JP2022168845A - 摩擦伝動ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】プーリとの接触部分が布帛で被覆された摩擦伝動ベルトに関し、耐注水発音性を長期に亘って持続できる摩擦伝動ベルトを提供すること、またこれを低コストで提供する。【解決手段】Vリブドベルト1の摩擦伝動面が布帛6で被覆されており、布帛6が、引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維、及び、ポリエステル系複合糸を含んでいる。【選択図】図2

Description

本発明は、摩擦伝動面を布帛で被覆した摩擦伝動ベルトに関する。
動力伝達の手段として、伝動ベルトが汎用されている。伝動ベルトは、ギアやチェーンと比較して、軽量、低騒音、レイアウトの自由度が高い、メンテナンスが容易などのメリットがあり、自動車用、農業機械用をはじめ、様々な分野で利用されている。
伝動ベルトは、動力伝達の機構の違いから、摩擦伝動ベルトとかみ合い伝動ベルトに大別される。かみ合い伝動ベルトとしては、歯付ベルト、両面歯付ベルトが挙げられる。摩擦伝動ベルトとしては、平ベルト、ラップドVベルト、ローエッジVベルト、Vリブドベルトなどが挙げられる。ローエッジVベルトには、屈曲性を向上するために内周面に凹凸(コグ)を設けたローエッジコグドVベルトや、内周面と外周面の双方にコグを設けたローエッジダブルコグドVベルトが含まれる。
これらの伝動ベルトは、ゴムやエラストマーなどの弾性体中に、撚りコードなどの芯体(心線、抗張体)を埋設して形成されている。さらに、プーリとの接触部分など、ベルトの表面の全部または一部を織布や編布などの布帛(補強布)で被覆した構造を有するものが知られている。
例えば、特許文献1には、ポリエステル系複合糸とセルロース系天然紡績糸で編成されており、前記ポリエステル系複合糸が嵩高加工糸であり、前記セルロース系天然紡績糸の編成比率が前記ポリエステル系複合糸の編成比率以上である編布で摩擦伝動面が被覆されたVリブドベルトが開示されている。また、特許文献2には、セルロース系天然紡績糸、ポリエステル系複合糸、及び、ポリアミド系の糸を含み、少なくとも前記セルロース系天然紡績糸と前記ポリアミド系の糸とが、摩擦伝動面側の層に配されている緯編多層編布で摩擦伝動面が被覆されたVリブドベルトが開示されている。そして、緯編多層編布がセルロース系天然紡績糸を含むことにより耐注水発音性を向上でき、ポリアミド系の糸を含むことによりセルロース系天然紡績糸の摩耗を抑制して、耐注水発音性を長期間に亘って持続できることなどが記載されている。また、特許文献3には、低吸水性フィラメント繊維と高吸水性ステープル繊維とを含む複合紡績糸で形成された表面被覆布で被覆された摩擦伝動ベルトが開示されている。この摩擦伝動ベルトは被水環境下での伝達能力が高く且つ摩耗率が低いと記載されている。
特開2014-209028号公報 特開2018-197605号公報 国際公開第2019/193881号
しかしながら、特許文献1~3では、吸水性繊維として綿が使用されているが、綿は吸水性に優れる一方で、耐摩耗性が低いという欠点がある。また、特許文献2、3では、綿と合わせてポリアミド繊維を用いることで綿が摩耗するのを抑制する効果を得ていると考えられるが、ポリアミド繊維の使用によってコストが高くなるという問題がある上に、耐注水発音性の持続性についてもさらなる向上が求められていた。
そこで本発明の課題は、プーリとの接触部分が布帛で被覆された摩擦伝動ベルトに関し、耐注水発音性を長期に亘って持続できる摩擦伝動ベルトを提供すること、またこれを低コストで提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、摩擦伝動面が布帛で被覆されており、
前記布帛は、引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維、及び、ポリエステル系複合糸を含むことを特徴とする、摩擦伝動ベルトである。
上記構成によれば、プーリとの接触部分である摩擦伝動面が布帛で被覆された摩擦伝動ベルトに関し、吸水性(耐注水発音性)と耐摩耗性とを長期に亘って持続することができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記布帛に含まれる前記天然セルロース繊維が、麻のみであることを特徴としてもよい。
上記構成によれば、摩擦伝動ベルトに関し、吸水性(耐注水発音性)を長期に亘って持続しつつ、耐摩耗性をより長期に亘って持続させることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記布帛が、前記天然セルロース繊維としての麻と、更に、当該麻以外の天然セルロース繊維とを含むことを特徴としてもよい。
上記構成によれば、布帛に麻と合わせて、麻以外の天然セルロース繊維も含めることで、布帛に含まれる天然セルロース繊維に麻のみを使用した場合に比べて、摩擦伝動ベルトとして許容範囲の耐摩耗性を十分に保持しつつコストの低減を図ることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記麻以外の天然セルロース繊維が、綿であることを特徴としてもよい。
上記構成によれば、麻以外の天然セルロース繊維に、比較的安価な綿を使用することにより、調達・製造コストをより低減することができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記布帛が、前記麻の短繊維と前記麻以外の天然セルロース繊維の短繊維とを混紡した混紡糸で編成されていることを特徴としてもよい。
上記構成によれば、麻の短繊維と麻以外の天然セルロース繊維の短繊維とを混紡糸の形態で用いることで、麻と麻以外の天然セルロース繊維とが均一に分散した状態で編成された布帛にすることができる。これにより、麻以外の天然セルロース繊維の摩耗を抑制する効果を高め、耐注水発音性をより長期に亘って持続させることができる。
