JP2017095820A - 土木用ネット構造体を得るためのロープ - Google Patents

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Abstract

【課題】 内部に石片やコンクリート片などを充填した袋体をなし、大きな波力が及ぶ海洋護岸ネットに使用した場合においても、長期間その機能を保持し続けることができるロープおよびネット構造体を提供する。【解決手段】土木用ネット構造体を得るためのロープであって、ロープは、繊維束とその繊維束表面に樹脂エラストマーが被覆されてなるものであり、繊維の表面にはエポキシ系樹脂からなる接着層が付着しており、前記接着層のエポキシ指数が0.1〜1.0当量/tonであるロープ。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂被覆されたロープ及びそのロープを用いたネット構造体に関する。
河川や海岸の護岸を目的として、ネット構造体を加工して、袋状や籠状にして、内部に石片やコンクリート片を充填したもの籠体を河川岸や海洋岸に設置する工法が開発されており、ネット構造体としては、ポリエステル繊維やポリアミド繊維をラッセル網に編網したものや普通鉄線、なまし鉄線、亜鉛メッキ鉄線及びこれら各鉄線に合成樹脂(塩化ビニール、ナイロン、ポリプロピレン又はポリエチレン等)を被覆した被覆鉄線を材料とするひし型網や亀甲網が使用されている。これらネット構造体は、屋外環境下で長期間その機能を保持したまま使用できることが最も重要な課題あるが、大きな波力が及ぶ河川岸、海岸に設置されることから、該ネット構造体は波や風により大きな外力を受けることにより、激しく変形し、石片やコンクリート片などの充填材との衝突や摩擦、地表面にある石砂との衝突や摩擦を繰り返し受けることとなり、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などの合成繊維のみならず、金属製のネット構造体でも疲労破壊により、ときとして数週間から数ヶ月のうちに破網に至り本来の機能を保持しなくなるケースも珍しくない。このように特に厳しい環境下で使用されるネットについては、高強度で、耐摩耗性・耐衝撃性に極めて優れたものでなければならない。
ネットの耐摩耗性・耐衝撃性を向上せしめることは、重要かつ永年の課題であり、これまで数多くの提案がなされているが、そのうちネットを構成するポリエステル繊維やポリアミド繊維などの合成繊維に工夫・改善を施すことでかかるネット特性を向上させ得る技術も多々提案されている。
特許文献1、2にはネットを構成する繊維の単糸繊度を特定の範囲とすることで、ネットにかかる衝撃や石砂との摩耗を吸収分散させ耐摩耗性、耐衝撃性を向上させる方法が記載されている。しかしながら、本方法による向上効果は僅かであり、厳しい環境下で使用するネットに適用した場合、取るに足らない結果となってしまう。
特許文献3には芯部にポリエステル、鞘部にポリアミドを配し、さらにポリアミド中にはケイ素化合物を添加することで耐候性、耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性等に優れた芯鞘複合繊維に関する技術が記載されている。しかしながら、本複合繊維を使用したネットについても、耐摩耗性、耐衝撃性の点で十分とは言えず、より厳しい屋外環境下で長期間使用するという要望に応えきれるものではなかった。
繊維の動摩擦係数を0.10以下に抑えることで耐衝撃性、耐摩耗性の向上を図る技術が特許文献4により提案されている。本方法では繊維と石砂等が衝突・接触した際に糸条を構成する単繊維が素早く移動し衝撃圧力を分散させることで繊維自体が受けるダメージが低減できると記載されている。確かに理論上は納得できるものであるが、屋外での実使用環境下においては、必ずしも有効ではなく、ネット寿命の延長が認められないケースもあった。また、繊維の動摩擦係数を低く抑えるあまりに取り扱い難く、ネット製造工程において問題が残るものでもあった。
以上、述べてきたように各種特徴を有した繊維材を使用することで、ネットの耐摩耗性、耐衝撃性を向上させる技術は数多く提案されているが、いずれの場合も、その効果には限界があり、さらなる耐摩耗性、耐衝撃性の向上、つまりこれまでの技術レベルを卓越したネット構造体が未だ望まれ続けている状況にあった。
そこで、繊維材に樹脂材を被覆した複合材料に関する技術として特許文献5が提案されている。
