JP7182477B2 - 摩擦伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦伝動面を編布で被覆した摩擦伝動ベルト及びその製造方法に関するものである。
自動車の補機駆動用や農用機械の駆動用として、摩擦伝動ベルトが広く用いられている。摩擦伝動ベルトとしては、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルトなどが例示でき、プーリの歯部とベルトの歯部との機械的な嵌合により動力を伝達する歯付ベルトをはじめとするかみ合い伝動ベルトとは区別して用いられている。中でも、Vリブドベルトは伝動容量の高さと耐屈曲疲労性を両立できることから、自動車の補機駆動用として汎用されている。
Vリブドベルトの中には、耐摩耗性を高めたり、摩擦係数を調整したりするために、摩擦伝動面を補強布で被覆したものがある。補強布には織布、編布、不織布などが適用でき、これらの補強布を構成する繊維としては、耐摩耗性や吸水性などの要求に合わせて、種々のものを用いることができる。
例えば、特許文献1には、リブ表面(摩擦伝動面)が帆布(補強布)により被覆され、帆布が所定の2方向に伸縮自在であり、この帆布が弾性ヤーンと少なくとも1種類の非弾性ヤーンを含み、この非弾性ヤーンがセルロースベースのファイバまたはヤーンを含むことを特徴とするVリブドベルトが開示されている。このようなベルトに使用する帆布(補強布)として、シームレスまたはシームされた筒状帆布が例示されている(特許文献1の段落0020参照)。
一般的に、補強布は、ベルト本体のゴム組成物との接着性を高めるために、接着処理が施される。その際、特許文献1に例示されているシームレスの筒状帆布では、連続的な接着処理が適用できないため、生産性が低下したり、ベルト長さに応じた周長のシームレスの筒状帆布を用意する必要があるので仕掛品が多くなるという問題がある。
そこで、補強布の連続的な接着処理を可能とし、生産性を向上するために、連続的な接着処理を可能とする長尺の補強布に接着処理を施し、接着処理を終えた後の補強布をシーム(接合)して筒状の補強布を作製することが行われている。この場合、補強布の接合方法としては熱溶着や超音波溶着が利用されてきた。
特表2010-539394号公報
しかしながら、熱溶着や超音波溶着による接合は、接合部の強度不足により、接合部でのクラックの発生、ひいては補強布の剥離が発生しやすいという問題があり、改善が求められていた。
そこで、本発明の課題は、摩擦伝動ベルトの摩擦伝動面を被覆する編布(補強布)の接合部の強度を向上させることである。
上記の課題を解決するために、本発明の摩擦伝動ベルトは、摩擦伝動面が、接合部を有する編布で被覆され、前記接合部が縫い糸で縫合されていることを特徴としている。
上記構成によれば、編布の接合部が縫い糸で縫合されているので接合部の強度を高め、摩擦伝動ベルトの使用の際に、接合部にクラックが発生するのを抑制し、編布の剥離を抑制することができるので、摩擦伝動ベルトの寿命が向上する。これにより、従来から行われてきた、編布の接合部の接合方法である熱溶着や超音波溶着よりも接合部の強度を向上させることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記接合部の縫合が、千鳥縫いであることを特徴としている。
編布は、摩擦伝動ベルトを構成するゴムの加硫時にゴムの流れに追従して伸張する必要がある。そこで、編布の接合部の縫合を千鳥縫いとすることで、加硫時に編布の伸張を阻害することなく、接合部の強度を高めることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記接合部の千鳥縫いが、3点千鳥又は4点千鳥であることを特徴としている。
千鳥縫いが2点千鳥の場合は針落ち点が少ないので接合部の強度が不足する場合がある。そこで、針落ち点が3点又は4点の千鳥縫いにすることで、針落ち点が多くなり、接合部の強度をより高めることができる。また、例えば、接合部において、編布同士を重ねた(オーバーラップ部)場合には、オーバーラップ部に針落ち点が形成されることで、オーバーラップ部が圧縮されて、非オーバーラップ部との段差を小さくすることができる(厚みの差を小さくすることができる)。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトの前記接合部において、編布同士が重なったオーバーラップ部を有し、
前記オーバーラップ部を縫合していることを特徴としている。
上記構成によれば、接合部において、編布同士が重なったオーバーラップ部を形成し、このオーバーラップ部を縫合することにより、編布同士が重なったオーバーラップ部がない編布を縫合する場合(編布同士を突き合わせた状態で縫合)に比べて、接合部の強度を高めることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記オーバーラップ部のベルト周方向の長さが、2mm以上~20mm以下であることを特徴としている。
オーバーラップ部のベルト周方向の長さが2mm未満の場合、接合部の強度が十分でなく、クラックの発生を十分に抑制できない場合がある。一方、オーバーラップ部のベルト周方向の長さが20mmを超えると、オーバーラップ部と非オーバーラップ部との段差の影響が大きくなって、外観の低下及び異音や張力変動などの不具合の発生が懸念される。そこで、オーバーラップ部の長さを2mm以上~20mm以下にすることにより、接合部の強度と上記不具合の抑制とのバランスをとった構成にすることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトの前記接合部において、ベルト周方向の縫い幅が、前記オーバーラップ部のベルト周方向の長さよりも0.5mm以上大きいことを特徴としている。
上記構成によれば、オーバーラップ部全体を縫い糸で押さえることで接合部の強度をより高めることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記接合部の縫合が千鳥縫いであり、前記千鳥縫いのベルト幅方向における折り返し点間の距離である、縫い目ピッチが、0.3mm以上~2mm以下であることを特徴としている。
上記構成によれば、縫い目ピッチを0.3mm以上~2mm以下の範囲にすることにより、縫い目を細かくすることができ、接合部の強度を高めることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記摩擦伝動面には、ベルト周方向に延伸する、複数のリブが形成されており、
前記縫合の針落ち点が、前記リブの先端部に一ヶ所以上あることを特徴としている。
上記構成によれば、縫い目ピッチを小さくするなどして、それぞれのリブの先端部に少なくとも1つの針落ち点が存在するようにすることで、接合部の強度をより高めることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記摩擦伝動面には、ベルト周方向に延伸する、複数のリブが形成されており、
前記接合部の縫合が千鳥縫いであり、
前記千鳥縫いのベルト幅方向における折り返し点間の距離である、縫い目ピッチが、前記リブのベルト幅方向の長さである、リブピッチの0.5倍以下であること特徴としている。
上記構成によれば、縫い目ピッチをリブピッチの0.5倍以下にすることにより、縫い目を細かくすることができ、接合部の強度を高めることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記縫い糸は、融点又は軟化点が180℃以上であることを特徴としている。
縫い糸の融点又は軟化点が180℃未満だと、加硫時の熱によって融解または軟化して接合部の強度を高める効果が失われてしまう。そこで、融点又は軟化点が180℃以上の縫い糸を使用することにより、加硫時の熱により溶けることなく、加硫後も接合部の強度を維持することができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記縫い糸が、合成繊維を芯糸として当該芯糸の周囲をセルロース系繊維で被覆した、複合糸であることを特徴としている。
接合部の縫合に使用する縫い糸に、合成繊維を芯糸としてその周囲をセルロース系繊維で被覆した複合糸を使用することにより、縫い糸に良好な伸びが付与されるので編布の伸びを阻害しないメリットがある。また、縫い糸61の表面にセルロース系繊維があることにより、吸水性・耐発音性を向上させることができる。更には、縫い糸61の芯に合成繊維があることにより、摩耗に強く、接合部の強度を保持することができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記縫い糸が、ナイロン繊維からなることを特徴としてもよい。
接合部の縫合に使用する縫い糸に、伸縮性に優れるナイロン繊維を使用することにより、ベルトの屈曲性の低下を抑制でき、ひいては、接合部の強度を保持することができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記縫い糸が、アラミド繊維からなることを特徴としてもよい。
