JP2017099351A - コーティング用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の硬化油を使用したコーティング用油脂組成物と同等以上の固化速度と口溶けを確保しつつ、トランス脂肪酸を低減し、かつ長期保存による、脂質の酸化や光劣化による風味劣化と遊離脂肪酸による石鹸臭を抑制することができ保存安定性に優れたコーティング用油脂組成物を提供する。【解決手段】ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有し、前記エステル交換油脂は全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量が20質量%未満であり、前記エステル交換油脂の含有量が組成物全量に対して60質量%超90質量%以下であることを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、米菓、スナック菓子、ビスケット菓子等の食品に塗布されるコーティング用油脂組成物に関する。
米菓、スナック菓子、ビスケット菓子等の食品は、表面の艶出しや、色調、風味、サクさ等の改良、保存安定性の向上、調味料の固着等を目的として、焼成した生地に油脂をコーティングすることが行われている。
このコーティング用油脂は、塗布後に速やかに固化しベタツキがなくなることが、油脂の液ダレや包装材料への付着等を短時間で抑制できる点から求められる。
そして食品として消費者に供される際には、口に入れた際に表面を被覆したコーティングが速やかに溶ける口溶け感が、食品の美味しさを出すために重要である。
従来、このコーティング用油脂には液状油が使用されてきた。しかし、液状油を使用した場合、包装袋や手に油脂が付着したり、食感が油っぽく、また酸化安定性が低いため、長期保存する米菓、スナック菓子、ビスケット菓子等の食品の風味が損なわれる。
一方、風味や塗布後の固化速度を改良する点等から、部分水素添加した硬化油も使用されてきた。しかし、これに含まれるトランス脂肪酸は動脈硬化症のリスクを増加させるとも言われており、健康への影響が懸念される点を考慮し、近年では、原料油脂にはトランス脂肪酸量が少ないことが望まれている。
そのような中で、トランス脂肪酸量の少ない油脂配合が検討されてきており、例えば、エステル交換油脂を使用して油脂組成物のSFC(固体脂含量)や脂肪酸組成を特定範囲にすることで、固化速度や口溶け等の改良を図る技術が提案されている(特許文献1、2)。
しかし近年では、焼成した生地に油脂をコーティングした菓子等の食品においては、賞味期限や保存期間が長いものが求められてきており、これに対応できる商品が市場において望まれている。ところが、こうした食品を長期保存すると、コーティングした油脂の脂質酸化や光劣化によって、酸敗臭等により風味の劣化が起きやすくなる。また、コーティングした油脂にラウリン酸などの脂肪酸を多く含有すると、長期保存によって油脂が劣化した際に遊離脂肪酸が発生し、劣化臭、すなわち石鹸臭の原因となる。
しかし、特許文献1、2のようなエステル交換油脂を使用した従来技術では、長期保存による脂質の酸化や光劣化による経時的な風味の劣化や、遊離した脂肪酸による経時的な石鹸臭の発生等を抑制する点からの検討はなされていない。特許文献1は、パーム分別軟質油を使用しており保存安定性が悪く、ヤシ油を使用して口溶けと固化速度を確保しているものの、ヤシ油を使用していることで経時的に加水分解による石鹸臭が発生してしまう。特許文献2は、ヨウ素価の低いエステル交換油脂やパームステアリンを使用して固化速度を確保しているものの、口溶けが悪いものになる。
一方、本出願人は、コーティングした食品の固化性、口溶け、スプレー等で噴霧する際の作業性等の改善を図るものとして、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有するコーティング用油脂組成物を提案している(特許文献3)。
特開2012−152113号公報 特表2009−116396号公報 特開2015−136327号公報
しかしながら、特許文献3の技術は、飽和脂肪酸が多いパーム系油脂を使用しているが、絶対量が少なく、保存安定性、特に賞味期限や保存期間が長い商品に対応できるものとするためにさらに改善の余地があった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来の硬化油を使用したコーティング用油脂組成物と同等以上の固化速度と口溶けを確保しつつ、トランス脂肪酸を低減し、かつ長期保存による、脂質の酸化や光劣化による風味劣化と遊離脂肪酸による石鹸臭を抑制することができる、保存安定性に優れたコーティング用油脂組成物を提供することを課題としている。
前記の課題を解決するために、本発明のコーティング用油脂組成物は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有し、前記エステル交換油脂は全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量が20質量%未満であり、前記エステル交換油脂の含有量が組成物全量に対して60質量%超90質量%以下であることを特徴としている。
本発明によれば、従来の硬化油を使用したコーティング用油脂組成物と同等以上の固化速度と口溶けを確保しつつ、トランス脂肪酸を低減し、かつ長期保存による、脂質の酸化や光劣化による風味劣化と遊離脂肪酸による石鹸臭を抑制することができるため、保存安定性に優れている。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1位、2位、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。なお、トリグリセリドの構成脂肪酸の略称として、S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸、を用いる。
飽和脂肪酸Sは、油脂中に含まれるすべての飽和脂肪酸である。また、各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの飽和脂肪酸Sは、同一の飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和脂肪酸であってもよい。
