JP7291673B2 - Vリブドベルト及びその製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係るVリブドベルト1を用いた補機駆動用のベルト伝動装置14を示している。このベルト伝動装置14は、駆動プーリ15と、従動プーリ16と、無端状のVリブドベルト1とを有しており、駆動プーリ15及び従動プーリ16にVリブドベルト1が巻き掛けられている。無端状のVリブドベルト1には、内周側にベルト周方向に延び、且つ、ベルト幅方向に沿って並ぶ複数のV字状のリブ部2が形成されている。駆動プーリ15と従動プーリ16の外周面には、複数のV字状溝151、161が形成されており、複数のV字状溝151、161にVリブドベルト1の各リブ部2が嵌り込んでいる。
図2に示すように、Vリブドベルト1は、外周側のベルト背面を形成する伸張層4と、伸張層4よりも内周側に設けられた圧縮層3と、伸張層4と圧縮層3との間に埋設され、ベルト周方向に延びる心線5とを備えている。圧縮層3の内周側には、ベルト周方向にそれぞれ延び、かつ、ベルト幅方向に並ぶ複数のV字状のリブ22が形成されている。リブ22の表面は、保護層6で被覆されている。すなわち、リブ22の表面は、圧縮層3と保護層6との界面21となっている。なお、後ほど詳述するが、保護層6は組物7である。また、リブ22と保護層6とは、それぞれベルト長手方向に延び、且つ、ベルト幅方向に並ぶ複数のV字状のリブ部2を構成している。リブ部2の表面は、プーリ15、16に接触する部分であり、Vリブドベルト1とプーリ15、16との間で動力を伝達する摩擦伝動面61として機能する。
圧縮層3を形成するゴム組成物のゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーなど)、エチレン-α-オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。
伸張層4は、圧縮層3と同様のゴム組成物で形成されている。このゴム組成物のゴム成分としては、圧縮層3のゴム成分と同系統又は同種のゴムを使用する。また、加硫剤又は架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤などの添加剤の割合も、それぞれ圧縮層3のゴム組成物と同様の範囲から選択できる。
心線5としては特に限定されず、ポリエステル繊維(ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維、ポリエチレンナフタレート繊維など)、脂肪族ポリアミド(ナイロン)繊維(6ナイロン繊維、66ナイロン繊維、46ナイロン繊維など)、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維(コポリパラフェニレン・3,4'オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド繊維など)、ポリアリレート繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、PBO繊維などで形成されたコードを用いることができる。これらの繊維は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの繊維は、後述する可撓性ジャケット181の拡張率に応じて適宜選択される。例えば、拡張率が2%を超えるような高伸張の場合は、弾性率の低いポリエステル繊維(特に低弾性ポリブチレンテレフタレート繊維)、ナイロン繊維(特に66ナイロン繊維、46ナイロン繊維)が好ましい。これは、アラミド繊維、PBO繊維などの弾性率が高い繊維では、可撓性ジャケット181が拡張しても繊維は十分に伸張することができず、Vリブドベルト1に埋設される心線5のピッチラインが安定しなかったり、適正なリブ部2の形状が形成されなかったりするためである。このため、弾性率の高い繊維を使用するには、可撓性ジャケット181の拡張率を低く設定(例えば1%程度)するのが好ましい。
先にも少し触れたが、図2に示すように、本実施形態のVリブドベルト1のリブ部2の表面、即ち、ベルトの摩擦伝動面61は、保護層6で構成されている。これにより、圧縮層3と保護層6との界面21の摩耗が抑制され、耐久性が向上する。また、ゴム組成物の摩擦伝動面61への露出が抑えられることから、耐発音性の向上も期待できる。
ところで、本実施形態では、この摩擦伝動面61を構成する保護層6として、特に、組物7が使用されている。組物とは、3本以上の組糸を組み合わせてなる布であり、糸をループ状に絡ませながら編み上げる編布100や経糸と緯糸を直交させて織り上げる織物とは繊維構造が大きく異なる。組物の特徴としては、伸縮性の高さと糸密度の高さの2点が挙げられる。まず、組物は、経糸と緯糸で織成された織布と比べると、組物の繊維構造から、伸縮性が格段に高い。一方、編布100の伸縮性は組物の伸縮性と同様に高い。しかし、組物は、組糸が密に配置される点で編布100とは決定的に異なる。図3(b)に示すように、編布100では、糸をループ状に絡ませながら編むという特徴から、糸と糸との間には必然的に大きな隙間が存在する。これに対して、図3(a)に示すように、組物は、糸が密に配置されているため、編布100と比べて糸と糸との隙間が小さい。
組糸71は、嵩高加工糸と嵩高加工糸よりも伸縮性の低い保形糸とを合糸した糸からなる。組糸71は、伸縮性の高い嵩高加工糸によって、組物7に伸縮性を持たせることができる。また、組糸71は、伸縮性の低い保形糸が組糸71にかかる張力を担うことで、嵩高加工糸が伸び切るのを防ぎ、組物7の糸と糸との隙間が広がるのを防ぐことができる。すなわち、保形糸は、組糸71に係る張力を担う張力負担部材として機能し、組物7の形状の保持に寄与する。
