ジプロピルオキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、キサントン類(例えば、キサントン、チオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、ローダシアニン類、オキソノール類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アクリドン類(例えば、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、スチリル類、ベーススチリル類(例えば、2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}ベンゾオキサゾール)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン、2,3,6,7−テトラヒドロ−9−メチル−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−ノン)。
これら増感剤の中でも、多核芳香族類、アクリドン類、スチリル類、ベーススチリル類、クマリン類が好ましく、多核芳香族類がより好ましい。多核芳香族類の中でもアントラセン誘導体が最も好ましい。
増感剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
本発明の感光性樹脂組成物における増感剤の含有量は、感光性樹脂組成物の光酸発生剤又はキノンジアジド化合物100質量部に対し、0〜1,000質量部であることが好ましく、10〜500質量部であることがより好ましく、50〜200質量部であることが更に好ましい。
成分F:アルコキシシラン化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、アルコキシシラン化合物を含有してもよい。アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、下記の式で表される化合物も好ましく採用できる。
(R14-n−Si−(OR2n
式中、R1は反応性基を有さない炭素数1〜20の炭化水素基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基であり、nは1〜3の整数である。
具体例として以下の化合物を挙げることができる。なお、Phはフェニル基を表す。
Figure 2017067930
Figure 2017067930
本発明の感光性樹脂組成物におけるアルコキシシラン化合物は、特にこれらに限定することなく、公知のものを使用することができる。
また、アルコキシシラン化合物を用いると、表面硬度向上効果の他に、本発明の感光性樹脂組成物により形成された膜と基板との密着性を向上できる。
本発明の感光性樹脂組成物におけるアルコキシシラン化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の成分Z以外の全固形分100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、1〜10質量部の割合であることが更に好ましく、2〜5質量部であることが特に好ましい。
アルコキシシラン化合物は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
成分G:界面活性剤
本発明の感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤がより好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、例えば、市販品である、メガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781、同F781−F、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(DIC(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105,7000,950,7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(三菱マテリアル電子化成(株)製)、フタージェント250(ネオス(株)製)が挙げられる。また、上記以外にも、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤としては、特開2014−238438号公報段落0151〜0155に記載の化合物も好ましい例として挙げることができる。
本発明の感光性樹脂組成物における界面活性剤の含有量は、配合する場合、感光性樹脂組成物の成分Z以外の全固形分中100質量部に対して、0.001〜5.0質量部が好ましく、0.01〜2.0質量部がより好ましい。
界面活性剤は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
成分H:塩基性化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、塩基性化合物を含有してもよい。
塩基性化合物としては、特に制限はなく、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0204〜0207に記載の化合物が挙げられる。
具体的には、脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセン、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)などが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
これらの中でも、複素環式アミンが好ましく、N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素が特に好ましい。
