JP2009221774A - ネット構造体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来ネットに比べ、高強度で卓越した耐摩耗性、耐衝撃性を有し、河川や海洋など厳しい使用環境下においても長期間その機能を消失することなく使用できるネット構造体を提供する。
【達成手段】繊維束を樹脂エラストマーで被覆してなる被覆ロープを亀甲網に編成してなることを特徴とするネット構造体。
【選択図】なし
【達成手段】繊維束を樹脂エラストマーで被覆してなる被覆ロープを亀甲網に編成してなることを特徴とするネット構造体。
【選択図】なし
Description
本発明は、ネット構造体とその製造方法に関する。
河川や海岸の護岸を目的として、ネット構造体を加工して、袋状や籠状にして、内部に石片やコンクリート片を充填したもの籠体を河川岸や海洋岸に設置する工法が開発されており、ネット構造体としては、ポリエステル繊維やポリアミド繊維をラッセル網に編網したものや普通鉄線、なまし鉄線、亜鉛メッキ鉄線及びこれら各鉄線に合成樹脂(塩化ビニール、ナイロン、ポリプロピレン又はポリエチレン等)を被覆した被覆鉄線を材料とするひし型網や亀甲網が使用されている。これらネット構造体は、屋外環境下で長期間その機能を保持したまま使用できることが最も重要な課題あるが、大きな波力が及ぶ河川岸、海岸に設置されることから、該ネット構造体は波や風により大きな外力を受けることにより、激しく変形し、石片やコンクリート片などの充填材との衝突や摩擦、地表面にある石砂との衝突や摩擦を繰り返し受けることとなり、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などの合成繊維のみならず、金属製のネット構造体でも疲労破壊により、ときとして数週間から数ヶ月のうちに破網に至り本来の機能を保持しなくなるケースも珍しくない。このように特に厳しい環境下で使用されるネットについては、高強度で、耐摩耗性・耐衝撃性に極めて優れたものでなければならない。
上記の通りネットの耐摩耗性・耐衝撃性を向上せしめることは、重要かつ永年の課題であり、これまで数多くの提案がなされているが、そのうちネットを構成するポリエステル繊維やポリアミド繊維などの合成繊維に工夫・改善を施すことでかかるネット特性を向上させ得る技術として特許文献1〜7がある。
特許文献1、2にはネットを構成する繊維の単糸繊度を特定の範囲とすることで、ネットにかかる衝撃や石砂との摩耗を吸収分散させ耐摩耗性、耐衝撃性を向上させる方法が記載されている。しかしながら、本方法による向上効果は僅かであり、厳しい環境下で使用するネットに適用した場合、取るに足らない結果となってしまう。
特許文献3には芯部にポリエステル、鞘部にポリアミドを配し、さらにポリアミド中にはケイ素化合物を添加することで耐候性、耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性等に優れた芯鞘複合繊維に関する技術が記載されている。しかしながら、本複合繊維を使用したネットについても、耐摩耗性、耐衝撃性の点で十分とは言えず、より厳しい屋外環境下で長期間使用するという要望に応えきれるものではなかった。
繊維の動摩擦係数を0.10以下に抑えることで耐衝撃性、耐摩耗性の向上を図る技術が特許文献4により提案されている。本方法では繊維と石砂等が衝突・接触した際に糸条を構成する単繊維が素早く移動し衝撃圧力を分散させることで繊維自体が受けるダメージが低減できると記載されている。確かに理論上は納得できるものであるが、屋外での実使用環境下においては、必ずしも有効ではなく、ネット寿命の延長が認められないケースもあった。また、繊維の動摩擦係数を低く抑えるあまりに取り扱い難く、ネット製造工程において問題が残るものでもあった。
以上述べてきたように各種特徴を有した繊維材を使用することで、ネットの耐摩耗性、耐衝撃性を向上させる技術は数多く提案されているが、いずれの場合も、その効果には限界があり、さらなる耐摩耗性、耐衝撃性の向上、つまりこれまでの技術レベルを卓越したネット構造体が未だ望まれ続けている状況にあった。