飽和脂肪酸Sとしては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)などが挙げられる。なお、上記の数値表記は、脂肪酸の炭素数である。
不飽和脂肪酸Uは、油脂中に含まれるすべての不飽和脂肪酸である。また、各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの不飽和脂肪酸Uは、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。
不飽和脂肪酸Uとしては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)等が挙げられる。なお、上記不飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、左側が脂肪酸の炭素数であり、右側が二重結合数を意味する。
本発明のコーティング用油脂組成物に使用される油脂は、1位、2位、3位のすべてに飽和脂肪酸Sが結合した3飽和トリグリセリドを含み、1分子のグリセロールに2分子の飽和脂肪酸Sと1分子の不飽和脂肪酸Uが結合した2飽和トリグリセリドとして、1位および3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合した対称型トリグリセリド(SUS)と、1位と2位、または2位と3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位または1位に不飽和脂肪酸Uが結合した非対称型トリグリセリド(SSU)とを含む。また、1分子のグリセロールに2分子の不飽和脂肪酸Uと1分子の飽和脂肪酸Sが結合した2不飽和トリグリセリドを含んでよく、1位、2位、3位のすべてに不飽和脂肪酸Uが結合した3不飽和トリグリセリドを含んでよい。
本発明のコーティング用油脂組成物は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有する。このエステル交換油脂は、全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量が20質量%未満であり、好ましくは18質量%以下、より好ましくは2〜18質量%、更に好ましくは10〜18質量%である。そして、このエステル交換油脂の含有量が組成物全量に対して60質量%超90質量%以下であることを特徴としている。
このような構成によって、特に組成物全体における2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの含有量、2飽和及び3飽和トリグリセリドの合計割合、およびヨウ素価を調整することにより、長期保存による、脂質の酸化や光劣化による風味劣化と遊離脂肪酸による石鹸臭を抑制することができ、保存安定性に優れている。
例えば、ラウリン酸等の炭素数14以下の脂肪酸を多く含有すると、油脂が劣化した際に遊離脂肪酸を発生させ、劣化臭、すなわち石鹸臭の原因となるが、本発明では、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂は、全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量が20質量%未満であり、かつ、このエステル交換油脂の含有量を組成物全量に対して60質量%超90質量%以下としていることから、長期保存しても石鹸臭を抑制できる。例えば、60℃で1ヶ月保管した後も、石鹸臭はほとんどない。
さらに長期保存による脂質の酸化や光劣化に起因する風味の劣化を抑制でき、風味を長期にわたり良好なものとすることができる。本発明のコーティング用油脂組成物は、酸化安定性の指標となるCDM時間が、好ましくは20時間以上である。CDM試験(Conductometric Determination Method:ランシマット法)は、基準油脂分析法及びアメリカ油化学協会法に公定法として収載された油脂の酸化安定性の評価方法であり、油脂の酸化により発生した揮発性分解物を純水中に捕集して、その導電率を継続的に測定し急激に変化率が上昇する屈曲点までの時間を求める方法である。
更に、本発明のコーティング用油脂組成物は、このラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を配合することで、従来の硬化油を使用したコーティング用油脂組成物と同等以上の固化速度と口溶けを確保しつつ、トランス脂肪酸を低減することができる。本発明のコーティング用油脂組成物は、本出願人による特許文献3に開示しているように、このエステル交換油脂が結晶核となりやすく、核発生を誘発し、その結果として固化が遅れることを抑制することができるため、コーティングした食品の固化性が良く速やかにベタツキが抑制される。
エステル交換油脂の原料であるラウリン系油脂は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上、好ましくは40〜55質量%、より好ましくは45〜50質量%である。このようなラウリン系油脂としては、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらのうち、ヤシ油に比べて融点が高く、高融点のエステル交換油脂を容易に得ることができる点を考慮すると、パーム核油及びその分別油や硬化油が好ましい。硬化油としては、部分硬化油、又は完全水素添加した極度硬化油を用いることができるが、極度硬化油を用いるとトランス酸量を低減することができる。
ラウリン系油脂は、ヨウ素価が2以下であることが好ましい。ヨウ素価が2以下のラウリン系油脂を用いると、保存安定性を高めることができる。また、他の油脂に対して核となりやすく、核発生を誘発するため固化が遅れるのを抑制できる。ヨウ素価が2以下のラウリン系油脂としては、極度硬化油を用いることができる。
エステル交換油脂の原料であるパーム系油脂は、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上である。パーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油、これらの硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部(パームステアリン等)、軟質部(パームオレイン、パームダブルオレイン等)、中融点部(PMF等)等を用いることができる。パーム系油脂として硬化油を使用する場合、部分硬化油、極度硬化油等を用いることができるが、中でも極度硬化油が好ましい。