本発明に用いることができる塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物における塩基性化合物の含有量は、感光性樹脂組成物中の税分Z以外の全固形分100質量部に対して、0.001〜3質量部であることが好ましく、0.05〜0.5質量部であることがより好ましい。
成分I:酸化防止剤
本発明の感光性樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤を添加することにより、硬化膜の着色を防止できる、又は、分解による膜厚減少を低減でき、また、耐熱透明性に優れるという利点がある。
このような酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、アミド類、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、糖類、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体等を挙げることができる。これらの中では、硬化膜の着色、膜厚減少の観点から特にフェノール系酸化防止剤、アミド系酸化防止剤、ヒドラジド系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が最も好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。
具体例としては、特開2005−29515号公報の段落0026〜0031に記載の化合物を挙げることができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
フェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブAO−15、アデカスタブAO−18、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−23、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−37、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−51、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330、アデカスタブAO−412S、アデカスタブAO−503、アデカスタブA−611、アデカスタブA−612、アデカスタブA−613、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−8W、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−36Z、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010、アデカスタブTPP、アデカスタブCDA−1、アデカスタブCDA−6、アデカスタブZS−27、アデカスタブZS−90、アデカスタブZS−91(以上、(株)ADEKA製)、イルガノックス245FF、イルガノックス1010FF、イルガノックス1010、イルガノックスMD1024、イルガノックス1035FF、イルガノックス1035、イルガノックス1098、イルガノックス1330、イルガノックス1520L、イルガノックス3114、イルガノックス1726、イルガフォス168、イルガモッド295(BASF社製)、チヌビン405(BASF社製)などが挙げられる。中でも、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−80、イルガノックス1726、イルガノックス1035、イルガノックス1098、チヌビン405を好適に使用することができる。
本発明の感光性樹脂組成物における酸化防止剤の含有量は、感光性樹脂組成物の成分Z以外の全固形分100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましく、0.5〜4質量部であることが特に好ましい。この範囲にすることで、形成された膜の十分な透明性が得られ、かつ、パターン形成時の感度も良好となる。
また、酸化防止剤以外の添加剤として、「高分子添加剤の新展開」((株)日刊工業新聞社)に記載の各種紫外線吸収剤や、金属不活性化剤等を感光性樹脂組成物に添加してもよい。
<その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、上記成分に加えて、必要に応じて、紫外線吸収剤、金属不活性化剤や、酸増殖剤、現像促進剤、可塑剤、熱ラジカル発生剤、熱酸発生剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を加えることができる。また、これらの化合物としては、例えば特開2012−88459号公報の段落0201〜0224、特開2014−238438号公報の記載も参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<導電パターンの製造方法、及び、金属配線の製造方法>
本発明の導電パターンの製造方法は、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する工程、塗布された上記感光性樹脂組成物を露光する工程、及び、露光された上記感光性樹脂組成物を現像する工程を含む。
また、上記導電パターンは、熱及び圧力をかけることにより、加圧方向(例えば、基板の上記感光性樹脂組成物は設けられた面に対し垂直方向)において導電性を有し、加圧方向以外の方向については、絶縁性が保たれる導電パターン(異方性導電パターン)であることが好ましい。
更に、本発明の導電パターンの製造方法は、上記現像する工程の後に、現像された感光性樹脂組成物に更に活性光線を照射する工程を含むことが好ましい。上記照射する工程は、上記熱圧着する工程の前であることが好ましい。
本発明の金属配線の製造方法は、本発明の導電パターンの製造方法により製造された導電パターンを熱圧着する工程を含む。