接合部の縫合に使用する縫い糸に、耐摩耗性に優れるアラミド繊維を使用することにより、接合部の強度を保持することができる。
また、本発明は、摩擦伝動面を被覆する編布の接合部をミシンで縫合する縫合工程を含むことを特徴とする、摩擦伝動ベルトの製造方法である。
上記方法によれば、編布の接合部をミシンで縫合することにより、縫い幅や縫い目ピッチの間隔が正確で、生産性にも優れる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトの製造方法の前記縫合工程において、
前記縫合が千鳥縫いであり、
前記千鳥縫いのベルト幅方向における折り返し点間の距離である、縫い目ピッチが0.2mm以上~1.5mm以下であることを特徴としている。
上記方法によれば、縫合工程における、縫い目ピッチを0.2mm以上~1.5mm以下の範囲にすることにより、摩擦伝動ベルト成形時に縫い目ピッチが伸張したとしても、摩擦伝動ベルト成形後の縫い目ピッチを0.3mm以上~2mm以下の範囲にすることができる。これにより、縫い目を細かくすることができ、接合部の強度を高めることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトの製造方法の前記縫合工程において、
ベルト周方向に延伸する、複数のリブが形成された摩擦伝動面を被覆する編布の縫合が千鳥縫いであり、
前記千鳥縫いのベルト幅方向における折り返し点間の距離である、縫い目ピッチが、前記リブのベルト幅方向の長さである、リブピッチの0.35倍以下であることを特徴としている。
上記方法によれば、縫合工程における、縫い目ピッチを、リブピッチの0.35倍以下にすることにより、摩擦伝動ベルト成形時に縫い目ピッチが伸張したとしても、摩擦伝動ベルト成形後の縫い目ピッチをリブピッチの0.5倍以下にすることができる。これにより、縫い目を細かくすることができ、接合部の強度を高めることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトの製造方法において、
前記接合部に、編布同士を重ねてオーバーラップ部を形成するオーバーラップ工程を含み、
前記縫合工程において、前記オーバーラップ部において重ねられた編布と編布との間には、接着剤を塗布しないことを特徴としている。
オーバーラップ部において重ねられた編布と編布との間に、ゴム糊などの接着剤を塗布する補強をするとオーバーラップ部の厚みが増すことで応力分布が不均一となり、クラックが発生しやすくなる。そこで、オーバーラップ工程及び縫合工程により接合部の強度は十分に確保されていることから、ゴム糊などの接着剤による補強を省くことにより、接合部の強度を担保しつつクラックの発生を防止し、更に、製造工数を低減し、生産性も向上させることができる。
摩擦伝動ベルトの摩擦伝動面を被覆する編布(補強布)の接合部の強度を向上させることができる。
本実施形態に係るVリブドベルトを用いたベルト伝動装置の例を説明する概略斜視図である。 図1のA-A´断面に沿ったVリブドベルトの横断面図である。 本実施形態に係るVリブドベルトにおける編布の接合部の縫合態様示す説明図である。 本実施形態に係るVリブドベルトの接合部のオーバーラップ部における千鳥縫いの説明図である。 本実施形態に係るVリブドベルトの接合部の突き合わせ態様における千鳥縫いの説明図である。 本実施形態に係るVリブドベルトの接合部の「オーバーラップ」及び「突き合わせ」の説明図である。 縫合時の編布の説明図である。 Vリブドベルト成形後の編布の説明図である。 Vリブドベルトの製造方法を説明する概念図である。 実施例に係る耐久試験で使用するVリブドベルトの説明図である。 実施例に係る耐久試験で使用する多軸走行試験機のレイアウトである。 実施例に係るVリブドベルトの接合部のオーバーラップ部における縫合場所についての説明図である。 参考例に係るVリブドベルトの接合部のフラットシーマによる縫合態様を示す説明図である。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る摩擦伝動ベルトの一例としてVリブドベルト1を用いた補機駆動用のベルト伝動装置を示す。このベルト伝動装置は、1つずつの駆動プーリ21と従動プーリ22を備え、これらの駆動プーリ21と従動プーリ22と間にVリブドベルト1を巻き掛けた最も簡単な例である。無端状のVリブドベルト1は、内周側にベルト周方向に延びる複数のV字状リブ部2が形成されており、駆動プーリ21、及び、従動プーリ22の外周面には、Vリブドベルト1の各リブ部2が嵌り込む複数のV字状溝23が設けられている。
(Vリブドベルト1の構成)
図2に示すように、Vリブドベルト1は、外周側のベルト背面を形成する伸張層3と、伸張層3の内周側に設けられた圧縮層4と、伸張層3と圧縮層4との間に埋設されたベルト周方向に延びる心線5とを備え、圧縮層4にベルト周方向に延伸する複数のV字状のリブ部2が形成され、摩擦伝動面となるリブ部2の表面が、縫い糸で縫合された接合部60を有する編布6で被覆されている。伸張層3と圧縮層4は、後述するように、いずれもゴム組成物で形成されている。なお、必要に応じて、伸張層3と圧縮層4の間に接着層を設けてもよい。この接着層は、心線5の伸張層3及び圧縮層4との接着性を向上させる目的で設けられるが、必須のものではない。接着層の形態としては、接着層に心線5全体を埋設する形態でもよく、接着層と伸張層3との間又は圧縮層4との間に心線5を埋設する形態でもよい。
(圧縮層4)
圧縮層4を形成するゴム組成物のゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーなど)、エチレン-α-オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素化ゴムなどが挙げられる。
これらのうち、硫黄や有機過酸化物を含むゴム組成物で未加硫ゴム層を形成し、未加硫ゴム層を加硫又は架橋したものが好ましく、特に、有害なハロゲンを含まず、耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有し、経済性にも優れる点から、エチレン-α-オレフィンエラストマー(エチレン-α-オレフィン系ゴム)が好ましい。エチレン-α-オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン-α-オレフィンゴム、エチレン-α-オレフィン-ジエンゴムなどが挙げられる。α-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンなどが挙げられる。これらのα-オレフィンは、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの原料となるジエンモノマーとしては、非共役ジエン系単量体、例えば、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどが挙げられる。これらのジエンモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
エチレン-α-オレフィンエラストマーの代表例としては、エチレン-α-オレフィンゴム(エチレン-プロピレンゴム)、エチレン-α-オレフィン-ジエンゴム(エチレン-プロピレン-ジエン共重合体)などが挙げられる。エチレン-α-オレフィンエラストマーにおいて、エチレンとα-オレフィンとの割合(前者/後者の質量比)は、40/60~90/10、好ましくは45/55~85/15、さらに好ましくは55/45~80/20の範囲がよい。また、ジエンの割合は、4~15質量%の範囲から選択でき、例えば、4.2~13質量%、好ましくは4.4~11.5質量%の範囲とするとよい。なお、ジエン成分を含むエチレン-α-オレフィンエラストマーのヨウ素価は、例えば、3~40、好ましくは5~30、さらに好ましくは10~20の範囲とするとよい。ヨウ素価が小さ過ぎると、ゴム組成物の加硫が不十分となって摩耗や粘着が生じやすくなり、ヨウ素価が大き過ぎると、ゴム組成物のスコーチが短くなって扱い難くなるとともに耐熱性が低下する傾向がある。
未加硫ゴム層を架橋する有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド(ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシ-イソプロピル)ベンゼン、ジ-t-ブチルパーオキサイドなど)などが挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、有機過酸化物は、熱分解による1分間の半減期が150℃~250℃、好ましくは175℃~225℃程度のものがよい。
未加硫ゴム層の加硫剤又は架橋剤(特に有機過酸化物)の割合は、ゴム成分(エチレン-α-オレフィンエラストマーなど)100質量部に対して、固形分換算で1~10質量部、好ましくは1.2~8質量部、さらに好ましくは1.5~6質量部とするとよい。