特許文献5には、熱可塑性樹脂で被覆した繊維で土木工事用のメッシュ体が提案されており、耐磨耗性・耐衝撃性の向上がある程度達成されているが、繊維を樹脂被覆した線状物をメッシュ体にする方法として提案されている結節網やラッセル網などの従来の繊維をネット化する製造方法では、繊維を樹脂被覆すると太く、剛性も大きくなる上に、表面の滑りが悪くなることから、製造機械との摩擦抵抗が大きく、生産性が悪化することから、繊維の剛性や太さに限界があり、繊度が大きい撚り構造や組紐構造にすることができないことから、ネット構造体の高強度化、耐久性向上が困難であった。そのため、海洋護岸ネットとして、特に大きな外力を受ける外海などに設置する高強度で大型な海洋護岸ネットを作製することが困難であるため、波の比較的穏やかな湾内など内海に設置する強度や大きさの護岸ネットしか作れず、特に大きな外力を受ける外海などに設置する工法には使用できなかった。
また、特許文献6には、ポリエステルモノフィラメントを用いた亀甲網が提案されているが、モノフィラメントを河川護岸や海洋護岸用に使用できるほど、高強度化するためには、太くする必要があり、モノフィラメントを製造するコストが高い上に製編時にモノフィラメントを融点以下の温度まで加熱する必要があるが、モノフィラメントを製編可能な温度まで加熱するのに時間がかかるため、生産性が悪く、コストが高くなる実用に耐えるものではなかった。また、モノフィラメントは、マルチフィラメントと比較して柔軟性がなく、硬いため、波や風により大きな外力が様々な方向から作用するとねじれやその他の変形に耐えられず、ネット構造体が破れてしまうため、特に大きな外力を受ける外海などに設置する大型護岸ネットには使用できなかった。
特開平11―350293号公報 特開2001−262452号公報 特開平07−316927号公報 特開平11−350289号公報 特開2003−184048号公報 特開昭62−141163号公報
本発明は、内部に石片やコンクリート片などを充填した袋体をなし、大きな波力が及ぶ海洋護岸ネットに使用した場合においても、長期間その機能を保持し続けることができるロープおよびネット構造体を提供することにある。
本発明は、上記課題を達成するものであり、土木用ネット構造体を得るためのロープであって、ロープは、繊維束とその繊維束表面に樹脂エラストマーが被覆されてなるものであり、繊維の表面にはエポキシ系樹脂からなる接着層が付着しており、前記接着層のエポキシ指数が0.1〜1.0当量/tonであることを特徴とするロープを要旨とするものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のロープは、土木用ネット構造体を得るためのものであって、繊維束とその繊維束表面に樹脂エラストマーが被覆されてなる。繊維束は、合成繊維で構成されることが好ましく、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、芳香族ポリアミド系重合体から選ばれた少なくとも1種類から構成されることが好ましい。また、繊維束は、1種類の繊維によって構成されるものであっても、2種類以上の異なる重合体や形態を有する繊維によって構成されるものであってもよい。2種以上の繊維によって構成される例としては、例えば、繊維束の中心部となる芯部に芳香族ポリアミド繊維を配し、その回りを取り囲むようにポリアミド繊維やポリエステル繊維を配する構造が挙げられる。汎用性が高く、機械的強度にも優れることから、ポリエステル繊維は好ましく用いることができる。
繊維束の総繊度が500〜100000dtexであり、撚り糸または組紐によって構成されるのがよい。繊維束を得るには、マルチフィラメント糸またはモノフィラメント糸を複数本準備し、これを撚り合せて、下撚りと上撚りとを行って合撚糸としたり、撚り合せた糸を製紐により組紐の形態としたりする。なお、準備するマルチフィラメント糸またはモノフィラメント糸の繊度は、200〜3500dtex程度がよい。これらの糸を合わせる本数は、得られる繊維束の繊度を考慮して、また、ロープの使用用途、所望のネット強力等に従って適宜設定すればよい。例えば、通常の河川護岸用途では、1670dtex程度の繊維を5〜20本程度合わせればよいが、海洋護岸用途では、より厳しい環境下で使用するため、50本以上、ときとして100本以上を合わせることが好ましい。繊維束の構造は、撚り構造、または組紐構造にすることにより、無撚り構造よりも耐久性を向上させることができる。さらに、使用する繊維の総繊度が大きくなって、繊維束が太くなってもしなやかにできる組紐構造が最適である。組紐構造にすることにより、繊維があらゆる方向に向くため、様々な方向の応力に対して繊維の強度が活用できることから、屈曲やねじれに対する耐久性が高くすることが可能である。組紐構造はネット構造体の大きさや要求される強度によって選択する。通常は、繊維を1本ずつ交互に絡ませ、組み合わせる普通目の3つ打ちが、生産性、コストに優れる。また、要求される強度が大きく、用いる糸の総繊度が大きい場合、繊維束が硬く、撚り戻りも強くなるため、繊維を細かく分けて撚り合わせる5つ打ちや8つ打ちの組紐構造にするとよい。また、糸を2本ずつ絡ませる追い打ちで組紐構造を作ると繊度が大きく、繊維束が太くてもしなやかな繊維束にすることができる。