また、本発明は、上記摩擦伝動ベルトにおいて、前記混紡糸の太さが、20番手~60番手であることを特徴としてもよい。
混紡糸が細すぎる場合は耐摩耗性が低下する虞があり、一方、混紡糸が太すぎる場合はポリエステル系複合糸とのバランスが悪くなるため、布帛の伸度や物性が低下し、ゴム組成物の滲み出しやリブ形状不良が発生する虞がある。
そこで、混紡糸の太さを、20番手~60番手にすることにより、摩擦伝動ベルトの耐摩耗性を向上させつつ、布帛の伸度や物性の低下を軽減し、ゴム組成物の滲み出しやリブ形状不良が発生することを抑制することができる。
プーリとの接触部分が布帛で被覆された摩擦伝動ベルトに関し、耐注水発音性を長期に亘って持続できる摩擦伝動ベルトを提供することができ、またこれを低コストで提供することができる。
図1は本発明に係るVリブドベルトを用いたベルト伝動装置の例を説明する概略斜視図である。 図2は図1のA-A断面に沿ったVリブドベルトの横断面図である。 図3はVリブドベルトの製造方法を説明する概念図である。 図4はドライ状態(a)とウェット状態(b)の摩擦係数測定試験を説明する概念図である。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態の一例を説明する。図1は、本発明に係る、摩擦伝動ベルトの一種であるVリブドベルト1を用いた補機駆動用のベルト伝動装置の例を示す。このベルト伝動装置は、駆動プーリ21と従動プーリ22とを備え、これらの駆動プーリ21と従動プーリ22との間にVリブドベルト1を巻き掛けた最も簡単な例である。無端状のVリブドベルト1は、内周側にベルト周長方向に延びる複数のV字状リブ部2が形成されており、駆動プーリ21、及び、従動プーリ22の外周面には、Vリブドベルト1の各リブ部2が嵌り込む複数のV字状溝23が設けられている。
(Vリブドベルト1の構成)
図2に示すように、Vリブドベルト1は、外周側のベルト背面を形成する伸張層3と、伸張層3の内周側に設けられた圧縮層4と、伸張層3と圧縮層4との間に埋設されたベルト周長方向に延びる心線5とを備え、圧縮層4にベルト周長方向に延びる複数のV字状リブ部2が形成され、摩擦伝動面となるリブ部2の表面が布帛6で被覆されている。伸張層3と圧縮層4とは、後述するように、いずれもゴム組成物で形成されている。なお、必要に応じて、伸張層3と圧縮層4との間に接着層を設けてもよい。この接着層は、心線5の伸張層3及び圧縮層4との接着性を向上させる目的で設けられるが、必須のものではない。接着層の形態としては、接着層に心線5全体を埋設する形態でもよく、接着層と伸張層3との間又は、接着層と圧縮層4との間に心線5を埋設する形態でもよい。
(伸張層3及び圧縮層4)
圧縮層4を形成するゴム組成物のゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーなど)、エチレン-α-オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。
これらのうち、硫黄や有機過酸化物を含むゴム組成物で未加硫ゴム層を形成し、未加硫ゴム層を加硫又は架橋したものが好ましく、特に、有害なハロゲンを含まず、耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有し、経済性にも優れる点から、エチレン-α-オレフィンエラストマー(エチレン-α-オレフィン系ゴム)が好ましい。エチレン-α-オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン-α-オレフィンゴム(エチレン-プロピレンゴムなど)、エチレン-α-オレフィン-ジエンゴム(エチレン-プロピレン-ジエン共重合体など)などが挙げられる。α-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンなどが挙げられる。これらのα-オレフィンは、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの原料となるジエンモノマーとしては、非共役ジエン系単量体、例えば、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどが挙げられる。これらのジエンモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
エチレン-α-オレフィンエラストマーにおいて、エチレンとα-オレフィンとの割合(前者/後者の質量比)は、40/60~90/10、好ましくは45/55~85/15、さらに好ましくは55/45~80/20の範囲がよい。また、ジエンの割合は、4~15質量%の範囲から選択でき、例えば、4.2~13質量%、好ましくは4.4~11.5質量%の範囲とするとよい。なお、ジエン成分を含むエチレン-α-オレフィンエラストマーのヨウ素価は、例えば、3~40、好ましくは5~30、さらに好ましくは10~20の範囲とするとよい。ヨウ素価が小さ過ぎると、ゴム組成物の加硫が不十分となって摩耗や粘着が生じやすくなり、ヨウ素価が大き過ぎると、ゴム組成物のスコーチが短くなって扱い難くなるとともに耐熱性が低下する傾向がある。ヨウ素価の測定方法としては、測定試料に対して過剰のヨウ素を加えて完全に反応(ヨウ素と不飽和結合との反応)させ、残ったヨウ素の量を酸化還元適定により定量することで求められる。
未加硫ゴム層を架橋する有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド(ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシ-イソプロピル)ベンゼン、ジ-t-ブチルパーオキサイドなど)などが挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、有機過酸化物は、熱分解による半減期が1分間である温度範囲が150℃~250℃、好ましくは175℃~225℃程度のものがよい。