ゴム組成物は加硫促進剤を含んでいてもよい。加硫促進剤としては、チウラム系促進剤、チアゾール系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ビスマレイミド系促進剤、ウレア系促進剤などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。加硫促進剤の割合は、固形分換算で、ゴム成分100質量部に対して、0.5~15質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは2~5質量部とするとよい。
また、ゴム組成物は、架橋度を高め、粘着摩耗等を防止するために、さらに共架橋剤(架橋助剤又は共加硫剤)を含んでいてもよい。共架橋剤としては、慣用の架橋助剤、例えば、多官能(イソ)シアヌレート(トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートなど)、ポリジエン(1,2-ポリブタジエンなど)、不飽和カルボン酸の金属塩((メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウムなど)、オキシム類(キノンジオキシムなど)、グアニジン類(ジフェニルグアニジンなど)、多官能(メタ)アクリレート(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど)、ビスマレイミド類(N,N'-m-フェニレンビスマレイミドなど)などが挙げられる。これらの架橋助剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。架橋助剤(複数種を組み合わせる場合は合計量)の割合は、固形分換算で、ゴム成分100質量部に対して、0.01~10質量部、好ましくは0.05~8質量部とするとよい。
また、ゴム組成物は、必要に応じて、短繊維を含んでいてもよい。短繊維としては、セルロース系繊維(綿、レーヨンなど)、ポリエステル系繊維(PET、PEN繊維など)、脂肪族ポリアミド繊維(6ナイロン繊維、66ナイロン繊維、46ナイロン繊維など)、芳香族ポリアミド繊維(p-アラミド繊維、m-アラミド繊維など)、ビニロン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維などが挙げられる。これらの短繊維は、ゴム組成物中での分散性や接着性を高めるため、慣用の接着処理又は表面処理、例えばRFL液などによる処理を施してもよい。短繊維の割合は、ゴム成分100質量部に対して、1~50質量部、好ましくは5~40質量部、さらに好ましくは10~35質量部とするとよい。
さらに、ゴム組成物は、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、加硫助剤、加硫遅延剤、補強剤(カーボンブラック、含水シリカ等の酸化ケイ素など)、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカなど)、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、可塑剤(パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、プロセスオイル等のオイル類など)、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン、脂肪酸アマイドなど)、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲亀裂防止剤、オゾン劣化防止剤など)、着色剤、粘着付与剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、熱安定剤など)、潤滑剤(グラファイト、二硫化モリブデン、超高分子量ポリエチレンなど)、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。金属酸化物は架橋剤として作用させてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの添加剤の割合は、種類に応じて慣用の範囲から選択でき、例えば、ゴム成分100質量部に対して、補強剤(カーボンブラック、シリカなど)の割合は10~200質量部(好ましくは20~150質量部)、金属酸化物(酸化亜鉛など)の割合は1~15質量部(好ましくは2~10質量部)、可塑剤(パラフィンオイル等のオイル類)の割合は1~30質量部(好ましくは5~25質量部)、加工剤(ステアリン酸など)の割合は0.1~5質量部(好ましくは0.5~3質量部)とするとよい。
(伸張層3)
伸張層3は、圧縮層4と同様のゴム組成物(エチレン-α-オレフィンエラストマー等のゴム成分を含むゴム組成物)で形成してもよく、帆布等の布帛(補強布)で形成してもよい。補強布としては、織布、広角度帆布、編布、不織布などの布材が挙げられる。これらのうち、平織、綾織、朱子織などの形態で製織した織布や、経糸と緯糸との交差角が90°~130°程度の広角度帆布や編布が好ましい。補強布を構成する繊維としては、前記短繊維と同様の繊維を利用できる。補強布は、RFL液で処理(浸漬処理など)した後、コーティング処理などを施してゴム付帆布としてもよい。
伸張層3は、圧縮層4と同様のゴム組成物で形成するのが好ましい。このゴム組成物のゴム成分としては、圧縮層4のゴム成分と同系統又は同種のゴムを使用することが多い。また、加硫剤又は架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤などの添加剤の割合も、それぞれ圧縮層4のゴム組成物と同様の範囲から選択できる。
伸張層3のゴム組成物には、背面駆動時に背面ゴムの粘着による異音の発生を抑制するために、圧縮層4と同様の短繊維が含まれていてもよい。短繊維の形態は直線状でもよく、一部屈曲させた形状(例えば、特開2007-120507号公報に記載のミルドファイバー)のものでもよい。Vリブドベルト1の走行時には、伸張層3においてベルト周方向に亀裂が生じ、Vリブドベルト1が輪断する恐れがあるが、短繊維をベルト幅方向又はランダムな方向に配向させることでこれを防止することができる。また、背面駆動時の異音の発生を抑制するためには、伸張層3の表面(ベルト背面)に凹凸パターンを設けてもよい。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターン、エンボスパターン(例えばディンプル形状)などが挙げられ、大きさや深さは特に限定されない。
(心線5)
心線5としては特に限定されず、ポリエステル繊維(ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維、ポリエチレンナフタレート繊維など)、脂肪族ポリアミド(ナイロン)繊維(6ナイロン繊維、66ナイロン繊維、46ナイロン繊維など)、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維(コポリパラフェニレン・3,4'オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド繊維など)、ポリアリレート繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、PBO繊維などで形成されたコードを用いることができる。これらの繊維は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの繊維は、後述する可撓性ジャケット51の膨張率に応じて適宜選択される。例えば、膨張率が2%を超えるような高伸張の場合は、弾性率の低いポリエステル繊維(特に低弾性ポリブチレンテレフタレート繊維)、ナイロン繊維(特に66ナイロン繊維、46ナイロン繊維)が好ましい。これは、アラミド繊維、PBO繊維などの弾性率が高い繊維では、可撓性ジャケット51が膨張しても繊維は十分に伸張することができず、Vリブドベルト1に埋設される心線5のピッチラインが安定しなかったり、適正なリブ部2の形状が形成されなかったりするためである。このため、弾性率の高い繊維を使用するには、可撓性ジャケット51の膨張率を低く設定(例えば1%程度)するのが好ましい。
(編布6:構成材料)
編布6は、緯編であっても経編であってもよいが、緯編は伸縮性に優れるので、リブ部2で凹凸が形成された摩擦伝動面により容易に添わせることができる。緯編で単層に編成されたものとしては、平編(天竺編)、ゴム編、タック編、パール編、鹿の子編(表鹿の子、裏鹿の子、並鹿の子)などが挙げられ、多層に編成されたものとしては、スムース編、インターロック編、ダブルリブ編、シングルピケ編、ポンチローマ編、ミラノリブ編、ダブルジャージ編、鹿の子編(両面鹿の子)などが挙げられる。経編で単層に編成されたものとしては、シングルデンビー、シングルコードなどが挙げられ、多層に編成されたものとしては、ハーフトリコット、ダブルデンビー、ダブルアトラス、ダブルコード、ダブルトリコットなどが挙げられる。