繊維束を構成する繊維の表面には、エポキシ系樹脂からなる接着層が付着している。このエポキシ系樹脂からなる接着層は、繊維束表面に被覆してなる樹脂エラストマーとの接着性を向上させ、長期の使用や激しい環境下において、繊維束からエラストマー樹脂層が剥離することなく、所望の機能を長続きさせることができる。エポキシ系樹脂を付与する方法は、エポキシ系樹脂化合物を含む水系エマルションを準備し、これを塗布あるいは噴霧等により付与するとよい。付与するには、繊維束を構成した後に付与してもよく、また、繊維束を構成する単位となるマルチフィラメント糸やモノフィラメント糸の製造工程において、仕上げ油剤を付与する際に、エポキシ樹脂化合物も一緒に塗布あるいは噴霧等により付与してもよい。なお、このエポキシ系樹脂からなる接着層は、繊維束表面を被覆してなる樹脂エラストマーの下層を形成することにもなるので、プレコート層ともいえる。エポキシ系樹脂化合物を含む水系エマルションとしては、例えば1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の一種又は二種以上の混合物であることが好ましい。より具体的にはハロゲン含有のエポキシ類が好ましく、例えばエピクロルヒドリン多価アルコール又は多価フェノールとの合成によって得られるものを挙げることができ、グリセロールポリグリシジルエーテルやポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどの化合物が好ましい。このようなエポキシ系樹脂化合物を含む水系エマルションの繊維表面への付着量としては、0.05〜1.5質量%がよい。
エポキシ系樹脂の接着層におけるエポキシ指数は、0.1〜1.0当量/tonがよい。この範囲を選択する理由は、樹脂エラストマーとの良好な接着性を効果的に発揮し、かつ取扱い性が良好となるためである。なお、エポキシ指数は、JIS K 7236に基づきエポキシ指数(繊維1kgあたりのエポキシ当量数)を求めた後、繊維1ton当たりを算出して求めた値である。
本発明のロープは、繊維束表面に樹脂エラストマーが被覆してなる。樹脂エラストマーとはいわゆる「ゴム」であり、常温下において軟らかく弾性に富む高分子物質である。このような樹脂エラストマーとしては、柔軟で、耐摩耗性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。なかでも物性バランスの点からウレタンゴム、クロロプレンゴムがより好ましい。これら樹脂エラストマーに加硫剤、架橋剤を添加し熱処理することで樹脂エラストマー自身がより安定化・強靱化し、該エラストマーが被覆されたロープにより構成されるネット構造体は、より一層の耐摩耗性、耐衝撃性向上効果を発現する。また、樹脂エラストマーに加硫剤、架橋剤を添加しておき、ネット構造体を製編網する際、または製編網後に熱処理することにより、樹脂エラストマーを加硫、架橋することでネットの構造を固定し、より安定なネット構造体を得ることができる。また、樹脂エラストマーに耐摩耗性、耐衝撃性、さらには耐候性、耐水性等を向上させる目的で各種薬剤を添加してもよい。例えば、高分子ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン等の微粉末を添加することで耐摩耗性の向上が期待でき、カーボン、シリカなどの無機物の添加により樹脂エラストマーの強度や耐久性の向上が期待できる。その他、酸化防止剤、PH調整剤、安定剤などを添加することでも樹脂エラストマーの耐久性を向上させることができる。また、本来の耐摩耗性、耐衝撃性、さらには強伸度特性を損なわない範囲において難燃剤や抗菌剤を添加することも可能であり、ネット構造体に所望の機能を付加することができる。