そこで、繊維材に樹脂材を被覆した複合材料に関する技術として特許文献5および特許文献6が提案されている。
特許文献5および特許文献6には、熱可塑性樹脂で被覆した繊維で土木工事用のメッシュ体が提案されており、耐磨耗性・耐衝撃性の向上がある程度達成されているが、繊維を樹脂被覆した線状物をメッシュ体にする方法として提案されている結節網やラッセル網などの従来の繊維をネット化する製造方法では、繊維を樹脂被覆すると太く、剛性も大きくなる上に、表面の滑りが悪くなることから、製造機械との摩擦抵抗が大きく、生産性が悪化することから、繊維の剛性や太さに限界があり、繊度が大きい撚り構造や組紐構造にすることができないことから、ネット構造体の高強度化、耐久性向上が困難であった。そのため、海洋護岸ネットとして、特に大きな外力を受ける外海などに設置する高強度で大型な海洋護岸ネットを作製することが困難であるため、波の比較的穏やかな湾内など内海に設置する強度や大きさの護岸ネットしか作れず、特に大きな外力を受ける外海などに設置する工法には使用できなかった。
また、特許文献7には、ポリエステルモノフィラメントを用いた亀甲網が提案されているが、モノフィラメントを河川護岸や海洋護岸用に使用できるほど、高強度化するためには、太くする必要があり、モノフィラメントを製造するコストが高い上に製編時にモノフィラメントを融点以下の温度まで加熱する必要があるが、モノフィラメントを製編可能な温度まで過熱するのに時間がかかるため、生産性が悪く、コストが高くなる実用に耐えるものではなかった。また、モノフィラメントは、マルチフィラメントと比較して柔軟性がなく、硬いため、波や風により大きな外力が様々な方向から作用するとねじれやその他の変形に耐えられず、ネット構造体が破れてしまうため、特に大きな外力を受ける外海などに設置する大型護岸ネットには使用できなかった。
特開平11―350293号公報
特開2001−262452号公報
特開平07−316927号公報
特開平11−350289号公報
特開2001−144562号公報
特開2003−184048号公報
特開昭62−141163号公報
本発明は、内部に石片やコンクリート片などを充填した袋体をなし、大きな波力が及ぶ海洋護岸ネットに使用した場合においても、長期間その機能を保持し続けることができるネット構造体を提供することにある。
すなわち本発明は、繊維束を樹脂エラストマーで被覆してなる被覆ロープを亀甲網に編成してなることを特徴とするネット構造体である。
また本発明は、本発明のネット構造体を製造する方法であって、被覆ロープを編成する際、被覆ロープを樹脂エラストマーの軟化点以上の温度に加熱して編網し、その後冷却することでネット構造を固定することを特徴するネット構造体の製造方法である。
本発明によれば、高強度で耐摩耗性・耐衝撃性に優れたネット構造体を提供することができる。
特に本発明のネット構造体で袋体をなし、内部に石片やコンクリート片などを充填して海洋護岸ネットに使用した場合において、大きな波力が及ぶ場所でも長期間その機能を保持し続けることができる。
本発明のネット構造体は、繊維束を樹脂エラストマーで被覆してなる被覆ロープを亀甲網に編成してなる。合成繊維製のネット構造体としては、蛙又、本目のような結節網、無結節網、ラッセル網などが採用されているが、繊維束を樹脂エラストマーで被覆した被覆ロープは、剛性が高く、曲がり難い上に表面が滑り難いため、これらの製造方法では、生産性が非常に悪く、安定した形状が得難い。そのため、被覆ロープを交互に撚り合せて、少なくとも二辺が撚り合せ辺からなる亀甲型網状体が生産性もよく、好ましいことを見出した。亀甲網構造は、撚り合わせるだけの単純な構造であるため、被覆ロープが太くてなっても、更には繊維束が樹脂被覆されたもので表面がすべり難くても、生産性が低下することなく、形態が安定したネット構造体を得ることができる。