また、編布6を編成する糸には、単一の種類の繊維からなる糸(単一の糸)や複数の種類の繊維からなる糸(複合糸)を用いることができる。これらはそれぞれ単独で用いることができるが、編布6に異なる特性を付与できることから、組み合わせて用いることが好ましく、例えば、編布6はポリエステル系複合糸とセルロース系天然紡績糸(例えば綿糸)とで編成されていてもよい。ポリエステル系複合糸はポリエステル繊維と、ポリエステル繊維以外の繊維とを含む複合糸である。ポリエステル系複合糸は嵩高加工糸であってもよい。嵩高加工糸は、繊維にちぢれ(捲縮性)を生じさせたり、芯糸を別の糸でカバリングしたりして、断面の嵩を大きくした加工糸である。嵩高加工糸には、コンジュゲート糸、カバリング糸、捲縮加工糸、ウーリー加工糸、タスラン加工糸、インタレース加工糸などがあるが、ポリエステル系複合糸としては、コンジュゲート糸やカバリング糸が好ましい。
コンジュゲート糸は、2種類のポリマーを繊維軸方向に貼り合わせた断面構造を持ち、製造時や加工時に熱が加わると、両ポリマーの収縮率の違いにより捲縮が生じて嵩高い糸となる。例えばポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリエチレンテレフタレート(PET)からなるコンジュゲート糸(PTT/PETコンジュゲート糸)や、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)からなるコンジュゲート糸(PBT/PETコンジュゲート糸)がある。また、カバリング糸は、芯糸の周囲を別の糸で覆う(カバリング)することにより、糸全体の断面の嵩を大きくした糸である。例えば、伸縮性に優れたポリウレタン(PU)糸を芯として、その表面をポリエチレンテレフタレート(PET)で覆ったカバリング糸(PET/PUカバリング糸)や、PUを芯として、その表面をポリアミド(PA)で覆ったカバリング糸(PA/PUカバリング糸)がある。これらのうち、編布6に含まれるポリエステル系複合糸としては、伸縮性や耐摩耗性に優れる、PTT/PETコンジュゲート糸又はPET/PUカバリング糸が好ましい。
セルロース系天然紡績糸は、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(綿繊維(コットンリンター)、カポックなど)、ジン皮繊維(例えば、麻、コウゾ、ミツマタなど)、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)などの天然植物由来のセルロース繊維(パルプ繊維)、羊毛、絹、ホヤセルロースなどの動物由来のセルロース繊維、バクテリアセルロース繊維、藻類のセルロースなどを紡績した糸が例示できる。このうち、特に吸水性に優れる点で、綿繊維が好ましい。
セルロース系天然紡績糸の編成比率は好ましくは50~95質量%とされている。また、編布組織は単層又は多層の編布6を使用することができ、ベルト本体のゴムの滲み出しをより確実に防止するためには多層の編布組織が好ましい。
嵩高加工糸を含んで編布を編成することにより、編布の嵩高性を大きくすることができる。編布6の嵩高性は、2.0cm3/g以上が好ましく、より好ましくは2.4cm3/g以上である。上限は特に限定されないが、例えば4.0cm3/g以下、又は3.5cm3/g以下であってよい。なお、嵩高性(cm3/g)は、編布6の厚み(cm)を単位面積当たりの質量(g/cm2)で除したものである。また、ベルト本体のゴムの摩擦伝動面への滲み出しをより確実に防止するためには、摩擦伝動面に前記編布の嵩高い層を設けることも好ましい。
編布6を多層の編布組織とする場合は、編布6の厚み方向で、吸水性に優れるセルロース系天然紡績糸を摩擦伝動面側の層に多く配することにより、摩擦伝動面での吸水性をより高めることができる。多層の編布を編成する場合に、一方の層をセルロース系天然紡績糸のみ、又は、セルロース系天然紡績糸とポリエステル系複合糸で編成し、他方の層をポリエステル系複合糸のみで編成することにより、一方の層にセルロース系天然紡績糸を多く配した多層編布を編成することもできる。セルロース系天然紡績糸を多く配した層を摩擦伝動面側に配置することにより、摩擦伝動面での吸水性をより高めることができる。
編布6には、親水化処理剤として界面活性剤や親水性柔軟剤を含有又は付着させることができる。このように親水化処理剤を編布6に含有又は付着させた場合、摩擦伝動面(編布6)に水滴が付着すると、該水滴は、親水化処理された編布6の表面に速やかに濡れ拡がって水膜となり、さらに、編布6のセルロース系天然紡績糸に吸水されて、摩擦伝動面上に水膜がなくなる。したがって、ウェット状態での摩擦伝動面の摩擦係数の低下がより抑制される。
親水化処理剤としては界面活性剤や親水性柔軟剤を用いることができる。これらの親水化処理剤を編布に含有又は付着させる方法としては、編布に親水化処理剤をスプレーする方法、編布に親水化処理剤をコーティングする方法、又は、編布を親水化処理剤に浸漬する方法を採用することができる。また、親水化処理剤を界面活性剤とする場合は、後述するベルトの製造方法において、内周面に複数のリブ型が刻設された筒状外型の表面に界面活性剤を塗布して加硫成形することで、界面活性剤を編布に含有させる方法も採用することができる。これらの方法のうち、簡便かつより均一に親水性柔軟剤を含有、付着させることができることから、編布を親水化処理剤に浸漬する方法が好ましい。
界面活性剤とは、水となじみ易い親水基と、油となじみ易い疎水基(親油基)とを分子内に持つ物質の総称であり、極性物質と非極性物質とを均一に混合する働きを有する以外に、表面張力を小さくして濡れ性を高めたり、物質と物質との間に界面活性剤が介在して、界面の摩擦を小さくしたりする作用がある。
界面活性剤の種類は特に限定されず、イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などが使用できる。非イオン界面活性剤は、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤又は多価アルコール型非イオン界面活性剤であってもよい。
ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤は、高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸、多価アルコール高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリプロピレングリコールなどの疎水基を有する疎水性ベース成分にエチレンオキシドが付加して親水基が付与された非イオン界面活性剤である。
疎水性ベース成分としての高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、オクタデシルアルコール、アラルキルアルコールなどのC10-30飽和アルコール、オレイルアルコールなどのC10-26不飽和アルコールなどが例示できる。アルキルフェノールとしては、オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのC4-16アルキルフェノールなどが例示できる。
疎水性ベース成分の高級脂肪酸としては、飽和脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸などのC10-30飽和脂肪酸、好ましくはC12-28飽和脂肪酸、さらに好ましくはC14-26飽和脂肪酸、特にC16-22飽和脂肪酸など;ヒドロキシステアリン酸などのオキシカルボン酸など)、不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、エルカ酸、エルシン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸などのC10-30不飽和脂肪酸など)などが例示できる。これらの高級脂肪酸は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
多価アルコール高級脂肪酸エステルは、多価アルコールと前記高級脂肪酸とのエステルであって、未反応のヒドロキシル基を有している。多価アルコールとしては、アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2-10アルカンジオールなど)、アルカントリオール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなど)、アルカンテトラオール(ペンタエリスリトール、ジグリセリンなど)、アルカンヘキサオール(ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビットなど)、アルカンオクタオール(ショ糖など)、これらのアルキレンオキサイド付加体(C2-4アルキレンオキサイド付加体など)などが例示できる。
以下に、「オキシエチレン」、「エチレンオキサイド」又は「エチレングリコール」を「EO」で表し、「オキシプロピレン」、「プロピレンオキサイド」又は「プロピレングリコール」を「PO」で表すと、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリEO高級アルコールエーテル(ポリEOラウリルエーテル、ポリEOステアリルエーテルなどのポリEO