樹脂エラストマーの被覆量は、繊維質量100質量部に対し75〜600質量部であることが好ましく、より好ましくは150〜400質量部である。もちろん、該範囲に満たない場合であっても、繊維材料のみからなるネットに比べ耐摩耗性、耐衝撃性が向上するが、河川や海洋といった非常に厳しい環境下での使用を想定した場合、被膜量をかかる範囲とすることで長期間より確実にその役割を維持することが期待できるようになる。被膜量が繊維質量に対し600質量部を超えると耐摩耗性、耐衝撃性の点では何ら問題ないが、繊維束の被膜工程の生産性が低下してしまうため、得られる効果以上にコストがかかってしまう上に、被覆ロープの剛性が高くなり、例えば、亀甲網に製編する際に工程通過性が悪化してしまう。
繊維束を被覆する方法としては、繊維束を樹脂エラストマーの分散液に浸漬するディッピング法や樹脂エラストマー分散液をスプレーなどで繊維束に塗布する湿式法、繊維束を熱可塑性樹脂で溶融被覆する乾式法を採用することができる。樹脂エラストマーは、繊維束の表面にのみ付着していることが好ましい。繊維束の内部まで樹脂エラストマーが浸透して存在すると、繊維の動きが拘束され、硬くなり、衝撃を吸収する能力が低下する傾向となる。
湿式法では、樹脂エラストマーの分散液が繊維束の内部に含浸しないようにするために分散液の粘度や生産条件を慎重に調整する必要があり、更に繊維束に撥水剤などの前処理が必要である。
熱可塑性樹脂で、繊維束を溶融被覆する乾式法は、繊維束を芯として、その周囲を溶融した樹脂エラストマーで被覆し、冷却固化して目的の被覆ロープを得ることができる。
溶融被覆法では樹脂エラストマーを繊維束の表層ないしは表層の単糸間に付着させるのみであり、繊維束の内部に含浸されないため、ディスパージョンや樹脂溶液を塗布する方法よりも柔軟な被覆ロープが得られる。また、厚みが10μm以上の被覆を形成することが容易であり、得られる被覆の表面は孔のない連続膜であることから、被覆の強度、耐久性に優れる。さらに繊維束を口金に通して被覆するため、均一な厚さの被覆が得られやすい。被覆厚さの変更は口金の穴径を変更することにより可能である。よって、繊維束の周囲に樹脂エラストマー層を形成する手段としては、溶融被覆法が好ましい。
上記したロープによって、ネット構造体は構成される。一般的に、ネット構造体としては、蛙又、本目のような結節網、無結節網、ラッセル編、ウルトラクロス、亀甲網などが多く採用されているが、繊維束を樹脂エラストマーで被覆した本発明のロープは、剛性が高く、曲がり難い上に表面が滑り難いが、後述する方法により良好に製編網することができるため、いずれの編組織にも適用可能である。また、繊維束と樹脂エラストマー層との間に特定の接着層(プレコート層)を設けているため、繊維束と被覆樹脂エラストマー層とが、強固に一体化し、取扱い性が良好で、良好に製編網することができる。
本発明においては、繊維束が樹脂エラストマーにより被覆してなる上記ロープを用いてネット構造体を編成する際、被覆してなる樹脂エラストマーの軟化点以上の温度にロープを加熱して、所望の組織に製編網し、その後冷却することによって、ネット構造体の編網組織を固定することによりネット構造体を製造するとよい。このように、所望の組織に製編網する前に、ロープを加熱することにより、被覆してなる樹脂エラストマーが軟らかくなり、ロープの剛性が解かれ、柔軟性を有するものとなり、所望の組織に製編網しやすくなる程度のしなやかさを有するものとなる。このような状態で所望の組織に製編網した後、冷却し、ネット構造体の編網組織の形態を固定し、ロープは元の剛性を有するものに戻り、形態安定性に優れたネット構造体を高い生産性によって得ることができる。なお、ロープを加熱するにあたっては、樹脂エラストマーを柔らかくし、製編網しやすい程度の柔軟性としなやかさをロープに与えることが目的であることから、加熱温度の上限は、樹脂エラストマーが溶けださない温度とし、処理速度等にもよるが、融点以下の温度が好ましい。
ネット構造体を得る方法として、亀甲網を例として以下に説明する。亀甲網は、ヘール巻方式で亀甲網を製編する製造装置で製網することができるが、最適な製網機としては、以下のもので構成されていることが好ましい。例として、繊維束を樹脂エラストマーで被覆したロープを供給する部分、製網機の直前で該ロープを樹脂エラストマーの軟化点以上融点以下に加熱する部分、亀甲網製網機、製網された亀甲網を冷やす冷却部分、最後に亀甲網を巻き取る巻き取部分で構成されることが好ましい。該ロープを供給する部分としては特に限定されないが、好適なものとしては、該被覆ロープを1本ずつボビンに巻き、クリールスタンドから必要な本数を製網機に供給する方法が可能である。また、製網機直前で該被覆ロープを加熱する方法としては、熱風を被覆ロープに直接吹き付けて加熱するテンターや遠赤外線ヒーターで遠赤外線を照射する方法が可能である。また、製網された亀甲網を冷やす方法としては、冷却ローラーに接触させる方法や冷風を吹き付ける方法が可能である。なお、加熱手段や冷却手段は、亀甲網以外の他の組織でも同様の手段を採用すればよい。