本発明のネット構造体構成する繊維束は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維のマルチフィラメントから選ばれた少なくとも1種類からなることを特徴とする。繊維は1種類でもよく、2種類以上の繊維を撚り合わせてもよい。また、組紐構造の芯部に芳香族ポリアミド繊維、鞘部にポリアミドを配するような構造をとってもよい。繊維束の総繊度が500〜100000dtexであり、かつ糸構造が、撚り構造または組紐構造があることを特徴とする。繊維束を製造する際は、200〜3500dtexの糸1本〜複数本を撚り合わせたり、組紐にする。合わせ本数は使用用途、所望のネット強力等に従って適宜設定すればよい。例えば、通常の河川護岸用途では、1670dtex程度の繊維を5〜20本程度合わせればよいが、海洋護岸用途では、より厳しい環境下で使用するため、50本以上、ときとして100本以上を合わせることが好ましい。繊維束の構造は、撚り構造、または組紐構造にすることにより、無撚り構造より耐久性を向上させることができる。さらに、使用する繊維の総繊度が大きくなって、繊維束が太くなってもしなやかにできる組紐構造が最適である。組紐構造にすることにより、繊維があらゆる方向に向くため、様々な方向の応力に対して繊維の強度が活用できることから、屈曲やねじれに対する耐久性が高くすることが可能である。組紐構造はネット構造体の大きさや要求される強度によって選択する。通常は、繊維を1本ずつ交互に絡ませ、組み合わせる普通目の3つ打ちが生産性、コストに優れるが、必要な強度が大きく使用する繊維の総繊度が大きい場合、繊維束が硬く、撚り戻りも強くなるため、繊維を細かく分けて撚り合わせる5つ打ちや8つ打ちの組紐構造としてもよい。また、繊維を2本ずつ絡ませる追い打ちで組紐構造を作ると繊度が大きく、繊維束が太くてもしなやかな繊維束にすることができる。
本発明のネット構造体は、繊維束を樹脂エラストマーで被覆した被覆ロープを製編して構成されるが、繊維束を被覆する樹脂エラストマーは、柔軟で、耐摩耗性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂が好ましい。樹脂エラストマーとはいわゆる“ゴム”であり、常温下において軟らかく弾性に富む高分子物質である。そして、該樹脂エラストマーをその表面に配してなる本発明のネット構造体を構成する被覆ロープをデュロメータタイプAで測定したデュロメータ硬さはA10〜A80であることが好ましく、より好ましくはA30〜A70である。かかる範囲内の硬さを有するネット構造体は、衝撃を吸収緩和し自材が受けるダメージを最小限に減衰することができる。同様に石砂との擦れに対しても耐性を示し、弾性変形することで摩滅消失を抑制することができるようになる。
本発明の樹脂エラストマーは、繊維束の表面にのみ付着していることが好ましい。繊維束の内部に樹脂エラストマーが含浸すると繊維の動きが拘束され、硬くなり、衝撃を吸収する能力が低下してしまう。
つまり本発明のネット構造体は、柔軟な繊維束の表面に柔軟な樹脂エラストマーを配してなることから、外部から衝撃を吸収でき、耐摩耗性、耐衝撃性に極めて優れ、河川や海洋といった厳しい環境下においても破損や破断が起こりにくく、長期間その機能を維持したまま使用することが可能となる。この点、従来提案されている樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂などを被膜してなる表面が硬いネット構造体の耐摩耗性、耐衝撃性向上効果を遙かに凌ぐ効果であると言える。上記の通り樹脂エラストマー材は、特に限定されるものではないが、柔軟性に富み、耐摩耗性、耐衝撃性に優れたものが好適である。具体的には、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。なかでも物性バランスの点からウレタンゴム、クロロプレンゴムがより好ましい。これら樹脂エラストマーに加硫剤、架橋剤を添加し熱処理することで樹脂エラストマー自身がより安定化・強靱化し、該エラストマーが被覆されてなるネット構造体ではより一層の耐摩耗性、耐衝撃性向上効果が発現する。また、樹脂エラストマーに加硫剤、架橋剤を添加しておき、ネット構造体を製編する際、または製編後に熱処理することにより、樹脂エラストマーを加硫、架橋することでネットの構造を固定し、より安定なネット構造体を得ることができる。