また、本発明の金属配線の製造方法は、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する工程、塗布された上記感光性樹脂組成物を露光する工程、露光された上記感光性樹脂組成物を現像する工程、及び、得られた導電パターンを熱圧着する工程を含むことが好ましい。
上記塗布する工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して有機溶剤を含む湿潤膜とすることが好ましい。感光性樹脂組成物を基板へ塗布する前にアルカリ洗浄やプラズマ洗浄といった基板の洗浄を行うことができる。更に基板洗浄後にヘキサメチルジシラザン等で基板表面を処理することができる。この処理を行うことにより、感光性樹脂組成物の基板への密着性が向上する傾向にある。
上記基板としては、無機基板、樹脂、樹脂複合材料などが挙げられる。
無機基板としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、シリコンナイトライド、及び、それらのような基板上にモリブデン、チタン、アルミ、銅などを蒸着した複合基板が挙げられる。
樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズアゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、シアネート樹脂、架橋フマル酸ジエステル、環状ポリオレフィン、芳香族ポリエーテル樹脂、マレイミド−オレフィン共重合体、セルロース、エピスルフィド樹脂等の合成樹脂からなる基板が挙げられる。
これらの基板は、上記の形態のまま用いられる場合は少なく、通常、最終製品の形態によって、例えば、TFT(薄膜トランジスタ、Thin-Film Transistor)素子のような多層積層構造が形成されている。
また、オンセル構造のタッチパネルなどのような場合には、パネルとして一旦完成しているLCDセルや有機発光ダイオード(OLED)セルの上に、本発明の感光性樹脂組成物を適用することもできる。
中でも、上記基板としては、ガラス基板が好ましく挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、スパッタリングにより製膜された金属膜や金属酸化物に対する密着がよいため、基板としてはスパッタリングにより製膜された金属膜を含むことが好ましい。金属としては、チタン、銅、アルミニウム、インジウム、スズ、マンガン、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、クロム、銀、ネオジウム、及びこれらの酸化物又は合金であることが好ましく、モリブデン、チタン、アルミニウム、銅、及びこれらの合金であることが更に好ましい。なお、金属や金属酸化物は1種単独で用いても、複数種を併用してもよい。
特に、本発明の感光性樹脂組成物は、熱圧着により電気的に接続可能な導電パターンの形成に好適に用いることができるため、本発明の導電パターンの製造方法においては、基板として、金属配線、及び/又は、ITO(酸化インジウムスズ)等の透明電極配線を有する基板を用いることが好ましい。
基板への塗布方法は特に限定されず、例えば、インクジェット法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、スリットアンドスピン法、印刷法等の方法を用いることができる。
上記塗布する工程において形成された、塗布された感光性樹脂組成物の乾燥膜厚は、特に制限はないが、1〜40μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましく、7〜20μmであることが更に好ましく、8〜15μmであることが特に好ましい。
また、本発明の導電パターンの製造方法は、上記塗布する工程の後、上記露光する工程の前に、塗布された感光性樹脂組成物から有機溶剤を除去する工程を含むことが好ましい。
上記除去する工程では、塗布された上記の膜から、減圧(バキューム)及び/又は加熱等により、有機溶剤を除去して基板上に乾燥塗膜を形成させることが好ましい。上記除去する工程の加熱条件は、好ましくは70〜130℃で30〜300秒間程度である。また、上記除去する工程においては、感光性樹脂組成物中の有機溶剤を完全に除去する必要はなく、少なくとも一部が除去されていればよい。
上記露光する工程では、得られた塗膜に波長300nm以上450nm以下の活性光線を所定のパターン状に照射することが好ましい。
露光光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、発光ダイオード(LED)光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができ、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)などの波長300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用できる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
露光装置としては、ミラープロジェクションアライナー、ステッパー、スキャナー、プロキシミティ、コンタクト、マイクロレンズアレイ、レンズスキャナ、レーザー露光、など各種方式の露光機を用いることができる。
また、上記露光する工程における露光量としても、特に制限はないが、1〜3,000mJ/cm2であることが好ましく、1〜500mJ/cm2であることがより好ましい。
上記露光する工程における露光は、酸素遮断された状態で行うことが、硬化促進の観点から好ましい。酸素を遮断する手段としては、窒素雰囲気下で露光したり、酸素遮断膜を設けることが例示される。
また、上記露光する工程における露光は、有機溶剤が除去された感光性樹脂組成物の少なくとも一部に行われればよく、例えば、全面露光であっても、パターン露光であってもよい。本発明において、上記露光する工程はパターン露光であることが好ましく、フォトマスクを介して露光する工程であることがより好ましい。