パーム系油脂は、極度硬化油をパーム系油脂の合計量に対して5〜45質量%の範囲内で含有することが好ましく、20〜40質量%の範囲内で含有することがより好ましい。極度硬化油をこの範囲内で含有すると、保存安定性を高めることができる。また、経時による液状油の染みだしが抑制されベタツキが生じることを抑制できる。
そしてエステル交換油脂は、ラウリン系油脂5質量%以上30質量%未満と、パーム系油脂70質量%超95質量%以下とをエステル交換して得られたものであることが好ましい。ラウリン系油脂とパーム系油脂をこの質量範囲で使用すると、エステル交換油脂の全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量を20質量%未満とすることが容易である。
ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定し固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換反応が完了すると、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂中における質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55となる。
エステル交換反応に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間攪拌することでラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭等の精製を行うことができる。
特に、このラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂と、他の油脂とを組み合わせて配合することによって、コーティング用油脂組成物のトリグリセリド組成及びヨウ素価を次のような範囲にすることが好ましい。
本発明のコーティング用油脂組成物は、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの含有量が油脂全量に対して5〜12質量%であることが好ましい。この範囲内であると、長期保存による、脂質の酸化や光劣化による風味劣化と遊離脂肪酸による石鹸臭の抑制に特に優れている。
本発明のコーティング用油脂組成物は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計割合が油脂全量に対して70質量%以上81質量%未満であることが好ましい。この範囲内であると、長期保存による、脂質の酸化や光劣化による風味劣化と遊離脂肪酸による石鹸臭の抑制に特に優れている。また、固化速度及び口溶けとのバランスも良好なものとすることができる。
本発明のコーティング用油脂組成物は、ヨウ素価が30〜40であることが好ましい。この範囲内であると、長期保存による、脂質の酸化や光劣化による風味劣化の抑制に特に優れている。
ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂とともに、本発明のコーティング用油脂組成物に配合される油脂としては、特に限定されないが、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、シア脂、サル脂、カカオ脂、イリッペ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油またはそれらの加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)等が挙げられる。これらの油脂は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本発明のコーティング用油脂組成物のヨウ素価を30〜40の範囲内とし、保存安定性を高める点などを考慮すると、ヨウ素価65以下の油脂が好ましく、更に固化速度や口溶けを考慮すると、ヨウ素価30〜65の油脂が好ましく、更にトランス脂肪酸量を低減することを考慮すると、ヨウ素価30〜65のパーム系油脂を使用することが好ましい。このようなパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別軟質油、パーム分別硬質油、パーム分別中融点油等が挙げられる。
本発明のコーティング用油脂組成物は、油脂の構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を含んでもよく、含まなくてもよいが、トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、人体に摂取された際のLDLコレステロールが増加しうる。よって、これを抑制しやすい点から、本発明においては、油脂の構成脂肪酸中のトランス脂肪酸の含有量は、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることが最も好ましい。
本発明のコーティング用油脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、乳化剤、酸化防止剤、消泡剤、着色料、フレーバー等を配合することができる。
本発明のコーティング用油脂組成物は、前記の各成分を配合し常法により均一に混合することによって製造することができる。混合は各成分が均一に溶解するように加熱下で攪拌することによって行うことができ、その後冷却することにより本発明のコーティング用油脂組成物を調製することができる。
本発明のコーティング用油脂組成物を使用する食品は、特に制限はないが、米菓、スナック菓子、ビスケット菓子等のような、焼成又は油ちょうした食品が好適である。
米菓としては、煎餅、おかき、あられ等の米を原料とする菓子類が挙げられる。
スナック菓子としては、パフ、コーンフレーク、ポップコーン、ポテトチップス等のトウモロコシ、米粉、いも類、豆類、澱粉類等を原料とする菓子類が挙げられる。
ビスケット菓子としては、ハードビスケット、クッキー、クラッカー、プレッツェル等が挙げられる。
本発明のコーティング用油脂組成物を上記の食品に塗布する方法は特に限定されず、スプレー等による噴霧や、浸漬、刷毛などによる塗布等を適用することができるが、中でも噴霧による方法が好ましい。噴霧には従来よりこの分野で使用されているスプレー等が使用できる。