10-26アルキルエーテル)、ポリEOポリPOアルキルエーテルなどのC10-26高級アルコール-EO-PO付加体;ポリEOオクチルフェニルエーテル、ポリEOノニルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール-EO付加体;ポリEOモノラウレート、ポリEOモノオレエート、ポリEOモノステアレートなどの脂肪酸-EO付加体;グリセリンモノ又はジ高級脂肪酸エステル-EO付加体(グリセリンモノ又はジラウレート、グリセリンモノ又はジパルミテート、グリセリンモノ又はジステアレート、グリセリンモノ又はジオレートなどのグリセリンモノ又はジC10-26脂肪酸エステルのEO付加体)、ペンタエリスリトール高級脂肪酸エステル-EO付加体(ペンタエリスリトールジステアレート-EO付加体などのペンタエリスリトールモノ乃至トリC10-26脂肪酸エステル-EO付加体など)、ジペンタエリスリトール高級脂肪酸エステル-EO付加体、ソルビトール高級脂肪酸エステル-EO付加体、ソルビット高級脂肪酸エステル-EO付加体、ポリEOソルビタンモノラウレート、ポリEOソルビタンモノステアレート、ポリEOソルビタントリステアレートなどのソルビタン脂肪酸エステル-EO付加体、ショ糖高級脂肪酸エステル-EO付加体などの多価アルコール脂肪酸エステル-EO付加体;ポリEOラウリルアミノエーテル、ポリEOステアリルアミノエーテルなどの高級アルキルアミン-EO付加体;ポリEO椰子脂肪酸モノエタノールアマイド、ポリEOラウリン酸モノエタノールアマイド、ポリEOステアリン酸モノエタノールアマイド、ポリEOオレイン酸モノエタノールアマイドなどの脂肪酸アミド-EO付加体;ポリEOヒマシ油、ポリEO硬化ヒマシ油などの油脂-EO付加体;ポリPO-EO付加体(ポリEO-ポリPOブロック共重合体など)などが挙げられる。これらのポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
多価アルコール型非イオン界面活性剤は、前記多価アルコール(特に、グリセロール、ペンタエリスリトール、ショ糖、ソルビトールなどのアルカントリオール乃至アルカンヘキサオール)に高級脂肪酸などの疎水基が結合した非イオン界面活性剤である。多価アルコール型非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリストールモノステアレート、ペンタエリストールジ牛脂脂肪酸エステルなどのペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトールモノステアレートなどのソルビトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、椰子脂肪酸ジエタノールアマイドなどのアルカノールアミン類の脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシドなどが挙げられる。これらの多価アルコール型非イオン界面活性剤も単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、前記ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤と組み合わせて使用してもよい。
なお、イオン界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、長鎖脂肪酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリEOアルキルエーテル硫酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルリン酸塩などのアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩などのカチオン界面活性剤、アルキルベタイン、イミダゾリン誘導体などの両性界面活性剤などであってもよい。
好ましい界面活性剤は、非イオン界面活性剤、特に、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤(例えば、ポリEOC10-26アルキルエーテル、アルキルフェノール-EO付加体、多価アルコールC10-26脂肪酸エステル-EO付加体など)である。
親水化処理剤としての親水性柔軟剤は、編布、織布等の繊維部材に柔軟性を持たせるために使用される柔軟剤に親水性を付与したものである。一般的な柔軟剤は、繊維部材をしなやかにする、滑りを良くする、しわを防止する、縮みを防止するといった様々な効果がある。親水性柔軟剤は、ベルト被水時の耐発音性では、界面活性剤にやや劣るものの、編布の柔軟性を向上させることができるので、編布のしわ防止やベルト製造時に巻き付けやすくなる、リブ部2で凹凸が形成された摩擦伝動面により容易に添わせることができる等の効果がある。
親水性柔軟剤としては、特に限定されないが、ポリエーテル変性シリコーン系柔軟剤や、ポリエステル系柔軟剤を使用することができる。ポリエーテル変性シリコーン系柔軟剤は、親水性のポリエーテル基で変性したシリコーンを含む柔軟剤である。ポリエーテル変性シリコーン系柔軟剤は、シリコーンを界面活性剤とともに水に分散させたエマルジョンであってもよい。
ポリエステル系柔軟剤は、親水性ポリエステル樹脂を界面活性剤とともに水に分散させたエマルジョンの柔軟剤であり、ポリエステル繊維と親和性が高いので、編布中のポリエステル系複合糸の親水性を高めることができる。
本実施形態では、一部の編布6について、親水化処理剤に編布6を浸漬する浸漬処理によって、界面活性剤又は親水性柔軟剤を含有、付着させるようにした。界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤を用い、処理液の濃度は0.5~30質量%とした。また、親水性柔軟剤としては、ポリエーテル変性シリコーン系柔軟剤とポリエステル系柔軟剤を用い、処理液の濃度は1~10質量%とした。親水化処理剤を含む処理液の溶媒は特に限定されず、水、炭化水素類、エーテル類、ケトン類などの汎用の溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は混合溶媒としてもよい。
いずれの浸漬処理の場合も、浸漬時間は特に限定されない。浸漬処理温度も特に限定されず、常温下又は加温下で行ってもよい。また、浸漬処理後、必要に応じて乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理は、例えば50℃以上、好ましくは100℃以上程度の加温下で行ってもよい。
また、編布6には、圧縮層4を構成するゴム組成物(リブ部2の表面を形成するゴム組成物)との接着性を向上させる目的で、接着処理を施している。このような編布6の接着処理としては、エポキシ化合物又はイソシアネート化合物を有機溶媒(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン等)に溶解させた樹脂系処理液への浸漬処理、レゾルシン-ホルマリン-ラテックス液(RFL液)への浸漬処理、ゴム組成物を有機溶媒に溶かしたゴム糊への浸漬処理が挙げられる。この他の接着処理の方法として、例えば、編布6とゴム組成物とをカレンダーロールに通して編布6にゴム組成物を刷り込むフリクション処理、編布6にゴム糊を塗布するスプレディング処理、編布6にゴム組成物を積層するコーティング処理等も採用することができる。このように編布6を接着処理することにより、圧縮層4との接着性を向上させて、Vリブドベルト1の走行時の編布6の剥離を防止することができる。また、接着処理をすることで、リブ部2の耐摩耗性を向上させることもできる。
(接合部60:縫合方法)
詳細は後述するVリブドベルト1の製造方法の項目で説明するが、本実施形態のVリブドベルト1で使用される編布6は、長尺の編布6に接着処理を施し、接着処理を施した編布6の両端を接合して筒状の編布6を作成した後、未加硫の伸張層用シート3S及び未加硫の圧縮層用シート4Sに巻き付けられ、加硫処理されることにより、Vリブドベルト1の摩擦伝動面となるリブ部2の表面を被覆している。
ここで、図3に示すように、Vリブドベルト1で使用される編布6は、長尺の編布6の両端を接合した接合部60を有している。そして、この接合部60は、縫い糸61で縫合されている。
縫い糸61には、本実施形態では、ポリエステルを芯糸としてその周囲を綿で覆った複合糸を使用している。縫い糸61としては、特に限定されず、ナイロンやアラミドなどのポリアミド糸やポリエステル糸など単一の糸を使用してもよいし、編布6を編成している糸と同じものを使用してもよい(上記編布6の構成材料の項目参照)。
本実施形態のように、縫い糸61に、合成繊維であるポリエステルを芯糸としてその周囲をセルロース系繊維である綿で覆った構造の複合糸を使用した場合、縫い糸61に良好な伸びが付与されるので編布6の伸びを阻害しないメリットがある。また、縫い糸61の表面にセルロース系繊維があることにより、吸水性・耐発音性を向上させることができる。更には、縫い糸61の芯に合成繊維があることにより、摩耗に強く、接合部60の強度を保持することができる。