また、上記露光する工程後に、露光後加熱処理:Post Exposure Bake(以下、「PEB」ともいう。)を行うことができる。PEBを行う場合の温度は、30℃以上130℃以下であることが好ましく、40℃以上120℃以下がより好ましく、50℃以上110℃以下が特に好ましい。
加熱の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ホットプレート、オーブン、赤外線ヒーターなどが挙げられる。
また、加熱時間としては、ホットプレートの場合は1分〜30分程度が好ましく、それ以外の場合は20分〜120分程度が好ましい。この範囲で基板、装置へのダメージなく加熱することができる。
上記現像する工程では、パターン状に露光された感光性樹脂組成物の未硬化部を水性現像液を用いて現像除去しポジ画像を形成する。上記現像する工程で使用する現像液は、アルカリ性の水性現像液であることが好ましい。
上記現像する工程で使用する現像液は、塩基性化合物の水溶液であることが好ましい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類:コリン等の(ヒドロキシアルキル)トリアルキルアンモニウムヒドロキシド類;ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩類;エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の脂環式アミン類を使用することができる。
これらのうち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン(2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)が好ましい。
また、上記アルカリ類の水溶液にメタノールやエタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
好ましい現像液として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.4〜2.5質量%水溶液を挙げることができる。
現像液のpHは、好ましくは10.0〜14.0である。
現像時間は、好ましくは30〜500秒間であり、また、現像の手法は液盛り法(パドル法)、シャワー法、ディップ法等のいずれでもよい。
上記現像する工程の後に、リンス工程を行うこともできる。リンス工程では、現像後の基板を純水などで洗うことで、付着している現像液除去、現像残渣除去を行う。リンス方法は公知の方法を用いることができる。例えばシャワーリンスやディップリンスなどを挙げることができる。
パターン露光及び現像については、公知の方法や公知の現像液を用いることができる。例えば、特開2011−186398号公報、特開2013−83937号公報に記載のパターン露光方法及び現像方法を好適に用いることができる。
形成されたパターンにおける配線パターン同士の接続ピッチが、1〜20μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、高解像度のパターニングが可能である。
なお、本発明における配線パターン同士の接続ピッチとは、配線パターンにおける2つの隣接するパターン間の最小距離(スペース部分の幅の最小値)である。
また、上記現像する工程後、上記熱処理する工程前に、膜硬度向上の観点から、現像された感光性樹脂組成物に更に活性光線を照射する工程(ポスト露光)を含むことが好ましい。
この場合、水銀灯やLEDランプなどで50〜3,000mJ/cm2程度のエネルギー露光することが好ましい。また、ポスト露光は、全面露光することが好ましい。
ポスト露光することにより、膜の硬化反応を更に促進することができ、膜硬度が向上する。
本発明の金属配線の製造方法における上記熱圧着する工程では、本発明の導電パターンの製造方法により製造された導電パターンに対し、熱及び圧力をかけて、導電パターンが設けられた基板と、所望の基板や回路等の電極や端子とが、加圧方向において成分Zにより金属配線が形成され電気的に接続される。また、加圧方向以外の方向については、絶縁性が保たれる。
上記熱圧着する工程における熱圧着温度は、180℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、100℃〜150℃であることが更に好ましい。本発明の金属配線の製造方法であれば、上記のような低温であっても密着性に優れる。
上記熱圧着する工程における熱圧着時の圧力は、0.5〜80MPaであることが好ましく、0.5〜10MPaであることがより好ましい。
上記熱圧着する工程における加熱手段、及び、加圧手段は、特に制限はなく、ヒーター等の公知の加熱手段、圧着装置等の公知の加圧手段、また、熱圧着装置等の公知の加熱及び加圧手段を用いることができる。
上記熱圧着する工程は、本発明の導電パターンの製造方法により製造された導電パターンと、配線を有する部材とを熱圧着する工程であることが好ましく、本発明の導電パターンの製造方法により製造された導電パターンと、配線を有する部材とを熱圧着し、上記導電パターンが設けられた基板上の配線と上記配線を有する部材における配線とを熱圧着された導電パターンにより電気的に接続する工程であることがより好ましい。
上記配線を有する部材としては、特に制限はなく、所望の配線を有する基板や回路を用いることができる。中でも、バンプを有する基板であることが好ましい。
上記配線を有する部材における配線の接続ピッチが、1〜20μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、高解像度のパターニングが可能である。
なお、本発明における配線の接続ピッチとは、隣接する2つの配線間の最小距離である。
(ディスプレイ用部材の製造方法)
本発明のディスプレイ用部材の製造方法は、本発明の金属配線の製造方法により電極を形成する工程を含むことを特徴とする。本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、任意の形状の導電パターンを形成することができるため、所望の位置での電極の形成を行うことができる。