また、該エラストマーに耐摩耗性、耐衝撃性、さらには耐候性、耐水性等を向上させる目的で各種薬剤を添加してもよい。例えば、高分子ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン等の微粉末を添加することで耐摩耗性の向上が期待でき、カーボン、シリカなどの無機物の添加により樹脂エラストマーの強度や耐久性の向上が期待できる。その他、酸化防止剤、PH調整剤、安定剤などを添加することでも樹脂エラストマーの耐久性を向上させることができる。また、本来の耐摩耗性、耐衝撃性、さらには強伸度特性を損なわない範囲において難燃剤や抗菌剤を添加することも可能であり、ネット構造体に所望の機能を付加することができる。
樹脂エラストマーの被覆量は繊維材に対し75〜600%であることが好ましく、より好ましくは150〜400%である。もちろん、該範囲に満たない場合であっても、繊維材のみからなるネットに比べ耐摩耗性、耐衝撃性が向上するが、河川や海洋といった非常に厳しい環境下での使用を想定した場合、被膜量をかかる範囲とすることで長期間より確実にその役割を維持することが期待できるようになる。被膜量が繊維重量に対し600%を超えると耐摩耗性、耐衝撃性の点では何ら問題ないが、繊維束の被膜工程の生産性が低下してしまうため、得られる効果以上にコストがかかってしまう上に、被覆ロープの剛性が高くなり、亀甲網に製編する際に工程通過性が悪化してしまう。そのため、本発明の樹脂エラストマーに被覆された被覆ロープは、柔軟であることが好ましい。すなわち、繊維束を樹脂エラストマーに被覆した被覆ロープは、JIS L−1096−8.20.1に準じたガーレ曲げ反発性試験における剛軟度が100000mg以下であることが好ましい。剛軟度が100000mgを超えてしまうと、被覆ロープが曲がり難くなり、製編の生産性が著しく低下指定しまう。
繊維束を被覆する方法としては、繊維束を樹脂エラストマーの分散液に浸漬するディッピング法や樹脂エラストマー分散液をスプレーなどで繊維束に塗布する湿式法、繊維束を熱可塑性樹脂で溶融被覆する乾式法を採用することができる。
湿式法では、樹脂エラストマーの分散液が繊維束の内部に含浸しないようにするために分散液の粘度や生産条件を慎重に調整する必要があり、更に繊維束に撥水剤などの前処理が必要である。
熱可塑性樹脂で、繊維束を溶融被覆する乾式法は、繊維束を芯として、その周囲を溶融した熱可塑性樹脂エラストマーで被覆し、冷却固化して目的の被覆ロープを得ることが出来る。
溶融被覆法では熱可塑性樹脂エラストマーを繊維束の表層ないしは表層の単糸間に付着させるのみであり、繊維束の内部に含浸されないため、ディスパージョンや樹脂溶液を塗布する方法よりも柔軟な被覆ロープが得られる。また10μm以上の被覆を形成することが容易であり、得られる被覆の表面は孔のない連続膜であることから、被覆の強度、耐久性に優れる。さらに繊維束を口金に通して被覆するため、均一な厚さの被覆が得られやすい。被覆厚さの変更は口金の穴径を変更することにより可能である。よって、繊維束の周囲に樹脂被エラストマー覆層を形成する手段としては、溶融被覆法が好ましい。
更に、樹脂エラストマーが熱可塑性であることにより、繊維束を樹脂エラストマーで被覆した被覆ロープを製編してネット構造体を製造する際、樹脂エラストマーの軟化点以上の温度に加熱して軟化させてから編網し、その後冷やすことでネット構造を固定することができるため、生産性を高くすることができる。
本発明の亀甲網は、ヘール巻方式で亀甲網を製編する製造装置で製編することができるが、最適な製編機としては、以下のもので構成されていることが好ましい。例として、繊維束を樹脂エラストマーで被覆した被覆ロープを供給する部分、製編機の直前で該被覆ロープを樹脂エラストマーの軟化点以上融点以下に加熱する部分、亀甲網製編機、製編された亀甲網を冷やす冷却部分、最後に亀甲網を巻き取る巻き取部分で構成されることが好ましい。該被覆ロープを供給する部分としては特に限定されないが、好適なものとしては、該被覆ロープを1本ずつボビンに巻き、クリールスタンドから必要な本数を製編機に供給する方法が可能である。また、製編機直前で該被覆ロープを加熱する方法としては、熱風を被覆ロープに直接吹き付けて加熱するテンターや遠赤外線ヒーターで遠赤外線を照射する方法が可能である。また、製編された亀甲網を冷やす方法としては、冷却ローラーに接触させる方法や冷風を吹き付ける方法が可能である。