なお、縫い糸61の融点又は軟化点は、180℃以上であることが好ましい。縫い糸61の融点又は軟化点が180℃未満であると、製造段階の加硫時の熱によって融解または軟化して接合部60の強度を高める効果が失われてしまう。そこで、融点又は軟化点が180℃以上の縫い糸61を使用することにより、製造段階の加硫時の熱により溶けることなく、加硫後も接合部60の強度を維持することができる。
編布6の接合部60の縫合方法としては、千鳥縫い、オーバーロック(ロック縫い合わせ)、フラットシーマなどが例示できる。なかでも、接合部60の強度を高めながら、Vリブドベルト1の成形時に必要とされる編布6の伸びも確保できる点から、千鳥縫いが好ましい。縫合による拘束が強すぎると、接合部60における編布6の伸びが抑制されてしまい、Vリブドベルト1の形状不良が発生する虞がある。その点、千鳥縫いであれば、編布6の伸びが強く抑制されることはないので、Vリブドベルト1の形状不良は発生しにくくなる。
また、図4及び図5に示すように、千鳥縫いは、縫い糸のベルト幅方向における折り返し点間の距離である、縫い目ピッチSP内の針落ち点の数によって、2点千鳥、3点千鳥、4点千鳥等に分類される。2点千鳥は最も基本的な構成であり、針落ち点は、折り返し点(縫い糸のジグザグ部分の頂点部)にのみ配置され、1つの縫い目ピッチSP内に2点の針落ち点を有する。また、3点千鳥は、折り返し点(縫い糸のジグザグ部分の頂点部)に加えて、折り返し点の中間(縫い糸のジグザグ部分の頂点と頂点との間)にも1つの針落ち点が配置され、1つの縫い目ピッチSP内に3点の針落ち点を有する。また、4点千鳥は、折り返し点(縫い糸のジグザグ部分の頂点部)に加えて、折り返し点の間(縫い糸のジグザグ部分の頂点と頂点との間)に、2つの針落ち点が配置され、1つの縫い目ピッチSP内に4点の針落ち点を有する。同様に、5点千鳥や6点千鳥など千鳥縫いの点数が増えるに従い、折り返し点の間に配置される針落ち点が増えて配置される。編布6の接合部60の千鳥縫いでは、2点千鳥、3点千鳥、4点千鳥が好ましく、針落ち点が多く、接合部60の強度をより高められる点から、3点千鳥または4点千鳥がより好ましく、更には4点千鳥が特に好ましい。
また、図8に示すように、千鳥縫いにおいて、縫合の針落ち点は、各リブ部2の先端部2Aに少なくとも1ヶ所以上配置されていることが好ましい。縫い目ピッチSPを小さくするなどして、それぞれのリブ部2の先端部2Aに少なくとも1つの針落ち点が存在するようにすることで、接合部60の強度をより高めることができる。
(接合部60:編布6の配置)
また、図3に示すように、Vリブドベルト1で使用される編布6は、接合部60において、長尺の編布6の両端を接合している。この接合部60は、図5及び図6(A)に示すように、編布6の端と端とが重なり合わないように「突き合わせ」てもよく、図4及び図6(B)に示すように、編布6の端と端とが重なり合うように「オーバーラップ」させてもよい。突き合わせの場合は、編布6の厚みが接合部60においても均一であることから外観の向上や異音並びに張力変動発生防止の点で利点がある。一方、接合部60の強度を高める点からは、オーバーラップさせることが好ましい(突き合わせの場合に比べて、接合部60の強度を高めることができる)。なお、本実施形態では、接合部60を縫い糸で縫合しているため、たとえ編布6をオーバーラップさせた場合であっても、接合部60においてオーバーラップさせた部分(オーバーラップ部62)の編布6が圧縮されて、オーバーラップ部62において編布6の厚みが厚くなるのを抑制でき、外観の低下や異音並びに張力変動の発生は抑えられる。
編布6の端と端とが重なり合うようにオーバーラップさせた場合のベルト周方向の重なり部分の長さである(オーバーラップ部62のベルト周方向の長さ)、オーバーラップ長さL(図6(B)及び図7参照)は特に限定されないが、例えば1mm以上であってもよく、好ましくは2mm以上~20mm以下、より好ましくは3mm以上~15mm以下、更には、5mm以上~12mm以下(特に8mm以上~12mm以下)が特に好ましい。オーバーラップ長さLが2mm未満であると接合部60の強度を高める効果が十分ではない場合があり、逆に20mmを超えると外観の低下や異音並びに張力変動などが発生しやすくなる懸念がある。
なお、編布6の端と端とが重なり合うようにオーバーラップさせた場合、オーバーラップさせた編布6と編布6との間は、接着剤による接着をしないことが好ましい。オーバーラップ部62において重ねられた編布6と編布6との間に、ゴム糊などの接着剤を塗布する補強をするとオーバーラップ部62の厚みが増すことで応力分布が不均一となり、クラックが発生しやすくなる。そこで、接合部60の強度は縫い糸61の縫合により十分に確保されていることから、ゴム糊などの接着剤による補強を省くことにより、接合部60の強度を担保しつつクラックの発生を防止することができる。
(接合部60:縫い幅SW)
図7に示すように、接合部60の千鳥縫いのベルト周方向における折り返し点間の距離である、縫い幅SWは適宜設定可能であるが、狭すぎても、広すぎても、接合部60の強度が低下する。そこで、千鳥縫いの折り返し点はオーバーラップ部62を跨ぐように配置される。そして、その縫い幅SWは、オーバーラップ部62のオーバーラップ長さLに対応して設定するのが好ましく、具体的には、オーバーラップ長さLよりも0.5mm以上大きいことが好ましく、更には、オーバーラップ長さLよりも0.8mm以上~2mm以下の範囲で大きいことが好ましい。縫い幅SWがオーバーラップ長さLよりも0.5mm以上大きければ、オーバーラップ部62全体を縫い糸で押さえることができるので、接合部60の強度が高まる。さらに、縫い幅SWを、オーバーラップ長さL+0.8mm以上~+2mm以下とすると、オーバーラップ部62全体を縫い糸で押さえつつ、針落ち点が接合部60に集中するので接合部60の強度がさらに高まる。
(接合部60:縫い目ピッチSP)
千鳥縫いで縫合された編布6は、Vリブドベルト1の成形時に縫い目ピッチSPの方向(ベルト幅方向)に伸張される。そのため、縫い目ピッチSPは、製造段階での縫合時と、Vリブドベルト1の成形後で異なり、Vリブドベルト1の成形後の方が広くなる。ここでは、製造段階での縫合時の縫い目ピッチ(図7参照)、及び、Vリブドベルト1の成形後の縫い目ピッチ(図8参照)を区別する。
縫い目ピッチSPは、接合部60の強度を高める観点からは狭い方が好ましく、製造段階での縫合時の縫い目ピッチSPは、リブ部2のベルト幅方向の長さである、リブピッチRPの0.5倍以下であり、更には、リブピッチRPの0.35倍以下であることが好ましい。そして、Vリブドベルト1の成形後の縫い目ピッチSPは、製造段階での縫合時の縫い目ピッチSPよりも広くなることから、Vリブドベルト1の成形後の縫い目ピッチSPは、リブピッチRPの0.8倍以下であり、更には、リブピッチRPの0.5倍以下であることが好ましい(図8参照)。Vリブドベルト1の成形後の縫い目ピッチSPを、リブピッチRPの0.8倍以下、更には、リブピッチRPの0.5倍以下にすることにより、縫い目を細かくすることができ、接合部60の強度を高めることができる。
リブピッチRPは、JIS B1858(2005)に規定されている1.6mm、2.34mm、3.56mm、4.7mm、9.4mmなどを適用することができるが、自動車補機駆動用として広く普及しているリブピッチRPが3.56mmの場合であれば、製造段階での縫合時の縫い目ピッチSPは、0.2mm以上~1.5mm以下であることが好ましく、Vリブドベルト1の成形後であれば、縫い目ピッチSPは、0.3mm以上~2mm以下であることが好ましい。Vリブドベルト1の成形後の縫い目ピッチSPを0.3mm以上~2mm以下の範囲にすることにより、縫い目を細かくすることができ、接合部60の強度を高めることができる。
上記構成によれば、編布6の接合部60が縫い糸で縫合されているので接合部60の強度を高め、Vリブドベルト1の使用の際に、接合部60にクラックが発生するのを抑制し、編布6の剥離を抑制することができるので、Vリブドベルト1の寿命が向上する。これにより、従来から行われてきた、編布6の接合部60の接合方法である熱溶着や超音波溶着よりも接合部60の強度を向上させることができる。
また、編布6の接合部60の縫合を、針落ち点が3点又は4点の千鳥縫いにすることで、針落ち点が多くなり、接合部60の強度をより高めることができる。また、接合部60において、編布6同士を重ねた(オーバーラップ部62)場合には、オーバーラップ部62に針落ち点が形成されることで、オーバーラップ部62が圧縮されて、オーバーラップしない部分との段差を小さくすることができる(厚みの差を小さくすることができる)。
(Vリブドベルト1の製造方法)
以下では、Vリブドベルト1の製造方法を説明する。まず、長尺の編布6に接着処理を施す。そして、接着処理を施した編布6の端と端とが重なり合うようにオーバーラップさせる(図6(B)参照:オーバーラップ工程)。そして、このオーバーラップさせた部分(オーバーラップ部62)を跨ぐように、ミシンにより千鳥縫いで縫合する(図4参照:縫合工程)。これにより、両端が接合された接合部60を有する、筒状の編布6が作成される。