未加硫ゴム層の加硫剤又は架橋剤(特に有機過酸化物)の割合は、ゴム成分(エチレン-α-オレフィンエラストマーなど)100質量部に対して、固形分換算で1~10質量部、好ましくは1.2~8質量部、さらに好ましくは1.5~6質量部とするとよい。
ゴム組成物は加硫促進剤を含んでいてもよい。加硫促進剤としては、チウラム系促進剤、チアゾール系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ビスマレイミド系促進剤、ウレア系促進剤などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。加硫促進剤(複数種を組み合わせる場合は合計量を意味し、以降も複数種を組み合わせる場合は同様)の割合は、固形分換算で、ゴム成分100質量部に対して、0.5~15質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは2~5質量部とするとよい。
また、ゴム組成物は、架橋度を高め、粘着摩耗等を防止するために、さらに共架橋剤(架橋助剤又は共加硫剤)を含んでいてもよい。共架橋剤としては、慣用の架橋助剤、例えば、多官能(イソ)シアヌレート(トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートなど)、ポリジエン(1,2-ポリブタジエンなど)、不飽和カルボン酸の金属塩((メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウムなど)、オキシム類(キノンジオキシムなど)、グアニジン類(ジフェニルグアニジンなど)、多官能(メタ)アクリレート(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど)、ビスマレイミド類(N,N'-m-フェニレンビスマレイミドなど)などが挙げられる。これらの架橋助剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。架橋助剤の割合は、固形分換算で、ゴム成分100質量部に対して、0.01~10質量部、好ましくは0.05~8質量部とするとよい。
また、ゴム組成物は、必要に応じて、短繊維を含んでいてもよい。短繊維としては、セルロース系繊維(綿、レーヨンなど)、ポリエステル系繊維(PET、PEN繊維など)、脂肪族ポリアミド繊維(6ナイロン繊維、66ナイロン繊維、46ナイロン繊維など)、芳香族ポリアミド繊維(p-アラミド繊維、m-アラミド繊維など)、ビニロン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などが挙げられる。これらの短繊維は、ゴム組成物中での分散性や接着性を高めるため、慣用の接着処理又は表面処理、例えばRFL液などによる処理を施してもよい。短繊維の割合は、ゴム成分100質量部に対して、1~50質量部、好ましくは5~40質量部、さらに好ましくは10~35質量部とするとよい。
さらに、ゴム組成物は、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、加硫助剤、加硫遅延剤、補強剤(カーボンブラック、含水シリカ等の酸化ケイ素など)、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカなど)、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、可塑剤(パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、プロセスオイル等のオイル類など)、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン、脂肪酸アマイドなど)、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲亀裂防止剤、オゾン劣化防止剤など)、着色剤、粘着付与剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、熱安定剤など)、潤滑剤(グラファイト、二硫化モリブデン、超高分子量ポリエチレンなど)、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。金属酸化物は架橋剤として作用させてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの添加剤の割合は、種類に応じて慣用の範囲から選択でき、例えば、ゴム成分100質量部に対して、補強剤(カーボンブラック、シリカなど)の割合は10~200質量部(好ましくは20~150質量部)、金属酸化物(酸化亜鉛など)の割合は1~15質量部(好ましくは2~10質量部)、可塑剤(パラフィンオイル等のオイル類など)の割合は1~30質量部(好ましくは5~25質量部)、加工剤(ステアリン酸など)の割合は0.1~5質量部(好ましくは0.5~3質量部)とするとよい。
伸張層3は、圧縮層4と同様のゴム組成物(エチレン-α-オレフィンエラストマー等のゴム成分を含むゴム組成物)で形成してもよく、帆布等の布帛(補強布)で形成してもよい。補強布としては、織布、広角度帆布、編布、不織布などの布材が挙げられる。これらのうち、平織、綾織、朱子織などの形態で製織した織布や、経糸と緯糸との交差角が90°~130°程度の広角度帆布や編布が好ましい。補強布を構成する繊維としては、前記短繊維と同様の繊維を利用できる。補強布は、RFL液で処理(浸漬処理など)した後、コーティング処理などを施してゴム付帆布としてもよい。
伸張層3は、圧縮層4と同様のゴム組成物で形成するのが好ましい。このゴム組成物のゴム成分としては、圧縮層4のゴム成分と同系統又は同種のゴムを使用することが多い。また、加硫剤又は架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤などの添加剤の割合も、それぞれ圧縮層4のゴム組成物と同様の範囲から選択できる。