保形性を確保するという観点から、軸糸72は、ある程度の数、周方向に配置されていることが好ましい。例えば、8本以上の軸糸72が含まれていることが好ましい。後述するモールド工法でのベルト製造を考慮し、本実施形態では、軸糸72には、良好な伸縮性を有する伸縮性糸が採用されている。伸縮性糸としては、ポリウレタン弾性糸を採用できる。ポリウレタン弾性糸としては、例えば、スパンデックス(登録商標)やロイカ(登録商標)を使用することができる。また、軸糸72として、熱処理又は加硫処理によって溶融又は軟化する溶融糸を採用してもよい。溶融糸は伸縮性を示さないものの、溶融又は軟化するとシームレスの筒状組物7である組物7の筒軸方向への伸びを阻害しなくなるため、伸縮性糸と同様の効果が得られる。溶融糸としては、例えば、組糸71の保形糸として用いられる低融点ナイロン糸やポリプロピレン糸などの熱可塑性の糸があげられる。
以下に、図5(a)~(c)に基づいて、Vリブドベルト1の製造方法を説明する。一般的なモールド工法によるベルト製造工程を例に挙げて説明する。まず、図5(a)に示すように、金型の外周面に可撓性ジャケット181を装着した内型18に、未加硫の伸張層用シート4Sを巻き付けて、この上に心線5を螺旋状にスピニングし、さらにその上に未加硫の圧縮層用シート3Sとを順次巻き付けて、ベルト成形体17を作製する。この後、ベルト成形体17に筒状組物7をその軸方向が内型18の軸方向と一致するように被せて、筒状のベルト成形体17の外側に組物7を配置する。そして、この後、内周面に複数のリブ型19aが刻設された金型の外型19の内周側に、組物7及びベルト成形体17を巻き付けた内型18を同心状にセットする。このとき、外型19の内周面とベルト成形体17の外周面との間には所定の間隙が設けられる。
上記のモールド工法において、ベルト成形体17を外型19のリブ型19aに押し付けたときに、保護層6の伸縮性が小さいと、ベルト成形体17のリブ型19aへの圧入が阻害されて、リブ形状がきちんと形成されない。よって、リブ部2の表面である摩擦伝動面61を構成する保護層6には伸縮性が必要である。保護層6には伸縮性が必要なので、伸縮性に富む組物7は保護層6に適している。
次に、実施例1~10及び比較例1~3のVリブドベルト1に係る筒状組物7を64打ち2Step方式の丸組機を用いて作製した。なお、マンドレル9の寸法は直径200mm、外周長628mmであった。筒状組物7の作製後、実施形態のVリブドベルト1と同じ製造方法で、リブ部2を3つ有し周長600mmであるVリブドベルト1を作製した。
2 リブ部
21 界面
22 リブ
3 圧縮層
4 伸張層
5 心線
6 保護層
61 摩擦伝動面
7 組物(筒状組物)
71 組糸
72 軸糸
8 組機
14 ベルト伝動装置
17 ベルト成形体
18 内型
19 外型
Claims (15)
- それぞれベルト長手方向に延び、且つ、ベルト幅方向に並ぶ複数のV字状のリブ部を有し、
前記リブ部の摩擦伝動面が、3本以上の組糸を組み合わせて形成された組物で構成され、
前記組糸は、嵩高加工糸と前記嵩高加工糸よりも伸縮性の低い保形糸とを合糸した糸からなることを特徴とするVリブドベルト。 - 前記保形糸は、熱可塑性であることを特徴とする請求項1に記載のVリブドベルト。
- 前記保形糸は、融点が100℃以上、且つ、180℃以下であることを特徴とする請求項2に記載のVリブドベルト。
- 前記組物は、シームレスの筒状組物であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のVリブドベルト。
- 前記組物は、前記組物の筒軸方向に平行な軸糸を有し、
前記軸糸は、伸縮性糸又は溶融糸を含むことを特徴とする請求項4に記載のVリブドベルト。 - 前記組物は、前記軸糸を8本以上含むことを特徴とする請求項5に記載のVリブドベルト。
- 前記軸糸は、前記伸縮性糸としてポリウレタン弾性糸を含むことを特徴とする請求項5または6に記載のVリブドベルト。
- 前記組物は、前記組糸を30本以上含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のVリブドベルト。
- 前記組糸は、前記嵩高加工糸としてナイロンのウーリー加工糸を含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のVリブドベルト。
- 隣り合う前記組糸の、中心線の間の距離である組ピッチが、15mm以下であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のVリブドベルト。
- 1本の前記組糸の総繊度が、500dtex以上であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のVリブドベルト。
- 請求項1乃至11の何れか1項に記載のVリブドベルトの製造方法であって、
筒状のベルト成形体の径方向外側に前記組物を配置し、
前記組物の前記径方向外側に、内周面に複数のリブ型が設けられた金型をさらに配置し、
前記ベルト成形体を前記径方向外側に拡張させて、前記ベルト成形体と前記金型とに挟まれた前記組物を前記金型に押し付けることによって、前記ベルト成形体にリブ形状を形成することを特徴とするVリブドベルトの製造方法。 - 前記組物はシームレスの筒状組物であり、且つ、前記保形糸は熱可塑性であり、
マンドレルの外周上で3本以上の前記組糸を組み合わせることによって前記組物を形成し、
形成した前記組物に対して、第1所定温度で熱処理を所定時間行った後、第2所定温度となるまで冷却することを特徴とする請求項12に記載のVリブドベルトの製造方法。 - 前記マンドレルの外周長が、前記ベルト成形体の外周長よりも長いことを特徴とする請求項13に記載のVリブドベルトの製造方法。
- 前記ベルト成形体の外周上で3本以上の前記組糸を組み合わせることによって前記組物を形成することを特徴とする請求項12に記載のVリブドベルトの製造方法。
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