ディスプレイ用部材は、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、又は、プラズマディスプレイ等を構成する、電極パターン(配線)を有するディスプレイ用部材が好適に挙げられる。
例えば、ガラス基板上に本発明の金属配線の製造方法により電極を形成した後、公知の方法で誘電体層、隔壁、蛍光体層を設けることによってプラズマディスプレイ用背面板を製造することができる。なお、これらは例であって、本発明のディスプレイ用部材の製造方法は上述したものに限定したものではない。
上記有機ELディスプレイ、及び、上記液晶ディスプレイとしては、様々な構造をとる公知の各種有機ELディスプレイや液晶ディスプレイを挙げることができる。
例えば、上記有機ELディスプレイが有するTFTの具体例としては、アモルファスシリコン−TFT、低温ポリシリコン−TFT、酸化物半導体TFT等が挙げられる。本発明の硬化膜は電気特性に優れるため、これらのTFTに組み合わせて好ましく用いることができる。
また、上記液晶ディスプレイが取りうる液晶駆動方式としてはTN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In−Plane−Switching)方式、FFS(Fringe Field Switching)方式、OCB(Optically Compensated Bend)方式などが挙げられる。
パネル構成においては、COA(Color Filter on Array)方式の液晶ディスプレイでも本発明のディスプレイ用部材の製造方法を用いることができる。
また、上記液晶ディスプレイが取りうる液晶配向膜の具体的な配向方式としてはラビング配向法、光配向法などが挙げられる。また、特開2003−149647号公報や特開2011−257734号公報に記載のPSA(Polymer Sustained Alignment)技術によってポリマー配向支持されていてもよい。
バックライトの光源としては、特に限定されず公知の光源を用いることができる。例えば、白色LED、青色・赤色・緑色などの多色LED、蛍光灯(冷陰極管)、有機ELなどを挙げることができる。
また、液晶ディスプレイは、3D(立体視)型のものとしたり、タッチパネル型のものとしたりすることも可能である。更にフレキシブル型にすることも可能である。
上記タッチパネルディスプレイとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式など公知の方式いずれでもよい。中でも、静電容量方式が好ましい。
静電容量方式のタッチパネルとしては、特開2010−28115号公報に開示されるものや、国際公開第2012/057165号に開示されるものが挙げられる。
タッチパネルとしては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012−517051号公報の図5、図6、図7、図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013−168125号公報の図19に記載のもの、特開2012−89102号公報の図1や図5に記載のもの)、OGS型、TOL型(例えば、特開2013−54727号公報の図2に記載のもの、特開2015−15042号公報の図2、図3、図4、図5に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013−164871号公報の図6に記載のもの)、各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1Fなど)を挙げることができる。
上記タッチパネルディスプレイにおけるタッチパネルの検出電極としては、銀、銅、アルミニウム、チタン、モリブデン、これらの合金であることが好ましい。
更に、スタティック駆動方式の液晶ディスプレイでも、本発明を適用することで意匠性の高いパターンを表示させることも可能である。例として、特開2001−125086号公報に記載されているようなポリマーネットワーク型液晶が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
以下の合成例において、以下の符号はそれぞれ以下の化合物を表す。
MATHF:メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(合成品)
MAEVE:メタクリル酸1−エトキシエチル(和光純薬工業(株)製)
OXE−30:メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(大阪有機化学工業(株)製)
GMA:グリシジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
NBMA:n−ブトキシメチルアクリルアミド(三菱レイヨン(株)製)
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光純薬工業(株)製)
MAA:メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)
MMA:メタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)
St:スチレン(和光純薬工業(株)製)
DCPM:ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工業(株)製)
V−601:ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製)
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(昭和電工(株)製)
MEDG:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(東邦化学工業(株)製、ハイソルブEDM−S)