伸張層3のゴム組成物には、背面駆動時に背面ゴムの粘着による異音の発生を抑制するために、圧縮層4と同様の短繊維が含まれていてもよい。短繊維の形態は直線状でもよく、一部屈曲させた形状(例えば、特開2007-120507号公報に記載のミルドファイバー)のものでもよい。Vリブドベルト1の走行時には、伸張層3においてベルト周方向に亀裂が生じ、Vリブドベルト1が輪断する恐れがあるが、短繊維をベルト幅方向又はランダムな方向に配向させることでこれを防止することができる。また、背面駆動時の異音の発生を抑制するためには、伸張層3の表面(ベルト背面)に凹凸パターンを設けてもよい。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターン、エンボスパターン(例えばディンプル形状)などが挙げられ、大きさや深さは特に限定されない。
(心線5)
心線5としては特に限定されず、ポリエステル繊維(ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維など)、脂肪族ポリアミド(ナイロン)繊維(6ナイロン繊維、66ナイロン繊維、46ナイロン繊維など)、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維(コポリパラフェニレン・3,4'オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド繊維など)、ポリアリレート繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、PBO繊維などで形成されたコードを用いることができる。これらの繊維は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの繊維は、後述する可撓性ジャケット51の膨張率に応じて適宜選択される。例えば、膨張率が2%を超えるような高伸張の場合は、弾性率の低いポリエステル繊維(特に低弾性ポリブチレンテレフタレート繊維)、ナイロン繊維(特に66ナイロン繊維、46ナイロン繊維)が好ましい。これは、アラミド繊維、PBO繊維などの弾性率が高い繊維では、可撓性ジャケット51が膨張しても繊維は十分に伸張することができず、Vリブドベルト1に埋設される心線5のピッチラインが安定しなかったり、適正なリブ部2の形状が形成されなかったりするためである。このため、弾性率の高い繊維を使用するには、可撓性ジャケット51の膨張率を低く設定(例えば1%程度)するのが好ましい。
(布帛6)
布帛6は、織布、広角度帆布、不織布、編布などを含む布帛全般が使用でき、必要に応じて、編布、特に緯編多層編布を使用することが好ましい。緯編は伸縮性に優れているので、リブ部2で凹凸が形成された摩擦伝動面により容易に添わせることができる(リブ部2の形状不良が発生しにくい)。また、多層編布とすることで、厚みが厚く、吸水性に優れ、圧縮層4のゴム成分の滲み出しをより確実に防止でき、摩擦伝動面側と圧縮層4側とで糸の露出割合を変えることで所望の特性を得られる。緯編で、多層に編成された緯編多層編布としては、スムース編、インターロック編、ダブルリブ編、シングルピケ編、ポンチローマ編、ミラノリブ編、ダブルジャージ編、鹿の子編(表鹿の子、裏鹿の子、ダブル鹿の子)などが挙げられる。
布帛6は、引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維、及び、ポリエステル系複合糸を含むように編成されている。布帛6が引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維を含むことにより、吸水性と耐摩耗性とを両立することができる。また、布帛6がポリエステル系複合糸を含むことにより、圧縮層4を形成するゴム組成物が摩擦伝動面に滲出するのを抑制することができる。
引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維に関して、その繊維長さは1~200mm程度、特に10~50mmであることが好ましい。その理由としては、繊維長さが短すぎると耐摩耗性が低下する虞があり、繊維長さが長すぎると吸水性が低下する虞があるからである。
また、引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維の繊維径は5~100μm程度、特に10~30μmであることが好ましい。その理由としては、繊維径が小さすぎると耐摩耗性が低下する虞があり、繊維径が大きすぎると吸水性が低下する虞があるからである。
なお、天然セルロース繊維の引張強さの測定方法としては、JISL1069(2002)に準拠して繊維1本の引張強さを測定し、1dtex当たりの値に換算することにより求める。引張速度は1mm/分とする。
布帛6に含まれる引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維としては、麻が好ましく、具体的には、大麻(ヘンプ)、苧麻(ラミー)、亜麻(リネン)、黄麻(ジュート)、洋麻(ケナフ)などの靭皮繊維、マニラ麻、サイザル麻などの葉脈繊維が使用できる。特に、耐摩耗性、吸水性、コストの観点からバランスのよい亜麻(リネン)が好ましい。
布帛6は、上述した引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維としての麻以外に、他種類の天然セルロース繊維を含んでいてもよい。例えば、麻以外の天然セルロース繊維としては、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(綿繊維(コットンリンター)、カポックなど)、羊毛、絹、ホヤセルロースなどの動物由来のセルロース繊維、バクテリアセルロース繊維、藻類のセルロースなどが例示できる。