以上の方法で製編された亀甲網は、縫製したり、枠体に固定したりして組み立てたりして、容易に袋体や蛇篭に加工することができる。これに所定の重さの石片やコンクリート片を充填し、河川や海岸の護岸に最適なユニットを製造することができる。
[測定方法]
(1)総繊度
JIS L−1013(1999)8.3.1正量繊度a)A法に従って、所定荷重5mN/tex×表示テックス数、所定糸長90mで測定した。
(1)総繊度
JIS L−1013(1999)8.3.1正量繊度a)A法に従って、所定荷重5mN/tex×表示テックス数、所定糸長90mで測定した。
(2)強度・伸度
試料を気温23℃、湿度65%の温調室において、(株)島津製作所社製“オートグラフ”AG−50kNGでJIS L−1013(1999)8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。このときの掴み間隔は25cm、引張速度は30cm/min、試験回数は10回とした。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
試料を気温23℃、湿度65%の温調室において、(株)島津製作所社製“オートグラフ”AG−50kNGでJIS L−1013(1999)8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。このときの掴み間隔は25cm、引張速度は30cm/min、試験回数は10回とした。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(3)剛軟度
JIS L−1096−8.20.1の規定に準じて、テスター産業(株)製ガーレ式スティフネステスター“ST−401”を用いた。長さ38.1mmに切断した試料を端面から12.7mmの箇所でクランプにより把持し、値を読みとった。試験回数は5回とし、読みとった値の平均値用いて、次式により剛軟度に換算した。
S=Rg×(aWa+bWb+cWc)×L2×3.375×10−5/d
ここに、S:剛軟度(mN)
Rg:目盛の読み(mgf)
a,b,c:荷重取付孔と支点間の距離(25.4mm,50.8mm,101.6mm)
Wa,Wb,Wc:荷重取付孔に取り付けたおもりの質量(g)
d:被覆ロープの直径(mm)
L:試験片の長さからクランプの把持長さ12.7mmを引いた長さ(25.4mm)。
JIS L−1096−8.20.1の規定に準じて、テスター産業(株)製ガーレ式スティフネステスター“ST−401”を用いた。長さ38.1mmに切断した試料を端面から12.7mmの箇所でクランプにより把持し、値を読みとった。試験回数は5回とし、読みとった値の平均値用いて、次式により剛軟度に換算した。
S=Rg×(aWa+bWb+cWc)×L2×3.375×10−5/d
ここに、S:剛軟度(mN)
Rg:目盛の読み(mgf)
a,b,c:荷重取付孔と支点間の距離(25.4mm,50.8mm,101.6mm)
Wa,Wb,Wc:荷重取付孔に取り付けたおもりの質量(g)
d:被覆ロープの直径(mm)
L:試験片の長さからクランプの把持長さ12.7mmを引いた長さ(25.4mm)。
(4)デュロメータ硬さ
ASKER製デュロメータ硬度計タイプAを用いJIS K−6253(1997)5.デュロメータ硬さ試験に従って測定した。加圧面を試験片側面に密着後1秒以内に目盛りを読みとった。試験回数を5回とし、その平均値を記した。
ASKER製デュロメータ硬度計タイプAを用いJIS K−6253(1997)5.デュロメータ硬さ試験に従って測定した。加圧面を試験片側面に密着後1秒以内に目盛りを読みとった。試験回数を5回とし、その平均値を記した。
(5)ネット構造体の強力