縫合工程において、編布6の接合部60をミシンで縫合することにより、縫い幅SWや縫い目ピッチSPの間隔が正確で、生産性にも優れたものになる。
縫合工程において、縫合時の縫い目ピッチSPは、0.2mm以上~1.5mm以下であることが好ましい。左記範囲にすることにより、Vリブドベルト1の成形時に縫い目ピッチSPが伸張したとしても、Vリブドベルト1の成形後の縫い目ピッチSPを0.3mm以上~2mm以下の範囲にすることができる。これにより、縫い目を細かくすることができ、接合部60の強度を高めることができる。
また、縫合工程において、縫合時の縫い目ピッチSPは、リブ部2のベルト幅方向の長さである、リブピッチRPの0.5倍以下であり、更には、リブピッチRPの0.35倍以下であることが好ましい。左記範囲にすることにより、Vリブドベルト1の成形時に縫い目ピッチSPが伸張したとしても、Vリブドベルト1の成形後の縫い目ピッチSPをリブピッチRPの0.8倍以下、更には0.5倍以下にすることができる。これにより、縫い目を細かくすることができ、接合部60の強度を高めることができる。
また、縫合工程において、オーバーラップさせた編布6と編布6との間に、接着剤を塗布することによって補強をしてもよいが、接着剤による補強をしないことが好ましい。オーバーラップ部62において重ねられた編布6と編布6との間に、ゴム糊などの接着剤を塗布する補強をするとオーバーラップ部62の厚みが増すことで応力分布が不均一となり、クラックが発生しやすくなる。そこで、オーバーラップ工程及び縫合工程の縫合により接合部60の強度は十分に確保されていることから、ゴム糊などの接着剤による補強を省くことにより、接合部60の強度を担保しつつクラックの発生を防止し、更に、製造工数を低減し、生産性も向上させることができる。
次に、図9(a)に示すように、外周面に可撓性ジャケット51を装着した内型52に、未加硫の伸張層用シート3Sを巻き付けて、この上に心線5を螺旋状にスピニングし、さらにその上に未加硫の圧縮層用シート4Sと上記縫合工程で作成した筒状の編布6とを順次巻き付けて、成形体10を作成する。この後、内周面に複数のリブ型53aを刻設した外型53の内周側に、成形体10を巻き付けた内型52を同心状にセットする。このとき、外型53の内周面と成形体10の外周面との間には所定の間隙が設けられる。
つぎに、図9(b)に示すように、可撓性ジャケット51を外型53の内周面に向かって所定の膨張率(例えば1~6%)で膨張させ、成形体10の圧縮層用シート4Sと編布6を外型53のリブ型53aに圧入して、その状態で加硫処理(例えば160℃、30分)を行う。
最後に、図9(c)に示すように、内型52を外型53から抜き取り、複数のリブ部2を有する加硫ゴムスリーブ10Aを外型53から脱型した後、カッターを用いて加硫ゴムスリーブ10Aを周方向に沿って所定の幅にカットして、Vリブドベルト1に仕上げる。なお、Vリブドベルト1の製造方法は上記方法に限らず、例えば、特開2004-82702号公報等に開示された他の公知の方法を採用することもできる。
上記Vリブドベルト1の製造方法において、編布6は、Vリブドベルト1を構成するゴムの加硫時にゴムの流れに追従して伸張させる必要がある。そこで、編布6の接合部60の縫合を千鳥縫いとすることで、加硫時に編布6の伸張を阻害することなく、接合部60の強度を高めることができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、摩擦伝動ベルトの例としてVリブドベルト1について説明したが、本発明内容は、摩擦伝動ベルトであれば、平ベルトやVベルトなどでも採用することができる。
また、上記実施形態では、主に編布6の端と端とが重なり合うように「オーバーラップ」させた場合について説明したが、図5及び図6(A)に示すように、編布6の端と端とが重なり合わないように「突き合わせ」た構成であってもよい。
次に、表2~表7に示す接合態様で接合した接合部を有する、実施例1~17、及び、比較例に係るVリブドベルトを作製し、耐久試験を行った。
実施例1~17、及び、比較例に係るVリブドベルトの構成・材料等を以下に説明する。
表1に、実施例1~17、及び、比較例に係るVリブドベルトの伸張層及び圧縮層を構成するゴム組成物の構成を示す。
Figure 0007182477000001
EPDMポリマー:デュポン・ダウエラストマージャパン社製、「ノーデルIP3640」
パラフィン系オイル:出光興産(株)製、「ダイアナプロセスオイル」
老化防止剤:精工化学(株)製、「ノンフレックスOD3」
有機過酸化物:化薬アクゾ(株)製、「パーカドックス14RP」
(心線)
心線には、 1100dtex/1×4構成のアラミドコードを使用し、RFL処理及びゴム糊によるオーバーコート処理を実施した。
(編布)
編布には、吸水性繊維としての綿紡績糸(40番手、1本)と、第2の繊維としてのPTT/PETコンジュゲート複合糸(繊度84dtex)とを編成し、編組織が緯編(鹿の子、2層)の編布(繊維部材)を使用した。また、接着処理用ゴムを固形分濃度が10%となるようにトルエンに溶解してゴム糊とし、このゴム糊に編布を浸漬後、100℃で5分間乾燥する接着処理を行った。
(実施例1~8及び比較例に係るVリブドベルトの製造)
図10に示すように、あらかじめ編布に接合態様の異なる接合部(実施例1、実施例2、比較例)を3箇所設けておき、1本のVリブドベルトに接合態様の異なる3箇所の接合部が含まれるようにして、3つの接合態様を同時に比較試験できるようにした。同様に、実施例3、実施例4、及び、実施例5に係る、接合態様の異なる3箇所の接合部を含むVリブドベルトと、実施例6、実施例7、及び、実施例8に係る、接合態様の異なる3箇所の接合部を含むVリブドベルトとを用意した。なお、実施例1~8及び比較例に係るVリブドベルトのリブピッチは3.56mmであり、実施例1~8に係るVリブドベルトの縫合時の縫い目ピッチは1mmとした。なお、成形後の縫い目ピッチは1.4mmであった。実施例1~8及び比較例に係るVリブドベルトの接合部の縫合に使用する縫い糸は、ポリエステルを芯糸としてその周囲を綿で覆った複合糸とした。また、実施例3は、実施例1と同じ接合態様である。
(実施例9~17に係るVリブドベルトの製造)
図10に示したのと同様に、実施例9、実施例10、及び、実施例11に係る、縫い目ピッチの異なる3箇所の接合部を含むVリブドベルト、実施例12、実施例13、及び、実施例14に係る、縫合糸材質の異なる3箇所の接合部を含むVリブドベルト、並びに、実施例15、実施例16、及び、実施例17に係る、縫合場所又は縫合糸材質の異なる3箇所の接合部を含むVリブドベルトを用意した。実施例9~17に係るVリブドベルトのリブピッチは3.56mmである。また、実施例10、12~17に係るVリブドベルトの縫合時の縫い目ピッチは1mmとした。なお、成形後の縫い目ピッチは1.4mmであった。また、実施例9及び実施例11の縫合時の縫い目ピッチは、それぞれ0.3mm及び1.5mmとし、成形後の縫い目ピッチは、それぞれ0.4mm及び2.0mmであった。実施例9~12に係るVリブドベルトの接合部の縫合に使用する縫い糸は、ポリエステルを芯糸としてその周囲を綿で覆った複合糸とした。また、実施例13及び実施例17に係るVリブドベルトの接合部の縫合に使用する縫い糸の材質は、ナイロンとした。また、実施例14、実施例15、及び、実施例16に係るVリブドベルトの接合部の縫合に使用する縫い糸の材質は、アラミドとした。また、実施例10及び実施例12は、実施例1と同じ接合態様である。
(耐久試験方法)
耐久試験では、図11に示す、直径60mmの駆動プーリ(Dr.)、及び、直径50mmのアイドラープーリ8個を順に配したレイアウトの多軸走行試験機に、各Vリブドベルトを巻き掛け、走行させた。耐久試験条件としては、多軸走行試験機の各プーリにVリブドベルト(リブ部の数3、周長1500mm)を掛架し、駆動プーリの回転数を5200rpm、アイドラープーリは無負荷とし、ベルト張力は294N/3リブとした。試験温度は100℃とした。耐久試験結果として、編布の接合部にクラックが発生したリブ部の数を表2~表7に示した。ここで、表2~表7において、「0」はクラックの発生なし、「1」は3つのリブ部のうち1つのリブ部の接合部でクラックが発生、「2」は3つのリブ部のうち2つのリブ部の接合部でクラックが発生、「3」は3つのリブ部全てにクラックが発生したことを示す。
Figure 0007182477000002
実施例1、実施例2、及び、比較例では、従来の超音波溶着と縫い糸による縫合の比較を行った。超音波溶着により編布の接合部が接合された比較例では、走行開始後1時間で3つのリブ部の接合部すべてでクラックが発生した。一方、接合部を千鳥縫いで縫合した実施例1及び実施例2はクラックの発生が抑えられ、走行開始後39時間の時点でもクラックが発生したのは1箇所にとどまった。これにより、編布の接合部を縫い糸で縫合した場合、編布の接合部の接合態様として超音波溶着を採用したものよりも接合部の強度を向上させることができると考えられる。
Figure 0007182477000003