ここで、布帛6に含まれる天然セルロース繊維としては、耐摩耗性を向上できる観点から、麻のみを使用することが好ましい。即ち、布帛6は、麻とポリエステル系複合糸だけの構成であることが好ましい。しかし、麻は比較的高価であるため、耐摩耗性の低下を許容できる範囲で、布帛6に麻と合わせて麻以外の天然セルロース繊維も含めることで、コストを低減することができる。特に、麻以外の天然セルロース繊維として吸水性が高く安価な綿を、麻に合わせて用いることが好ましい。なお、綿の引張強さは4.5cN/dtex未満であることから、本実施形態のVリブドベルト1に係る布帛6においては必須の構成ではない。
布帛6に麻と麻以外の天然セルロース繊維とを併用する場合、それぞれ別の糸として用いることもできる。この場合、麻の短繊維と麻以外の天然セルロース繊維の短繊維とを混紡した混紡糸の形態で用いるのが好ましい。例えば、布帛6は、麻の短繊維と綿の短繊維とを混紡した混紡糸で編成する。このように混紡糸の形態で布帛6を編成することで、麻と麻以外の天然セルロース繊維とがより均一に分散して存在するために、麻以外の天然セルロース繊維の摩耗を抑制する効果が高くなり、耐注水発音性を長期に亘って持続することができる。なお、麻と綿の混紡糸は、麻や綿も長繊維の状態で存在せず、麻の短繊維と綿の短繊維とが混紡した状態である。このように、麻と綿の短繊維同士を混紡することで、麻と綿とがより均一に分散することから、耐摩耗性が向上する。
また、麻の短繊維と綿の短繊維とを混紡した混紡糸において、麻と綿の割合(質量比)は、綿/麻=1/99~80/20程度の範囲から選択可能である。麻の割合が高いと耐摩耗性が向上するがコストが高くなり、綿の割合が高いとコストは低下するが耐摩耗性が低下する場合がある。許容範囲の耐摩耗性を十分に保持しつつコストの低減を図ることができる観点からは、麻と綿の割合(質量比)は、綿/麻=30/70~80/20(特に50/50~80/20)が好ましく、60/40~80/20(特に65/35~75/25)がさらに好ましい。
また、布帛6を構成する混紡糸および紡績糸の太さは、20番手~60番手であることが好ましく、より好ましくは30番手~50番手(特に30番手~40番手)である。
糸が細すぎる場合は耐摩耗性が低下する虞があり、一方、糸が太すぎる場合はポリエステル系複合糸とのバランスが悪くなるため、布帛の伸度や物性が低下し、ゴム組成物の滲み出しやリブ形状不良が発生する虞がある。
そこで、布帛6を構成する混紡糸および紡績糸の太さを、20番手~60番手にすることにより、摩擦伝動ベルトの耐摩耗性を向上させつつ、布帛の伸度や物性の低下を軽減し、ゴム組成物の滲み出しやリブ形状不良が発生することを抑制することができる。
なお、本願において、混紡糸および紡績糸の太さは繊維の種類(綿、麻、ナイロンなど)を問わず、全て綿番手で表している。綿番手は1ポンド(453.6グラム)の重さで長さが840ヤード(768.1メートル)である糸を1番手と規定しており、30番手の糸は1ポンドの重さで長さが840×30ヤードである糸、50番手の糸は1ポンドの重さで長さが840×50ヤードである糸を表している。つまり、番手の数字が大きい程、細い糸であることを表している。
また、布帛6に含まれるポリエステル系複合糸としては嵩高加工糸が使用できる。嵩高加工糸は、繊維にちぢれ(捲縮性)を生じさせたり、芯糸を別の糸でカバリングしたりして、断面の嵩を大きくした加工糸である。嵩高加工糸には、コンジュゲート糸、カバリング糸、捲縮加工糸、ウーリー加工糸、タスラン加工糸、インタレース加工糸などがあるが、嵩高加工糸であるポリエステル系複合糸としては、コンジュゲート糸やカバリング糸が好ましい。
コンジュゲート糸は、熱収縮率の異なる2種類以上のポリマーを繊維軸方向に貼り合わせた断面構造を持つことが好ましい。このような構造を有するコンジュゲート糸は、製造時や加工時に熱が加わると、各ポリマーの収縮率(熱収縮率)の違いにより捲縮が生じて嵩高い糸となる。例えばポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリエチレンテレフタレート(PET)をコンジュゲートした複合糸(PTT/PETコンジュゲート糸)や、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)をコンジュゲートした複合糸(PBT/PETコンジュゲート糸)がある。上記のようにポリエステル系複合糸として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むコンジュゲート糸を使用することにより、布帛6の伸縮性、嵩高性、耐摩耗性を高めることができる。また、ポリエチレンテレフタレートを含むコンジュゲート糸は入手性に優れていることからコストを低減することができる。また、カバリング糸は、芯糸の周囲を別の糸で覆う(カバリング)することにより、糸全体の断面の嵩を大きくした糸である。例えば、伸縮性に優れたポリウレタン(PU)糸を芯として、その表面にポリエチレンテレフタレート(PET)をカバリングした複合糸(PET/PUカバリング糸)や、PUを芯としてポリアミド(PA)をカバリングした複合糸(PA/PUカバリング糸)がある。これらの複合糸のうち、伸縮性や耐摩耗性に優れる、PTT/PETコンジュゲート糸が好ましい。
また、布帛6には、親水化処理剤として界面活性剤や親水性柔軟剤を含有又は付着させることができる。このように親水化処理剤を布帛6に含有又は付着させた場合、摩擦伝動面(布帛6)に水滴が付着すると、該水滴は、親水化処理された布帛6の表面に速やかに濡れ拡がって水膜となり、さらに、布帛6のセルロース系天然紡績糸に吸水されて、摩擦伝動面上に水膜がなくなる。したがって、ウェット状態での摩擦伝動面の摩擦係数の低下がより抑制される。
親水化処理剤としては界面活性剤や親水性柔軟剤を用いることができる。これらの親水化処理剤を布帛6に含有又は付着させる方法としては、布帛6に親水化処理剤をスプレーする方法、布帛6に親水化処理剤をコーティングする方法、又は、布帛6を親水化処理剤に浸漬する方法を採用することができる。また、親水化処理剤を界面活性剤とする場合は、Vリブドベルト1の作製時に、内周面に複数のリブ型が刻設された筒状外型の表面に界面活性剤を塗布して加硫成形することで、界面活性剤を布帛6に含有させる方法も採用することができる。これらの方法のうち、簡便かつより均一に親水化処理剤を含有、付着させることができることから、布帛6を親水化処理剤に浸漬する方法が好ましい。