本発明のコーティング用油脂組成物を上記の食品に塗布する際には、表面の艶出しや、色調、風味、サクさ等の改良、保存安定性の向上、調味料の固着等を目的として、食品の種類等に応じて適宜の量を塗布することができる。またコーティング用油脂組成物と予め混合して、又はコーティング用油脂組成物とは別個に、調味料を食品表面に塗布してもよい。
本発明のコーティング用油脂組成物の塗布量は、上記食品に対して1〜40質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1および表2における各成分の配合量は質量部を示す。
(1)測定方法
各油脂のヨウ素価は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−2013ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」で測定した。
エステル交換油脂1〜4における全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量、コーティング用油脂組成物における全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」で測定した。
コーティング用油脂組成物における2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの含有量、2飽和トリグリセリドおよび3飽和トリグリセリドの合計量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定し、それぞれ脂肪酸量を用いて計算にて求めた。なお、油脂全量を基準としている。
(2)油脂組成物の調製
(エステル交換油脂1〜4)
エステル交換油脂1、2は次の方法で調製した。表1に示す割合でラウリン系油脂とパーム系油脂とを混合して110℃に加熱し、十分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、更に脱臭を行ってエステル交換油脂を得た。
エステル交換油脂3、4は、エステル交換油脂1、2の製法に準じて作製した。
得られたエステル交換油脂1〜4の分析結果を表1に示す。
Figure 2017099351
(油脂組成物)
表2に示す配合比にて各油脂を配合し、70℃で溶解後、均一に撹拌しコーティング用油脂組成物を得た。また油脂組成物の分析値も表2に併せて示した。
(3)評価
実施例及び比較例の各試料について次の評価を行った。
(クラッカーの作製)
以下の配合でクラッカーを作製した。あらかじめ水に炭酸アンモニウム、重曹を別々に溶かして、その後全材料を合わせ低速1分、中高速8分ミキシングし、40℃のホイロで約2時間おき、生地を得た。その後生地を9層折りし、2mm厚で型抜きし、220℃で焼成し、クラッカーを得た。
上記焼成したクラッカーにコーティング用油脂組成物を上記焼成したクラッカーの質量に対して12〜14質量%となるようにスプレーで噴霧することによって塗布した。
〈クラッカーの配合〉
薄力粉 100質量部
グラニュー糖 8質量部
ショートニング※1 20質量部
脱脂粉乳 2質量部
食塩 1質量部
炭酸アンモニウム 3質量部
重曹 1質量部
パパイン 0.025質量部
温水 30質量部
※1 ショートニング:ミヨシ油脂製「ミヨシショートニングZ」
[CDM試験]
基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.5.1.2−2013」によりCDM値を求めた。具体的には、120℃に加熱した油脂に空気を吹き込み、酸化により生成した揮発性分解物を水中に捕集し、水の導電率が急激に変化する変曲点までの時間(hr)を調べた。CDM値が高いほど油脂の酸化安定性が高いことを示す。
[CDM値評価]
実施例で得たコーティング用油脂組成物を上記CDM試験で測定したCDM値に基づき、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:25hr以上
○:20hr以上、25hr未満
△:18hr以上、20hr未満
×:18hr未満
[石鹸臭]
コーティング用油脂組成物を塗布したクラッカーをビーカーに入れて閉封し、60℃で1ヶ月保管した後の石鹸臭を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:石鹸臭は全くしない。
○:ほとんど石鹸臭はしない。
△:若干石鹸臭がある。
×:強い石鹸臭がある。
[酸敗臭]
コーティング用油脂組成物を塗布したクラッカーをビーカーに入れて閉封し、60℃で1ヶ月保管した後の酸敗臭を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:酸敗臭は全くしない。
○:ほとんど酸敗臭はしない。
△:若干酸敗臭がある。
×:強い酸敗臭がある。
[総合評価]
上記CDM、石鹸臭、酸敗臭の各項目評価に基づき、以下の基準で評価した。
評価基準
○:CDM、石鹸臭、酸敗臭の各項目評価でいずれも◎あるいは〇の場合
△:CDM、石鹸臭、酸敗臭の各項目評価でいずれも×ではないが、
一つ以上△である場合
×:CDM、石鹸臭、酸敗臭の各項目評価で1つ以上×がある場合
以上の評価の結果を表2に示す。
Figure 2017099351

Claims (4)

  1. ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有し、前記エステル交換油脂は全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量が20質量%未満であり、前記エステル交換油脂の含有量が組成物全量に対して60質量%超90質量%以下であるコーティング用油脂組成物。
  2. 2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの含有量が油脂全量に対して5〜12質量%である請求項1に記載のコーティング用油脂組成物。
  3. 構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計割合が油脂全量に対して70質量%以上81質量%未満である請求項1または2に記載のコーティング用油脂組成物。
  4. ヨウ素価が30〜40である請求項1から3のいずれかに記載のコーティング用油脂組成物。
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