本発明のネット構造体は、縫製したり、枠体に固定したりして組み立てたりして、容易に袋体や蛇篭に加工することができる。これに所定の重さの石片やコンクリート片を充填し、河川や海岸の護岸に最適なユニットを製造することができる。したがって、河川や海岸の護岸に敷設する蛇篭として好適に用いることができる。そして、本発明のネット構造体で袋体をなし、内部に石片やコンクリート片などを充填して河川や海洋護岸ネットに使用した場合において、大きな波力が及ぶ場所でも長期間その機能を保持し続けることができる。
本発明のロープは、繊維束の表面に樹脂エラストマーを配してなることから、外部から衝撃を吸収でき、耐摩耗性、耐衝撃性に極めて優れる。したがって、このロープを用いたネット構造体もまた、高強度で耐摩耗性・耐衝撃性に優れるものであり、河川や海洋といった厳しい環境下においても破損や破断が起こりにくく、長期間その機能を維持したまま使用することが可能となる。この点、従来提案されている樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂などを被膜してなる表面が硬いネット構造体の耐摩耗性、耐衝撃性向上効果を遙かに凌ぐ効果である。
以下、本発明について、実施例に基づき説明する。また、物性は、以下の方法により測定したものである。
(1)総繊度
JIS L−1013(1999)8.3.1正量繊度a)A法に従って、所定荷重5mN/tex×表示テックス数、所定糸長90mで測定した。
(2)マルチフィラメント糸の強度・伸度
試料を気温23℃、湿度65%の温調室において、(株)島津製作所社製“オートグラフ”AG−50kNGでJIS L−1013(1999)8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。このときの掴み間隔は25cm、引張速度は30cm/min、試験回数は10回とした。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(3)ネット構造体の強力
JIS A−8960(2004)7.2網糸の引張強さ試験に従って、掴み間隔25cm、引張速度20cm/minとして測定した。
(4)摩耗および衝撃による外観変化の評価
ネット構造体から50cm×50cmを採取し、これで直径20cm玉石を包み、PPバンドで固定し、試験片を作製した。次に50Lのコンクリートミキサーに試験片、水およそ30L、割れ石およそ5kg、平均粒径およそ300μmの砂3kgを入れ、50rpmの回転速度で1時間攪拌させた。攪拌後、試験片を取り出し、試験片の外観を観察し評価した。
実施例1
(繊維束)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなるマルチフィラメント糸(繊度1670dtex、192フィラメント、強度8.3cN/dtex、伸度15%)を3本撚り合わせ(撚り数は60回/m、S撚り)、この撚糸3本を用いて、3つ打ちの組紐を撚り数170回/mで編組し、総繊度15030dtexの繊維束を得た。なお、マルチフィラメント糸には、仕上げ油剤として、エポキシ系樹脂化合物が繊維表面に0.6質量%付着するように付与したものであり、得られた繊維束において、エポキシ系樹脂の接着層におけるエポキシ指数は、0.7当量/tonであった。
(被覆ロープ)
樹脂エラストマーとして、未加硫のゴム(スチレンブタジエンゴム)をエクストルーダー型押出機へ供給し、樹脂温度が220℃となるように加熱し、圧力5MPaで押出し、直径5mmのニップル、直径6mmのダイスをセットしたクロスヘッド部に繊維束を速度20m/分、単位繊度当たりの張力0.024cN/dtex(張力値:40cN)で供給して、溶融被覆して樹脂が被覆してなる本発明のロープを得た。樹脂の被覆量は、繊維100質量部に対して、300質量部であった。
(ネット構造体の製網)
上記被覆が被覆してなるロープを1本ずつボビンに巻き、クリールスタンドから40本のロープを網機に供給し、製網機の直前にテンターを設置し、被覆ロープに温度180℃の熱風を直接吹き付けて加熱し、ヘール巻方式の亀甲網製造装置で、1辺が50mmの6角形の網目で幅2mの亀甲網を製造した。ヘール部分の撚り数は3回/1辺とした。網機を出てきた亀甲網に冷風を吹き付けて冷却し、ロールに巻き取った。