<MATHFの合成>
メタクリル酸(86g、1mol)を15℃に冷却しておき、カンファースルホン酸(4.6g、0.02mol)添加した。その溶液に、2−ジヒドロフラン(71g、1mol、1.0当量)を滴下した。1時間撹拌した後に、飽和炭酸水素ナトリウム(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、不溶物を濾過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の黄色油状物を減圧蒸留して沸点(bp.)54〜56℃/3.5mmHg留分のメタクリル酸テトラヒドロ−2H−フラン−2−イル(MATHF)125gを無色油状物として得た(収率80%)。
<重合体P−1の合成例>
3つ口フラスコにPGMEA(89g)を入れ、窒素雰囲気下において70℃に昇温した。その溶液にMAA(全単量体成分中の9.5mol%となる量)、MATHF(全単量体成分中の43mol%となる量)、GMA(全単量体成分中の47.5mol%に相当)、V−65(全単量体成分の合計100mol%に対して4mol%に相当)をPGMEA(89g)に室温(25℃、以下同様)で溶解させた溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間撹拌し、反応を終了させた。それにより重合体P−1を得た。なお、有機溶剤以外の成分(固形分と称する。)の濃度が40質量%になるよう調整した。
<重合体P−2〜P−9の合成例>
モノマー、重合開始剤及び反応温度を下記表1に示すように変更し、重合体P−1と同様の方法で各重合体P−2〜P−9を合成した。
Figure 2017067930
実施例及び比較例に用いた各化合物を示す略号の詳細は、以下の通りである。
<重合体成分>
P−1〜P−9:上記合成例に従って合成した重合体
<光酸発生剤>
B−1−1:光酸発生剤、オキシムスルホネート化合物、下記に示す構造の化合物(合成品)
なお、下記化学式におけるTsは、トシル基(p−トルエンスルホニル基)を表す。
Figure 2017067930
B−2−1:キノンジアジド化合物、4,4’−{1−{4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル}エチリデン}ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物
B−2−2:キノンジアジド化合物、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B−3−1:光重合開始剤、オキシムエステル化合物、IRGACURE OXE 01(BASF社製)、下記化合物
B−2:光酸発生剤、オキシムスルホネート化合物、PAG−103(BASF社製)、下記化合物
B−3:光酸発生剤、トリアリールスルホニウム塩、GSID−26−1(BASF社製)、下記化合物
Figure 2017067930
<B−1−1の合成>
1−アミノ−2−ナフトール塩酸塩4.0gをN−メチルピロリドン16gに懸濁させ、炭酸水素ナトリウム3.4gを添加後、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル4.9gを滴下し、窒素雰囲気下120℃で2時間加熱した。放冷後、反応混合液に水、酢酸エチルを添加して分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮して粗B−1Aを得た。粗B−1−1Aをシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製して、中間体B−1−1Aを1.7g得た。
中間体B−1−1A(1.7g)とp−キシレン(6mL)を混合し、p−トルエンスルホン酸一水和物0.23gを添加して140℃で2時間加熱した。放冷後、反応混合液に水、酢酸エチルを添加して分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過、濃縮して粗B−1−1Bを得た。
THF(2mL)と粗B−1−1B全量を混合し、氷冷下2M塩酸/THF溶液6.0mL、次いで亜硝酸イソペンチル(0.84g)を滴下し、室温(25℃)まで昇温後2時間撹拌した。得られた反応混合物に水、酢酸エチルを添加して分液し、有機層を水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮して中間体粗B−1−1Cを得た。
中間体粗B−1−1C全量をアセトン(10mL)と混合し、氷冷下でトリエチルアミン(1.2g)、p−トルエンスルホニルクロリド(1.4g)を添加後、室温まで昇温して1時間撹拌した。得られた反応混合液に水、酢酸エチルを添加して分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過、濃縮して粗B−1−1を得た。粗B−1−1を冷メタノールでリスラリー後、濾過、乾燥してB−1−1(1.2g)を得た。
なお、B−1−1のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、δ=8.5−8.4(m,1H),8.0−7.9(m,4H),7.7−7.6(m,2H),7.6−7.5(m,1H),7.4(d.2H),2.4(s,3H),1.4(s,9H)であった。
<樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子>
Z−1:ポリスチレン粒子表面をCuで被覆した粒子、体積平均粒径:4μm、(株)日立金属ナノテック製
Z−2:ポリスチレン粒子表面をNiで被覆した粒子、体積平均粒径:4μm、(株)日立金属ナノテック製
Z−3:ポリスチレン粒子表面をAuで被覆した粒子、体積平均粒径:4μm、(株)日立金属ナノテック製
Z−4:Au粒子、体積平均粒径:4μm、田中貴金属(株)製
Z−5:Ag粒子、体積平均粒径:4μm、田中貴金属(株)製
Z−6:ITO(酸化インジウムスズ)粒子、体積平均粒径:4μm