界面活性剤とは、水となじみ易い親水基と、油となじみ易い疎水基(親油基)とを分子内に持つ物質の総称であり、極性物質と非極性物質とを均一に混合する働きを有する以外に、表面張力を小さくして濡れ性を高めたり、物質と物質との間に界面活性剤が介在して、界面の摩擦を小さくしたりする作用がある。
界面活性剤の種類は特に限定されず、イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などが使用できる。非イオン界面活性剤は、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤又は多価アルコール型非イオン界面活性剤であってもよい。
ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤は、高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸、多価アルコール高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリプロピレングリコールなどの疎水基を有する疎水性ベース成分にエチレンオキシドが付加して親水基が付与された非イオン界面活性剤である。
また、布帛6には、圧縮層4を構成するゴム組成物(リブ部2の表面を形成するゴム組成物)との接着性を向上させる目的で、接着処理を施すことができる。このような布帛6の接着処理としては、エポキシ化合物又はイソシアネート化合物を有機溶媒(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン等)に溶解させた樹脂系処理液への浸漬処理、レゾルシン-ホルマリン-ラテックス液(RFL液)への浸漬処理、ゴム組成物を有機溶媒に溶かしたゴム糊への浸漬処理などが挙げられる。この他の接着処理の方法として、例えば、布帛6とゴム組成物とをカレンダーロールに通して布帛6にゴム組成物を摺り込むフリクション処理、布帛6にゴム糊を塗布するスプレディング処理、布帛6にゴム組成物を積層するコーティング処理等も採用することができる。このように布帛6を接着処理することにより、圧縮層4との接着性を向上させて、Vリブドベルト1の走行時の布帛6の剥離を防止することができる。また、接着処理をすることで、リブ部2の耐摩耗性を向上させることもできる。
上記接着処理により、布帛6に圧縮層4を構成するゴム組成物を接着させた結果、布帛6の摩擦伝動面(駆動プーリ21や従動プーリ22と当接する面側)にゴム組成物の滲み出しが無いようにすることが好ましい。布帛6から摩擦伝動面側へのゴム組成物の滲み出しが有ると、吸水性が低下するので、ウェット時の摩擦係数の低下が大きくなり、耐注水発音性が低下してしまう。そこで、布帛6の摩擦伝動面へのゴム組成物の滲み出しを無くすことにより、十分な吸水性が確保できるため、耐注水発音性を向上させることができる。
(Vリブドベルト1の製造方法)
以下に、図3に基づいてVリブドベルト1の製造方法を説明する。まず、図3の(a)に示すように、外周面に可撓性ジャケット51を装着した筒状の内型52に、未加硫の伸張層用シート3Sを巻き付けて、この上に心線5を螺旋状にスピニングし、さらにその上に未加硫の圧縮層用シート4Sと布帛6とを順次巻き付けて(被せて)、成形体10を作製する。この後、内周面に複数のリブ型53aを刻設した外型53の内周側に、成形体10を巻き付けた内型52を同心状にセットする。このとき、外型53の内周面と成形体10の外周面との間には所定の間隙が設けられる。
ここで、上記のように、Vリブドベルト1を成形する際に、布帛6は圧縮層用シート4Sの外周に添うように円筒状に成形する必要がある。そのために、丸編機などを用いてジョイントのないシームレス布帛を用意する方法があるが、その場合にはVリブドベルト1の長さ(周長)に対応したシームレス布帛を準備する必要がある。このとき、Vリブドベルト1の長さに対して長すぎる(周長の大きすぎる)布帛6を用いた場合には、布帛6がダブつくのでオーバーラップして、品質異常を起こす虞があり、逆に、短すぎる(周長の小さすぎる)布帛6を用いた場合には、成形されるリブ部2の形状が不良となったり、圧縮層用シート4Sのゴム組成物が摩擦伝動面に滲み出して耐注水発音性が低下したりといった不具合が予想される。そのため、様々な長さのVリブドベルト1を製造しようとすると、それと同じ数だけの仕掛品を持つ必要があり、無駄が生じやすい。
そこで、布帛6を圧縮層用シート4Sの外周に添うように円筒状に成形するために、Vリブドベルト1の長さに応じて、四角形状の布帛6の両端をジョイントして筒状の布帛6を作製する方法を採用するのが好ましい。この場合、どのようなVリブドベルト1の長さであっても最適な周長の布帛6を準備(調節)することができるので、品質が安定する。さらに、丸編機の他横編機も使用できるので自由度が高く、仕掛品も1種類でよいため無駄がなくなる。
布帛6の両端をジョイントする方法としては、布帛6を構成する糸の融点付近の温度に加熱した刃で切断しながら同時にその切断面を溶着する方法(ホットメルト、熱溶着)、超音波振動させた刃で押圧することにより切断と溶着を同時に行う方法(超音波溶着)、ミシンジョイント、かがり縫い、突き合わせなどが例示できる。布帛6の両端をジョイントするタイミングとしては、Vリブドベルト1の成形前にあらかじめ行っておいてもよく、Vリブドベルト1の成形中に行ってもよい(例えば、内型52に巻き付けた圧縮層用シート4Sの上で布帛6の両端をジョイントする)。Vリブドベルト1の成形前に行う場合にはホットメルト、超音波溶着、ミシンジョイント、かがり縫いが都合よく適用でき、Vリブドベルト1の成形中に行う場合には突き合わせが都合よく適用できる。なかでも、布帛6の継ぎ目の外観がよいことから、超音波溶着や突き合わせが好ましい。また、布帛6のジョイント箇所は1箇所であってもよく、複数箇所であってもよい。工数低減や外観向上の点から、布帛6のジョイント箇所は1箇所又は2箇所であることが好ましい。