実施例2
実施例1において、エポキシ系樹脂のエポキシ指数を0.15当量/tonとしたこと以外は、実施例1と同様にしてロープを得、同様にしてネット構造体を得た。
実施例3
実施例1において、被覆ロープを作成する際に、スチレンブタジエンゴムに替えて、天然ゴムを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロープを得、同様にしてネット構造体を得た。
比較例1
実施例1において、エポキシ系樹脂による接着層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてロープを得、同様にしてネット構造体を得た。
比較例2
実施例1において、エポキシ系樹脂のエポキシ指数を1.1当量/tonとしたこと以外は、実施例1と同様にしてロープを得、同様にしてネット構造体を得た。
表1から明らかなように、本発明のネット構造体は、柔軟であり、また、摩耗・衝撃試験後の外観は、大きな傷や切り傷がなく、外観を保持し、耐摩耗性および耐衝撃性に優れたものであった。このことから河川、海洋など波や砂石との繰り返し衝突を受ける激しい環境下においても長期間その機能を維持することが十分に期待できるものであった。
一方、比較例1は、ネットの強度はあったものの、摩耗・衝撃試験後の外観は、被覆した樹脂エラストマーに亀裂が生じてしまっていた。この現象から、被覆樹脂とロープとの接着性が良好でないため、被覆樹脂がネットの変形に追従しないことが原因であると考えられ、自然環境化で長期的な使用を目的とした場合、実施例と比較すると問題が生じるものとであった。
比較例2は、ネットの強度はあったものの、摩耗・衝撃試験後の外観は、被覆した樹脂エラストマーが剥離していた。被覆樹脂とロープとの接着性が良好でないためと考えられ、自然環境化で長期的な使用を目的とした場合、実施例と比較すると問題が生じるものとであった。
本発明のネット構造体は、その表面に耐摩耗性、耐衝撃性等に優れた樹脂エラストマーを配してなる被覆ロープを亀甲網にすることから、各種特性、特に耐摩耗性、耐衝撃性に極めて優れ、河川や海洋といった厳しい使用環境下において、長期間その機能を消失することなく使用することができる。特にネット内部に石片やコンクリート片などを充填した袋体をなし、大きな波力が及ぶ河川護岸ネット、海洋護岸ネットに使用した場合においても、寿命の延長が期待できるネット構造体である。しかも、これまでにない高強度、太い繊度のネット構造体を提供することが可能となる。

Claims (8)

  1. 土木用ネット構造体を得るためのロープであって、ロープは、繊維束とその繊維束表面に樹脂エラストマーが被覆されてなるものであり、繊維の表面にはエポキシ系樹脂からなる接着層が付着しており、前記接着層のエポキシ指数が0.1〜1.0当量/tonであることを特徴とするロープ。
  2. 繊維束は、ポリエステル繊維によって構成され、総繊度が500〜100000dtexであり、撚り糸または組紐によって構成されることを特徴とする請求項1に記載のロープ。
  3. 樹脂エラストマーの被覆量が、繊維質量100質量部に対して75〜600質量部であることを特徴とする請求項1または2記載のロープ。
  4. 樹脂エラストマーが、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴムから選ばれるいずれかひとつよりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに1項記載のロープ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のロープによって構成していることを特徴とするネット構造体。
  6. ネット構造体の組織が、ラッセル編、無結節網、ウルトラクロス、亀甲網のいずれかであることを特徴とする請求項5記載のネット構造体。
  7. ネット構造体を製造する方法であり、請求項1〜4のいずれか1項記載のロープを用いてネット構造体を編成する際、被覆してなる樹脂エラストマーの軟化点以上の温度にロープを加熱して、製編網し、その後冷却することでネット構造体の編網組織を固定することを特徴するネット構造体の製造方法。
  8. 河川護岸もしくは海洋護岸に設置する蛇篭であって、請求項5または6記載のネット構造体によって構成されることを特徴とする蛇篭。

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