Z−7:ITOで被覆された中空シリカ粒子、体積平均粒径:4μm
Z−8:アクリル樹脂粒子表面をCuで被覆した粒子、体積平均粒径:4μm、(株)日立金属ナノテック製
Z−9:ポリスチレン粒子表面をCuで被覆した粒子、体積平均粒径:2μm、(株)日立金属ナノテック製
Z−10:ポリスチレン粒子表面をCuで被覆した粒子、体積平均粒径:6μm、(株)日立金属ナノテック製
<分子量1,000以下の架橋剤>
D−1:ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、デナコールEX−850L(ナガセケムテックス(株)製)
D−2:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル=3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、セロキサイド2021P((株)ダイセル製)
D−3:3−エチル−3−(3−エチル−3−オキセタニルメチルオキシメチル)オキセタン、アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製)
D−4:多官能ブロックイソシアネート化合物、デュラネート17B−60P(旭化成ケミカルズ(株)製)
D−5:多官能ブロックイソシアネート化合物、タケネートB−870N(三井化学(株)製)
D−6:多官能アルコキシメチル化合物、ニカラックMW−100LM((株)三和ケミカル製)、下記化合物
Figure 2017067930
<マイクロカプセル型硬化剤>
X−1:マイクロカプセル化されたイミダゾール系化合物(硬化剤)、ノバキュアHX3721(旭化成ケミカルズ(株)製)
X−2:マイクロカプセル化されたイミダゾール系化合物(硬化剤)、ノバキュアHX3722(旭化成ケミカルズ(株)製)
X−3:マイクロカプセル化されたイミダゾール系化合物(硬化剤)、ノバキュアHX3088(旭化成ケミカルズ(株)製)
X−4:マイクロカプセル化されたイミダゾール系化合物(硬化剤)、ノバキュアHX3741(旭化成ケミカルズ(株)製)
X−5:マイクロカプセル化されたイミダゾール系化合物(硬化剤)、ノバキュアHX3742(旭化成ケミカルズ(株)製)
X−6:マイクロカプセル化されたイミダゾール系化合物(硬化剤)、ノバキュアHX3613(旭化成ケミカルズ(株)製)
<重合性単量体>
C−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物、KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
<アルコキシシラン化合物>
S−1:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−5103(信越化学工業(株)製)
S−2:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−403(信越化学工業(株)製)
<塩基性化合物>
H−1:N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素、(CMTU、東洋化成工業(株)製)、下記化合物
Figure 2017067930
<界面活性剤>
W−1:下記構造式で示されるパーフルオロアルキル基含有ノニオン界面活性剤(F−554、DIC(株)製)
Figure 2017067930
(実施例1〜35、及び、比較例1〜5)
<クリア成分の調製>
以下の表2に示す組成で、クリア成分(成分Z以外を含有する組成物)を調製した。
なお、成分Aは、固形分が表2に記載の量となるように添加した。また、表2に記載の各成分の添加量の単位は、質量部であり、合計量は固形分の合計量である。
Figure 2017067930
<感光性樹脂組成物の作製>
金属粒子が表3の比率になるように、クリア成分と混合し、また、表3に記載の有機溶剤の比率及び感光性樹脂組成物の固形分量となるように、有機溶剤の量を適宜調整し、実施例1〜35及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物をそれぞれ得た。
なお、金属粒子の含有量は、感光性樹脂組成物を基板上にスピンコート塗布した後、90℃/120秒ホットプレート上でプリベークして有機溶剤を揮発させ、膜厚3.0μmの感光性樹脂組成物層を形成した。形成した膜の断面を走査式電子顕微鏡5,000倍にて観察し、有機膜と金属粒子との面積比により確認した。
得られた感光性樹脂組成物を用い、以下の評価方法にて評価を行った。評価結果をまとめて表3に示す。
<評価方法>
1)パターン形成性
ITO回路付きガラス基板(厚み:1.1mm)に、各感光性樹脂組成物をスピンコート塗布した後、90℃/120秒ホットプレート上でプリベークして溶剤を揮発させ、膜厚10.0μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
次に、得られた感光性樹脂組成物層を、キヤノン(株)製 MPA 5500CF(高圧水銀灯)を用いて、所定のマスクを介して露光した。そして、露光後の感光性樹脂組成物層を、アルカリ現像液(0.4%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で23℃/60秒間現像した後、超純水で20秒リンスした。これらの操作により45×45μm、スペース10μmのパターンを形成した。評価基準を以下に示す。
A:10μmのスペースのパターンが形成された。
B:10μmのスペースのパターンが形成されたが、スペース部に感光性樹脂組成物の残渣が確認された。
C:10μmのスペースのパターンが形成できなかった。
2)熱圧着時の接続信頼性
次に、作製した感光性樹脂組成物を用いて、金バンプ(面積:45×45μm、スペース:10μm、高さ:15μm、バンプ数:362)付きチップとITO回路付きガラス基板(厚み:1.1mm)との接続を、以下に示すように行った。すなわち、感光性樹脂組成物を上記ガラス基板にスピンコート塗布した後、90℃/120秒ホットプレート上でプリベークして溶剤を揮発させ、膜厚10.0μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