続いて、図3の(b)に示すように、前記可撓性ジャケット51を外型53の内周面に向かって所定の膨張率(例えば1~6%)で膨張させ、成形体10の圧縮層用シート4Sと布帛6を外型53のリブ型53aに圧入して、その状態で加硫処理(例えば160℃、30分)を行う。
最後に、図3の(c)に示すように、内型52を外型53から抜き取り、複数のリブ部2を有する加硫ゴムスリーブ10Aを外型53から脱型した後、カッターを用いて加硫ゴムスリーブ10Aを周長方向に沿って所定の幅にカットして、Vリブドベルト1に仕上げる。なお、Vリブドベルト1の製造方法は上記方法に限らず、例えば、特開2004-82702号公報等に開示された他の公知の方法を採用することもできる。
上記のように駆動プーリ21や従動プーリ22との接触部分である摩擦伝動面が布帛6で被覆されたVリブドベルト1において、布帛6が、引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維、及び、ポリエステル系複合糸を含むことにより、吸水性(耐注水発音性)と耐摩耗性とを長期に亘って持続することができる。
特に、布帛6に含まれる引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維を、麻のみにすることにより、Vリブドベルト1の吸水性(耐注水発音性)を長期に亘って持続しつつ、耐摩耗性をより長期に亘って持続させることができる。
また、上記Vリブドベルト1のように、布帛6は、4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維としての麻と、更に、当該麻以外の天然セルロース繊維(引張強さは限定しない)とを含む構成にしてもよい。布帛6に麻と合わせて、麻以外の天然セルロース繊維も含めることで、布帛6に含まれる天然セルロース繊維に麻のみを使用した場合に比べて、Vリブドベルト1として許容範囲の耐摩耗性を十分に保持しつつコストの低減を図ることができる。特に、麻以外の天然セルロース繊維に、比較的安価な綿を使用することにより、調達・製造コストをより低減することができる。
また、布帛6を、麻の短繊維と麻以外の天然セルロース繊維の短繊維とを混紡した混紡糸で編成することにより、麻と麻以外の天然セルロース繊維とが均一に分散した状態で編成された布帛6にすることができる。これにより、麻以外の天然セルロース繊維の摩耗を抑制する効果を高め、Vリブドベルト1の耐注水発音性をより長期に亘って持続させることができる。
(その他)
上記実施形態では、摩擦伝動ベルトとしてVリブドベルト1を例示して説明したが、上記布帛6は、平ベルト、ラップドVベルト、ローエッジVベルトなどの他種の摩擦伝動ベルトにも採用可能であり、更には伝動ベルト全般にも採用可能である。
次に、表1に示すように、実施例1~8、及び、比較例1~3に係るVリブドベルトを作製し、それらに対して摩擦係数測定試験、及び、耐摩耗性試験を行った。更に、耐摩耗性試験を行った各Vリブドベルトに対して再度摩擦係数測定試験を行った。
実施例1~8および比較例1~3は全てダブル鹿の子編の緯編2層編布(布帛)を使用しており、緯編2層編布の圧縮層側は糸C(PTT/PETコンジュゲート糸)で形成したことは共通している。緯編2層編布の摩擦伝動面側(プーリ接触面側)の糸に違いがある。実施例1~3の摩擦伝動面側(プーリ接触面側)には麻と綿の質量比を変更した混紡糸を使用した。実施例4の摩擦伝動面側(プーリ接触面側)には麻100%の糸を使用した。実施例5の摩擦伝動面側(プーリ接触面側)には綿100%の糸と麻100%の糸とを交互に編成した交互編を使用した。実施例6、8は、実施例1に比べて糸の太さを太くした混紡糸を使用した。実施例7は、実施例5に比べて糸の太さを太くした交互編を使用した。比較例1の摩擦伝動面側(プーリ接触面側)には綿100%の糸を使用した。比較例2の摩擦伝動面側(プーリ接触面側)には綿100%の糸とナイロン100%の糸とを交互に編成した交互編を使用した。比較例3の摩擦伝動面側(プーリ接触面側)には綿とナイロンの混紡糸を使用した。
(摩擦係数測定試験)
摩擦係数測定試験は、図4に示すように、直径121.6mmの駆動プーリ(Dr.)、直径76.2mmのアイドラープーリ(IDL.1)、直径61.0mmのアイドラープーリ(IDL.2)、直径76.2mmのアイドラープーリ(IDL.3)、直径77.0mmのアイドラープーリ(IDL.4)、直径121.6mmの従動プーリ(Dn.)を配置した試験機を用い、これらの各プーリに各Vリブドベルトを掛架して行った。
図4の(a)に示すように、通常走行時を想定したドライ状態の試験では、室温条件下(23℃)で、駆動プーリ(Dr.)の回転数を400rpm、従動プーリ(Dn.)へのベルト巻き付け角度αをπ/9ラジアン(20°)とし、一定荷重(180N/6rib)を付与して各Vリブドベルトを走行させて、従動プーリ(Dn.)のトルクを上げていき、従動プーリ(Dn.)に対するVリブドベルト1の滑り速度が最大(100%スリップ)となったときの従動プーリ(Dn.)のトルク値から、(1)式を用いて摩擦係数μを求めた。
μ=ln(T1/T2)/α (1)
ここに、T1は張り側張力、T2は緩み側張力である。
従動プーリ(Dn.)入側の緩み側張力T2は一定荷重(180N/6rib)と等しくなり、出側の張り側張力T1は、この一定荷重に従動プーリ(Dn.)のトルクによる張力を加えたものとなる。
図4の(b)に示すように、雨天走行時を想定したウェット状態の試験では、駆動プーリ(Dr.)の回転数を800rpm、従動プーリ(Dn.)へのベルト巻き付け角度αをπ/4ラジアン(45°)とし、従動プーリ(Dn.)の入口付近に1分間に300mlの水を連続的に注水した。その他の条件はドライ状態の試験と同じであり、(1)式を用いて摩擦係数μを求めた。