JIS A−8960(2004)7.2網糸の引張強さ試験に従って、掴み間隔25cm、引張速度20cm/minとして(株)島津製作所社製“オートグラフ”AG−50kNGを用い測定した。試験回数は10回とした。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
JIS A−8960(2004)7.2網糸の引張強さ試験に従って、掴み間隔25cm、引張速度20cm/minとして(株)島津製作所社製“オートグラフ”AG−50kNGを用い測定した。試験回数は10回とした。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(6)耐摩耗性・耐衝撃性
ネット構造体から50cm×50cmを採取し、これで直径20cm玉石を包み、PPバンドで固定し、試験片を作製した。次に50Lのコンクリートミキサーに試験片、水およそ30L、割れ石およそ5kg、平均粒径およそ300μmの砂3kgを入れ、50rpmの回転速度で1時間攪拌させた。攪拌後試験片を取り出し、乾燥後、ネット構造体の強伸度を測定し、次式に従いネット構造体の耐摩耗性(強力保持率)を算出した。
ネット構造体の耐磨耗性(%)=(摩耗試験後のネット強力/摩耗試験前のネット強力)×100 。
ネット構造体から50cm×50cmを採取し、これで直径20cm玉石を包み、PPバンドで固定し、試験片を作製した。次に50Lのコンクリートミキサーに試験片、水およそ30L、割れ石およそ5kg、平均粒径およそ300μmの砂3kgを入れ、50rpmの回転速度で1時間攪拌させた。攪拌後試験片を取り出し、乾燥後、ネット構造体の強伸度を測定し、次式に従いネット構造体の耐摩耗性(強力保持率)を算出した。
ネット構造体の耐磨耗性(%)=(摩耗試験後のネット強力/摩耗試験前のネット強力)×100 。
[実施例1]
(繊維束)
繊度1670dtex、288フィラメント、強度7.5cN/dtex、伸度20%、乾熱収縮率8.0%のポリエチレンテレフタレート繊維マルチフィラメントを3本撚り合わせ(撚り数は60回/m、S撚り)、この撚糸3本を用いて、3つ打ちの組紐を撚り数170回/mで編組し、総繊度15030dtexの繊維束を得た。
(繊維束)
繊度1670dtex、288フィラメント、強度7.5cN/dtex、伸度20%、乾熱収縮率8.0%のポリエチレンテレフタレート繊維マルチフィラメントを3本撚り合わせ(撚り数は60回/m、S撚り)、この撚糸3本を用いて、3つ打ちの組紐を撚り数170回/mで編組し、総繊度15030dtexの繊維束を得た。
(被覆ロープ)
樹脂エラストマーとして、未加硫のゴムをエクストルーダー型押出機へ供給し、樹脂温度が220℃となるように加熱し、圧力5MPaで押出し、直径5mmのニップル、直径6mmのダイスをセットしたクロスヘッド部に被覆ロープを速度20m/分、単位繊度当たりの張力0.024cN/dtex(張力値:40cN)で供給して、溶融被覆した。
樹脂エラストマーとして、未加硫のゴムをエクストルーダー型押出機へ供給し、樹脂温度が220℃となるように加熱し、圧力5MPaで押出し、直径5mmのニップル、直径6mmのダイスをセットしたクロスヘッド部に被覆ロープを速度20m/分、単位繊度当たりの張力0.024cN/dtex(張力値:40cN)で供給して、溶融被覆した。
(ネット構造体の製編)
上記被覆ロープを1本ずつボビンに巻き、クリールスタンドから40本の被覆ロープを編み機に供給し、製編機の直前にテンターを設置し、被覆ロープに熱風を直接吹き付けて加熱し、ヘール巻方式の亀甲網製造装置で、1辺が50mmの6角形の網目で幅2mの亀甲網を製造した。ヘール部分の撚り数は3回/1辺とした。編網機を出てきた亀甲網に冷風を吹き付けて冷却し、ロールに巻き取った。
上記被覆ロープを1本ずつボビンに巻き、クリールスタンドから40本の被覆ロープを編み機に供給し、製編機の直前にテンターを設置し、被覆ロープに熱風を直接吹き付けて加熱し、ヘール巻方式の亀甲網製造装置で、1辺が50mmの6角形の網目で幅2mの亀甲網を製造した。ヘール部分の撚り数は3回/1辺とした。編網機を出てきた亀甲網に冷風を吹き付けて冷却し、ロールに巻き取った。