次に、得られた感光性樹脂組成物層を、キヤノン(株)製MPA 5500CF(高圧水銀灯)を用いて、所定のマスクを介して露光した。そして、露光後の感光性樹脂組成物層を、アルカリ現像液(0.4%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で23℃/60秒間現像した後、超純水で20秒リンスした。これらの操作により45×45μm、スペース10μmのパターンを形成した。次に、金バンプ(半球上に形成された電極)付きチップを、パターニングされた感光性樹脂組成物層を有するITO回路付きガラス基板に80℃、10kgf/cmで貼り付け、チップのバンプとITO回路付きガラス基板との位置合わせを行った。
次いで、150℃又は200℃で、4MPa/バンプ、10秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、高温高湿(85℃/85%RH、1,000時間)試験後において、接続性を目視及び光学顕微鏡で観察した。
また、形成した導体パターンの導通性を、日置電気(株)製の「抵抗計3541」により測定した。
A:加熱条件150℃及び200℃ともに、バンプと上記ITO回路付きガラス基板とが密着している、かつ導通性が確認された。
B:加熱条件200℃では密着し、導通性も確認されたが、150℃では密着せず、導通しなかった。
C:加熱条件150℃及び200℃ともに、密着せず、導通しなかった。
Figure 2017067930

Claims (14)

  1. 成分Aとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1を有する重合体を含有する重合体成分、
    成分Bとして、光酸発生剤、
    成分Zとして、樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子、及び、
    成分Cとして、有機溶剤、を含有し、
    下記I〜IIIの少なくとも1つを満たすことを特徴とする
    感光性樹脂組成物。
    I:前記重合体が架橋性基を有する構成単位a2を更に含む
    II:成分Aが架橋性基を有する構成単位a2を含む重合体を更に含有する
    III:感光性樹脂組成物が、成分Dとして、分子量1,000以下の架橋剤を更に含有する
  2. 前記酸分解性基が、アセタールの形で保護された構造を有する基である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 成分A’として、酸基を有する構成単位a1’を有する重合体を含有する重合体成分、
    成分B’として、キノンジアジド化合物、
    成分Zとして、樹脂粒子表面を金属で被覆した粒子、及び、
    成分Cとして、有機溶剤、を含有し、
    下記I’及び/又はII’を満たすことを特徴とする
    感光性樹脂組成物。
    I’:前記重合体が架橋性基を有する構成単位a2を更に含む
    II’:感光性樹脂組成物が、成分Dとして、分子量1,000以下の架橋剤を更に含有する
  4. 成分Xとして、マイクロカプセル型硬化剤を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 成分Zが、樹脂粒子表面をAg、Au、Pd、Ni、Al、Cu及びPtよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属で被覆した粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記架橋性基が、エポキシ基、オキセタニル基及び−NH−CH−O−Rで表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
    なお、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
  7. 成分Dが、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、分子内に2個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物、分子内に2個以上のアルコキシメチル基を有する化合物、及び、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物からなる群より選ばれる1種の化合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 成分Zの体積平均粒径が、1〜10μmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 成分Zの含有量が、感光性樹脂組成物の全体積に対し、5.0〜30体積%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する工程、
    塗布された前記感光性樹脂組成物を露光する工程、及び、
    露光された前記感光性樹脂組成物を現像する工程を含む、
    導電パターンの製造方法。
  11. 形成されたパターンにおける配線パターン同士の接続ピッチが、1〜20μmである、請求項10に記載の導電パターンの製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の導電パターンの製造方法により製造された導電パターンを熱圧着する工程を含む、
    金属配線の製造方法。
  13. 前記熱圧着する工程の熱圧着温度が、150℃以下である、請求項12に記載の金属配線の製造方法。
  14. 請求項12又は13に記載の金属配線の製造方法により電極を形成する工程を含む、
    ディスプレイ用部材の製造方法。
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