(耐摩耗性試験)
耐摩耗性試験では、図示は省略するが、直径120mmの駆動プーリ(Dr.)、直径75mmのアイドラープーリ(IDL.1)、直径60mmのテンションプーリ(Ten.)、直径120mmの従動プーリ(Dn.)を順に配置した試験機を用いた。これらの各プーリに各Vリブドベルトを掛架し、120℃の雰囲気下で、駆動プーリ(Dr.)の回転数を4900rpmとし、初荷重としてテンションプーリ(Ten.)に890Nの軸荷重を負荷して、200時間走行させた試験前後のベルト質量を測定し、(2)式を用いて摩耗率を求めた。
摩耗率=(試験前質量-試験後質量)/試験前質量×100(%) (2)
なお、摩耗率は低い値ほど、耐摩耗性が優れていることを示す。
(耐摩耗性試験後の摩擦係数測定試験)
耐摩耗性試験後の摩擦係数測定試験では、上記耐摩耗性試験を終えた後の各Vリブドベルトについて、再度、上記摩擦係数測定試験を行い、ドライ状態の摩擦係数μ及びウェット状態の摩擦係数μを求めた。また、耐注水発音性の持続性を評価した。具体的には、耐摩耗性試験後の、ドライ状態での摩擦係数μとウェット状態での摩擦係数μとの差であるΔμが0.4未満の場合は、耐注水発音性の持続性が良好であると判断した。
実施例1~8、及び、比較例1~3に係るVリブドベルトの構成、及び、各試験結果を表1に示す。
Figure 2022168845000002
(使用材料)
・綿糸、麻糸、綿/麻混紡糸:各種ステープルを撚り合わせたスパン糸
・PTT/PETコンジュゲート糸:東レ(株)製、84dtex
・ナイロン糸:東レ(株)製、ナイロン66、110dtexのフィラメント糸
・綿/ナイロン混紡糸:ナイロン66フィラメントと綿ステープルの50番手(綿番手)混紡糸
・麻繊維(リネン):平均繊維長さ30mm、平均繊維径20μm、引張強さ5cN/dtex
・綿繊維:平均繊維長さ20mm、平均繊維径20μm、引張強さ3cN/dtex
(伸張層及び圧縮層のゴム配合)
Figure 2022168845000003
・EPDM:ダウ・ケミカル社製「ノーデルIP4640」、エチレン含量55質量%、プロピレン含量40質量%、エチリデンノルボルネン(ENB)含量5質量%
・酸化亜鉛:正同化学工業(株)製「酸化亜鉛3種」
・ステアリン酸:日油(株)製「ステアリン酸つばき」
・カーボンブラックHAF:東海カーボン(株)製「シーストV」、平均一次粒子径55nm
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラックMB」
・軟化剤(パラフィン系オイル):出光興産(株)製「NS-90」
・有機過酸化物:日油(株)製「パークミルD-40」
(各試験結果の考察)
緯編2層編布(布帛)の摩擦伝動面側(プーリ接触面側)に麻を含む、実施例1~8は耐摩耗性試験後のΔμが小さく、耐注水発音性を長期に亘って持続することができていた。比較例1~3は耐摩耗性試験後のΔμが大きく、耐注水発音性を長期に亘って持続することができていなかった。
実施例1~8は耐摩耗性試験後のΔμには差がなく、耐摩耗性は麻100%の糸を用いた実施例4が最も優れていた。ただし、他の実施例の耐摩耗性も許容できるレベルであり、コスト面からは綿の割合の大きい実施例1、6、8が好ましい。中でも、コスト低減と耐摩耗性とを両立できる点から、実施例8が特に好ましい。
実施例1と比較例3とを比較すると、綿とナイロンとを混紡した比較例3では、摩耗率は小さいにも関わらず、耐摩耗試験後のΔμは大きく、耐注水発音性の持続性が低い結果となった。
麻を使用した実施例1では、摩耗率は比較的大きいにも関わらず、耐摩耗試験後のΔμは小さく、耐注水発音性の持続性が高い結果となった。同様の傾向は、実施例5と比較例2との比較でも確認された。これは、単に耐摩耗性が良好なだけでは耐注水発音性の持続性を向上できないことを示しており、耐摩耗性と吸水性のバランスのよい麻を使用することの優位性を示す結果であるといえる。
実施例2と実施例5との比較より、綿100%の糸と麻100%の糸とを交互編するよりも、綿と麻との混紡糸を用いた方が耐摩耗性に優れることが分かった。
実施例1、6、8の比較より、綿と麻との混紡糸を太くすることで耐摩耗性が向上することが分かった。また、実施例5と7との比較より、綿糸と麻糸による交互編の場合においても、綿糸と麻糸を太くすることで耐摩耗性が向上することが分かった。
1 Vリブドベルト
2 リブ部
3 伸張層
4 圧縮層
5 心線
6 布帛
10 成形体
21 駆動プーリ
22 従動プーリ
23 V字状溝
51 可撓性ジャケット
52 内型
53 外型
53a リブ型

Claims (6)

  1. 摩擦伝動面が布帛で被覆されており、
    前記布帛は、引張強さ4.5cN/dtex以上の天然セルロース繊維、及び、ポリエステル系複合糸を含むことを特徴とする、摩擦伝動ベルト。
  2. 前記布帛に含まれる前記天然セルロース繊維は、麻のみであることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦伝動ベルト。
  3. 前記布帛は、前記天然セルロース繊維としての麻と、更に、当該麻以外の天然セルロース繊維とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の摩擦伝動ベルト。
  4. 前記麻以外の天然セルロース繊維は、綿であることを特徴とする、請求項3に記載の摩擦伝動ベルト。
  5. 前記布帛は、前記麻の短繊維と前記麻以外の天然セルロース繊維の短繊維とを混紡した混紡糸で編成されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の摩擦伝動ベルト。
  6. 前記混紡糸の太さは、20番手~60番手であることを特徴とする、請求項5に記載の摩擦伝動ベルト。
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