[比較例1]
繊維束を被覆する樹脂をポリエチレン樹脂とした以外は実施例1と同様にして、亀甲網のネット構造体を製造した。
繊維束を被覆する樹脂をポリエチレン樹脂とした以外は実施例1と同様にして、亀甲網のネット構造体を製造した。
[比較例2]
繊度3300dtex−288フィラメント、強度7.5cN/dtex、伸度20%、乾熱収縮率8.0%のポリエチレンテレフタレート繊維を8本合わせ、ラッセル型編網機を使用し目合い50mm×50mmに編網した後、150℃×3分間の熱処理を施しラッセル型ネットを作製した。
繊度3300dtex−288フィラメント、強度7.5cN/dtex、伸度20%、乾熱収縮率8.0%のポリエチレンテレフタレート繊維を8本合わせ、ラッセル型編網機を使用し目合い50mm×50mmに編網した後、150℃×3分間の熱処理を施しラッセル型ネットを作製した。
表1から明らかなように本発明のネット構造体は、柔軟であり、耐摩耗・耐衝撃試験後の強力保持率が極めて高い結果が得られた。このことから河川、海洋など波や砂石との繰り返し衝突を受ける激しい環境下においても長期間その機能を維持することが十分に期待できるものであった。
一方、比較例1のように硬い樹脂で被覆した場合、ある程度の耐磨耗性、耐衝撃性の向上は認めることはできるが、被覆樹脂がネットの変形に追従しないため、被覆に亀裂が生じてしまったため、自然環境化で長期的な使用を目的とした場合、実施例1と比較すると問題があると考えられる。
また、エラストマー被覆を施さず、繊維材のみからなる比較例2の従来ネットでは、耐摩耗・耐衝撃試験後の強力保持率が低いことから、河川や海洋などでの厳しい使用環境下において容易に破網に至ることが示唆されるものであった。
本発明のネット構造体は、その表面に耐摩耗性、耐衝撃性等に優れた樹脂エラストマーを配してなる被覆ロープを亀甲網にすることから、各種特性、特に耐摩耗性、耐衝撃性に極めて優れ、河川や海洋といった厳しい使用環境下において、長期間その機能を消失することなく使用することができる。特にネット内部に石片やコンクリート片などを充填した袋体をなし、大きな波力が及ぶ河川護岸ネット、海洋護岸ネットに使用した場合においても、寿命の延長が期待できるネット構造体である。しかも、これまでにない高強度、太い繊度のネット構造体を提供することが可能となる。
Claims (8)
- 繊維束を樹脂エラストマーで被覆してなる被覆ロープを亀甲網に編成してなることを特徴とするネット構造体。
- 繊維束がポリエステル繊維、ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維のマルチフィラメントの少なくとも1種類を含み、総繊度が500〜100000dtexであり、かつ糸構造が撚り構造または組紐構造であることを特徴とする請求項1に記載のネット構造体。
- 前記被覆ロープのデュロメータ硬さがA10〜A80である、請求項1または2に記載のネット構造体。
- 前記樹脂エラストマーの被覆量が繊維重量に対し75〜600%である、請求項1〜3のいずれかに記載のネット構造体。
- 前記樹脂エラストマーが繊維束の外部にのみ付着しており、繊維束内部には含浸されていない、請求項1〜4のいずれかに記載のネット構造体。
- 前記樹脂エラストマーが天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴムから選ばれる、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のネット構造体。
- 河川護岸、海洋護岸または蛇篭に使用される、請求項1〜請求項6のいずれかにネット構造体。
- 請求項1〜7のいずれか記載のネット構造体を製造する方法であって、被覆ロープを編成する際、被覆ロープを樹脂エラストマーの軟化点以上の温度に加熱して編網し、その後冷却することでネット構造を固定することを特徴するネット構造体の製造方法。
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