次に、実施例3(実施例1と同じ)、実施例4、及び、実施例5では、オーバーラップ長さの比較を行った。オーバーラップ長さが、0mm(編布同士が重なり合わずに突き合わせの状態:図6(A)参照)の実施例3に比べて、オーバーラップ長さが2mmの実施例4、及びオーバーラップ長さが4mmの実施例5はクラックの発生が抑えられた。実施例5の縫い幅は5mmであり、縫い幅はオーバーラップ長さよりも1mm大きかった。これにより、編布同士が重なったオーバーラップ部を形成し、このオーバーラップ部を縫合することにより、編布同士が重なったオーバーラップ部がない編布を縫合する場合(突き合わせ)に比べて、接合部の強度を高めることができると考えられる。また、オーバーラップ長さは、2mmよりも4mmの方が接合部の強度を高めることができると考えられる。
Figure 0007182477000004
次に、実施例6、実施例7、及び、実施例8では、3点千鳥縫いと4点千鳥縫いとの比較、更には、オーバーラップさせた編布と編布との間の接着剤の有無の比較を行った。縫合方法を3点千鳥または4点千鳥とした実施例6~8は、縫合方法を2点千鳥とした実施例5と比べてもクラックの発生を抑える効果が特に高い結果が得られた。実施例8は接合部の強度アップを目論んでオーバーラップ部の編布と編布との間にゴム糊を塗布したが、オーバーラップ部の編布と編布との間にゴム糊を塗布しない実施例7と比較して、逆にクラックが発生しやすい結果であった。これにより、オーバーラップ部の厚みが増大してしまうことから、オーバーラップ部の編布と編布との間にゴム糊を塗布しない方がよいと考えられる。
Figure 0007182477000005
次に、実施例9、実施例10(実施例1と同じ)、及び、実施例11では、縫い目ピッチの比較を行った。縫い目ピッチが1mmである実施例10に比べて、縫い目ピッチを0.3mmと狭くした実施例9では、クラックの発生が抑えられた。一方、縫い目ピッチを1.5mmと広くした実施例11では、実施例10に比べてクラックがより多く発生した。これにより、縫い目ピッチを狭くすることで、接合部の強度が高まることが分かった。
Figure 0007182477000006
次に、実施例12(実施例1と同じ)、実施例13、及び、実施例14では、縫合糸の材質の比較を行った。縫合糸の材質がポリエチレンと綿の複合糸である実施例12に比べて、縫合糸の材質をナイロンとした実施例13、及び、縫合糸の材質をアラミドとした実施例14はクラックの発生が抑えられた。これにより、縫合糸の材質をナイロン又はアラミドとすることで、接合部の強度が高まることが分かった。これは、耐摩耗性に優れるアラミドでは接合部の強度を保つことができ、伸縮性に優れるナイロンではベルトの屈曲性の低下を抑制できたためであると考えられる。
Figure 0007182477000007
次に、実施例15、実施例16、及び、実施例17では、オーバーラップ長さを10mmとして、その縫合場所及び縫合糸の材質の比較を行った。実施例15~17は、いずれも実施例7と同様に、縫合方法は4点千鳥縫い、縫い幅は5mmである。オーバーラップ長さが4mmの実施例7に比べて、オーバーラップ長さが10mmの実施例15~17は、いずれもクラックの発生が大きく抑えられた。また、実施例15は、図12(a)に示すように、オーバーラップ部の端部を縫合しており、実施例16及び実施例17は、図12(b)に示すように、オーバーラップ部の中央を縫合している。実施例15と実施例16の比較から、オーバーラップ部の端部より、中央を縫合する方が、より接合部の強度が高まると考えられる。また、実施例16と実施例17から、縫合糸の材質としてナイロン又はアラミドのいずれを用いた場合でも、クラックの発生を十分に抑え、接合部の強度をより向上させられることが分かった。
上述したように、編布同士の接合部を千鳥縫いで縫合した実施例に対し、接合部をフラットシーマで縫合した参考例についても、実施例と同様、耐久試験を行った。ここで、フラットシーマとは、フラットシーマミシンを用いた4本針縫製のことで、6本の糸で縫い目が構成され、縫い合わせる布と布とが平らな状態となることを特徴とする。参考例では、図13に示すように、縫合部における編布の伸縮性が低下して、リブ形状が異常となった。つまり、千鳥縫いは、編布の伸縮性を低下させないために重要な縫い方であり、他の縫い方では、Vリブドベルトのリブ形状に不良を生じさせるため、本発明に適用できないと考えられる。
1 Vリブドベルト
2 リブ部
2A 先端部
3 伸張層
4 圧縮層
5 心線
6 編布
60 接合部
61 縫い糸
62 オーバーラップ部
10 成形体
21 駆動プーリ
22 従動プーリ
23 V字状溝
51 可撓性ジャケット
52 内型
53 外型
53a リブ型
SP 縫い目ピッチ
SW 縫い幅
RP リブピッチ
L オーバーラップ長さ

Claims (15)

  1. 摩擦伝動面が、接合部を有する編布で被覆され、
    前記接合部が縫い糸で縫合されており、
    前記接合部の縫合が、千鳥縫いであり、
    前記接合部において、編布同士が重なったオーバーラップ部を有し、
    前記オーバーラップ部を縫合していることを特徴とする、摩擦伝動ベルト。
  2. 前記接合部の千鳥縫いが、3点千鳥又は4点千鳥であることを特徴とする、請求項に記載の摩擦伝動ベルト。
  3. 前記オーバーラップ部のベルト周方向の長さは、2mm以上~20mm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の摩擦伝動ベルト。
  4. 前記接合部において、ベルト周方向の縫い幅は、前記オーバーラップ部のベルト周方向の長さよりも0.5mm以上大きいことを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  5. 前記接合部の縫合が千鳥縫いであり、
    前記千鳥縫いのベルト幅方向における折り返し点間の距離である、縫い目ピッチが、0.3mm以上~2mm以下であることを特徴とする、請求項1~4の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  6. 前記摩擦伝動面には、ベルト周方向に延伸する、複数のリブが形成されており、
    前記縫合の針落ち点が、前記リブの先端部に一ヶ所以上あることを特徴とする、請求項1~の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  7. 前記摩擦伝動面には、ベルト周方向に延伸する、複数のリブが形成されており、
    前記接合部の縫合が千鳥縫いであり、
    前記千鳥縫いのベルト幅方向における折り返し点間の距離である、縫い目ピッチが、前記リブのベルト幅方向の長さである、リブピッチの0.5倍以下であること特徴とする、請求項1~の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  8. 前記縫い糸は、融点又は軟化点が180℃以上であることを特徴とする、請求項1~の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  9. 前記縫い糸は、合成繊維を芯糸として当該芯糸の周囲をセルロース系繊維で被覆した、複合糸であることを特徴とする、請求項1~の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  10. 前記縫い糸は、ナイロン繊維からなることを特徴とする、請求項1~の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  11. 前記縫い糸は、アラミド繊維からなることを特徴とする、請求項1~の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  12. 摩擦伝動面を被覆する編布の接合部をミシンで縫合する縫合工程と、
    前記接合部において、編布同士を重ねてオーバーラップ部を形成するオーバーラップ工程と、を含み、
    前記縫合工程において、
    前記接合部の縫合が千鳥縫いであり、
    前記オーバーラップ部を縫合することを特徴とする、摩擦伝動ベルトの製造方法。
  13. 前記縫合工程において、
    記千鳥縫いのベルト幅方向における折り返し点間の距離である、縫い目ピッチが0.2mm以上~1.5mm以下であることを特徴とする、請求項12に記載の摩擦伝動ベルトの製造方法。
  14. 前記縫合工程において、
    ベルト周方向に延伸する、複数のリブが形成された摩擦伝動面を被覆する編布の縫合が千鳥縫いであり、
    前記千鳥縫いのベルト幅方向における折り返し点間の距離である、縫い目ピッチが、前記リブのベルト幅方向の長さである、リブピッチの0.35倍以下であることを特徴とする、請求項12に記載の摩擦伝動ベルトの製造方法。
  15. 記縫合工程において、前記オーバーラップ部において重ねられた編布と編布との間には、接着剤を塗布しないことを特徴とする、請求項12~14の何れかに記載の摩擦伝動ベルトの製造方法。
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